図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
図1は、車両用空調ユニット1に取り付けられた状態のハーネスユニット100を示している。図2は、ハーネスユニット100単体での構成を示している。以下に、ハーネスユニット100が取り付けられる車両用空調ユニット1についての説明を行う。
車両用空調ユニット1は、車両に搭載されている。車両用空調ユニット1は、その内部に車室内空気である内気、あるいは車室外空気である外気を取り込む。車両用空調ユニット1は、取り込まれた空気の温度を調整して車室内に吹き出す。言い換えると、車両用空調ユニット1は、車室内の暖房運転や冷房運転や除湿運転などの空調運転を行う装置である。
図1において、車両用空調ユニット1は、車両左右の略中央に配置されている空調本体ユニット2と、空調本体ユニット2よりも助手席側に配置されている送風機ユニット4とを備えている。空調本体ユニット2と送風機ユニット4とは内部が連通しており、送風機ユニット4から送風された空気は空調本体ユニット2の内部に流れ込むように構成されている。
送風機ユニット4の空気流れ最上流側には、内外気切り替え装置5が配置されている。内外気切り替え装置5は、車両用空調ユニット1の内部に内気を導入するか外気を導入するかを切り替える装置である。送風機ユニット4の内部において、内外気切り替え装置5の下方には電動送風機が配されている。電動送風機は、回転数を電気的に制御して送風を行う装置である。送風機ユニット4は、電動送風機を収容する送風機ケース40を備えている。
空調本体ユニット2は、送風機ユニット4から送風された送風空気を冷却する冷却用熱交換器と、送風空気を加熱する加熱用熱交換器とを備えている。空調本体ユニット2は、冷却用熱交換器と熱交換した冷風と加熱用熱交換器と熱交換した温風とを混ぜるエアミックスドア装置や、吹き出しモードを切り替えるモードドア装置などの空調用機器を備えている。空調本体ユニット2は、冷却用熱交換器や加熱用熱交換器や空調用機器などの装置を収容する車両用空調ケース20を備えている。
車両用空調ケース20は、第1ケース部材20aと第2ケース部材20bと第3ケース部材20cとの3つの部材が組み付けられて形成されている。車両用空調ケース20は、第2ケース部材20bを中心として左右にそれぞれ第1ケース部材20aと第3ケース部材20cとが配置された状態で連結して固定されている。第1ケース部材20aと第2ケース部材20bとは、例えばスナップフィットなどによって嵌合固定されている。第2ケース部材20bと第3ケース部材20cとについても同様に、例えばスナップフィットなどによって嵌合固定されている。ただし、ケース部材20a、20b、20cの互いの固定方法は嵌合固定に限られず、ネジ止めなどによる締結固定や接着剤による接着固定などを採用してもよい。
車両用空調ケース20と送風機ケース40とは、ある程度の弾性と防水性を有し、強度的にも優れた絶縁性樹脂にて成形されている。絶縁性樹脂としては、例えばポリプロピレンなどが採用可能である。
空調本体ユニット2における空気流れの最下流側には、温度調整された送風空気である空調空気を空調本体ユニット2の外側へ吹き出させる複数の開口が設けられている。開口から吹き出された空調空気は、開口に接続して設けられたダクトの内部を流れる。ダクトを流れた空調空気は、車室内に面して設けられた吹き出し口から吹き出されて車室内の空調を行う。
車両用空調ケース20の外周面において、第1アクチュエータ23が取り付けられている。第1アクチュエータ23は、第1ケース部材20aの表面において、送風機ユニット4と対向する側の面に設けられている。第1アクチュエータ23は、デフロスタモードとフェイス吹き出しモードとフット吹き出しモードなどの吹き出しモードを切り替えるモードドア装置を駆動する駆動装置である。車両用空調ケース20の外周面において、第1アクチュエータ23の反対側には、第1アクチュエータ23と同様のアクチュエータが設けられている。
車両用空調ケース20の外周面において、第2アクチュエータ33が取り付けられている。第2アクチュエータ33は、第1ケース部材20aの表面において、モードドア装置よりも風の流れの下流側の位置に対応して設けられている。第2アクチュエータ33は、後席への空調空気の吹き出し有無および後席フェイス吹き出しモードと後席フット吹き出しモードなどの吹き出しモードを切り替える後席用ドア装置を駆動する駆動装置である。
送風機ケース40の外周面において、第3アクチュエータ43が取り付けられている。第3アクチュエータ43は、内外気切り替え装置5に隣接して設けられている。第3アクチュエータ43は、内気モードと外気モードとを切り替える内外気切り替えドア装置を駆動する駆動装置である。
第1アクチュエータ23と第2アクチュエータ33とは、車両用空調ケース20に対してネジなどを用いて締結固定されている。第3アクチュエータ43は、送風機ケース40に対してネジなどを用いて締結固定されている。アクチュエータ23、33、43は、風の流れを調整するドアを駆動するサーボモータなどにより構成されている。アクチュエータ23、33、43は、外部からの入力信号に従って動作する。第1アクチュエータ23と第2アクチュエータ33と第3アクチュエータ43とは、電装部品3を提供する。電装部品3の設置位置は、上述した位置に限られない。
車両用空調ケース20および送風機ケース40の外周面において、ハーネスユニット100が取り付けられている。ハーネスユニット100は、車両用空調ケース20の高さ方向の略中間位置に設けられている。ハーネスユニット100は、ハーネスアタッチメント50とワイヤハーネス80とを備えている。ハーネスユニット100は、電装部品3を電気的に接続して駆動電力や駆動信号などを伝達するための部品である。
図2において、ハーネスユニット100は、ハーネスアタッチメント50とワイヤハーネス80とを備えている。ハーネスアタッチメント50は、ベース部51と複数のコネクタ保持部72とを備えている。ハーネスアタッチメント50は、ある程度の弾性と防水性を有し、強度的にも優れた絶縁性樹脂にて成形されている。ハーネスアタッチメント50は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料でベース部51とコネクタ保持部72とが連続して一体成形されている。ただし、単一の樹脂材料のみでハーネスアタッチメント50を形成するのではなく、複数の樹脂材料を用いてハーネスアタッチメント50を形成してもよい。あるいは、大きな弾性が必要となる部分にゴムなどのエラストマーを用いるようにしてもよい。あるいは、別々に成形したベース部51とコネクタ保持部72とを組み合わせてハーネスアタッチメント50を構成するようにしてもよい。
ベース部51は、複数のコネクタ保持部72を繋いで連続する一体のハーネスアタッチメント50を形成している。言い換えると、ベース部51は、複数設けられたコネクタ保持部72が互いに適切な位置関係になるようにコネクタ保持部72同士の位置関係を保持している。ただし、ハーネスアタッチメント50が全体で1つの連続する一体物でなくてもよい。例えば、複数の部品を組み合わせて1つのベース部51を構成してもよい。
ハーネスユニット100において、ワイヤハーネス80は、ハーネスアタッチメント50に沿って配置されている。ワイヤハーネス80は、配線81と複数のコネクタ82とを備えている。配線81は、電気信号などを通信するための金属線を樹脂材料で被覆した部品である。配線81は、細長く柔らかい部品である。コネクタ82は、軟体物である配線81の端につながって設けられている。コネクタ82は、電装部品3と電気的に接続するための部品である。
配線81は、ベース部51の表面に沿って配置されている。このため、複数の配線81がハーネスアタッチメント50によってまとめられた状態である。ベース部51は、配線81の全体にわたって設けられている。すなわち、軟体物である配線81の全体を剛性の高いベース部51でまとめて保持している。複数のコネクタ82は、対応するコネクタ保持部72に保持されている。このため、複数のコネクタ82同士の位置関係がハーネスアタッチメント50によって保持された状態である。
図1において、ワイヤハーネス80は、車両用空調ケース20とハーネスアタッチメント50との間ではなく、外側に露出した状態でハーネスアタッチメント50に沿って取り付けられている。言い換えると、ハーネスユニット100が車両用空調ケース20に取り付けられた状態で、ワイヤハーネス80がハーネスアタッチメント50の適切な位置に配されているか否かが目視確認可能である。
ベース部51は、車両用空調ケース20と送風機ケース40とを越える長さであって、車両用空調ケース20と送風機ケース40とにまたがって取り付けられている。ベース部51は、車両用空調ケース20の表面または送風機ケース40の表面に設けられた4つの電装部品3に向かって延び出しており、その端部にはコネクタ保持部72が設けられている。言い換えると、ハーネスアタッチメント50は、1つのベース部51に対して4つのコネクタ保持部72を有している。ただし、1つのベース部51に対して5つ以上あるいは3つ以下のコネクタ保持部72を設けるように構成してもよい。
図3において、ベース部51は、配線81を配するための配線受け部53を備えている。配線受け部53は、ベース部51の長手方向に沿ってベース部51の中央に設けられている。配線受け部53は、ベース部51に連続する溝を形成している。
ベース部51の端部には、コネクタ保持部72が設けられている。コネクタ保持部72は、角筒形状である。コネクタ保持部72は、ベース部51から連続して一体に設けられている。言い換えると、コネクタ保持部72は、ベース部51に対してあらかじめ設定された向きを変更することができない状態で設けられている。コネクタ保持部72に外力が加えられると、ベース部51を含むハーネスアタッチメント50が変形を起こして撓むことでコネクタ保持部72の位置や向きが一時的に変わる。しかし、外力を加えない状態とすることで、コネクタ保持部72はベース部51に対するもとの位置及び向きに復元する。コネクタ保持部72の形状は角筒形状に限られず、コネクタ82の形状に対応して適宜変更可能である。例えば、コネクタ82が円柱形状であれば、コネクタ保持部72の形状は円筒形状などにすることができる。
コネクタ保持部72は、角筒形状をなす内側面に複数の圧入リブ76を備えている。圧入リブ76は、コネクタ保持部72の内側面において、略中央に位置して設けられている。圧入リブ76に対向する位置には別の圧入リブ76が設けられている。圧入リブ76は、角筒形状の中心に向かって突出する頂点を備える三角形状である。
コネクタ保持部72は、角筒形状をなす内側面に誤挿入防止部79を備えている。誤挿入防止部79は、圧入リブ76よりも大きな三角形状である。誤挿入防止部79はコネクタ82を特定の向きでしか挿入できないように規制するための部位である。
図4において、コネクタ82は、電装部品3の受け側端子31と接続する端子部83を備えている。コネクタ82には、端子部83とは反対側から延び出す配線81が設けられている。コネクタ82の内部において、端子部83と配線81とは電気的に接続された状態である。
コネクタ82は、端子部83とは反対側に脱落防止部85を備えている。脱落防止部85は平板形状の部品である。脱落防止部85は、コネクタ82の外周に設けられたツバ形状であって、コネクタ保持部72よりも外側に突出している。コネクタ保持部72にコネクタ82が最も深く挿入された状態においては、脱落防止部85とコネクタ保持部72とが接触した状態である。言い換えると、脱落防止部85によってコネクタ82がそれ以上先に押し込まれることが規制された状態である。
コネクタ82は、端子部83とは反対側に凹み部86を備えている。凹み部86は、コネクタ82を電装部品3に対してスムーズに押し込むための部位である。凹み部86は、脱落防止部85の表面を端子部83に向かって凹ませて設けられている。ただし、凹み部86の一部をなす円形の縁部は脱落防止部85から突出して設けられている。凹み部86は、端子部83から離れるほど内径が大きくなる円錐形状である。言い換えると、凹み部86はすり鉢形状である。
コネクタ保持部72は、内側にコネクタ82を保持している。コネクタ保持部72の内側に設けられた誤挿入防止部79により、コネクタ82の特定の面と誤挿入防止部79とが合致する向きにしかコネクタ82を挿入することができない。言い換えると、コネクタ82が適切でない向きに挿入されることが規制されている。ただし、コネクタ82側に誤挿入防止部79に相当する凸形状を設け、コネクタ保持部72側をコネクタ82の凸形状に合わせて凹形状を設けるようにして誤挿入防止機能を発揮させるようにしてもよい。
コネクタ保持部72にコネクタ82が挿入された状態においては、複数の圧入リブ76および誤挿入防止部79とコネクタ82とが接触している。言い換えると、圧入リブ76がコネクタ82に対して内側に向かう向きに応力を加え続けてコネクタ82を保持している。
コネクタ保持部72は、コネクタ82における端子部83の向きがベース部51に対して変わらないように保持している。コネクタ82がコネクタ保持部72に保持された状態においては、端子部83とベース部51とのなす角度が固定されて角度の変更が規制されている。さらに、角度を維持した状態で回転することも規制されて、コネクタ82の特定の面がベース部51に対して常に所定の角度を維持している状態である。ただし、コネクタ82の挿入深さについては、多少の余裕がある状態である。言い換えると、コネクタ82がコネクタ保持部72に対して浅く挿入されて保持されている状態と、深く挿入されて保持されている状態とが、コネクタ82がコネクタ保持部72から脱落しない範囲で許容されている。
コネクタ保持部72によるコネクタ82の保持方法は、圧入リブ76を用いた圧入固定に限られない。例えば、コネクタ保持部72とコネクタ82との間に接着剤を配して、接着固定を行ってもよい。あるいは、コネクタ保持部72の内側にバネを備えて、コネクタ82をコネクタ保持部72の内側に向けて押し付けるように付勢して保持してもよい。あるいは、コネクタ保持部72の一部もしくは全体をゴムなどの弾性部材で構成して、コネクタ保持部72の内側を広げてコネクタ82を挿入するようにしてもよい。この場合、コネクタ82の挿入後にコネクタ保持部72に発生する内側に収縮しようとする力によりコネクタ82を内側に保持するようにしてもよい。あるいは、コネクタ保持部72の形状をコネクタ82の形状に合わせて設けることで、コネクタ82をコネクタ保持部72に嵌合固定するようにしてもよい。
配線81は、配線受け部53に沿って配されている。配線受け部53においては、溝形状をなすベース部51の縁部から対向する縁部にかけて懸架するようにカバー部材56が設けられている。カバー部材56は、例えば粘着性を有するテープである。カバー部材56は、配線81が配線受け部53からはみ出ることを防止する位置規制部材である。カバー部材56は、テープに限られない。例えば輪ゴムや面ファスナーのような着脱自在な部材で配線81の位置規制を行うようにしてもよい。あるいは、ベース部51の一部を突出させることでベース部51と連続する一体の凸形状を設けて、着脱不可能な部材で配線81の位置規制を行うようにしてもよい。
図1において、コネクタ保持部72は、コネクタ82の端子部83を電装部品3の受け側端子31と対向する向きに保持するように設けられている。ベース部51は、複数の電装部品3に対応して、それぞれの受け側端子31に対応するコネクタ82の端子部83を対向させるようにコネクタ保持部72を備えている。
ハーネスアタッチメント50は、コネクタ82が電装部品3に接続された状態を維持するように付勢する付勢部材として機能する。言い換えると、ハーネスアタッチメント50は、走行に伴う振動などにより接続されている複数のコネクタ82のうち、1つのコネクタ82だけが外れてしまうことがないようにコネクタ82を電装部品3の接続方向に付勢している。このため、電装部品3に対してコネクタ82が適切に接続された状態を維持しやすい。
ハーネスアタッチメント50は、走行に伴う振動などにより配線81が車両用空調ケース20や送風機ケース40から大きく離れて揺動してぶつかることを防いでいる。言い換えると、配線81が配線受け部53に沿って設けられているため、車両全体が振動した場合であっても、車両用空調ケース20と送風機ケース40と電装部品3とハーネスユニット100とが一体となって振動する。このため、配線81が単体で振動することで、配線81と車両用空調ケース20などが勢いよくぶつかることで接触音が発生することを抑制できる。
車両用空調ケース20および送風機ケース40にハーネスユニット100を取り付ける過程を以下に説明する。図5において、ハーネスユニット100は、ロボットアーム99によってつまんで持ち上げられた状態である。ロボットアーム99は、ハーネスユニット100の取り付け角度を調整して、ベース部51を挟持している。ロボットアーム99は、車両用空調ケース20に対してハーネスユニット100を正規の取り付け位置に移動させるためにハーネスユニット100の高さ位置および左右位置を調整している。
全ての電装部品3の受け側端子31は互いに同じ方向を向くように設けられている。言い換えると、ロボットアーム99によるハーネスユニット100の正規の位置への取り付けに伴い、全ての受け側端子31が、それぞれに対応するコネクタ82の端子部83と対向する向きとなるように設けられている。受け側端子31の向きをそろえるにあたっては、受け側端子31に端子を延長するアタッチメントを備えて、アタッチメントが端子部83と対向する位置及び向きとなるように構成してもよい。
図6において、ハーネスユニット100は、車両用空調ケース20の正規の位置に取り付けられた状態である。この状態においては、コネクタ保持部72に保持されたコネクタ82の端子部83は、電装部品3の受け側端子31に対して対向している。したがって、複数あるコネクタ82がどの電装部品3に接続されるかが簡単に判別できる状態である。この状態においては、まだコネクタ82が電装部品3に対して適切に接続されていない状態である。言い換えると、受け側端子31と端子部83との間にわずかな隙間が生じている状態である。あるいは、受け側端子31と端子部83とが接触しているものの、完全には電気的に接続されていない状態である。
ロボットアーム99は、ハーネスユニット100の位置を車両用空調ケース20に対する正規の位置に合わせた状態を維持している。差し込みアーム199は、第1アクチュエータ23に対してコネクタ82を接続するために、差し込みアーム199の先端をコネクタ82の凹み部86の位置に調整している。
ハーネスユニット100の車両用空調ケース20への位置決め方法は、ロボットアーム99による保持に限られない。例えば、車両用空調ケース20とハーネスユニット100とを両面テープや接着剤を用いて接着固定してもよい。あるいは、車両用空調ケース20にフック部材を設けてハーネスユニット100をフック部材の内側にスライド挿入させてフック部材で挟み込んで固定するなどしてもよい。あるいは、ハーネスユニット100には位置決め孔を設け、車両用空調ケース20には位置決め突起を設けるようにして、位置決め孔に位置決め突起を挿入するようにして位置決めを行ってもよい。
図7において、差し込みアーム199は、先端を凹み部86に接触させた状態で第1アクチュエータ23の受け側端子31に向かってコネクタ82を真っすぐに押し込んでいる。これにより、コネクタ82を受け側端子31に近づくように移動させて、コネクタ82の端子部83を受け側端子31に接続させている。この時、ハーネスアタッチメント50が撓むことで差し込みアーム199による押し込み量の分だけコネクタ保持部72を移動させてコネクタ82を接続させている。ただし、ハーネスアタッチメント50の一部を伸縮性の高い材料とすることでコネクタ保持部72の移動可能な量を大きく確保するようにしてもよい。あるいは、ハーネスアタッチメント50の一部を蛇腹構造にするなどして、伸び縮み可能な形状とすることでコネクタ保持部72の移動可能な量を大きく確保するようにしてもよい。
コネクタ82を十分に押し込んで第1アクチュエータ23に対するコネクタ82の接続が完了した時点で、差し込みアーム199を受け側端子31から離れる方向に移動させて、差し込みアーム199によるコネクタ82の押し込みを解除する。
第1アクチュエータ23にコネクタ82を接続する過程の詳細について以下に説明する。図8において、差し込みアーム199は、コネクタ82を押し込む前の状態である。第1アクチュエータ23は、コネクタ82が接続される端子である受け側端子31を備えている。受け側端子31は、第1アクチュエータ23から突出して設けられている。受け側端子31に対向する位置には、コネクタ82の端子部83が位置している。第1アクチュエータ23にコネクタ82が接続される前の状態においては、受け側端子31と端子部83との間にはわずかに隙間が発生している。
差し込みアーム199の先端は、受け側端子31と端子部83とを結ぶ直線と平行な直線上を真っすぐに移動している。差し込みアーム199の移動方向は、端子部83から受け側端子31に近づく方向である。差し込みアーム199は、先端が凹み部86に近づくように移動している。
図9において、差し込みアーム199は、コネクタ82を押し込んでいる状態である。差し込みアーム199は、凹み部86に接触しながら端子部83を第1アクチュエータ23に近づける方向に移動させている。ここで、凹み部86は、円錐状に形成されている。このため、差し込みアーム199が凹み部86の中心から少しずれた位置で接触を開始した場合には、凹み部86の傾斜面に沿って凹み部86の中心に近づくように接触部分がシフトする。言い換えると、差し込みアーム199の先端が凹み部86の傾斜に沿って中央にガイドされる。これにより、端子部83を受け側端子31に接触させるとともに、さらに押し込むことで端子部83と受け側端子31とを適切な接続状態としている。
ただし、差し込みアーム199を用いてコネクタ82を押すのではなく、組立作業者の手によってコネクタ82を押すことで第1アクチュエータ23にコネクタ82を接続するようにしてもよい。この場合、ロボットアーム99によるハーネスユニット100の保持に代えて、組立作業者によって保持を行ってもよい。言い換えると、ロボットアーム99と差し込みアーム199とを用いて組立工程を自動化するのではなく、組立作業者による手作業でハーネスユニット100の保持と接続とを行い、車両用空調ユニット1を組み立ててもよい。
第1アクチュエータ23にコネクタ82を適切に接続した後、その他の電装部品3についても同様の接続方法で順番にコネクタ82の接続を完了させる。これにより、すべての電装部品3がハーネスユニット100によって一体に接続された状態となる。ただし、差し込みアーム199の先端部を4つ設けられているコネクタ82のそれぞれに対応して備えてもよい。この場合、差し込みアーム199での一回の押し込み動作で、全ての電装部品3に対して同時にコネクタ82を接続するようにしてもよい。これによると、コネクタ82の接続作業を一回の動作で完了できるため、複数回の接続作業を繰り返す場合に比べて接続作業性をさらに向上させることができる。
上述した実施形態によると、ハーネスアタッチメント50の一部をなすコネクタ保持部72は、端子部83の向きをベース部51に対して一定に保った状態でコネクタ82を保持している。このため、ハーネスユニット100を車両用空調ケース20に取り付けると同時に、端子部83を受け側端子31に対向した向きに配置することができる。したがって、受け側端子31に対してコネクタ82の向きを細かく調整する作業が不要となり、接続作業性を向上させることができる。特に、コネクタ82のサイズが小さい場合にはコネクタ82を直接つかんで接続する作業に多くの時間が必要である。このため、コネクタ82のサイズが小さい場合に特に有用である。
また、コネクタ82の接続作業において、小さなコネクタ82をつかんで向き合わせを行う必要がない。このため、ロボットアーム99や差し込みアーム199などを用いて電装部品3に対するコネクタ82の接続作業を自動化する場合に、差し込みアーム199による作業を単純化できる。言い換えると、軟体物である配線81につながったコネクタ82をつまむ動作や、端子部83を受け側端子31の位置まで移動させて向きや位置を合わせる動作などの複雑な動作を簡略化できる。したがって、ロボットアーム99や差し込みアーム199の制御プログラムを簡略化して製造プロセスを自動化しやすい。
ハーネスアタッチメント50は、コネクタ保持部72を複数備えている。このため、車両用空調ケース20に対するハーネスユニット100の取り付けで複数のコネクタ82を対応する電装部品3に対して一度に対向させることができる。したがって、複数のコネクタ82の中から適切なコネクタ82を選び出す作業を省略できる。言い換えると、ハーネスユニット100を正規の位置に取り付けた時点で、複数のコネクタ82と複数の電装部品3とが互いに対向するので、電装部品3に対して誤ったコネクタ82を接続してしまうことを防止できる。
第1アクチュエータ23と第2アクチュエータ33と第3アクチュエータ43とのそれぞれの受け側端子31の向きは互いに同じ向きである。言い換えると、ハーネスユニット100において、コネクタ保持部72に保持されている全てのコネクタ82について、端子部83の向きが互いに同じ向きである。このため、複数の電装部品3に対して一定の方向からコネクタ82を押してコネクタ82と電装部品3とを接続させることができる。言い換えると、コネクタ82毎に押し込む方向を変える必要がない。したがって、車両用空調ケース20の正規の位置にハーネスユニット100を取り付けた後の電装部品3へのコネクタ82の接続作業を効率的に行うことができる。
コネクタ保持部72は、コネクタ82の外周を囲む筒形である。このため、コネクタ82をコネクタ保持部72に挿入した状態において、コネクタ82の外周を一周にわたって保持することができる。言い換えると、挿入方向と直交する方向への移動を規制することができる。したがって、コネクタ82を両側から挟持するだけの保持構造などに比べて安定して強固に保持することができる。
コネクタ82は、コネクタ保持部72に挿入して保持された状態でコネクタ保持部72よりも外側に突出している脱落防止部85を備えている。このため、コネクタ82がコネクタ保持部72に対して過剰に押し込まれた場合であっても、脱落防止部85がコネクタ保持部72と干渉してコネクタ保持部72からのコネクタ82の脱落を防止する。したがって、ベース部51に対する端子部83の向きを維持して、電装部品3へのコネクタ82の接続作業性を向上できる。
コネクタ82は、端子部83の先端に向かって近づく方向に凹んでいる凹み部86を備えている。このため、端子部83の反対側から凹み部86を押すことで端子部83を押し出すことができる。したがって、凹み部86の設けられていない平坦な部分を押す場合に比べて、押す部分が明確でわかりやすい。よって、コネクタ82の接続作業性を向上できる。
凹み部86は円錐状である。このため、凹み部86の中央からわずかにずれた場所を押した場合であっても、円錐状をなす傾斜面に沿って押し込む力を加える位置を凹み部86の中央に近づけることができる。したがって、コネクタ82を押し込む力を適切な位置に集中させやすい。
ベース部51は、複数の配線81をまとめた状態で配している配線受け部53を備えている。このため、複数の配線81がバラバラの状態でベース部51から離れてしまうなどして、ハーネスユニット100を取り付ける際に配線81が邪魔になるといった事態を抑制することができる。また、複数の配線81をひとまとめにして扱うことができるので、ベース部51に対して配線81を一本ずつ配する場合に比べて、ハーネスアタッチメント50にワイヤハーネス80を取り付ける作業を効率的に行うことができる。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、端子部283を備えるコネクタ82の先端部が基端部に比べて小さい形状である。また、脱落防止部85に対して別体の凹み部286が端子部283とは反対側に設けられている。
図10において、差し込みアーム199は、コネクタ82を押し込む前の状態である。受け側端子31と対向する端子部283は、窄み形状である。言い換えると、端子部283は、受け側端子32に対向する面における長手方向の幅と短手方向の幅とが先端に向かって徐々に小さくなるテーパ形状である。端子部283の先端は、受け側端子31に比べて一回り小さくなるように形成されている。
また、凹み部286は、円錐状の部品である。凹み部286は、コネクタ82と一体に設けられている脱落防止部85において、端子部283とは反対側に設けられている。凹み部286は、脱落防止部85とは別体の部品として形成されており、脱落防止部85に対して凹み部286を固定することでコネクタ82と凹み部286とを一体としている。
図11において、差し込みアーム199は、コネクタ82を押し込んでいる状態である。差し込みアーム199は、凹み部286の内側に接触しながら端子部283を第1アクチュエータ23に近づける方向に移動させている。ここで、凹み部286は、円錐状に形成されている。このため、差し込みアーム199が凹み部286の中心から少しずれた位置で接触を開始した場合には、凹み部286の傾斜面に沿って凹み部286の中心に近づくように接触部分がシフトする。言い換えると、差し込みアーム199の先端が凹み部286の傾斜に沿って中央にガイドされる。これにより、端子部283を受け側端子31に接触させるとともに、さらに押し込むことで端子部283と受け側端子31とを適切な接続状態としている。
端子部283は、受け側端子31に比べて一回り小さなサイズであり、受け側端子31に対してわずかにずれた位置で押し込まれた場合であっても端子部283の先端が受け側端子31の内側に挿入されやすい。さらに、端子部283の滑らかに傾斜したテーパ形状に沿って受け側端子31の中央にガイドされる。これにより、端子部283と受け側端子31とはスムーズに適切な接続状態に導かれる。
上述した実施形態によると、凹み部286は、コネクタ82や脱落防止部85とは別部品で設けられている。このため、脱落防止部85などのコネクタ82から簡単には着脱できない部位を凹ませる場合やコネクタ82自体を凹ませる場合に比べて、凹み部286の形状を自由に設定しやすい。言い換えると、コネクタ82の形状や大きさによらず様々な形状の凹み部286を採用することができる。したがって、押し込む際の力が大きく必要な場合には大きなサイズの凹み部286を設けるなど状況によって凹み部286を使い分けやすい。また、差し込みアーム199によってコネクタ82を押し込む場合にのみ凹み部286を取り付け、組立作業者による手作業でコネクタ82を押し込む場合には凹み部286を取り外しておくなどの使い分けも可能である。
端子部283は、先端が窄んだ形状である。このため、受け側端子31と正確に対向する位置からわずかにずれた場合であっても、受け側端子31に端子部283の先端を挿入することができる。したがって、受け側端子31と端子部283とが接触した状態を維持されて、そのまま適切な接続方向にスライドされやすい。言い換えると、コネクタ82の位置決め精度が低い場合であっても、端子部283を受け側端子31に適切に接続しやすい。
他の実施形態
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。