JP7058474B2 - 複合膜 - Google Patents
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Description
そして、様々な産業用途に使用する際の機能向上を目的として、膜構造部分の薄膜化が検討されている。
しかしながら、膜構造部分を薄膜化しようとする場合、膜構造部分の強度が弱いため寸法変化あるいは亀裂や破断が生じやすいという物性上の問題、例えば、膜厚が10μm以下の極めて薄い膜構造部分を製造するのが困難であるという製造上の問題、そして、ハンドリング性が悪いという取り扱い上の問題などが発生すると考えられた。
特開2016-182701号公報(特許文献1)には、基材上に繊維堆積層を備えた積層体の該繊維堆積層へ、熱硬化性樹脂溶液を付与することで製造されたフィルム材が開示されている。特許文献1の膜構造部分は、繊維堆積層を構成する繊維によって補強されてなるため、膜構造部分を薄膜化した場合であっても、上述の問題が発生し難いと考えられる。
なお、特許文献1には、その具体的な態様として、
・基材の材質として、樹脂シート、紙シート、布シート、ガラス繊維シートなどを用いることができ、基材の厚さは10~100μmであるのが好ましいこと、
・繊維堆積層の構成繊維は、特に限定されず各種樹脂を使用して製造できるものであり、電界紡糸法により繊維堆積層を製造する場合、使用する樹脂はPESが好ましいこと、
・繊維堆積層の平均繊維径は例えば1μm以下であり、繊維堆積層の厚さは1~3μmであるのが好ましいこと、
・熱硬化性樹脂の種類は特に限定されないものであり、使用する樹脂はエポキシ樹脂が好ましいこと、
・膜材における、繊維堆積層の空隙中に熱硬化性樹脂溶液が浸透してなる層の厚さは5~100μmであること、
が開示されている。
しかし、例えば、膜厚が10μm以下の極めて薄い膜構造部分を備えた複合膜を提供しようとした際に、調製した複合膜における第一繊維層側の主面に、膜化していない部分(例えば、繊維形状が存在している部分や意図せず開孔が存在している部分があるなど)があり、膜構造部分を備えた複合膜を提供することができなかった。
そして、この問題は上述のとおり、繊維集合体で構成された材料と膜構成樹脂を用いて複合膜を提供しようとする際に生じ易いものであった。
そのため従来技術を参照する限りでは、膜化していない部分が存在するのを防止し、例えば、膜厚が10μm以下の極めて薄い膜構造部分を供えることで、様々な産業用途に有用な複合膜を提供することが困難であった。
「一種類の繊維のみで構成された第一繊維層と、第二繊維層を備える積層体、および、膜構成樹脂のみで構成された複合膜であって、
前記第二繊維層は、連続長を有する繊維を含んだ繊維ウェブまたは不織布からなり、
前記第一繊維層の構成繊維間に前記膜構成樹脂が存在してなる膜構造部分を有する、複合膜であって、
前記第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径は3μm以下であり、
前記第一繊維層は前記第二繊維層よりも、前記膜構成樹脂溶液と親和性が高い、複合膜。」
である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、
「(1)連続長を有する繊維を含んだ繊維ウェブまたは不織布である繊維集合体(A)を用意する工程、
(2)前記繊維集合体(A)における少なくとも一方の主面上に、別の繊維集合体(B)を形成して、積層体を調製する工程、
(3)前記積層体における前記別の繊維集合体(B)が露出している主面に、膜構成樹脂溶液を付与する工程、
(4)前記付与した膜構成樹脂溶液から溶媒を除去する工程、
を備える、前記別の繊維集合体(B)の構成繊維間に前記膜構成樹脂が存在してなる膜構造部分を有する、複合膜の製造方法であって、
前記別の繊維集合体(B)を構成する繊維の平均繊維径は3μm以下であり、
前記別の繊維集合体(B)は前記繊維集合体(A)よりも、前記膜構成樹脂溶液と親和性が高い、複合膜の製造方法。」
である。
本発明では、第二繊維層が連続長を有する繊維を含んだ繊維ウェブまたは不織布からなり、第二繊維層に含まれている繊維端部の数が少ないことで、厚さが均一かつ薄い複合膜を提供できる。
そして、「第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径は3μm以下」であることによって、第一繊維層の厚さが均一かつ薄いものとなるため、厚さが均一かつ薄い膜構造部分を備えた複合膜を提供できる。
更に、本願発明者らは上述の課題を解決するため検討を続けた結果、第一繊維層と第二繊維層、そして、膜構成樹脂を溶媒に溶解してなる膜構成樹脂溶液の関係性が、「第一繊維層は前記第二繊維層よりも、前記膜構成樹脂溶液と親和性が高い」という組み合わせを満足するときに、はじめて、膜化していない部分が存在するのを防止し、例えば、膜厚が10μm以下の極めて薄い膜構造部分を供えた複合膜を提供できることを見出した。
以上から、本発明は、様々な産業用途に有用な複合膜を提供できる。
本製造方法は、「(1)連続長を有する繊維を含んだ繊維ウェブまたは不織布である繊維集合体(A)を用意する工程、(2)前記繊維集合体(A)における少なくとも一方の主面上に、別の繊維集合体(B)を形成して、積層体を調製する工程、(3)前記積層体における前記別の繊維集合体(B)が露出している主面に、膜構成樹脂溶液を付与する工程、(4)前記付与した膜構成樹脂溶液から溶媒を除去する工程、を備える、前記別の繊維集合体(B)の構成繊維間に前記膜構成樹脂が存在してなる膜構造部分を有する、複合膜の製造方法」に係る発明である。
本発明では、繊維集合体(A)として連続長を有する繊維を含んだ繊維ウェブまたは不織布を採用しており、第二繊維層に含まれている繊維端部の数が少ないことで、厚さが均一かつ薄い複合膜を提供できる。
そして、「別の繊維集合体(B)を構成する繊維の平均繊維径は3μm以下」であることによって、厚さが均一かつ薄い第一繊維層を製造できるため、厚さが均一かつ薄い膜構造部分を備えた複合膜を提供できる。
更に、本発明の製造方法は「別の繊維集合体(B)は前記繊維集合体(A)よりも、前記膜構成樹脂溶液と親和性が高い」という製造条件を有しているため、膜化していない部分が存在するのを防止し、例えば、膜厚が10μm以下の極めて薄い膜構造部分を供えた複合膜を提供できる。
本発明の製造方法が、本発明にかかる複合膜を製造できる理由は完全に明らかになっていないが、以下の効果が発揮されているためだと考えられる。
つまり、繊維集合体(A)と別の繊維集合体(B)を備える積層体に対し、別の繊維集合体(B)が露出している主面に膜構成樹脂溶液を付与する工程において、繊維集合体(A)よりも親和性が高い別の繊維集合体(B)に対して膜構成樹脂溶液を付与することになり、膜構成樹脂溶液が別の繊維集合体(B)に留まり易い。
そのため、別の繊維集合体(B)の構成繊維間に膜構成樹脂溶液が十分かつ潤沢に存在した状態で、膜構成樹脂溶液が付与された積層体を、次の工程である溶媒を除去する工程へ供することができる。
その結果、別の繊維集合体(B)の構成繊維間に膜構成樹脂が十分に存在した状態となるため、膜化していない部分が存在するのを防止し、例えば、膜厚が10μm以下の極めて薄い膜構造部分を供えた複合膜を提供できる。
本発明でいう第一繊維層および第二繊維層(以降、合わせて各繊維層と称することがある)とは、例えば、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編み物などのシート状の布帛由来の繊維からなる層である。
各繊維層を構成する繊維の調製方法は適宜選択できるが、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、紡糸液に電界を作用させ紡糸する方法である静電紡糸法、遠心力を用いて紡糸する方法、特開2011-012372号公報などに記載の随伴気流を用いて紡糸する方法、特開2005-264374号公報などに記載の静電紡糸法の一種である中和紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法など公知の方法を使用することができる。
構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維ウエブを加熱処理へ供するなどしてバインダあるいは接着繊維によって構成繊維同士を接着一体化あるいは溶融一体化させる方法などを挙げることができる。
加熱処理の方法は適宜選択できるが、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、熱風乾燥機により加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して含まれている有機樹脂を加熱する方法などを用いることができる。
なお、直接紡糸法を用いて紡糸した繊維を捕集することで、平均繊維径が細いと共に繊維径の均一な繊維からなる繊維ウェブや不織布を調製でき好ましい。特に、静電紡糸法を用いることで、より平均繊維径が細いと共により繊維径の均一な繊維からなる繊維ウェブや不織布を調製でき好ましい。
静電紡糸法を採用する場合には、曳糸性を有する紡糸液を用いるのが好ましい。曳糸性を有する紡糸液を用いることで、より繊維径が均一かつ細い繊維を調製でき好ましい。なお、紡糸溶液が曳糸性を有するか否かは、特開2017-053078号公報に記載の方法で判別することができる。
第一繊維層を構成する繊維は、膜化していない部分が存在するのを防止し、厚さが均一かつ薄い膜構造部分を実現できるよう、その平均繊維径は3μm以下であり、2μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのが好ましく、800nm以下であるのが好ましい。平均繊維径の下限値は適宜選択するが、10nm以上であるのが現実的である。
第二繊維層を構成する繊維の平均繊維径は適宜選択でき、平均繊維径が細いほど薄い複合膜を提供し易いことから、第二繊維層を構成する繊維の平均繊維径は、15μm以下であるのが好ましく、10μm以下であるのが好ましく、5μm以下であるのが好ましく、3μm以下であるのが好ましく、2μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのが好ましく、800nm以下であるのが好ましい。平均繊維径の下限値は適宜選択するが、10nm以上であるのが現実的である。
第一繊維層に含まれている繊維端部の数が少ないことで、表面が平滑で厚さが均一かつ薄い膜構造部分を実現し易いことから、第一繊維層は構成繊維として連続長を有する繊維を含んでいるのが好ましく、第一繊維層の構成繊維が連続長を有する繊維のみであるのがより好ましい。
また、第二繊維層に含まれている繊維端部の数が少ないことで、厚さが均一かつ薄い複合膜を提供し易いことから、第二繊維層は構成繊維として連続長を有する繊維を含んでいるのが好ましく、第二繊維層の構成繊維が連続長を有する繊維のみであるのがより好ましい。
このような連続長を有する繊維は、直接紡糸法(特に、静電紡糸法)を用いて調製することができる。
これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でもよい。また、樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよい。
第一繊維層と第二繊維層の積層態様は適宜選択でき、第一繊維層と第二繊維層がただ重ね合わされているだけの態様、第一繊維層と第二繊維層の層間がバインダで一体化している態様、第一繊維層と第二繊維層の構成繊維同士が両繊維層間を超え絡合する(例えば、ニードルパンチ処理、水流絡合処理、第二繊維層の主面上に繊維を抄き上げることで、第一繊維層の構成繊維を第二繊維層中へ入り込ませる方法など)ことで一体化している態様、構成繊維が熱溶融することで繊維間接着がなされ第一繊維層と第二繊維層の層間が一体化している態様、第一繊維層と第二繊維層の層間が超音波接着などにより一体化している態様などであることができる。
特に、直接紡糸法(特に、静電紡糸法)を用いて紡糸した繊維を第二繊維層の一方の主面上に捕集することで第一繊維層を形成して積層体を調製すると、バインダによる接着や構成繊維の熱溶融による接着をすることなく第一繊維層と第二繊維層の層間が一体化してなる積層体を調製できることから、通気度などがバインダや溶融した構成繊維により意図せず変化するのを防止して、第一繊維層と第二繊維層の層間を一体化でき好ましい
膜構成樹脂の種類は、複合膜やその膜構造部分に求める特性、第一繊維層の構造やその構成繊維との親和性などによって、適宜選択することができる。例えば、各繊維層を構成可能な樹脂として上述した樹脂を、単体樹脂あるいは混合樹脂で膜構造樹脂として使用できる。また、これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でもよい。更に、樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよい。
粒子形状も適宜選択でき、繊維状、扁平状、球状、数珠状、棒状などであることができる。また、粒子は中実粒子でも中空粒子でもよく、多孔を有する粒子形状であってもよい。
(膜状の態様をなしているか否かの判断方法(ピンホール簡易検査))
(1) 複合膜の一方の主面を上面にして、メッシュ基材上に複合膜を配置する。
(2) 先端に円形(直径:25mm)の吸気部を有する10mLシリンジを用意する。シリンジの吸気部の円周には、Oリングが付属されている。
(3) 吸気部を複合膜の主面に40Nの力で密着させた状態でシリンジのピストンに力を作用させ、ピストンにおける複合膜側端部を、0mlの目盛り位置から10mLの目盛り位置まで引き上げる。
(4) シリンジのピストンに作用させている力を解放する。
(5) 上述した(1)~(4)の工程を、測定対象の複合膜における両主面に対し各々行った結果、両主面のうち少なくとも一方の主面において、シリンジのピストンに作用させている力を解放した後に、ピストンにおける複合膜側端部が0ml~1mlの目盛り範囲まで戻った場合には、複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有していると判断する。
一方、両主面のいずれにおいても、ピストンにおける複合膜側端部が0ml~1mlの目盛り範囲まで戻らなかった場合には、複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有していないと判断する。
(親和性の判断方法)
(1)膜構成樹脂を溶解可能な溶媒に濃度1~20質量%となるように溶解させ、膜構成樹脂溶液を用意する。
(2)第一繊維層あるいは第一繊維層を構成する繊維集合体の主面上に、膜構成樹脂溶液を3μL滴下し、液滴設置後15秒経過後における液滴がなす接触角を、接触角装置(DM500、協和界面科学(株)製)を用い、θ/2法により測定する。
(3)第二繊維層あるいは第二繊維層を構成する繊維集合体の主面に対し、(2)の項目の方法を用いて接触角を測定し、各測定結果を比較する。
上述した方法において、第一繊維層を構成する繊維集合体(第一繊維層)の主面に対し膜構成樹脂溶液が為す接触角が、第二繊維層を構成する繊維集合体(第二繊維層)の主面に対し膜構成樹脂溶液が為す接触角よりも小さい場合、第一繊維層(第一繊維層を構成する繊維集合体)は第二繊維層(第二繊維層を構成する繊維集合体)よりも膜構成樹脂溶液と親和性が高いと判断する。
特に、膜構成樹脂溶液が第一繊維層(第一繊維層を構成する繊維集合体)に浸透し易いほど、更に、膜化していない部分が存在するのを防止し、例えば、膜厚が10μm以下の極めて薄い膜構造部分を供えた複合膜を提供し易い。そのため、上述した(2)の工程において、液滴設置後15秒経過後における液滴がなす接触角が0°である、換言すれば、液滴設置後15秒経過後には膜構成樹脂溶液が浸透して、主面上に膜構成樹脂溶液が存在しなくなる第一繊維層(第一繊維層を構成する繊維集合体)であるのが最も好ましい。
複合膜における膜構造部分の厚さは適宜選択するが、10μm以下であることができ、8μm以下であることができ、6μm以下であることができる。一方、厚さの下限値は適宜調整するが、0.1μm以上であるのが現実的である。
複合膜における第二繊維層の厚さは適宜選択するが、30μm以下であることができ、20μm以下であることができ、10μm以下であることができる。一方、厚さの下限値は適宜調整するが、1μm以上であるのが現実的である。
また、複合膜における膜構造部分が存在している側の主面と反対側の主面から、該反対側の主面を構成する繊維のみからなる部分の長さを測定し、これを複合膜における第二繊維層の厚さとする。
本発明にかかる複合膜の製造方法は適宜選択することができるが、一例として、
(1)繊維集合体(A)を用意する工程、
(2)前記繊維集合体(A)における少なくとも一方の主面上に、別の繊維集合体(B)を形成して、積層体を調製する工程、
(3)前記積層体における前記別の繊維集合体(B)が露出している主面に、膜構成樹脂溶液を付与する工程、
(4)前記付与した膜構成樹脂溶液から溶媒を除去する工程、
を備える、前記別の繊維集合体(B)の構成繊維間に前記膜構成樹脂が存在してなる膜構造部分を有する、複合膜の製造方法であって、
前記別の繊維集合体(B)を構成する繊維の平均繊維径は3μm以下であり、
前記別の繊維集合体(B)は前記繊維集合体(A)よりも、前記膜構成樹脂溶液と親和性が高い、複合膜の製造方法を挙げることができる。
繊維集合体(A)は第二繊維層を構成可能な部材であって、例えば、繊維ウェブや不織布、織物や編み物などのシート状の布帛を使用することができる。
第二繊維層は、乾式絡合や湿式抄造あるいは直接紡糸法を用いて形成することができるが、表面が平滑な布帛であることによって、厚さが均一かつ薄い複合膜を提供し易いことから、湿式抄造や直接紡糸法を用いてなる布帛であるのが好ましい。特に、直接紡糸法としては静電紡糸法を用いてなる布帛であると、平均繊維径が細いと共に繊維径の均一な繊維からなる繊維ウェブや不織布を調製でき、より厚さが均一かつ薄い複合膜を提供し易いため好ましい。
繊維集合体(A)の目付は適宜選択できるが、目付は0.5~20g/m2であるのが好ましく、0.8~18g/m2であるのが好ましく、1~16g/m2であるのが好ましい。なお、本発明では、目付とは最も広い面(主面)における、面積1m2あたりの質量をいう。
繊維集合体(A)の厚さは適宜選択できるが、厚さは30μmであるのが好ましく、20μmであるのが好ましく、10μmであるのが好ましい。一方、厚さは1μm以上であるのが現実的である。
繊維集合体(A)の空隙率は適宜選択するが、複合膜における通気性や通液性が低下し過ぎることがないよう、空隙率は30%以上であるのが好ましく、35%以上であるのが好ましく、40%以上であるのが好ましい。一方、空隙率は98%以下であるのが現実的である。
繊維集合体(A)のガーレ透気度は適宜選択できるが、複合膜における通気性や通液性が低下し過ぎることがないよう、ガーレ透気度は300s/100mL以下であるのが好ましく、200s/100mL以下であるのが好ましく、100s/100mL以下であるのが好ましい。
なお、本発明でいうガーレ透気度とは、例えば繊維集合体などの測定対象物をJIS P 8117:2009(紙及び板紙-透気度試験方法-ガーレー試験機法)に規定されている方法に供し測定された透気抵抗度をいう。なお、ガーレ値は低いほど通気性に優れていることを意味し、その値は0より大きい値となる。
別の繊維集合体(B)は第一繊維層を構成可能な部材であって、例えば、繊維ウェブや不織布、織物や編み物などのシート状の布帛を使用することができる。
別の繊維集合体(B)を形成する方法は適宜選択でき、
・繊維集合体(A)における少なくとも一方の主面上に、別途調製した別の繊維集合体(B)を積層する方法、
・繊維集合体(A)の一方の主面上に、別の繊維集合体(B)を構成可能な繊維を抄造するあるいは直接紡糸することで堆積させ、該繊維の堆積層(別の繊維集合体(B))を形成する方法、
などの方法によって、積層体を調製することができる。
別の繊維集合体(B)の目付は適宜選択できるが、目付は4g/m2以下であるのが好ましく、3g/m2以下であるのが好ましく、2g/m2以下であるのが好ましい。一方、目付は0.1g/m2以上であるのが現実的である。
別の繊維集合体(B)の厚さは適宜選択できるが、厚さは10μm以下であるのが好ましく、8μm以下であるのが好ましく、6μm以下であるのが好ましい。一方、厚さは0.4μm以上であるのが現実的である。
別の繊維集合体(B)の空隙率は適宜選択するが、空隙率は50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのが好ましく、70以上%であるのが好ましい。一方、空隙率は98%以下であるのが現実的である。
付与する方法は適宜選択できるが、スプレーやスピンコート、グラビアコート、バーコート、ダイコート、ブレードコート、エアナイフコート、ロールコーティング、リップコート、フロートコート、コンマロールコート、キスコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷、などを用いて膜構成樹脂溶液を散布あるいは塗布する方法、積層体における別の繊維集合体(B)側の主面を膜構成樹脂溶液中に浸漬する方法などを採用することができる。
膜構成樹脂溶液の付与量は、所望する膜構造部分を有する複合膜を提供できるよう適宜選択する。
このようにして、積層体における別の繊維集合体(B)の主面側から膜構成樹脂溶液を吸液させることで、別の繊維集合体(B)の構成繊維間に膜構成樹脂溶液を存在させる。
溶媒を除去する方法は適宜選択できるが、例えば、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機などの加熱機へ供し加熱する、室温雰囲気下や減圧雰囲気下に静置するなどして、膜構成樹脂溶液を付与した積層体から溶媒を蒸発させることで除去できる。溶媒を除去する際の加熱温度は溶媒が揮発可能な温度であると共に、構成部材(第一繊維層や第二繊維層、膜構成樹脂など)の形状や機能などが意図せず低下することがないよう、加熱温度の上限を選択する。
また、第一繊維層および/または第二繊維層を構成可能な布帛、積層体、複合膜を撥水・撥油・疎水化処理工程などの加工工程へ供してもよい。この撥水・撥油・疎水化処理工程としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンやシリコーンなどの撥水・撥油性樹脂のコーティング、撥油・撥水化剤の利用などを挙げることができる。
つまり、繊維集合体(A)と別の繊維集合体(B)を備える積層体に対し、別の繊維集合体(B)が露出している主面に膜構成樹脂溶液を付与する工程において、繊維集合体(A)よりも親和性が高い別の繊維集合体(B)に対して膜構成樹脂溶液を付与することになり、膜構成樹脂溶液が別の繊維集合体(B)に留まり易く、また、別の繊維集合体(B)を通り越し繊維集合体(A)へ移動した膜構成樹脂溶液が存在する場合であっても、膜構成樹脂溶液は繊維集合体(A)からより親和性高い別の繊維集合体(B)へと移動し易い。
そのため、別の繊維集合体(B)の構成繊維間に膜構成樹脂溶液が十分かつ潤沢に存在した状態で、膜構成樹脂溶液が付与された積層体を、次の工程である溶媒を除去する工程へ供することができる。
その結果、別の繊維集合体(B)の構成繊維間に膜構成樹脂が十分に存在した状態となるため、膜化していない部分が存在するのを防止し、例えば、膜厚が10μm以下の極めて薄い膜構造部分を供えた複合膜を提供できる。
また、厚さが10μmよりも厚い別の繊維集合体(B、第一繊維層)を備える積層体を用いることで、例えば、膜厚が10μmよりも厚いと共に厚さが均一な膜構造部分を供える複合膜も提供できる。
ポリビニルアルコール樹脂(完全鹸化、重合度:900~1000、和光純薬社製)を導電率が10μS/cm以下の水へ完全に溶解させることで、ポリビニルアルコール樹脂濃度が15質量%の水溶液aを調製した。また、メチルビニルエーテル―無水マレイン酸コポリマー樹脂(ALDRICH社製)を導電率が10μS/cm以下の水へ完全に溶解させることで、メチルビニルエーテル―無水マレイン酸コポリマー樹脂濃度が濃度15質量%の水溶液bを調製した。
水溶液a80部と水溶液b20部を混合して、第一紡糸液を調製した。
また、第一紡糸液に対し濃度が1質量%となるように疎水化剤であるドデシルアミン塩酸塩を混合して、第二紡糸液を調製した。
水溶液c80部と水溶液d20部を混合して、第三紡糸液を調製した。
また、第三紡糸液に対し濃度が1質量%となるように疎水化剤であるドデシルアミン塩酸塩を混合して、第四紡糸液を調製した。
水溶液e80部と水溶液f20部を混合した後、溶質に対し濃度が1質量%となるように疎水化剤であるドデシルアミン塩酸塩を混合して、第五紡糸液を調製した。
・金属製ノズル(紡糸液吐出部分)における、紡糸液吐出部分の形状:内径0.44mmの円形状
・金属製ノズルの先端と、ドラム(繊維捕集体)との距離:8cm
・紡糸液へ印加した電圧:15~25kV
・金属製ノズルから吐出された紡糸液:1cc/時間
・静電紡糸環境の雰囲気:温度25℃、湿度50%RH
上述した静電紡糸条件のもと第二紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラムの主面上に捕集することで、ドラムの主面上に厚さ10μm、目付2.3g/m2の繊維集合体を形成した。
次いで、上述した静電紡糸条件のもと第一紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラム上の繊維集合体における露出している主面上に捕集することで、繊維集合体の主面上に厚さ4μm、目付1.1g/m2の別の繊維集合体を形成した。
このようにして形成した繊維集合体と別の繊維集合体を備えた積層体を、上述した「親和性の判断方法」へ供した結果、液滴設置後15秒経過後における別の繊維集合体の接触角は0°、繊維集合体の接触角は108°であり、別の繊維集合体は繊維集合体よりも、膜構成樹脂溶液として使用する第一紡糸液と親和性が高いことが判明した。
なお、積層体の構成は、別の繊維集合体由来の第一繊維層の厚さが4μm、繊維集合体由来の第二繊維層の厚さが10μm、第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μm、第二繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μmであった。
積層体における別の繊維集合体が露出している主面に、スリット塗工装置(クリアランス:50μm)を用いて、膜構成樹脂溶液として第一紡糸液を塗布することで付与した。
その後、第一紡糸液を塗布した積層体を80℃雰囲気下に30分間静置し、その後、180℃雰囲気下に30分間静置することで、第一紡糸液の溶媒である水を除去して、複合膜(厚さ:14μm、別の繊維集合体由来の構成繊維間に第一紡糸液を構成していた樹脂が存在している)を調製した。
図1に示した電子顕微鏡写真を確認したところ、複合膜における膜構成樹脂溶液を付与した側の主面には、繊維形状が存在している部分および意図せず開孔が存在している部分の存在が認められなかった。
調製した複合膜を、上述した「膜状の態様をなしているか否かの判断方法」へ供した結果、実施例1に係る複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有しているものであった。
なお、実施例1の複合膜における、膜構造部分の平均厚さは6.0μm(膜構造部分の最大厚さ:7.1μm、膜構造部分の最小厚さ:5.4μm)であった。
上述した静電紡糸条件のもと第一紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラムの主面上に捕集することで、ドラムの主面上に厚さ10μm、目付2.4g/m2の繊維集合体を形成した。
次いで、上述した静電紡糸条件のもと第二紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラム上の繊維集合体における露出している主面上に捕集することで、繊維集合体の主面上に厚さ4μm、目付1.0g/m2の別の繊維集合体を形成した。
このようにして形成した繊維集合体と別の繊維集合体を備えた積層体を、上述した「親和性の判断方法」へ供した結果、液滴設置後15秒経過後における繊維集合体の接触角は0°、別の繊維集合体の接触角は121°であり、繊維集合体は別の繊維集合体よりも、膜構成樹脂溶液として使用する第一紡糸液と親和性が高いことが判明した。
なお、積層体の構成は、別の繊維集合体由来の第一繊維層の厚さが4μm、繊維集合体由来の第二繊維層の厚さが10μm、第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μm、第二繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μmであった。
積層体における別の繊維集合体が露出している主面に、スリット塗工装置(クリアランス:50μm)を用いて、膜構成樹脂溶液として第一紡糸液を塗布することで付与した。
その後、第一紡糸液を塗布した積層体を80℃雰囲気下に30分間静置し、その後、180℃雰囲気下に30分間静置することで、第一紡糸液の溶媒である水を除去して、複合膜(厚さ:13μm)を調製した。
図2に示した電子顕微鏡写真を確認したところ、複合膜における膜構成樹脂溶液を付与した側の主面には、繊維形状が存在している部分および意図せず開孔が存在している部分の存在が認められた。
調製した複合膜を、上述した「膜状の態様をなしているか否かの判断方法」へ供した結果、比較例1に係る複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有していないものであった。
上述した静電紡糸条件のもと第一紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラムの主面上に捕集することで、ドラムの主面上に厚さ10μm、目付2.4g/m2の繊維集合体を調製した。なお、繊維集合体由来の繊維層を構成する繊維の平均繊維径は0.2μmであった。
繊維集合体における露出している一方の主面に、スリット塗工装置(クリアランス:50μm)を用いることで、膜構成樹脂溶液として第一紡糸液を塗布することで付与した。
その後、第一紡糸液を塗布した積層体を80℃雰囲気下に30分間静置し、その後、180℃雰囲気下に30分間静置することで、第一紡糸液の溶媒である水を除去して、複合膜(厚さ:9μm)を調製した。
図3に示した電子顕微鏡写真を確認したところ、複合膜における膜構成樹脂溶液を付与した側の主面には、繊維形状が存在している部分および意図せず開孔が存在している部分の存在が認められた。
調製した複合膜を、上述した「膜状の態様をなしているか否かの判断方法」へ供した結果、比較例2に係る複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有していないものであった。
上述した静電紡糸条件のもと第二紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラムの主面上に捕集することで、ドラムの主面上に厚さ10μm、目付2.3g/m2の繊維集合体を調製した。なお、繊維集合体由来の繊維層を構成する繊維の平均繊維径は0.2μmであった。
このようにして調製した繊維集合体を用いたこと以外は、比較例2と同様にして、複合膜(厚さ:9μm)を調製した。
図4に示した電子顕微鏡写真を確認したところ、複合膜における膜構成樹脂溶液を付与した側の主面には、繊維形状が存在している部分および意図せず開孔が存在している部分の存在が認められた。
調製した複合膜を、上述した「膜状の態様をなしているか否かの判断方法」へ供した結果、比較例3に係る複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有していないものであった。
上述した静電紡糸条件のもと第二紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラムの主面上に捕集することで、ドラムの主面上に厚さ10μm、目付2.3g/m2の繊維集合体を形成した。
次いで、上述した静電紡糸条件のもと第一紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラム上の繊維集合体における露出している主面上に捕集することで、繊維集合体の主面上に厚さ0.5μm、目付0.1g/m2の別の繊維集合体を形成した。
このようにして形成した繊維集合体と別の繊維集合体を備えた積層体を、上述した「親和性の判断方法」へ供した結果、液滴設置後15秒経過後における別の繊維集合体の接触角は0°、繊維集合体の接触角は121°であり、別の繊維集合体は繊維集合体よりも、膜構成樹脂溶液として使用する第一紡糸液と親和性が高いことが判明した。
なお、積層体の構成は、別の繊維集合体由来の第一繊維層の厚さが0.5μm、繊維集合体由来の第二繊維層の厚さが10μm、第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μm、第二繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μmであった。
積層体における別の繊維集合体が露出している主面に、スリット塗工装置(クリアランス:20μm)を用いて、膜構成樹脂溶液として第一紡糸液を塗布することで付与した。
第一紡糸液を塗布した積層体を80℃雰囲気下に30分間静置し、その後、180℃雰囲気下に30分間静置することで、第一紡糸液の溶媒である水を除去して、複合膜(厚さ:11μm、別の繊維集合体由来の構成繊維間に第一紡糸液を構成していた樹脂が存在している)を調製した。
図5に示した電子顕微鏡写真を確認したところ、複合膜における膜構成樹脂溶液を付与した側の主面には、繊維形状が存在している部分および意図せず開孔が存在している部分の存在が認められなかった。
調製した複合膜を、上述した「膜状の態様をなしているか否かの判断方法」へ供した結果、実施例2に係る複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有しているものであった。
なお、実施例2の複合膜における、膜構造部分の平均厚さは0.8μm(膜構造部分の最大厚さ:0.88μm、膜構造部分の最小厚さ:0.71μm)であった。
上述した静電紡糸条件のもと第二紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラムの主面上に捕集することで、ドラムの主面上に厚さ5μm、目付1.2g/m2の繊維集合体を形成した。
次いで、上述した静電紡糸条件のもと第一紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラム上の繊維集合体における露出している主面上に捕集することで、繊維集合体の主面上に厚さ1μm、目付0.3g/m2の別の繊維集合体を形成した。
このようにして形成した繊維集合体と別の繊維集合体を備えた積層体を、上述した「親和性の判断方法」へ供した結果、液滴設置後15秒経過後における別の繊維集合体の接触角は0°、繊維集合体の接触角は114°であり、別の繊維集合体は繊維集合体よりも、膜構成樹脂溶液として使用する第一紡糸液と親和性が高いことが判明した。
なお、積層体の構成は、別の繊維集合体由来の第一繊維層の厚さが1μm、繊維集合体由来の第二繊維層の厚さが5μm、第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μm、第二繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μmであった。
積層体における別の繊維集合体が露出している主面に、スリット塗工装置(クリアランス:20μm)を用いて、膜構成樹脂溶液として第一紡糸液を塗布することで付与した。
第一紡糸液を塗布した積層体を80℃雰囲気下に30分間静置し、その後、180℃雰囲気下に30分間静置することで、第一紡糸液の溶媒である水を除去して、複合膜(厚さ:5μm、別の繊維集合体由来の構成繊維間に第一紡糸液を構成していた樹脂が存在している)を調製した。
図6に示した電子顕微鏡写真を確認したところ、複合膜における膜構成樹脂溶液を付与した側の主面には、繊維形状が存在している部分および意図せず開孔が存在している部分の存在が認められなかった。
調製した複合膜を、上述した「膜状の態様をなしているか否かの判断方法」へ供した結果、実施例3に係る複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有しているものであった。
なお、実施例3の複合膜における、膜構造部分の平均厚さは2.0μm(膜構造部分の最大厚さ:2.2μm、膜構造部分の最小厚さ:1.7μm)であった。
上述した静電紡糸条件のもと第二紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラムの主面上に捕集することで、ドラムの主面上に厚さ5μm、目付1.1g/m2の繊維集合体を形成した。
次いで、上述した静電紡糸条件のもと第一紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラム上の繊維集合体における露出している主面上に捕集することで、繊維集合体の主面上に厚さ1μm、目付0.3g/m2の別の繊維集合体を形成した。
このようにして形成した繊維集合体と別の繊維集合体を備えた積層体を、上述した「親和性の判断方法」へ供した結果、液滴設置後15秒経過後における別の繊維集合体の接触角は0°、繊維集合体の接触角は124°であり、別の繊維集合体は繊維集合体よりも、膜構成樹脂溶液として使用する後述のプルラン水溶液と親和性が高いことが判明した。
なお、積層体の構成は、別の繊維集合体由来の第一繊維層の厚さが1μm、繊維集合体由来の第二繊維層の厚さが5μm、第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μm、第二繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.2μmであった。
膜構成樹脂溶液として、プルラン(林原工業社製)を導電率が10μS/cm以下の水へ完全に溶解させてなる、プルラン濃度が15質量%のプルラン水溶液を用意した。
そして、積層体における別の繊維集合体が露出している主面に、スリット塗工装置(クリアランス:20μm)を用いて、プルラン水溶液を塗布することで付与した。
プルラン水溶液を塗布した積層体を80℃雰囲気下に30分間静置し、その後、180℃雰囲気下に30分間静置することで、膜構成樹脂溶液の溶媒である水を除去して、複合膜(厚さ:5μm、別の繊維集合体由来の構成繊維間に膜構成樹脂が存在している)を調製した。
図7に示した電子顕微鏡写真を確認したところ、複合膜における膜構成樹脂溶液を付与した側の主面には、繊維形状が存在している部分および意図せず開孔が存在している部分の存在が認められなかった。
調製した複合膜を、上述した「膜状の態様をなしているか否かの判断方法」へ供した結果、実施例4に係る複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有しているものであった。
なお、実施例4の複合膜における、膜構造部分の平均厚さは1.0μm(膜構造部分の最大厚さ:1.2μm、膜構造部分の最小厚さ:0.9μm)であった。
上述した静電紡糸条件のもと第四紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラムの主面上に捕集することで、ドラムの主面上に厚さ6μm、目付1.2g/m2の繊維集合体を形成した。
次いで、上述した静電紡糸条件のもと第三紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラム上の繊維集合体における露出している主面上に捕集することで、繊維集合体の主面上に厚さ2μm、目付0.5g/m2の別の繊維集合体を形成した。
このようにして形成した繊維集合体と別の繊維集合体を備えた積層体を、上述した「親和性の判断方法」へ供した結果、液滴設置後15秒経過後における別の繊維集合体の接触角は0°、繊維集合体の接触角は118°であり、別の繊維集合体は繊維集合体よりも、膜構成樹脂溶液として使用する後述のプルラン水溶液と親和性が高いことが判明した。
なお、積層体の構成は、別の繊維集合体由来の第一繊維層の厚さが2μm、繊維集合体由来の第二繊維層の厚さが6μm、第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.5μm、第二繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.5μmであった。
膜構成樹脂溶液として、プルラン(林原工業社製)を導電率が10μS/cm以下の水へ完全に溶解させてなる、プルラン濃度が15質量%のプルラン水溶液を用意した。
そして、積層体における別の繊維集合体が露出している主面に、スリット塗工装置(クリアランス:20μm)を用いて、プルラン水溶液を塗布することで付与した。
プルラン水溶液を塗布した積層体を80℃雰囲気下に30分間静置し、その後、180℃雰囲気下に30分間静置することで、膜構成樹脂溶液の溶媒である水を除去して、複合膜(厚さ:6μm、別の繊維集合体由来の構成繊維間に膜構成樹脂が存在している)を調製した。
図8に示した電子顕微鏡写真を確認したところ、複合膜における膜構成樹脂溶液を付与した側の主面には、繊維形状が存在している部分および意図せず開孔が存在している部分の存在が認められなかった。
調製した複合膜を、上述した「膜状の態様をなしているか否かの判断方法」へ供した結果、実施例5に係る複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有しているものであった。
なお、実施例5の複合膜における、膜構造部分の平均厚さは2.0μm(膜構造部分の最大厚さ:2.2μm、膜構造部分の最小厚さ:1.7μm)であった。
上述した静電紡糸条件のもと第五紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラムの主面上に捕集することで、ドラムの主面上に厚さ6μm、目付1.2g/m2の繊維集合体を形成した。
次いで、上述した静電紡糸条件のもと第三紡糸液を用いて静電紡糸を行い、紡糸された繊維をドラム上の繊維集合体における露出している主面上に捕集することで、繊維集合体の主面上に厚さ0.5μm、目付0.1g/m2の別の繊維集合体を形成した。
このようにして形成した繊維集合体と別の繊維集合体を備えた積層体を、上述した「親和性の判断方法」へ供した結果、液滴設置後15秒経過後における別の繊維集合体の接触角は0°、繊維集合体の接触角は89°であり、別の繊維集合体は繊維集合体よりも、膜構成樹脂溶液として使用する後述のプルラン水溶液と親和性が高いことが判明した。
なお、積層体の構成は、別の繊維集合体由来の第一繊維層の厚さが0.5μm、繊維集合体由来の第二繊維層の厚さが6μm、第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.1μm、第二繊維層を構成する繊維の平均繊維径が0.5μmであった。
膜構成樹脂溶液として、プルラン(林原工業社製)を導電率が10μS/cm以下の水へ完全に溶解させてなる、プルラン濃度が15質量%のプルラン水溶液を用意した。
そして、積層体における別の繊維集合体が露出している主面に、スリット塗工装置(クリアランス:20μm)を用いて、プルラン水溶液を塗布することで付与した。
プルラン水溶液を塗布した積層体を80℃雰囲気下に30分間静置し、その後、180℃雰囲気下に30分間静置することで、膜構成樹脂溶液の溶媒である水を除去して、複合膜(厚さ:5μm、別の繊維集合体由来の構成繊維間に膜構成樹脂が存在している)を調製した。
図9に示した電子顕微鏡写真を確認したところ、複合膜における膜構成樹脂溶液を付与した側の主面には、繊維形状が存在している部分および意図せず開孔が存在している部分の存在が認められなかった。
調製した複合膜を、上述した「膜状の態様をなしているか否かの判断方法」へ供した結果、実施例6に係る複合膜は膜状の態様をなす膜構造部分を有しているものであった。
なお、実施例6の複合膜における、膜構造部分の平均厚さは0.8μm(膜構造部分の最大厚さ:0.94μm、膜構造部分の最小厚さ:0.69μm)であった。
Claims (2)
- 一種類の繊維のみで構成された第一繊維層と、第二繊維層を備える積層体、および、膜構成樹脂のみで構成された複合膜であって、
前記第二繊維層は、連続長を有する繊維を含んだ繊維ウェブまたは不織布からなり、
前記第一繊維層の構成繊維間に前記膜構成樹脂が存在してなる膜構造部分を有する、複合膜であって、
前記第一繊維層を構成する繊維の平均繊維径は3μm以下であり、
前記第一繊維層は前記第二繊維層よりも、前記膜構成樹脂溶液と親和性が高い、複合膜。 - (1)連続長を有する繊維を含んだ繊維ウェブまたは不織布である繊維集合体(A)を用意する工程、
(2)前記繊維集合体(A)における少なくとも一方の主面上に、別の繊維集合体(B)を形成して、積層体を調製する工程、
(3)前記積層体における前記別の繊維集合体(B)が露出している主面に、膜構成樹脂溶液を付与する工程、
(4)前記付与した膜構成樹脂溶液から溶媒を除去する工程、
を備える、前記別の繊維集合体(B)の構成繊維間に前記膜構成樹脂が存在してなる膜構造部分を有する、複合膜の製造方法であって、
前記別の繊維集合体(B)を構成する繊維の平均繊維径は3μm以下であり、
前記別の繊維集合体(B)は前記繊維集合体(A)よりも、前記膜構成樹脂溶液と親和性が高い、複合膜の製造方法。
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