JP7067298B2 - 活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク、収容容器、像形成装置、及び像形成方法 - Google Patents
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本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線を照射することで活性エネルギー線硬化型組成物中の重合性成分が重合して硬化物を形成する液体の組成物であり、例えば、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクなどが挙げられる。
活性エネルギー線としては、活性エネルギー線硬化型組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線等が挙げられる。これらの中でも紫外線であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型組成物は、メタクリル基を有する第一の重合性化合物、重合開始剤、下記一般式(1)で表される化合物、エチレン性不飽和二重結合を有する第二の重合性化合物、及びチオール化合物を含む。また、必要に応じて、色材、有機溶媒、その他の成分などを含む。
第一の重合性化合物は、メタクリル基を有する重合性化合物であるメタクリレートである。メタクリル基を有する重合性化合物は、一般に、アクリロイル基を有する重合性化合物であるアクリレートに比べて、皮膚感作性、皮膚刺激性等の安全性が高いが、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性が低くなる傾向にある。しかし、本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物であれば、メタクリル基を有する重合性化合物を用いたとしても活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性を向上させることができるため好ましい。
なお、第一の重合性化合物の含有量および第二の重合性化合物の合計含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の全量に対して、60.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以上80.0質量%以下であることがより好ましい。
重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、塩基発生剤等、及びこれらを1種単独もしくは2種以上を組み合わせた重合開始剤を挙げることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤の含有量は、第一の重合性化合物の含有量および第二の重合性化合物の合計含有量に対し、1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機ホスフィン化合物に含まれる下記一般式(1)で表される化合物を含有する。下記一般式(1)で表される化合物は、活性エネルギー線硬化型組成物が硬化するときに、酸素による硬化反応の阻害を抑制することができ、それにより硬化物の表面硬化性を向上させることができる。
第二の重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を有し、第一の重合性化合物とは異なる種類の重合性化合物である。第二の重合性化合物は第一の重合性化合物に比べてラジカル重合性が低いものの、チオールとの間で生じるエン-チオール反応の反応性が高いため、第二の重合性化合物を含まない場合に比べて活性エネルギー線硬化型組成物全体としての硬化性を向上させることができる。また、チオールとの間で生じるエン-チオール反応は、ラジカル重合に比べて硬化収縮を抑制することができるため、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物の記録媒体に対する密着性を向上させることができる。
また、第二の重合性化合物としては、ビニルエーテル基を有する化合物であることが好ましい。ビニルエーテル基を有することで、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性をより向上させることができる。
本実施形態においてチオール化合物は、チオール(-SH)を有する。また、チオール(-SH)を2つ有する2価の化合物であることが好ましい。2価のチオールは、1価のチオールを用いた場合に比べて硬化性が高く、3価以上のチオールを用いた場合に比べて活性エネルギー線硬化型組成物の保存安定性が向上する。
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1~20質量%であることが好ましい。なお、本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3~40mPa・sが好ましく、5~15mPa・sがより好ましく、6~12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本実施形態は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
本実施形態の収容容器は、活性エネルギー線硬化型組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、または容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
本実施形態の像形成方法は、活性エネルギー線硬化型組成物を活性エネルギー線で硬化させるために、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本実施形態の像形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、収容部には上記の収容容器を収容していてもよい。さらに、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、セラミックスやガラス、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、ダンボール、壁紙や床材等の建材、コンクリート、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本実施形態のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。一部に立体感のある画像や立体物としては、例えば、立体物である硬化物の表面が加飾されている加飾体などを含む。
(実施例1)
以下の各材料を順に添加して2時間撹拌し、目視にて溶解残りがないことを確認した後、メンブランフィルターでろ過して粗大粒子を除去し、活性エネルギー線硬化型組成物を作製した。
・メタクリル基を有する第一の重合性化合物(上記構造式(A-1)で表される化合物、商品名:SR-350、アルケマ社製) 80.0質量部
・重合開始剤(上記構造式(B-1)で表される化合物、商品名:Irgacure907、BASF社製) 10.0質量部
・一般式(1)で表される化合物(上記構造式(C-1)で表される化合物、商品名:T0519、東京化成工業社製) 10.0質量部
・エチレン性不飽和二重結合を有する第二の重合性化合物(上記構造式(D-1)で表される化合物、商品名:D0498、東京化成工業社製) 20.0質量部
・チオール化合物(上記構造式(E-1)で表される化合物、商品名:カレンズMT BD1、昭和電工社製) 5.0質量部
実施例1において、下記表1の組成及び含有量(質量部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ活性エネルギー線硬化型組成物を作製した。なお、表1中の各構造式を表している符号は、上記例示した構造式の符号と一致する。
・構造式(A-5)で表される化合物(開発品、株式会社リコー社製)
・構造式(A-6)で表される化合物(商品名:2G、新中村化学社製)
・構造式(A-7)で表される化合物(商品名:P1513、東京化成工業社製)
・構造式(A-8)で表される化合物(商品名:729833、Aldrich社製)
・構造式(A-10)で表される化合物(商品名:VEEA、日本触媒社製)
・構造式(B-4)で表される化合物(商品名:LUCIRIN TPO、BASF社製)
・構造式(C-5)で表される化合物(商品名:B1137、東京化成工業社製)
・構造式(C-6)で表される化合物(商品名:325-22302、和光純薬社製)
・構造式(D-2)で表される化合物(商品名:DVE3、BASF社製)
・構造式(D-4)で表される化合物(商品名:A1188、東京化成工業社製)
・構造式(D-5)で表される化合物(商品名:D2146、東京化成工業社製)
・構造式(E-3)で表される化合物(商品名:PEMP、SC有機化学社製)
・構造式(E-6)で表される化合物(商品名:B3423、東京化成工業社製)
・構造式(E-8)で表される化合物(商品名:O0025、東京化成工業社製)
・構造式(F-1)で表される化合物(商品名:CN371、アルケマ社製)
・構造式(F-2)で表される化合物(ホスファイト、商品名:T0510、東京化成工業社製)
・Blue(カラー顔料、MICROLITH Blue 4G-K、チバ・ジャパン株式会社製)
記録媒体(ポリカーボネートフィルム(PC)、厚み100μm、商品名:ユーピロン100FE2000マスキング、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)に対し、得られた活性エネルギー線硬化型組成物を塗布して塗布物を作製し、USHIO製メタルハライドランプを用いて紫外線を照射し、平均厚みが10μmである硬化物を得た。このとき、粘着性のない硬化物にするために必要な照射量(mJ/cm2)を測定することで硬化性を評価した。なお、照射量が2500mJ/cm2以下である場合を実用可能であると判断した。また、照射量の測定は、紫外線照度計(UV-PowerPuck:EIT社製)を使用した。また、平均厚みの測定方法としては、電子マイクロメーター(アンリツ株式会社製)を用いて厚み測定し、10点の厚みの平均値より求めた。
得られた活性エネルギー線硬化型組成物の臭気性を、次の(1)~(3)の手順に従い、下記の評価基準に基づいて評価した。評価がB以上である場合を実用可能であると判断した。
(1)50ccのサンプル瓶(ガラス瓶)に、約100mg(0.1g)の各活性エネルギー線硬化型組成物を量り取り、フタをした。
(2)室温条件下で、約30分放置した。
(3)サンプル瓶(ガラス瓶)に鼻を近づけて、フタを開けた時の臭気を嗅いだ。
-評価基準-
A:臭いを感じないか、感じても不快ではない場合
B:特有の臭気により不快感が生じる場合
C:特有の臭気により強い不快感が生じる場合
まず、上記の硬化性の評価と同様の手順で塗布物を得た。次に、得られた塗布物に対し、USHIO製メタルハライドランプを用いて、照射量が6000mJ/cm2になるように紫外線を照射して硬化処理を行い、平均厚みが10μmである硬化物を得た。
次に、得られた硬化物について、JIS K5600-5-6のクロスカット法の評価方法、及び評価基準に従って密着性を評価した。評価基準は0から5まで6段階あり、0が最も優れる評価結果を示す。評価が3以上である場合を実用可能であると判断した。
実施例1および7の活性エネルギー線硬化型組成物をそれぞれサンプルビンに入れ、60℃のオーブンに一週間静置し、静置前後のゲル化有無を評価した。
比較例1の活性エネルギー線硬化型組成物は、メタクリル基を有する第一の重合性化合物、及び重合開始剤のみ用いた組成物であるため、硬化性、及び密着性が劣る。
比較例2の活性エネルギー線硬化型組成物は、メタクリル基を有する第一の重合性化合物、重合開始剤、エチレン性不飽和二重結合を有する第二の重合性化合物、及びチオール化合物を含むが、一般式(1)で表される化合物を含まない組成物であるため、硬化性が劣る。
比較例3の活性エネルギー線硬化型組成物は、メタクリル基を有する第一の重合性化合物、重合開始剤、一般式(1)で表される化合物を含むが、エチレン性不飽和二重結合を有する第二の重合性化合物、及びチオール化合物を含まない組成物であるため、密着性が劣る。
比較例4の活性エネルギー線硬化型組成物は、メタクリル基を有する第一の重合性化合物、重合開始剤、エチレン性不飽和二重結合を有する第二の重合性化合物、及びチオール化合物を含むが、一般式(1)で表される化合物を含まず、一般式(1)で表される化合物の代わりに構造式(F-2)のようなホスファイトを含む組成物であるため、臭気性が劣る。
実施例1~3の活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェット吐出手段を備えた像形成装置(株式会社リコー製、ヘッド:リコープリンティングシステムズ社製GEN4)にインクジェット用インクとしてそれぞれ装填し、市販のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、E5100、厚み100μm)上に、インクを吐出し、平均厚み10μmのベタ塗膜を形成した。次に、このベタ塗膜に対し、UV照射機(LH6、フュージョンシステムズジャパン社製)により、0.2W/cm2の照度で紫外線を照射して硬化させた。
その結果、いずれのインクジェット用インクも低粘度(60℃で12mPa・s~15mPa・s)であり、インク吐出性は良好であり、硬化性も良好であった。
Claims (8)
- 前記チオール化合物は2価である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク。
- 前記一般式(1)は、トリフェニルホスフィンである請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク。
- 前記第二の重合性化合物は、ビニルエーテル基を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク。
- 前記第一の重合性化合物の含有量は、前記第二の重合性化合物の含有量に対して、質量比で2.0以上10.0以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクが収容された収容容器。
- 請求項6に記載の収容容器と、前記収容容器に収容された前記活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクを吐出する吐出手段と、前記吐出された前記活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクに対して前記活性エネルギー線を照射する照射手段と、を有する像形成装置。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクを吐出する吐出工程と、前記吐出された前記活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクに対して前記活性エネルギー線を照射する照射工程と、を有する像形成方法。
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