JP7059961B2 - ショット処理装置、マスキング治具、ショット処理方法 - Google Patents

ショット処理装置、マスキング治具、ショット処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ショット処理装置、マスキング治具、ショット処理方法に関する。
各種の部品の表面加工の一種として、ショットピーニング処理やショットブラスト処理が用いられている。ショットピーニング処理は、ワーク(加工対象物)の表面に粒子状のショット材を衝突させることで、ワークの表面を硬化させる等して改質させる。ショットブラスト処理は、ワークの表面にショット材を衝突させることで、ワークの表面を粗面化したり、ワークの表面の酸化物やスケール等を除去する。
ワークの全体ではなく、ワークの一部の表面にのみ、ショットピーニング処理やショットブラスト処理を施す場合、ショット材を、処理対象となる一部の表面のみに衝突させる必要がある。このため、ワークの表面において、ショットピーニング処理やショットブラスト処理を施さない非処理領域は、マスキングテープ等のマスキング材で覆う必要がある。しかしながら、ワークの表面の非処理領域にマスキング材を貼り付けるには、手間が掛かる。また、ショットピーニング処理やショットブラスト処理の後には、マスキング材をワークの表面から剥がさなければならず、この作業にも手間が掛かる。さらに、ワークから剥がしたマスキング材は、一般に再利用できず、廃棄物となるため、産業廃棄物削減の観点からも好ましくない。加えて、多数のワークに同様の処理を行う場合、多数のワークの非処理領域に対し、高い精度でマスキング材を貼り付けるのは難しい。
これに対し、例えば特許文献1には、筒状のワークの端部を保持するとともに、それぞれの端部をマスキングする保持治具を備えた構成が開示されている。このような構成によれば、保持治具でワークの端部を保持すると、保持治具で覆われたワークの表面には、ショット材(ブラストメディア)が衝突せず、ブラスト処理が施されない。
特開2007-253290号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたような構成では、保持治具で保持されたワークの両端部のみが、ショットピーニング処理やショットブラスト処理の非処理領域とされ、ワークの両端部の間の大部分には、ショットピーニング処理やショットブラスト処理が施される。
これに対し、例えば、長尺のワークの一部のみに、ショットピーニング処理やショットブラスト処理を施し、残りの大部分を非処理領域とする場合がある。このような場合、特許文献1に開示されたようなワークの両端部を保持する保持治具でワークの大部分を覆うと、保持治具の大型化や、保持治具の構造の複雑化を招くことがある。その結果、保持治具の製作コストの上昇、処理前後における保持治具へのワークの着脱等に手間が掛かることによる作業効率の低下等に繋がる。
そこでなされた本発明の目的は、ショット非処理領域のマスキングを容易かつ確実におこないつつ、作業効率の上昇、コスト低減を図ることのできるショット処理装置、マスキング治具、ショット処理方法を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のショット処理装置は、長手方向にショット処理領域、及びショット非処理領域を有する長尺のワークを収納するマスキング治具と、前記マスキング治具に収納された前記ワークに対してショット材を投射してショットピーニング処理又はショットブラスト処理を行う投射部と、を備え、前記マスキング治具は、前記投射部に向けて前記ショット処理領域を露出させた状態で前記ワークを収納可能とする長溝を備えた鞘部材と、前記長溝の長手方向の一部に開閉自在に設けられ、前記長溝を閉じたときに前記長溝内に収納された前記ワークの前記ショット非処理領域を覆う蓋体と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、鞘部材の長溝にワークを収容して蓋体を閉じると、蓋体によってワークのショット非処理領域が覆われ、ショット処理領域のみが投射部に向けて露出する。この状態で、投射部によりショット材を投射すると、ワークのショット処理領域にのみショット材が投射される。これにより、ワークのショット処理領域のみにショットピーニング処理又はショットブラスト処理が施される。
マスキング治具でショット非処理領域のマスキングを行うには、鞘部材の長溝にワークを収容して蓋体を開閉するのみでよい。したがって、マスキング治具に対するワークの着脱を容易に行うことができる。また、複数のワークに順次ショット処理を行う場合であっても、マスキング治具に対するワークの着脱と、ショット処理とを繰り返し行えばよく、作業効率にも優れる。また、ワークのショット非処理領域に対する蓋体によるマスキング精度も高まる。さらに、マスキング治具は、鞘部材と、鞘部材の長溝を開閉する蓋体と、からなる簡易な構成であり、低コストで製作できる。
このようにして、ショット非処理領域のマスキングを容易かつ確実に行いつつ、作業効率の上昇、コスト低減を図ることが可能となる。
また、上記ショット処理装置は、前記長溝内に収納した前記ワークの前記ショット処理領域を前記ショット材の投射流路に臨ませた状態で、前記鞘部材を前記投射流路に直交する方向に進退動作させる進退駆動部をさらに備える。
このような構成によれば、進退駆動部により、鞘部材を、ショット材の投射流路に対して進退動作させることで、ワークのショット処理領域に沿ってショット材の投射範囲を移動させることができる。これにより、ショット材の投射範囲(投射流路)よりも広いショット処理領域に対し、ショット処理を連続的に施すことができる。
また、上記ショット処理装置は、前記鞘部材は、前記長手方向に直交する断面において、前記投射部から離間するにしたがって互いに漸次接近するようV字状に配置されるとともに、前記長手方向に連続し、前記ワークを、前記投射部に臨む側とは反対側で支持する一対の支持傾斜面を有している。
このような構成によれば、ワークは、一対の支持傾斜面に対し、投射部に臨む側とは反対側において、ワークの周方向の二個所で線接触する。これにより、ワークが安定的に支持される。
また、上記ショット処理装置において、前記鞘部材は、前記ワークの前記長手方向の一端部を、前記ワークの前記長手方向の他端部側に向かって押圧するワーク押圧部と、前記ワークの前記長手方向の他端部を、前記ワークの前記一端部から他端部に向かう方向への変位、及び前記長手方向に交差する方向への変位を拘束した状態で保持するワーク保持部と、を有する。
このような構成によれば、長手方向の一端部側に設けられたワーク押圧部により、ワークを長手方向の他端部側に押圧し、長手方向の他端部側に設けられたワーク保持部でワークの一端部を保持する。これにより、ワークは、長手方向及び長手方向に交差する方向への変位が拘束された状態で、鞘部材の長溝に高い位置精度で位置決めされて収容される。さらに、長溝に対するワークの着脱に、ネジ等を用いる必要がなく、ワークの着脱作用を容易かつ効率的に行うことができる。その結果、蓋体によるワークのショット非処理領域のマスキングを、容易かつ高精度に行うことができる。
また、上記ショット処理装置において、前記長溝は、前記ワークの前記ショット処理領域を、前記投射部からの前記ショット材の投射方向に直交する面に対して傾斜させた状態で、前記ワークを収納する。
このような構成によれば、投射部から投射されたショット材が、ワークのショット処理領域で反射しても、ショット材は、投射部に対して傾斜した方向に反射する。これにより、ショット処理領域で反射したショット材によって、投射部からのショット材の投射が妨げられるのを抑えることができる。
また、上記ショット処理装置において、前記鞘部材は、前記長溝において前記投射部側を向く溝底面と、前記鞘部材において前記投射部とは反対側の鞘外周面とを連通し、前記長溝内に入り込んだ前記ショット材を前記鞘部材の外部に排出する排出孔を有している。
このような構成によれば、長溝に対してワークを着脱する際等に、長溝内にショット材が入り込んだ場合、入り込んだショット材を、排出孔を通して鞘部材の外部に排出することができる。これにより、長溝内に残るショット材が、鞘部材とワークとの間に挟み込まれ、ワークに傷等がつくのを抑えることができる。
また、上記ショット処理装置において、前記排出孔は、前記溝底面に開口する溝側開口と、前記鞘部材の前記鞘外周面に開口する外側開口とが、前記投射部からの前記ショット材の投射方向に交差する方向で互いにずれた位置に配置されている。
このような構成によれば、投射部から投射され、マスキング治具に対して投射部とは反対側で跳ね返ったショット材が、排出孔の外側開口から排出孔に入り込んでも、そのショット材が排出孔の溝側開口まで到達しにくくなる。これにより、投射後に跳ね返ったショット材が、排出孔を通して長溝内のワークに衝突し、ショット処理領域以外の部分を傷つけるのを抑えることができる。
また、上記ショット処理装置において、前記鞘部材は、前記投射部において前記ショット材を投射する起点と前記ワークの外周縁部とを結ぶ投影範囲の内側に設けられている。
このような構成によれば、投射部の起点から投射されたショット材の投射範囲に、鞘部材が直接露出しない。これにより、投射部から投射されたショット材が、鞘部材に直接衝突するのを抑えることができ、鞘部材の傷つきや摩耗を抑えることができる。
また、上記ショット処理装置において、前記鞘部材は、ベース部材と、前記長溝が形成され、前記ベース部材に対して着脱可能に設けられた鞘本体と、を備える。
このような構成によれば、長溝が形成された鞘本体のみを交換することができる。これにより、メンテナンスや仕様変更等の際に、ベース部材はそのまま利用し続けながら、鞘本体のみを交換すればよく、マスキング治具の製作コストを低減することができる。
また、上記ショット処理装置において、前記蓋体は、少なくとも前記長手方向の両端部に、前記長手方向に交差する断面形状が前記投射部側に向かって凸となり、前記ショット材の安息角よりも小さい角度の頂角部を有した突状部が形成されている。
このような構成によれば、投射されたショット材が、蓋体の少なくとも両端部の突状部に堆積するのを抑えることができる。これにより、蓋体の開閉時に、蓋体に堆積していたショット材が溝内に入り込むのを抑えることができる。したがって、溝内に入り込んだショット材によって、ショット処理領域以外でワークが傷つくのを抑えることができる。
また、上記ショット処理装置において、前記蓋体は、前記長溝を閉じた状態で、前記長溝内に収容された前記ワークの前記ショット非処理領域との間に、定められた寸法以下の隙間を隔てて配置される。
このような構成によれば、蓋体と長溝内に収容されたワークのショット非処理領域との隙間にショット材が張り込むのを抑えることができる。これにより、隙間にショット材が入り込んでショット非処理領域を傷つけてしまうのを抑えることができる。
また、上記ショット処理装置において、前記蓋体は、前記長溝を挟んで一方の側に設けられたヒンジ部により、前記鞘部材に対し、前記長溝方向の軸線周りに回動自在に連結されている。
このような構成によれば、長溝に対してワークを着脱する際には、蓋体を、ヒンジ部を中心として開閉すればよい。また、蓋体は、長溝を挟んでヒンジ部とは反対側で、手指により容易に開閉することができる。これにより、蓋体を鞘部材に着脱したりスライドさせることで長溝を開閉する構成に比較し、開閉動作を容易に行うことができる。
また、上記ショット処理装置において、前記ヒンジ部における前記蓋体と前記鞘部材との隙間は、前記ショット材の平均粒径よりも小さい。
このような構成によれば、ヒンジ部の蓋体と鞘部材との隙間にショット材が入り込むのを抑え、ヒンジ部における蓋体の開閉動作が損なわれるのを抑えることができる。
また、上記ショット処理装置において、前記蓋体は、前記長溝を挟んで前記ヒンジ部とは反対側に、自重により前記蓋体を閉方向に回動するように付勢するウェイト部が設けられている。
このような構成によれば、ショット材の投射中に蓋体が不用意に開くのを抑え、蓋体が閉じた状態を容易に維持することができる。
また、上記ショット処理装置は、前記投射部における前記ショット材の投射、及び前記投射部の前記ショット材の投射流路に対する前記マスキング治具の移動を制御する制御部をさらに備える。
このような構成によれば、ワークのショット処理領域に対するショット処理を、自動的に行うことができる。
また、上記ショット処理装置において、前記制御部は、前記長手方向における前記ワークのショット処理領域の一方の外側で、前記投射部により前記ショット材の投射を開始させるステップと、前記投射部における前記ショット材の投射が安定した後、前記投射部における前記ショット材の投射流路に対し、前記鞘部材を前記長手方向に移動させるステップと、前記投射部における前記ショット材の投射流路が、前記長手方向において前記ワークのショット処理領域の他方の外側に到達したときに、前記投射部による前記ショット材の投射を停止させるステップと、を順次実行する。
このような構成によれば、ショット材の投射が安定してからショット処理領域にショット材を投射することで、ワークのショット処理領域に対するショット材の投射を、均一な品質で良好に行うことができる。
また、上記ショット処理装置は、前記蓋体が閉状態にあるか否かを検出するセンサをさらに備え、前記制御部は、前記センサからの検出信号に基づいて、前記投射部における前記ショット材の投射、及び前記投射部の前記ショット材の投射流路に対する前記マスキング治具の移動を制御する。
このような構成によれば、蓋体でワークのショット非処理領域を確実に覆った状態で、ショット処理を行うことができる。これにより、蓋体を閉め忘れた状態でショット処理を行ってしまうことを抑えることができる。
また、上記ショット処理装置は、前記蓋体を閉状態に拘束するロックアームをさらに備え、前記センサは、前記ロックアームの有無を検出することで、前記蓋体が閉状態にあるか否かを検出する。
このような構成によれば、蓋体でワークのショット非処理領域を確実に覆い、かつ蓋体がロックアームによって拘束された状態で、ショット処理を行うことができる。これにより、蓋体が閉状態で拘束されていない状態でショット処理を行ってしまうことを抑えることができる。
本発明のマスキング治具は、長手方向にショット処理領域、及びショット非処理領域を有する長尺のワークを収納する長溝を備えた鞘部材と、前記長溝の長手方向の一部に開閉自在に設けられ、前記長溝を閉じたときに前記長溝内に収納された前記ワークの前記ショット非処理領域を覆う蓋体と、を備える。
このような構成によれば、マスキング治具でショット非処理領域のマスキングを行うには、鞘部材の長溝にワークを収容して蓋体を開閉するのみでよい。したがって、マスキング治具に対するワークの着脱を容易に行うことができる。また、複数のワークに順次ショット処理を行う場合であっても、マスキング治具に対するワークの着脱と、ショット処理とを繰り返し行えばよく、作業効率にも優れる。また、ワークのショット非処理領域に対する蓋体によるマスキング精度も高まる。さらに、マスキング治具は、鞘部材と、鞘部材の長溝を開閉する蓋体と、からなる簡易な構成であり、低コストで製作できる。
このようにして、ショット非処理領域のマスキングを容易かつ確実に行いつつ、作業効率の上昇、コスト低減を図ることが可能となる。
本発明のショット処理方法は、上記したようなショット処理装置におけるショット処理方法であって、前記長手方向における前記ワークのショット処理領域の一方の外側で、前記投射部により前記ショット材の投射を開始させる工程と、前記投射部における前記ショット材の投射が安定した後、前記投射部における前記ショット材の投射流路に対し、前記鞘部材を前記長手方向に移動させる工程と、前記投射部における前記ショット材の投射流路が、前記長手方向において前記ワークのショット処理領域の他方の外側に到達したときに、前記投射部による前記ショット材の投射を停止させる工程と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、ショット非処理領域のマスキングを容易かつ確実に行いつつ、作業効率の上昇、コスト低減を図ることができるマスキング治具を用いつつ、ワークのショット処理領域に対するショット材の投射を、均一な品質で良好に行うことができる。
本発明によれば、ショット非処理領域のマスキングを容易かつ確実におこないつつ、作業効率の上昇、コスト低減を図ることができる。
本実施形態に係るショット処理装置の概略構成を示す図である。 上記ショット処理装置でショット処理を施すワークの一例を示す図である。 上記ショット処理装置に設けられたマスキング治具を示す側面図である。 上記マスキング治具の平面図である。 図4のX1-X1矢視断面図である。 上記マスキング治具に設けられたワーク押圧部の構成を示す図であり、図4のX2-X2矢視断面図である。 上記マスキング治具に設けられたワーク保持部の構成を示す図であり、図4のX3-X3矢視断面図である。 上記マーク保持部を示す平面図である。 上記マスキング治具の長溝に収納したワークのショット処理領域を示す図であり、図3のX4-X4矢視断面図である。 上記マスキング治具の鞘部材に設けられた排出孔を示す図であり、図4のX5-X5矢視断面図である。 上記マスキング治具の蓋体に形成された突状部を示す図であり、図3のX6-X6矢視断面図である。 上記蓋体を鞘部材に回動自在に連結するヒンジ部の構成を示す図であり、図4のX7-X7矢視断面図である。 本実施形態におけるショット処理方法の流れを示すフローチャートである。 上記マスキング治具の蓋体を開き、長溝にワークをセットする状態を示す側面図である。 上記マスキング治具の蓋体を閉じた状態を示す側面図である。 上記マスキング治具の蓋体をロックアームにより拘束した状態を示す側面図である。 上記ショット処理方法において、ショット材の投射を停止させる位置を示す側面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明によるショット処理装置、マスキング治具、ショット処理方法を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るショット処理装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように、ショット処理装置1は、投射部2と、マスキング治具10と、制御部8と、を主に備えている。このショット処理装置1は、ワーク100に対し、ショットピーニング処理又はショットブラスト処理を施す。なお、以下の説明においては、ショットピーニング処理又はショットブラスト処理を、単にショット処理と称する。
投射部2は、ワーク100にショット処理を施すためのショット材を投射する。ショット材は、粒子状で、金属材料、非金属材料等が用いられる。投射部2には、ショット材供給部3からショット材が供給される。本実施形態において、投射部2は、噴射式で、ショット材圧送のための流体圧力を、ショット材供給部3に備えられている流体圧力制御機構(図示無し)により制御し、ショット材を、中空箱状のハウジング4内に設けられたノズル6から所定の投射方向D2に投射する。
マスキング治具10は、中空箱状のハウジング4内に設けられている。マスキング治具10は、ショット処理の処理対象となるワーク100を保持する。
図2は、上記ショット処理装置でショット処理を施すワークの一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態において、ワーク100は、長手方向D1に沿って延びる長尺の部材である。このワーク100は、例えばラックギヤであり、長手方向D1に沿って延びるギヤ本体101と、ギヤ本体101の一部に形成されたギヤ部102と、を有している。ギヤ本体101は、例えば長手方向D1に延びる中心軸に直交する断面形状が円形をなしている。ギヤ部102は、ギヤ本体101の長手方向D1の一部に形成されている。本実施形態において、ギヤ部102は、長手方向D1におけるワーク100の中央部100cに対して一方の側に形成されている。ギヤ部102は、長手方向D1に沿って等間隔で形成された、複数の平歯状のギヤ歯102gを有している。
図3は、上記ショット処理装置に設けられたマスキング治具を示す側面図である。図4は、上記マスキング治具の平面図である。図5は、図4のX1-X1矢視断面図である。
図3、図4に示すように、マスキング治具10は、保持するワーク100の長手方向D1に沿って延びている。マスキング治具10は、鞘部材20と、蓋体50と、を備えている。
なお、以下の説明において、マスキング治具10から見て投射部2のノズル6側を「上方」、その反対側を「下方」とする。ただし、投射部2のノズル6からのショット材の投射方向は、鉛直上下方向に限らず、水平方向や斜め方向であってもよい。したがって、実際のショット材の投射方向によっては、以下におけるマスキング治具10の「上方」や「下方」が、鉛直上下方向と一致しない場合がある。
図3に示すように、鞘部材20は、ベース部材21と、鞘本体22と、下部カバー23と、を備えている。
ベース部材21は、図1に示す進退駆動部5のアクチュエータロッド5bの先端部に接続されている。ベース部材21は、長手方向D1に沿って延び、長手方向D1に直交する方向(ショット材の投射方向D2)に沿った厚みが、アクチュエータロッド5b側から離れるにしたがって、漸次小さくなるように形成されている。
鞘本体22は、長手方向D1に沿って延び、ベース部材21に、ボルト等によって着脱可能に固定されている。鞘本体22は、ベース部材21に対し、上方の投射部2側に設けられている。
図3~図5に示すように、鞘部材20は、投射部2に臨む側に、長溝24を有している。長溝24は、長手方向D1に連続して形成されている。長溝24は、鞘本体22において投射部2側の上面22fから下方に窪むように形成されている。
図5に示すように、長溝24の内部には、一対の支持傾斜面25が形成されている。一対の支持傾斜面25は、長手方向D1に直交する断面視で、投射部2側から下方に離間するにしたがって、互いに漸次接近するようV字状に配置されている。各支持傾斜面25は、長溝24内で長手方向D1に連続して形成されている。
鞘本体22の長溝24には、ワーク100が収納可能とされている。ワーク100は、長溝24内で、一対の支持傾斜面25により、投射部2に臨む側とは反対側で支持されている。ワーク100は、一対の支持傾斜面25に対し、投射部2に臨む側とは反対側において、ワーク100の周方向の二個所で線接触して支持される。
また、鞘本体22には、一対の支持傾斜面25でワーク100を支持した状態で、長溝24の溝底面24bとワーク100との間に、空間27が形成され、ワーク100が溝底面24bに直接接触しないようになっている。
図3に示すように、鞘本体22には、ワーク押圧部31と、ワーク保持部32とが設けられている。
図6は、上記マスキング治具に設けられたワーク押圧部の構成を示す図であり、図4のX2-X2矢視断面図である。
図3、図6に示すように、ワーク押圧部31は、鞘本体22の基端部22aに設けられている。図6に示すように、ワーク押圧部31は、ブラケット33と、押圧プレート34と、付勢部材35と、を備えている。
ブラケット33は、ベース部材21から上方に延びるプレート28に、ボルト等により着脱可能に固定されている。ブラケット33は、鞘本体22の基端部22aにおいて長溝24の端部の開口を塞ぐように設けられている。
押圧プレート34は、ブラケット33に形成された支持孔33h内で、長手方向D1に移動自在に設けられており、ボルト33xによって付勢部材35を間にはさんでブラケット33に取り付けられている。押圧プレート34は、樹脂材料等、ワーク100よりも軟質な材料で形成され、ワーク100への傷付けを防止している。
付勢部材35は、コイルスプリング等からなり、ブラケット33と押圧プレート34との間に圧縮状態で設けられている。付勢部材35は、押圧プレート34を鞘本体22の先端部22b側に付勢している。このようなワーク押圧部31は、長溝24内に収納されたワーク100の長手方向D1の一端部100aを、ワーク100の長手方向D1の他端部100b側に向かって押圧する。
図7は、上記マスキング治具に設けられたワーク保持部の構成を示す図であり、図4のX3-X3矢視断面図である。図8は、上記ワーク保持部を示す平面図である。
図3、図4、図7、図8に示すように、ワーク保持部32は、鞘本体22の先端部22bに設けられている。図7、図8に示すように、ワーク保持部32は、キャップ37と、当て板38と、を備えている。
キャップ37は、鞘本体22の先端部22bに設けられ、先端部22bにおいて長溝24の端部の開口を塞ぐように設けられている。キャップ37には、長溝24に臨む側に、凹部37aが形成されている。凹部37aは、長手方向D1及び投射方向D2に直交する幅方向D3における、ワーク100の他端部100bの幅寸法Wに合わせて形成されている。
当て板38は、キャップ37の凹部37a内に嵌め込まれている。当て板38は、樹脂材料等、ワーク100よりも軟質な材料で形成され、ワーク100への傷付けを防止している。
このようなワーク保持部32は、キャップ37の凹部37a内に、長溝24に収納されたワーク100の他端部100bが挿入される。ワーク押圧部31によって他端部100b側(ワーク保持部32側)に押圧されたワーク100は、他端部100bが、凹部37a内で当て板38に突き当たる。これによって、ワーク100は、長手方向D1における変位が拘束されている。また、ワーク100の他端部100bは、その幅寸法Wに合わせて形成された凹部37a内に挿入されることで、幅方向D3への変位が拘束されている。さらに、ワーク100の他端部100bは、上方への変位が凹部37aの上側に形成された上壁部37bによって拘束されている。このようにして、ワーク100は、長溝24内で、長手方向D1、投射方向D2(上下方向)、幅方向D3のそれぞれで拘束されている。
図9は、上記マスキング治具の長溝に収納したワークのショット処理領域を示す図であり、図3のX4-X4矢視断面図である。
図3、図9に示すように、このような鞘部材20の長溝24に対し、ワーク100は、ショット処理領域A1であるギヤ部102を、上方の投射部2に向けて収納される。
ここで、図9に示すように、ワーク100は、ギヤ部102を構成する平歯状のギヤ歯102gの表面を、投射部2からのショット材の投射方向D2に対して直交する仮想面(面)Kfに対し、ワーク100の中心軸回りに僅かに傾けて収納するのが好ましい。これにより、図9中に二点鎖線Pで示したように、投射部2から投射されたショット材が、ワーク100のショット処理領域A1で反射しても、ショット材は、投射部2に対して傾斜した方向に反射する。
また、ワーク100を長溝24に収納した状態で、鞘部材20は、投射部2においてショット材を投射するノズル6とワーク100の外周縁部100eとを結ぶことで形成される投影範囲Aよりも、内側に位置するように設けられている。これにより、投射部2のノズル6から投射されたショット材の投射範囲に、鞘部材20が直接露出せず、ショット材が鞘部材20に直接衝突するのを抑えることができる。
ここで、上記ショット材を投射するノズル6の位置は、ショット材を投射する起点を意味する。
この実施の形態では、ショット材の投射をノズル6を有する投射部2により行うように構成しているが、ショット材の投射をインペラで行うように構成した場合には、インペラからショット材が投射される際に、ショット材がインペラから離れる位置がショット材を投射する起点となる。
図10は、上記マスキング治具の鞘部材に設けられた排出孔を示す図であり、図4のX5-X5矢視断面図である。
図3、図7、図9、図10に示すように、下部カバー23は、鞘部材20の下方に設けられている。下部カバー23は、長手方向D1において、ベース部材21に対し、鞘部材20の先端部22b側に設けられている。図10に示すように、下部カバー23は、鞘部材20の下面22gに、ボルト23xによって着脱可能に取り付けられている。
このような鞘部材20は、長手方向D1に沿って間隔をあけて複数の排出孔26が形成されている。排出孔26は、長溝24において上方(投射部2側)を向く溝底面24bと、鞘部材20において下方(投射部2とは反対側)を向く鞘外周面20fとを連通している。排出孔26は、長溝24内に入り込んだショット材を鞘部材20の外部に排出する。
このような複数の排出孔26は、鞘本体22に形成された上部排出孔26aと、下部カバー23及びベース部材21に形成された連通溝26bと、下部カバー23及びベース部材21に形成された下部排出孔26cと、によって形成されている。
上部排出孔26aは、長溝24の溝底面24bに、長手方向D1に間隔をあけて複数形成されている。各上部排出孔26aは、溝底面24bと鞘本体22の下面22gとを上下方向に貫通して形成されている。
連通溝26bは、鞘本体22の下面22gに対向する下部カバー23、ベース部材21の上面から下方に窪んで形成されている。連通溝26bは、下部カバー23とベース部材21とにわたって、長手方向D1に連続して形成されている。
下部排出孔26cは、下部カバー23及びベース部材21に、長手方向D1に間隔をあけて複数形成されている。各下部排出孔26cは、連通溝26bと、下部カバー23及びベース部材21の下面23d、21d(鞘部材20の鞘外周面20f)とを上下方向に貫通するよう形成されている。ここで、各下部排出孔26cは、各上部排出孔26aに対し、長手方向D1(投射部2からのショット材の投射方向D2に交差する方向)にずらした位置に形成されている。
このように、複数の排出孔26は、溝底面24bから下方に延びる上部排出孔26aと、長手方向に延びる連通溝26bと、連通溝26bから下方に延びる下部排出孔26cとによってラビリンス状に構成されている。つまり、複数の排出孔26において、溝底面24bに開口する上部排出孔26aの溝側開口26eと、鞘部材20の鞘外周面20fに開口する下部排出孔26cの外側開口26fとは、長手方向D1にずれている。長溝24へのワーク100の着脱時等に、長溝24内に入り込んだショット材は、クランク状に屈曲した排出孔26の流路を通して下方に排出される。
図3、図4に示すように、蓋体50は、上記のような鞘部材20の長溝24の長手方向D1の一部に開閉自在に設けられている。本実施形態において、蓋体50は、長溝24において鞘部材20の基端部22a側の一部を上方から塞ぐことが可能なように設けられている。蓋体50は、長溝24を閉じたときに、長溝24から上方に向かって露出するワーク100の図2に示すショット非処理領域A2を覆うように設けられている。
図5に示すように、蓋体50は、下方の鞘本体22側に、当接面51と、ワーク対向面52と、を有している。
当接面51は、後述するヒンジ部60に対し、長溝24を挟んで反対側に設けられている。当接部51は、鞘本体22の上面22fに当接する。
ワーク対向面52は、当接面51に対し、上方に窪んで形成されている。ワーク対向面52は、長手方向D1から見た断面形状が円弧状に形成されている。ワーク対向面52は、ワーク100のギヤ本体101の外周面(ショット非処理領域A2)に、予め定められた寸法の隙間G1を隔てて対向するよう形成されている。ここで、ワーク対向面52とギヤ本体101の外周面との隙間G1の寸法は、ショット材の平均粒径の3倍以下とするのが好ましい。隙間G1の寸法が過大であると、この隙間G1にショット材が入り込みやすくなる。また、隙間G1の寸法をショット材の平均粒径未満とすると、蓋体50の開閉時にワーク対向面52とギヤ本体101の外周面との間にショット材が噛み込んだ場合に、このショット材が蓋体50によってギヤ本体101に押し付けられ、傷等が発生する可能性がある。このため、隙間G1の寸法は、例えば、ショット材の平均粒径以上とするのが好ましい。
図3に示すように、蓋体50は、上方の投射部2側に、一対の突状部53と、平坦部56と、を有している。
図11は、上記マスキング治具の蓋体に形成された突状部を示す図であり、図3のX6-X6矢視断面図である。
一対の突状部53は、蓋体50の長手方向D1の両端部に形成されている。図11に示すように、各突状部53は、頂角部54と、一対の外部傾斜面55と、を有している。頂角部54は、長手方向D1に交差する断面形状が上方に向かって凸となるよう形成されている。一対の外部傾斜面55は、頂角部54の両側に形成されている。頂角部54で一対の外部傾斜面55同士が交差する角度θは、ショット材の安息角よりも小さく設定されている。これにより、蓋体50の両端部の突状部53上に、投射部2から投射されたショット材が堆積することが抑えられる。
図3、図5に示すように、平坦部56は、長手方向D1において、一対の突状部53の間に形成されている。平坦部56は、投射方向D2に直交する平面により形成されている。なお、この平坦部56に代えて、突状部53を長手方向D1に連続して設けてもよい。
図4に示すように、蓋体50は、ヒンジ部60を介して鞘部材20の鞘本体22に回動自在に連結されている。ヒンジ部60は、幅方向D3において長溝24を挟んで一方の側に設けられている。蓋体50は、ヒンジ部60により、鞘部材20に対し、長手方向D1(長溝24方向)の軸線周りに回動自在に連結されている。
図12は、上記蓋体を鞘部材に回動自在に連結するヒンジ部の構成を示す図であり、図4のX7-X7矢視断面図である。
図12に示すように、ヒンジ部60は、蝶番部品61、62と、シャフト63と、パイプ64と、を備えている。蝶番部品61は、鞘本体22にボルト61xにより締結されている。蝶番部品62は、蓋体50に一体に形成されている。蝶番部品61、62は、それぞれ、長手方向D1に延びる筒状のシャフト挿通部61h、62hを有している。蝶番部品61のシャフト挿通部61hと、蝶番部品62のシャフト挿通部62hは、長手方向D1において互いに向き合っている。
シャフト63は、金属製で、筒状のパイプ64内に挿入(圧入)されている。パイプ64は、シャフト63よりも軟質な樹脂製である。シャフト63及びパイプ64は、蝶番部品61のシャフト挿通部61h、及び蝶番部品62のシャフト挿通部62hに形成された孔に挿入されている。これにより、蝶番部品61と蝶番部品62とは、シャフト63周りに相対回転可能とされている。
シャフト63及びパイプ64の長手方向D1の両側で、シャフト挿通部61h、62hの孔は、ネジ部材やプラグ部材65によって閉塞されている。これにより、シャフト挿通部61h、62hの孔内にショット材が入り込むことが抑えられる。
また、長手方向D1における蝶番部品61のシャフト挿通部61hと、蝶番部品62のシャフト挿通部62hの隙間G2は、予め定められた寸法以下とされている。隙間G2の寸法は、例えば、ショット材の平均粒径よりも小さくなるようにするのが好ましい。これにより、蝶番部品61のシャフト挿通部61hと、蝶番部品62のシャフト挿通部62hの隙間G2から、ヒンジ部60の内部にショット材が入り込むことが抑えられる。
図5に示すように、蓋体50は、幅方向D3において長溝24を挟んでヒンジ部60とは反対側に、ウェイト部57を有している。ウェイト部57は、その自重により蓋体50を閉方向に回動するように付勢する。これにより、開状態にある蓋体50を容易かつ確実に閉状態に移行させることができる。また、ウェイト部57により、閉状態にある蓋体50を、そのまま維持させることができる。
図3、図5に示すように、マスキング治具10は、さらに、蓋体50を閉状態に拘束するロックアーム70をさらに備えている。ロックアーム70は、基端部70aが、ピン71を介して蓋体50に回動自在に連結されている。ロックアーム70は、蓋体50が開状態から閉状態へ移行するとき、自重によりピン71周りに回動して先端部70bが下方に向かい、鞘部材20の側面20sに沿う。先端部70bが下方を向くまでロックアーム70が回転すると、ロックアーム70が鞘部材20の側面20sに設けられたストッパ部材(図示無し)に係合し、ロックアーム70の回動が拘束される。
ロックアーム70は、先端部70b側を上方に回動させ、その全体が鞘部材20の側面20sよりも上方に退避すると、蓋体50の閉状態への拘束が解除され、蓋体50は開閉可能となる。
マスキング治具10には、ロックアーム70による蓋体50の拘束状態を検出するセンサ81が設けられている。センサ81は、例えば、鞘部材20の鞘本体22に埋設されている。センサ81は、例えば近接センサであり、ロックアーム70の先端部70bが下方を向いているときに、ロックアーム70と近接して対向するよう設けられている。センサ81は、先端部70bが下方を向いたロックアーム70の存在を検出する。ロックアーム70の先端部70bが下方を向いていないときには、センサ81は、ロックアーム70を検出しない。これにより、センサ81は、ロックアーム70で蓋体50を閉状態に拘束しているか否かを検出する。センサ81の検出信号は、信号線82を介して図1に示す制御部8に出力される。
図1に示すように、このようなマスキング治具10は、進退駆動部5により、投射部2におけるショット材の投射方向D2に交差する長手方向D1に進退駆動される。進退駆動部5は、アクチュエータ本体5aと、アクチュエータロッド5bと、を備えている。アクチュエータ本体5aは、例えば、油圧シリンダ、エアシリンダ、ボールネジ機構等からなり、アクチュエータロッド5bを長手方向D1に進退させる。アクチュエータロッド5bは、ハウジング4内のマスキング治具10のベース部材21に接続されている。
進退駆動部5は、アクチュエータ本体5aでアクチュエータロッド5bを進退させることによって、ワーク100を保持したマスキング治具10を、ハウジング4内で長手方向D1に沿って進退駆動させる。これにより、投射部2のノズル6から投射されるショット材の投射流路Rに対し、長溝24内に収納したワーク100のショット処理領域A1を臨ませた状態で、ワーク100が長手方向D1に進退する。これにより、ワーク100のショット処理領域A1にショット材を衝突させながら、長手方向D1にそって連続的にショット処理を行う。
制御部8は、上記したようなショット処理装置1の動作を制御する。制御部8は、主に、センサ81からの検出信号に基づいて、投射部2と、進退駆動部5の動作を制御する。制御部8では、投射部2のノズル6からショット材を投射させつつ、ショット材の投射流路Rに対し、ワーク100を保持したマスキング治具10を長手方向D1に相対変位させる。
次に、上記したようなショット処理装置1におけるショット処理方法について説明する。
図13は、本実施形態におけるショット処理方法の流れを示すフローチャートである。図14は、上記マスキング治具の蓋体を開き、長溝にワークをセットする状態を示す側面図である。図15は、上記マスキング治具の蓋体を閉じた状態を示す側面図である。図16は、上記マスキング治具の蓋体をロックアームにより拘束した状態を示す側面図である。
図13に示すように、ショット処理装置1でワーク100にショット処理を施すには、まず、作業者が、ワーク100をマスキング治具10にセットする(工程S1)。
これには、図14に示すように、ハウジング4内のマスキング治具10の蓋体50を開く。この状態で、マスキング治具10の長溝24に、ワーク100を収納する。このとき、ワーク100は、一端部100aをワーク押圧部31(図6参照)の押圧プレート34に押し付け、付勢部材35の付勢力に抗して押圧プレート34を押し込む。この状態で、ワーク100の他端部100b側を下方に移動させ、他端部100bをワーク保持部32(図7、図8参照)の凹部37a内に収める。ワーク100から手を離すと、付勢部材35により、押圧プレート34を介してワーク100が他端部100b側に押圧され、他端部100bがワーク保持部32の当て板38に突き当たる。これによって、ワーク100が長溝24内に収納されて拘束される。
次に、図15に示すように、蓋体50を閉じる(工程S2)。これには、手指でウェイト部57を軽く押せば、ウェイト部57の自重により、開状態の蓋体50が閉状態に容易に回動する。
続いて、ロックアーム70で蓋体50を閉状態に拘束する(工程S3)。これには、図16に示すように、蓋体50が開状態から閉状態に移行するとき、ロックアーム70が自重により回動し、先端部70bが下方に向かう。これにより、ロックアーム70が鞘部材20の側面20sに密着し、蓋体50が閉状態から開状態に不用意に回動するのを拘束する。
この状態で、マスキング治具10に保持されたワーク100は、ショット処理領域A1のみが上方の投射部2側に露出し、それ以外のショット非処理領域A2は、鞘部材20及び蓋体50によって覆われる。
図5に示すように、ロックアーム70で蓋体50を閉状態に拘束すると、センサ81がこれを検出する。制御部8は、センサ81からの検出信号を受信する(工程S4、ステップS11)と、制御部8は、ワーク100へのショット処理を自動的に実行する。図13において、二点鎖線で囲んだ一連の処理S10(ステップS11~S14)は、制御部8により、予め定められたコンピュータプログラムに基づいて自動的に実行されるものである。
図3に示すように、制御部8は、まず、ワーク100のショット処理領域A1に対し、長手方向D1の一方の外側の所定位置P1で、投射部2によりショット材の投射を開始させる(工程S5,ステップS12)。ここで、ショット材の投射を開始する位置P1は、マスキング治具10に対し、長手方向D1で一方の側に外れた位置に設定するのが好ましい。これにより、投射を開始した直後のショット材が、マスキング治具10及びワーク100に衝突するのを避ける。
ショット材の投射開始後、予め設定時間が経過、またはショット材の流量が設定に到達する等して、投射部2におけるショット材の投射が安定した後、制御部8は、進退駆動部5で、マスキング治具10を長手方向D1に移動させる(工程S6、ステップS13)。進退駆動部5で、マスキング治具10を移動させ、ワーク100のショット処理領域A1が、投射部2におけるショット材の投射流路R内に入ると、ショット材がショット処理領域A1のギヤ部102に衝突し、ショット処理がなされる。このとき、進退駆動部5は、マスキング治具10を予め設定した一定速度で長手方向D1に移動させる。これにより、ショット処理領域A1に対し、ショット処理が長手方向D1に沿って連続的になされる。
図17は、上記ショット処理方法において、ショット材の投射を停止させる位置を示す側面図である。
図17に示すように、投射部2におけるショット材の投射流路Rが、ワーク100のショット処理領域A1に対し、長手方向D1の他方の外側の所定位置P2まで到達したら、制御部8は、投射部2によるショット材の投射を停止させる(工程S7、ステップS14)。また、制御部8は、進退駆動部5によるマスキング治具10の移動を停止させる。
このようにして、ショット処理が終了した後、作業者が、ハウジング4内のマスキング治具10のロックアーム70を回動させ、蓋体50の拘束を解除する(工程S8)。
続いて、蓋体50のウェイト部57を上方に押し、蓋体50を開く(工程S9)。
しかる後、ワーク100をマスキング治具10の長溝24から取り外す(工程S10)。
このようにして、ワーク100に対する一連のショット処理が完了する。複数のワーク100に対して同様のショット処理を行う場合、上記一連の工程S1からS10を順次繰り返せばよい。
上述したように、ショット処理装置1は、長手方向D1にショット処理領域A1、及びショット非処理領域A2を有する長尺のワーク100を収納するマスキング治具10と、マスキング治具10に収納されたワーク100に対してショット材を投射してショットピーニング処理又はショットブラスト処理を行う投射部2と、を備える。マスキング治具10は、投射部2に向けてショット処理領域A1を露出させた状態でワーク100を収納可能とする長溝24を備えた鞘部材20と、長溝24の長手方向D1の一部に開閉自在に設けられ、長溝24を閉じたときに長溝24内に収納されたワーク100のショット非処理領域A2を覆う蓋体50と、を備える。
このような構成によれば、鞘部材20の長溝24にワーク100を収容し、蓋体50を閉じれば、蓋体50によってワーク100のショット非処理領域A2が覆われ、ショット処理領域A1のみが投射部2に向けて露出される。この状態で、投射部2によりショット材を投射すると、ワーク100のショット処理領域A1にのみショット材が投射される。これにより、ワーク100のショット処理領域A1のみにショット材によるショットピーニング処理又はショットブラスト処理が施される。
鞘部材20の長溝24にワーク100を収容し、蓋体50を開閉するのみで、ワーク100のショット非処理領域A2のマスキングを行うことができる。また、マスキング治具10に対するワーク100の着脱も容易に行うことができる。さらに、複数のワーク100に順次ショット処理を行う場合であっても、マスキング治具10に対するワーク100の着脱と、ショット処理とを繰り返し行えばよく、作業性、及び作業効率に優れる。また、ワーク100のショット非処理領域A2に対する蓋体50によるマスキング精度も高まる。さらに、マスキング治具10は、鞘部材20と、鞘部材20の長溝24を開閉する蓋体50と、からなる簡易な構成であり、低コストで製作できる。
このようにして、ショット非処理領域A2のマスキングを容易かつ確実に行いつつ、作業効率の上昇、コスト低減を図ることが可能となる。
また、上記ショット処理装置1は、投射部2から投射されるショット材の投射流路Rに対し、長溝24内に収納したワーク100のショット処理領域A1を臨ませた状態で、鞘部材20を、投射流路Rに直交する方向に進退動作させる進退駆動部5をさらに備える。
このような構成によれば、ワーク100のショット処理領域A1に沿ってショット材の投射範囲(投射流路R)を相対的に移動させることができる。これにより、ショット材の投射範囲よりも広いショット処理領域A1に対し、ショット処理を連続的に施すことができる。
また、鞘部材20は、長手方向D1に直交する断面において、投射部2から離間するにしたがって互いに漸次接近するようV字状に配置されるとともに、長手方向D1に連続し、ワーク100を、投射部2に臨む側とは反対側で支持する一対の支持傾斜面25を有している。
このような構成によれば、ワーク100は、一対の支持傾斜面25に対し、投射部2に臨む側とは反対側で、周方向の二個所で線接触する。これにより、ワーク100が安定的に支持される。
また、鞘部材20は、ワーク100の長手方向D1の一端部100aを、ワーク100の長手方向D1の他端部100b側に向かって押圧するワーク押圧部31と、ワーク100の長手方向D1の他端部100bを、ワーク100の一端部100aから他端部100bに向かう方向への変位、及び長手方向D1に交差する方向への変位を拘束した状態で保持するワーク保持部32と、有する。
このような構成によれば、長手方向D1の一端部100a側に設けられたワーク押圧部31により、ワーク100を長手方向D1の他端部100b側に押圧し、長手方向D1の他端部100b側に設けられたワーク保持部32でワーク100の一端部100aを保持する。これにより、ワーク100は、長手方向D1及び長手方向D1に交差する方向への変位が拘束された状態で、鞘部材20の長溝24に高い位置精度で位置決めされて収容される。その結果、蓋体50によるワーク100のショット非処理領域A2のマスキングを、容易かつ高精度に行うことができる。さらに、長溝24に対するワーク100の着脱に、ネジ等を用いる必要がなく、ワーク100の着脱作用を容易かつ効率的に行うことができる。
また、長溝24は、ワーク100のショット処理領域A1を、投射部2からのショット材の投射方向D2に直交する仮想面Kfに対して傾斜させた状態で、ワーク100を収納する。
このような構成によれば、投射部2から投射されたショット材が、ワーク100のショット処理領域A1で反射しても、ショット材は、投射部2に対して傾斜した方向に反射する。これにより、ショット処理領域A1で反射したショット材によって、投射部2からのショット材の投射が妨げられるのを抑えることができる。
また、鞘部材20は、長溝24において投射部2側を向く溝底面24bと、鞘部材20において投射部2とは反対側の鞘外周面20fとを連通し、長溝24内に入り込んだショット材を鞘部材20の外部に排出する排出孔26を有している。
このような構成によれば、長溝24に対してワーク100を着脱する際等に、長溝24内にショット材が入り込んだ場合、入り込んだショット材を、排出孔26を通して鞘部材20の外部に排出することができる。これにより、長溝24内に残るショット材が、鞘部材20とワーク100との間に挟み込まれ、ショット材に傷等がつくのを抑えることができる。
また、排出孔26は、溝底面24bに開口する溝側開口26eと、鞘部材20の鞘外周面20fに開口する外側開口26fとが、投射部2からのショット材の投射方向D2に交差する方向で互いにずれた位置に配置されている。
このような構成によれば、投射部2から投射され、マスキング治具10に対して投射部2とは反対側で跳ね返ったショット材が、排出孔26の外側開口26fから排出孔26に入り込んでも、そのショット材は、排出孔26の溝側開口26eまで到達しにくくなる。これにより、投射後に跳ね返ったショット材が、排出孔26を通して長溝24内のワーク100に衝突し、ショット処理領域A1以外の部分を傷つけるのを抑えることができる。
また、鞘部材20は、投射部2においてショット材を投射するノズル6とワーク100の外周縁部100eとを結ぶ投影範囲Aの内側に設けられている。
このような構成によれば、投射部2のノズル6から投射されたショット材の投射範囲(投射流路R)内で、鞘部材20が直接露出しない。これにより、投射部2から投射されたショット材が、鞘部材20に直接衝突するのを抑えることができ、鞘部材20の傷つきや摩耗や変形を抑えることができる。
また、鞘部材20は、ベース部材21と、長溝24が形成され、ベース部材21に対して着脱可能に設けられた鞘本体22と、を備える。
このような構成によれば、長溝24が形成された鞘本体22のみを交換することができる。これにより、メンテナンスや仕様変更等の際に、ベース部材21はそのまま利用し続けながら、鞘本体22のみを交換すればよく、マスキング治具10の製作コストを低減することができる。
また、蓋体50は、少なくとも長手方向D1の両端部に、長手方向D1に交差する断面形状が投射部2側に向かって凸となり、ショット材の安息角よりも小さい角度θの頂角部54を有した突状部53が形成されている。
このような構成によれば、投射されたショット材が、蓋体50の少なくとも両端部の突状部53に堆積するのを抑えることができる。これにより、蓋体50の開閉時に、蓋体50に堆積していたショット材が溝内に入り込むのを抑えることができる。したがって、溝内に入り込んだショット材によって、ショット処理領域A1以外でワーク100が傷つくのを抑えることができる。
また、蓋体50は、長溝24を閉じた状態で、長溝24内に収容されたワーク100のショット非処理領域A2との間に、定められた寸法以下の隙間G1を隔てて配置される。
このような構成によれば、蓋体50と長溝24内に収容されたワーク100のショット非処理領域A2との隙間G1にショット材が張り込むのを抑えることができる。これにより、隙間G1にショット材が入り込んでショット非処理領域A2を傷つけてしまうのを抑えることができる。
また、蓋体50は、長溝24を挟んで一方の側で、鞘部材20に対して長溝24方向の軸線周りに回動自在に連結されるヒンジ部60を有している。
このような構成によれば、長溝24に対してワーク100を着脱する際には、蓋体50を、ヒンジ部60を中心として開閉すればよい。また、蓋体50は、長溝24を挟んでヒンジ部60とは反対側で、手指により容易に開閉することができる。これにより、蓋体50を鞘部材20に着脱したりスライドさせることで長溝24を開閉する構成に比較し、開閉動作を容易に行うことができる。
また、ヒンジ部60における蓋体50と鞘部材20との隙間G2は、ショット材の平均粒径よりも小さい。
このような構成によれば、ヒンジ部60の蓋体50と鞘部材20との隙間G2にショット材が入り込むのを抑え、ヒンジ部60における蓋体50の開閉動作が損なわれるのを抑えることができる。
また、蓋体50は、長溝24を挟んでヒンジ部60とは反対側に、自重により蓋体50を閉方向に回動するように付勢するウェイト部57が設けられている。
このような構成によれば、ショット材の投射中に蓋体50が不用意に開くのを抑え、閉じた状態を容易に維持することができる。
また、上記ショット処理装置1は、投射部2におけるショット材の投射、及びマスキング部材10の移動を制御する制御部8をさらに備える。
このような構成によれば、ワーク100のショット処理領域A1に対するショット処理を、自動的に行うことができる。
また、制御部8は、長手方向D1におけるワーク100のショット処理領域A1の一方の外側の位置P1で、投射部2によりショット材の投射を開始させるステップS12と、投射部2におけるショット材の投射が安定した後、投射部2におけるショット材の投射流路Rに対し、鞘部材20を長手方向D1に相対変位させるステップS13と、投射部2におけるショット材の投射流路Rが、長手方向D1においてワーク100のショット処理領域A1の他方の外側の位置P2に到達したときに、投射部2によるショット材の投射を停止させるステップS14と、を順次実行する。
このような構成によれば、ショット材の投射が安定してからショット処理領域A1にショット材を投射することで、ワーク100のショット処理領域A1に対するショット材の投射を、均一な品質で良好に行うことができる。
また、上記ショット処理装置1は、蓋体50が閉状態にあるか否かを検出するセンサ81をさらに備える。制御部8は、センサ81からの検出信号に基づいて、投射部2におけるショット材の投射、及び投射部2のショット材の投射流路Rに対する鞘部材20の相対移動を制御する。
このような構成によれば、蓋体50でワーク100のショット非処理領域A2を確実に覆った状態で、ショット処理を行うことができる。これにより、蓋体50を閉め忘れた状態でショット処理を行ってしまうことを抑えることができる。
また、上記ショット処理装置1は、蓋体50を閉状態に拘束するロックアーム70をさらに備える。センサ81は、ロックアーム70の有無を検出することで、蓋体50が閉状態にあるか否かを検出する。
このような構成によれば、蓋体50でワーク100のショット非処理領域A2を確実に覆い、かつ蓋体50がロックアーム70によって拘束された状態で、ショット処理を行うことができる。これにより、蓋体50が閉状態で拘束されていない状態でショット処理を行ってしまうことを抑えることができる。
また、上述したように、マスキング治具10は、長手方向D1にショット処理領域A1、及びショット非処理領域A2を有する長尺のワーク100を収納する長溝24を備えた鞘部材20と、長溝24の長手方向D1の一部に開閉自在に設けられ、長溝24を閉じたときに長溝24内に収納されたワーク100のショット非処理領域A2を覆う蓋体50と、を備える。
このような構成によれば、鞘部材20の長溝24にワーク100を収容し、蓋体50を開閉するのみで、ワーク100のショット非処理領域A2のマスキングを行うことができるので、マスキング治具10に対するワーク100の着脱も容易に行うことができる。また、複数のワーク100に順次ショット処理を行う場合であっても、マスキング治具10に対するワーク100の着脱と、ショット処理とを繰り返し行えばよく、作業性、及び作業効率に優れる。また、ワーク100のショット非処理領域A2に対する蓋体50によるマスキング精度も高まる。さらに、マスキング治具10は、鞘部材20と、鞘部材20の長溝24を開閉する蓋体50と、からなる簡易な構成であり、低コストで製作できる。
このようにして、ショット非処理領域A2のマスキングを容易かつ確実に行いつつ、作業効率の上昇、コスト低減を図ることが可能となる。
また、上述したショット処理方法は、上記したようなショット処理装置1におけるショット処理方法であって、長手方向D1におけるワーク100のショット処理領域A1の一方の外側で、投射部2によりショット材の投射を開始させる工程S5と、投射部2におけるショット材の投射が安定した後、投射部2におけるショット材の投射流路Rに対し、鞘部材20を長手方向D1に相対変位させる工程S6と、投射部2におけるショット材の投射流路Rが、長手方向D1においてワーク100のショット処理領域A1の他方の外側に到達したときに、投射部2によるショット材の投射を停止させる工程S7と、を備える。
このような構成によれば、ショット非処理領域A2のマスキングを容易かつ確実に行いつつ、作業効率の上昇、コスト低減を図ることができるマスキング治具10を用い、ワーク100のショット処理領域A1に対するショット材の投射を、均一な品質で良好に行うことができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、蓋体50は、ヒンジ部60を中心として回動することで開閉動作するにしたが、これに限らない。例えば、鞘本体20の基端部22a側にヒンジ部を設け、幅方向D3に延びる軸周りに蓋体50を回動させるようにしてもよい。さらに、蓋体50は、例えば、鞘部材20に対してスライドさせることで、開閉動作を行うようにしてもよい。
また、センサ81は、ロックアーム70を検出することで、蓋体50が閉状態にあることを検出するようにしたが、ロックアーム70以外の部分を検出することで、蓋体50が閉状態にあること、長溝24にワーク100がセットされていること等を検知するようにしてもよい。
さらに、ショット処理対象となるワーク100の形状、構成等については何ら限定するものではなく、上記実施形態で例示した以外の構成であってもよい。加えて、ワーク100のショット処理領域A1の位置、形状等が異なれば、蓋体50の位置や形状等も適宜変更される。
加えて、上記実施形態では、投射部2に対してマスキング治具10を長手方向D1に移動させるようにしたが、これに限らない。マスキング治具10を固定し、投射部2側を移動させるようにしてもよい。
さらに、本願におけるショット材の「投射」との文言は、ショット材を気体等の流体を用いて飛ばす、ショット材の噴射とインペラによる投射を含む。
上記実施形態では、図1の投射部2として噴射式の例を示したが、インペラ式を採用しても良い。その場合、投射部2は、円盤状のディスク(図示無し)と、ディスクの周方向に設けられた複数枚のインペラ(図示無し)と、を有した投射部材(図示無し)を備える。投射部材は、モータ(図示無し)等によって回転駆動され、遠心力を発生し、ショット材を、ワークへ投射する。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1 ショット処理装置
2 投射部
5 進退駆動部
6 ノズル
8 制御部
10 マスキング治具
20 鞘部材
20e 外周縁部
20f 鞘外周面
21 ベース部材
22 鞘本体
24 長溝
24b 溝底面
25 支持傾斜面
26 排出孔
26e 溝側開口
26f 外側開口
31 ワーク押圧部
32 ワーク保持部
50 蓋体
53 突状部
54 頂角部
57 ウェイト部
60 ヒンジ部
70 ロックアーム
81 センサ
100 ワーク
100a 一端部
100b 他端部
A 投影範囲
A1 ショット処理領域
A2 ショット非処理領域
D1 長手方向
D2 投射方向
G1 隙間
G2 隙間
Kf 仮想面(面)
R 投射流路
θ 角度

Claims (20)

  1. 長手方向にショット処理領域、及びショット非処理領域を有する長尺のワークを収納するマスキング治具と、
    前記マスキング治具に収納された前記ワークに対してショット材を投射してショットピーニング処理又はショットブラスト処理を行う投射部と、を備え、
    前記マスキング治具は、
    前記投射部に向けて前記ショット処理領域を露出させた状態で前記ワークを収納可能とする長溝を備えた鞘部材と、
    前記長溝の長手方向の一部に開閉自在に設けられ、前記長溝を閉じたときに前記長溝内に収納された前記ワークの前記ショット非処理領域を覆う蓋体と、を備える
    ことを特徴とするショット処理装置。
  2. 前記長溝内に収納した前記ワークの前記ショット処理領域を前記ショット材の投射流路に臨ませた状態で、前記鞘部材を前記投射流路に直交する方向に進退動作させる進退駆動部をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1に記載のショット処理装置。
  3. 前記鞘部材は、前記長手方向に直交する断面において、前記投射部から離間するにしたがって互いに漸次接近するようV字状に配置されるとともに、前記長手方向に連続し、前記ワークを、前記投射部に臨む側とは反対側で支持する一対の支持傾斜面を有している
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のショット処理装置。
  4. 前記鞘部材は、
    前記ワークの前記長手方向の一端部を、前記ワークの前記長手方向の他端部側に向かって押圧するワーク押圧部と、
    前記ワークの前記長手方向の他端部を、前記ワークの前記一端部から他端部に向かう方向への変位、及び前記長手方向に交差する方向への変位を拘束した状態で保持するワーク保持部と、を有する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のショット処理装置。
  5. 前記長溝は、前記ワークの前記ショット処理領域を、前記投射部からの前記ショット材の投射方向に直交する面に対して傾斜させた状態で、前記ワークを収納する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のショット処理装置。
  6. 前記鞘部材は、前記長溝において前記投射部側を向く溝底面と、前記鞘部材において前記投射部とは反対側の鞘外周面とを連通し、前記長溝内に入り込んだ前記ショット材を前記鞘部材の外部に排出する排出孔を有している
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のショット処理装置。
  7. 前記排出孔は、前記溝底面に開口する溝側開口と、前記鞘部材の前記鞘外周面に開口する外側開口とが、前記投射部からの前記ショット材の投射方向に交差する方向で互いにずれた位置に配置されている
    ことを特徴とする請求項6に記載のショット処理装置。
  8. 前記鞘部材は、前記投射部において前記ショット材を投射する起点と前記ワークの外周縁部とを結ぶ投影範囲の内側に設けられている
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のショット処理装置。
  9. 前記鞘部材は、
    ベース部材と、
    前記長溝が形成され、前記ベース部材に対して着脱可能に設けられた鞘本体と、を備える
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のショット処理装置。
  10. 前記蓋体は、少なくとも前記長手方向の両端部に、前記長手方向に交差する断面形状が前記投射部側に向かって凸となり、前記ショット材の安息角よりも小さい角度の頂角部を有した突状部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のショット処理装置。
  11. 前記蓋体は、前記長溝を閉じた状態で、前記長溝内に収容された前記ワークの前記ショット非処理領域との間に、定められた寸法以下の隙間を隔てて配置される
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のショット処理装置。
  12. 前記蓋体は、前記長溝を挟んで一方の側に設けられたヒンジ部により、前記鞘部材に対し、前記長溝方向の軸線周りに回動自在に連結されている
    ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のショット処理装置。
  13. 前記ヒンジ部における前記蓋体と前記鞘部材との隙間は、前記ショット材の平均粒径よりも小さい
    ことを特徴とする請求項12に記載のショット処理装置。
  14. 前記蓋体は、前記長溝を挟んで前記ヒンジ部とは反対側に、自重により前記蓋体を閉方向に回動するように付勢するウェイト部が設けられている
    ことを特徴とする請求項12または13に記載のショット処理装置。
  15. 前記投射部における前記ショット材の投射、及び前記投射部の前記ショット材の投射流路に対する前記マスキング治具の移動を制御する制御部をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のショット処理装置。
  16. 前記制御部は、
    前記長手方向における前記ワークのショット処理領域の一方の外側で、前記投射部により前記ショット材の投射を開始させるステップと、
    前記投射部における前記ショット材の投射が安定した後、前記投射部における前記ショット材の投射流路に対し、前記鞘部材を前記長手方向に移動させるステップと、
    前記投射部における前記ショット材の投射流路が、前記長手方向において前記ワークのショット処理領域の他方の外側に到達したときに、前記投射部による前記ショット材の投射を停止させるステップと、
    を順次実行する
    ことを特徴とする請求項15に記載のショット処理装置。
  17. 前記蓋体が閉状態にあるか否かを検出するセンサをさらに備え、
    前記制御部は、前記センサからの検出信号に基づいて、前記投射部における前記ショット材の投射、及び前記投射部の前記ショット材の投射流路に対する前記マスキング治具の移動を制御する
    ことを特徴とする請求項15又は16に記載のショット処理装置。
  18. 前記蓋体を閉状態に拘束するロックアームをさらに備え、
    前記センサは、前記ロックアームの有無を検出することで、前記蓋体が閉状態にあるか否かを検出する
    ことを特徴とする請求項17に記載のショット処理装置。
  19. 長手方向にショット処理領域、及びショット非処理領域を有する長尺のワークを収納する長溝を備えた鞘部材と、
    前記長溝の長手方向の一部に開閉自在に設けられ、前記長溝を閉じたときに前記長溝内に収納された前記ワークの前記ショット非処理領域を覆う蓋体と、を備える
    ことを特徴とするマスキング治具。
  20. 請求項1から18のいずれか一項に記載のショット処理装置におけるショット処理方法であって、
    前記長手方向における前記ワークのショット処理領域の一方の外側で、前記投射部により前記ショット材の投射を開始させる工程と、
    前記投射部における前記ショット材の投射が安定した後、前記投射部における前記ショット材の投射流路に対し、前記鞘部材を前記長手方向に移動させる工程と、
    前記投射部における前記ショット材の投射流路が、前記長手方向において前記ワークのショット処理領域の他方の外側に到達したときに、前記投射部による前記ショット材の投射を停止させる工程と、
    を備えることを特徴とするショット処理方法。

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