JP4851691B2 - 硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料とこれを利用した硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽、並びに電子導電性セラミックス粉体と立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体 - Google Patents

硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料とこれを利用した硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽、並びに電子導電性セラミックス粉体と立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体 Download PDF

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本発明は、硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料とこれを利用した硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽、並びに電子導電性セラミックス粉体と立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体に関する。さらに詳述すると、本発明は、Aサイトに希土類元素を有する立方晶系チタン酸化物パイロクロア(一般的な化学式:A2B2O7)であって、硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽の電極材料に適した電子導電性セラミックスの開発に関する。
硫黄サイクルハイブリッド水素製造法とは、熱化学法と電気分解法を併用する水素製造法のことで、より詳しくは、熱化学法の反応の一部に電気分解を取り入れ、低い電圧で電気分解し水素製造可能な利点をもつ水素精製工程において高純度の水素を直接製造できる手法である(図1参照)。この硫黄サイクルハイブリッド水素製造法は、各プロセスの反応速度の制約が小さく熱分解過程が少ないためプロセスが簡素であること、熱化学法の実用化の障壁となっている高純度の水素分離、プロセス材料の耐食性等の問題が緩和されることから、コスト競争力のポテンシャルを有する水素製造法といえる。
これまで、硫黄サイクルハイブリッド水素製造用の電気分解槽の電極材料としては、耐食性に優れ、高触媒能を有する白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)を中心とした白金族酸化物、あるいはそれらの酸化物やチタン(Ti)が候補として考えられ、これらの適用評価試験が米国Westinghouse社により実施されてきた(図2参照)。具体的には、アノード極(硫酸析出極、SO2の酸化反応極)としてTi上にパラジウム酸化物や酸化チタンをコーティングさせた電極(PdOx-TiO2/Ti電極)やPt黒/Ti電極等の各種複合電極の触媒能について検討されてきた。その結果、(1)PdOx-TiO2/Ti電極およびPt黒/Ti電極は、Pt単独電極、RuOx-TiO2/Ti電極、IrOx-TiO2/Ti電極に比して電解電圧が0.15V程度低い0.6Vであること(RuOx-TiO2/Ti電極、IrOx-TiO2/Ti電極はSO2の酸化反応に対して不活性)、(2)限界電流密度も2桁以上高いため、SO2の酸化反応に対し優れた触媒能を有すること、が明らかになった。また、SO2の酸化反応に対して極端に不活性であるカーボンを組み合わせた複合電極についても検討され、PdOx/C電極はPt黒/C電極に比して高触媒能を示すことが明らかになった(非特許文献1参照)。
一方、カソード極(水素発生極)としては、カーボン系材料が評価対象となっている。
L.E.Brecher, S.Spewock, and C.J.Warde, "The Westinghouse Sulfur Cycle for the Thermochemical Decomposition of Water", Int. J. of Hydrogen Energy, Vol.2, pp.7-15 (1977).
以上のように、従来行われてきた検討の結果、電気分解によって水素を発生させるという概念は確立しているものの、実際には高効率の電極材料が未だ開発されていないというのが現状である。例えば、これまでに提案されている白金族を中心とした酸化物電極材料の場合であれば、過電圧が理論値(0.17V)に比べ高いという性能上の問題点を抱える他、コストも非常に高い。
このような現状に対し、硫黄サイクルハイブリッド水素製造法において、非化石燃料を用いた他の水素製造法よりもランニングコストを低くするには、水素製造効率を60%以上に引き上げる必要がある。そのためには、水素が発生する電気分解槽の電極材料として、高耐食性と高導電性を有する安価な材料を開発する必要がある。
そこで、本発明は、硫黄サイクルハイブリッド水素製造法に好適な高耐食性、高導電性、高触媒活性能を有する安価な電極材料に適した電子導電性セラミックス粉体と立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体、およびこの焼結体を利用した硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明者は種々の検討と実験を行った。まず、従来、硫酸等の中でも安定性を示す物質としてはTi元素を有するものしか認識されていない。そこで本発明者は、Tiを含む物質であり尚かつ濃硝酸や濃塩酸の水溶液中でも高耐食性を示す材料について検討した。電気分解環境である50重量%(wt%)硫酸水溶液中での耐硫酸性、ならびに電極表面積の向上等の観点からすれば、導電性セラミックス材料が、従来の白金族を中心とした酸化物電極材料に比べ有利と考えられ、特に、電子導電体は、金属と同等の導電性を示す可能性があることから、電解槽電極として有望と考えられた。そこで、その中の一つであるチタン酸化物パイロクロアに着目した。このチタン酸化物パイロクロアは、硫黄サイクルハイブリッド水素製造装置の電気分解槽中という環境下においても高耐食性を発揮しうる電極を形成することが可能だという点で好適と考えられた。
しかし、チタン酸化物パイロクロアには4価のチタン(Ti4+)が含まれ、電解温度近傍では絶縁体が多いため、電解用電極材料として必要な導電性に欠けるという一面がある。したがってこのチタン酸化物パイロクロアを有効な電解用電極材料として用いるには、Ti4+を3価のチタン(Ti3+)に還元する等の処理(電子導電化処理)が必要となる。
そこで、本発明者はかかる電子誘導化処理を実現するために種々の検討と実験を繰り返し、その結果、これを実現するための技術を知見するに至った。
本発明はかかる知見に基づくものであり、請求項1に記載の発明は、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物 RE2-xTi2O7-δ であって、Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
0<x<0.5
の範囲内とされ、尚かつ当該Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアが還元処理されてなる電子導電性セラミックス粉体によって構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料である。
また、請求項6に記載の発明は、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上(但し、Gd、Sm、Yb及びYを単独で用いる場合を除く)から成る複合酸化物 RE2-xTi2O7-δ であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
0<x<0.5
の範囲内とされ、尚かつ当該Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアが還元処理されてなることを特徴とする電子導電性セラミックス粉体である。
定比組成のチタン酸化物パイロクロア(RE2Ti2O7、RE:Aサイトにおける希土類元素)は、水素などによる還元処理によりチタンの一部が3価(Ti3+)に変わることができ、例えば1000℃においてもその状態を維持するが、肝心の室温状況下では4価(Ti4+)に戻ってしまうという特徴があった。ところが、これに対し、複合酸化物RE2-xTi2O7-δ (RE:Lu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceのうちの一つまたは二つ以上)中のAサイト元素REの量を不定比とし、尚かつ還元処理した場合(例えば還元雰囲気中に晒した場合)には、室温状況下においても3価(Ti3+)を維持できることが認められた。つまり、これら立方晶系チタン酸化物パイロクロア粉体(RE2-xTi2O7-δ、RE:Lu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ce)のAサイトを不定比化した上で還元処理すると、酸素が欠損(欠損量δ)し、d軌道電子を有するチタンの価数が+4価から+3価に変わり、電子導電性が電解温度近傍においても発現するようになる。また、このパイロクロア中のチタン酸化物は、電気分解環境である濃硫酸中でも高耐食性を示す。なお、δは組成・温度等で種々変化する酸素量であり、規定することに意味の無い数値である。
また、この場合における不定比量xについては以下の通りである。すなわち、不定比とするための不定比量xの最小値側の条件は 0<x となる。また、後に実施例の項にて詳しく説明するように、不定比性とAサイトのイオン半径との関係について検討した結果、イオン半径の増大とともに不定比性が上昇し、イオン半径が121.9pmのSm(サマリウム)のとき最大値x<0.5を示し、その後再び減少に転じることを確認した(図17参照)。以上から、不定比量xは少なくとも 0<x<0.5 の範囲内にある必要があることを知見した。
請求項2に記載の発明は、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物であって、Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
0<x<0.5
の範囲内とされ、尚かつBサイトの一部が遷移金属元素Mで置換された複合酸化物 RE2-xTi2-yMyO7-δ (ただし MはCr, Mn, Fe, Co, Ni, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Ptのうちの一つまたは二つ以上)であって、当該Bサイトにおける遷移金属元素Mの置換量yが
0<y≦0.2
の範囲内とされ、尚かつ当該立方晶系チタン酸化物パイロクロア(RE2-xTi2-yMyO7-δ)が還元処理されてなる電子導電性セラミックス粉体によって構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料である。
また、請求項7に記載の発明は、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
0<x<0.5
の範囲内とされ、尚かつBサイトの一部が遷移金属元素Mで置換された複合酸化物 RE 2-x Ti 2-y M y O 7-δ (ただし MはCr, Mn, Fe, Co, Ni, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Ptのうちの一つまたは二つ以上)であって、当該Bサイトにおける前記遷移金属元素Mの置換量yが
0<y≦0.2
の範囲内とされ、尚かつ当該立方晶系チタン酸化物パイロクロア(RE 2-x Ti 2-y M y O 7-δ )が還元処理されてなることを特徴とする電子導電性セラミックス粉体である。
請求項3に記載の発明は、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物 RE2-xTi2O7-δ であって、Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
0<x<0.5
の範囲内とされる立方晶系チタン酸化物パイロクロア粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されている立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体によって構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料である。
また、請求項8に記載の発明は、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上(但し、Gd、Sm、Yb及びYを単独で用いる場合を除く)から成る複合酸化物 RE2-xTi2O7-δ であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
0<x<0.5
の範囲内とされる立方晶系チタン酸化物パイロクロア粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されていることを特徴とする立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体である。
請求項4に記載の発明は、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物であって、Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
0<x<0.5
の範囲内とされ、尚かつBサイトの一部が遷移金属元素Mで置換された複合酸化物 RE2-xTi2-yMyO7-δ (ただし MはCr, Mn, Fe, Co, Ni, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Ptのうちの一つまたは二つ以上)であって、当該Bサイトにおける遷移金属元素Mの置換量yが
0<y≦0.2
の範囲内とされる立方晶系チタン酸化物パイロクロア粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されている立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体によって構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料である。
また、請求項9に記載の発明は、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
0<x<0.5
の範囲内とされ、尚かつBサイトの一部が遷移金属元素Mで置換された複合酸化物 RE 2-x Ti 2-y M y O 7-δ (ただし MはCr, Mn, Fe, Co, Ni, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Ptのうちの一つまたは二つ以上)であって、当該Bサイトにおける前記遷移金属元素Mの置換量yが
0<y≦0.2
の範囲内とされる立方晶系チタン酸化物パイロクロア粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されていることを特徴とする立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体である。
さらに、請求項5に記載の発明である硫黄サイクルハイブリッド水素製造用の電気分解槽は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のアノード電極材料によってアノード電極が構成されているというものである。
以上のように、請求項1に記載のアノード電極材料を構成する電子導電性セラミックス粉体、並びに請求項3に記載のアノード電極材料を構成する電子導電性セラミックス粉体は、Aサイトを不定比化した上で還元処理し、酸素を欠損(欠損量δ)させているものであるため、d軌道電子を有するチタンの価数が+4価から+3価に変わり、室温近傍においても電子導電性を発現させることができる。また、チタン酸化物は、電気分解環境である濃硫酸中でも長時間に亘り高耐食性を示す。したがって、請求項1及び3に記載のアノード電極材料は、硫黄サイクルハイブリッド水素製造法に好適な高耐食性、高導電性を両立したものとなる。しかも、Y、GdやSmを含む希土類元素から成る群から選ばれた元素の一つまたは複数をAサイトに用いているため、請求項1及び3に記載のアノード電極材料によれば、白金族を中心とした従来の酸化物電極材料に比べ低コスト化が期待できる。
また、請求項2に記載のアノード電極材料を構成する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのセラミックス粉体、並びに請求項4に記載のアノード電極材料を構成する立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体は、Aサイトを不定比化した上で還元処理し、酸素を欠損(欠損量δ)させているものであるため、d軌道電子を有するチタンの価数が+4価から+3価に変わり、室温近傍においても電子導電性を発現させることができる。また、チタン酸化物は、電気分解環境である濃硫酸中でも長時間に亘り高耐食性を示す。しかも、Bサイト元素であるチタンの一部を遷移金属に置換しており、このようなBサイトの異種元素による部分置換は触媒特性を低下させる可能性があるが、その置換量yを0<y≦0.20という僅かな量としているので、濃硫酸中の耐蝕性も維持できる上、CoやNi等の遷移金属元素を部分置換しているため、触媒特性のさらなる向上が期待できる。したがって、請求項2及び4に記載のアノード電極材料は、硫黄サイクルハイブリッド水素製造法に好適な高耐食性、高導電性さらには高触媒活性能を両立したものとなる。さらに、Gdを含む希土類元素から成る群から選ばれた元素をAサイトに用い、Bサイト元素にTiと、CoやNi等の遷移金属元素を用いているため、請求項2及び4に記載のアノード電極材料によれば、白金族を中心とした従来の酸化物電極材料に比べ低コスト化が期待できる。
請求項6に記載の電子導電性セラミックス粉体、並びに請求項8に記載の立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体は、Aサイトを不定比化した上で還元処理し、酸素を欠損(欠損量δ)させているものであるため、d軌道電子を有するチタンの価数が+4価から+3価に変わり、室温近傍においても電子導電性を発現させることができる。また、チタン酸化物は、電気分解環境である濃硫酸中でも長時間に亘り高耐食性を示す。この結果、特に硫黄サイクルハイブリッド水素製造法に好適な高耐食性、高導電性を両立したセラミックス粉体が実現する。しかも、希土類元素から成る群から選ばれた元素の一つまたは複数をAサイトに用いているため、白金族を中心とした従来の酸化物電極材料に比べ低コスト化が期待できる。
また、請求項7に記載の電子導電性セラミックス粉体、並びに請求項9に記載の立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体は、Aサイトを不定比化した上で還元処理し、酸素を欠損(欠損量δ)させているものであるため、d軌道電子を有するチタンの価数が+4価から+3価に変わり、室温近傍においても電子導電性を発現させることができる。また、チタン酸化物は、電気分解環境である濃硫酸中でも長時間に亘り高耐食性を示す。しかも、Bサイト元素であるチタンの一部を遷移金属に置換しており、このようなBサイトの異種元素による部分置換は触媒特性を低下させる可能性があるが、その置換量yを0<y≦0.20という僅かな量としているので、濃硫酸中の耐蝕性も維持できる上、CoやNi等の遷移金属元素を部分置換しているため、触媒特性のさらなる向上が期待できる。さらに、Gdを含む希土類元素から成る群から選ばれた元素をAサイトに用い、Bサイト元素にTiと、CoやNi等の遷移金属元素を用いているため、白金族を中心とした従来の酸化物電極材料に比べ低コスト化が期待できる。
また、請求項5に記載の電気分解槽は、高耐食性、高導電性、高触媒活性能を有する安価な電極材料を備えたものであり、硫黄サイクルハイブリッド水素製造用の電解槽として好適である。しかも、この電気分解槽は、電気分解時の過電圧低下が図られるとともに耐久性も維持でき、硫黄サイクルハイブリッド製造の際の水素製造効率の向上ならびにコスト低減に大きく寄与することが期待できる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明の一実施形態を示す。本発明にかかる硫黄サイクルハイブリッド水素製造法とは、図1に示すように熱化学法と電気分解法を併用する水素製造法のことで、詳しくは、熱化学法の反応の一部に電気分解を取り入れ、低い電圧で電気分解し水素製造可能という利点をもつ水素製造手法である。また、各プロセスの反応速度の制約が小さく、熱分解過程が1つしかないため、プロセスが簡素であること、熱化学法の実用化の障壁となっている高純度の水素分離、プロセス材料の耐食性等の問題が緩和されることから、コスト競争力のポテンシャルを有する水素製造法である。
上述したように、本発明は、立方晶系の物質であり尚かつ濃硝酸や濃塩酸の水溶液中でも高耐食性を示す材料を見出す、という観点からチタン酸化物パイロクロアに着目したことに起因するものである。この立方晶系チタン酸化物パイロクロアに関しては、(1)導電性の発現、(2)電気分解環境である80℃、50wt%H2SO4水溶液中での耐硫酸性を明らかにし、導電性発現手法が、パイロクロアのAサイト元素の不定比化、還元処理による酸素の欠損、ならびにBサイト元素の部分置換が有効で、その中でも限られたAサイト元素とその不定比および結晶構造しか導電性と耐硫酸性を両立できないことを見出した。実施例として以下に説明する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
1. 実験方法
1.1 材料合成
パイロクロア構造の基本構造式はA2B2O7である。供試したパイロクロア型セラミックスの焼成条件ならびに水素ガスを含む還元処理条件を表1に示す。なお、「水素ガスを含む還元処理」とは水素ガスを含む各種還元処理のことをいい、その中には水素で還元処理する「水素還元処理」が含まれる。
Figure 0004851691
Ti4+を含むチタン系パイロクロアは、室温近傍では絶縁材料である。これら酸化物に導電性を持たせるには、Aサイト元素(RE)を不定比組成にし、還元してd軌道電子を有するBサイト元素の価数を変化させる(例えば、Tiの場合、+4価から+3価に変える)必要がある。このため、室温近傍においても導電体とするには、Ti3+を安定に存在させる必要がある。本実施例では、供試したパイロクロアの一部に対して、水素ガス等を用いた還元処理を行い、RE2-xTi2O7-δパイロクロアを作製した。
供試セラミックスはすべて固相反応法により作製した。所定のモル比の希土類酸化物(RE2O3、Pr6O11、高純度化学製、99.9 %、1,500℃、1時間仮焼)、MnO、Fe2O3、CoO、NiO、TiO2(高純度化学製、99.9 %、1200℃、4 時間仮焼)、と置換元素(M)の酸化物(高純度化学製、99.9 %)をアルミナ乳鉢で混合し、1,200℃で10時間仮焼後、粉砕した。その後、ジルコニア製遊星型ボールミル内でエタノール(C2H5OH、ナカライテスク製、98 %)を用い湿式混合した後、40 MPaでペレットに加圧成型し、1,300〜1,600℃で10 〜20時間焼成した。
水素還元処理は、RE2-xTi2O7-dパイロクロア(RE=La、Pr、Sm、Nd、Gd、Yb、Y)に対してのみ行い、1,500℃で10時間焼成後、流量50 ml/分の水素ガス中、1,000℃で1時間行った。このときの酸素分圧は4×10-19 atm(1,000℃)で、昇温速度および降温速度はそれぞれ2℃/分、50℃/分とした。
焼成したセラミックスの結晶構造は粉末X線回折法(X-ray Diffractometry、以下XRD測定、Mac Science, M18XHF22)により同定し、セラミックス中の酸素欠損量は熱重量測定(Thermal Gravity、以下TG測定、Mac Science, TG-DTA-5000S)により定量した。
1.2 導電率測定
水素還元処理を施した作製したパイロクロア型セラミックスを5mm(幅)x5mm(高さ)x10mm(長さ)に切り出し、電気炉中、真空雰囲気下において、電気分解温度である80℃で、直流四端子法により導電率を測定した。
1.3 耐硫酸性評価試験
表1に示すセラミックス材料を電気分解環境である80℃, 50wt% H2SO4水溶液中で65時間、耐硫酸性を評価した。また、65時間浸漬試験の結果、耐硫酸性が良いとされたものに関しては、上記水溶液中に最大1,000時間浸漬し、長期耐硫酸性を評価した。試験装置を図2に示す。なお、図中の符号1は三口フラスコ、2はリービッヒ冷却管、3は油浴、4は熱電対、5はヒーター、6は温度調節器、7はスターラー、8は酸化物セラミックス、9は硫酸水溶液である。
耐硫酸性の評価は、重量変化量ならびに高周波誘導結合プラズマ発光質量分析(島津製作所(株)製、ICPM-8500型、Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry、以下ICP-MSと略す)を用い、構成元素の溶解量測定により行った。
2. 作用
2.1 結晶構造
2.1.1 Aサイトを不定比化したチタン酸化物パイロクロア
図3および図4にYb2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)のXRD結果および回折結果から得られた格子定数と不定比との関係をそれぞれ示す。図3中の星印は、目的とするパイロクロア以外の相の形成を示す(他の図中の星印も同様)。また、cps は count per second を表している。図3より、x=0.1のときTiO2のピークが観察されること、つまり、結晶学的にTiO2の存在を示すX線強度がピークとして観察されることが明らかとなった。また、図4より、0≦x≦0.1において単一相のパイロクロアが形成されることが明らかとなった。なお、単一相とは他の結晶系や化学組成物を含まない相のこと、すなわちパイロクロアのみの相のことを指す。ちなみに、複合相(単一相以外の相)の導電率は単一相のそれに比して低くなる(例えば、半導体的性質を示すTiO2を含む場合、導電率は低下する)。なお、Yb2-xTi2O7-δ格子定数は、a = 10.024(1) Å、V =1007.08 Å3、Z = 8であった。
図5および図6にY2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)のXRD結果および回折結果から得られた格子定数と不定比との関係をそれぞれ示す。図5より、x=0.1のときTiO2のピークが観察されること、図6より、H2還元雰囲気下では不定比の増加とともに格子定数の低下が見られ、0≦x≦0.1では単一相のパイロクロアが形成されることが明らかとなった。なお、Y2-xTi2O7-δ格子定数は、a = 10.0904(5) Å、V =1027.39 Å3、Z = 8であった。
図7および図8にGd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.28)のXRD結果および回折結果から得られた格子定数と不定比との関係をそれぞれ示す。図7より、x=0.28のときTiO2のピークが観察されること、図8より、不定比の増加とともに格子定数の低下が見られ、0≦x≦0.28では単一相のパイロクロアが形成されることが明らかとなった。なお、パイロクロアにはAサイト欠損とAサイト富化の2種類の不定比性が存在することを考慮し、図8に示す実施例においては「−0.1≦x≦0 」(すなわちAサイト富化)の条件下でも実験を行い、その結果、−0.1≦x≦0 では単一相にならないことを確認した。Gd2-xTi2O7-δの格子定数は、a = 10.1905(4) Å、V =1058.24 Å3、Z = 8であった。
図9および図10にSm2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.5)のXRD結果および回折結果から得られた格子定数と不定比との関係をそれぞれ示す。図9より、x=0.5のときTiO2のピークが観察されること、図10より、不定比の増加とともに格子定数の低下が見られ、0≦x<0.5では単一相のパイロクロアが形成されることが明らかとなった。なお、Sm2-xTi2O7-δの格子定数は、a = 10.2359(3) Å、V =1072.45 Å3、Z = 8であった。
図11および図12にNd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.2)のXRD結果および回折結果から得られた格子定数と不定比との関係をそれぞれ示す。図11および図12より、0≦x<0.2のとき単一相のパイロクロアが形成されることが判った。なお、Nd2-xTi2O7-δの格子定数は。a = 13.006(1) Å, b = 5.4669(2) Å、c = 7.679(1) Å、β= 98.52(1) °、V =539.90 Å3、Z = 4であった。
図13および図14にPr2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.2)のXRD結果および回折結果から得られた格子定数と不定比との関係をそれぞれ示す。図13より、x≧0.1のときPr4Ti9O24のピークが観察されること、図14より、0≦x<0.1のとき単一相のパイロクロアが形成されることが判った。なお、Pr2-xTi2O7-δの格子定数は、a = 13.001(1) Å、b = 5.483(1) Å、c = 7.721(1) Å、β= 98.52(1) °、V =544.36 Å3、Z = 4であった。
図15および図16にLa2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)のXRD結果および回折結果から得られた格子定数と不定比との関係をそれぞれ示す。図15より、x≧0.05のときLa4Ti9O24のピークが観察されること、図16より、0≦x<0.05のとき単一相のパイロクロアが形成されることが判った。なお、La2-xTi2O7-δの格子定数は、a = 13.016(1) Å, b = 5.5478(8) Å, c = 7.810(1) Å、β= 98.61(1) °, V =557.61 Å、Z = 4であった。
また、構造解析の結果、AサイトがLa、Pr、Ndのパイロクロアは単斜晶、Yb、Y、Gd、 Smのパイロクロアは立方晶であった。
図17に不定比性とAサイトのイオン半径との関係を示す。図17中の「パイロクロア安定組成領域」とは、単一相が安定に存在する領域のことを指す。この図から判るように、イオン半径の最も小さいYbの不定比性は0≦x<0.1となり、イオン半径の増大とともに不定比性は上昇し、イオン半径が121.9pmのSmのとき最大値0≦x<0.5を示し、その後再び減少に転じ、PrやLaでは0≦x<0.1となった。図17より、Lu2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)、Yb2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)、Tm2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)、Er2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)、Ho2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)、Y2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)、Dy2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)、Tb2-xTi2O7-δ(0≦x<0.3)、Gd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.28)、Eu2-xTi2O7-δ(0≦x<0.3)、Sm2-xTi2O7-δ(0≦x<0.5)、Ce2-xTi2O7-δ(0≦x<0.2)のとき、パイロクロア単一相が形成されることが判った。なお、図17には代表的なAサイト元素のみがプロットされているが、本実施例に係るパイロクロアの不定比性はAサイトイオンの半径に依存することから、結晶学的にもEr等の元素について上記のように判断してよいと考えられる。
図18、図20および図22にGd2-zNdzTi2O7-δ(0≦z≦0.2)、Gd2-zPrzTi2O7-δ(0≦z≦0.2)およびGd2-zLazTi2O7-δ(0≦z≦0.2)のXRD結果(X線回折パターン)をそれぞれ示す。図19、図21および図23には、Gd2-zNdzTi2O7-δ(0≦z≦0.2)、Gd2-zPrzTi2O7-δ(0≦z≦0.2)およびGd2-zLazTi2O7-δ(0≦z≦0.2)の格子定数をそれぞれ示す。図18より、0≦z≦0.2のとき単一相のパイロクロアGd2-zNdzTi2O7-δが形成されること、図20より、0≦z≦0.2のとき単一相のパイロクロアGd2-zPrzTi2O7-δが形成されること、図22より、z=0.2のとき斜方晶系のパイロクロアが形成されることから0≦z<0.2のとき単一相のパイロクロアGd2-zLazTi2O7-δが形成されることが判った。
以上より、その置換量に制限はあるものの立方晶系のチタン酸化物パイロクロアに単斜晶を構成する元素を加えても立方晶を示すことが判った。
2.1.2 Aサイトを不定比化した上、Bサイトを部分置換したガドリニウムチタン酸化物パイロクロア
図24にGd2-xTi1.9Cr0.1O7-δ(0≦x≦0.28)のXRD結果を示す。これより、0<x≦0.28において単一相のパイロクロアが形成されることが明らかとなった。
図25および図26にGd2-xTi2-yCryO7-δ(0≦y≦0.2)のXRD結果および回折結果から得られた格子定数とBサイト置換量yとの関係をそれぞれ示す。図25より、y≧0.15のときCr2O3とCr2Ti7O17のピークが観察されること、図26より、Bサイト置換Cr量の増加とともに格子定数の低下が見られ、0≦y<0.15において単一相のパイロクロアが形成されることが明らかとなった。
図27および図28にGd2-xTi2-yMnyO7-δ(0≦y≦0.2)およびGd2-xTi2-yCoyO7-δ(0≦y≦0.2)のXRD結果をそれぞれ示す。図27より、0≦y≦0.2において単一相のパイロクロアGd2-xTi2-yMnyO7-δが形成されること、図28より、0≦y≦0.2において単一相のパイロクロアGd2-xTi2-yCoyO7-δが形成されることが明らかとなった。
図29にGd2-xTi2-yMnyO7-δ(0≦y≦0.2)、Gd2-xTi2-yCoyO7-δ(0≦y≦0.2)およびGd2-xTi2-yFeyO7-δ(0≦y≦0.2)に関して、回折結果から得られた格子定数とBサイト置換量yとの関係を示す。図29より、Gd2-xTi2-yCoyO7-δ(0≦y≦0.2)およびGd2-xTi2-yFeyO7-δでは、Bサイト置換量yの増加とともに格子定数は増加すること、Gd2-xTi2-yMnyO7-δ(0≦y≦0.2)では、yの増加とともに格子定数は減少することが明らかとなった。
図30および図31にGd2-xTi2-yNiyO7-δ(0≦y≦0.2)のXRD結果および回折結果から得られた格子定数とBサイト置換量yとの関係をそれぞれ示す。図30より、y≧0.15のときCr2O3とCr2Ti7O17のピークが観察されること、図31より、Bサイト置換Ni量の増加とともにGd2-xTi2-yNiyO7-δの格子定数は微増し、0≦y<0.15において単一相のパイロクロアが形成されることが明らかとなった。
図32および図33に白金族元素Bサイト置換の一例として、Gd2Ti2-yIryO7-δ(0≦y≦0.2)とAサイトを不定比化したGd1.72Ti2-yIryO7-δ(0≦y≦0.4)のXRD結果をそれぞれ示す。図32より、0≦y≦0.2において単一相のGd2Ti2-yIryO7-δが形成されること、0≦y≦0.4において単一相のGd1.72Ti2-yIryO7-δが形成されることが明らかとなった。
2.2 導電性発現
Aサイトを不定比組成にし、BサイトにTi3+を安定に存在させたRE2-xTi2O7-dの導電率を電気分解温度である80℃で測定した。Aサイトイオン種により導電率が変化することは、上記から容易に予想される。そこで、Aサイトイオンの半径と導電率との関係を調べた。測定結果の一例をAサイトの不定比性との関係として図34にまとめる。これよりAサイトを不定比化すると導電率が発現することが判った。また、導電率をAサイトのイオン半径との関係として図35にまとめる。単斜晶系グループと立方晶系グループとに分類してみると、各グループ内ではイオン半径の増加とともに導電率も増加する傾向が見られた。なお、導電率が最も高かったのは、La1.9Ti2O7-δで5.1x10-3S/cm、最も低かったものはYb1.9Ti2O7-δで1.2x10-6S/cmであった。また、Bサイトを部分置換したRE2-xTi2-yMyO7-δ(M:Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Pt)についても、置換しないRE2-xTi2O7-δと同等の導電率が得られた。
以上、絶縁材料であるRE2Ti2O7系パイロクロア(RE:希土類元素)に対して、不定比組成にした上、還元処理によりTi3+を安定に存在させる技術を考案し、導電性発現に成功した。この導電性は、Bサイトを遷移金属元素(白金族元素を含む)で部分置換しても維持されることが判った。また、電気分解環境下での導電率は、Aサイト元素のイオン半径ならびに結晶系に依存することを明らかにした。
2.3 耐酸性評価試験結果
硫黄サイクルハイブリッド水素製造法の電気分解環境を模擬した80℃、50wt%の硫酸(H2SO4)水溶液中において製作した電子伝導性酸化物セラミックスの耐食性を65時間〜1,000時間の範囲で調べた。
2.3.1 65時間浸漬試験結果
耐硫酸性評価試験65時間後のパイロクロア型酸化物の重量変化量およびICP-MS分析結果を表1および表2にそれぞれまとめる。
Figure 0004851691
これより、(1) La2Ti2O7は溶解すること、(2) Gd2Ti2O7の腐食量は3%以下であること、(3) Aサイト元素を不定比化したYb1.9Ti2O7-δ、Y1.9Ti2O7-δ、Gd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.28)およびSm2-xTi2O7-δ(0.1≦x≦0.4)、ならびにBサイトを遷移金属等で部分置換したGd2-xTi2-yMyO7-δの溶解度は0.5%以下であることが判った。
プラズマ誘導発光-質量(ICP-MS)分析の結果、高耐食性を示したセラミックスは、AサイトにGd、Y、Yb、Smが配位しているもので、その溶解量は10ppb以下であった。
2.3.2 360時間および1,000時間浸漬試験結果
50wt% H2SO4水溶液中での耐食性が1%以下であったYb1.9Ti2O7-δ、Y1.9Ti2O7-δ、Gd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.28)、Sm2-xTi2O7-δ(0.1≦x≦0.4)およびGd2-xTi2-yMyO7-δ(M:遷移金属等)について、同溶液中で最大1,000時間の浸漬試験を実施し、溶解度の経時変化から長期健全性を評価した。重量変化から求めた溶解量の一例を図36および図37に示す。図36においては、重量変化が一定値(目的値)よりも低ければ耐酸性が満たされるものと考える。以上より、Yb1.9Ti2O7-δ、Y1.9Ti2O7-δ、Gd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.28)、Sm2-xTi2O7-δ(0.1≦x≦0.4)およびGd2-xTi2-yMyO7-δの耐硫酸性は1,000時間経過後も維持されることが明らかとなった。また、ICP-MS分析の結果、Tiの溶解量は、浸漬時間が65時間の場合と360時間以上の場合とで大差がなかったことから、Tiは浸漬初期に微量に溶解するものの、その後溶解し難いことが判った。また、高耐食性を示したパイロクロアはいずれも立方晶系(Yb1.9Ti2O7-δ、Y1.9Ti2O7-δ、Gd2-xTi2O7-δ、Sm2-xTi2O7-δ)であり、単斜晶系(La1.9Ti2O7-δ、Pr1.9Ti2O7-δ、Nd1.9Ti2O7-δ)は耐硫酸性が低かった。
一般に、硫酸水溶液中でTiが溶解すると、難溶性のチタン酸化物(TiO2)が形成され、電極表面を覆った場合、導電率の低下が懸念される。この可能性を調べるため、耐硫酸性評価試験前後における試験片のX線回折を行った。結果を図38に示す。これより、試験前後で回折パターンに変化がなく、半導体的性質を有するアナターゼ型TiO2やルチル型TiO2の形成は認められなかったことから、硫酸浸漬によるRE2-xTi2O7-δの導電率低下の可能性は考えにくい。
なお、チタン酸化物パイロクロアのうち、溶解度が90%近くとなったLa2Ti2O7や20%となったLa1.9Ti2O7-δ(表2および図36参照)ではAサイト元素であるLaの溶解が優先的に進行し、耐硫酸性が低下したものと考えられる。
以上、Gd2Ti2O7等のチタン系酸化物が本水素製造法の電解環境中で高耐食性を示すこと、ならびに酸化物セラミックスの耐硫酸性はAサイトのイオン種ならびに結晶系に大きく依存することが判った。また、Yb1.9Ti2O7-δ、Y1.9Ti2O7-δ、Gd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.28)およびSm2-xTi2O7-δ(0.1≦x≦0.4)については、導電性を持たせるためAサイトを不定比化し、かつ還元処理により酸素を欠損させた場合でも、また、Gd2-xTi2-yMyO7-δのようにAサイトの不定比化処理に加えBサイトの部分置換を行った場合でも、電気分解環境中での耐食性は1,000時間まで維持されることから、Aサイトの不定比化と水素還元法を併用する新技法、ならびにBサイトを遷移金属(白金族元素を含む)で部分置換する新技法を採用することにより、導電性と耐硫酸性を兼ね備えた電子導電性セラミックスを作成することが可能となった。
硫黄サイクルハイブリッド法の反応構成を示す図である。 耐硫酸性評価試験装置の構成を示す図である。 Yb2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)のX線回折パターンを示す図である。 Yb2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.2)中のxと格子定数との関係を示す図である。 Y2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)のX線回折パターンを示す図である。 Y2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.2)中のxと格子定数との関係を示す図である。 Gd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.28)のX線回折パターンを示す図である。 Gd2-xTi2O7-δ(-0.1≦x≦0.28)中のxと格子定数との関係を示す図である。 Sm2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.5)のX線回折パターンを示す図である。 Sm2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.5)中のxと格子定数との関係を示す図である。 Nd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.2)のX線回折パターンを示す図である。 Nd2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.3)中のxと格子定数との関係を示す図である。 Pr2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.2)のX線回折パターンを示す図である。 Pr2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.2)中の格子定数を示す図である。 La2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)のX線回折パターンを示す図である。 La2-xTi2O7-δ(0≦x≦0.1)中のxと格子定数との関係を示す図である。 不定比性とAサイトのイオン半径との関係の一例を示す特性図である。 Gd2-zNdzTi2O7-δ(0≦z≦0.2)のX線回折パターンを示す図である。 Gd2-zNdzTi2O7-δ(0≦z≦0.2) の格子定数を示す図である。 Gd2-zPrzTi2O7-δ(0≦z≦0.2)のX線回折パターンを示す図である。 Gd2-zPrzTi2O7-δ(0≦z≦0.2)の格子定数を示す図である。 Gd2-zLazTi2O7-δ(0≦z≦0.2)のX線回折パターンを示す図である。 Gd2-zLazTi2O7-δ(0≦z≦0.2)の格子定数を示す図である。 Gd2-xTi1.9Cr0.1O7-δ (0≦x≦0.28) のX線回折パターンを示す図である。 Gd2-xTi2-yCryO7-δ (0≦y≦0.2) のX線回折パターンを示す図である。 Gd2-xTi2-yCryO7-δ (0≦y≦0.15) の格子定数を示す図である。 Gd2-xTi2-yMnyO7-δ (0≦y≦0.2) のX線回折パターンを示す図である。 Gd2-xTi2-yCoyO7-δ (0≦y≦0.2) のX線回折パターンを示す図である。 Gd2-xTi2-yMnyO7-δ、Gd2-xTi2-yFeyO7-δおよびGd2-xTi2-yCoyO7-δ (0≦y≦0.2) 中の格子定数を示す図である。 Gd2-xTi2-yNiyO7-δ (0≦y≦0.2) のX線回折パターンを示す図である。 Gd2-xTi2-yNiyO7-δ (0≦y≦0.15)中の格子定数を示す図である。 Gd2Ti2-yIryO7-δ (0≦y≦0.2) のX線回折パターンを示す図である。 Gd1.72Ti2-yIryO7-δ (0≦y≦0.4) のX線回折パターンを示す図である。 導電率とAサイト不定比性との関係を示す図である。 導電率とAサイトのイオン半径との関係の一例を示す特性図である。 80℃、50wt%H2SO4水溶液中でのパイロクロアの重量変化の経時変化を示す図である。 80℃、50wt%H2SO4水溶液中でのパイロクロアの重量変化の経時変化を示す図である。 耐硫酸性評価試験前後のLa1.9Ti2 O7-δのX線回折パターンを示す図である。

Claims (9)

  1. Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物 RE2-xTi2O7-δ であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
    0<x<0.5
    の範囲内とされ、尚かつ当該Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアが還元処理されてなる電子導電性セラミックス粉体によって構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料。
  2. Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
    0<x<0.5
    の範囲内とされ、尚かつBサイトの一部が遷移金属元素Mで置換された複合酸化物 RE2-xTi2-yMyO7-δ (ただし MはCr, Mn, Fe, Co, Ni, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Ptのうちの一つまたは二つ以上)であって、当該Bサイトにおける前記遷移金属元素Mの置換量yが
    0<y≦0.2
    の範囲内とされ、尚かつ当該立方晶系チタン酸化物パイロクロア(RE2-xTi2-yMyO7-δ)が還元処理されてなる電子導電性セラミックス粉体によって構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料。
  3. Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物 RE2-xTi2O7-δ であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
    0<x<0.5
    の範囲内とされる立方晶系チタン酸化物パイロクロア粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されている立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体によって構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料。
  4. Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
    0<x<0.5
    の範囲内とされ、尚かつBサイトの一部が遷移金属元素Mで置換された複合酸化物 RE2-xTi2-yMyO7-δ (ただし MはCr, Mn, Fe, Co, Ni, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Ptのうちの一つまたは二つ以上)であって、当該Bサイトにおける前記遷移金属元素Mの置換量yが
    0<y≦0.2
    の範囲内とされる立方晶系チタン酸化物パイロクロア粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されている立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体によって構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造に用いられる電気分解槽用のアノード電極材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のアノード電極材料によってアノード電極が構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造用の電気分解槽。
  6. Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上(但し、Gd、Sm、Yb及びYを単独で用いる場合を除く)から成る複合酸化物 RE2-xTi2O7-δ であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
    0<x<0.5
    の範囲内とされ、尚かつ当該Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアが還元処理されてなることを特徴とする電子導電性セラミックス粉体。
  7. Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
    0<x<0.5
    の範囲内とされ、尚かつBサイトの一部が遷移金属元素Mで置換された複合酸化物 RE2-xTi2-yMyO7-δ (ただし MはCr, Mn, Fe, Co, Ni, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Ptのうちの一つまたは二つ以上)であって、当該Bサイトにおける前記遷移金属元素Mの置換量yが
    0<y≦0.2
    の範囲内とされ、尚かつ当該立方晶系チタン酸化物パイロクロア(RE2-xTi2-yMyO7-δ)が還元処理されてなることを特徴とする電子導電性セラミックス粉体。
  8. Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上(但し、Gd、Sm、Yb及びYを単独で用いる場合を除く)から成る複合酸化物 RE2-xTi2O7-δ であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
    0<x<0.5
    の範囲内とされる立方晶系チタン酸化物パイロクロア粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されていることを特徴とする立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体。
  9. Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu, Yb, Tm, Er, Ho, Y, Sc, Dy, Tb, Gd, Eu, Sm, Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
    0<x<0.5
    の範囲内とされ、尚かつBサイトの一部が遷移金属元素Mで置換された複合酸化物 RE2-xTi2-yMyO7-δ (ただし MはCr, Mn, Fe, Co, Ni, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Ptのうちの一つまたは二つ以上)であって、当該Bサイトにおける前記遷移金属元素Mの置換量yが
    0<y≦0.2
    の範囲内とされる立方晶系チタン酸化物パイロクロア粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されていることを特徴とする立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体。
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