JP6686302B2 - 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、像形成装置、像形成方法、硬化物、成形加工品 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、多官能モノマーを多く用いているにも拘わらず、十分に低粘度であり且つ密着性も高い、特にインクジェット用インクとして好適な活性エネルギー線硬化型組成物の提供を目的とする。
2) 前記グリセリントリ(メタ)アクリレートの含有量が反応性化合物の総質量に対し50質量%以上であることを特徴とする1)に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
3) 前記反応性化合物として二官能以上のモノマーのみを含むことを特徴とする1)又は2)に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
4) 前記反応性化合物として三官能以上のモノマーのみを含むことを特徴とする1)又は2)に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
5) その25℃での粘度が3〜40mPa・sであることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
6) 立体造形用材料である1)〜5)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
7) 反応性化合物として(メタ)アクリレート及びアクリルアミドから選ばれた2種以上の多官能モノマーを含有し、その一つがグリセリントリ(メタ)アクリレートであり、その含有量が反応性化合物の総質量に対し45質量%以上であり、前記多官能モノマーの含有量が、反応性化合物の総質量に対し90質量%以上であり、かつ、有機溶剤を含まないことを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク。
8) インクジェット用である7)に記載の活性エネルギー線硬化型インク。
9) 1)〜5)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物が収容された組成物収容容器。
10) 1)〜5)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物が収容された収容部と、活性エネルギー線を照射するための照射手段とを備えたことを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置。
11) 1)〜5)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程を有することを特徴とする2次元又は3次元の像形成方法。
12) 1)〜5)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られる硬化物。
13) 12)に記載の硬化物が基材上に形成された構造体を加工して得られる成形加工品。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物(以下、組成物ということもある)を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他に、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的及び環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
なお、本発明における多官能モノマーとは、反応性基が三官能以上であるモノマーを指す。また、グリセリントリ(メタ)アクリレートとは、エチレンオキシド等で変性されていないグリセリントリアクリレート又はグリセリントリメタクリレートを指す。
しかし、多官能モノマーとしてグリセリントリ(メタ)アクリレートのみ(特にグリセリントリメタクリレートのみ)を用いると、硬化物のベタ付き(タック)が十分に無くならないことがあり、他の高粘度の多官能モノマーも併用する必要がある。
また、硬化性や硬化物の硬度を上げるためには多官能モノマーの割合を多くし、単官能モノマーや二官能モノマーの割合を少なくする必要がある。そのため、多官能モノマーの含有量を反応性化合物の総質量に対し90質量%以上とするが、好ましくは多官能モノマーのみがよい。また、インクの粘度の観点から、グリセリントリ(メタ)アクリレートの割合は50質量%以上であることが好ましい。
硬化物の硬度は用途にも依るが、通常、鉛筆硬度でH以上が望まれる。
本発明の組成物は有機溶剤を含まない。特に揮発性の有機溶剤を含まない〔VOC(Volatile Organic Compounds)フリー〕組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、前記「有機溶剤」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶剤を意味し、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶剤を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
本発明の組成物は色材を含有していてもよい。色材としては、組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀の光沢色などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1〜20質量%であることが好ましい。
なお、本発明の組成物は色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。分散剤としては特に限定されないが、例えば高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明の組成物の用途は、一般に光硬化材料が用いられている分野であれば特に限定されず、例えばインクや接着剤が挙げられるが、詳細は後述する。
本発明の組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等を、ボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し分散させて顔料分散液を作製し、更に重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
本発明の組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を用いる場合には、20℃〜65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3〜40mPa・sが好ましく、5〜15mPa・sがより好ましく、6〜12mPa・sが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34′×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃〜65℃の範囲に適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。
本発明の組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
更に、本発明の組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本発明の組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
また、本発明には、本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物や、当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工した成形加工品も含まれる。該成形加工品は、例えばシート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられるが、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
本発明の組成物収容容器は、本発明の組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の組成物がインク用途である場合には、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、又は容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
本発明の像形成方法は、少なくとも、本発明の組成物を硬化させるために活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。更に、本発明の組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することにより、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
表1の実施例、参考例及び比較例の各欄に示す材料を混合撹拌して、各活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを調製した。材料欄中の数値は「質量%」である。
表1中の略号で示した材料の詳細は、以下のとおりである。なお、A−1〜A−12、B−1〜B−2、C−1は、本文中に示した材料である。また、PGMEAは有機溶剤である。
・G−TMA:グリセリントリメタクリレート
・G−TA:グリセリントリアクリレート
・PGMEA:プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート
・CB:チバ・ジャパン社製、MICROLITH Black C−K
(カーボンブラック顔料)
・Blue:チバ・ジャパン社製、MICROLITH Blue 4G−K
・PET:PETフィルム(東洋紡社製E5100、コロナ処理済み)
・PP:PPフィルム(東洋紡社製P2161、コロナ処理済み)
実施例、参考例及び比較例の各インクの25℃での粘度をレオメータ(AntonPaar社製MCR302)を用いて測定した。結果を表1に示す。
また、各インクを用いてリコー社製GEN4インクジェットヘッドで吐出試験を行い、PETフィルム上及びPPフィルム上に塗膜を形成し、記録部の鉛筆硬度、密着性、及び吐出性を評価した。結果を表1に示す。
光硬化条件は、光源メタルハライドランプ:1200mJ/cm2とした。
鉛筆硬度試験は、JIS K5600−5−4に従い評価した。なお、比較例3は粘度が高く塗膜を形成できなかったため鉛筆硬度試験を行っていない。
密着性は、JIS K5400−8.5に従って評価し、剥がれなかった場合を「○」、剥がれた場合を「×」とした。
吐出性は、吐出可能であった場合を「○」、吐出できなかった場合を「×」とした。
これに対し、比較例1〜2のように、単官能、二官能モノマーが多くなると、硬化物の硬度が十分に上がらないことが分かる。
また、比較例3のように、多官能モノマーとしてグリセリントリ(メタ)アクリレートを用いないと、インクの粘度が高くなってしまうことが分かる。
また、比較例4のように、インクの粘度を低くするため多官能モノマーの種類を変えたとしても、グリセリントリ(メタ)アクリレートを用いないと、PET、PPへの密着性が良くないことが分かる。
3 可動ステージ
4 活性エネルギー線
5 本発明の組成物
6 硬化層
21 供給ロール
22 被記録媒体
23 印刷ユニット
23a イエロー印刷ユニット
23b マゼンタ印刷ユニット
23c シアン印刷ユニット
23d ブラック印刷ユニット
24a イエローインクを硬化させるための光源
24b マゼンタインクを硬化させるための光源
24c シアンインクを硬化させるための光源
24d ブラックインクを硬化させるための光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
30 造形物用吐出ヘッドユニット
31 支持体用吐出ヘッドユニット
32 支持体用吐出ヘッドユニット
33 紫外線照射手段
34 紫外線照射手段
35 立体造形物
36 支持体積層部
37 造形物支持基板
38 上下方向に可動なステージ
39 像形成装置
A ヘッドユニットの可動方向
B ヘッドユニットの可動方向
Claims (13)
- 反応性化合物として(メタ)アクリレート及びアクリルアミドから選ばれた2種以上の多官能モノマーを含有し、その一つがグリセリントリ(メタ)アクリレートであり、その含有量が反応性化合物の総質量に対し45質量%以上であり、前記多官能モノマーの含有量が、反応性化合物の総質量に対し90質量%以上であり、かつ、有機溶剤を含まないことを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記グリセリントリ(メタ)アクリレートの含有量が反応性化合物の総質量に対し50質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記反応性化合物として二官能以上のモノマーのみを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記反応性化合物として三官能以上のモノマーのみを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- その25℃での粘度が3〜40mPa・sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 立体造形用材料である請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 反応性化合物として(メタ)アクリレート及びアクリルアミドから選ばれた2種以上の多官能モノマーを含有し、その一つがグリセリントリ(メタ)アクリレートであり、その含有量が反応性化合物の総質量に対し45質量%以上であり、前記多官能モノマーの含有量が、反応性化合物の総質量に対し90質量%以上であり、かつ、有機溶剤を含まないことを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク。
- インクジェット用である請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型インク。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物が収容された組成物収容容器。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物が収容された収容部と、活性エネルギー線を照射するための照射手段とを備えたことを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程を有することを特徴とする2次元又は3次元の像形成方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られる硬化物。
- 請求項12に記載の硬化物が基材上に形成された構造体を加工して得られる成形加工品。
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