JP2023006697A - 積層体 - Google Patents

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Yuta WAKAMOTO
善章 川津
Yoshiaki Kawatsu
尚正 愛甲
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芳徳 佐藤
Yoshinori Sato
隆 多羅尾
Takashi Tarao
政尚 田中
Masanao Tanaka
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Abstract

【課題】産業用途に使用した際においても、積層体から不織布層が剥離することや、積層体から不織布層の構成繊維が脱落することが防止された、物性が意図せず変化し難い積層体の提供を目的とする。【解決手段】本発明にかかる積層体は、基材層の構成樹脂と不織布層の構成繊維を成す樹脂とが、ともに同一の溶媒に溶解可能な樹脂の組み合わせを有しており、基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面とが溶着して積層一体化した積層体を提供できる。そのため、積層体から不織布層が剥離するのを防止できる。また、不織布層の構成繊維を成す樹脂がポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有することで、積層体から不織布層の構成繊維が脱落するのを防止できる。【選択図】なし

Description

本発明は、基材層と不織布層を備えた積層体に関する。
従来から不織布は、マスク用フィルタ、空調機器用あるいは液体濾過装置用フィルタ、電気化学素子用のセパレータや電解質膜支持体、触媒粒子用の支持体、気体分離膜や液体分離膜など薄膜の支持体など、様々な産業用途に使用およびその使用が検討されている。特に繊維径の小さい繊維で構成された不織布は、フィルタ性能、電解質膜の補強性能などを向上して、更に様々な産業用途に使用できる。しかし、不織布(特に、繊維径の小さい繊維で構成された不織布)は強度が弱く、形態安定性に劣る傾向があることから、基材により不織布を補強してなる積層体として使用することが検討されている。
このような基材の層(以降、基材層と称する)と不織布の層(以降、不織布層と称する)を備えた積層体として、例えば、特開2011-132634(特許文献1)の実施例には、クロロホルムとジメチルホルムアミドの混合溶媒にポリ乳酸を溶解させた紡糸液を静電紡糸法へ供することで、ポリエチレンテレフタレートメッシュ(基材層に相当)の表面にポリ乳酸ナノファイバを含む水不溶性層(不織布層に相当)を堆積させてなる、多層ナノファイバシートが開示されている。
特開2011-132634(特許請求の範囲、0052など)
本願出願人が検討したところ、従来技術にかかる基材層と不織布層を備えた積層体を産業用途に使用した際に、積層体から不織布層が剥離して積層体の物性が意図せず変化するという問題が発生し易いことを見出した。
加えて、特に繊維径の小さい繊維で構成された不織布層を備えた積層体を産業用途に使用した際に、不織布層の構成繊維が破断し易いことで積層体から不織布層の構成繊維が脱落して、更に積層体の物性が意図せず変化するという問題も発生し易いものであった。
本発明は、
「(請求項1)基材層と不織布層を備えた積層体であって、前記基材層の構成樹脂と、前記不織布層の構成繊維を成す樹脂とは、同一の溶媒に溶解可能であって、前記基材層の表面と、前記不織布層の構成繊維の表面とが溶着している部分を有する、積層体。
(請求項2)前記不織布層の構成繊維を成す樹脂がポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する、請求項1に記載の積層体。」
である。
本発明にかかる積層体は、基材層の構成樹脂と不織布層の構成繊維を成す樹脂とが、ともに同一の溶媒に溶解可能な樹脂の組み合わせを有している。そして、基材層の表面と、不織布層の構成繊維の表面とが溶着して、積層一体化した積層体であることを特徴としている。
両層を構成する樹脂がともに同一の溶媒に溶解可能であることによって、例えば、不織布層の構成繊維を成す樹脂を溶媒に溶解して調製した紡糸液を用いて、基材上に不織布層を構成する繊維を堆積させ不織布層を形成することで、基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面とが接触している部分を、不織布層中に残留している前記溶媒によって共に溶解できる。そして、残留する前記溶媒を除去することで、基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面とが溶着していることで、基材層と不織布層とが積層一体化した積層体を提供できる。
本発明にかかる積層体では、基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面とは互いに接触しているミクロな部分で溶着した状態にあり、当該溶着している部分は、両層間の全体にわたり均一的に分布し存在している。そのため、本発明にかかる積層体では、積層一体化にバインダを用いた場合などで生じる空隙がバインダにより閉塞して物性が意図せず変化するなどの、基材層や不織布層および両層間の物性が意図せず変化するのを防止して、両層が強固に積層一体化しているため基材層から不織布層が剥離し難い。
更に、不織布層の構成繊維を成す樹脂がポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する場合には、当該樹脂が強度や伸張性に富むためか、繊維径の小さい繊維で構成された不織布層を備えた積層体であっても、不織布層から構成繊維が脱落し難い。
以上から本発明によって、産業用途に使用した際においても、物性が意図せず変化し難い積層体を提供できる。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。なお、本発明で説明する各種測定は特に記載や規定のない限り、大気下である常圧25℃温度条件下で測定を行った。そして、本発明で説明する各種測定結果は特に記載や規定のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、当該一桁小さな値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、小数第一位までが求める値である場合、測定によって小数第二位まで値を求め、得られた小数第二位の値を四捨五入することで小数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。また、本発明で例示する各上限値および各下限値は、任意に組み合わせることができる。
本発明にかかる積層体は基材層と不織布層を備えており、基材層の構成樹脂と不織布層の構成繊維を成す樹脂とは、同一の溶媒に溶解可能であることを特徴としている。ここでいう樹脂が溶媒に溶解可能であるか否かは、以下の方法で判断できる。
(樹脂が溶媒に溶解可能であるか否かの判断方法)
(1)判断する樹脂で構成された試料1.00gを用意する。なお、当該試料の形状は、ペレット形状以外にもフィルム形状や、不織布など布帛形状であってもよい。
(2)判断する溶媒200mlを用意する。そして、当該溶媒の沸点となるよう加熱した当該溶媒中に、用意した試料を浸漬する。
(3)3時間浸漬した後、溶媒中から試料を取り出し、取り出した試料から溶媒を除去する。なお、試料が完全に溶解して溶媒中から試料を取り出せなかった場合には、当該溶媒に当該樹脂は溶解可能であると判断する。
(4)溶媒を除去した後の試料の質量(単位:g)を小数第三位の値まで量り、小数第二位となるよう四捨五入した値Yを以下式へ代入する。そして、算出した値を測定対象の「質量変化百分率(単位:質量%)」とする。
質量変化百分率=(Y/1.00)×100
(5)算出した質量変化百分率の値が90質量%未満であった場合、当該溶媒に当該樹脂は溶解可能であると判断する。なお、算出された質量変化百分率の値が90質量%以上であった場合、当該溶媒に当該樹脂は溶解可能ではないと判断する。
また、本発明にかかる樹脂と本発明にかかる溶媒の溶解度パラメータ(SP値)は近い値であるのが好ましい。互いにSP値が近い樹脂と溶媒の組み合わせであるほど、効率良く当該溶媒に当該樹脂が溶解し易い傾向があり、基材層と不織布層とを強固に積層一体化できる。
本発明にかかる、基材層の構成樹脂(A)、不織布層の構成繊維を成す樹脂(B)、前述した各樹脂AとBを共に溶解可能な溶媒(C)の組み合わせは、適宜選択できるものであるが、
A:ポリエチレンテレフタレート(以降、PETと略すことがある)、B:ポリフッ化ビニリデン系樹脂(以降、PVDFと略すことがある)、C:N,N-ジメチルホルムアミド(以降、DMFと略すことがある)、
A:PET、B:PVDF、C:ジメチルアセトアミド、
A:PET、B:ポリエーテルスルホン、C:ジメチルアセトアミド、
などの組み合わせを例示できる。
本発明にかかる積層体では、基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面とが溶着していることを特徴としている。ここでいう溶着とは、基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面との接触部分において、当該接触部分の境界が明確でなくその境界を確認できない状態で溶融一体化していることを意味する。
このような態様で、基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面とが積層一体化してなる積層体は、例えば、不織布層の構成繊維を成す樹脂を本発明にかかる溶媒に溶解して調製した紡糸液を用いて、基材上に直接紡糸して不織布層を形成することで調製できる。つまり、基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面とが接触している部分を、不織布層中に残留している前記溶媒によって共に溶解させ、次いで、残留する前記溶媒を除去することで調製できる。
仮に、メルトブロー法を用いるなど基材層の表面へ溶融した樹脂を直接紡糸して不織布層を形成した場合には、基材層の表面と不織布層の構成繊維との接触部分において、当該接触部分の境界を確認できる。このような積層一体化の態様を成す積層体では、基材層と不織布層とが十分に積層一体化されておらず基材層から不織布層が剥離し易い。
基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面とが溶着しているか否かは、以下の方法で判断できる。
(溶着しているか否かの判断方法)
1.測定対象である積層体から試料(形状:正方形あるいは長方形)を採取する。なお、後述する確認作業を容易にするため、染色液(例えば、カヤステインQ(日本化薬(株)製)など)を用いて試料の構成樹脂を染色してもよい。
2.試料の断面における、光学顕微鏡写真あるいは電子顕微鏡写真(以降、併せて顕微鏡写真と称する)を撮影(撮影範囲:3mm×3mmの正方形形状の範囲)する。
3.顕微鏡写真中に写る、測定対象の一方の主面を構成する樹脂からなる構造物(A、例えば、繊維)の表面と、測定対象のもう一方の主面を構成する繊維と同一種類の繊維(B)の表面とが、接触している部分を肉眼で確認する。
4.項目3で確認した部分における構造物(A)と繊維(B)の境界が明確でなく、その境界を確認できなかった場合(例えば、接触している部分で構造物(A)の表面部分と繊維(B)の表面部分とが混ざり合い一体化しているなど)、測定対象とした積層体は、基材層の表面と不織布層の構成繊維の表面とが溶着している部分を有すると判断する。
本発明の積層体は、繊維ウェブや不織布由来の層である不織布層を備えている。不織布層は繊維同士がランダムに絡合してなることで、繊維同士がなす空隙の形状や大きさが均一なものとなり得ることから、不織布層を備える積層体は様々な産業用途に使用できる。
不織布層の構成繊維を成す樹脂の種類は、本発明の構成を満足するものであれば適宜選択でき、例えば、ポリエーテル系樹脂(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、アラミド樹脂などの芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホンなど)、ポリエーテルスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(以降、ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーやポリフッ化ビニリデン共重合体、パーフルオロスルホン酸樹脂など)、ビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなど)、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリビニルピロリドン、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の樹脂であることができ、一種類の樹脂のみであっても、混合樹脂など複数種類の樹脂であってもよい。
これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でもよい。また、樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよい。
特に、強度に富む繊維で構成された不織布層であることによって、繊維径の小さい繊維で構成された不織布層を備えていても不織布層から構成繊維が脱落し難い積層体を提供できるよう、不織布層の構成繊維を成す樹脂はポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有するのが好ましい。また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は伸張性に富む樹脂であることから、基材層の変形に追従して、基材層から不織布層が剥離し難い積層体を提供でき好ましい。なお、ここでいうポリフッ化ビニリデン系樹脂とは、主鎖の分子構造中に-(CHCF)-構造を有する樹脂を指す。PVDFとして、フッ化ビニリデンのホモポリマーやPVDF-HFPなどのフッ化ビニリデン共重合体を例示できる。
不織布層の構成繊維を成す樹脂に占めるPVDFの質量百分率は適宜調整できる。しかし、当該質量百分率が高いほど、不織布層から構成繊維が脱落し難い積層体を提供し易いことから、不織布層の構成繊維はPVDFのみで構成されているのが好ましい。同様に、不織布の構成繊維に占めるPVDFを含有する繊維の割合は適宜調整できるが、当該割合が高いほど、不織布層から構成繊維が脱落し難い積層体を提供し易いことから、不織布層の構成繊維はPVDFを含有する繊維のみで構成されているのが好ましい。
不織布層の構成繊維の平均繊維径が細いことによって、濾過性能に富むフィルタ(特にマスク用フィルタ)を提供できるなど、様々な産業用途に使用できる積層体を提供できる。この観点から、構成繊維の平均繊維径は1μm以下であるのが好ましく、450nm未満であるのが好ましく、400nm以下であるのが好ましい。一方、構成繊維の平均繊維径が細過ぎないことで、例えば、洗浄時でも不織布層の形状が維持され構成繊維が洗浄により切断され難いフィルタ(特にマスク用フィルタ)を実現できるなど、様々な産業用途に使用できる積層体を提供できる。この観点から、構成繊維の平均繊維径は10nm以上であるのが現実的であり、100nmより大きいのが好ましく、130nmより大きいのが好ましく、150nm以上であるのが好ましい。本発明でいう「平均繊維径」は、測定対象物の断面や表面などを撮影した5000倍の電子顕微鏡写真をもとに測定した、50点の繊維における各繊維径の算術平均値をいう。また、繊維径が細過ぎて測定が困難である場合には、5000倍よりも高い倍率の電子顕微鏡写真をもとに測定できる。なお、繊維の断面形状が非円形である場合には、断面積と同じ面積の円の直径を繊維径とみなすことができる。
構成繊維の繊維長は適宜選択するが、特定長を有する短繊維や長繊維、あるいは、実質的に繊維長を測定することが困難な程度の長さの繊維長を有する連続繊維であることができる。不織布層における繊維端部の数が少ないことで、表面が平滑で厚みが均一かつ機械的強度などの各種物性に優れる結果、洗浄時でも不織布層の形状が維持され構成繊維が洗浄により切断され難いフィルタ(特にマスク用フィルタ)を実現できるなど、様々な産業用途に使用できる積層体を提供できる。そのため、構成繊維として連続長を有する連続繊維を含んでいるのが好ましく、構成繊維は連続繊維のみであるのがより好ましい。本発明でいう「繊維長」は、測定対象物の断面や表面などを撮影した5000倍の電子顕微鏡写真をもとに測定できる。繊維の繊維長が長すぎて測定が困難である場合には、5000倍より低い倍率の電子顕微鏡写真をもとに測定できる。
構成繊維は単繊維以外にも、フィブリル状の繊維や複合繊維でもよい。複合繊維として、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの繊維であることができる。構成繊維は横断面の形状が、略円形の繊維や楕円形の繊維以外にも異形断面繊維であってもよい。なお、異形断面繊維として、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する繊維を例示できる。
構成繊維の調製方法は適宜選択できるが、例えば、溶媒に樹脂を溶解させてなる紡糸液に電界を作用させ紡糸する方法である静電紡糸法、溶媒に樹脂を溶解させてなる紡糸液に遠心力を用いて紡糸する方法、特開2011-012372号公報などに記載の随伴気流を用いて溶媒に樹脂を溶解させてなる紡糸液を紡糸する方法、特開2005-264374号公報などに記載の前述した静電紡糸法の一種である中和紡糸法などの方法を採用できる。
なお、上述した方法を用いて紡糸した繊維を捕集することで、連続繊維のみで構成された繊維ウェブや不織布を調製できる。また、上述した方法を用いて調製される繊維ウェブや不織布には、その紡糸条件によっては主面上にショットと称されるフィルム様あるいは顆粒状の非繊維状物が付着していることがある。不織布層の主面に非繊維状物が存在するか否かは適宜調整できるものであり、主面に非繊維状物が存在する不織布層を備えた積層体を調製しても、主面に非繊維状物が存在しない不織布層を備えた積層体を調製してもよい。
不織布層の目付、厚みなど各種物性は、適宜選択できる。例えば、厚みは0.1~200μmであることができ、0.2~150μmであることができ、0.2~100μmであることができ、0.2~50μmであることができる。なお、本発明でいう「厚み」は、JIS B7502:1994に規定されている外側マイクロメーター(0~25mm)を用いて、JIS C2111 5.1(1)の測定法で、無作為に選んで測定した10点の平均値をいう。
例えば、目付は0.05~10g/mであることができ、0.1~5g/mであることができ、0.3~3g/mであることができ、0.5~2g/mであることができる。なお、本発明の「目付」は、JIS L1085に準じて10cm×10cmとして測定した値を意味する。
本発明の積層体は基材層を備えており、基材層は不織布層を補強する役割を担う。基材層の種類は適宜選択できるものであって、布帛(繊維ウェブや不織布、織物や編物)やフィルム(多孔フィルムや無孔フィルム)あるいは発泡体などから、積層体を使用する産業資材用途に合わせて適宜選択できる。特に、基材層が布帛(繊維ウェブや不織布、織物や編物)由来の層であるのが好ましく、基材層は不織布層と同様に繊維ウェブや不織布由来の繊維層であるのが好ましい。不織布層と諸物性が似ていること、また、不織布層の構成繊維表面と基材層の構成繊維表面とが接触しているミクロな部分で溶着できることで、基材層や不織布層および両層間の物性が意図せず変化するのを防止して両層を強固に積層一体化できる。そのため、より基材層と不織布層とが剥離し難くなり、様々な産業用途に使用できる積層体を提供し易い。このような基材層と不織布層との好ましい組み合わせとして、スパンボンド不織布と静電紡糸不織布層との組み合わせなどを挙げることができる。
基材層が布帛由来の層である場合、基材層を構成する繊維の繊維径や繊維長は適宜選択できる。基材層の平均繊維径は1~1000μmであることができ、2~500μmであることができ、5~100μmであることができる。また、基材層の構成繊維は単繊維や複合繊維以外にも、複数の繊維からなる糸であってもよい。
基材層を構成する繊維の繊維長は適宜選択するが、不織布層の構成繊維と同様に短繊維や長繊維あるいは連続繊維であることができる。基材層における繊維端部の数が少ないことで、表面が平滑で厚みが均一かつ機械的強度などの各種物性に優れる結果、基材層と不織布層とを強固に積層一体化できることから、基材層は構成繊維として連続長を有する連続繊維を含んでいるのが好ましく、基材層の構成繊維は連続繊維のみであるのがより好ましい。
基材層の構成樹脂の種類は、本発明の構成を満足するものであれば適宜選択でき、不織布層の構成繊維を成す樹脂として採用可能であると挙げた樹脂や樹脂の組み合わせから適宜選択できる。特に、基材層の表面(特に、基材層を構成する布帛の構成繊維の表面)と不織布層の構成繊維の表面とが十分溶着した積層体を提供できるよう、基材層の構成樹脂はPETを含んでいるのが好ましく、基材層の構成樹脂がPETのみであるのが好ましい。
基材層の目付、厚みなど各種物性は、適宜選択できる。例えば、厚みは10μm~2mmであることができ、12μm~1mmであることができ、15μ~0.5mmであることができ、20μ~0.2mmであることができる。例えば、目付は2~500g/mであることができ、3~200g/mであることができ、4~100g/mであることができ、5~50g/mであることができる。
次いで、本発明にかかる積層体の製造方法について、具体的な製造例を挙げ説明する。なお、上述した項目と構成を同じくする点については説明を省略する。
(1)PET繊維で構成された布帛を用意する工程、
(2)PVDFをDMFへ溶解させて調製した紡糸液を用意する工程、
(3)前記紡糸液を静電紡糸装置へ供し細径化することでPVDFを紡糸する工程、
(4)紡糸されたPVDF繊維中にDMFが残留した状態で前記布帛の主面上に捕集することで、前記布帛の一方の主面上にPVDF繊維からなる繊維ウェブが積層してなる積層ウェブを形成する工程、
(5)前記積層ウェブ中に残留するDMFを除去して積層体を調製する工程、
を備える、PET繊維からなる基材層とPVDF繊維からなる不織布層を備えた積層体の製造方法を挙げることができる。なお、本積層体の製造方法によって、布帛の表面(PET繊維の表面)と、不織布層の構成繊維の表面(PVDF繊維の表面)とを溶着して、基材層と不織布層とが積層一体化した積層体を製造できる。
まず、工程(2)について説明する。
溶媒の種類は、基材層の構成樹脂と不織布層の構成繊維を成す樹脂とを共に溶解可能な溶媒であるよう、適宜選択するものであるが、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、ピリジン、ギ酸、水、アルコールなどを挙げることができる。なお、複数種類の溶媒が混合してなる混合溶媒を用いて調製した紡糸液であってもよいが、より両層が強固に積層一体化してなる積層体を調製できることから一種類の溶媒を用いて調製した紡糸液であるのが好ましい。
紡糸液中に含まれる樹脂濃度は、後述するように、溶媒が残留した状態で紡糸された繊維を基材層の主面上に捕集できるよう適宜調整する。
紡糸液の温度や粘度は求める不織布層を調製できるよう、適宜選択する。紡糸液の温度は5~40℃であることができ、10~35℃であることができ、15~30℃であることができる。また、紡糸液の粘度は0.05~8Pa・sであることができ、0.1~6Pa・sであることができ、0.2~5Pa・sであることができる。なお、この「粘度」は粘度測定装置を用い、温度25℃で測定したシェアレート100s-1時の値をいう。
次いで、工程(3)および工程(4)について説明する。
紡糸液を細径化することで紡糸する方法は、求める不織布層を調製できるよう適宜選択するが、例えば、直接紡糸法を採用できる。静電紡糸法を採用する場合、紡糸液に電圧を付与すると共に、該紡糸液の吐出部分と離間させ設けた金属板などの対抗電極へ該電圧と反対の電圧を付与することで、紡糸液を対抗電極へ向け飛翔させ細径化させる。そして、細径化した紡糸液を吐出部分と対抗電極との間に設置した基材層の主面上に捕集することで、基材層上に繊維ウェブを形成する。
静電紡糸法を採用した場合、その紡糸条件は、溶媒が残留した状態で紡糸された繊維を基材層の主面上に捕集できるよう適宜調整する。具体的には、紡糸液に占める溶媒の割合が多い紡糸液を用いる、紡糸距離を短くする、紡糸量を多くする、紡糸空間における揮発した溶媒の濃度を高い状態に保つ、紡糸空間の温湿度を溶媒が揮発し難くなるよう調整するなどによって、紡糸された繊維に溶媒が含まれている状態で基材層の主面上に捕集し易くできる。
そして、工程(5)について説明する。
積層ウェブに残留する溶媒を除去する方法は適宜選択できるが、一例として、加熱装置へ供する方法を採用できる。なお、加熱装置の種類は適宜選択でき、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する装置、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機、赤外線を照射し加熱できる装置などを用いた方法を採用できる。加熱装置による加熱温度は適宜選択するが、残留している溶媒を揮発させ除去可能であると共に、構成繊維などの構成成分が意図せず分解や変性しない温度であるように適宜調整する。
なお、基材層や不織布層の構成繊維中に接着成分や架橋可能な樹脂が存在する場合は、加熱装置へ供することで接着成分による繊維接着を行っても、当該架橋可能な樹脂を架橋させても良い。
以上のようにして製造した積層体は、その用途や使用態様に合わせて、カレンダー処理などの加圧処理する工程へ供し厚みを調整する、スルホン化処理やプラズマ処理あるいはフッ素ガス処理などの親水化処理へ供する、形状を打ち抜く、成型するなどしても良い。
また、積層体は単体で使用できるが、必要であれば、別途用意した布帛(繊維ウェブや不織布、織物や編物)やフィルム(多孔フィルムや無孔フィルム)あるいは発泡体などを積層し使用してもよい。積層方法は適宜選択できるが、ただ重ね合せる方法、構成成分を一部溶融接着させることによって、あるいは、バインダによって積層一体化する方法、超音波溶着などによって一体化する方法、縫い合わせる方法などを採用できる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(基材の用意)
以下の基材を用意した。
・ポリエチレン短繊維(繊度:0.8dtex、繊維長:5mm、以降、ポリエチレンをPEと略する)を湿式抄造してなる、PE湿式不織布(目付:10g/m、厚み:35μm)
・PET短繊維(繊度:0.8dtex、繊維長:5mm)を湿式抄造してなる、PET湿式不織布(目付:9g/m、厚み:30μm)
・PET連続繊維(平均繊維径:20μm)で構成された、PETスパンボンド不織布(目付:15g/m、厚み:80μm)
(紡糸液の用意)
ポリフッ化ビニリデンホモポリマーをDMF(沸点:153℃)に溶解させ、固形分濃度が16質量%の紡糸液を調製した。なお、DMFは、ポリフッ化ビニリデンホモポリマーおよびPETをいずれも溶解可能な溶媒であるが、ポリエチレンを溶解可能ではない溶媒である。
(比較例1)
紡糸液を以下の紡糸条件へ供することで静電紡糸し、紡糸された繊維に溶媒が含まれている状態でPE湿式不織布における一方の主面上に捕集し、基材上に連続繊維からなる繊維ウェブが積層してなる積層ウェブを調製した。
・金属製ノズル(紡糸液吐出部分)における、紡糸液吐出部分の形状:円形状
・金属製ノズルの先端と、捕集体(基材層を構成可能な基材を乗せた金属板)との距離:10cm
・紡糸液へ印加した電圧:15kV
・金属製ノズルから吐出された紡糸液:1g/時間
・静電紡糸環境の雰囲気:温度25℃、湿度30%RH
そして、調製した積層ウェブを、表面温度を130℃に調整した加熱ロールと接触させ、積層ウェブに残留する溶媒を除去して積層体(不織布層の目付:1.00g/m、不織布層の厚み:3μm、不織布層を構成する繊維の平均繊維径:200nm)を調製した。
なお、比較例1で調製した積層体では、基材層であるPE湿式不織布の表面と、不織布層の構成繊維であるポリフッ化ビニリデンホモポリマー繊維の表面とは溶着していなかった。
(実施例1)
PE湿式不織布の代わりにPET湿式不織布を用いたこと以外は、比較例1と同様にして積層体を製造した。つまり、紡糸液を比較例1と同一の紡糸条件へ供することで静電紡糸し、紡糸された繊維に溶媒が含まれている状態でPET湿式不織布における一方の主面上に捕集し、基材上に連続繊維からなる繊維ウェブが積層してなる積層ウェブを調製した。
そして、調製した積層ウェブを、表面温度を130℃に調整した加熱ロールと接触させ、積層ウェブに残留する溶媒を除去して積層体(不織布層の目付:1.00g/m、不織布層の厚み:3μm、不織布層を構成する繊維の平均繊維径:200nm)を調製した。
なお、実施例1で調製した積層体では、基材層であるPET湿式不織布の表面と、不織布層の構成繊維であるポリフッ化ビニリデンホモポリマー繊維の表面とが溶着していた。
(実施例2)
PE湿式不織布の代わりにPETスパンボンド不織布を用いたこと以外は、比較例1と同様にして積層体を製造した。つまり、紡糸液を比較例1と同一の紡糸条件へ供することで静電紡糸し、紡糸された繊維に溶媒が含まれている状態でPETスパンボンド不織布における一方の主面上に捕集し、基材上に連続繊維からなる繊維ウェブが積層してなる積層ウェブを調製した。
そして、調製した積層ウェブを、表面温度を130℃に調整した加熱ロールと接触させ、積層ウェブに残留する溶媒を除去して積層体(不織布層の目付:1.00g/m、不織布層の厚み:3μm、不織布層を構成する繊維の平均繊維径:200nm)を調製した。
なお、実施例2で調製した積層体では、基材層であるPETスパンボンド不織布の表面と、不織布層の構成繊維であるポリフッ化ビニリデンホモポリマー繊維の表面とが溶着していた。
以上のようにして調製した積層体から、素手により不織布層を剥がすことを試みた。比較例1で調製した積層体からは不織布層を容易に剥離できたのに対し、実施例1~2で調製した積層体からは、不織布層を容易に剥離できなかった。
特に、実施例2で調製した積層体は実施例1で調製した積層体よりも、更に不織布層が剥離し難いものであった。この理由として、両層とも連続繊維のみで構成されている繊維層であることによって、基材層と不織布層とがより強固に積層一体化されているためだと考えられた。
また、実施例1~2で調製した積層体では、不織布層から構成繊維が脱落し難いものであった。
本発明は、基材層と不織布層を備えた積層体に関するものである。当該積層体は様々な産業用途に使用できる。具体例として、洗浄して再使用できるマスク(例えば、二次元的なシート形状のマスク、三次元的なコルゲート形状やプリーツ形状のマスク、二つ折り形状のマスク、カップ型形状のマスク)や、洗浄して再使用できる空気清浄用や空調機用のエアフィルタ(例えば、二次元的なシート形状のフィルタ、三次元的なコルゲート形状やプリーツ形状のフィルタ、デプス型フィルタ)、気体分離膜や液体分離膜など薄膜の支持体などを提供できる。

Claims (2)

  1. 基材層と不織布層を備えた積層体であって、
    前記基材層の構成樹脂と、前記不織布層の構成繊維を成す樹脂とは、同一の溶媒に溶解可能であって、
    前記基材層の表面と、前記不織布層の構成繊維の表面とが溶着している部分を有する、
    積層体。
  2. 前記不織布層の構成繊維を成す樹脂がポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する、
    請求項1に記載の積層体。
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