JP7061500B2 - 積層シートおよび保冷容器 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 公知の事実:販売公開者:中村被服株式会社(特許を受ける権利の承継者)
本発明は、低密度ポリエチレンを含む基材層を有してなる積層シートおよびこれを用いる保冷容器に関する。
保冷カバーや保冷ボックス等の保冷容器に用いられる積層シートとしては、保冷容器は屋外使用が多いことから、折り畳み等がし易い柔軟性のある材料が求められる。そのため、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む基材層を有してなる積層シートが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
一方、保冷容器では、内容物を保護するために断熱性を維持する必要があり、相応の強度が求められる。そのため、断熱性に寄与する反射層の表面に透明層を設けた積層シート(特許文献2参照)や、ポリオレフィン系樹脂等からなる合成樹脂層を基材層として設けた積層シート(特許文献3参照)が提案されている。
特開平10-329284号公報 実開昭56-143039号公報 特開2001-270021号公報
しかしながら、柔軟性のあるLDPEを含む基材層を有してなる積層シートにて、強度の向上を図ることについては提案されていなかった。
本発明は、LDPEを含む基材層を有してなり柔軟性を保持しつつ、強度が向上した積層シートおよびこれを用いる保冷容器を提供することにある。
<1> 低密度ポリエチレン(LDPE)を含む基材層を有する積層シートであって、JIS L1096に準拠して温度23±2℃湿度50±4%の条件下で測定された引張強さが縦方向および横方向いずれも1,250N/50mm~1,400N/50mmであることを特徴とする積層シートである。
<2> 縦方向の前記引張強さの下記式にて算出される、ASTM G154に準拠して測定された500時間経過後の保持率が95%以上である<1>に記載の積層シートである。
[式] 所定時間経過後の引張強さ/当初の引張強さ×100(%)
<3> 縦方向の前記引張強さの1,000時間経過後の前記保持率が95%以上である<2>に記載の積層シートである。
<4> ASTM E1530に準拠して温度30℃の条件下で測定された熱伝導率が0.15W/m・K~0.25W/m・Kであり、ASTM D4833に準拠して測定された貫入抵抗値が470N~560Nである<1>から<3>のいずれかに記載の積層シートである。
<5> 前記熱伝導率が0.18W/m・K~0.20W/m・Kである<4>に記載の積層シートである。
<6> 前記貫入抵抗値が505N~520Nである<4>または<5>に記載の積層シートである。
<7> 前記基材層の少なくとも一層は、さらにパール剤を含む<1>から<6>のいずれかに記載の積層シートである。
<8> ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む表面層を有する<1>から<7>のいずれかに記載の積層シートである。
<9> <1>から<8>のいずれかに記載の積層シートを用いることを特徴とする保冷容器である。
<10> 電波透過性を有する<9>に記載の保冷容器である。
<11> シワが目立ち難く、清掃により清潔に保つことが容易である<9>または<10>に記載の保冷容器である。
<12> 保冷カバーまたは保冷ボックスである<9>から<11>のいずれかに記載の保冷容器である。
なお、本明細書において、「低密度ポリエチレン」は、この名において当業者に認識されているポリエチレンを意味し、具体的には、JIS K6922-2の附属書4-2に準拠して測定された密度が0.910g/cm以上0.930g/cm未満のポリエチレンである。
また、本明細書において、「表面層」とは、積層シートの表面側に配置され、最終工程にて基材層に積層される層を意味し、単層であっても複数層を有していてもよいものとする。一方、「基材層」とは、表面層以外の層を意味し、表面層と同様に、単層であっても複数層を有していてもよいものとする。
本発明の積層シートは、LDPEを含む基材層を有してなることにより柔軟性を保持しつつ、JIS L1096に準拠して温度23±2℃湿度50±4%の条件下で測定された引張強さが縦方向および横方向いずれも1,250N/50mm~1,400N/50mmとなるように調製したことで、強度の向上を図ることが可能となる。
本発明の保冷容器は、本発明の積層シートを用いるので、柔軟性を保持しつつ、強度が向上を図ることが可能となる。
図1は、本発明の積層シートの層構成の一例を概略的に示す断面図である。 図2は、本発明の積層シートの製造方法の一例の概要を示す図である。 図3は、本発明の積層シートの製造方法の一例の概要を示す図である。 図4は本発明の積層シートが用いられる保冷カバーの一例を示す図であり、(a)は外観図、(b)は正面開放図、(c)は折りたたみ図である。 図5は本発明の積層シートが用いられる保冷ボックスの一例を示す図であり、(a)は外観図、(b)は上面開放図である。 図6は、本発明の積層シートの表面を撮影した写真である。 図7は、本発明の積層シートの裏面を撮影した写真である。
本発明の積層シートは、保冷容器を構成する断熱シートとして用いられ、基材層として、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む層を有している。
基材層は、単層であっても二層以上有していてもよいが、柔軟性の向上を図れるとともに、層間に織物層を介す等の強度を向上させる加工が可能となることから、二層以上有することが好ましく、そのうちの一層がパール剤を含むことが好ましい。パール剤としては、市販の染料または顔料を適宜選択して添加すればよいが、たとえばマイカを好適に用いることができる。また、基材層を構成する各層には、添加剤として、紫外線吸収剤を1質量%~3質量%、それぞれ配合することが好ましい。
一方、表面層としては、柔軟性を付与するためには、透明な直鎖状短鎖分子ポリエチレン(LLDPE)の層を有することが好ましいが、さらに、光沢を増し見映えをより良くできることから、LLDPE層の上に、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む層を有することが好ましい。また、LLDPE層は、PETを含む層との好適なラミネート強度を有し、そのような組み合わせの観点からも好ましい。
なお、各層は、主成分をなす樹脂以外は、層形成のために必要または好ましい添加剤等を除いては、含んでいないことが好ましい。
次に、本発明の好ましい層構成の一例を説明する。図1は、その一例を概略的に示す断面図である。図1に示す積層シート1は、基材層2が、最裏面から、第1のLDPE層3、フラットヤーンクロスの織物層4、第2のLDPE層5、第3のLDPE層または共重合PE層6が、この順に積層されている。表面層7は、最表面がPET層8からなり、その次がLLDPE層9により構成され、このLLDPE層9が第3のLDPE層または共重合PE層6と積層されている。
また、表面層7を構成するLLDPE層9は、着色剤を添加せず透明なフィルムとする一方、基材層2を構成する三層のLDPE層は、シートに高い遮光性や反射性とともに高級なイメージを付与するため、着色剤を含むことが好ましい。そのような色の組み合わせとしては、特に制限はないが、たとえば、次のような態様が好適に挙げられる。
つまり、三層においては最も表面側に位置する第3のLDPE層または共重合PE層6はマイカ等のパール剤を含み、その真珠色を引き立たせるため、これに続く第2のLDPE層5は酸化チタン等の白色顔料を含み、最裏面の第1のLDPE層3はアルミ箔等の銀色の着色剤を含む組み合わせである。この際の各層の着色剤配合量としては、パール剤は5質量%~15質量%、白色顔料は1質量%~3質量%、銀色の着色剤は5質量%~10質量%であることが好ましい。
第1のLDPE層3と第2のLDPE層5の間に介在する織物層4は、通常、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.942g/cm以上のポリエチレン)のフラットヤーンであり、シートの強度およびその耐久性を向上させるため、これを縦横に1インチあたり10本以上打ち込むことが好ましい。
なお、第3のLDPE層6の真珠色を程良く引き立たせるとともに、シートの強度および耐久性を良好とする観点から、第1のLDPE層3と第2のLDPE層5の厚さは同程度にし、これらの層より第3のLDPE層または共重合PE層6の厚さを若干薄く形成することが好ましい。具体的な厚さの範囲としては、第1のLDPE層3および第2のLDPE層5が30μm~50μm、第3のLDPE層6が20μm~30μmであることが好ましい。
最表面層のPET層8は、LDPEからなる各層の半分以下の厚さがあればよい。厚すぎるとシートの耐傷性に影響を及ぼすことがある。
なお、図1の積層シート1は、本発明の好ましい一例を示したものであり、基材層としてLDPEを含み、強度等の指標を本発明の所定の範囲内にすることができれば、この層構成に限らず、適宜異なる層構成としてもよい。
次に、本発明の強度等の指標について説明する。本発明の積層シートの強度としては、引張強さが、JIS L1096に準拠して温度23±2℃湿度50±4%の条件下で測定した場合に、縦方向および横方向いずれも1,250N/50mm~1,400N/50mmである。縦方向または横方向のいずれかの引張強さが1,250N/50mm未満であると、強度が十分でない一方、1,400N/50mmを超えると柔軟性に影響を及ぼすおそれがある。
本発明の積層シートの耐候性としては、引張強さの下記式にて算出される、ASTM G154に準拠して測定された耐候性試験における保持率が、500時間経過した後に上述の温湿度下にて測定した引張強さの値において95%以上であることが好ましく、1,000時間経過した後に同様に測定した値において95%以上であることがより好ましい。500時間経過後の保持率が95%未満であると、耐候性が十分でないことがある。
[式] 所定時間経過後の引張強さ/当初の引張強さ×100(%)
本発明の好ましい態様では、1,000時間経過の段階でも高い保持率を維持しているため、優れた耐候性を有することとなり、保冷容器として用いた際に対象物の長期保冷に好適に使用可能となる。
本発明の積層シートの断熱性としては、熱伝導率が、ASTM E1530に準拠して温度30℃の条件下で測定した場合に、0.15W/m・K~0.25W/m・Kであることが好ましく、0.18W/m・K~0.20W/m・Kであることがより好ましい。この熱伝導率が0.25W/m・Kを超えると、断熱性が十分でないことがある一方、0.15W/m・K未満まで下げるにはコストが嵩むおそれがある。
本発明の積層シートの耐クラック性としては、貫入抵抗値が、ASTM D4833に準拠して測定した場合に、470N~560Nであることが好ましく、500N~550Nであることがより好ましく、505N~520Nであることが特に好ましい。貫入抵抗値が470N未満であると、クラックが発生しやすくなることがある一方、560Nを超えると柔軟性に影響を及ぼすおそれがある。
本発明の積層シートの製造方法としては、特に制限は無く、通常用いられるラミネート方法等を適宜選択すればよいが、例として、図1に示した積層シート1の製造方法を説明する。図2および図3は、その製造方法の概要を示す図である。
まず、図2に示すラミネート加工機10において、繰出部(図示は省略)より図中の矢印aの示す方向に、織物層4を構成することになるPEクロスを投入する。これに押出部11より、第1のLDPE層3を構成することとなるLDPE樹脂に、アルミ箔等の銀色の着色剤と、必要に応じて紫外線吸収剤等の添加剤とを配合した溶解物を吐出し、冷却部13を加圧部12にて加圧して表面をラミネート加工する。これにより、織物層4の片面に銀色に着色された第1のLDPE層3がラミネートされた片面ラミネート品が得られる。
つづいて、得られた片面ラミネート品を、PEクロスを表面にして繰出部(図示は省略)より図中の矢印aの示す方向に投入する。これに押出部11より、第2のLDPE層5を構成することとなるLDPE樹脂に、酸化チタン等の白色顔料と、必要に応じて紫外線吸収剤等の添加剤とを配合した溶解物を吐出し、加圧部12の冷却部13との圧着により表面をラミネート加工する。これにより、織物層4の一方面に銀色に着色された第1のLDPE層3が、他方面に白色に着色された第2のLDPE層5がラミネートされた三層ラミネート品が得られる。
つづいて、図3に示すように、得られた三層ラミネート品を、白色に着色された第2のLDPE層5がラミネートされた側の面を表面にして繰出部(図示は省略)より図中の矢印aの示す方向に投入する。一方、異なる繰出部(図示は省略)より、表面層7を構成することとなるLLDPE層9とPET層8からなる積層体を、LLDPE層9の側を表面にして図中の矢印bの示す方向に投入する。この両者間に、押出部11より、第3のLDPE層または共重合PE層6を構成することとなるLDPE樹脂または共重合PE樹脂に、パール剤と、必要に応じて紫外線吸収剤等の添加剤とを配合した溶解物を吐出し、加圧部12の冷却部13との圧着により表面をラミネート加工する。これにより、本発明の積層シート1が作製される。
なお、図2および図3では、シングルラミネートの例を示しているが、タンデムラミネートにて加工し、その効率化を図ってもよい。
以上説明した本発明の積層シートは、上述したように、保冷容器に用いられるが、これに限らず、たとえば自動車用遮光カーテン等の断熱性が要求される様々な用途に好適に用いることができる。
また、本発明の積層シートは、保冷容器として、たとえば図4に示す構成の保冷カバーや図5に示す構成の保冷ボックスに好適に用いられる。図4は本発明の積層シートが用いられる保冷カバーの一例を示す図であり、(a)は外観図、(b)は正面開放図、(c)は折りたたみ図である。図5は本発明の積層シートが用いられる保冷ボックスの一例を示す図であり、(a)は外観図、(b)は上面開放図である。
まず、図4に示す保冷カバー50について説明する。図4(a)に示すように、保冷カバー50は、外装51の正面から上面にかけての両端にファスナー52a,52bが形成されており、これらにそれぞれ取り付けられたスライダー53a,53bにより開閉する。開いた状態では、図4(b)に示すように、外装51の正面および上面が捲れるようになっており、これにより内面の内装54が露出する。保冷カバー50では、この外装51と内装54に、本発明の積層シートが用いられている。なお、内面において、グレーの部分は補強部55となっている。
また、保冷カバー50は、底部56がフラップ状になっており、図4(c)に示すように、外装51のファスナー52a,52bにより開いた部分と、底部56を内面側にしまいこむとともに、外装51の両側面をその上に載せるようにして、折りたためるようになっている。そして、下部両端に設けられたフラップベルト57により、折りたたんだ状態で係止可能となっている。
次に、図5に示す保冷ボックス100について説明する。保冷ボックス100は、医療用の保冷箱であり、図5(a)および(b)に示すように、外装101のうち、上面が蓋部102となっており、その正面および側面にフラップ部103が突出して設けられている。このフラップ部の各裏面にはテープ部材104aが設けられる一方、閉鎖時にはこのテープ部材104aに合わさるように、外装101の周方向表面に沿ってテープ部材104bが設けられており、これらのテープ部材104a,104bにより蓋部102が係止可能に開閉される。蓋部102を開けた状態では内装105が露出するが、保冷ボックス100では、外装101とこの内装105に、本発明の積層シートが用いられている。なお、蓋部102の裏面に形成される凸部は蓄熱剤用のポケット106である。また、両側面間に架け渡されたショルダーベルト107により肩にかける等して持ち運び可能となっている。
これらの保冷カバー50や保冷ボックス100は、内外装に本発明の積層シートを用いることにより、内部にRFID(Radio Frequency Identification)対応機器を収容したまま通信可能となり、電波透過性を付与できる。
また、本発明の積層シートを用いた保冷容器は、本発明の積層シートにおける上述した強度や耐クラック性等の諸物性の向上に伴い、シワが目立ち難く、清掃により清潔に保つことが容易である。
なお、図4の保冷カバー50や保冷ボックス100は、本発明の積層シートを用いた保冷容器としての好ましい構成例を示したにすぎず、これに限らず、本発明の保冷容器は、通常採り得る態様において、本発明の積層シートを用いていれば、どのような構成であってもよい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
[積層シートの作製]
図2および図3に示した方法により、図1に示した層構成の本発明(実施例)の積層シートを作製した。この積層シートの各層の厚さや添加剤の配合量等は下記の通りである。なお、記載された以外の添加剤等は、含まれていないか、含まれていても物性に影響を及ぼさない程度の微量なものである。
(1)第1のLDPE層 LDPEベース、厚さ30μm、銀色の着色剤8質量%と紫外線吸収剤3質量%を配合
(2)織物層 HDPEクロス、打ち込み本数14×14、ヤーンには紫外線吸収剤を1質量%配合
(3)第2のLDPE層 LDPEベース、厚さ30μm、白色顔料20質量%と紫外線吸収剤3質量%を配合
(4)第3のLDPE層 LDPEベース、厚さ25μm、パール剤としてのマイカを10質量%と紫外線吸収剤3質量%を配合
(5)LLDPE層 LLDPEフィルム、厚さ30μm、着色剤無し
(6)PET層 PET透明フィルム、厚さ12μm
一方、比較例として、基材層が裏面から順に、第1のLDPE層、織物層、第2のLDPE層からなる一方、表面層が表面から順に、アルミ蒸着PET層、LDPEとは異なるポリオレフィン層からなる五層構造の積層シートを、図2および図3に示したのと概ね同様な方法によりラミネートして、任意に厚さを調整しながら作製した。なお、織物層はHDPEクロスからなり、打ち込み本数10×10とした。
[各物性の評価]
得られた各積層シートにおいて、引張強さ(N/50mm)、引張伸度(%)、遮光率(%)、熱伝導率(W/m・K)、貫入抵抗値(N)、引張強さの保持率(%)を、それぞれ下記の方法により測定した。保持率以外の結果を表1に、保持率の結果を表2に示す。
(引張強さおよび引張伸度)
JIS L1096に準拠して温度23±2℃湿度50±4%の条件下にて、テストスピード200mm/分、試験長20cm、試験幅5cmで縦横3回ずつ測定し、縦横それぞれにおける測定値の平均値を採用した。
(遮光率)
JIS L1055A法に準拠して測定した。
(熱伝導率)
ASTM E1530に準拠して温度30℃の条件下で測定した。
(貫入抵抗値)
ASTM D4833に準拠して測定した。
(保持率)
各シートのサンプルを耐候性試験機内に保存し、ASTM G154に準拠した紫外線照射条件下にて、500時間経過後と1,000時間経過後のそれぞれにおいて、JIS L1096に準拠して温度23±2℃湿度50±4%の条件下にて、縦方向に引張強さを2回測定した。その平均値が、当初の引張強さに比してどの程度の値であるかを、下記式にて算出することで、引張強さの保持率とした。
[式] 所定時間経過後の引張強さ/当初の引張強さ×100(%)
Figure 0007061500000001
表1の結果より、本発明の積層シートは、引張強さが縦方向および横方向いずれも1,250N/50mm~1,400N/50mm、熱伝導率が0.18W/m・K~0.20W/m・K、貫入抵抗値が505N~520Nの範囲内にあった。そのため、引張強さと貫入抵抗値については当該範囲の下限値を下回り、熱伝導率については当該範囲の上限値を上回る比較例の積層シートに比し、強度、断熱性、耐クラック性いずれもが優れていることがわかった。また、引張伸度や遮光率のように、保冷容器の断熱シートとして使用される際に要求される柔軟性や遮光性の指標となる引張伸度や遮光率の値も、比較例とほぼ同等に維持していた。したがって、本発明の積層シートは、比較例の積層シートに比して保冷容器の断熱シートとして、より相応しいと言える。
このように、本発明の積層シートにおいて強度等の諸物性が向上した理由としては、比較例の積層シートに比してPEクロスの1インチあたりの打込本数が多いことが主たる理由と考えられる。しかしながら、断熱性のように強度とは異なる指標まで向上したことを考慮すると、それに限らず、パール剤を含むLDPE層の配置、各LDPE層の色の組み合わせを適切に選択したこと、その厚さを同程度に作製したこと等も、寄与していると推測される。
Figure 0007061500000002
表2の結果より、比較例の積層シートでは経時により引張強さが低下して行くのに対し、本発明の積層シートでは、1,000時間経過後でもほぼ同等の引張強さを維持していることがわかった。ここで、引張強さの保持率が数値上は100%を超える値を示しているのは、この値の5%程度は紫外線吸収剤の残存強度が影響しているためと考えられる。換言すれば、その影響を除いても95%以上の高い保持率であることがわかる。そのため、本発明の積層シートは、一般的に屋外使用が多い保冷容器において、長期使用にも適した性質を有していると言える。
このように、優れた耐候性を示した理由は明らかでないが、パール剤を含むLDPE層の配置や、LDPE層およびLLDPE層の各厚さを同程度に作製したこと等が寄与していると推測される。
[目視による評価]
本発明の積層シートおよび比較例の積層シートの双方の表裏面を目視により観察し、光沢やクラックの有無を確認した。実施例については結果を図6および図7に示す。
図6の結果より、本発明の積層シート表面は、光沢性に優れることがわかる。これは、本発明の積層シートでは、最表面にPET層を配置したことやパール剤を含むLDPE層を配置したことによるものと考えられる。また、基材層のLDPE層の色の組み合わせを適切に選択したことも寄与していると推測される。
また、図7の結果より、本発明の積層シートではクラックが無く、目視でも耐クラック性が高いことが確認できる。
一方、比較例の積層シートでは、表面が本発明の積層シートより光沢性に劣り、裏面には所々にクラックが見られた。
[保冷容器における評価]
図4に示した保冷カバー50および図5に示した保冷ボックス100のそれぞれにおいて、内外装に本発明の積層シートを用いたものと、内外装にアルミ蒸着シートを用いた以外は同様のものとを、それぞれ作製した。
これらの保冷容器の中に、RFID対応の温度ロガーを入れ、Bluetooth(登録商標)による近距離通信の可否を確認したところ、本発明の積層シートを用いた保冷容器では通信可能であったのに対し、アルミ蒸着シートを用いた保冷容器では通信不能であった。
これにより、本発明の積層シートを用いた保冷容器では電波透過性を有することがわかった。
また、それぞれの保冷容器において清掃を試みたところ、本発明の積層シートを用いた保冷容器ではシワが目立ち難く、清掃により清潔に保つことが容易であったのに対し、アルミ蒸着シートを用いた保冷容器ではシワが目立ち清潔に保ち難かった。
本発明は、保冷カバーや保冷ボックス等の保冷容器など断熱性の要求される用途において適用可能である。
1 積層シート
2 基材層
3 第1のLDPE層
4 織物層
5 第2のLDPE層
6 第3のLDPE層または共重合PE層
7 表面層
8 PET層
9 LLDPE層
11 押出部
12 加圧部
13 冷却部
50 保冷カバー
51,101 外装
52a,52b ファスナー
53a,53b スライダー
54,105 内装
55 補強部
56 底部
57 フラップベルト
100 保冷ボックス
102 蓋部
103 フラップ部
104a,104b
テープ部材
106 (蓄熱剤用の)ポケット
107 ショルダーベルト

Claims (8)

  1. 低密度ポリエチレン(LDPE)を含む層と高密度ポリエチレン(HDPE)のフラットヤーンからなる織物層とを積層した基材層に、直鎖状短鎖分子ポリエチレン(LLDPE)を含む層とポリエチレンテレフタレート(PET)を含む層とを積層した表面層を積層してなる積層シートであって、
    前記基材層の少なくとも一層はパール剤を含み、
    前記表面層のポリエチレンテレフタレート(PET)を含む層の厚さが前記基材層の低密度ポリエチレン(LDPE)を含む層の半分以下であるとともに、
    前記織物層のフラットヤーンの打ち込み本数が縦横に1インチあたり10本以上であり、
    かつ、シートのJIS L1096に準拠して温度23±2℃湿度50±4%の条件下で測定された引張強さが縦方向および横方向いずれも1,250N/50mm~1,400N/50mmであることを特徴とする積層シート。
  2. 縦方向の前記引張強さの下記式にて算出される、ASTM G154に準拠して測定された500時間経過後の保持率が95%以上である請求項1に記載の積層シート。
    [式] 所定時間経過後の引張強さ/当初の引張強さ×100(%)
  3. 縦方向の前記引張強さの1,000時間経過後の前記保持率が95%以上である請求項2に記載の積層シート。
  4. ASTM E1530に準拠して温度30℃の条件下で測定された熱伝導率が0.15W/m・K~0.25W/m・Kであり、ASTM D4833に準拠して測定された貫入抵抗値が470N~560Nである請求項1から3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の積層シートを用いることを特徴とする保冷容器。
  6. 電波透過性を有する請求項に記載の保冷容器。
  7. シワが目立ち難く、清掃により清潔に保つことが容易である請求項またはに記載の保冷容器。
  8. 保冷カバーまたは保冷ボックスである請求項からのいずれかに記載の保冷容器。
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