JP7058169B2 - 防音壁 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の上部に位置する音源からの騒音を低減させる防音壁に関する。
鉄道の騒音対策として、軌道沿線に防音壁を設けることが行われている。騒音低減効果を高めるためには、防音壁の高さを高くすることが有効である。しかし、防音壁の高さを高くすると、日照、景観、眺望が悪化し、圧迫感が生じ、電波障害や耐風圧荷重の増加などの問題が生じる。
そこで、特許文献1には、上端頂部において、吸音筒体を音源とは反対方向で斜め上方に張り出して配置した防音壁が開示されている。張り出し設置した吸音筒体による回折減音効果と、吸音筒体の吸音凸部による吸音効果とベース部の遮音効果などによって、防音壁の上方を越えて裏側に回り込んでいく騒音を大幅に低減する効果が得られる。
しかしながら、特許文献1の防音壁は、吸音筒体が防音壁よりも外側(反音源側)に張り出しているため、私有地に張り出している場合には、空中権の帰属問題が生じる。吸音筒体が私有地に張り出さないように防音壁を設置するには、防音壁を軌道側に寄せる必要があり、景観、眺望が悪化し、圧迫感が生じるなどする。また、減音効果が低下する。
一方、特許文献2には、立設された縦壁部の上端から音源側に向って庇部を水平方向に張り出し、庇部の直方体状の中空体内に吸音材を内装すると共に、その音源側下面と先端面とに多数の孔を開口させた防音壁が開示されている。車道或いは軌道側に向いた庇部の音源側下面に開口させた孔から入射する騒音を吸音すると共に、庇部の先端面に開口させた孔から入射する騒音の回折音を吸音することができる。
特開2001-32219号公報 特開2008-111307号公報
特許文献2の防音壁は、庇部が車両側(音源側)に向って水平方向に張り出しているため、外側(反音源側)に張り出すことによる問題は生じない。しかし、本発明者らは、庇部が水平方向に張り出す形状では、音源と受音点との位置関係によっては、車両の上部に位置する音源からの騒音を低減させる効果が限定的になることを見出した。
そこで、本発明は、車両の上部に位置する音源からの騒音を十分に低減させることが可能な防音壁を提供することを目的とする。
本発明は、車両の上部に位置する音源からの騒音を低減させる防音壁であって、立てて設けられ、前記車両の側面に対向する直立壁と、前記直立壁の上端部から前記車両の方に張り出した張出部材と、を有し、前記張出部材の上面は、前記騒音を吸音する吸音面であって、前記直立壁から前記車両の最上部の方に向かって斜め上方に傾斜しており、前記直立壁の上端から上方に延びた直立部材をさらに有し、前記直立部材の上端が、前記吸音面の上端以下の高さに位置していることを特徴とする。



本発明によると、車両の方に張り出した張出部材の上面である吸音面を、直立壁から音源の方に向かって斜め上方に傾斜させる。これにより、車両の上部に位置する音源からの騒音を吸音面に沿って進行させることができる。よって、音源に対向する吸音面に騒音が垂直に入射する構成や、車両側に水平方向に張り出した張出部材の上面が吸音面である構成に比べて、騒音の伝搬経路のうち吸音面に沿って進行する部分の距離を長くしやすい。これにより、車両の上部に位置する音源からの騒音を十分に低減させることができる。
第1実施形態の防音壁の側面図である。 張出部材が車両側に水平方向に張り出した構成の防音壁の側面図である。 変形例の防音壁の側面図である。 張出部材の傾斜角度を異ならせて騒音低減効果を評価した結果を示す図である。 第2実施形態の防音壁の側面図である。 直立壁の上面に吸音面がある場合とない場合とで、騒音低減量を評価した結果を示す図である。 第3実施形態の防音壁の側面図である。 第4実施形態の防音壁の側面図である。 第4実施形態の防音壁の側面図である。 第5実施形態の防音壁の側面図である。 直立部材を設けた場合と、設けない場合とで、騒音低減量を評価する際に使用した防音壁の側面図である。 直立部材を設けた場合と、設けない場合とで、騒音低減量を評価した結果を示す図である。 直立部材の上端が吸音面よりも高い場合の防音壁の側面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
(防音壁の構成)
本発明の第1実施形態による防音壁は、車両から発生する騒音を低減させるものである。新幹線等の鉄道において、主要な騒音となるのは、車両下部音、集電系音、上部空力音、構造物音である。ここで、車両下部音とは、転動音、台車周りの空力音などであり、集電系音とは、パンタグラフ空力音などの架線・パンタグラフ系から発生する音である。また、上部空力音とは、車両連結部などの空力音であり、構造物音とは、高架構造物からの振動放射音である。このうち集電系音や上部空力音の発生源(音源)は、通常、防音壁よりも高い位置に位置することが多い。本実施形態の防音壁は、主に、車両の上部に位置する音源からの騒音(集電系音、上部空力音)を低減させるものである。
防音壁1の側面図である図1に示すように、防音壁1は、直立壁2と、張出部材3と、を有している。直立壁2は、地面に立てて設けられ、車両11の側面に対向している。張出部材3は、直立壁2の上端部から車両11の方に張り出している。
本実施形態において、直立壁2は、吸音性能を持たない剛壁であるが、吸音性能を有するものであってもよい。
張出部材3の上面は、騒音を吸音する吸音面である。本実施形態において、張出部材3の上面には、吸音材4が取り付けられている。吸音材4としては、グラスウールやポリエステルなどの繊維系、ウレタンフォームなどの発泡系を用いることができる。吸音材4は、パンチングメタル等で覆われている。パンチングメタル等で覆われた吸音材4は、吸音部12を形成している。吸音面は、吸音部12の上面である。
張出部材3の上面(吸音面)は、直立壁2から車両11の上部に位置する音源Sの方に向かって斜め上方に傾斜している。張出部材3の下面は、上面に平行である。ここで、吸音面(吸音部12の上面)の上端は、音源Sよりも下方に位置している。受音点Rは、直立壁2に対して車両11とは反対側であって、直立壁2の上端よりも下方に位置している。受音点Rは、例えば、軌道から25m離れた位置であって、地上から1.2mの高さの位置に設けられる。
ここで、張出部材3と直立壁2とがなす鈍角θ1は、音源Sから吸音面(吸音部12の上面)の上端を通る直線と直立壁2とがなす鈍角θ2よりも大きく、受音点Rから吸音面(吸音部12の上面)の下端を通る直線と直立壁2とがなす鈍角θ3よりも小さくされている。
音波は通常、目的地までの最短経路を直進する。よって、音源Sから受音点Rまでの騒音の主要な伝搬経路は、音源Sから出た騒音が吸音部12の上端で回折し、吸音面(吸音部12の上面)に沿って進行した後に、吸音部12の下端で回折して受音点Rに到達する経路である。この場合、騒音が吸音面に沿って進行するため、騒音の伝搬経路のうち吸音面に沿って進行する部分の距離が長くなる。
一方、側面図である図2に示すように、張出部材3が車両側に水平方向に張り出した構成の場合、音源Sから受音点Rまでの騒音の主要な伝搬経路は、音源Sから出た騒音が吸音部12の反音源側の上端で回折して受音点Rに到達する経路である。この場合、騒音が吸音部12の端で回折するため、騒音の伝搬経路のうち吸音面に沿って進行する部分の距離が短くなる。
本実施形態の防音壁1では、張出部材3の上面である吸音面を、直立壁2から音源Sの方に向かって斜め上方に傾斜させている。これにより、車両11の上部に位置する音源Sからの騒音を吸音面に沿って進行させることができる。よって、音源Sに対向する吸音面に騒音が垂直に入射する構成や、車両11側に水平方向に張り出した張出部材3の上面が吸音面である構成(図2の構成)に比べて、騒音の伝搬経路のうち吸音面に沿って進行する部分の距離を長くしやすい。これにより、車両11の上部に位置する音源Sからの騒音を十分に低減させることができる。
もちろん、特許文献2の構成は、庇部の上面が吸音面ではないので、本実施形態の防音壁1の方が十分に騒音を低減させることができることはいうまでもない。
また、吸音面の上端を、音源Sよりも下方に位置させることで、車両11の上部に位置する音源Sからの騒音を低減させながら、直立壁2のみの構成に比べて防音壁1の高さを抑えることができる。これにより、日照、景観、眺望が悪化したり、圧迫感が生じたりしないようにすることができる。
また、張出部材3と直立壁2とがなす鈍角θ1を、音源Sから吸音面(吸音部12の上面)の上端を通る直線と直立壁2とがなす鈍角θ2よりも大きく、受音点Rから吸音面(吸音部12の上面)の下端を通る直線と直立壁2とがなす鈍角θ3よりも小さくすることで、騒音の主要な伝搬経路を、吸音部12の上端で回折し、吸音部12の下端でもう一度回折する経路とすることができる。これにより、騒音の伝搬経路のうち吸音面に沿って進行する部分の距離をより長くすることができるので、騒音をより一層低減させることができる。
また、本実施形態では、張出部材3の傾斜角度が調整可能にされている。具体的には、直立壁2の上端部側面と張出部材3の下面とが蝶番等の連結部材によって連結されている。そして、図示しない固定手段によって張出部材3を所望の傾斜角度で固定できるようになっている。
音源Sと受音点Rとの位置関係は、高架の高さや騒音を低減したい場所によって異なる。そのため、その場所に最適な張出部材3の傾斜角度も、場所によって異なる。張出部材3の傾斜角度を調整可能にすることで、同一の防音壁1であっても様々な場所ごとに最適な傾斜角度をそれぞれ選択することができる。これにより、様々な場所において騒音を低減させることができる。
(変形例)
なお、側面図である図3に示すように、張出部材3は、上面(吸音面)が多孔板5で内部が空洞の構成であってもよい。このような構成であれば、吸音材4の代わりに多孔板5と張出部材3の内部の空気層6とで吸音を行うことができる。ここで、多孔板5を備えた張出部材3は、吸音部12を形成している。吸音面は、吸音部12の上面である。なお、多孔板5と空気層6とによる吸音原理は公知であるため、その説明を省略する。
多孔板5は、鉄やアルミニウムなどの金属で製作することが多いが、プラスチックなどで製作してもよい。多孔板5の吸音率とその周波数特性は、板厚、孔径、開口率と、空気層6の容積で決まる。空気層6の容積をコントロールすることで、周波数特性を変更できるため、大きな容積が必要な低周波の騒音に対しては、直立壁2の内部空間の容積を活用することで、張出部材3の厚さを厚くせずに低周波騒音を低減することが可能となる。
また、吸音材4であれば、雨に濡れると水分を吸って所望の吸音効果が得られなくなる可能性があり、水分による経年劣化も生じるが、多孔板5と空気層6とで吸音を行い、水抜き用の穴を張出部材3に設けておけば、雨上がりには本来の性能を発揮することとなる。
(評価)
次に、張出部材3の傾斜角度を異ならせて、騒音低減効果をシミュレーションにより評価した。評価は、高さ2mの直立壁2のみの構成を基準とし、地面から張出部材3(吸音部12)の上端までの高さを3.5mで固定して、張出部材3の上面と直立壁2との角度を異ならせながら、基準に対する騒音の低減量を算出することで行った。その結果を図4に示す。
張出部材3の上面と直立壁2との角度が90度(図2の構成)の場合に比べて、張出部材3を傾斜させた方が、騒音低減効果が大きくなることがわかる。また、張出部材3の上面と直立壁2との角度が130度や150度のときに、騒音低減効果がより大きくなることがわかる。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る防音壁1によると、車両11の方に張り出した張出部材3の上面である吸音面(吸音部12の上面)を、直立壁2から音源Sの方に向かって斜め上方に傾斜させる。これにより、車両11の上部に位置する音源Sからの騒音を吸音面に沿って進行させることができる。よって、音源Sに対向する吸音面に騒音が垂直に入射する構成や、車両11側に水平方向に張り出した張出部材3の上面が吸音面である構成(図2の構成)に比べて、騒音の伝搬経路のうち吸音面に沿って進行する部分の距離を長くしやすい。これにより、車両11の上部に位置する音源Sからの騒音を十分に低減させることができる。
また、吸音面(吸音部12の上面)の上端を、音源Sよりも下方に位置させることで、車両11の上部に位置する音源Sからの騒音を十分に低減させながら、直立壁2のみの構成に比べて防音壁1の高さを抑えることができる。これにより、日照、景観、眺望が悪化したり、圧迫感が生じたりしないようにすることができる。
また、張出部材3と直立壁2とがなす鈍角θ1を、音源Sから吸音面の上端を通る直線と直立壁2とがなす鈍角θ2よりも大きく、受音点Rから吸音面の下端を通る直線と直立壁2とがなす鈍角θ3よりも小さくする。これにより、騒音の主要な伝搬経路を、吸音部12の上端で回折し、吸音部12の下端でもう一度回折する経路とすることができる。よって、騒音の伝搬経路のうち吸音面に沿って進行する部分の距離をより長くすることができるので、騒音をより一層低減させることができる。
また、張出部材3の傾斜角度を調整可能にすることで、同一の防音壁1であっても様々な場所ごとに最適な傾斜角度をそれぞれ選択することができる。これにより、様々な場所において騒音を低減させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の防音壁について、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
(防音壁の構成)
本実施形態の防音壁101は、防音壁101の側面図である図5に示すように、直立壁2の上面が、騒音を吸音する吸音面である。具体的には、直立壁2の上面にも吸音材7が設けられている。吸音材7は、パンチングメタル等で覆われている。パンチングメタル等で覆われた吸音材7は、吸音部12を形成している。吸音面は、吸音部12の上面である。これにより、吸音面積が増えるので、さらに騒音を低減させることができる。なお、直立壁2の上面が、多孔板と空気層とにより吸音を行う構成であってもよい。
(評価)
次に、直立壁2の上面に吸音面がある場合と、ない場合とで、騒音低減量をシミュレーションにより評価した。その結果を図6に示す。直立壁2の上面に吸音面がある方が、400Hz以上の周波数帯において騒音低減量が大きくなっていることがわかる。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る防音壁101によると、直立壁2の上面を、騒音を吸音する吸音面とすることで、吸音面積が増えるので、さらに騒音を低減させることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の防音壁について、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
(防音壁の構成)
本実施形態の防音壁201は、防音壁201の側面図である図7に示すように、張出部材203が直立壁2の上端部に取り付けられており、張出部材203の下面が左右方向に平行である。ここで、左右方向には、水平方向や水平方向から若干傾いた方向が含まれる。なお、本実施形態において、張出部材203は、上面が多孔板205であり、内部が空洞になっている。即ち、張出部材203の内部は空気層206となっている。多孔板205を備えた張出部材203は、吸音部12を形成している。吸音面は、吸音部12の上面である。
車両11の上部に位置する音源Sからの騒音(集電系音、上部空力音)に対して、張出部材203の下面はほとんど影響しない。一方、車両11の下部に位置する音源からの騒音(車両下部音、構造物音)に対しては、張出部材203の下面が影響する。これは、車両11と直立壁2と張出部材203の下面とで形成される空間に音場が形成され、その内部音圧によって受音点Rでの騒音が決定されるからである。
張出部材203の下面を左右方向に平行にすることで、車両11の下部に位置する音源からの騒音が直立壁2から外側に出て行くのを防ぐことができる。また、張出部材203の下面が左右方向に平行であると、張出部材203を直立壁2の上端部に取り付けるのが容易になるので、取り付けコストを軽減させることができる。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る防音壁201によると、張出部材203の下面を左右方向に平行にすることで、車両11の下部に位置する音源からの騒音が直立壁2から外側に出て行くのを防ぐことができる。また、張出部材203の下面が左右方向に平行であると、張出部材203を直立壁2の上端部に取り付ける場合、取り付けが容易になるので、取り付けコストを軽減させることができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の防音壁について、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
(防音壁の構成)
本実施形態の防音壁301は、防音壁301の側面図である図8に示すように、張出部材3の吸音面の吸音特性が、音源Sから遠ざかる部位ほど高い周波数の騒音を吸音するように設定されている。具体的には、張出部材3の音源S側の端から直立壁2の反音源側の端にかけて吸音材8が取り付けられており、直立壁2の上面において、音源Sから遠ざかる部位ほど吸音材8の厚みが薄くされている。ここで、吸音材8は、パンチングメタル等で覆われている。パンチングメタル等で覆われた吸音材8は、吸音部12を形成している。吸音面は、吸音部12の上面である。
音波の吸音特性は、波長と吸音材8の厚みに関係する。吸音材8における直立壁2の上面に位置する部位、即ち、音源Sから遠い部位は、図6に示されるように、特に高周波領域の騒音に対して騒音低減効果を発揮する。そして、この部位の厚みを漸減させても、高周波の音波は波長が短いので、高周波領域の騒音に対する騒音低減効果を十分に得ることができる。また、吸音材8の厚みを漸減させることで、コストを低減させることができる。
張出部材3の吸音面の吸音特性を、音源Sから遠ざかる部位ほど高い周波数の騒音を吸音するように設定することで、吸音材8の音源Sに近い部位では、低い周波数の騒音が吸音され、吸音材8の音源Sから遠い部位では、高い周波数の騒音が吸音される。これにより、広い周波数領域で騒音を低減させることができる。
なお、防音壁301の側面図である図9に示すように、多孔板305と空気層306とによる吸音を行う構成においては、同じ仕様の多孔板305であっても、空気層306の厚みを音源Sから遠ざかる部位ほど薄くする。上述のように、直立壁2の上面に位置する部位は、図6に示されるように、特に高周波領域の騒音に対して騒音低減効果を発揮するからである。ここで、多孔板305を備えた張出部材303は、吸音部12を形成している。吸音面は、吸音部12の上面である。本実施形態においては、張出部材303の下面を左右方向に平行にしている。これにより、音源Sに近い部位ほど低い周波数の騒音を吸音し、音源Sから遠ざかる部位ほど高い周波数の騒音を吸音するように構成することができる。
また、仕切板9で空気層306を仕切ることで、隣り合う空気層306間で周波数特性を異ならせることができる。そして、音源Sからの騒音の周波数領域に合わせた周波数特性にすることで、騒音を好適に低減させることができる。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る防音壁301によると、吸音面の吸音特性を、音源Sから遠ざかる部位ほど高い周波数の騒音を吸音するように設定する。これにより、音源Sに近い部位で低い周波数の騒音を吸音し、音源Sから遠い部位で高い周波数の騒音を吸音することができるので、広い周波数領域で騒音を低減させることができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態の防音壁について、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
(防音壁の構成)
本実施形態の防音壁401は、防音壁401の側面図である図10に示すように、直立部材10をさらに有している。直立部材10は、直立壁2の上端から上方に延びており、直立壁2とは別体である。直立部材10の上端は、吸音面(吸音部12の上面)の上端以下の高さに位置している。
本実施形態において、直立部材10と張出部材3とは一体であるが、一体でなくてもよい。一体の場合、すでに設置されている直立壁2に、直立部材10と張出部材3とを後付けで容易に取り付けることができる。
また、直立部材10の上面が、騒音を吸音する吸音面であってもよい。この場合において、直立部材10の上面に吸音材を設ける場合、吸音材の上端を、吸音部12の上面の上端以下の高さに位置させる。
吸音面の吸音率を1に近づけることが難しい場合、吸音効果が低下し、相対的に回折減衰の寄与が高くなる。そこで、直立壁2の上に直立部材10を設けることで、この回折減衰を積極的に得ることができる。
なお、本実施形態の防音壁401において、張出部材3の下面は、左右方向に平行であってもよい。また、吸音面の吸音特性が、音源Sから遠ざかる部位ほど高い周波数の騒音を吸音するように設定されていてもよい。
(評価)
次に、直立部材10を設けた場合と、設けない場合とで、騒音低減量をシミュレーションにより評価した。防音壁の側面図である図11に示すように、評価は、高さ2mの直立壁2のみの構成(A)、張出部材3の上面と直立壁2との角度が90度であって、直立部材10がない構成(B)(図2の構成)、張出部材3の上面と直立壁2との角度が90度より大きく、直立部材10がない構成(C)(図1の構成)、(C)に直立部材10を設けた構成(D)、および、(C)に直立部材10を設けた構成(E)の5種類について行った。
ここで、(B)~(E)において、吸音面の長さは等しい。また、(C)~(E)において、直立壁2に対する張出部材3の角度は同一である。(D)において、直立部材10の上端は、吸音面の上端と同じ高さに位置しており、(E)において、直立部材10の上端は、吸音面の上端と下端との中間の高さに位置している。
評価は、(A)の構成を基準とし、基準に対する騒音の低減量を算出することで行った。その結果を図12に示す。ここで、本シミュレーションにおける吸音面の吸音率は、実機相当の吸音率を用いており、実機相当の吸音率は、音響管を用いた垂直入射吸音率の測定値とその外挿で推定した値とを用いて計算している。
車両の上部の音源としては、集電系音と上部空力音とが存在するが、一般的に寄与が高いとされているのは集電系音であり、その主要な周波数が250Hz近傍であることが知られている。そこで、250Hzバンド近傍での騒音低減量に着目した。
図12から、250Hzバンドでは、(A)に比べて、(B)~(E)の方が効果的であることが確認できる。(D)が最も効果的であり、(E)、(B)、(C)の順となっている。
本実施形態の防音壁における主な減音メカニズムは、吸音と回折である。効果の順番が上記のようになった理由は、本シミュレーションにおいて、音源から受音点までの音線(音の伝搬経路を直線で表したもの)を考えたとき、図11の各構成において、右上の角が回折点となっているためと考えられる。(C)において、回折点は吸音面の下端であり、(D)、(E)において、回折点は直立部材10の上端である。この回折点が高いほど、回折音の経路差が大きくなるため、回折減衰の効果を得やすくなる。
一方、回折点が同一である(B)と(D)とを比較すると、(D)方が効果的であることから、吸音については、音線に沿うように吸音面を配置するのが効果的であると言える。以上から、吸音面の吸音率が1未満である場合は、(D)のような形状が効果的であることがわかる。
また、(D)と(E)とを比較すると、(D)方が効果的であることから、直立部材10の上端は、なるべく高い方がよいことがわかる。だたし、直立部材10の上端が吸音面よりも高くなると、防音壁の側面図である図13に示すように、吸音面と音線との距離Lが長くなるため、吸音の効果が得られにくくなる。よって、直立部材10の上端は、吸音面の上端以下の高さに位置させる方がよい。
以上から、吸音面の吸音率を1に近づけることが難しい場合、回折減衰が積極的に寄与するように、直立壁2の上に直立部材10を設け、直立部材10の上端を吸音面の上端以下であって、なるべく高い位置に位置させることが良いことがわかる。
なお、吸音面の吸音率を1に近づけることが可能であれば、直立部材10は不要である。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る防音壁401によると、直立壁2の上端から上方に延びた直立部材10をさらに有する。吸音面の吸音率を1に近づけることが難しい場合、吸音効果が低下し、相対的に回折減衰の寄与が高くなる。そこで、直立壁2の上に直立部材10を設けることで、この回折減衰を積極的に得ることができる。ただし、直立部材10の上端が吸音面よりも高くなると、吸音の効果が得られにくくなるので、直立部材10の上端を、吸音面の上端以下の高さに位置させる。これにより、回折減衰を効果的に得ることができる。
また、直立部材10と張出部材3とが一体であるので、すでに設置されている直立壁2に、直立部材10と張出部材3とを後付けで容易に取り付けることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
1,101,201,301,401 防音壁
2 直立壁
3,203,303 張出部材
4 吸音材
5,205,305 多孔板
6,206,306 空気層
7,8 吸音材
9 仕切板
10 直立部材
11 車両
12 吸音部

Claims (7)

  1. 車両の上部に位置する音源からの騒音を低減させる防音壁であって、
    立てて設けられ、前記車両の側面に対向する直立壁と、
    前記直立壁の上端部から前記車両の方に張り出した張出部材と、
    を有し、
    前記張出部材の上面は、前記騒音を吸音する吸音面であって、前記直立壁から前記車両の最上部の方に向かって斜め上方に傾斜しており、
    前記直立壁の上端から上方に延びた直立部材をさらに有し、
    前記直立部材の上端が、前記吸音面の上端以下の高さに位置していることを特徴とする防音壁。
  2. 前記直立部材と前記張出部材とが一体であることを特徴とする請求項に記載の防音壁。
  3. 前記直立部材の上面が、前記騒音を吸音する吸音面であることを特徴とする請求項又はに記載の防音壁。
  4. 前記張出部材の下面は、水平方向または略水平方向に平行であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の防音壁。
  5. 前記吸音面の吸音特性が、前記音源から遠ざかる部位ほど高い周波数の前記騒音を吸音するように設定されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の防音壁。
  6. 前記張出部材の傾斜角度が調整可能にされていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の防音壁。
  7. 前記吸音面の上端が、前記車両の最上部よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の防音壁。
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