JP2016011458A - 酸素を発生させる方法、水の電気分解装置および陽極 - Google Patents

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Abstract

【課題】陽極として銀デラフォサイト化合物を利用する水の電気分解で効率よく酸素を発生する方法の提供。【解決手段】(a)水の電気分解装置100を用意する方法、ここで、水の電気分解装置100は、電解質水溶液15が貯留されている容器16と、電解質水溶液15と接し、かつ化学式AgCoO2により表される銀コバルトデラフォサイト化合物及び化学式AgRhO2により表される銀ロジウムデラフォサイト化合物から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極11と、電解質水溶液15と接している陰極12と、電源14とを具備し、ここで、前記銀デラフォサイト化合物は、電解質水溶液15と接し、(b)電源14を用いて陰極12及び陽極11の間に電位差を印加して、銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して陽極11上に酸素を発生させる方法。【選択図】図1

Description

本発明は、酸素を発生させる方法および水の電気分解装置に関する。本発明は、その方法に用いられる陽極にも関する。
特許文献1は、化学式ABO(ここで、Aは白金、パラジウム、銀、またはコバルトを表し、かつBはクロム、鉄、コバルト、ロジウム、アルミニウム、ガドリニウム、スカンジウム、インジウム、タリウム、鉛、ルテニウム、またはランタニドを表す)により表されるデラフォサイト化合物を表面に有する陽極を用いて塩化ナトリウムを電解することによって、塩素を発生する方法を開示している。しかし、特許文献1は、酸素を発生する方法については何も開示していない。
連合王国特許第1400948号明細書
水の電気分解に必要とされる理論的な電圧は、1.23ボルトである。しかし、実際の水の電気分解には、電極における過電圧のために、1.23ボルトを超える電圧が必要である。過電圧が小さいほど、水の電気分解はより効率的に進行する。本明細書において用いられる用語「過電圧」とは、水を電気分解することによって陽極上で酸素を発生させるために必要な電圧の値から理論電圧から差し引いた値を意味する。例えば、金属Mから形成される陽極を用いて水を電気分解することによって酸素を発生させるために2.0ボルトの電圧が必要とされた場合、金属Mは0.77ボルト(=2.0ボルト−1.23ボルト)の過電圧を有する。
後述される比較例において実証されるように、本発明者らは、様々な銀デラフォサイト化合物を用いて、水を電気分解して酸素を発生させた。その結果、ほとんど全ての銀デラフォサイト化合物は、その大きな過電圧のために、水の電気分解には適していなかった。
しかし、本発明者らは、様々な銀デラフォサイト化合物の中から、水の電気分解により酸素を発生させるために好適な銀デラフォサイト化合物を見いだし、本発明を完成した。本発明の目的は、陽極として銀デラフォサイト化合物を利用する水の電気分解により効率よく酸素を発生する方法を提供することにある。本発明の目的は、その方法に適した水の電気分解装置及び陽極を提供することでもある。
本発明は、酸素を発生させる方法であって、以下の工程を具備する:
(a)水の電気分解装置を用意する工程、ここで、
前記水の電気分解装置は、
電解質水溶液が貯留されている容器と、
前記電解質水溶液と接し、かつ化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極と、
前記電解質水溶液と接している陰極と、
電源と
を具備し、ここで、
前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液と接し、
(b) 前記電源を用いて前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる工程。
本発明は、酸素を発生させる方法であって、以下の工程を具備する:
(a)水の電気分解装置を用意する工程、ここで、
前記水の電気分解装置は、
電解質膜と、
前記電解質膜の表面と接し、かつ化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極と、
前記電解質膜の裏面と接する陰極と、
電源と
を具備し、ここで、
前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液と接し、
前記電源を用いて前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる。
本発明は、水の電気分解により酸素を発生するための陽極であって、
化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を有している。
本発明は、水の電気分解装置であって、
電解質水溶液が貯留されている容器と、
前記電解質水溶液と接し、かつ化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極と、
前記電解質水溶液と接している陰極と、
前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる電源と
を備え、ここで
前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液と接している。
本発明は、水の電気分解装置であって、
電解質膜と、
前記電解質膜の表面と接し、かつ化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極と、
前記電解質膜の裏面と接する陰極と、
前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる電源と
を備え、ここで
前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液と接している。
本発明は、陽極として銀デラフォサイト化合物を利用する水の電気分解により効率よく酸素を発生する方法を提供する。本発明は、その方法に好適な水の電気分解装置又は陽極も提供する。
図1は、実施形態1による水電解装置100の模式図を示す。 図2は、薄膜型の電解セルを示す。 図3は、実施例1におけるX線回折測定の結果を示すグラフである。 図4は、実施例1および比較例1〜比較例2において測定された電流−電位特性を示すグラフである。 図5は、実施形態2による水電解装置200の模式図を示す。 図6は、薄膜型の電解セルの模式図を示す。 図7は、実施例2における銀ロジウムデラフォサイト粒子のX線回折測定結果を示すグラフである。 図8は、実施例2および比較例3〜4において測定された電流−電位特性を示すグラフである。
本発明の実施形態が、以下、図面を参照しながら説明される。
(実施形態1)
実施形態1では、銀デラフォサイト化合物として、AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物が用いられる。
図1は、実施形態1による水電解装置100の模式図を示す。実施形態1による水電解装置100は、容器16、陽極11、陰極12、および電源14を具備する。
(容器16)
容器16の内部には、電解質水溶液15が貯留されている。電解質水溶液15の例は、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムのようなアルカリ性水溶液である。アルカリ性水溶液を用いて水を電解することにより、酸素発生の効率を向上させ、かつ電解に必要とされる電力を減少できる。
電解質水溶液15に含まれる電解質の他の例は、硫酸、硝酸、または過塩素酸である。より具体的には、電解質水溶液15に含まれる電解質のカチオンの例は、プロトンまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属イオンである。電解質水溶液15に含まれる電解質のアニオンの例は、化学式OHで表される水酸化物イオン、化学式SO 2−で表される硫酸イオン、化学式NO で表される硝酸イオン、または化学式ClO で表される過塩素酸イオンである。化学式F、Cl Br、またはIにより表されるハロゲン化物イオンは、電解質水溶液15に含まれる電解質のアニオンから除外される。万一、電解質水溶液15がハロゲン化物イオンを含有する場合、陽極11上では、酸素ではなくハロゲンが生成する。電解質水溶液15に含まれる電解質の例は、このようなカチオンおよびアニオンから構成される塩である。例えば、電解質水溶液に含まれる電解質のさらに他の例は、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、または過塩素酸カリウムである。
(陽極11)
陽極11及び陰極12は、電解質水溶液15に接するように、容器16の内部に配置される。陽極11及び陰極12は、後述する電源14に電気的に接続されている。陽極11上では、酸素が発生する。陰極12上では、水素が発生する。
陽極11は、銀コバルトデラフォサイト化合物を有している。望ましくは、酸素が、陽極11に含まれる銀コバルトデラフォサイト化合物の表面上で発生するように、陽極11は、その表面に銀コバルトデラフォサイト化合物を有している。銀コバルトデラフォサイト化合物は、化学式AgCoOにより表される。言い換えれば、銀コバルトデラフォサイト化合物は、Aサイトが銀であり、かつ、Bサイトがコバルトであるデラフォサイト化合物構造を有する酸化物を意味する。
銀コバルトデラフォサイト化合物は、高い化学的安定性を有する。そのため、広いpH領域で用いられても、銀コバルトデラフォサイト化合物は分解されにくい。
銀コバルトデラフォサイト化合物を合成する方法は限定されない。銀コバルトデラフォサイト化合物を合成する方法の例は、固相反応法、水熱合成法、またはスパッタリング法である。
陽極11は、銀コバルトデラフォサイト化合物を担持した導電性基板により形成され得る。銀コバルトデラフォサイト化合物を担持させる方法は、限定されない。例えば、合成された銀コバルトデラフォサイト化合物を含有するスラリーが調製され、次いで、導電性基板へ当該スラリーが塗布され、導電性基板に銀コバルトデラフォサイト化合物を担持する。当該スラリーは、導電性のカーボン粒子、酸化錫、分散性を向上させるための添加剤、および/または電解時に発生する気泡の凝集を抑制するための材料を含有し得る。これらは、銀コバルトデラフォサイト化合物の触媒効果を低下させる要因とはならない。
導電性基板は、板、ロッド、またはメッシュ状のような種々の形状を有し得る。導電性基板の材料は、酸化雰囲気に晒されてもその導電性を維持できる材料が望ましい。導電性基板の材料の例は、弁金属またはカーボンである。弁金属とは、酸に曝された際に不導態皮膜が形成される表面を有する金属を意味する。弁金属の例は、チタン、アルミニウム、クロム、またはその合金である。
陽極11は、導電性基板を具備する必要はない。このような陽極11は、例えば、銀コバルトデラフォサイト化合物の粒子を圧着または焼結することによって得られ得る。このような陽極11は、導電性を向上させるための導電性カーボン材料、粒子間の密着性を高めるためのフラックス材料、および/または電解時に発生する気泡の凝集を抑制するための材料を含有し得る。
陽極11は、電解質水溶液15に接する。具体的には、陽極11に含まれる銀コバルトデラフォサイト化合物が電解質水溶液15に接する。銀コバルトデラフォサイト化合物が電解質水溶液15に接する限り、陽極11の一部のみが電解質水溶液15に接触し得る。
(陰極12)
陰極12は、導電性物質から形成される。具体的には、陰極12の表面が導電性物質から形成される。好適な導電性物質の例は、水素を発生させるために低い過電圧を有する白金またはニッケル化合物である。導電性物質が電解質水溶液15中で分解されない限り、導電性物質の材料は限定されない。
陰極12は電解質水溶液15に接する。具体的には、陰極12に含まれる導電性物質が電解質水溶液15に接する。導電性物質が電解質水溶液15に接する限り、陰極12の一部のみが電解質水溶液15に接触し得る。
(電源14)
電源14は、陽極11及び陰極12間に、所定の電位差を印加するために用いられる。電源14を用いて陽極11及び陰極12の間に所定の電位差が印加され、電解質水溶液に含有される水を電気分解する。1.6ボルト以上4.0ボルト以下の電位差が印加されることが望ましい。電源14の例は、ポテンシオスタットまたは電池である。
(隔膜13)
水電解装置100は、陽極11及び陰極12の間に、隔膜13を有する。隔膜13は、容器16の内部を、陽極11が位置する第1室および陰極12が位置する第2室に分割する。
隔膜13の例は、素焼き板のような多孔性セラミックス板、ポリプロピレンフィルムのような多孔性高分子膜、またはナフィオン(登録商標)のようなイオン交換膜である。
隔膜13は、陽極11上で発生した酸素が、陰極12で発生した水素と混合しないようにする為に設置する。隔膜13が無い場合、水の電解に問題は生じないが、陽極11上で生成した酸素が陰極12に移動し得る。陰極12に移動した酸素は、水に変換される。その結果、酸素の発生効率は低下する。このような逆反応を抑制するために、隔膜13が水電解装置100に設けられることが望ましい。
図1に示される水電解装置100では、陽極11、隔膜13、および陰極12は、間隔を置いて配置されている。しかし、水電解装置100は、陽極11および陰極12が隔膜13の表面および裏面にそれぞれ密着している一体型の電解セルから構成され得る。
図2は、水電解装置の他の例である薄膜型の電解セルを示す。図2に示される薄膜型の電解セルは、水電解装置100の容器16に代えて、電解質膜17を具備する。図2に示される薄膜型の電解セルは、電解質膜17と、電解質膜17の表面に形成された陽極11、および電解質膜17の裏面に形成された陰極12を具備する。
イオン交換膜から形成された電解質膜17を具備する薄膜型の電解セルは、ポリマー電解質膜(以下、「PEM」という)型の電解セルである。イオン交換膜の例は、高分子膜である。具体的な高分子膜の例は、陽イオン交換型のナフィオン(登録商標)、セレミオン(登録商標)、陰イオン交換型の高分子膜(商品名A201、トクヤマ社製)などである。
セラミックの固体電解質から形成された電解質膜17を具備する電解セルは、固体電解質型の電解セルである。セラミック固体電解質の例は、ジルコニア系のセラミックスである。ジルコニア系のセラミックスの具体例は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)である。固体電解質型の電解セルは、高温水蒸気型の電解セルでもある。
(酸素を発生させる方法)
まず、水電解装置100が用意される。言い換えれば、水電解装置100の利用者が、水電解装置100を準備する。次に、電源14を用いて陰極12および陽極11の間に電位差が印加される。言い換えれば、利用者は電源14を用いて陰極12および陽極11の間に電位差を印加する。この電圧印加により、銀コバルトデラフォサイト化合物上で水が電気分解される。このようにして、陽極11上に酸素が発生する。
(実施形態2)
実施形態2では、銀デラフォサイト化合物として、AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物が用いられる。
図5は、実施形態2における水電解装置200の模式図である。図5に示す水電解装置200は、容器21、陽極22、陰極23、および電源24を備える。
<容器21>
容器21の内部には、電解質水溶液25が収容されている。電解質水溶液25の例は、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリ性水溶液である。アルカリ性水溶液を用いて水を電解することにより、酸素発生の効率を向上させ、かつ電解に必要とされる電力を減少できる。
電解質水溶液25に含まれる電解質の他の例は、硫酸、硝酸、または過塩素酸である。より具体的には、電解質水溶液25に含まれる電解質のカチオンの例は、プロトンまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属イオンである。電解質水溶液25に含まれる電解質のアニオンの例は、化学式OHで表される水酸化物イオン、化学式SO 2−で表される硫酸イオン、化学式NO で表される硝酸イオン、または化学式ClO で表される過塩素酸イオンである。化学式F、Cl、Br、またはIにより表されるハロゲン化物イオンは、電解質水溶液25に含まれる電解質のアニオンから除外される。万一、電解質水溶液25がハロゲン化物イオンを含有する場合、陽極22上では、酸素ではなくハロゲンが生成する。電解質水溶液25に含まれる電解質の例は、このようなカチオンおよびアニオンから構成される塩である。例えば、電解質水溶液に含まれる電解質のさらに他の例は、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、または過塩素酸カリウムである。
<陽極22>
陽極22及び陰極23は、電解質水溶液25と接するように、容器21の内部に配置される。陽極11及び陰極12は、後述する電源24と電気的に接続されている。陽極22上では、酸素が発生する。陰極23上では、水素が発生する。
陽極22は、銀ロジウムデラフォサイト化合物を有している。望ましくは、酸素が、陽極22に含まれる銀ロジウムデラフォサイト化合物の表面上で発生するように、陽極22は、その表面に銀ロジウムデラフォサイト化合物を有している。銀ロジウムデラフォサイト化合物は、化学式AgRhOにより表される。言い換えれば、銀ロジウムデラフォサイト化合物は、Aサイトが銀であり、かつ、Bサイトがロジウムであるデラフォサイト化合物構造を有する酸化物を意味する。
銀ロジウムデラフォサイト化合物は、高い化学的安定性を有する。そのため、広いpH領域で用いられても、銀ロジウムデラフォサイト化合物は分解されにくい。
銀ロジウムデラフォサイト化合物を合成する方法は限定されない。銀ロジウムデラフォサイト化合物を合成する方法の例は、イオン交換反応法、水熱合成法、またはスパッタリング法である。
陽極22は、銀ロジウムデラフォサイト化合物を担持した導電性基板により形成され得る。銀ロジウムデラフォサイト化合物を担持させる方法は、限定されない。例えば、合成された銀ロジウムデラフォサイト化合物を含有するスラリーが調製され、次いで、導電性基板へ当該スラリーが塗布され、導電性基板に銀ロジウムデラフォサイト化合物を担持する。当該スラリーは、導電性のカーボン粒子や酸化錫、分散性を向上させるための添加剤、および/または電解時に発生する気泡の凝集を抑制するための材料を含有し得る。これらは、銀ロジウムデラフォサイト化合物の触媒効果を低下させる要因とはならない。
導電性基板は、板、ロッド、またはメッシュ状のような種々の形状を有し得る。導電性基板の材料は、酸化雰囲気に晒されてもその導電性を維持できる材料が望ましい。導電性基板の材料の例は、弁金属またはカーボンである。弁金属とは、酸に曝された際に不導態皮膜が形成される表面を有する金属を意味する。弁金属の例は、チタン、アルミニウム、クロム、またはその合金である。
陽極22は、導電性基板を具備する必要はない。このような陽極22は、例えば、銀ロジウムデラフォサイト化合物の粒子を圧着または焼結することによって得られ得る。このような陽極22は、導電性を向上させるための導電性カーボン材料、粒子間の密着性を高めるためのフラックス材料、および/または電解時に発生する気泡の凝集を抑制するための材料を含有し得る。
陽極22は、電解質水溶液25に接する。具体的には、陽極22に含まれる銀ロジウムデラフォサイト化合物が電解質水溶液25に接する。銀ロジウムデラフォサイト化合物が電解質水溶液25に接する限り、陽極22の一部のみが電解質水溶液25に接触し得る。
<陰極23>
陰極23は、導電性物質から形成される。具体的には、陰極23の表面が導電性物質から形成される。好適な導電性物質の例は、水素を発生させるために低い過電圧を有する白金またはニッケル化合物である。導電性物質が電解質水溶液25中で分解されない限り、導電性物質の材料は限定されない。
陰極23は電解質水溶液25に接する。具体的には、陰極23に含まれる導電性物質が電解質水溶液25に接する。導電性物質が電解質水溶液25に接する限り、陰極23の一部のみが電解質水溶液25に接触し得る。
<電源24>
電源24は、陽極22及び陰極23間に、所定の電位差を印加するために用いられる。電源24を用いて陽極22及び陰極23の間に所定の電位差が印加され、電解質水溶液に含有される水を電気分解する。1.6ボルト以上4.0ボルト以下の電位差が印加されることが望ましい。電源24の例は、ポテンシオスタットまたは電池である。
<隔膜26>
水電解装置200は、陽極22及び陰極23の間に、隔膜26を有する。隔膜26は、容器21の内部を、陽極22が位置する第1室および陰極23が位置する第2室に分割する。
隔膜26の例は、素焼き板のような多孔性セラミックス板、ポリプロピレンフィルムのような多孔性高分子膜、またはナフィオン(登録商標)のようなイオン交換膜である。
隔膜26は、陽極22上で発生した酸素が、陰極23で発生した水素と混合しないようにする為に設置する。隔膜26が無い場合、水の電解に問題は生じないが、陽極22上で生成した酸素が陰極23に移動し得る。陰極23に移動した酸素は、水に変換される。その結果、酸素の発生効率は低下する。このような逆反応を抑制するために、隔膜26が水電解装置200に設けられることが望ましい。
図5に示される水電解装置200では、陽極22、隔膜26、および陰極23は、間隔を置いて配置されている。しかし、水電解装置200は、陽極22および陰極23が隔膜26の表面および裏面にそれぞれ密着している一体型の電解セルから構成され得る。
図6は、水電解装置の他の例である薄膜型の電解セルを示す。図6に示される薄膜型の電解セルは、水電解装置200の容器21に代えて、電解質膜27を具備する。図6に示される薄膜型の電解セルは、電解質膜27、電解質膜27の表面に形成された陽極22、および電解質膜27の裏面に形成された陰極23を具備する。
イオン交換膜から形成された電解質膜27を具備する薄膜型の電解セルは、ポリマー電解質膜(以下、「PEM」という)型の電解セルである。イオン交換膜の例は、高分子膜である。具体的な高分子膜の例は、陽イオン交換型高分子膜のナフィオン(登録商標)、セレミオン(登録商標)、陰イオン交換型高分子膜の高分子膜(商品名A201、トクヤマ社製)などが挙げられる。
セラミックの固体電解質から形成された電解質膜27を具備する電解セルは、固体電解質型の電解セルである。セラミック固体電解質の例は、ジルコニア系のセラミックである。ジルコニア系のセラミックの具体例は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)である。固体電解質型の電解セルは、高温水蒸気型の電解セルでもある。
(酸素を発生させる方法)
まず、水電解装置200が用意される。言い換えれば、水電解装置200の利用者が、水電解装置200を準備する。次に、電源24を用いて陰極12および陽極11の間に電位差が印加される。言い換えれば、利用者は電源24を用いて陰極12および陽極11の間に電位差を印加する。この電圧印加により、銀ロジウムデラフォサイト化合物上で水が電気分解される。このようにして、陽極11上に酸素が発生する。
<本発明者らの知見>
本発明者らは、化学式によりABO表され、かつAサイトにAgを有する銀デラフォサイト化合物の酸素発生の効率が、Bサイトの材料にどのように依存するかを調べた。
その結果、後述の実施例2、比較例3、および比較例4で示すように、銀デラフォサイト化合物において、Bサイトの材料によって、酸素発生の効率が変わることを見出した。特に、ロジウム(Rh)をBサイトに有する銀デラフォサイト化合物を含む陽極は、鉄(Fe)またはアルミニウム(Al)をBサイトに有する銀デラフォサイト化合物を含む陽極と比べて、大幅に小さい過電圧を有していた。このように、Bサイトの材料を変えた実験によって、銀ロジウムデラフォサイトを含む陽極は、高い効率で酸素発生させることができることを見出した。
(実験例)
以下の実験例は、本発明をより詳細に説明する。本発明者らは、水電解装置に用いられる陽極の材料および陽極上で酸素が発生するために必要とされる電圧の間の関係を明らかにするために、以下の実験を行った。
(実施例1)
(陽極11の作製)
実施例1による陽極11は、導電性カーボン基体上に銀コバルトデラフォサイト化合物を担持させることによって製造された。
まず、銀コバルトデラフォサイト化合物が水熱合成法により調製された。
具体的には、化学式Co(OH)により表される水酸化コバルト(和光純薬工業株式会社より入手)は、摂氏120℃の温度下で、酸素雰囲気下で、24時間加熱され、化学式CoOOHにより表されるオキシ水酸化コバルトが得られた。、化学式CoOOHにより表されるオキシ水酸化コバルト(0.25g)と化学式AgOにより表される酸化銀(和光純薬工業株式会社より入手、0.63グラム)とが、水酸化ナトリウム溶液(2mol/L、40mL)中で混合され、混合物が得られた。
混合物は、テフロン(登録商標)容器中で、摂氏210度の温度下で、60時間加熱され、生成物が得られた。
得られた生成物は、水で洗浄された後、吸引ろ過されることで、生成物に含まれる固形物が抽出された。抽出された固形物は、摂氏80℃の温度下で、15時間乾燥された。
めのう乳鉢中で、乾燥された固形物は粉砕された。このようにして、銀コバルトデラフォサイト化合物の粒子が得られた。
得られた銀コバルト粒子は、X線回折装置(パナリティカルより入手、X’Pert PRO MPD、ターゲット:Cu、加速電圧:45kV)を用いるX線回折に供された。
図3は、X線回折測定の結果を示す。図3に示されるピークの回折角および相対強度は、シミュレーション(RIETAN−FP)により得られた銀コバルトデラフォサイトのピークの回折角及び相対強度とよく一致していた。
銀コバルトデラフォサイト化合物粒子(59ミリグラム)が、2ミリリットルの純水に分散され、スラリーを調製した。
0.28平方センチメートルの有効反応面積を有する等方性電気黒鉛質(以下、「HPG基板」という。東洋炭素株式会社より入手、商品名:HPG−59)に超音波がアセトン中で印加されて、HPG基板を洗浄した。次いで、HPG基板に超音波がエタノール中で印加され、HPG基板をもう一度洗浄した。
スラリー(40マイクロリットル)がHPG基板に滴下された。次いで、HPG基板は、摂氏80度の温度下で15分乾燥された。5%の濃度を有するナフィオン分散液(シグマ・アルドリッチより入手)がエタノールを用いて4倍に希釈され、1.2%の濃度を有するナフィオン分散液を調製した。次いで、ナフィオン分散液(10マイクロリットル)がHPG基板に滴下された。最後に、HPG基板は、摂氏80度の温度下で10分間、乾燥された。このようにして、銀コバルトデラフォサイト化合物を含有する陽極が得られた。
(酸素発生特性の評価)
得られた陽極基板は、円筒状のキャップを用いて、回転ディスク電極アタッチメント(日厚計測社製)に作用電極として取り付けられた。
次に、参照極として可逆水素電極(以下、「RHE」という/reversible hydrogen electrode)が用いられた。対極として白金電極が用いられた。電解液として、1mol/Lの濃度を有する水酸化カリウム水溶液が用いられた。ポテンシオスタット(ビーエーエス株式会社より入手、商品名:ALS−760C)で電位が掃引され、電流−電位特性を測定した。
図4における曲線(a)は、2000rpmの回転数における実施例1による電流−電位特性である。過電圧は、以下の数式(III)によって定義された。
過電圧=電位差EPD1(ボルト vs. RHE)−1.23(ボルト vs. RHE) (III)
ここで、電位差EPD1は、5mA/cmの電流が対極および作用電極の間に流れる時の参照極および作用電極の間の電位差を表す。
過電圧の低下に伴い、酸素の発生効率は高まる。
図4から明らかなように、実施例1による陽極は、1.66ボルトの電位差EPD1を有していた。従って、実施例1による陽極は、0.43ボルトの過電圧を有していた。
(比較例1)
比較例1では、化学式AgFeOにより表される銀鉄デラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧が計算された。
化学式FeCl・4HOにより表される塩化鉄四水和物(和光純薬工業株式会社より入手)が溶解された水溶液に、空気が送入された状態で、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)を滴下し、化学式FeOOHにより表されるオキシ水酸化鉄が得られた。
次に、水酸化コバルトに代えてオキシ水酸化鉄が用いられたこと以外は、実施例1の場合と同様にデラフォサイト化合物が調製された。このようにして、銀鉄デラフォサイト化合物の粒子が得られた。得られた銀鉄デラフォサイト化学物の粒子は、化学式AgOにより表される酸化銀などの不純物を含んでいた。得られた銀鉄デラフォサイト化学物の粒子は、アンモニア水溶液(10%)中に約30分間浸漬され、不純物を低減した銀鉄デラフォサイト化学物が得られた。
実施例1の場合と同様に、銀鉄デラフォサイト化合物を含有する陽極が作成され、酸素発生特性を評価した。図4における曲線(b)は、比較例1による陽極の電流−電位特性である。図4から明らかなように、比較例1による陽極は、1.89Vの電位差EPD1を有していた。従って、比較例1による陽極は、0.66Vの過電圧を有していた。
(比較例2)
比較例2では、化学式AgAlOにより表される銀アルミニウムデラフォサイト化合物が調製され、その過電圧が計算された。
より具体的には、オキシ水酸化鉄に代えて、化学式NaAlOにより表されるアルミン酸ナトリウム(高純度化学研究所から入手)が用いられたこと以外は、比較例1と同様にデラフォサイト化合物が調製された。このようにして、銀アルミニウムデラフォサイト化合物が得られた
次いで、実施例1の場合と同様に、銀アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極が作成され、酸素発生特性を評価した。図4における曲線(c)は、比較例2による銀アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極の電流−電位特性である。図4から明らかなように、比較例1による陽極は、1.96Vの電位差EPD1を有していた。従って、比較例2による陽極は、0.73Vの過電圧を有していた。
以下の表1は、実施例1、比較例1〜比較例2による陽極の材料、電位差EPD1、および過電圧を示す。
Figure 2016011458
表1から明らかなように、実施例1による銀コバルトデラフォサイト化合物のみが、低い過電圧を有する。そのため、実施例1による銀コバルトデラフォサイト化合物から形成した陽極を具備する水電解装置は、高いエネルギー効率を有する。
(実施例2)
(陽極22の作製)
実施例2による陽極22は、導電性カーボン基体上に銀ロジウムデラフォサイト化合物を担持されることによって製造された。
銀ロジウムデラフォサイトがイオン交換法により調製された。具体的には、化学式Rhにより表される酸化ロジウム(和光純薬工業製、1グラム)と化学式LiOHにより表される水酸化リチウム(東京化成工業製、0.2グラム)とが、酸素雰囲気下かつ850℃の温度で、48時間焼成され、化学式LiRhOにより表されるロジウム酸リチウムが得られた。
得られたロジウム酸リチウム(0.25g)と、化学式AgNOにより表される硝酸銀(和光純薬工業製、0.33g)と、化学式KNOにより表される硝酸カリウム(和光純薬工業製、0.10g)が、アンプル管(コーニング社、商品名:PYREX(登録商標)製)に封入され、350℃の温度下で、350時間焼成され、生成物が得られた。
生成物を水で複数回洗浄された後、吸引ろ過されることで、生成物に含まれる固形物が抽出された。抽出された固形物は、摂氏80℃で、15時間乾燥された。
メノウ乳鉢を用いて、乾燥された固形物を粉砕された。このようにして、銀ロジウムデラフォサイト化合物の粉末が得られた。
X線回折装置(パナリティカル製 X’Pert PRO MPD、ターゲット:Cu、加速電圧:45keV)を用いて、得られた合成物の粉末を測定した。
図7に、X線回折の測定結果を示す。図7に示されるピークの回折角および相対強度は、シミュレーション(RIETAN−FPを使用)のAgRhOのピーク回折角および相対強度とよく一致しており、銀ロジウムデラフォサイトと同定された。
得られた銀ロジウムデラフォサイト粒子(74mg)が、2mLの純粋中に分散され、スラリーを調製した。
0.28cmの有効反応面積を有する等方性電気黒鉛質(以下、「HPG基板」という。東洋炭素株式会社製、商品名HPG−59)に超音波がアセトン中で陰かさえて、HPG基板を洗浄した。次いで、HPG基板に超音波がエタノール中で印加され、HPG基板を洗浄した。さらに、HPG基板に超音波が純水中で印加され、HPG基板を洗浄した。
スラリー(40μL)がHPG基板に滴下された。次いで、摂氏80℃で15分間乾燥された。次に、5%の濃度を有するナフィオン分散液(Aldrich社製)がエタノールを用いて4倍に溶液を希釈された。希釈されたナフィオン分散液(10μL)がHPG基板上に滴下された。最後に、摂氏80℃下で、10分間乾燥された。このようにして、銀ロジウムデラフォサイトの粒子を含有する陽極が得られた。
(酸素発生反応の特性評価)
得られた陽極基板に、円筒状のキャップを用いて、回転ディスク電極アタッチメント(日厚計測社製)に作用電極として取り付けられた。
参照電極として、可逆水素電極(以下、「RHE」とも言う。RHE:Reversible Hydrogen Electrode)が用いられた。対極電極として、白金(Pt)電極が用いられた。電解液として、1mol/Lの水酸化カリウム(KOH)の溶液が用いられた。ポテンショスタット(ビーエーエス株式会社製、商品名ALS−760C)で電位が掃引され、電流−電位特性が測定された。
図8における曲線(a)に、2000rpmの回転数における実施例2による銀ロジウムデラフォサイトの電流密度−電位特性(C−V: Cyclic Voltammetry)を示す。
過電圧は、以下の数式(III)によって定義された。
過電圧=電位差EPD1(ボルト vs. RHE)−1.23(ボルト vs. RHE) (III)
ここで、電位差EPD1は、5mA/cmの電流が対極および作用電極の間に流れる時の参照極および作用電極の間の電位差を表す。過電圧の低下に伴い、酸素の発生効率は高まる。
実施例2における陽極は、1.47Vの電位差EPD1を有していた。したがって、実施例2による陽極は、0.24Vの過電圧を有していた。
(比較例3)
化学式AgFeOにより表される銀鉄デラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧が計算された。
化学式FeCl・4HOにより表される塩化鉄(I)四水和物(和光純薬工業製)が溶解された水溶液に、空気が送入された状態で、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下され、化学式FeOOHにより表されるオキシ水酸化鉄を得た。
得られたオキシ水酸化鉄(0.24g)と、化学式AgOにより表される酸化銀(I)(和光純薬工業製、0.63g)と、水酸化ナトリウム(和光純薬工業製、3.0g)と、純水(40mL)とが、100mLの容量を有するテフロン(登録商標)内容器に投入された。テフロン(登録商標)内容器は、ステンレス製の耐圧容器中で、摂氏210℃で60時間加熱され、生成物が得られた。
得られた生成物を水で複数回洗浄された後、吸引ろ過されることで、生成物に含まれる固形物が抽出された。抽出された固形物は、摂氏80℃で、15時間乾燥された。
メノウ乳鉢を用いて、乾燥された固形物を粉砕された。このようにして、銀鉄デラフォサイトの粉末が得られた。
なお、得られた銀鉄デラフォサイトに含まれるAgO等の不純物が含まれていた。得られた銀鉄デラフォサイト化学物の粒子は、アンモニア水溶液(10%)中に約30分間浸漬され、不純物を低減した銀鉄デラフォサイト化学物が得られた。
実施例2と同様に、銀鉄デラフォサイト粒子を用いて陽極を作成され、酸素発生反応の特性を評価した。図8における曲線(b)は、銀鉄デラフォサイト電流電位特性の曲線を示す。比較例3の開始電位は1.89Vの電位差EPD1を有していた。従って、比較例3による陽極は、0.66Vの過電圧を有していた。
(比較例4)
化学式AgAlOにより表される銀アルミデラフォサイト化合物が以下のように調製され、その過電圧が計算された。
具体的には、比較例3のオキシ水酸化鉄を化学式NaAlOにより表されるアルミン酸ナトリウム(高純度科学研究所から入手)に代えて、比較例3と同様に、銀アルミニウムデラフォサイト化学物の粒子が得られた。
実施例2と同様に、銀アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極が作成され、酸素発生特性を評価した。図8における曲線(c)は、比較例4による銀アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極の電流−電位特性である図8から明らかなように、比較例3による陽極は、1.96Vの電位差EPD1を有していた。従って、比較例3による陽極は、0.73Vの過電圧を有していた。
以下の表2は、実施例2、比較例3、および比較例4の陽極の材料、電位差EPD1および過電圧を示す。
Figure 2016011458
表2から明らかなように、実施例2による銀ロジウムデラフォサイト化合物のみが、低い過電圧を有する。そのため、実施例2による銀ロジウムデラフォサイト化合物から形成した陽極を具備する水電解装置は、高いエネルギー効率を有する。
本発明は、銀デラフォサイト化合物を陽極として用いて水を電気分解することによって酸素を効率的に発生する方法を提供する。
11 陽極
12 陰極
13 隔膜
14 電源
15 電解質水溶液
16 容器
17 電解質膜
100 水電解装置
21 容器
22 陽極
23 陰極
24 電源
25 電解質水溶液
26 隔膜
27 電解質膜
200 水電解装置
本発明は、酸素を発生させる方法であって、以下の工程を具備する:
(a)水の電気分解装置を用意する工程、ここで、
前記水の電気分解装置は、
電解質膜と、
前記電解質膜の表面と接し、かつ化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極と、
前記電解質膜の裏面と接する陰極と、
電源と
を具備し、ここで、
前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液と接し、
(b)前記電源を用いて前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる工程
(酸素を発生させる方法)
まず、水電解装置200が用意される。言い換えれば、水電解装置200の利用者が、水電解装置200を準備する。次に、電源24を用いて陰極23および陽極22の間に電位差が印加される。言い換えれば、利用者は電源24を用いて陰極23および陽極22の間に電位差を印加する。この電圧印加により、銀ロジウムデラフォサイト化合物上で水が電気分解される。このようにして、陽極22上に酸素が発生する。
より具体的には、オキシ水酸化鉄に代えて、化学式NaAlOにより表されるアルミン酸ナトリウム(高純度化学研究所から入手)が用いられたこと以外は、比較例1と同様にデラフォサイト化合物が調製された。このようにして、銀アルミニウムデラフォサイト化合物が得られた
次いで、実施例1の場合と同様に、銀アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極が作成され、酸素発生特性を評価した。図4における曲線(c)は、比較例2による銀アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極の電流−電位特性である。図4から明らかなように、比較例による陽極は、1.96Vの電位差EPD1を有していた。従って、比較例2による陽極は、0.73Vの過電圧を有していた。
具体的には、比較例3のオキシ水酸化鉄を化学式NaAlOにより表されるアルミン酸ナトリウム(高純度科学研究所から入手)に代えて、比較例3と同様に、銀アルミニウムデラフォサイト化物の粒子が得られた。
実施例2と同様に、銀アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極が作成され、酸素発生特性を評価した。図8における曲線(c)は、比較例4による銀アルミニウムデラフォサイト化合物を含有する陽極の電流−電位特性である図8から明らかなように、比較例3による陽極は、1.96Vの電位差EPD1を有していた。従って、比較例による陽極は、0.73Vの過電圧を有していた。
Figure 2016011458

Claims (6)

  1. 酸素を発生させる方法であって、以下の工程を具備する:
    (a)水の電気分解装置を用意する工程、ここで、
    前記水の電気分解装置は、
    電解質水溶液が貯留されている容器と、
    前記電解質水溶液と接し、かつ化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極と、
    前記電解質水溶液と接している陰極と、
    電源と
    を具備し、ここで、
    前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液と接し、
    (b) 前記電源を用いて前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる工程。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記容器はさらに隔膜を具備し、かつ
    前記隔膜は、前記容器の内部を、前記陽極を有する第1室および前記陰極を有する第2室に分割している。
  3. 酸素を発生させる方法であって、以下の工程を具備する:
    (a)水の電気分解装置を用意する工程、ここで、
    前記水の電気分解装置は、
    電解質膜と、
    前記電解質膜の表面と接し、かつ化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極と、
    前記電解質膜の裏面と接する陰極と、
    電源と
    を具備し、ここで、
    前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液と接し、
    (b) 前記電源を用いて前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる工程。
  4. 水の電気分解により酸素を発生するための陽極であって、
    前記陽極は、化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を有している。
  5. 水の電気分解装置であって、
    電解質水溶液が貯留されている容器と、
    前記電解質水溶液と接し、かつ化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極と、
    前記電解質水溶液と接している陰極と、
    前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる電源と
    を備え、ここで
    前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液と接している。
  6. 水の電気分解装置であって、
    電解質膜と、
    前記電解質膜の表面と接し、かつ化学式AgCoOにより表される銀コバルトデラフォサイト化合物および化学式AgRhOにより表される銀ロジウムデラフォサイト化合物からなる群から選択される少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物を含む陽極と、
    前記電解質膜の裏面と接する陰極と、
    前記陰極および前記陽極の間に電位差を印加して、前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物上で生じる水の電気分解を介して前記陽極上に酸素を発生させる電源と
    を備え、ここで
    前記少なくとも1種の銀デラフォサイト化合物は、前記電解質水溶液と接している。
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