JP7051047B2 - 硬化型組成物、及び硬化物 - Google Patents

硬化型組成物、及び硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP7051047B2
JP7051047B2 JP2018023952A JP2018023952A JP7051047B2 JP 7051047 B2 JP7051047 B2 JP 7051047B2 JP 2018023952 A JP2018023952 A JP 2018023952A JP 2018023952 A JP2018023952 A JP 2018023952A JP 7051047 B2 JP7051047 B2 JP 7051047B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylate
meth
group
mass
curable composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018023952A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018159056A (ja
Inventor
友樹 松下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to US15/923,659 priority Critical patent/US10577514B2/en
Publication of JP2018159056A publication Critical patent/JP2018159056A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7051047B2 publication Critical patent/JP7051047B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、硬化型組成物、及び硬化物に関する。
従来より、硬化型組成物は、オフセット印刷用インク、シルクスクリーン印刷用インク、トップコート剤などとして供給、使用されており、乾燥工程の簡略化によるコストダウンや、環境対応として溶剤の揮発量低減などのメリットから近年使用量が増加している。
硬化型組成物としては、重合性化合物および重合開始剤を含むものが一般的である(例えば、特許文献1等参照)。また、光重合性組成物に樹脂成分を配合する技術も提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
前記樹脂成分を光重合性組成物に配合することの利点の一つとして、光重合性組成物が浸透しにくい比較的平滑なプラスチック材料等の基材に対しても画像または硬化物の密着性を確保できる点がある(例えば、特許文献3等参照)。
しかし、樹脂成分を含有した溶液は曵糸性を有しており、これによって組成物を吐出させた際に綺麗な液滴にならず、尾を引いてしまうような飛翔形態を生じる(いわゆるリガメントが長い状態)。リガメントが長い状態では、尾の後端部分が切れ、ミスト化することにより、狙った着弾位置から外れてしまい、画像が汚れてしまう問題や、高周波での吐出の際に不吐出になってしまうといった問題が懸念される。このような問題はリガメントの長さが短ければ短いほど発生しにくいが、リガメントの長さが60μs以上であると顕著に見られる。
従来技術では、吐出性に優れ、難接着性基材やガラスに対する密着性にも優れた、樹脂成分を配合してなる硬化型組成物は見出されていない。
本発明の目的は、吐出性に優れ、難接着性基材やガラスに対する密着性にも優れる硬化型組成物を提供することにある。
上記課題は、下記[1]の構成により解決される。
[1]重合性化合物と樹脂とを含む硬化型組成物であって、
前記重合性化合物として、
ジエチレングリコールジメタクリレートと、
OH基を有する単官能(メタ)アクリレートと、を含み、
前記樹脂として、下記の(1)及び(2)の条件を満たす樹脂を用いる
硬化型組成物。
(1)前記ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および前記樹脂30質量部からなる混合溶液の25℃での粘度が、前記ジエチレングリコールジメタクリレート単独の25℃での粘度の15倍以上27倍以下である。
(2)前記ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および前記樹脂30質量部からなる混合溶液の、パルスNMR解析のCPMG法によって得られたスピン-スピン緩和時間が240ms以下である。
本発明によれば、吐出性に優れ、難接着性基材やガラスに対する密着性にも優れる硬化型組成物が提供される。
本発明における像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明における別の像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である。
本発明は、下記[1]の硬化型組成物に係るものであるが、下記[2]~[10]を発明の実施形態として含むのでこれらについてもあわせて説明する。
[1]重合性化合物と樹脂とを含む硬化型組成物であって、
前記重合性化合物として、
ジエチレングリコールジメタクリレートと、
OH基を有する単官能(メタ)アクリレートと、を含み、
前記樹脂として、下記の(1)及び(2)の条件を満たす樹脂を用いる
硬化型組成物。
(1)前記ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および前記樹脂30質量部からなる混合溶液の25℃での粘度が、前記ジエチレングリコールジメタクリレート単独の25℃での粘度の15倍以上27倍以下である。
(2)前記ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および前記樹脂30質量部からなる混合溶液の、パルスNMR解析のCPMG法によって得られたスピン-スピン緩和時間が240ms以下である。
[2]前記ジエチレングリコールジメタクリレート、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび前記樹脂の総量を100質量部としたとき、前記樹脂がそのうちの5~20質量部を占める前記[1]に記載の硬化型組成物。
[3]前記ジエチレングリコールジメタクリレート、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび前記樹脂の総量を100質量部としたとき、前記樹脂がそのうちの10~20質量部を占める前記[1]または[2]に記載の硬化型組成物。
[4]前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートが下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を含む前記[1]~[3]のいずれかに記載の硬化型組成物。
CH2=CR1-COOR2-OH 一般式(1)
CH2=CR1-COO-CH23(OH)-CH3 一般式(2)
上記式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1~4のアルキレン基であり、R3(OH)は炭素数1~4のヒドロキシアルキレン基である。
[5]前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートまたは4-ヒドロキシブチルアクリレートである前記[1]~[4]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[6]前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートは環構造を有する前記[1]~[3]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[7]前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートが下記一般式(3)で表される化合物を含む前記[6]に記載の硬化型組成物。
CH2=CR1-COO-CH2C(OH)R4-R5-O-R6 一般式(3)
上記式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R4は水素原子またはメチル基であり、R5は炭素数1~4のアルキレン基であり、R6はフェニル基または炭素数3~12のシクロアルキル基である。
[8]前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートは2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートである前記[6]または[7]に記載の硬化型組成物。
[9]前記ジエチレングリコールジメタクリレート、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび前記樹脂の総量を100質量部としたとき、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートがそのうちの10~60質量部を占める前記[1]~[8]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[10]前記[1]~[9]のいずれかに記載の硬化型組成物の硬化物。
本発明の硬化型組成物が吐出性に優れる理由は次のように推測される。
前記(1)の条件において、前記混合溶液がジエチレングリコールジメタクリレート単独の粘度の15倍以上である場合、換言すれば、ジエチレングリコールジメタクリレートに樹脂を所定量加えた際の粘度上昇がジエチレングリコールジメタクリレート単独の粘度の15倍以上となる場合、その樹脂の分子は、ジエチレングリコールジメタクリレートとの相互作用により縮まらずに広がって溶けることになる。そのため、吐出時に伝わる力を樹脂分子全体で受けやすくなり、安定して吐出されるものと推定される。なお、前記粘度上昇が27倍を超えると、粘度が高くなりすぎて例えばインクジェット用インクとして適切な粘度範囲に収まらず吐出することができなくなる恐れがある。
前記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を25℃に設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
前記(2)の条件において、スピン-スピン緩和時間が240ms以下であればジエチレングリコールジメタクリレートと樹脂との親和性が良好であり、吐出性が向上する。緩和時間が240msを超えると、分子運動性が高く、それが原因で吐出性が悪化する。スピン-スピン緩和時間は、180ms以上240ms以下が好ましい。
前記(2)の条件において、ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および樹脂を30質量部加えた混合液とすることにより、スピン-スピン緩和時間による差が顕著に見られる。
パルスNMR解析は公知であり、分子運動性と密接な関係のある1H核の緩和時間(スピン-格子緩和時間(T1)、およびスピン-スピン緩和時間(T2))を迅速に測定できる手法であり、近年その使用が急速に広がっている。パルスNMR解析としては、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)、ハーンエコー法、ソリッドエコー法、90゜パルス法等が知られているが、本発明では長いT2の測定に適するCPMG法を用いる。パルスNMR解析のCPMG法によれば、NMR管に入れた溶液に高周波磁場をパルスとして印加することで磁化ベクトルを倒し、そのx,y成分が消滅するまでの時間(=緩和時間)から溶液中の分子の運動性を評価することができる。
本発明におけるスピン-スピン緩和時間の測定方法の詳細を以下に記載する。
装置として、Bruker社製パルスNMR;Minispec mqシリーズを用いる。
ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および樹脂30質量部からなる混合溶液を調製し、その1mlを直径10mmのNMR管に量り取る。
そのNMR管を装置にセットして5秒後に測定を開始する。測定は下記の条件で3回行い、温度が安定している2回目と3回目の平均値を用いる。
First90°Pulse Separation:0.01msec
Final Pulse Separation:0.2msec
Number of Data Poin for Fitting:3000points
Cumulated number:32times
Temperature:25℃
得られた減衰曲線から、ORIGIN8.5(OriginLab社製)のexponential近似を用いることで、スピン-スピン緩和時間を(T2)算出する。
スピン-スピン緩和時間は、分子運動性が低いほど短く、分子運動性が高いほど長いことが知られている。
<ジエチレングリコールジメタクリレート>
本発明の硬化型組成物は、ジエチレングリコールジメタクリレートの使用を必須とし、これにより、組成物を低粘度化し、難接着性基材に対する密着性を向上させ、硬化性に優れるとともに、硬化物の強度も向上させることができる。
なお本発明では、他のモノマー成分としてジエチレングリコールジメタクリレート以外の(メタ)アクリレートを必要に応じて使用することもできる。
このような他のモノマー成分としてはとくに制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトンアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、プロピレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルオキセタンメチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどが挙げられる。
ジエチレングリコールジメタクリレートの配合量は、硬化型組成物全体に対し、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がさらに好ましい。
<OH基を有する単官能(メタ)アクリレート>
本発明で使用される(メタ)アクリレートは、OH基を有する単官能であることにより、ガラスへの密着性が良好になる。その理由は次のように推察される。OH基を有することで極性が増し、極性基材であるガラスに対して密着性が増す。さらに、単官能であることにより、硬化収縮が小さく、内部応力低減により、より密着性が増す。
前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては下記一般式(1)又は(2)で表される化合物が好ましい。
CH2=CR1-COOR2-OH 一般式(1)
CH2=CR1-COO-CH23(OH)-CH3 一般式(2)
上記式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1~4のアルキレン基であり、R3(OH)は炭素数1~4のヒドロキシアルキレン基である。
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等を好ましく用いることができる。
また、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートは環構造を有する化合物であっても良い。環構造を有することでより内部応力低減に繋がる。前記環構造を有する化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましく、下記一般式(3)で表される化合物としては、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート等を好ましく用いることができる。
CH2=CR1-COO-CH2C(OH)R4-R5-O-R6 一般式(3)
上記式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R4は水素原子またはメチル基であり、R5は炭素数1~4のアルキレン基であり、R6はフェニル基または炭素数3~12のシクロアルキル基である。
上記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートは、ガラスへの密着性を発現させるためにジエチレングリコールジメタクリレート、OH基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび前記樹脂の総量を100質量部としたとき、OH基を有する単官能(メタ)アクリレートがそのうちの10質量部以上占めることが好ましく、インクジェットインクとして適切な粘度範囲に抑えるために60質量部以下を占めることが好ましい。より好ましくは20~60質量部である。
<樹脂>
本発明で使用される樹脂は、前記(1)の条件、及び(2)の条件を満たすことが必要である。複数の樹脂を含む場合は、前記(1)の条件における粘度の測定、及び(2)の条件におけるスピン-スピン緩和時間の測定は、個々の樹脂について測定し、個々の樹脂が前記(1)の条件、及び(2)の条件を満たすことが必要である。この条件を満たす樹脂としては、ポリスチレンまたはポリエステル構造を有することが好ましく、具体的には以下の条件を満たす樹脂が好ましい。
ポリスチレン構造を有する樹脂としては、重量平均分子量が2000~50000であるものが好ましい。
ポリエステル構造を有する樹脂としては、重量平均分子量が2000~50000であるものが好ましい。
前記樹脂は、吐出性および難接着性基材に対する密着性の観点から、ジエチレングリコールジメタクリレート、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび樹脂の総量を100質量部としたとき、5~20質量部を占めることが好ましく、10~20質量部を占めることがさらに好ましく、15~20質量部を占めることがとくに好ましい。前記樹脂の配合量が5質量部以上であることにより、吐出性が向上する。また、前記樹脂の配合量が20質量部以下であることにより、難接着性基材に対する密着性が向上し、また高周波での吐出が可能となる。
本発明の硬化型組成物は、加熱または活性エネルギー線により硬化される。以下本発明の硬化型組成物を、活性エネルギー線硬化型組成物と称する場合もあるが、活性エネルギー線硬化型に限定するものではない。
<重合開始剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5~20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
ただし、前記の電子線などの高エネルギー線源を使用する場合には、必ずしも重合開始剤は必要でないが、これは一般的に知られていることであるため、詳細は省略する。
<粘度>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3~40mPa・sが好ましく、5~15mPa・sがより好ましく、6~12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
<硬化手段>
本発明の硬化型組成物を硬化させる手段としては、加熱硬化または活性エネルギー線による硬化が挙げられ、これらの中でも活性エネルギー線による硬化が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
<色材>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1~20質量%であることが好ましい。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<有機溶媒>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
<活性エネルギー線硬化型組成物の調整>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調整手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調整することができる。
<用途>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
なお、上質紙などの吸収性の基材においては浸透乾燥の効果が望めるため、速乾性のない水性インクや油性インクの使用も実用的であるのに対して、マットコート紙、グロスコート紙、プラスチックフィルム、プラスチック成型物、セラミック、ガラス、金属など非浸透性の基材においては速乾性を得られるインクを使用することがより実用的であり、光照射により直ちに硬化することから、本発明における硬化型組成物またはインクを使用することが望ましい。本発明は前述のような非浸透性で、難接着性の基材に対して特に好適なものであって、中でもポリエチレンテレフタレート(PET)に適する。PET基材においては表面を活性化して密着性を向上させる目的などでコロナ処理が行われるケースもあるが、そのような電気火花が発生する処理が困難な場所では、本発明における硬化型組成物またはインクを使用することにより、そのような処理がなくとも十分な密着性を得ることができる。
<像の形成方法、形成装置>
本発明の像の形成方法は、活性エネルギー線を用いてもよいし、加温なども挙げられる。本発明の硬化型組成物を活性エネルギー線で硬化させるためには、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。さらに、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、セラミックスやガラス、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、ダンボール、壁紙や床材等の建材、コンクリート、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用する ことができる。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
本発明によれば、硬化型組成物を吐出周波数10~20kHzという高周波で良好に吐出することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの下記例に制限されるものではない。
[実施例1~11、比較例1~3]
下記の材料を、表2に示す配合割合(数値は質量部)で混合して硬化型組成物を得た。
(A)重合反応性モノマー成分
(A1)ジエチレングリコールジメタクリレート、
新中村化学株式会社製「NKエステル2G」
(A2)4―ヒドロキシブチルアクリレート、
大阪有機化学工業株式会社製「4-HBA」
(A3)2-ヒドロキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製「HEA」
(A4)2-ヒドロキシプロピルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製「HPA」
(A5)2-ヒドロキシ―3―フェノキシプロピルアクリレート、
共栄社化学株式会社製「エポキシエステルM-600A」
(B)樹脂成分
(B1)ポリスチレン、星光PMC株式会社製「VS1063」
(B2)ポリエステル系樹脂、東洋紡株式会社製「バイロン802」
(B3)ポリエステル系樹脂、東洋紡株式会社製「バイロン220」
(B4)ポリスチレン、三洋化成工業株式会社製「ハイマーST-95」
(C)重合開始剤
(C1)BASF製イルガキュア184
(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)
(C2)BASF製イルガキュア379
(2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-
[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン
<パルスNMR解析のCPMG法によるスピン-スピン緩和時間の測定>
以下の装置および方法により、スピン-スピン緩和時間(T2)を測定した。
装置として、Bruker社製パルスNMR;Minispec mqシリーズを用いる。
ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および樹脂30質量部からなる混合溶液を調製し、その1mlを直径10mmのNMR管に量り取る。
そのNMR管を装置にセットして5秒後に測定を開始する。測定は下記の条件で3回行い、温度が安定している2回目と3回目の平均値を用いる。
First90°Pulse Separation:0.01msec
Final Pulse Separation:0.2msec
Number of Data Poin for Fitting:3000points
Cumulated number:32times
Temperature:25℃
得られた減衰曲線から、ORIGIN8.5(OriginLab社製)のexponential近似を用いることで、スピン-スピン緩和時間を(T2)算出する。スピン-スピン緩和時間を測定する際には樹脂は個々に測定する。
結果を表1に示す。
<粘度測定>
下記の装置および方法により、ジエチレングリコールジメタクリレート単独の25℃での粘度と、ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および樹脂30質量部からなる混合溶液の25℃での粘度と、を測定し、前記混合溶液の25℃での粘度が、ジエチレングリコールジメタクリレート単独のそれに比べて何倍の粘度であるか(粘度上昇と言う)、を調べた。
粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lを用いて測定した。この際、コーンロータは1°34'×R24のものを使用し、回転数50rpm、恒温循環水25℃で測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0007051047000001
<吐出性試験>
各種硬化型組成物に対し、簡易粒子化装置(株式会社ジェネシス、DropStation)を用い、リガメント長さ測定、吐出周波数依存性の試験を行った。ヘッドにはMH5420(株式会社リコー)を用いて、ヘッド温度を24~30℃で吐出を行った。吐出条件として、電圧を19Vとし、吐出された組成物の液滴先端がノズルからの距離1mmとなる際の速度Vjを7(±0.5)m/sに設定した。飛翔状況の観察は、インクの吐出方向に対して垂直に配置されたCMOSカメラ(株式会社アートレイ、ARTCAM-036MI)を用いて行い、リガメント長さ測定、吐出周波数依存性ともに、液滴先端部分がノズルからの距離1mmを通過してから液滴後端部分がノズルからの距離1mmを通過するまでの観察が可能となるように設定した。
<<リガメント長さ>>
パルス立ち上がり時間2μs、維持時間2μs、立ち下り時間2μsの波形(以下単純プル波形と呼ぶ)を周波数2kHzで吐出し、CMOSカメラで飛翔状況を撮影し、液滴先端部分がノズルからの距離1mmを通過してから液滴後端部分がノズルからの距離1mmを通過するまでの時間(μs)をリガメント長さと定義した。
<<吐出周波数依存性>>
上記の試験で用いた単純プル波形を繰り返し周波数10kHzおよび20kHzで吐出し、それぞれの周波数で不吐出となっていないか、また液滴が繋がらずに吐出しているかで判断した。20kHz以下で不吐出であり、また液滴が繋がってしまった場合を「×」、20kHzで液滴が繋がらずに吐出できた場合は「○」と表記した。
<密着性試験>
基材としてガラス(松浪硝子株式会社製、S9213、厚み1.2mm)及びポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製、E5100、厚み100μm)を用い、該基材上に得られた各硬化型組成物を塗布し、UV硬化を行い、厚さ5μmの硬化物を形成し、試験片を作製した。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムに関しては表面をコロナ処理したものを用意した。
UV硬化はフュージョン社製UV照射機LightHammmer6(Dバルブ)にて0.2W/cm2、3J/cm2の条件にて実施した。
こうして作製したベタ塗膜を、透明感圧付着テープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT-18:以下、テープと呼ぶ)剥離による基材への密着性とJIS-K-5600-5-6に示されるクロスカット法に準じて所定の切込みを入れた場合及び入れなかった場合の基材への付着性を評価した。なお、カットを入れた場合は、そこを端部にして内部応力が緩和され、塗膜剥離のきっかけになるため、より厳しい条件での評価となるのに対し、カットを入れない場合は、塗膜剥離のきっかけがないため、比較的厳しくない条件での評価という位置づけとなる。JIS規格では基材に対する密着性を付着性という用語で表現しているが、技術的にはこれらは同義である。
そして、テープ剥離試験における結果の表記は、テープを貼り付けた後に引き剥がし、全くはがれの見られない状態を「○」、剥がれが見られる状態を「×」と表記した。クロスカット法における試験結果としては塗膜に設けた5×5の25マスの切り込みに対して、テープを貼り付けたあとに引き剥がし、全くはがれが見られない状態を「○」とし、はがれが見られる場合を「×」と表記した。この際、刃入れの強弱等の影響を強く受けやすいカット交差部のわずかなはがれは無視した。
そしてそれらの結果を合わせて、密着性試験を下記のように表記することとした。
◎:テープ剥離試験○、クロスカット法○
○:テープ剥離試験○、クロスカット法×
×:テープ剥離試験×、クロスカット法×
結果を表2に示す。
Figure 0007051047000002
全ての実施例と比較例1の結果から、樹脂を含有する硬化型組成物は、樹脂を含有しないものに比べて、ガラスおよびPET基材に対する密着性が良好であることが確認できた。
全ての実施例と比較例2の結果から、ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および樹脂30質量部からなる混合溶液の25℃での粘度が、前記ジエチレングリコールジメタクリレート単独の25℃での粘度の15倍以上27倍以下であり、かつ、前記ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および前記樹脂30質量部からなる混合溶液の、パルスNMR解析のCPMG法によって得られたスピン-スピン緩和時間が240ms以下である場合、吐出周波数依存性が良好であることが確認できた。
また、実施例1と実施例2の比較により、樹脂の配合量を増加させることにより、一定レベルの吐出性を維持したまま、密着性を向上させられることが確認できた。
また、実施例3と実施例9の比較により、OH基を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量を増加させることで、ガラスに対する密着性を向上できることが確認できた。
また、実施例9と実施例10の比較により、重合開始剤の種類が異なっても、同様に吐出性と密着性が良好であることが確認できた。
尚、比較例2~3については、吐出性の評価結果が「×」であった時点で、吐出性と密着性を両立の可能性が無いと判断し、密着性の評価を行っていない。
1 貯留プール(収容部)
3 可動ステージ
4 活性エネルギー線
5 活性エネルギー線硬化型組成物
6 硬化層
21 供給ロール
22 被記録媒体
23a、23b、23c、23d 各色印刷ユニット
24a、24b、24c、24d 光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
30 造形物用吐出ヘッドユニット
31、32 支持体用吐出ヘッドユニット
33、34 紫外線照射手段
35 立体造形物
36 支持体積層部
37 造形物支持基板
38 ステージ
39 像形成装置
特開2014-156506号公報 特許5634652号公報 特開2016-11416号公報

Claims (8)

  1. 重合性化合物と樹脂とを含む硬化型組成物であって、
    前記重合性化合物として、
    ジエチレングリコールジメタクリレートと、
    OH基を有する単官能(メタ)アクリレートと、を含み、
    前記樹脂として、下記の(1)及び(2)の条件を満たす樹脂を用い、
    前記ジエチレングリコールジメタクリレートの含有量が硬化型組成物全体に対し20~80質量%であり、
    前記ジエチレングリコールジメタクリレート、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび前記樹脂の総量を100質量部としたとき、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートがそのうちの10~60質量部を占め、
    前記ジエチレングリコールジメタクリレート、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび前記樹脂の総量を100質量部としたとき、前記樹脂がそのうちの5~20質量部を占める
    ことを特徴とする硬化型組成物。
    (1)前記ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および前記樹脂30質量部からなる混合溶液の25℃での粘度が、前記ジエチレングリコールジメタクリレート単独の25℃での粘度の15倍以上27倍以下である。
    (2)前記ジエチレングリコールジメタクリレート70質量部および前記樹脂30質量部からなる混合溶液の、パルスNMR解析のCPMG法によって得られたスピン-スピン緩和時間が240ms以下である。
  2. 前記ジエチレングリコールジメタクリレート、前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび前記樹脂の総量を100質量部としたとき、前記樹脂がそのうちの10~20質量部を占める請求項1に記載の硬化型組成物。
  3. 前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートが下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を含む請求項1または2に記載の硬化型組成物。
    CH2=CR1-COOR2-OH 一般式(1)
    CH2=CR1-COO-CH23(OH)-CH3 一般式(2)
    上記式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1~4のアルキレン基であり、R3(OH)は炭素数1~4のヒドロキシアルキレン基である。
  4. 前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートまたは4-ヒドロキシブチルアクリレートである請求項1~3のいずれかに記載の硬化型組成物。
  5. 前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートは環構造を有する請求項1又は2に記載の硬化型組成物。
  6. 前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートが下記一般式(3)で表される化合物を含む請求項5に記載の硬化型組成物。
    CH2=CR1-COO-CH2C(OH)R4-R5-O-R6 一般式(3)
    上記式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R4は水素原子またはメチル基であり、R5は炭素数1~4のアルキレン基であり、R6はフェニル基または炭素数3~12のシクロアルキル基である。
  7. 前記OH基を有する単官能(メタ)アクリレートは2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートである請求項5または6に記載の硬化型組成物。
  8. 請求項1~のいずれかに記載の硬化型組成物の硬化物。
JP2018023952A 2017-03-21 2018-02-14 硬化型組成物、及び硬化物 Active JP7051047B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/923,659 US10577514B2 (en) 2017-03-21 2018-03-16 Curable composition and cured matter

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017054757 2017-03-21
JP2017054757 2017-03-21

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018159056A JP2018159056A (ja) 2018-10-11
JP7051047B2 true JP7051047B2 (ja) 2022-04-11

Family

ID=63795014

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018023952A Active JP7051047B2 (ja) 2017-03-21 2018-02-14 硬化型組成物、及び硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7051047B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004067991A (ja) 2002-06-10 2004-03-04 Nippon Shokubai Co Ltd 活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク
JP2013181114A (ja) 2012-03-02 2013-09-12 Ricoh Co Ltd 光重合性インクジェットインク、インクカートリッジ
JP2015030796A (ja) 2013-08-02 2015-02-16 富士フイルム株式会社 硬化性組成物及びインク組成物
JP2015086363A (ja) 2013-09-27 2015-05-07 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物、その硬化物、該組成物を収容した容器、および該容器を備えるインクジェット吐出装置
JP2015180539A (ja) 2014-03-06 2015-10-15 株式会社リコー 積層体及びその製造方法、並びに積層体製造装置
JP2015218272A (ja) 2014-05-19 2015-12-07 株式会社リコー ラジカル重合性組成物、インクジェットインク、インクカートリッジ、塗工方法、塗工物
JP2016011416A (ja) 2014-06-06 2016-01-21 株式会社リコー 光重合性組成物、光重合性インク、組成物収容容器、画像乃至硬化物の形成方法、画像乃至硬化物形成装置、及び画像乃至硬化物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004067991A (ja) 2002-06-10 2004-03-04 Nippon Shokubai Co Ltd 活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク
JP2013181114A (ja) 2012-03-02 2013-09-12 Ricoh Co Ltd 光重合性インクジェットインク、インクカートリッジ
JP2015030796A (ja) 2013-08-02 2015-02-16 富士フイルム株式会社 硬化性組成物及びインク組成物
JP2015086363A (ja) 2013-09-27 2015-05-07 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物、その硬化物、該組成物を収容した容器、および該容器を備えるインクジェット吐出装置
JP2015180539A (ja) 2014-03-06 2015-10-15 株式会社リコー 積層体及びその製造方法、並びに積層体製造装置
JP2015218272A (ja) 2014-05-19 2015-12-07 株式会社リコー ラジカル重合性組成物、インクジェットインク、インクカートリッジ、塗工方法、塗工物
JP2016011416A (ja) 2014-06-06 2016-01-21 株式会社リコー 光重合性組成物、光重合性インク、組成物収容容器、画像乃至硬化物の形成方法、画像乃至硬化物形成装置、及び画像乃至硬化物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018159056A (ja) 2018-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7031451B2 (ja) インクジェット方式による積層体の製造方法、及び活性エネルギー線硬化型インク
JP7024532B2 (ja) 組成物、硬化物、収容容器、像形成装置、及び像形成方法
JP6900676B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、2次元または3次元の像形成装置、2次元または3次元の像形成方法、硬化物並びに加飾体
US10611920B2 (en) Curable composition, curable ink, method for forming two-dimensional or three-dimensional images, apparatus for forming two-dimensional or three-dimensional images, cured product, structural body, and processed product
US10577514B2 (en) Curable composition and cured matter
US9988539B2 (en) Active-energy-ray-curable composition, active-energy-ray-curable ink, composition stored container, two-dimensional or three-dimensional image forming apparatus, two-dimensional or three-dimensional image forming method, cured material, and structure
JP6870201B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、及び2次元又は3次元の像形成方法
JP6741221B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、2次元又は3次元の像の形成方法及び形成装置
JP6775759B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、2次元または3次元の像形成装置及び2次元または3次元の像形成方法
JP7067298B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク、収容容器、像形成装置、及び像形成方法
JP2018095696A (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、像形成装置、像形成方法、及び硬化物
JP7051047B2 (ja) 硬化型組成物、及び硬化物
JP7124948B1 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、加飾体、積層体、フレキシブルデバイス用部材、及びフレキシブルデバイス
JP6938954B2 (ja) 画像形成方法及び画像形成装置
JP6848704B2 (ja) 硬化型組成物、硬化型インク、2次元または3次元の像形成方法、2次元または3次元の像形成装置、硬化物、構造体および成形加工品
JP2020117585A (ja) 硬化型組成物、収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、及び硬化物
JP7166523B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型インク組成物、液体吐出装置用インク組成物、像形成装置、及び像形成方法
JP6834212B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、2次元または3次元の像形成装置、像形成方法、硬化物及び構造体
JP6776627B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、像形成装置、像形成方法、硬化物、成形加工物および化合物
JP7456147B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、及び加飾体
JP7298141B2 (ja) 硬化型組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像の形成方法及び形成装置、硬化物、構造体、並びに成形加工品
JP7400351B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、像形成装置、像形成方法、硬化物、加飾体
JP7415357B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、成形加工品、及び立体造形物の製造方法
JP2021075668A (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク、収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、及び加飾体
JP2020117603A (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク、組成物収容容器、インクジェット吐出装置および硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210816

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220313

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7051047

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151