JP7067880B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮機に関する。
空調機に用いられる圧縮機の一種として、ロータリ圧縮機が知られている。ロータリ圧縮機は、外部電源によって駆動されるモータと、当該モータの出力軸に接続された圧縮機本体と、を備えている。圧縮機本体は、出力軸によって回転駆動されるクランクシャフトと、クランクシャフトに一体に設けられたピストンロータと、当該ピストンロータを覆うシリンダと、を有している。ピストンロータがシリンダ内で出力軸とは異なる位置で偏心回転することで、当該シリンダ内の空気が圧縮され、高圧の圧縮空気が生成される。
ロータリ圧縮機用のモータ(電動機)の具体例としては、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載されたモータは、出力軸上に設けられたロータ(回転子)と、ロータを外周側から覆う複数のコイルが取り付けられた略環状のステータコア(固定子)と、を有している。ステータコアの外周面は、ロータリ圧縮機のハウジングの内周面に対して焼き嵌め等の処理を経て、締まり嵌めされている。
特開2008-271616号公報
ここで近年、圧縮機の効率を向上させるための一策として、モータの効率向上に注目が集まっている。モータの効率向上を妨げる要因として、主に銅損、鉄損が知られている。銅損とは、コイルを構成する銅線の抵抗成分に起因するエネルギー損失である。また、鉄損とは、コイルが巻き付けられるステータコアの物性や形状に起因するエネルギー損失である。一般的に、より太い銅線をコイルに用いることで銅損を低減し、モータの高効率化を図ることができるとされる。しかしながら、銅線を太くした分だけ、ステータコアの断面積(幅)が減少するため、締まり嵌めされた状態において、ハウジングがステータコアに及ぼす圧縮応力の集中がおきやすくなってしまう。その結果、ステータコアの鉄損が増大してしまい、銅損低減の効果が損なわれる場合がある。すなわち、モータの高効率化に困難を生じてしまう可能性があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、より効率化されたモータを備える圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様によれば、圧縮機は、軸線回りに回転可能なロータ、及び前記軸線を中心として前記ロータを外周側から囲むステータコアを有するモータと、前記モータによって駆動されて、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記モータ、及び前記圧縮機構部を覆うハウジングと、を備える圧縮機であって、前記ステータコアの外周面には、前記ハウジングの内周面に締まり嵌めされている複数の当接部と、それぞれ該当接部に隣接して設けられ、前記内周面から離間している複数の非当接部とが形成され、前記軸線方向から見た場合の前記複数の当接部の長さの合計をLとし、前記ステータコアの外径寸法をd1としたとき、(1)式の関係を満たし、前記ステータコアは前記軸線方向から見て正多角形状をなすとともに、その頂部が円弧状に面取りされることで前記当接部を形成し、該当接部と前記非当接部とは互いに連続的に接続されている
0.1≦L/d1≦1.00 ・・・(1)

この構成によれば、当接部の長さの合計が小さく抑えられることから、当該当接部がハウジングから受ける圧縮応力を低減することができる。これにより、ステータコアで発生する鉄損を低減することができる。
本発明の第二の態様によれば、圧縮機は、前記軸線方向から見た場合の前記複数の当接部の長さの合計をLとし、前記ステータコアの外径寸法をd1としたとき、(2)式の関係を満たしてもよい。
0.1≦L/d1≦0.35 ・・・(2)
この構成によれば、当接部の長さの合計がさらに小さく抑えられることから、当該当接部がハウジングから受ける圧縮応力を低減することができる。これにより、ステータコアで発生する鉄損をさらに低減することができる。
本発明の第三の態様によれば、前記軸線方向から見た場合の前記複数の当接部の長さの合計をLとし、前記ステータコアの外径寸法をd1としたとき、(3)式の関係を満たしてもよい。
0.1≦L/d1≦0.18 ・・・(3)
この構成によれば、当接部の長さの合計がさらに小さく抑えられることから、当該当接部がハウジングから受ける圧縮応力を低減することができる。これにより、ステータコアで発生する鉄損をさらに低減することができる。
本発明の第四の態様によれば、前記ステータコアは、前記当接部及び前記非当接部を有する環状のヨークと、該ヨークの内周面から前記軸線の径方向内側に延びる複数のティースと、を有し、前記軸線の径方向における前記ヨークの寸法をwとしたとき、(4)式の関係を満たしてもよい。
w/d1≦0.08 ・・・(4)
この構成によれば、ヨークの寸法が小さく抑えられることから、モータのスロット面積を大きく確保することができる。これにより、モータを高効率化することができる。なお、スロット面積とは、コイルの全断面積のうち、銅線部分の占める断面積を指す。
本発明の第五の態様によれば、前記軸線方向から見た場合の、径方向に直交する方向における前記ヨークの長さをwとしたとき、(5)式の関係を満たしてもよい。
w/d1≦0.06 ・・・(5)
この構成によれば、ヨークの寸法が小さく抑えられることから、モータのスロット面積をさらに大きく確保することができる。これにより、モータをさらに高効率化することができる。なお、スロット面積とは、コイルの全断面積のうち、銅線部分の占める断面積を指す。
本発明の第六の態様によれば、前記ステータコアは、前記当接部及び前記非当接部を有する環状のヨークと、該ヨークの内周面から軸線の径方向内側に延びるティースと、を有し、前記軸線方向から見て、前記ヨークの内周面と、前記ティースの径方向外側の端部との接続部には曲線状のアール区間が形成され、該アール区間の曲率半径が、1.5mm以下であってもよい。
この構成によれば、ヨークの内周面と、ティースの端部との接続部に形成されるアール区間の曲率半径が小さく抑えられる。これにより、コイルの巻き崩れを防ぐことができるとともに、スロット面積をさらに拡大し、モータの高効率化を図ることができる。
本発明の第七の態様によれば、前記アール区間の曲率半径が、0.5mm以下であってもよい。
この構成によれば、コイルの巻き崩れを防ぐことができるとともに、スロット面積をさらに拡大し、モータの高効率化を図ることができる。
本発明の第八の態様によれば、前記ステータコアの内径寸法をd2としたとき、(6)式の関係を満たしてもよい。
d2/d1≧0.44 ・・・(6)
この構成によれば、ステータコアの内径寸法が小さく抑えられることから、ロータの外径寸法を大きく確保することができる。さらに、スロット面積の拡大も図れることから、モータを高効率化することができる。
本発明の第九の態様によれば、前記ステータコアの内径寸法をd2としたとき、(7)式の関係を満たしてもよい。
d2/d1≧0.58 ・・・(7)
この構成によれば、ステータコアの内径寸法がさらに小さく抑えられることから、ロータの外径寸法をより大きく確保することができる。さらに、スロット面積の拡大も図れることから、モータを高効率化することができる。
本発明の第十の態様によれば、前記ハウジングに対する前記ステータコアの締めしろが、0.05mm以上であってもよい。
この構成によれば、締めしろを大きく確保することができるため、ステータコアをハウジングに対してより強固かつ安定的に固定することができる。
本発明の第十一の態様によれば、前記ハウジングの板厚をtとしたとき、(8)式の関係を満たしてもよい。
t/d1≧0.03 ・・・(8)
この構成によれば、ハウジングの板厚を大きく確保することができるため、ハウジングの強度や耐圧性をより大きくすることができる。
本発明によれば、より効率化されたモータを備える圧縮機を提供することができる。
本発明の実施形態に係る圧縮機の構成を示す断面図である。 図1のA-A線における断面図である。 図2の要部拡大図である。 本発明の実施例に係るL/d1の値と、鉄損、銅損、及びモータ効率の関係を示す表である。
本発明の一実施形態に係る圧縮機10について、図1から図3を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る圧縮機10は、外部電源によって駆動されるモータ18と、モータ18によって駆動されることで冷媒を圧縮する圧縮機構部10Aと、モータ18及び圧縮機構部10Aを覆うハウジング11と、を備えている。
圧縮機構部10Aは、モータ18によって回転されるクランクシャフト16と、クランクシャフト16の回転に伴って偏心回転するピストンロータ13A,13Bと、ピストンロータ13A,13Bを収容する圧縮室が内部に形成されたシリンダ12A,12Bと、を備えている。
圧縮機構部10Aは、円筒形状のハウジング11内に、ディスク状のシリンダ12A、12Bが上下2段に設けられた、いわゆる2気筒タイプのロータリ圧縮機である。ハウジング11は、シリンダ12A,12Bを囲うことで、圧縮された冷媒が排出される吐出空間Vを形成する。シリンダ12A、12Bの内部には、各々、シリンダ内壁面の内側よりも小さな外形を有する円筒状のピストンロータ13A、13Bが配置されている。ピストンロータ13A、13Bは、各々、ハウジング11の中心軸線に沿った回転軸の偏心軸部14A、14Bに挿入固定されている。
上段側のシリンダのピストンロータ13Aと、下段側のピストンロータ13Bとは、その位相が互いに180°だけ異なるように設けられている。
また、上下のシリンダ12A、12Bの間には、ディスク状の仕切板15が設けられている。仕切板15により、上段側のシリンダ12A内の空間Rと、下段側の空間Rとが互いに連通せずに圧縮室R1とR2とに仕切られている。
クランクシャフト16は、シリンダ12Aに固定された上部軸受部17A、及びシリンダ12Bに固定された下部軸受部17Bにより、軸線O回りに回転可能に支持されている。
クランクシャフト16は、クランクシャフト16の中心線に直交する方向にオフセットした偏心軸部14A、14Bを有している。これら偏心軸部14A、14Bがクランクシャフト16の中心軸線回りに旋回することで、上下のピストンロータ13A、13Bがこの旋回に追従してシリンダ12A、12B内で、偏心回転する。
クランクシャフト16は、上部軸受部17Aから上方(すなわち、圧縮機構部10Aから見てモータ18が位置する方向)に突出している。クランクシャフト16における軸線O方向一方側の端部には、該クランクシャフト16を回転駆動させるためのモータ18のロータ19Aが一体に設けられている。ロータ19Aの外周部に対向して、ステータ19Bが、ハウジング11の内周面に固定して設けられている。
圧縮機10には、圧縮機10への供給に先立って冷媒を気液分離するアキュムレータ24がステー25を介してハウジング11に固定されている。アキュムレータ24には、アキュムレータ24内の冷媒を圧縮機10に吸入させるための吸入管26A、26Bが設けられている。吸入管26A、26Bの先端部は、開口22A、22Bを通して、吸入ポート23A、23Bに接続されている。
圧縮機10は、アキュムレータ24の吸入口24aからアキュムレータ24の内部に冷媒を取り込む。具体的には、アキュムレータ24内で冷媒を気液分離して、その気相を吸入管26A、26Bから、シリンダ12A、12Bの吸入ポート23A、23Bを介し、シリンダ12A、12Bの内部空間である圧縮室R1、R2に供給する。
そして、ピストンロータ13A、13Bが偏心回転することにより、圧縮室R1、R2の容積が徐々に減少して冷媒が圧縮される。この冷媒は、モータ18の周囲を通過してから、上部に設けられた吐出口を経由して冷凍サイクルを構成する配管27に排出される。
モータ18は、軸線O回りに回転可能なロータ19Aと、軸線Oを中心としてロータ19Aを外周側から囲むステータ19Bと、を有している。ロータ19Aは、クランクシャフト16の上側の端部に設けられている。ロータ19Aは、内部に永久磁石を有し、その外形は軸線Oを中心とする略円柱状をなしている。
図2は、図1のA-A線における断面図であり、軸線O方向から見たステータ19Bの詳細な構成を示している。(なお、図2中では簡略化のために、ロータ19Aの図示を省略している。)同図に示すように、ステータ19Bは、ステータコア20及びコイル20Cを備えている。ステータコア20は、軸線Oを中心とした円筒状をなして外周面がハウジング11の内周面に固定されたヨーク20Aと、該ヨーク20Aの内周面から突出するようにヨーク20Aの周方向に互いに間隔をあけて複数形成されたティース20Bとを有する。ステータコア20は、電磁鋼板を上下方向に複数積層させることで構成されている。コイル20Cは各ティース20Bに対応するように複数設けられており、各ティース20Bに巻き掛けられている。これによってコイル20Cは、周方向に間隔をあけて複数が設けられている。
ヨーク20Aは、軸線O方向から見て、正多角形状をなしている。本実施形態におけるヨーク20Aは、正九角形状をなしている。ヨーク20Aの各頂角は、ハウジング11の内周面になじむように円弧状に面取りされている。この面取りされた部分は、ハウジング11の内周面に対して締まり嵌めされることで、当接部T1とされている。当接部T1は、ハウジング11に対してステータコア20を焼き嵌めすることによって形成される。すなわち、ハウジング11をバーナー等で熱して膨張させた状態とした上で、開口部からステータコア20を挿入する。このとき、当接部T1のハウジング11に対する締めしろ(すなわち、軸線Oの径方向における当接部T1の変形量)は、0.05mm以上である。なお、当接部T1を形成するに当たって、その方法は上記の焼き嵌めに限定されず、ステータコア20を冷却して収縮させた後でハウジング11内に挿入する、冷やし嵌めを用いることも可能である。
軸線O方向から見た場合における全て(9つ)の当接部T1の長さの合計(ハウジング11とヨーク20Aとの接触長さの合計)をLとし、ヨーク20Aの外径寸法をd1とした時、Lとd1との間には以下に示す(1)式の関係が成立している。なお、ここで言う外径寸法d1とは、図2に示すように、1つの当接部T1の最外周部と、軸線O(ヨーク20Aの中心)と、当該当接部T1に軸線Oを挟んで対向するハウジング11の内周面とを結ぶ直線の長さを指す。なお、図3中では、1つ当接部T1のみ図示し、当該1つの当接部T1の長さをL/9として表記している。すなわち、接触長さLは、9つの当接部T1の長さの合計値(L=L/9×9)となる。
0.1≦L/d1≦1.00 ・・・(1)
さらに、Lとd1の各値は、(2)式の関係を満たすことがより好ましい。
0.1≦L/d1≦0.35 ・・・(2)
加えて、Lとd1の各値は、(3)式の関係を満たすことが最も好ましい。
0.1≦L/d1≦0.18 ・・・(3)
また、ヨーク20Aの幅寸法(軸線Oの径方向における寸法)をwとした時、wと、上述の外径寸法d1との間には以下に示す(4)式の関係が成立している。
w/d1≦0.08 ・・・(4)
なお、wとd1の各値は、(5)式の関係を満たすことがより好ましい。
w/d1≦0.06 ・・・(5)
互いに隣り合う一対の当接部T1,T1同士の間の部分(正九角形の辺部)は、ハウジング11の内周面から離間することで、非当接部T2とされている。非当接部T2は、ヨーク20Aの外周部のうち、直線状をなす部分である。当接部T1と非当接部T2とは、互いに連続的に接続されている。言い換えると、当接部T1と非当接部T2との間には、段差等が形成されていない。非当接部T2と、これに対向するハウジング11の内周面の一部との間には、わずかな隙間が形成されている。この隙間は、圧縮機構部10Aで生成された高圧空気が上方に向かって流通するための流路となっている。
ティース20Bは、軸線Oの径方向に延びる略板状をなしている。ティース20Bは、ヨーク20Aと同一の材料によって一体に形成されている。ティース20Bの幅寸法(すなわち、軸線Oの周方向における寸法)は、軸線Oの径方向全域にわたって一定である。ティース20Bは、ヨーク20Aの内周面上で、軸線Oの周方向に等間隔をあけて複数設けられている。本実施形態に係るステータコア20は、9つのティース20Bを有している。各ティース20Bは、ヨーク20Aにおける非当接部T2の径方向内側に設けられている。言い換えると、軸線Oの周方向における当接部T1とティース20Bの位置は互いに異なっている。また、ティース20Bは、軸線O方向から見て、非当接部T2の中央部分に設けられている。
図3に示すように、ティース20Bの径方向外側の端部と、ヨーク20Aの接続部分には、軸線O方向から見て曲線状(円弧状)をなすアール区間Rが形成されている。アール区間Rの曲率半径は、1.5mm以下である。より好ましくは、アール区間Rの曲率半径は、0.5mm以下とされる。
ティース20Bの径方向内側の端部には、コイル20Cの銅線を保持するためのつば部Bが設けられている。つば部Bは、ティース20Bよりも大きな周方向寸法を有している。つば部Bの内周面は、上述のロータ19Aに対して隙間をあけて対向している。つば部Bの径方向内側の端面は、軸線Oの位置を中心とする円弧状をなしている。
ここで、ステータコア20の内径寸法をd2とした時、d2と上述の外径寸法d1との間には以下に示す(6)式の関係が成立している。なお、ここで言うステータコア20の内径寸法d2とは、複数のつば部Bの円弧がなす仮想円の直径を指す。
d2/d1≧0.44 ・・・(6)
なお、d1とd2の各値は、(7)式の関係を満たすことがより好ましい。
d2/d1≧0.58 ・・・(7)
さらに、ハウジング11の板厚をtとしたとき、tと、上述の外径寸法d1との間には以下に示す(8)式の関係が成立している。
t/d1≧0.03 ・・・(8)
上述の構成によれば、当接部T1の長さLと、ステータコア20の外径寸法d1との間には、(1)式、(2)式、又は(3)式の関係が成立している。これにより、当接部T1の長さが小さく抑えられることから、当該当接部T1がハウジング11から受ける圧縮応力を低減することができる。これにより、モータ18の駆動時にステータコア20で発生する鉄損を低減することができる。
上述の構成によれば、当接部T1の長さLを小さく抑え、隣接する非当接部T2の長さを大きく確保することができる。すなわち、非当接部T2と、これに対向するハウジング11の内周面の一部との間の隙間を大きくすることができる。この隙間は、圧縮機構部10Aで生成された高圧空気が上方に向かって流通するための流路となっている。したがって、高圧空気をより円滑に導くことができる。
上述の構成によれば、軸線Oの径方向におけるヨーク20Aの寸法をwとしたとき、(4)式又は(5)式の関係が成立している。これにより、ヨーク20Aの寸法が小さく抑えられることから、モータ18のスロット面積を大きく確保することができる。これにより、モータ18を高効率化することができる。なお、スロット面積とは、コイル20Cの全断面積のうち、銅線部分の占める断面積を指す。
上述の構成によれば、ヨーク20Aの内周面と、ティース20Bの端部との接続部に形成されるアール区間Rの曲率半径が小さく抑えられる。これにより、コイル20Cの巻き崩れを防ぐことができるとともに、スロット面積をさらに拡大し、モータ18の高効率化を図ることができる。
上述の構成によれば、ステータコア20の内径寸法をd2としたとき、(6)式又は(7)式の関係が成立している。ステータコア20の内径寸法が小さく抑えられることから、ロータ19Aの外径寸法を大きく確保することができる。さらに、スロット面積の拡大も図れることから、モータ18を高効率化することができる。
上述の構成によれば、ステータコア20のハウジング11に対する締めしろを大きく確保することができるため、ステータコア20をハウジング11に対してより強固かつ安定的に固定することができる。
上述の構成によれば、ハウジング11の板厚tを大きく確保することができるため、ハウジング11の強度や耐圧性をより大きくすることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明した。なお、上記の構成は一例であり、これに種々の変更を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では、ティース20Bが9つ設けられる構成について説明した。しかしながら、ティース20Bの数を9つに限定されず、設計や仕様に応じて種々の数を採ることが可能である。さらに、ヨーク20Aの形状は上記の正九角形状に限定されず、他の正多角形状をなしていてもよい。加えて、ヨーク20Aの形状は正多角形状には限定されず、不等辺多角形状をなしていてもよい。この場合、当接部T1ごとの、ハウジング11の内周面に対して接触する長さも不均一となるが、接触長さLの値としては、上記と同様に、全ての当接部T1の長さの合計値となる。
以下、本発明の実施例について、図4に示す表を参照して説明する。同表に示すように、発明者らは、当接部T1の接触長さLと、ステータコア20の外径寸法d1との比率(L/d1)の値を変化させて、焼き嵌め前と焼き嵌め後での鉄損、銅損、及びモータ効率の変化を調査した(ケース1~3)。
図4のケース1に比較例として示すように、L/d1が上述の(1)式の関係を満たさない場合(L/d1=1.36)、焼き嵌めを行う前における鉄損・銅損・モータ効率の各値を100%として、鉄損は160.3%となり、銅損は102.4%となった。さらに、モータ効率は98.5%となった。また、ケース2に比較例として示すように、L/d1=1.84の場合、鉄損は145.6%となり、銅損は105.3%となった。モータ効率は98.7%となった。
一方で、ケース3に示すように、L/d1が上述の(1)の関係を満たす場合(L/d1=0.34)、鉄損は106.4%となり、銅損は102.2%となった。モータ効率は99.8%となった。このように、ケース3では、ケース1,2に比して、鉄損、銅損、モータ効率のいずれも改善していることが分かる。すなわち、上述の(1)式の関係を満たすような構成を採ることで、鉄損、銅損を低減し、モータ効率が約1%も向上したモータ、及び圧縮機を得ることができることが分かった。
なお、近年におけるモータ効率の向上に際しては、1つの改善策によって得られる効率増加は、高々0.1~0.数%の範囲に留まることが一般的である。しかしながら、上述のように、上記実施形態、及び本比較例に係る構成によれば、約1%もの大幅なモータ効率向上を図ることができる。
10・・・圧縮機
10A・・・圧縮機構部
11・・・ハウジング
12A,12B・・・シリンダ
13A,13B・・・ピストンロータ
16・・・クランクシャフト
18・・・モータ
19A・・・ロータ
19B・・・ステータ
20・・・ステータコア
20A・・・ヨーク
20B・・・ティース
20C・・・コイル
22A、22B・・・開口
23A、23B・・・吸入ポート
24・・・アキュムレータ
25・・・ステー
26A、26B・・・吸入管
27・・・配管
B・・・つば部
O・・・軸線
R・・・アール区間

Claims (11)

  1. 軸線回りに回転可能なロータ、及び前記軸線を中心として前記ロータを外周側から囲むステータコアを有するモータと、
    前記モータによって駆動されて、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、
    前記モータ、及び前記圧縮機構部を覆うハウジングと、
    を備える圧縮機であって、
    前記ステータコアの外周面には、前記ハウジングの内周面に締まり嵌めされている複数の当接部と、それぞれ該当接部に隣接して設けられ、前記内周面から離間している複数の非当接部とが形成され、
    前記軸線方向から見た場合の前記複数の当接部の長さの合計をLとし、前記ステータコアの外径寸法をd1としたとき、(1)式の関係を満たし、
    前記ステータコアは前記軸線方向から見て正多角形状をなすとともに、その頂部が円弧状に面取りされることで前記当接部を形成し、該当接部と前記非当接部とは互いに連続的に接続されている圧縮機。
    0.1≦L/d1≦1.00 ・・・(1)
  2. 前記軸線方向から見た場合の前記複数の当接部の長さの合計をLとし、前記ステータコアの外径寸法をd1としたとき、(2)式の関係を満たす請求項1に記載の圧縮機。
    0.1≦L/d1≦0.35 ・・・(2)
  3. 前記軸線方向から見た場合の前記複数の当接部の長さの合計をLとし、前記ステータコアの外径寸法をd1としたとき、(3)式の関係を満たす請求項1又は2に記載の圧縮機。
    0.1≦L/d1≦0.18 ・・・(3)
  4. 前記ステータコアは、前記当接部及び前記非当接部を有する環状のヨークと、該ヨークの内周面から前記軸線の径方向内側に延びる複数のティースと、を有し、
    前記軸線の径方向における前記ヨークの寸法をwとしたとき、(4)式の関係を満たす請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮機。
    w/d1≦0.08 ・・・(4)
  5. 前記軸線方向から見た場合の、径方向に直交する方向における前記ヨークの長さをwとしたとき、(5)式の関係を満たす請求項4に記載の圧縮機。
    w/d1≦0.06 ・・・(5)
  6. 前記ステータコアは、前記当接部及び前記非当接部を有する環状のヨークと、該ヨークの内周面から軸線の径方向内側に延びるティースと、を有し、
    前記軸線方向から見て、前記ヨークの内周面と、前記ティースの径方向外側の端部との接続部には曲線状のアール区間が形成され、該アール区間の曲率半径が、1.5mm以下である請求項1から5のいずれか一項に記載の圧縮機。
  7. 前記アール区間の曲率半径が、0.5mm以下である請求項6に記載の圧縮機。
  8. 前記ステータコアの内径寸法をd2としたとき、(6)式の関係を満たす請求項1から7のいずれか一項に記載の圧縮機。
    d2/d1≧0.44 ・・・(6)
  9. 前記ステータコアの内径寸法をd2としたとき、(7)式の関係を満たす請求項8に記載の圧縮機。
    d2/d1≧0.58 ・・・(7)
  10. 前記ハウジングに対する前記ステータコアの締めしろが、0.05mm以上である請求項1から9のいずれか一項に記載の圧縮機。
  11. 前記ハウジングの板厚をtとしたとき、(8)式の関係を満たす請求項1から10のいずれか一項に記載の圧縮機。
    t/d1≧0.03 ・・・(8)
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