JP7066801B2 - 塗装缶 - Google Patents
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Description
このグラビアロールの外周面全体には、塗料供給部から塗料が供給されて満遍なく付着される。このグラビアロールに摺接するとともに互いに逆方向に回転するアプリケーターロールの外周面にはグラビアロールから塗料が順次付着され、アプリケーターロールに付着した塗料は、アプリケーターロールの回転に伴い回転方向に移動していく。そして、アプリケーターロールの塗装位置に搬送されてきた缶がその塗装位置において自転するのに伴い、アプリケーターロール上の塗料が順次缶胴へと塗布(転移)されるようになっている。
この点、本発明の缶の塗装方法においては、アプリケーターロールの外周面上で缶の缶胴外面を2周以上回転移動させて重ね塗りしているので、アプリケーターロールの外周面上から缶の缶胴外面への塗料の移動を2回以上に分けて行うことができる。このため、アプリケーターロールに供給する塗料を過剰に増やすことなく、また著しく缶の回転速度を低下させることなく塗装を行うことができ、ミストの発生や塗装面の汚れの発生を防止できる。また、缶胴外面に少なくとも2回塗装を施すことから、塗り残しを生じさせることもない。
なお、このように複数の周回に分けて塗装を行う場合において、缶の回転移動におけるアプリケーターロールから缶胴外面への塗料の転移量(塗布量)は、1周目が一番多く、周回を重ねて塗料を重ね塗りするごとに転移量が徐々に少なくなり、周回を重ねていくことで転移量が0に近づいて収束する。したがって、缶の回転移動の周回数を増やして、複数回に分けて缶胴外面に塗料を付着させることで、缶胴の円周上に均一に、かつ要求塗布量(膜厚)の塗膜を形成でき、美粧性の高い塗装缶を得ることができる。
そこで、上記のようにアプリケーターロールの外周面上の塗料の塗布量t0と、1周目の塗膜の塗布量t1と、2周目の塗膜の塗布量t2との関係を考慮して、塗料の粘度を調整することで、缶の回転移動におけるアプリケーターロールから缶胴外面への塗料の塗装を2周で完了することができ、塗装効率と塗膜の塗布量の均一性とのバランスを図ることができる。そして、このようにして2周塗装した塗装缶の塗膜の塗布量t2は、アプリケーターロールの外周面上の塗料の塗布量t0よりも大きく(厚く)なっており、塗膜の塗布量t2(膜厚)が均一化されている。なお、塗装を2周未満で行うと、塗膜の塗布量の均一化が不十分であり、缶胴の円周上に塗膜の薄い部分が存在するため、外観差が生じやすくなる。
塗装時における塗料の粘度が下限よりも低いと、塗料を目的する塗布量で缶胴外面に塗装することが困難となったり、ミストが発生しやすくなる。また、塗料の粘度が上限を超える場合は、アプリケーターロールから缶胴外面への塗料の転移性が低下し、少ない周回数で缶胴外面上に目的とする塗布量を付着させることができなくなる。
焼き付け後の塗膜の塗布量(膜厚)が±10%の範囲内で形成されていると、外観差がなく、美粧性に優れた塗装缶とできる。
本実施形態において、塗装が施される飲料缶等の缶は、例えばアルミニウム製の板を成形してなるものであり、缶の缶胴外面への塗装は、この缶胴外面に施された印刷膜や缶の基材を保護したり、缶胴外面の滑り性を向上させたりするために行われる。そして、缶の缶胴外面への塗装は、図1(a)に示すように、缶胴外面11aにデザインとなるインキを印刷して印刷膜21を形成した後、図1(c)に示すように印刷膜21が未乾燥の状態で、塗料を塗布することにより塗膜32を形成して行われる。また、その後工程において、印刷膜21と塗膜32とを缶胴外面11aに焼き付けることで、缶胴外面11aに塗装が施された塗装缶が得られる。なお、塗装缶に施された印刷膜21及び塗膜32の全体の膜厚は、焼き付け後の膜厚で3μm~10μm程度に設けられる。
また、塗膜32は、印刷膜21や缶11の基材(缶胴表面)の保護をしたり、缶胴外面11aの滑り性を向上させるために、印刷膜21の上から缶胴外面11aを被覆して形成される。
塗膜32の原料となる塗料Pには、インキの表面張力よりも小さい表面張力を有するものからインキよりも表面張力が大きいものまで種々の塗料Pを用いることができ、例えばポリエステル、エポキシ、アクリル、アミド等の樹脂により構成される。具体的には、硬化したエポキシ-フェノール系樹脂または硬化したポリエステル-アミノ系樹脂を溶剤で溶かし、これにワックスを添加することによって構成される。なお、原料に添加されるワックスには、カルナバワックスやマイクロクリスタリン等が挙げられる。
まず、塗料供給部41からグラビアロール42の外周面42a上に塗料Pを供給し、その外周面42a全体に満遍なく塗料Pを付着させる。グラビアロール42の外周面42a上に付着した塗料Pは、その回転に伴って移動し、グラビアロール42と逆方向に回転するアプリケーターロール43の外周面43a上に付着され、アプリケーターロール43に付着した塗料Pは、アプリケーターロール43の回転に伴って順次回転方向A3に移動していく。
具体的には、2周以上の周回数で缶11に塗装を行う場合(複数の周回に分けて塗装を行う場合)、アプリケーターロール43から缶胴外面11aへの塗料Pの転移量(塗布量)は、1周目が一番多く、周回を重ねて塗料Pを重ね塗りするごとに転移量が徐々に少なくなる。そして、周回を重ねていくことで、缶胴外面11aへの転移量が0に近づいて収束する。つまり、アプリケーターロール43の外周面43a上の塗料Pの塗布量t0よりも、缶胴外面11aに付着した塗膜32の塗布量が大きくなった後においては、アプリケーターロール43から缶胴外面11aへの塗料Pの転移量が少なくなるので、周回を重ねて塗料Pを塗り重ねることで缶胴外面11aの塗膜32の塗布量が均一化される。したがって、アプリケーターロール43の外周面43a上での缶11の回転移動の周回数を増やして、複数回に分けて缶胴外面11aに塗料Pを付着させることで、缶胴の円周上に均一に、かつ要求塗布量の塗膜32を形成できる。
また、アプリケーターロール43の外周面43a上の塗料Pの塗布量と、缶胴外面11a上に形成される1周目の塗膜32の塗布量t1と、2周目の塗膜32の塗布量t2との関係を考慮して、塗料Pの粘度を調整することで、缶胴外面11aへの塗料Pの塗装を2周で完了することができ、塗装効率と塗膜32の塗布量の均一性とのバランスを図ることができる。
した場合に、塗布量t1が塗布量t0よりも小さく、塗布量t2が塗布量t0よりも大きくする。
なお、塗料Pの粘度が下限よりも低いと、塗料Pを目的とする塗布量で缶胴外面11aに塗装することが困難となったり、ミストが発生しやすくなる。また、塗料Pの粘度が上限を超える場合は、アプリケーターロール43から缶胴外面11aへの塗料Pの転移性が低下し、少ない周回数で缶胴外面11a上に目的とする塗布量を付着させることができなくなる。
したがって、缶胴の円周上に均一に、かつ要求塗布量(膜厚)の塗膜を形成でき、美粧性の高い塗装缶を得ることができる。
また、缶胴外面11aに通常よりも塗布量の多い(膜厚の厚い)塗膜を形成できるので、インキと塗料との表面張力差による凹凸を設けたタクタイル塗装や、添加剤を混合した塗料を用いて塗装を行うこともでき、塗装缶の美粧性を向上できる。
(塗装の周回数の違いによる塗料の転移量及び塗膜の塗布量の変化)
表1に示すように塗料の原液と希釈剤とを混合した4種類の塗料を調整した。また、表1の通常塗料とは、一般的なインキよりも小さい表面張力を有する塗料を示しており、溶剤塗料はポリエステル系塗料、水性塗料はアクリル系塗料である。一方、凹凸塗料とは、タクタイル塗装に用いられるような、一般的なインキと同じか、それよりも大きい表面張力を有する水性タクタイル塗料を示しており、アクリル系塗料である。また、溶剤塗料の希釈剤はブタノール/エチレングリコールモノブチルエーテル、水性塗料の希釈剤はイオン交換水を用いた。なお、塗料の粘度は、塗装時(塗装温度)における粘度を、JIS K5600‐2‐2に準じて、フォードカップNo.4を用いて測定されるものである。つまり、溶剤の通常塗料では、塗装温度30℃~34℃における粘度を示し、水性の通常塗料では、35℃~36℃における粘度を示す。また、凹凸塗料(水性タクタイル塗料)では、38℃における粘度を示す。
そして、表1に示すように、アプリケーターロール(APロール)の外周面上の塗料の塗布量を設定し、表2に示すように、缶の缶胴外面上への塗装を1周行った塗装缶(1周目)と、塗装を2周行った塗装缶(2周目)と、塗装を3周行った塗装缶(3周目)とを作製した。
表2の「塗料の転移量」と「焼付前の塗膜の塗布量」は、アプリケーターロールの外周面上から缶胴外面上に転移した塗料の量を示している。そして、これらの「塗料の転移量」と「焼付前の塗膜の塗布量」の値は、それぞれ缶の缶胴外面上への塗装を1周行った塗装缶(1周目)と、塗装を2周行った塗装缶(2周目)と、塗装を3周行った塗装缶(3周目)とについて、いずれも塗膜の焼付前の状態で重量を測定し、この塗装缶全体の重量から素缶(缶単体)の重量を差し引くことにより算出した。なお、1周目の塗料の転移量は、1周の塗装完了後に形成された1周分の塗膜の塗布量の値を示しているが、2周目の塗料の転移量は、2周の塗装完了後に形成された2周分の塗膜の塗布量から1周分の塗膜の塗布量を減じることにより算出した。また同様に、3周目の塗料の転移量は、3周の塗装完了後に形成された3周分の塗膜の塗布量から2周分の塗布量を減じることにより算出した。また、「塗料の転移率」は、アプリケーターロールの外周面上から転移された塗料の比率であり、「APロール上の塗料の塗布量」と「塗料の転移量」との比率である。
次に、No.5の塗料を用い、アプリケーターロールの外周面上の塗料の塗布量を166(mg/dm2)に設定して、缶の缶胴外面上への塗装を1.4周行った塗装缶と、塗装を1.8周行った塗装缶と、塗装を2.0周行った塗装缶と、塗装を2.2周行った塗装缶とを、それぞれ24缶ずつ作製した。そして、各条件の24缶の塗装缶について目視検査を実施し、缶胴の円周上に塗膜の塗布量差(境目)が確認されたものが24缶中1缶でもあったものを不合格「×」、24缶全てに塗膜の塗布量差が確認できなかったものを合格「○」とした。表3に結果を示す。
No.5の塗料を用い、アプリケーターロールの外周面上の塗料の塗布量を166(mg/dm2)に設定して、無地缶の缶胴外面上への塗装を1.3周行った塗装缶と、塗装を2.0周行った塗装缶とを作製した。そして、各塗装缶を切り開いて平板状にし、塗装面の全体を等間隔で12点測定して、各点における塗膜の塗布量を測定した。
塗膜の塗布量の測定は、電気抵抗値から塗布量を測定するストランドゲージ(Strand Electronics.LTD Model No.105)を用いて行った。表4に結果を示す。
11a 缶胴外面
32 塗膜
41 塗料供給部
42 グラビアロール
43 アプリケーターロール
45 搬送通路
101 缶の塗装装置
Claims (1)
- 缶胴外面上の塗膜がアプリケーターロールにより前記缶胴の周方向に2周以上重ね塗り状態で形成されており、
前記重ね塗り状態の全体の塗膜は、その塗布量が65mg/dm 2 以上88mg/dm 2 以下であり、前記缶胴の周方向で塗布量のばらつきが±10%の範囲内で形成されていることを特徴とする塗装缶。
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