JP7067585B2 - 上吹きランスおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法 - Google Patents

上吹きランスおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7067585B2
JP7067585B2 JP2020087868A JP2020087868A JP7067585B2 JP 7067585 B2 JP7067585 B2 JP 7067585B2 JP 2020087868 A JP2020087868 A JP 2020087868A JP 2020087868 A JP2020087868 A JP 2020087868A JP 7067585 B2 JP7067585 B2 JP 7067585B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow rate
gas
control gas
oxygen
blowing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020087868A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020190029A (ja
Inventor
新吾 佐藤
新司 小関
典子 小澤
勝太 天野
幸雄 ▲高▼橋
信彦 小田
裕美 村上
操 浪川
誠 安藤
淳 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JP2020190029A publication Critical patent/JP2020190029A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7067585B2 publication Critical patent/JP7067585B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、反応容器に装入した溶鉄に酸素含有ガスを吹き付けて溶鉄に送酸精錬を施すための上吹きランスおよびその上吹きランスを用いた溶鉄の精錬方法に関する。
溶鉄の酸化精錬において、反応効率向上の観点から、上吹きランスから噴射される酸素含有ガスの溶鉄浴面での噴流流速とガス流量とを同時に制御できる実用的な送酸手段が求められている。
例えば、製鋼工程において、転炉に溶銑を収容して、溶銑の表面(湯面とも称する)の上方から上吹きランスを用いて酸化性ガスを供給することによって脱炭吹錬を行なうことが公知の技術として行われている。酸化性ガスとして酸素を含有するガス(酸素含有ガス)を使用するが、工業的には純酸素ガスが広く使用されている。酸素含有ガスを転炉内に供給することによって、転炉内に収容された溶銑中の炭素(C)と酸素含有ガス中の酸素(O)とを反応させて脱炭処理を行なう。
脱炭処理では、下記の(1)式で表わされるように溶銑中のCと酸素含有ガス中のOとが反応してCOを生成させる反応(以下、1次燃焼という)、および1次燃焼によって生成したCOと酸素含有ガス中のOとが反応してCOを生成させる下記の(2)式の反応(以下、2次燃焼という)が進行する。
C+1/2O→CO ・・・(1)
CO+1/2O→CO ・・・(2)
ここで、転炉内に供給された酸素含有ガス中のOのうち、2次燃焼に寄与する割合を2次燃焼率として下記の(3)式で定義する(ただし、右辺のCO、COはそれぞれ排ガス中のCO、COの体積である)。
2次燃焼率=CO/(CO+CO) ・・・(3)
なお、1次燃焼によって生じる反応熱と2次燃焼によって生じる反応熱とを比べると、2次燃焼の方が1次燃焼の約2.5倍である。したがって、2次燃焼率が低下すると、転炉上部の炉壁の温度が低下するので、炉壁上部に地金が付着しやすくなる。この状態で転炉の操業を継続すると、地金が蓄積されて、炉内容積が減少するばかりでなく、出鋼歩留りが低下する。その一方で、2次燃焼率を低下させ、(1)式で示す脱炭反応に利用される酸素量を増やすことで、吹錬時間の短縮を図ることができる。逆に、2次燃焼率を高くすると、発熱量が増大して炉内の温度が上昇するので、溶鋼への着熱が可能となり、地金を溶解することが可能となる。これらの1次燃焼、2次燃焼の制御は、上吹きランスから供給される酸素含有ガス噴流の流速を調節(低流速と、高流速)することによって行うことが一般的である。
また、製鋼工程では、転炉での製鋼スラグ発生量の低減や製鋼トータルコストの削減を図るために、転炉で脱炭吹錬する前に、溶銑中に含有するSiやPを予め酸化剤を用いて除去する方法がとられているが、その方法のひとつに、処理容器として転炉を用いた脱りん吹錬がある。
この転炉を用いた脱りん吹錬は、一般的には、脱炭吹錬と同様に、溶銑の湯面上方から上吹きランスを用いて酸素含有ガスを吹きつけながら、石灰等の精錬剤(以下、フラックスと称する)を溶銑に添加するものである。このときも、上吹きランスから供給される酸素含有ガス噴流の流速を調節することによって、脱りん吹錬時に生成するスラグ中のT.Fe濃度(トータル鉄分濃度)を制御する手法がとられる。
そして、上記のように、上吹きランスから供給される酸素含有ガス噴流の流速を調節する際には、溶銑の湯面位置での流速が、例えば、高流速の場合は低流速の場合の1.05倍以上になるようにすることが一般的である。そのために、酸素含有ガスの流量を変更したり、上吹きランスの高さ位置を変更したり、上吹きランスの先端に位置するノズルを交換したりすることが通常行われている。
吹錬中にノズル形状を制御する技術としては、例えば、特許文献1には、機械的にノズル形状を変える真空脱ガス槽内の上吹きランスの技術が開示されている。また、特許文献2には、上吹きランスのラバールノズルに別のラバールノズルを延長するように重ねることによって、噴流流速を変える技術が開示されている。
また、噴流制御のひとつにランスノズルの主噴流とは別の制御流の利用があげられる。例えば特許文献3には、流体噴出流路の側壁に制御ガス用の一対の開口部を設け、噴流方向を制御する方法が開示されている。
また、特許文献4には、筒状弁箱に装着した弾性シートリング内を円板状弁体の回転で開閉するバタフライバルブにおいて、前記弁体のオリフィス側とノズル側の外周縁にタイトシャット用の弁閉止部を形成し、オリフィス側の前記弁閉止部の下流側に向け、かつ、ノズル側の前記弁閉止部の上流側に向けて前記弾性シートリングに押圧接触する押圧弁部をそれぞれ形成し、オリフィス側の押圧弁部には、外周面から下流側に向けて流入する流入部を形成すると共に、前記押圧弁部の径を弁体の径よりも小さく形成したバタフライバルブとすることで、広い流量調節機能を有する流量調節弁が開示されている。
特開平8-260029号公報 特開2000-234115号公報 特開2005-113200号公報 特開2009-174719号公報
しかしながら、上記のようにして、酸素含有ガス噴流の流速を調節する従来の技術には、以下のような問題点がある。まず、酸素含有ガスの流量を変更する方法では、高流速にするために酸素含有ガスの流量を増加させると、脱炭反応や脱りん反応に直接は寄与しない余剰な酸素含有ガスが増加してしまい、反応効率が上がらないことに加え、コスト面でも不利になる。また、上吹きランスの高さ位置を変更する方法では、高流速にするために上吹きランスを溶銑の湯面に近づけると、湯面からのスプラッシュによって上吹きランス、特にランス先端のノズルが損傷する危険性がある。また、ノズルを交換する方法では、交換時間のために操業効率が低下する。
また、機械的にノズル形状を変える方法である特許文献1に開示の方法は、高温かつダストが発生する雰囲気下で機械的可動部を持つなどの点で実用的でない上、噴出孔が多数あるランスへの応用が困難という問題があった。また、ノズル内面の可動部によって断面積を縮小する場合、この段差部分において段差が生じるが、この段差の形状がガス流速に及ぼす影響も必ずしも明らかではなかった。また、特許文献2に開示の技術では、ランス内部の構造物を移動させるための駆動装置が必要となるほか機械的可動部を持つなどの点で実用的でない問題があった。また、特許文献3に開示の方法は、噴流方向の制御は達成できるものの、噴流の流速を増減させる制御には適用できない課題がある。また、特許文献4に開示の技術は、液体用の流量調節弁であり、ガス用には適用できない課題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、反応容器に装入した溶鉄に酸素含有ガスを吹き付けて行う精錬、例えば、溶鋼の脱炭精錬や溶銑の脱りん吹錬を行う際に1本のランスノズルを用いて、ランスノズルチップやランス高さ、酸素含有ガス流量を変更することなく、ランスノズルに機械的可動部を用いることなく、酸素含有ガス噴流の流速を制御し、歩留向上や高速吹錬を達成することができる上吹きランスノズルおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法を提供することを目的とする。
上記課題を有利に解決する本発明の上吹きランスは、反応容器に収容された溶鉄に酸素含有ガスを吹き付けるための上吹きランスであって、上記上吹きランスの外殻を貫通して、上記酸素含有ガスを噴射させる、1個以上の吹錬用主孔と、該吹錬用主孔の軸心に向けて制御用ガスを噴出させるために上記吹錬用主孔の内壁面に配置された開口部を有する制御用ガス供給路を有し、上記吹錬用主孔が入口から上記酸素含有ガスを供給するメイン酸素供給手段に接続され、上記制御用ガス供給路が上記制御用ガスを供給する制御用ガス供給手段に接続され、上記メイン酸素供給手段と上記制御用ガス供給手段は、異なったガス流量調整器を有し、上記制御用ガス供給手段は、流量調整範囲の異なる2以上の流量調整器を有することを特徴とする。
なお、本発明にかかる上吹きランスは、
a.上記制御用ガス供給手段の流量調整器のうち、流量調整範囲が隣り合う二つの流量調整器は、流量が大の流量調整器の流量調整範囲の最小値が、他方の流量調整器の流量調整範囲の中央値よりも大きく、かつ、双方の流量調整範囲が重なっていること、
b.上記制御用ガス供給手段の流量調整器のうち、流量が最小の流量調整器の流量調整範囲の最小値が、上記酸素含有ガスの流量と上記制御用ガスの流量との和の1%以上2%以下の範囲にあること、
などがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
上記課題を有利に解決する溶鉄の精錬方法は、上記上吹きランスを用いる溶鉄の精錬方法であって、上記制御用ガスの流量を、上記吹錬用主孔の入口から供給する上記酸素含有ガスの流量と上記制御用ガスの流量の和の1%以上とすることを特徴とし、溶鉄浴面での噴流流速を高める場合には、上記制御用ガスの流量を、上記吹錬用主孔の入口から供給する上記酸素含有ガスの流量と上記制御用ガスの流量の和の2%以上40%以下とすることが好ましい。
本発明によれば、上吹きランスの吹錬用主孔の内壁から噴出する制御ガスの流量を主孔に流すメインの酸素含有ガスの流量とは独立に、広い範囲で調整できることから、機械的可動部を用いることなく、主流の流路断面積を変更することが可能になり、主流の噴出流速を広い範囲で精度よく変更することが可能となる。また、地金付着で操業が阻害されやすい機械的なノズル形状変更方式によらずに流速変更が可能となる。その結果、この上吹きランスを用いて溶鉄の精錬を効率化でき、たとえば、脱炭精錬における脱炭速度が向上し、生産効率を改善することができる。
また、制御用ガスを常に少量流すことで、開口部の粉体詰まりを防止し、上吹きランスの寿命を向上させることができる。
本発明の実施形態における上吹きランス先端の縦断面を示す模式図である。 制御用ガス供給路の各種開口部形状毎の、制御用ガスの供給比率Qs/(Qm+Qs)と主孔ノズル出口から2mの位置での最大流速Vmaxとの関係を表すグラフである。
本発明は、反応容器に収容された溶鉄に酸素含有ガスを吹き付ける上吹きランスであって、該上吹きランスの外殻を貫通して、上記酸素含有ガスを噴射させる、1個以上の吹錬用主孔と、該吹錬用主孔の軸心に向けて制御用ガスを噴出させるために上記吹錬用主孔の内壁面に配置された開口部を有する制御用ガス供給路を有しており、上記吹錬用主孔に入口から上記酸素含有ガスを供給するメイン酸素供給手段が接続されており、上記制御用ガス供給路に上記制御用ガスを供給する制御用ガス供給手段が接続されており、メイン酸素供給手段と制御用ガス供給手段とで異なったガス流量調整器を有し、制御用ガス供給手段は流量調整範囲の異なる2以上のガス流量調整器を有し、上記制御用ガス供給路から供給する制御用ガス流量を調整することにより、上記吹錬用主孔に供給されたメイン酸素の流れを縮流し、該吹錬用主孔から噴射される噴流の吹錬用主孔出口から2mの位置での流速を、広い範囲で調整することができる上吹きランスである。また、制御用ガス供給路から微量のガスを流すことで主孔に酸素含有ガスとともに粉体等を吹き込んだ場合であっても、開口部の粉体詰まりを起こすことなく溶鉄の精錬を施すことができる方法である。
まず、本発明の原理について説明する。
流体現象を利用した素子のひとつに流体素子があるが、本発明の原理はこの流体素子を利用したものである。流体素子とは、噴流と側壁との干渉効果、噴流と噴流との衝突効果、渦により生じる流体現象、噴流自体の流速変動による効果によって得られる機能を利用する素子の総称であり、流体力学の分野で研究されている。例えば、噴流の流路の出口付近に、噴流と直角方向に制御用流体の供給口を配した形をとる。制御用流体の供給口から噴流へ流体を導入すると、制御用流体により噴流が縮流されて、噴流の一部の断面積が小さくなり、直線状の流路であってもラバールノズルの流路であるような挙動を示す。このため、流速が向上する。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態における転炉用上吹きランス1の先端の縦断面を示す模式図である。なお、図1では、上吹きランス1の下端部を示している。上吹きランス1は、酸素含有ガスを反応容器内湯面に向かって噴射する吹錬用主孔3を1個以上(ここでは、複数個)備えている。吹錬用主孔3内には、制御用ガスを噴出させるためにそれぞれの吹錬用主孔3の内壁面に配置された開口部41を有する制御用ガス供給路4を備えている。この制御用ガスは、吹錬用主孔3の軸心に向かって噴出させるように開口部41が構成されている。上吹きランス1は、冷却水循環路2を有している。なお、吹錬用主孔3に供給する酸素含有ガスは、例えば酸素ガスを用い、制御用ガスは、酸素含有ガスと同一のガスでもよいし、窒素ガスのような不活性ガスでもよい。
本発明では、図1に示すような上吹きランス1のノズル(吹錬用主孔3)内において、主流の進行方向に対して、別方向から制御ガスを主流に衝突させることにより、主流の流路を変更し、流速を制御するものである。この上吹きランス1には、吹錬用主孔3にメイン酸素供給路32を介して吹錬用主孔3の入口から酸素含有ガスを供給するメイン酸素供給手段(図示しない)が接続され、制御用ガス供給路4に制御用ガスを供給する制御用ガス供給手段(図示しない)が接続されている。これによって、この吹錬用主孔3では、制御用ガス供給路4の開口部41から供給された制御用ガスにより、吹錬用主孔3の入口から供給された酸素含有ガスが縮流されて、断面積が小さい部分が形成され、ラバールノズルのようになる。これにより、吹錬用主孔3の出口31で、吹錬用主孔3からの噴射ガス(酸素含有ガスと制御用ガスの混合ガス)の流速が上昇する。
図2に熱流体シミュレーションを用いて、図1の上吹きノズルの噴流流速を計算した結果を示す。本シミュレーションでは、300トン規模の転炉を模擬し、シミュレーションには汎用熱流体ソフトウェアであるSTAR-CCM+(Ver. 11.02)を用いた。吹錬用主孔をストレート形状で、その出口径を70mmとした。図2中記号で、制御用ガス供給路の開口部は、(a)幅2.5mmの全周スリット形、(b)16mmφ×2孔、(c)11.3mmφ×4孔および(d)8mmφ×8孔の場合を示す。ガス流量は、メインガス流量Qm(Nm/hr)と制御用ガス流量Qs(Nm/hr)の合計で45,000Nm/hrであり、図2の横軸は、制御用ガス流量比の百分率{Qs/(Qm+Qs)×100}である。図2の縦軸は、転炉湯面(吹錬用主孔3の出口31から2m噴出した位置)での噴射ガスの最大流速Vmax(m/s)である。
図2に示すように、制御用ガス流量比Qs/(Qm+Qs)を0~20%に流量調節することで、主孔から噴出するガスの転炉湯面到達の最大流速Vmaxを90~110m/s以上の範囲で調整できることが分かる。そのために、まず、メイン酸素供給手段と制御用ガス供給手段に異なったガス流量調整器を設置して、別個に流量調整する必要がある。なぜなら、メイン酸素と制御用ガスを一体としてガス流量調整した場合には、開口比に基づく、特定の制御ガス流量比でしか使用できないからである。
メイン酸素の流量調整範囲は、主孔から噴出する総ガス流量(Qm+Qs)に対し、60~100%であり、一般的な大流量用の精密ガス流量調整器を用いることができる。一方、制御用ガスの流量調整範囲は、主孔から噴出する総ガス流量(Qm+Qs)に対し、Q~40%とすることで、主孔から噴出する流速を幅広く制御することができる。ここでは、Qは制御可能な最小のガス流量に対応する制御用ガス流量比とする。一般的な大流量用の精密ガス流量調整器の流量調整範囲は、1:10程度である。上吹きガスの噴出流速を広く制御するためには、最小の制御用ガス流量比Qを2%以下とする必要があるが、そのためには、流量調整範囲の異なるガス流量調整器を2個以上設置する必要がある。また、酸素含有ガスと同時に粉体を上吹きランスの主孔から噴射する場合には、制御用ガス供給路4の開口部41が粉体詰まりするのを防止する観点から、最小の制御用ガス流量比Qを1%以上とすることが好ましい。したがって、制御用ガス供給手段の流量調整器のうち、流量が最小の流量調整器の流量調整範囲の最小値が、酸素含有ガスの流量と制御用ガスの流量との和の1%以上2%以下の範囲にあることが好ましい。そうすることで、粉体詰まりを防止するとともに、溶鉄浴面での噴流流速を高める機能を同時に有する上吹きランスを構成する流量調整器となるからである。
制御用ガス供給手段に設置する複数の流量調整器のうち、流量調整範囲が隣り合う2個の流量調整器として、流量が大の流量調整器の流量調整範囲の最小値を、他方の流量調整器の流量調整範囲の中央値より大きくし、かつ、互いの流量調整範囲が重なるようにするのが好ましい。例えば、前述のシミュレーション条件において、流量が大の流量調整器の流量調整範囲を、1,000~10,000Nm/hrとし、流量が小の流量調整器の流量調整範囲を150~1,500Nm/hr(中央値825Nm/hr)とすれば、制御用ガス流量比を、0.3%~22.2%の範囲で連続して調節できる。
図1のような上吹きランスを用いて、溶鉄を精錬する場合には、制御用ガスとして、吹錬用主孔に流す総ガス流量(Qm+Qs)の1%以上のガスを流すことが好ましい。制御用ガスを流さず、制御用ガス供給手段で制御用ガスの供給を止めると、溶鉄の精錬時に主孔内のメイン酸素が制御用ガス供給路に逆流し、主孔からの酸素ガス噴射挙動が不安定になるおそれがある。また、上吹きランスから酸素含有ガスとともに石灰等の粉体を吹き込む場合には、制御用ガスの供給を止めてしまうと、開口部に粉体が詰まって閉塞するおそれがある。なお、溶鉄浴面での噴流流速を高める場合には、前記制御用ガスの流量を、前記吹錬用主孔に流す総ガス流量(Qm+Qs)の2%以上40%以下とすることが好ましく、2%以上20%以下とすることがさらに好ましい。
制御用ガスを調整する時期は、脱炭処理(脱炭吹錬)、脱りん処理(脱りん吹錬)ともに、全処理時間の一部時間(処理前半、処理中間、処理後半のいずれか1つ以上)でもかまわない。ただし、全処理時間中最小限の制御用ガスを流すことが必要である。本発明は、転炉脱炭処理や脱りん処理に限らず、転炉脱Si、電気炉、真空脱ガス等、上吹きで精錬を行う方式であればどのようなプロセスにも適用可能である。
本発明の効果を確認するため、容量250トン規模の転炉を模擬した熱流体シミュレーションを実施した。シミュレーションには汎用熱流体ソフトウェアであるSTAR-CCM+(Ver. 11.02)を用いた。
吹錬用主孔3をストレート形状で、管径=出口径(Dm)を70mmとし、制御用ガス供給路4の開口部41は全周スリット型とし、その幅を2.5mmとした。吹錬用主孔から流すメイン酸素ガスと制御用ガスを一体として流量調節した場合には、総酸素流量(Qm+Qs):35,000~45,000Nm/hrの範囲において、制御用ガス流量比の百分率{Qs/(Qm+Qs)×100}が10~20%の範囲に固定される。
実施例1に記載の条件の上ノズルを250トン転炉用に設計し、実操業において、酸素ガスとともに、粉石灰を吹き込む実験を行った。本実施例では、メイン酸素ガスと制御用ガスを異なる流量調整器で制御した。また、制御用ガス供給手段として、流量調整範囲の異なる2個の流量調整器を用い、流量が小の流量調整器の流量調整範囲の最小値を総酸素ガス流量の1%とした。総酸素ガス流量45,000Nm/hrとし、脱炭精錬末期に制御用ガス流量比15%とした。発明例では、脱炭初期および中期には、制御用ガス流量比を2%に維持し、比較例では制御用ガスの供給を止めた。粉石灰は、処理中400kg/minで脱炭初期および中期の期間に酸素とともに上吹きランスから吹き付けた。
制御用ガスを吹き込まなかった場合には、2チャージ後にノズル閉塞が発生し、制御用ガスを吹き込むことができなくなった。それに対し、制御用ガスを流量比2%で流した発明例では30チャージ後もノズル閉塞なく制御用ガスを調整することができた。
上記実施例は、溶鋼の脱炭精錬における脱炭末期への適用例を示したが、本発明のノズルは、主流の流速制御を必要とする上吹き精錬のいずれに適用しても好適である。
1 上吹きランス
2 ノズル
3 吹錬用主孔
31 吹錬用主孔の出口
32 メイン酸素供給路
4 制御用ガス供給路
41 制御用ガス供給路の開口部

Claims (4)

  1. 反応容器に収容された溶鉄に酸素含有ガスを吹き付けるための上吹きランスであって、
    前記上吹きランスの外殻を貫通して、前記酸素含有ガスを噴射させる、1個以上の吹錬用主孔と、
    該吹錬用主孔の軸心に向けて制御用ガスを噴出させるために前記吹錬用主孔の内壁面に配置された開口部を有する制御用ガス供給路を有し、
    前記吹錬用主孔が入口から前記酸素含有ガスを供給するメイン酸素供給手段に接続され、
    前記制御用ガス供給路が前記制御用ガスを供給する制御用ガス供給手段に接続され、
    前記メイン酸素供給手段と前記制御用ガス供給手段は、異なったガス流量調整器を有し、
    前記制御用ガス供給手段は、流量調整範囲の異なる2以上のガス流量調整器を有し、
    前記制御用ガス供給手段のガス流量調整器のうち、流量調整範囲が隣り合う二つのガス流量調整器は、流量が大のガス流量調整器の流量調整範囲の最小値が、他方のガス流量調整器の流量調整範囲の中央値よりも大きく、かつ、双方の流量調整範囲が重なっていることを特徴とする上吹きランス。
  2. 前記制御用ガス供給手段のガス流量調整器のうち、流量が最小のガス流量調整器の流量調整範囲の最小値が、前記酸素含有ガスの流量と前記制御用ガスの流量との和の1%以上2%以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の上吹きランス。
  3. 請求項1または2に記載の上吹きランスを用いる溶鉄の精錬方法であって、
    前記制御用ガスの流量を、前記吹錬用主孔の入口から供給する前記酸素含有ガスの流量と前記制御用ガスの流量の和の1%以上とすることを特徴とする溶鉄の精錬方法。
  4. 前記制御用ガスの流量を、前記吹錬用主孔の入口から供給する前記酸素含有ガスの流量と前記制御用ガスの流量の和の2%以上40%以下とすることを特徴とする請求項に記載の溶鉄の精錬方法。
JP2020087868A 2019-05-20 2020-05-20 上吹きランスおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法 Active JP7067585B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019094206 2019-05-20
JP2019094206 2019-05-20

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020190029A JP2020190029A (ja) 2020-11-26
JP7067585B2 true JP7067585B2 (ja) 2022-05-16

Family

ID=73453448

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020087868A Active JP7067585B2 (ja) 2019-05-20 2020-05-20 上吹きランスおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7067585B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000234116A (ja) 1998-12-15 2000-08-29 Nippon Steel Corp 転炉吹錬用ラバールノズル及びそれを使った操業方法
JP2004156083A (ja) 2002-11-05 2004-06-03 Jfe Steel Kk Rh脱ガス設備での酸素含有ガス上吹き装置および低炭素高マンガン鋼の精錬方法
US20070057417A1 (en) 2005-09-09 2007-03-15 Michael Strelbisky Metallurgical lance with annular gas flow control
JP2007077489A (ja) 2005-09-16 2007-03-29 Jfe Steel Kk 上吹きランスおよびそれを用いた転炉操業方法
JP2010047830A (ja) 2008-07-22 2010-03-04 Jfe Steel Corp 転炉操業方法
JP2012082492A (ja) 2010-10-14 2012-04-26 Jfe Steel Corp 転炉精錬方法
CN203393183U (zh) 2013-07-22 2014-01-15 杭州杭真真空工程技术有限公司 一种钢包底部吹氩控制装置
CN205999411U (zh) 2016-08-31 2017-03-08 中冶赛迪工程技术股份有限公司 一种氧枪枪头

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08269530A (ja) * 1995-04-03 1996-10-15 Kawasaki Steel Corp 上吹きランス

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000234116A (ja) 1998-12-15 2000-08-29 Nippon Steel Corp 転炉吹錬用ラバールノズル及びそれを使った操業方法
JP2004156083A (ja) 2002-11-05 2004-06-03 Jfe Steel Kk Rh脱ガス設備での酸素含有ガス上吹き装置および低炭素高マンガン鋼の精錬方法
US20070057417A1 (en) 2005-09-09 2007-03-15 Michael Strelbisky Metallurgical lance with annular gas flow control
JP2007077489A (ja) 2005-09-16 2007-03-29 Jfe Steel Kk 上吹きランスおよびそれを用いた転炉操業方法
JP2010047830A (ja) 2008-07-22 2010-03-04 Jfe Steel Corp 転炉操業方法
JP2012082492A (ja) 2010-10-14 2012-04-26 Jfe Steel Corp 転炉精錬方法
CN203393183U (zh) 2013-07-22 2014-01-15 杭州杭真真空工程技术有限公司 一种钢包底部吹氩控制装置
CN205999411U (zh) 2016-08-31 2017-03-08 中冶赛迪工程技术股份有限公司 一种氧枪枪头

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020190029A (ja) 2020-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1873287B (zh) 在气流中引起涡旋
CN108699614B (zh) 真空脱气设备中的钢液的精炼方法
JP5449149B2 (ja) シャフト炉および炉を操作する方法
JP7067585B2 (ja) 上吹きランスおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法
JP4742770B2 (ja) 上吹きランスおよびそれを用いた転炉操業方法
US6709630B2 (en) Metallurgical lance and apparatus
JP2019203169A (ja) 精錬用ランス、精錬用ランス装置、及びrh型精錬装置
US20090229416A1 (en) Refining Molten Metal
JP4032930B2 (ja) Rh脱ガス設備での酸素含有ガス上吹き装置および低炭素高マンガン鋼の精錬方法
JP7003947B2 (ja) 上吹きランスおよび溶鉄の精錬方法
WO1997008348A1 (fr) Procede et dispositif d'affinage sous vide d'acier en fusion
JP4206736B2 (ja) 上吹きランスとそれを用いた転炉操業方法
JP2020190001A (ja) 上吹きランスおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法
JP7036147B2 (ja) 上吹きランスおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法
JP4980175B2 (ja) 溶鉄精錬用ランスおよび溶鉄精錬方法
JP3547246B2 (ja) 溶鉄精錬用ランスおよび溶鉄精錬方法
JP2023081327A (ja) 精錬用ランス及び溶鉄の精錬方法
JP5412756B2 (ja) 転炉操業方法
JP2010047830A (ja) 転炉操業方法
JP2012097335A (ja) 溶融金属減圧精錬用ノズル
CN207738801U (zh) 一种双流道设计rh精炼炉顶吹喷头
JP4470673B2 (ja) 溶鋼の真空脱炭精錬方法
KR20180094236A (ko) 용강 이송 장치
KR19980052518A (ko) 극저탄소강을 제조하기 위한 용강의 정련방법
KR100398380B1 (ko) 극저탄소강 제조를 위한 용강정련방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7067585

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150