JP7061777B2 - 油性インキ組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、連続気泡を有する多孔質印字体を用いた浸透印に含浸させて使用される浸透印用油性インキや、フェルト等のインクパッドに含浸させて使用されるスタンプ台用油性インキや、フェルト等のインクパッドに含浸させて使用される朱肉用油性インキ(朱油)などの油性インキ組成物に関するものである。
従来から、浸透印用油性インキ、スタンプ台用油性インキ、朱肉用油性インキ(朱油)などの油性インキ組成物として、ヒマシ油脂肪酸誘導体とグリコールエーテルを混合した溶剤に、該溶剤に不溶な金属石鹸(インキにチキソトロピー性(塑性)を付与し、印影滲みを防止する為に配合)、該金属石鹸の分散剤として働くクエン酸を配合したものが知られている(例えば特許文献1)。
特開2008-127521号公報
しかしながら、特許文献1では、溶剤として吸湿性を有するグリコールエーテルを使用している為、外界の湿度が高い時期は、吸湿しすぎて経時的にインキの色濃度が低下し、印影が薄くなる欠点があった。
一方、上記課題を解決するために、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸誘導体などの吸湿性が少ない油性溶剤のみを混合した溶剤を使用した場合、前記溶剤系には水溶性のクエン酸が溶解しない為、金属石鹸が良好に分散せず、和紙などの易吸収性用紙に対して印影が滲むなどの不具合が発生していた。
本発明は、溶剤の吸湿を防止する事で長期間、湿度の高い環境で使用してもインキ濃度及び印影濃度の減少を防止する事ができると同時に、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸誘導体などの吸湿性を有さない油性溶剤のみを混合した溶剤を使用した場合でも金属石鹸を良好に分散させることで、和紙などの易吸収性用紙に対して滲みのない印影を得ることができる油性インキ組成物を提供する。
上記の課題を解決するために完成された発明は、ヒマシ油及びヒマシ油脂肪酸誘導体を混合してなる溶剤と、着色剤と、前記溶剤に可溶な樹脂と、前記溶剤に不溶な金属石鹸と、リン酸エステルとを配合し、前記リン酸エステルは、水酸基を有するエーテル型非イオン界面活性剤又は高級アルコールをリン酸エステル化することによって得られるアニオン界面活性剤であり、HLBが、5.2~5.7であり、前記金属石鹸に対する前記リン酸エステルの配合比率が0.3~1.0であることを特徴とする油性インキ組成物である。
上記の課題を解決するために完成された発明は、ヒマシ油及びヒマシ油脂肪酸誘導体を混合してなる溶剤と、着色剤と、前記溶剤に可溶な樹脂と、前記溶剤に不溶な金属石鹸と、リン酸エステルとを配合し、前記リン酸エステルは、水酸基を有するエーテル型非イオン界面活性剤又は高級アルコールをリン酸エステル化することによって得られるアニオン界面活性剤であり、HLBが、5.2~5.7であり、前記金属石鹸に対する前記リン酸エステルの配合比率が0.3~1.0であることを特徴とする油性インキ組成物である為、溶剤の吸湿を防止する事で長期間、湿度の高い環境で使用してもインキ濃度及び印影濃度が減少することがなく、金属石鹸の分散剤であるリン酸エステルを前記油性溶剤に溶解させることが可能である。その為、金属石鹸を良好に分散させる事ができ、且つ、経時による金属石鹸の凝集が生じることもない。
本発明の油性インキ組成物は、配合された金属石鹸によってチキソトロピー性(塑性)が与えられるので、静止状態では粘度が比較的高く、流動状態では粘性が低下する性質を持っている。よって、押印時のインキを振動させて流動化した直後の印影は、吸収性用紙に素早く浸透し、短時間での乾燥を達成する。また、押印直後から印影は静止状態に移行し、用紙の繊維を溶剤や顔料が伝っていくことを防止するので、上質紙やPPC用紙などの普通吸収性用紙だけでなく、和紙などの易吸収性用紙に対しても滲むことなく、きれいで鮮明な印影が得られる。また、マイクロメーター以下のナノオーダーサイズの極小顔料でもインキ組成物中に良分散させることができ、和紙等の薄い紙において滲みを生じること無く鮮明捺印が可能である。
また、インキ補充時は通常容器からインキを補充するために、インキが振動して低粘度化し、インクパッドに速やかに浸透することでインキ含浸時間を短縮できる。
更に、前記リン酸エステルはクエン酸に比べて酸性が弱く、同量配合した場合、リン酸エステル配合インキの方が酸性が弱い為、紙に浸透しても紙の繊維を酸化する虞がない。その為、リン酸エステルは金属石鹸分散の為の配合量の自由度がクエン酸に比べて高い。
また、前記HLBの範囲では、前記リン酸エステルの親油性が高くなる。その為、前記リン酸エステルがヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸誘導体のみからなる油性溶剤中でも溶解しやく、且つ、経時による金属石鹸の凝集が生じることもない。従って、金属石鹸が良好に分散され、経時安定性に優れている。
更に、前記金属石鹸に対する前記リン酸エステルの配合比率が0.3~1.0である為、前記金属石鹸の未分散及び、経時による凝集を確実に防止することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる溶剤は、ヒマシ油とヒマシ油脂肪酸誘導体を混合してなる油性溶剤である。
ヒマシ油脂肪酸誘導体としては、アルキレンオキサイドによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸多価アルコールエーテルや、1価アルコールによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸アルキルエステル、2価アルコールによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸アルキレングリコールエステルなどのヒマシ油脂肪酸誘導体であって、通常市販されているものを用いることができる。
アルキレンオキサイドによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸多価アルコールエーテルとは、プロピレンオキサイドやエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドによりヒマシ油の一部又は全部を変性して得られるヒマシ油脂肪酸多価アルコールエーテルをいい、変性度10~100%のものが好ましく用いられる。ヒマシ油の主成分がリシノール酸であるのでヒマシ油脂肪酸多価アルコールエーテルの大部分は、リシノール酸多価アルコールエーテルである。
1価アルコールによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸アルキルエステルとは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1価及び2価のアルコールによりヒマシ油の一部又は全部を変性したヒマシ油脂肪酸アルキルエステルをいい、変性度10~100%のものが好ましく用いられる。ヒマシ油脂肪酸アルキルエステルの大部分は、リシノール酸アルキルエステルである。具体的には、CO-FAブチルエステル(伊藤製油(株)製)が挙げられる。
2価アルコールによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸アルキレングリコールエステルとは、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコールによりヒマシ油の一部又は全部を変性したヒマシ油脂肪酸アルキレングリコールエステルをいい、変性度10~100%のものが好ましく用いられる。ヒマシ油脂肪酸アルキレングリコールエステルの大部分は、リシノール酸アルキレングリコールエステルである。具体的には、MINERASOL S-74(伊藤製油(株)製)が挙げられる。
また詳細は非開示であるが、ヒマシ油脂肪酸エステルとして、リックサイザーC-88(伊藤製油(株)製)等が挙げられる。
上記溶剤は、粘度、他の物質の溶解力、使用用途、対象押印物の性質、インキ吸蔵体や容器等の侵食等を勘案して任意に混同して使用することができるが、溶剤総量はインキ全量に対して30~99重量%が使用され、インキ全量に対して40~95重量%を用いるのが好ましい。
本発明に用いる着色剤としては顔料を用いる。顔料としては、特に制限されることなく従来公知の有機顔料及び無機顔料を単独又は混合して使用することができる。例えば、アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ・チオインジゴ系、ベリノン・ベリレン系、イソインドレノン系、アゾメチレンアゾ系、ジケトピロロピロール系などの有機顔料や、カーボンブラック、マイカ、チタン白、パール顔料、酸化鉄・アルミニウム粉・真鍮等金属顔料などの無機顔料を用いることができる。
これらの顔料は通常、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、ロジンエステル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどの公知の樹脂などに練り込んで加工顔料としておくと、溶剤と混合する際に容易に分散するので便利である。
また、着色剤として染料を配合することを許容する。染料としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯塩型モノアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系など従来公知の油溶性染料を特に制限されることなく使用することができる。
上記染料及び顔料は単独或いは混合して任意に使用することができ、その配合量はインキ全量に対して1~30重量%が好ましい。
樹脂としては、前記溶剤に溶解する樹脂を選択し、インキ全量に対して0.5~30重量%の範囲にて使用できる。具体的にはアルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン樹脂、ロジンマレイン酸樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体等である。
他に必須構成要素として前記溶剤に不溶な金属石鹸を用いる。金属石鹸は、チキソトロピー性付与剤兼粘度調整剤として用いられるものであって、更に詳しくは高級脂肪酸金属塩である。使用される高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、p-t-ブチル安息香酸、2-エチルヘキサン酸などが挙げられる。使用される金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、バリウムなどが挙げられる。本発明では、前記高級脂肪酸と前記金属の金属石鹸から選ばれる1又は2以上の物質が用いられる。
その中でもステアリン酸アルミニウムが、顔料の分散安定性を損なわないため、特に好ましい。
また、本発明に用いる金属石鹸としては、0.1μm~100μmのものが使用でき、特に、0.1μm~75μmのものが好ましく用いられる。また、粉状のもの、エマルジョン状のものどちらも使用できる。
本発明に用いる金属石鹸は、インキ全量に対して0.9~1.7重量%が使用され、1.3重量%が特に好ましい。
本発明のリン酸エステルは金属石鹸を分散させるために用いるものである。本発明のリン酸エステルは、水酸基を有するエーテル型非イオン界面活性剤や高級アルコール等をリン酸エステル化することによって得られるアニオン界面活性剤である。具体的に一例を挙げれば、フォスファノールシリーズ(東邦化学工業(株)製)の中から、GF-185、GF-199、フォスファノールRL-210、フォスファノールRL-310等が挙げられる。これらは単独、あるいは複数混合して使用でき、その使用量はインキ全量に対して0.4~1.3重量%、好ましくは0.6~0.9重量%で使用する事ができる。
また、リン酸エステルのHLBを適切にすることでヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸誘導体などの油性有機溶剤中においてリン酸エステルが溶解しやすく、金属石鹸の分散剤として良好に働く。その為、前記金属石鹸が経時的に凝集することなく、経時安定性に優れている。好適なHLBの範囲としては5.2~5.7である。
ここで、「HLB値」とは、親水性親油性バランス(Hydrophile-Lipophile-Balance)を意味するものである。より具体的には、親水基を持たない物質をHLB値0とし、親油基を持たず親水基のみを持つ物質をHLB値20として等分したものである(グリフィン法)。
本発明において、金属石鹸に対するリン酸エステルの配合比率を適切にすることで、前記金属石鹸の未分散及び、経時による凝集を防止することができる。好適な前記配合比率としては0.3~1.0である。具体的な配合例を以下に示す。
金属石鹸:0.9重量%、リン酸エステル:0.4重量%(比率:0.5)
金属石鹸:0.9重量%、リン酸エステル:0.9重量%(比率:1.0)
金属石鹸:1.3重量%、リン酸エステル:0.4重量%(比率:0.3)
金属石鹸:1.3重量%、リン酸エステル:0.6重量%(比率:0.5)
金属石鹸:1.3重量%、リン酸エステル:1.3重量%(比率:1.0)
金属石鹸:1.7重量%、リン酸エステル:0.9重量%(比率:0.5)
以上、具体的な配合例をいくつか示したが、金属石鹸及びリン酸エステルの適切な配合量の範囲内で、金属石鹸に対するリン酸エステルの配合比率が0.3~1.0であれば上記配合例に限定されず、様々な配合が考えられる。
本発明では、他の各種物質を添加することもできる。例えば、追加的に酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン、防腐剤として、安息香酸ナトリウム、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンナトリウム塩、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンアルキルアミン塩、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、2-メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾール-4‘-N-ドデシルベンゾールスルフォン、酸顔料沈降防止剤・にじみ防止剤として沈降性硫酸バリウム、クレー、親水性シリカ、疎水性シリカ、超微粒子状無水シリカ、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどの体質顔料や、顔料分散剤としてソルビタントリオレエート、ソルビタンモノステアレートなどや、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビタミンC、ビタミンEなどを添加してもよい。
本発明は、上記物質を適量選択して、撹拌機にて常温以上100℃以下で約4時間混合分散して製造する。本発明では、粘度を自由に設定することができるが、配合された金属石鹸によってチキソトロピー性(塑性)が与えられるので、静止状態では粘度が比較的高く、流動状態では粘性が低下する性質を持っている。特に、500~5000mPa・s(BL型ロータNo.3、25℃、6rpm)、100~2000mPa・s(BL型ロータNo.3、25℃、60rpm)に調整することが好まく、この範囲以上では印影が乾燥するまでに時間がかかりすぎ、これ以下ではにじみを防止することが困難である。本発明の最も好ましい粘度の範囲は、1000~3000mPa・s(BL型ロータNo.3、25℃、6rpm)、500~1000mPa・s(BL型ロータNo.3、25℃、60rpm)である。
実施例及び比較例のインキ配合を表1、表2に示す。
Figure 0007061777000001
Figure 0007061777000002
表中のヒマシ油脂肪酸エステルAは、商品名:MINERASOL S-74(伊藤製油(株)製)、ヒマシ油脂肪酸エステルBは、商品名:CO-FAブチルエステル(伊藤製油(株)製)、ヒマシ油脂肪酸エステルCは、商品名:リックサイザーC-88(伊藤製油(株)製)である。
表中のリン酸エステルA~Gは、水酸基を有するエーテル型非イオン界面活性剤や高級アルコール等をリン酸エステル化することによって得られるアニオン界面活性剤であり、リン酸エステルAは、商品名:フォスファノールRA-600(HLB:11.7)(東邦化学工業(株)製)、リン酸エステルBは、商品名:SM-172(HLB:10.5)(東邦化学工業(株)製)、リン酸エステルCは、商品名:GF-185(HLB:5.2)(東邦化学工業(株)製)、リン酸エステルDは、商品名:フォスファノールRL-210(HLB:5.4)(東邦化学工業(株)製)、リン酸エステルEは、商品名:GF-199(HLB:5.5)(東邦化学工業(株)製)、リン酸エステルFは、商品名:フォスファノールRL-310(HLB:5.7)(東邦化学工業(株)製)、リン酸エステルGは、商品名:フォスファノールRS-410(HLB:9.0)(東邦化学工業(株)製)である。
表中の高分子分散剤A、B,Cはポリオキシアルキレン基をもつ高分子分散剤であり、高分子分散剤Aは、商品名:マリアリムAEM-3511(日油(株)製)、高分子分散剤Bは、商品名:マリアリムAFB-1521(日油(株)製)、高分子分散剤Cは、商品名:マリアリムAWS-0851(日油(株)製)である。
また、実施例及び比較例について、以下の条件で試験を行った。
A.印影濃度試験
(試験方法)
シヤチハタ株式会社製塗布用スタンプ台(品番:HGU-1EU)に各インキを含浸させ、PPC用紙に押印した印影を初期印影とする。次に、各インキを含浸させたスタンプ台を高温多湿の環境下(温度:30℃、湿度:80%)で60日間放置した後、PPC用紙に押印した印影を経時印影とし、前記初期印影と前記経時印影を比較観察し、色濃度を目視で3段階評価した。
(試験確認方法)
○:経時印影が初期印影と同等の色濃度である。
△:経時印影が初期印影より色濃度がやや低下している。
×:経時印影が初期印影より色濃度が著しく低下している
B.凝集試験
(試験方法)
濾紙(アドバンテック製、No.7)に各インキを数滴滴下した際のインキの拡がりから金属石鹸の分散性(凝集性)を確認する。尚、試験としては、まず作製後のインキについて滴下試験を行う(初期)。その後、作製した各インキを3つの条件下(5℃、20℃(室温)、50℃)で7日間放置し、初期と同様に滴下試験を行い、初期状態と経時状態を確認する。金属石鹸が良好に分散せず、凝集していた場合は濾紙の繊維で目詰まりが生じ、外郭線内側にリング状の斑点(2重斑点)が観察される。前記2重斑点から金属石鹸の凝集度を3段階評価した。
(試験確認方法)
○:凝集なし
△:僅かに凝集あり
×:凝集あり
尚、実施例及び比較例のインキの粘度は、BL型粘度計のNo.3ロータにて25℃・6rpm、60rpmの条件で測定した。
表1、表2の実施例1~9、比較例1から明らかなように、吸湿性を有するブチルトリグリコールを溶剤系から除外し、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸誘導体のみからなる油性有機溶剤とする事で、高温多湿の環境下でも経時印影が初期印影と比べて濃度低下が見られず、鮮明な印影が得られた。また、比較例4~9より、ヒマシ油脂肪酸誘導体のみからなる油性有機溶剤とした場合、経時印影が初期印影より色濃度がやや低下している。尚、比較例には載せていないが、ヒマシ油のみからなる油性有機溶剤とした場合は、粘度が高くなりすぎる為、紙へのインキ浸透が遅くなり、印影乾燥時間が長くなる不具合が発生する。以上より、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸誘導体を併用配合する事で高温多湿の環境下でも経時印影の色濃度低下は見られず良好である。
比較例4~9より、前記溶剤系において、リン酸エステル以外の分散剤(高分子分散剤A~C)を配合した場合、ステアリン酸アルミニウムとの相性が悪く、初期・経時分散性が著しく低下している。一方、実施例1~4より、前記溶剤系において、リン酸エステルを配合した場合、ステアリン酸アルミニウムの初期・経時分散性が向上しており、ステアリン酸アルミニウムの分散剤として優れていることがわかる。
実施例1~4より、リン酸エステルのHLBが5.2~5.7の範囲では、リン酸エステルが前記溶剤系において良好に溶解している為、ステアリン酸アルミニウムの初期・経時分散性は良好である。比較例4~6より、リン酸エステルのHLBが5.7よりも上回ると、ステアリン酸アルミニウムの初期・経時分散性が低下し、凝集が生じているのがわかる。以上より、HLBが5.2~5.7の範囲において、特にステアリン酸アルミニウムの初期・経時分散安定性に優れている。
実施例5、比較例2より、ステアリン酸アルミニウムに対するリン酸エステルの配合比率(リン酸エステル/ステアリン酸アルミニウム)が0.3より下回った場合、ステアリン酸アルミニウムの分散性が著しく低下し、初期状態の凝集試験で2重斑点が確認された。また、実施例6、7、比較例3より、ステアリン酸アルミニウムに対するリン酸エステルの配合比率が1.0より上回った場合、凝集試験の高温(50℃)7日経時において、ステアリン酸アルミニウムが凝集し、2重斑点が確認された。以上の試験結果から、ステアリン酸アルミニウムに対するリン酸エステルの配合比率が、0.3~1.0の範囲内のときにステアリン酸アルミニウムの未分散及び、高温(50℃)経時による凝集を確実に防止できていることがわかる。
よって、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸誘導体などの吸湿性を有さない油性溶剤のみを混合した溶剤を使用した場合でもリン酸エステルを配合する事で、金属石鹸を良好に分散させることができる。更に、前記リン酸エステルのHLBを5.2~5.7の範囲に限定し、且つ、前記金属石鹸に対するリン酸エステルの配合比率を0.3~1.0に設定する事で前記金属石鹸の初期・経時分散安定性をより高めることができる。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う油性インキ組成物もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (1)

  1. ヒマシ油及びヒマシ油脂肪酸誘導体を混合してなる溶剤と、着色剤と、前記溶剤に可溶な樹脂と、前記溶剤に不溶な金属石鹸と、リン酸エステルとを配合し、前記リン酸エステルは、水酸基を有するエーテル型非イオン界面活性剤又は高級アルコールをリン酸エステル化することによって得られるアニオン界面活性剤であり、HLBが、5.2~5.7であり、前記金属石鹸に対する前記リン酸エステルの配合比率が0.3~1.0であることを特徴とする油性インキ組成物。
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