JP7066172B2 - コバルト複合γ型二酸化マンガン及びその製造方法 - Google Patents

コバルト複合γ型二酸化マンガン及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コバルト複合γ型二酸化マンガン、これを含む酸素発生反応用触媒、電極材料及び電極、前記電極を備える二次電池又は空気電池、並びにコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造方法に関する。
近年、環境に負荷を与えない水素燃料は化石燃料の代替として耳目を集めている。水電解は水素源の一つであり、下記式(1)で表されるように、水素と酸素を生成する。
(1)2HO → 2H + O
このとき、下記式(2)の水素発生反応は陰極で起こり、下記式(3)の酸素発生反応は対極の陽極で起こる。
(2)2H + 2e → H
(3)2HO → O + 4e+ 4H
酸素発生反応は熱力学的に不利で、かつ遅い4電子反応であるため、水電解はこの酸素発生反応によって制限される。酸素発生反応を加速する触媒として、特に有効なのは貴金属であるルテニウムやイリジウムの酸化物であるが、これらは非常に希少で高価なため大規模製造には不向きである。よって安価で豊富な資源を用いた高活性な酸素発生触媒の開発が望まれていた。
二酸化マンガン(MnO)は安価で資源量が豊富であり、電池材料として長年使用されてきた実績から分かるように安全かつ環境負荷が小さい。また、MnOはMn原子に六つのO原子が配位した八面体のユニットの組み合わせにより、α-、β-、γ-、δ-、R-などの結晶構造をとり、その構造によって電気化学的性質が変化する。そして、γ-MnOは、それぞれ2×1、1×1のトンネルを有するR-、β-MnOの不規則な連晶であり、このユニークな構造は優れた電気化学特性をもたらし、バッテリーの応用に適した材料である。しかしながら、γ-MnOは酸素発生反応の触媒活性が極めて低いため、酸素発生用触媒としては用いられてこなかった。二酸化マンガンの酸素発生反応に対する低い触媒活性を改善するために、pKaが8以下の塩基や炭酸塩を二酸化マンガンと混合する方法も提案されているが(特許文献1)、対象はα-MnOやβ-MnOであり、改善効果も限られていた。
特開2015-192993号公報
本発明の課題は、これらの問題点を解決し、酸素発生反応に対する活性の高い触媒を提供することにあり、特に資源的に豊富である二酸化マンガンの酸素発生反応に対する触媒活性を高める方法及びこれにより触媒活性の高められた二酸化マンガンを提供することにある。
本発明者らは、安価で豊富な資源を用いた高活性な酸素発生触媒の開発を目指して検討を開始した。検討にあたり、二酸化マンガンの中でも酸素発生反応に対する触媒活性は低いが、放電における電位の低下が他のタイプより比較的遅いため、一次電池のカソード材料として最も使用される、つまり電池としての長年の使用実績により安全性が保証されているγ型二酸化マンガン(γ-MnO)を利用できないかと考えた。そこで、γ型二酸化マンガンを利用する検討を進めたところ、水等の溶媒に塩化コバルト等のコバルトの塩とヒドラジン等の還元剤を加え、この溶液にγ-MnO粉末を浸漬させて撹拌することによりコバルト(Co)とγ-MnOを複合化でき、こうして得られたコバルトと複合化したγ型二酸化マンガンは、酸素発生反応に対する触媒活性が非常に高いことを見いだした。また、得られるコバルトと複合化したγ型二酸化マンガンは、ろ過等により前記溶液中の液体と分離した後、真空乾燥等により乾燥することにより取り出すことができる。本発明は、このようにして完成したものである。
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)コバルトを結晶構造中に含有することを特徴とするコバルト複合γ型二酸化マンガン。
(2)上記(1)記載のコバルト複合γ型二酸化マンガンを含む酸素発生反応用触媒。
(3)酸素発生反応用触媒として上記(2)記載の酸素発生反応用触媒を用いることを特徴とする水の電解方法。
(4)電極を構成する材料に上記(1)記載のコバルト複合γ型二酸化マンガンを含む電極。
(5)上記(4)記載の電極を備える二次電池又は空気電池。
(6)コバルト塩及び還元剤を溶解した溶液とγ型二酸化マンガンを接触させた後、乾燥することを特徴とするコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造方法。
(7)コバルト塩及び還元剤を溶解した溶液にγ型二酸化マンガン粒子を浸漬して撹拌する工程、及び前記γ型二酸化マンガン粒子が浸漬された溶液をろ過し、残渣を乾燥する工程を含むことを特徴とする上記(6)記載のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造方法。
(8)コバルト塩が塩化コバルトであることを特徴とする上記(6)又は(7)記載のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造方法。
(9)還元剤がヒドラジンであることを特徴とする上記(6)~(8)のいずれか記載のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造方法。
(10)コバルト塩及び還元剤を溶解した溶液とγ型二酸化マンガンを接触させた後、乾燥して得られるコバルト複合γ型二酸化マンガン。
本発明によると、γ型二酸化マンガンをコバルトと複合化することにより、酸素発生反応に対して不活性なγ型二酸化マンガンを活性化することができ、酸素発生反応に対する優れた活性を有するコバルト複合γ型二酸化マンガンを提供することができ、これを用いた触媒を提供できる。また、本発明によるコバルトと複合化されたγ型二酸化マンガンを用いることにより、電池特性に優れる電極材料、電極及び二次電池や空気電池を提供することができる。
実施例1、比較例1及び比較例2で、それぞれ処理されたMnOのXRDパターンを示す図である。 実施例1で得られたCo-γ-MnOと未処理のγ-MnOのリニアスイープボルタモグラムを示す図である。 図2の電流密度の常用対数を横軸、水酸化の標準電位1.23Vとの差(過電圧)を縦軸としたプロットを示す図である。 比較例1及び比較例2で、それぞれ処理されたMnOのリニアスイープボルタモグラムを示す図である。 実施例1で得られたCo-γ-MnO、未処理のγ-MnO、市販のRuO及びIrOのリニアスイープボルタモグラムを示す図である。 図5の電流密度の常用対数を横軸、水酸化の標準電位1.23Vとの差(過電圧)を縦軸としたプロットを示す図である。 実施例1で得られたCo-γ-MnOの繰り返し特性を示すボルタモグラムの図である。 実施例1で得られたCo-γ-MnOと実施例2で得られたCo-γ-MnOのリニアスイープボルタモグラムを示す図である。 実施例1で得られたCo-γ-MnOと、実施例3で得られたCo-γ-MnOのリニアスイープボルタモグラムを示す図である。 実施例2で得られたCo-γ-MnOと、実施例4で得られたCo-γ-MnOのリニアスイープボルタモグラムを示す図である。
本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンは、コバルトを結晶構造中に含有することを特徴とする。本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンは、コバルト塩及び還元剤を溶解した溶液とγ型二酸化マンガンを接触させた後、乾燥することにより得ることができる。本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造に用いられるコバルト塩としては、コバルトの塩である限り特に限定されるものではないが、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等を挙げることができ、またこれらの水和物であってもよい。中でも塩酸塩及び硫酸塩が好ましく、塩酸塩がより好ましい。塩酸塩としては、塩化コバルト(II)六水和物を好適に例示でき、硫酸塩としては、硫酸コバルト(II)七水和物を好適に例示できる。本発明においてコバルト塩とは水和物を含む。本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造に用いられる還元剤としては、特に限定されるものでなく、例えば、ヒドラジン、金属水素化物、シュウ酸等を挙げることができ、水和物であってもよい。中でも、ヒドラジンが好ましく、本発明においてヒドラジンとは水和物を含む。本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造においては、前記コバルト塩及び前記還元剤を溶解した溶液にγ型二酸化マンガンを接触させる。前記コバルト塩及び前記還元剤を溶解する溶媒は、前記コバルト塩及び前記還元剤が溶解する限り特に限定されるものではなく、通常使用される溶媒を使用することができるが、水を好適に例示できる。本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造に用いられるγ型二酸化マンガンとしては、特に限定されるものではなく、γ型二酸化マンガン自体の製造方法等について特に制限されない。また、その形状も特に限定されるものではないが、前記溶液との接触面積を増やし均一に接触させる観点から、粒子状が好ましく、平均粒子径が数十nm~数百μmが好ましく、100nm~50μmがより好ましい。純度は、酸素発生反応用触媒や電極材料として使用する観点から、91~100%が好ましい。γ型二酸化マンガンの粒度分布は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造においては、前記コバルト塩と還元剤を前記溶媒に溶解する。こうして得られた溶液とγ型二酸化マンガンを接触させる。両者を接触させる方法としては、特に限定されず、公知の方法を適用することができるが、例えば、前記溶液にγ型二酸化マンガン粒子を浸漬し、撹拌することにより両者を接触させることができる。また、コバルト塩と還元剤を溶媒に溶解すると沈殿が生じる場合があるが、この場合、沈殿が生じた溶液中にγ型二酸化マンガン粒子を浸漬し、前記沈殿と共に撹拌する。コバルト塩と還元剤を溶解するときの温度、及びγ型二酸化マンガン粒子を浸漬して撹拌するときの温度は室温でよいが、20~80℃が好ましく、γ型二酸化マンガン粒子を投入した後の撹拌は、溶液中の二酸化マンガン粒子が均一に分散する程度まで、例えば、5~60分行うとよい。その後、ろ過等の公知の方法でγ型二酸化マンガン粒子を含む溶液中の液体を分離する。そして、得られた残渣を乾燥することにより本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンを得ることができる。乾燥は、真空乾燥等の公知の方法で行うことができる。また、残渣は乾燥前に蒸留水等で洗浄してもよい。溶液に浸漬されるγ型二酸化マンガンと溶液に添加されるコバルト塩との割合は、コバルト原子がγ型二酸化マンガンの結晶構造中に取り込まれる割合等を考慮して、マンガン原子とコバルト原子のモル比で、Mn:Co=10:1~2:1が好ましく、8:1~2:1がより好ましい。溶液に浸漬されるγ型二酸化マンガンと溶液に添加される還元剤との割合は、γ型二酸化マンガンに対して還元剤が、1~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンにおけるマンガン原子とコバルト原子のモル比は、酸素発生反応に対する活性を有するかぎり特に限定されるものではないが、酸素発生反応に対する活性をより向上させる観点から、Mn:Co=30:1~10:1が好ましく、20:1~15:1がより好ましい。
(酸素発生反応用触媒)
上記のようにして得られるコバルト複合γ型二酸化マンガンは、酸素発生反応に対する活性に非常に優れるので、酸素発生反応用触媒として使用できる。酸素発生反応用触媒とは、酸素発生反応のために用いる触媒のことである。本発明の酸素発生反応用触媒は、本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンを含むことを特徴とし、本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンのみからなってもよく、触媒活性を阻害しない程度に他の成分を含んでいてもよい。本発明の酸素発生反応用触媒は、例えば、水の電解における酸素発生反応側の触媒として使用することができる。本発明の水の電解方法は、酸素発生反応用触媒として本発明の酸素発生反応用触媒を用いることを特徴とする。本発明の酸素発生反応用触媒は、酸素発生反応に対する触媒活性が高いので、酸素発生反応側の電極に配置すると水の電解効率を向上させることができる。本発明の水の電解方法においては、水素発生側の触媒は、公知の通常使用される触媒を使用することができ、例えば、白金、二硫化モリブデン等を挙げることができる。また水の電解に用いるその他の電極材料や、電源、容器等は、通常水の電解に使用されるものを使用することができる。
(電極、二次電池又は空気電池)
本発明の電極は、電極を構成する材料に本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンを含むことを特徴とする。本発明の電極は、電極を構成する材料に本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンを含んでいれば特に限定されない。例えば、導電性シート、導電板等の集電体に本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンを固定したものを挙げることができ、本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンをアセチレンブラック等の導電剤、バインダー、溶媒等と混合したものを導電性シート、導電板等に塗布し、乾燥してコバルト複合γ型二酸化マンガンを含む層を形成したものを挙げることができる。本発明の電極は、二次電池の正極、空気電池の空気極側に使用することができる。すなわち、本発明の二次電池又は空気電池は、本発明の電極を備えることを特徴とする。本発明の二次電池又は空気電池においては、本発明の電極以外は、二次電池又は空気電池において通常用いられる材料、部品等を使用することができ、例えば、通常用いられる活物質、触媒、導電剤、バインダー、電解質、電極等を使用することができる。
[実施例1]
(Co-γ-MnOの調製)
塩化コバルト(II)六水和物0.5gを蒸留水で溶解し10mLにした。この溶液にヒドラジン一水和物40μLを加え、攪拌子を用いて5分間攪拌した。この時、淡青色の沈殿が確認できた。この溶液にγ-MnO粉末(東ソー製:HMR-AF、D50=16μm)0.5gを加え、30分間強く攪拌した。攪拌後、溶液を吸引ろ過し、残渣を蒸留水ですすいだ。残渣を回収後室温で真空乾燥させることにより、γ-MnOにコバルトを複合化させてコバルト複合γ型二酸化マンガン(Co-γ-MnO)を得た。なお、濾過によって得られた残渣は、肉眼では淡青色の沈殿は確認できず、乾燥後でも変化はなかった。得られたコバルト複合γ型二酸化マンガンにおけるマンガン原子(Mn)とコバルト原子(Co)の比率を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)(SPS-3500、エスアイアイ・ナノテクノロジー社)を用いて測定した。その結果は、Mn:Co=19.6:1であった。
[比較例1]
ヒドラジン一水和物を加えないこと以外は実施例1と同様にして、塩化コバルト(II)六水和物溶液のみで処理した試料を調製した。
[比較例2]
塩化コバルト(II)六水和物を加えないこと以外は実施例1と同様にして、ヒドラジン一水和物溶液のみで処理した試料を調製した。
(X線回折による構造解析)
実施例1、比較例1及び比較例2で得られた物質を、それぞれX線回折装置(Ultima-IV、リガク社)により構造解析した。測定されたXRDパターンを図1に示す。図1中、最上段は使用したγ-MnO粉末の結果であり、(a)は比較例1で調製した試料の結果であり、(b)は比較例2で調製した試料の結果であり、(c)は実施例1で得られた物質の結果である。塩化コバルト溶液のみで処理したMnOのパターン(a)は、処理前のγ-MnOのパターンと同じであり、塩化コバルト溶液処理のみでは構造に変化はなかった。ヒドラジン溶液のみで処理したMnO(b)と実施例1で得られた物質のパターン(c)では、全てのピークが低角側にシフトした。これは、構造を維持しつつ、 MnO内の原子間距離が大きくなったことを示す。(b)と(c)はパターンがほぼ同じであり、同じ構造と考えられる。
(リニアスイープボルタンメトリー:実施例1)
実施例1で得られたCo-γ-MnOのリニアスイープボルタンメトリーを行った。三電極セルを使用し、対照電極として白金メッシュを使用し、参照電極としてAg/AgClを使用した。実施例1で得られたCo-γ-MnO5mgとアセチレンブラック(導電性カーボン)5mgを、エタノール350μL、水350μL及びナフィオン95μLを含む混合溶液に加え、60分超音波分散した。得られた分散液をアルミナで磨いたディスク電極(直径5mm)に78μL滴下した(活物質量:0.2mg/cm)。その後、ディスク電極を室温、空気中で乾燥させ、これを作用電極とした。電解液には、Oを30分パージした1MKOHを用いた。掃引速度を1mV/sとし、作用極上の酸素バブルを取り除くため回転数を1600rpmとした。酸素発生反応はプロトン生成を伴うため、電解液のpHに依存して水酸化電位が変化する。可逆水素電極(RHE)に変換することで、pHの影響をキャンセルできる。変換には、次式を用いた。pHは14であった。
RHE=0.059×pH+0.199+EAg/AgCl
未処理のγ-MnOについても、同様にしてリニアスイープボルタンメトリーを行った。図2にリニアスイープボルタモグラムを示す。図2中の点線はγ-MnOを含まないアセチレンブラックのみの結果である。図2より明らかなように、アセチレンブラックの電流応答は非常に小さく、導電性カーボンであるアセチレンブラックの影響は無視してよい。未処理の市販のγ-MnOは電流応答が小さく、酸素発生反応に対する触媒性能は低い。一方で、複合化処理を行ったCo-γ-MnOは電流のシャープな立ち上がりが見られ、酸素発生に対する触媒の性能が大きく向上したことが分かる。
図2の立ち上がり部分の解析のために、Tafel plotを作成した。図3に図2の電流密度の常用対数を横軸、水酸化の標準電位1.23Vとの差(過電圧)を縦軸としたプロットを示す。図2及び図3より算出されたパラメーター(開始過電圧は図3の直線領域の低電位側の端点と定義)を表1に示す。ターフェル勾配は図3中のプロットと点線の重複部分から算出され、ターフェル式[η=a+blog(j)]により近似された。ここで、aはTafel定数、bはTafel勾配、jは電流密度である。γ-MnO及びCo-γ-MnOの10mA/cmでの過電圧はそれぞれ636mV、445mV、ターフェル勾配はそれぞれ87mV/dec、51mV/decと見積もられた。ターフェル勾配は、電流値が10倍になるのに要する電位差であり、小さい方が反応速度が速く、活性であり、水酸化における電子移動の速さを表すので、表1の結果は、Co-γ-MnOはγ-MnOよりも反応速度が著しく速いことを示している。
Figure 0007066172000001
(リニアスイープボルタンメトリー:比較例1及び2)
比較例1及び2で得られた試料のリニアスイープボルタンメトリーを、それぞれ実施例1で得られたCo-γ-MnOの場合と同様に行った。その結果を図4に示す。比較のために、上記で測定した実施例1で得られたCo-γ-MnOの結果も図4中に示した。比較例1で得られた試料、比較例2で得られた試料共に、電流応答はCo-γ-MnOと比較してはるかに小さい。このことから、電流応答の向上には、ヒドラジンとコバルトの両方による処理が必要であることが分かる。
上記から、ヒドラジン溶液のみで処理したγ-MnOと、ヒドラジンとコバルトの両方を含む溶液で処理したγ-MnOは、単位格子の各辺の長さが増大している。しかし、ヒドラジン溶液のみで処理したγ-MnOは、コバルトが存在しないため触媒活性を示さない。また、コバルト溶液だけで処理してもγ-MnOは触媒活性を示さず、これはコバルトがγ-MnO粒子の表面に単に付着しているか、蒸留水により洗浄により洗い流されたためと考えられる。一方、ヒドラジンとコバルトの両方を含む溶液で処理したγ-MnOは、単位格子の各辺の長さが増大し、コバルトはMnO骨格の一部を置換して結晶構造中に含有されていると考えられる。
(リニアスイープボルタンメトリー:貴金属触媒との比較)
市販のIrO(純度99.9%、StremChemicals社)及びRuO(純度99.9%、シグマアルドリッチ社)のリニアスイープボルタンメトリーを、それぞれ実施例1で得られたCo-γ-MnOの場合と同様に行った。その結果を図5に示す。OER電流の立ち上がり電位はIrOが最も小さく、RuO、実施例1で得られたCo-γ-MnO、γ-MnOの順に大きかった。図5の立ち上がり部分の解析のために、Tafel plotを作成した。図6に図5の電流密度の常用対数を横軸、水酸化の標準電位1.23Vとの差(過電圧)を縦軸としたプロットを示す。図5及び図6より算出されたパラメーター(開始過電圧は図6の直線領域の低電位側の端点と定義)を表2に示す。ターフェル勾配は図6中のプロットと点線の重複部分から算出され、ターフェル式[η=a+blog(j)]により近似された。ここで、aはTafel定数、bはTafel勾配、jは電流密度である。ターフェル勾配は、Co-γ-MnOが最も小さく(最も触媒活性が高い)、IrO、RuOの順に大きかった。貴側での電流はCo-γ-MnOの方がRuOよりもはるかに大きかった。
Figure 0007066172000002
(繰り返し性評価)
実施例1で得られたCo-γ-MnOの繰り返し特性を評価した。段落[0018]と同様に実施例1で得られたCo-γ-MnOのサイクリックボルタンメトリーを行った。本評価では、100サイクルを行い繰り返しによる特性の変化を測定した。その結果を図7に示す。
[実施例2]
塩化コバルト(II)六水和物0.5gの代わりに硫酸コバルト(II)七水和物0.59g(マンガンに対するコバルトのモル比は実施例1と同じ)を使用し実施例1と同様の手順でコバルト複合γ型二酸化マンガン(Co-γ-MnO)を調製した。実施例1とは異なり、ヒドラジンの添加直後、コバルト溶液は一時的に白く濁ったが直ちに添加直前の色に戻った。実施例2で得られたCo-γ-MnOのリニアスイープボルタンメトリーを、実施例1の場合と同様に行った。その結果を図8に示す。比較のために、実施例1で測定したCo-γ-MnOの結果も図8中に示した。実施例2で得られたCo-γ-MnOも活性向上効果を示した。
[実施例3]
ヒドラジン一水和物の添加量を20μL、80μLにそれぞれ変えた以外は実施例1と同様の手順でコバルト複合γ型二酸化マンガン(Co-γ-MnO)を調製した。実施例3で得られたCo-γ-MnOのリニアスイープボルタンメトリーを、実施例1の場合と同様に行った。その結果を図9に示す。
[実施例4]
ヒドラジン一水和物の添加量を20μL、80μLにそれぞれ変えた以外は実施例2と同様の手順でコバルト複合γ型二酸化マンガン(Co-γ-MnO)を調製した。実施例4で得られたCo-γ-MnOのリニアスイープボルタンメトリーを、実施例1の場合と同様に行った。その結果を図10に示す。実施例3で調製したCo-γ-MnOは、ヒドラジンの添加量を変えても活性の大きな変化はみられなかったが、実施例4で調製したCo-γ-MnOは、ヒドラジンの添加量の増加とともに活性が向上した。
本発明のコバルト複合γ型二酸化マンガンは、酸素発生反応に対する活性に優れるので、水の電解等における酸素発生反応用触媒として好適に使用できる。また、二次電池や空気電池における電極として使用することができる。

Claims (6)

  1. コバルトを結晶構造中に含有することを特徴とするコバルト複合γ型二酸化マンガンを含む酸素発生反応用触媒。
  2. 酸素発生反応用触媒として請求項記載の酸素発生反応用触媒を用いることを特徴とする水の電解方法。
  3. コバルト塩及び還元剤を溶解した溶液とγ型二酸化マンガンを接触させた後、乾燥することを特徴とするコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造方法。
  4. コバルト塩及び還元剤を溶解した溶液にγ型二酸化マンガン粒子を浸漬して撹拌する工程、及び前記γ型二酸化マンガン粒子が浸漬された溶液をろ過し、残渣を乾燥する工程を含むことを特徴とする請求項記載のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造方法。
  5. コバルト塩が塩化コバルトであることを特徴とする請求項又は記載のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造方法。
  6. 還元剤がヒドラジンであることを特徴とする請求項のいずれか記載のコバルト複合γ型二酸化マンガンの製造方法。
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