JP5793655B2 - 酸素を発生させる方法、水の電気分解装置および陽極 - Google Patents
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Description
本発明は、酸素を発生させる方法および水の電気分解装置に関する。
特許文献1は、化学式ABO2(ここで、Aは白金、パラジウム、銀、またはコバルトを表し、かつBはクロム、鉄、コバルト、ロジウム、アルミニウム、ガドリニウム、スカンジウム、インジウム、タリウム、鉛、ルテニウム、またはランタニドを表す)により表されるデラフォサイト化合物を表面に有する陽極を用いて塩化ナトリウムを電解することによって、塩素を発生する方法を開示している。しかし、特許文献1は、酸素を発生する方法については何も開示していない。
J. Suntivich, et al., "A Perovskite Oxide Optimized for Oxygen Evolution Catalysis from Molecular Orbital Principles" Science, vol. 334, December 2011. pp. 1383-1385.
ロシアン・ジャーナル・オブ・インオルガニック・ケミストリー、31巻、1649頁(1986年)
水の電気分解に必要とされる理論的な電圧は、1.23ボルトである。しかし、実際の水の電気分解には、電極における過電圧のために、1.23ボルトを超える電圧が必要である。過電圧が小さいほど、水の電気分解はより効率的に進行する。本明細書において用いられる用語「過電圧」とは、水を電気分解することによって陽極上で酸素を発生させるために必要な理論電圧からの電圧差を意味する。例えば、金属Mから形成される陽極を用いて水を電気分解することによって酸素を発生させるために2.0ボルトの電圧が必要とされた場合、金属Mは0.77ボルト(=2.0ボルト−1.23ボルト)の過電圧を有する。
後述される比較例において実証されるように、本発明者らは、様々な銅デラフォサイト化合物を用いて、水を電気分解して酸素を発生させた。その結果、ほとんど全ての銅デラフォサイト化合物は、その大きな過電圧のために、水の電気分解には適していなかった。
しかし、本発明者らは、様々な銅デラフォサイト化合物の中から、水の電気分解により酸素を発生させるために好適な銅デラフォサイト化合物を見いだし、本発明を完成した。本発明の目的は、陽極として銅デラフォサイト化合物を利用する水の電気分解により効率よく酸素を発生する方法を提供することにある。本発明の目的は、その方法に適した水の電気分解装置を提供することでもある。
本発明は、酸素を発生させる方法であって、以下の工程を具備する:
(a) 以下を具備する水の電気分解装置を用意する工程、
容器、
電源、
陽極、
陰極、および
電解質水溶液、ここで、
前記陽極および前記陰極は、前記電解質水溶液にに接しており、
前記陽極は、化学式CuRhO2により表される銅ロジウムデラフォサイト化合物を有しており、
前記銅ロジウムデラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液に接しており、
(b) 前記電源を用いて前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記銅ロジウムデラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる工程。
(a) 以下を具備する水の電気分解装置を用意する工程、
容器、
電源、
陽極、
陰極、および
電解質水溶液、ここで、
前記陽極および前記陰極は、前記電解質水溶液にに接しており、
前記陽極は、化学式CuRhO2により表される銅ロジウムデラフォサイト化合物を有しており、
前記銅ロジウムデラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液に接しており、
(b) 前記電源を用いて前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記銅ロジウムデラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる工程。
本発明は、陽極として銅デラフォサイト化合物を利用する水の電気分解により効率よく酸素を発生する方法を提供する。本発明は、その方法に好適な水の電気分解装置も提供する。
本発明の実施形態が、以下、図面を参照しながら説明される。
(実施形態1)
図1は、実施形態1による水電解装置100の模式図を示す。実施形態1による水電解装置100は、容器11、陽極12、陰極13、および電源14を具備する。
図1は、実施形態1による水電解装置100の模式図を示す。実施形態1による水電解装置100は、容器11、陽極12、陰極13、および電源14を具備する。
(容器11)
容器11の内部には、電解質水溶液15が貯留されている。電解質水溶液15の例は、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムのようなアルカリ性水溶液である。アルカリ性水溶液を用いて水を電解することにより、酸素発生の効率を向上させ、かつ電解に必要とされる電力を減少できる。
容器11の内部には、電解質水溶液15が貯留されている。電解質水溶液15の例は、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムのようなアルカリ性水溶液である。アルカリ性水溶液を用いて水を電解することにより、酸素発生の効率を向上させ、かつ電解に必要とされる電力を減少できる。
電解質水溶液15に含まれる電解質の他の例は、硫酸、硝酸、または過塩素酸である。より具体的には、電解質水溶液15に含まれる電解質のカチオンの例は、プロトン、アルカリ金属イオン、またはアルカリ土類金属イオンである。電解質水溶液15に含まれる電解質のアニオンの例は、化学式OH-で表される水酸化物イオン、化学式SO4 2-で表される硫酸イオン、化学式NO3 -で表される硝酸イオン、または化学式ClO4 -で表される過塩素酸イオンである。化学式F-、Cl-、Br-、またはI-により表されるハロゲン化物イオンは、電解質水溶液15に含まれる電解質のアニオンから除外される。万一、電解質水溶液15がハロゲン化物イオンを含有する場合、陽極12上では、酸素ではなくハロゲンが生成する。電解質水溶液15に含まれる電解質の例は、このようなカチオンおよびアニオンから構成される塩である。例えば、電解質水溶液に含まれる電解質のさらに他の例は、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、または過塩素酸カリウムである。
(陽極12)
陽極12及び陰極13は、電解質水溶液15に接するように、容器11の内部に配置される。陽極12及び陰極13は、後述する電源14に電気的に接続されている。陽極12上では、酸素が発生する。陰極13上では、水素が発生する。
陽極12及び陰極13は、電解質水溶液15に接するように、容器11の内部に配置される。陽極12及び陰極13は、後述する電源14に電気的に接続されている。陽極12上では、酸素が発生する。陰極13上では、水素が発生する。
陽極12は、銅ロジウムデラフォサイト化合物を有している。望ましくは、酸素が、陽極12に含まれる銅ロジウムデラフォサイト化合物の表面上で発生するように、陽極12は、その表面に銅ロジウムデラフォサイト化合物を有している。銅ロジウムデラフォサイト化合物は、化学式CuRhO2により表される。言い換えれば、銅ロジウムデラフォサイト化合物は、Aサイトが銅であり、かつ、Bサイトがロジウムであるデラフォサイト化合物構造を有する酸化物を意味する。
銅ロジウムデラフォサイト化合物は、高い化学的安定性を有する。そのため、広いpH領域で用いられても、銅ロジウムデラフォサイト化合物は分解されにくい。
銅ロジウムデラフォサイト化合物を合成する方法は限定されない。銅ロジウムデラフォサイト化合物を合成する方法の例は、固相反応法、水熱合成法、またはスパッタリング法である。
陽極12は、銅ロジウムデラフォサイト化合物を担持した導電性基板により形成され得る。銅ロジウムデラフォサイト化合物を担持させる方法は、限定されない。例えば、合成された銅ロジウムデラフォサイト化合物を含有するスラリーが調製され、次いで、導電性基板へ当該スラリーが塗布され、導電性基板に銅ロジウムデラフォサイト化合物を担持する。当該スラリーは、導電性のカーボン粒子、酸化錫、分散性を向上させるための添加剤、および/または電解時に発生する気泡の凝集を抑制するための材料を含有し得る。これらは、銅ロジウムデラフォサイト化合物の触媒効果を低下させる要因とはならない。
導電性基板は、板、ロッド、またはメッシュ状のような種々の形状を有し得る。導電性基板の材料は、酸化雰囲気に晒されてもその導電性を維持できる材料が望ましい。導電性基板の材料の例は、弁金属またはカーボンである。弁金属とは、酸に曝された際に不導態皮膜が形成される表面を有する金属を意味する。弁金属の例は、チタン、アルミニウム、クロム、またはその合金である。
陽極12は、導電性基板を具備する必要はない。このような陽極12は、例えば、銅ロジウムデラフォサイト化合物の粒子を圧着または焼結することによって得られ得る。このような陽極12は、導電性を向上させるための導電性カーボン材料、粒子間の密着性を高めるためのフラックス材料、および/または電解時に発生する気泡の凝集を抑制するための材料を含有し得る。
陽極12は、電解質水溶液15に接する。具体的には、陽極12に含まれる銅ロジウムデラフォサイト化合物が電解質水溶液15に接する。銅ロジウムデラフォサイト化合物が電解質水溶液15に接する限り、陽極12の一部のみが電解質水溶液15に接触し得る。
<陰極13>
陰極13は、導電性物質から形成される。具体的には、陰極13の表面が導電性物質から形成される。好適な導電性物質の例は、水素を発生させるために低い過電圧を有する白金またはニッケル化合物である。導電性物質が電解質水溶液15中で分解されない限り、導電性物質の材料は限定されない。
陰極13は、導電性物質から形成される。具体的には、陰極13の表面が導電性物質から形成される。好適な導電性物質の例は、水素を発生させるために低い過電圧を有する白金またはニッケル化合物である。導電性物質が電解質水溶液15中で分解されない限り、導電性物質の材料は限定されない。
陰極13は電解質水溶液15に接する。具体的には、陰極13に含まれる導電性物質が電解質水溶液15に接する。導電性物質が電解質水溶液15に接する限り、陰極13の一部のみが電解質水溶液15に接触し得る。
<電源14>
電源14は、陽極12及び陰極13間に、所定の電位差を印加するために用いられる。電源14を用いて陽極12及び陰極13の間に所定の電位差が印加され、電解質水溶液に含有される水を電気分解する。1.6ボルト以上4.0ボルト以下の電位差が印加されることが望ましい。電源14の例は、ポテンシオスタットまたは電池である。
電源14は、陽極12及び陰極13間に、所定の電位差を印加するために用いられる。電源14を用いて陽極12及び陰極13の間に所定の電位差が印加され、電解質水溶液に含有される水を電気分解する。1.6ボルト以上4.0ボルト以下の電位差が印加されることが望ましい。電源14の例は、ポテンシオスタットまたは電池である。
<隔膜16>
水電解装置100は、陽極12及び陰極13の間に、隔膜16を有する。隔膜16は、容器11の内部を、陽極12が位置する第1室および陰極13が位置する第2室に分割する。
水電解装置100は、陽極12及び陰極13の間に、隔膜16を有する。隔膜16は、容器11の内部を、陽極12が位置する第1室および陰極13が位置する第2室に分割する。
隔膜16の例は、素焼き板のような多孔性セラミックス板、ポリプロピレンフィルムのような多孔性高分子膜、またはナフィオン(登録商標)のようなイオン交換膜である。
隔膜16は、陽極12上で発生した酸素が、陰極13で発生した水素と混合しないようにする為に設置する。隔膜16が無い場合、水の電解に問題は生じないが、陽極12上で生成した酸素が陰極13に移動し得る。陰極13に移動した酸素は、水に変換される。その結果、酸素の発生効率は低下する。このような逆反応を抑制するために、隔膜16が水電解装置100に設けられることが望ましい。
図1に示される水電解装置100では、陽極12、隔膜16、および陰極13は、間隔を置いて配置されている。しかし、水電解装置100は、陽極12および陰極13が隔膜16の表面および裏面にそれぞれ密着している一体型の電解セルから構成され得る。
図2は、水電解装置の他の例である薄膜型の電解セルを示す。図2に示される薄膜型の電解セルは、電解質膜17と、電解質膜17の表面に形成された陽極12、および電解質膜17の裏面に形成された陰極13を具備する。薄膜型の電解セルは、水電解装置100の容器11に代えて、電解質膜17を具備する。電解質17の例は、イオン交換膜、またはセラミックの固体電解質膜である。イオン交換膜の例は、陽イオン交換型のナフィオン(登録商標)、セレミオン(登録商標)、または陰イオン交換膜(例えば、株式会社トクヤマ製)である。セラミックの固体電解質膜の例は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、またはスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)のようなジルコニア系のセラミックである。イオン交換膜から形成された電解質膜17を具備する薄膜型の電解セルは、ポリマー電解質膜(以下、「PEM」という)型の電解セルである。セラミックの固体電解質から形成された電解質膜17を具備する電解セルは、固体電解質型の電解セルである。固体電解質型の電解セルは、高温水蒸気型の電解セルでもある。
<本発明者らの知見>
銅の酸化物は、酸素発生に必要とされる過電圧が高いため、陽極の材料として適さないと考えられる。後述される参考例1を参照せよ。
銅の酸化物は、酸素発生に必要とされる過電圧が高いため、陽極の材料として適さないと考えられる。後述される参考例1を参照せよ。
デラフォサイト型構造を有する金属酸化物は、一般的に化学式ABO2により表される。特許文献1は、デラフォサイト化合物を含有する陽極を開示している。しかし、そのBサイトの材料に応じて、エネルギー効率が異なることを開示していない。
本発明者らは、Aサイトが銅であるデラフォサイト構造を有する材料のエネルギー効率が、Bサイトの材料に応じて異なる可能性を鋭意、研究した。
まず、本発明者らは、理論的に検討した。
非特許文献1によれば、化学式ABO3によって表されるペロブスカイト酸化物に含有される遷移金属Bサイトにおける電子のeg軌道の占有数が1に近い程、酸素の発生に必要とされる過電圧が低くなる。このように、酸化物の酸素発生触媒の特性は、酸化物の電子構造に関連し得る。
本発明者らは、銅デラフォサイト化合物もまた、同様の関係性を有すると予想し、そして密度汎関数理論に基づいて銅デラフォサイト化合物の電子状態を計算した。
図3は、銅デラフォサイト化合物のBサイトにおけるeg軌道の占有数の計算結果を示す。
図3の縦軸は、eg軌道の占有数を表し、かつ横軸は、Bサイトの材料を表す。図3に示す計算結果においては、Aサイトは銅であり、かつBサイトは、アルミニウム、ガリウム、鉄、イットリウム、およびロジウムである。
図3に示される結果から明らかなように、Bサイトの占有数は、以下の(II)の関係を有する。
Ga<Y<Al<<Fe<Rh (II)
そのため、酸素を発生させるために必要な過電圧は、ロジウム、鉄、アルミニウム、イットリウム、およびガリウムの順に低くなることが予想される。鉄の占有数の値はロジウムと同じであるため、鉄が用いられた場合の酸素を発生させるために必要な過電圧は、ロジウムが用いられた場合と同じであると予想される。
そのため、酸素を発生させるために必要な過電圧は、ロジウム、鉄、アルミニウム、イットリウム、およびガリウムの順に低くなることが予想される。鉄の占有数の値はロジウムと同じであるため、鉄が用いられた場合の酸素を発生させるために必要な過電圧は、ロジウムが用いられた場合と同じであると予想される。
しかし、後述される実施例1を比較例2と比較すれば明らかなように、銅ロジウムデラフォサイト化合物は、銅鉄デラフォサイト化合物よりも、ずっと低い過電圧を有することを本発明者は見いだした。言い換えれば、上記の計算結果によれば、銅ロジウムデラフォサイト化合物の過電圧は、銅鉄デラフォサイト化合物の過電圧と同様であると考えられたが、実際には、銅ロジウムデラフォサイト化合物から形成される陽極が用いられた場合、銅鉄デラフォサイト化合物と比較して、ずっと低い過電圧、つまり極めて優れたエネルギー効率で、水が電解されることを本発明者らは見出した。
後述される実施例1を比較例1〜比較例4と比較すれば明らかなように、銅ロジウムデラフォサイト化合物を有する陽極12を用いることで、低い過電圧、つまり優れたエネルギー効率で、水が電解される。銅ロジウムデラフォサイト化合物から形成される陽極12を具備する水電解装置100は、高いエネルギー効率を有する酸化コバルトCo3O4から形成した陽極を具備する水電解装置と同じエネルギー効率を有する。実施例1および参考例2を参照せよ。一方、本発明者らは、銅ロジウムデラフォサイト化合物以外の銅デラフォサイト化合物が用いられた場合には、水の電気分解によって酸素の発生のために必要な過電圧は高いことも見いだした。比較例1〜比較例4を参照せよ。
(実験例)
以下の実験例は、本発明をより詳細に説明する。本発明者らは、水電解装置100に用いられる陽極12の材料および陽極12上で酸素が発生するために必要とされる電圧の間の関係を明らかにするために、以下の実験を行った。
以下の実験例は、本発明をより詳細に説明する。本発明者らは、水電解装置100に用いられる陽極12の材料および陽極12上で酸素が発生するために必要とされる電圧の間の関係を明らかにするために、以下の実験を行った。
(実施例1)
(陽極12の作製)
実施例1による陽極12は、導電性カーボン基体上に銅ロジウムデラフォサイト化合物を担持させることによって製造された。
(陽極12の作製)
実施例1による陽極12は、導電性カーボン基体上に銅ロジウムデラフォサイト化合物を担持させることによって製造された。
まず、銅ロジウムデラフォサイト化合物が固相反応法により調製された。
具体的には、化学式Cu2Oにより表される酸化第一銅(和光純薬工業株式会社より入手、1.17グラム)および化学式Rh2O3により表される酸化ロジウム(III)(和光純薬工業株式会社より入手、2.0グラム)が、めのう乳鉢中で十分に粉砕かつ混合され、混合物を得た。
錠剤成形器に、混合物が供給された。次いで、混合物は、40MPaの圧力でプレスされ、酸化第一銅及び酸化ロジウムを含有する錠剤を得た錠剤は、25ミリメートルの直径を有していた。
錠剤は、マッフル炉(フルテック株式会社より入手、商品名:FT−101FMW)中で、摂氏1050度の温度下で、12時間かけて焼成され、焼成物を得た。めのう乳鉢中で、焼成物が粉砕された。このようにして、銅ロジウムデラフォサイト化合物の粒子が得られた。
得られた銅ロジウムデラフォサイト化合物の粒子は、X線回折装置(パナリティカルより入手、X’Pert PRO MPD、ターゲット:Cu、加速電圧:45kV)を用いるX線回折に供された。
図4は、X線回折測定の結果を示す。図4に示されるピークの回折角および相対強度は、非特許文献2に教示された銅ロジウムデラフォサイト化合物の格子定数から求まるピークの回折角及び相対強度によく一致していた。そのため、得られた粒子は、銅ロジウムデラフォサイト化合物と同定された。
銅ロジウムデラフォサイト化合物粒子(60ミリグラム)が、2ミリリットルの純水に分散され、スラリーを調製した。
0.28平方センチメートルの有効反応面積を有する等方性電気黒鉛質(以下、「HPG基板」という。東洋炭素株式会社より入手、商品名:HPG−59)に超音波がアセトン中で印加されて、HPG基板を洗浄した。次いで、HPG基板に超音波がエタノール中で印加され、HPG基板をもう一度洗浄した。
スラリー(20マイクロリットル)がHPG基板に滴下された。次いで、HPG基板は、摂氏80度の温度下で10分乾燥された。5%の濃度を有するナフィオン分散液(シグマ・アルドリッチより入手)がエタノールを用いて4倍に希釈され、1.2%の濃度を有するナフィオン分散液を調製した。次いで、ナフィオン分散液(10マイクロリットル)がHPG基板に滴下された。最後に、HPG基板は、摂氏80度の温度下で10分間、乾燥された。このようにして、銅ロジウムデラフォサイト化合物を含有する陽極が得られた。
(酸素発生特性の評価)
得られた陽極基板は、円筒状のキャップを用いて、回転ディスク電極アタッチメント(日厚計測社製)に作用電極として取り付けられた。
得られた陽極基板は、円筒状のキャップを用いて、回転ディスク電極アタッチメント(日厚計測社製)に作用電極として取り付けられた。
次に、参照極として可逆水素電極(以下、「RHE」という/reversible hydrogen electrode)が用いられた。対極として白金電極が用いられた。電解液として、1mol/Lの濃度を有する水酸化カリウム水溶液が用いられた。ポテンシオスタット(ALS株式会社より入手、商品名:ALS−760C)で電位が掃引され、電流−電位特性を測定した。
図5および図6における曲線(a)は、2000rpmの回転数における実施例1による電流−電位特性である。過電圧は、以下の数式(III)によって定義された。
過電圧=電位差EPD1(ボルト vs. RHE)−1.23(ボルト vs. RHE) (III)
ここで、電位差EPD1は、5mA/cm2の電流が対極および作用電極の間に流れる時の参照極および作用電極の間の電位差を表す。
ここで、電位差EPD1は、5mA/cm2の電流が対極および作用電極の間に流れる時の参照極および作用電極の間の電位差を表す。
過電圧の低下に伴い、酸素の発生効率は高まる。
図5から明らかなように、実施例1による陽極は、1.62ボルトの電位差EPD1を有していた。従って、実施例1による陽極は、0.39ボルトの過電圧を有していた。
図7Aは、電位の掃引が開始される前の実施例1による陽極基板の走査型電子顕微鏡像である。ポテンシオスタットを用いて、電位の掃引が1000回繰り返された。図7Bは、電位の掃引が1000回繰り返された後の実施例1による陽極基板の走査型電子顕微鏡像である。図8は、電位の掃引が1000回繰り返される前後の実施例1における電流−電位特性を示すグラフである。図7A、図7B、および図8から理解されるように、陽極基板は劣化していなかった。それどころか、電位の掃引が1000回繰り返された後には、電流−電位特性は改善していた。言い換えれば、電位の掃引が1000回繰り返された後には、より小さい電圧を用いてより高い電流密度が得られた。
(比較例1)
化学式CuAlO2により表される銅アルミニウムデラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧が計算された。
化学式CuAlO2により表される銅アルミニウムデラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧が計算された。
化学式CuOにより表される酸化第二銅(株式会社高純度化学研究所より入手、6.56グラム)および化学式Al2O3により表される酸化アルミニウム(株式会社高純度化学研究所より入手、4.20グラム)が、めのう乳鉢中で粉砕および混合され、混合物を得た。実施例1の場合と同様に、酸化第二銅及び酸化アルミニウムを含有する錠剤が得られた。
得られた錠剤が焼成ボートに載せられ、次いで錠剤を有する焼成ボードが、環状炉(深田電機製作所製、商品名:FKS)に配置された。1時間あたり200sccmの流量で窒素に置換した後、50sccmの窒素流量で、摂氏1100度の焼成温度下で、10時間かけて錠剤が焼成され、焼成物を得た。めのう乳鉢中で、焼成物が粉砕され、銅アルミニウムデラフォサイト化合物の粒子を得た。化学式CuOにより表される酸化第二銅に代えて、化学式Cu2Oにより表される酸化第一銅(5.84グラム)が用いられ、同様の銅アルミニウムデラフォサイト化合物の粒子を得た。
実施例1の場合と同様に、銅アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極が作成され、その酸素発生特性を評価した。図5における曲線(b)は、比較例1による銅アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極の電流−電位特性である。図5から明らかなように、比較例1による陽極は、1.92ボルトの電位差EPD1を有していた。従って、比較例1による陽極は、0.69ボルトの過電圧を有していた。
(比較例2)
化学式CuFeO2により表される銅鉄デラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧を計算した。
化学式CuFeO2により表される銅鉄デラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧を計算した。
化学式Cu2Oにより表される酸化第一銅(和光純薬工業株式会社より入手、3.50グラム)および化学式Fe2O3により表される酸化鉄(株式会社高純度化学研究所より入手、3.99g)が、めのう乳鉢中で粉砕および混合され、混合物を得た。実施例1の場合と同様に、酸化第一銅及び酸化鉄を含有する錠剤が得られた。
次に、焼成温度が摂氏1000度であったことを除き、比較例1の場合と同様に、錠剤から環状炉を用いて焼成物が得られた。焼成物は、めのう乳鉢中で粉砕され、化学式CuFeO2により表される銅鉄デラフォサイト化合物の粒子を得た。
実施例1の場合と同様に、銅鉄デラフォサイト化合物を含有する陽極が作成され、その酸素発生特性を評価した。図5における曲線(c)は、比較例2による銅鉄デラフォサイト化合物を含有する陽極の電流−電位特性である。図5から明らかなように、比較例2による陽極は、1.90の電位差EPD1を有していた。従って、比較例2による陽極は、0.67ボルトの過電圧を有していた。
(比較例3)
化学式CuYO2により表される銅イットリウムデラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧を計算した。
化学式CuYO2により表される銅イットリウムデラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧を計算した。
化学式CuOにより表される酸化第二銅(株式会社高純度化学研究所より入手、7.90グラム)および化学式Y2O3により表される酸化イットリウム(株式会社高純度化学研究所より入手、11.29グラム)が、めのう乳鉢中で粉砕および混合され、混合物を得た。実施例1の場合と同様に、酸化第二銅及び酸化イットリウムを含有する錠剤が得られた。
次に、焼成温度が摂氏1000度であったことを除き、比較例1の場合と同様に、得られた錠剤から環状炉を用いて焼成物が得られた。得られた焼成物は、めのう乳鉢中で粉砕され、化学式Cu2Y2O5により表される銅イットリウム酸化物の粒子を得た。
得られた銅イットリウム酸化物の粒子は、再度、錠剤成形器に供給された。次いで、粒子は、40MPaの圧力でプレスされ、銅イットリウム酸化物を含有する錠剤を得た。焼成温度が摂氏1190度であったことを除き、比較例1の場合と同様に、得られた錠剤から環状炉を用いて焼成物が得られた。得られた焼成物は、めのう乳鉢中で粉砕され、化学式CuYO2により表される銅イットリウムデラフォサイト化合物の粒子を得た。
実施例1の場合と同様に、銅イットリウムデラフォサイト化合物粒子を含有する陽極が作成され、その酸素発生特性を評価した。図6における曲線(d)は、比較例3による銅イットリウムデラフォサイト化合物を含有する陽極の電流−電位特性である。図6から明らかなように、比較例3による陽極は、2.00ボルトの電位差EPD1を有していた。従って、比較例3による陽極は、0.77ボルトの過電圧を有していた。
(比較例4)
化学式CuGaO2により表される銅ガリウムデラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧を計算した。
化学式CuGaO2により表される銅ガリウムデラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧を計算した。
化学式CuOにより表される酸化第二銅(株式会社高純度化学研究所より入手、7.99グラム)および化学式Ga2O3により表される三酸化ガリウム(株式会社高純度化学研究所より入手、9.37グラム)が、めのう乳鉢中で粉砕され、混合された。実施例1の場合と同様に、酸化第二銅及び三酸化ガリウムを含有する錠剤が得られた。次に、焼成温度が摂氏1000度であったことを除き、比較例1の場合と同様に、得られた錠剤から環状炉を用いて焼成物が得られた。得られた焼成物は、めのう乳鉢中で粉砕され、化学式CuGaO2により表される銅ガリウムデラフォサイト化合物の粒子を得た。化学式CuOにより表される酸化第二銅に代えて、化学式Cu2Oにより表される酸化第一銅(7.18グラム)が用いられ、同様の銅ガリウムデラフォサイト化合物の粒子を得た。
実施例1の場合と同様に、銅ガリウムデラフォサイト化合物粒子を含有する陽極が作成され、その酸素発生特性を評価した。比較例4では、ポテンシオスタットを用いた掃引の回数の増加に伴って、対極および作用電極の間に流れる電流が増加した。掃引が10回繰り返された後、電流は飽和した。図5における曲線(e)は、電流が飽和した後の比較例4による電極の電流−電位特性である。電流が飽和した後、比較例4による陽極が電子顕微鏡を用いて観察された。その結果、銅ガリウム酸化物結晶の一部が溶出しているようであった。そのため、比較例4による陽極は、ポテンシオスタットを用いた掃引が原因で変質したと考えられた。
図9Aは、電位の掃引が開始される前の比較例4による陽極基板の走査型電子顕微鏡像である。ポテンシオスタットを用いて、電位の掃引が10回繰り返された。図9Bは、電位の掃引が10回繰り返され電流が飽和した後の比較例4による陽極基板の走査型電子顕微鏡像である。図10は、電位の掃引が10回繰り返される前後の比較例4における電流−電位特性を示すグラフである。図9A、図9B、および図10から理解されるように、陽極基板は劣化していた。さらに、図10に見られるように、比較例4では、再析出を原因とするカソード電流が観測された。
(参考例1)
化学式CuOにより表される酸化銅を担持した陽極が以下のように作成され、その過電圧を計算した。
化学式CuOにより表される酸化銅を担持した陽極が以下のように作成され、その過電圧を計算した。
化学式CuOにより表される酸化第二銅(株式会社高純度化学研究所より入手、25ミリグラム)が、純水(2ミリリットル)に分散され、スラリーを調製した。実施例1の場合と同様に、このスラリーを用いて陽極が作製され、かつその酸素発生特性を評価した。図6に含まれる曲線(b)は、参考例1による陽極の電流−電圧特性である。参考例1による電極は、1.85のボルトの電位差EPD1を有していた。従って、参考例1による陽極は、0.62ボルトの過電圧を有していた。
(参考例2)
化学式Co3O4により表される酸化コバルトを担持した陽極が以下のように作成され、その過電圧を計算した。
化学式Co3O4により表される酸化コバルトを担持した陽極が以下のように作成され、その過電圧を計算した。
化学式Co3O4により表される酸化コバルト(フルウチ化学株式会社より入手、40ミリグラム)が、純水(2ミリリットル)に分散され、スラリーを調製した。実施例1の場合と同様に、このスラリーを用いて陽極が作製され、かつその酸素発生特性を評価した。図6に含まれる曲線(c)は、参考例2による陽極の電流−電圧特性を示す。参考例2による電極は、1.60のボルトの電位差EPD1を有していた。従って、参考例2による陽極は、0.37ボルトの過電圧を有していた。
(参考例3)
参考例3では、実施例1において用いられたHPG基板自体が陽極として用いられた。言い換えれば、参考例3による陽極は、実施例1において用いられたHPG基板のみから構成された。HPG基板が実施例1の場合と同様に洗浄された後、その酸素発生特性が評価された。図6に含まれる曲線(d)は、参考例3による陽極の電流−電圧特性を示す。参考例3による電極は、2.00のボルトの電位差EPD1を有していた。従って、参考例1による陽極は、0.77ボルトの過電圧を有していた。
参考例3では、実施例1において用いられたHPG基板自体が陽極として用いられた。言い換えれば、参考例3による陽極は、実施例1において用いられたHPG基板のみから構成された。HPG基板が実施例1の場合と同様に洗浄された後、その酸素発生特性が評価された。図6に含まれる曲線(d)は、参考例3による陽極の電流−電圧特性を示す。参考例3による電極は、2.00のボルトの電位差EPD1を有していた。従って、参考例1による陽極は、0.77ボルトの過電圧を有していた。
以下の表1は、実施例1、比較例1〜比較例4、および参考例1〜参考例3による陽極の材料、電位差EPD1、および過電圧を示す。
表1から明らかなように、参考例2を除き、実施例1による銅ロジウムデラフォサイト化合物のみが、低い過電圧を有する。この過電圧は、Co3O4の過電圧と同じであった。そのため、実施例1による銅ロジウムデラフォサイト化合物から形成した陽極を具備する水電解装置は、高いエネルギー効率を有する酸化コバルトCo3O4から形成した陽極を具備する水電解装置と同じエネルギー効率を有する。さらに、表1に示される結果は、図3に示した密度汎関数理論に基づく電子状態の計算結果からは予想し得えない結果であった。
本発明は、陽極として銅デラフォサイト化合物を利用する水の電気分解により効率よく酸素を発生する方法を提供する。
11 容器
12 陽極
13 陰極
14 電源
15 電解質水溶液
16 隔膜
17 電解質膜
12 陽極
13 陰極
14 電源
15 電解質水溶液
16 隔膜
17 電解質膜
Claims (5)
- 酸素を発生させる方法であって、以下の工程を具備する:
(a) 以下を具備する水の電気分解装置を用意する工程、
容器、
電源、
陽極、
陰極、および
電解質水溶液、ここで、
前記陽極および前記陰極は、前記電解質水溶液に接しており、
前記陽極は、化学式CuRhO2により表される銅ロジウムデラフォサイト化合物を有しており、
前記銅ロジウムデラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液に接しており、
(b) 前記電源を用いて前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記銅ロジウムデラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる工程。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記容器はさらに隔膜を具備し、
前記隔膜は、容器の内部を、前記陽極を有する第1室および前記陰極を有する第2室に分割している。 - 酸素を発生するために用いられる水の電気分解装置であって、以下を具備する:
容器、
電源、
陽極、および
陰極、ここで、
電解質水溶液が、前記容器に貯留されており、
前記陽極および前記陰極は、前記電源に電気的に接続されており、
前記陽極および前記陰極は、前記電解質水溶液に接しており、
前記陽極は、化学式CuRhO2により表される銅ロジウムデラフォサイト化合物を有しており、
前記銅ロジウムデラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液に接している。 - 請求項3に記載の水の電気分解装置であって、
前記容器はさらに隔膜を具備し、
前記隔膜は、容器の内部を、前記陽極を有する第1室および前記陰極を有する第2室に分割している。 - 水の電気分解により酸素を発生するための陽極であって、
化学式CuRhO2により表される銅ロジウムデラフォサイト化合物を有している、陽極。
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