JP7058167B2 - 残留塩素濃度測定装置及び水道メータ - Google Patents

残留塩素濃度測定装置及び水道メータ Download PDF

Info

Publication number
JP7058167B2
JP7058167B2 JP2018077861A JP2018077861A JP7058167B2 JP 7058167 B2 JP7058167 B2 JP 7058167B2 JP 2018077861 A JP2018077861 A JP 2018077861A JP 2018077861 A JP2018077861 A JP 2018077861A JP 7058167 B2 JP7058167 B2 JP 7058167B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
residual chlorine
chlorine concentration
potential difference
potential
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018077861A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019184501A (ja
Inventor
智夫 五明
悟 松下
慎司 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aichi Tokei Denki Co Ltd
Original Assignee
Aichi Tokei Denki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aichi Tokei Denki Co Ltd filed Critical Aichi Tokei Denki Co Ltd
Priority to JP2018077861A priority Critical patent/JP7058167B2/ja
Publication of JP2019184501A publication Critical patent/JP2019184501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7058167B2 publication Critical patent/JP7058167B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Volume Flow (AREA)

Description

本開示は、水道水中の遊離残留塩素の濃度を測定する残留塩素濃度測定装置及びそれを備えた水道メータに関する。
特許文献1には、水道水中に浸漬された2つの電極間の電位差から、水道水中の遊離残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度測定装置が示されている。
特開2016-114376号公報([0017]、[0027]、図1~3)
特許文献1の残留塩素濃度測定装置では、測定された遊離残留塩素濃度が、遊離残留塩素以外の因子の影響を受けてしまう。このため、測定精度の更なる向上が望まれていた。
上記課題を達成するためになされた請求項1の発明は、複数の電極と、それら複数の電極間に発生する電位差を測定する電位差測定部と、前記電位差から水道水中の遊離残留塩素の濃度を算出する演算部と、を有する残留塩素濃度測定装置であって、前記複数の電極として、遊離残留塩素濃度の変化量に対する電極電位の変化量が相互に異なる第1電極と、第2電極と、第3電極と、を備え、前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極の電極電位に変化を及ぼす電位変化因子には、前記遊離残留塩素濃度の他に前記水道水の水質に関わる前記電位変化因子である水素イオン濃度、溶存酸素濃度、塩素濃度、硬度成分と、前記水道水の物理量に関わる前記電位変化因子である前記水道水の圧力、温度、流速が含まれ、前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極とは、前記電位変化因子の1つである第1因子の変化量に対する電極電位の変化量が相互に異なる一方で、前記遊離残留塩素濃度及び前記第1因子を除く全ての前記電位変化因子の変化量に対する電極電位の変化量は互いに近似するように構成され、前記第1電極と前記第3電極との間に発生する電位差において前記遊離残留塩素濃度が変化したときの電位差の変化の割合に対する前記第1因子が変化したときの電位差の変化の割合の比、前記第1電極と前記第2電極との間に発生する電位差において前記遊離残留塩素濃度が変化したときの電位差の変化の割合に対する前記第1因子が変化したときの電位差の変化の割合の比と異なっている、残留塩素濃度測定装置である。
請求項2の発明は、前記第1電極と前記第2電極の間に発生する電位差をV12とし、前記第1電極と前記第3電極の間に発生する電位差をV13とし、前記遊離残留塩素濃度をXとし、対数目盛の横軸を前記遊離残留塩素濃度とし、縦軸を前記遊離残留塩素濃度に起因する前記第1電極と前記第2電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとし、対数目盛の横軸を前記遊離残留塩素濃度とし、縦軸を前記遊離残留塩素濃度に起因した前記第1電極と前記第3電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとし、対数目盛の横軸を前記第1因子とし、縦軸を前記第1因子に起因する前記第1電極と前記第2電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとし、対数目盛の横軸を前記第1因子とし、縦軸を前記第1因子に起因する前記第1電極と前記第3電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとしたとき、前記演算部は、以下の数式1に基づいて、前記遊離残留塩素濃度を算出する、請求項1に記載の残留塩素濃度測定装置である。
Figure 0007058167000001
請求項3の発明は、前記第1因子は、前記水道水の水質に関わる前記電位変化因子である、請求項1又は2に記載の残留塩素濃度測定装置である。
請求項4の発明は、前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極のうち任意の2つの電極間に発生する電位差において、前記遊離残留塩素濃度に起因した電位差と前記第1因子に起因した電位差の両方が予め設定された閾値以上であって、前記遊離残留塩素及び前記第1因子以外の電位変化因子に起因した電位差が前記閾値よりも小さい、請求項1乃至3のうち何れか1の請求項に記載の残留塩素濃度測定装置である。
請求項5の発明は、前記第1電極は、白金、イリジウム、金又はパラジウムからなり、前記第2電極は、SUS316、SUS316L又はSUS430からなり、前記第3電極は、タングステン、タンタル、チタン、モリブデン又はジルコニウムからなる、請求項1乃至4のうち何れか1の請求項に記載の残留塩素濃度測定装置である。
請求項6の発明は、請求項1乃至5のうち何れか1の残留塩素濃度測定装置を備えた、水道メータである。
本開示に係る残留塩素濃度測定装置では、第1電極と第2電極の2つの電極に加えて、第3電極が備えられ、この第3電極が、遊離残留塩素濃度に対する電位変化と、遊離残留塩素濃度とは異なる電位変化因子の1つである第1因子に対する電位変化と、の2つの電位変化において、第1電極と第2電極の何れかとも異なっているので、第1因子が電極間の電位差に及ぼす影響を考慮して、遊離残留塩素濃度を測定することが可能となる。
具体的には、第1電極と第2電極の間に発生する電位差をV12とし、第1電極と第3電極の間に発生する電位差をV13とし、遊離残留塩素濃度をXとし、第1因子の量をYとし、対数目盛の横軸を遊離残留塩素濃度とし、縦軸を遊離残留塩素濃度に起因する第1電極と第2電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとし、対数目盛の横軸を遊離残留塩素濃度とし、縦軸を遊離残留塩素濃度に起因した第1電極と第3電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとし、対数目盛の横軸を第1因子とし、縦軸を第1因子に起因する第1電極と第2電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとし、対数目盛の横軸を第1因子とし、縦軸を第1因子に起因する第1電極と第3電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとすると、以下の数式2,3が成立する。
Figure 0007058167000002
Figure 0007058167000003
ここで、第1電極と第3電極との間に発生する電位差において遊離残留塩素濃度が変化したときの電位差の変化の割合に対する第1因子が変化したときの電位差の変化割合の比は、第1電極と第2電極との間に発生する電位差において遊離残留塩素濃度が変化したときの電位差の変化の割合に対する第1因子が変化したときの電位差の変化の割合の比と異なっているので、K/K≠K/Kの関係式が成立する。従って、遊離残留塩素濃度の算出式として、上記した数式1が得られる。これにより、第1因子の影響を考慮した遊離残留塩素濃度を求めることが可能となり、遊離残留塩素濃度の測定精度の向上が図られる。
第1電極は、白金、イリジウム、金又はパラジウムで構成されることが好ましい。第2電極は、SUS316、SUS316L又はSUS430で構成されることが好ましい。第3電極は、タングステン、タンタル、チタン、モリブデン又はジルコニウムで構成されることが好ましい。
電位変化因子としては、水素イオン濃度、溶存酸素濃度に代表される水質因子や、水道水の圧力、温度に代表される環境因子が挙げられる。水質因子は、電極電位に変化を及ぼす水質管理項目のことである。水質因子の例としては、硬度成分(Ca、Mg)、水素イオン若しくは塩素イオン等のイオン濃度、遊離塩素若しくは結合性塩素などの塩素濃度等が挙げられる。環境因子は、電極電位に影響を及ぼす水道水の物理量のことである。環境因子の他の例としては、流速等が挙げられる。
なお、請求項1における「前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極とは、前記遊離残留塩素濃度及び前記第1因子を除く全ての前記電位変化因子の変化量に対する電極電位の変化量は互いに近似するように構成されている」との記載は、その電位変化因子に起因した電極間の電位差が予め設定された閾値未満であることを意味する。即ち、電位変化因子に起因した電極間の電位差が閾値以上であれば、その電位変化因子に対する電位変化が近似しないことになる。閾値は、残留塩素濃度測定装置における遊離残留塩素濃度の測定限界、即ち、分解能を決定するものとなっている。
実施形態に係る水道メータの概略構成図 電極電位と遊離残留塩素濃度の関係を示すグラフ 電極電位と水素イオン濃度の関係を示すグラフ 電極電位と他の電位変化因子の関係を示すグラフ
以下、図1から図4に基づいて実施形態の残留塩素濃度測定装置10及び水道メータ50について説明する。図1に示されるように、本実施形態の残留塩素濃度測定装置10は、水道メータ50の計測管51に取り付けられている。計測管51には、水道水が流れるようになっていて、水道メータ50は、計測管51を流れる水道水の流量を計測する。
残留塩素濃度測定装置10は、計測管51を流れる水道水中の遊離残留塩素の濃度を測定するものであって、第1電極11、第2電極12及び第3電極13と、電極間に発生する電位差を測定する電圧計20と、電圧計20によって測定された電位差から遊離残留塩素の濃度を算出する演算部21と、を備えている。
第1電極11、第2電極12及び第3電極13は、計測管51を流れる水道水と接するように、計測管51に固定されている。具体的には、計測管51には、管壁52を径方向に貫通する第1取付孔61、第2取付孔62及び第3取付孔63が設けられていて、第1電極11、第2電極12及び第3電極13は、それぞれ、第1取付孔61、第2取付孔62及び第3取付孔63を挿通した状態に固定されている。
なお、第1電極11、第2電極12及び第3電極13は、その先端面が計測管51の内面(管壁52の内面)と略面一となるように固定されることが好ましい。各電極11,12,13がこのように固定されることで、電極間に発生する電位差が計測管51内を流れる水道水の流速の影響を受け難くなると共に、第1電極11、第2電極12及び第3電極13による圧力損失の発生が抑制される。また、図1の例では、第1電極11、第2電極12及び第3電極13は、計測管51の延在方向(計測管51の中心軸方向)に沿って並べられているが、計測管51の周方向に沿って並べられてもよい。
第1電極11と第2電極12は、水道水中の遊離残留塩素に対する反応性が異なる金属で構成されている。具体的には、第1電極11を構成する金属は、第2電極12を構成する金属よりも、遊離残留塩素と反応して電極電位を変化させ易くなっている。その結果、第1電極11と第2電極12とは、遊離残留塩素濃度に対する電極電位の変化が互いに異なっている。ここで、電極電位は、その電極の基準電極に対する電位差で定義される。基準電極とは、電極電位の基準点となる電極のことであり、例えば、銀-塩化銀電極等が挙げられる。
第3電極13は、第1電極11を構成する金属と第2電極12を構成する金属の何れとも遊離残留塩素に対する反応性が異なる金属で構成されている。その結果、第3電極は、第1電極11と第2電極12の何れとも、遊離残留塩素濃度に対する電極電位の変化が異なっている。具体的には、第3電極を構成する金属は、第1電極11を構成する金属と第2電極12を構成する金属の何れよりも、遊離残留塩素と反応して電極電位を変化させ難くなっている。
本実施形態では、第1電極11は白金で構成され、第2電極12はSUS316で構成され、第3電極13はタングステンで構成されている。なお、各電極を構成する金属は、電極の表面(特に、水道水と接する部分の表面)を構成していればよく、例えば、金属塊の表面に施されためっきであってもよい。
電圧計20は、第1電極11、第2電極12及び第3電極13から2つの電極を選択し、それら2つの電極間の電位差を測定する。本実施形態では、電圧計20は、第1電極11と第2電極12の間に発生する電位差V12と、第1電極11と第3電極13の間に発生する電位差V13を測定する。なお、本実施形態では、第1電極11が陽極で、第2電極12と第3電極13が陰極であり、電圧計20は、陽極に対する陰極の組合せを変更して、それら陽極と陰極の間の電位差を測定する。
次に、第1電極11と第2電極12の間に発生する電位差V12と第1電極11と第3電極13の間に発生する電位差V13について説明する。第1電極11の表面では、下記の化学式1に示されるような水道水中の遊離残留塩素(例えば、次亜塩素酸イオン(OCl))の還元反応と、それと対をなす酸化反応と、が生じる。そして、この酸化還元反応によって、第1電極11は、基準電極に対して電位差を有することになる。言い換えれば、第1電極11の基準電極に対する電位、即ち、電極電位V(1)には、遊離残留塩素に由来する成分V’(1)が含まれている。
化学式1:OCl+HO+2e→Cl+2OH
図2には、対数目盛の横軸を遊離残留塩素濃度Xとし、縦軸を電極電位のうち遊離残留塩素に由来する成分(塩素由来成分)V’とした片対数グラフが示されている。同図のグラフから分かるように、第1電極11の電極電位V(1)の塩素由来成分V’(1)は、遊離残留塩素濃度の対数に対して1次的に変化する。
第1電極11と同様に、第2電極12と第3電極13の表面でも、上記した化学式1の還元反応と、それと対をなす酸化反応と、が生じる。従って、第2電極12の電極電位V(2)と第3電極13の電極電位V(3)にも遊離残留塩素に由来する成分V’(2)、V’(3)が含まれている。これら塩素由来成分V’(2)、V’(3)も、遊離残留塩素濃度の対数に対して1次的に変化する。なお、図2には、第2電極12と第3電極13の塩素由来成分V’(2)、V’(3)も併せて示されている。
ここで、上述したように、第1電極11と第2電極12は、遊離残留塩素に対する電極電位の変化が互いに異なるように構成されているので、第1電極11の塩素由来成分V’(1)と第2電極12の塩素由来成分V’(2)とは、遊離残留塩素濃度に対する変化の割合が異なっている。また、第3電極13は、第1電極11と第2電極12の何れとも遊離残留塩素に対する電極電位の変化が異なるように構成されているので、第3電極13の塩素由来成分V’(3)は、塩素由来成分V’(1)、V’(2)の何れとも、遊離残留塩素濃度に対する変化の割合が異なっている。具体的には、第1電極11の塩素由来成分V’(1)と第2電極12の塩素由来成分V’(2)と第3電極13の塩素由来成分V’(3)は、それぞれ、以下の数式4~6で表され、その傾きa、a、aが互いに異なっている。なお、数式4~6におけるb、b、bは、図2の各グラフにおける縦軸の切片である。
Figure 0007058167000004
Figure 0007058167000005
Figure 0007058167000006
第1電極11の電極電位V(1)と第2電極12の電極電位V(2)は、遊離残留塩素の濃度だけでなく、水素イオン濃度によっても変化する。即ち、第1電極11の電極電位V(1)と第2電極12の電極電位V(2)には、水素イオンに由来する成分V”(1),V”(2)が含まれていて、この水素イオン由来成分V”(1),V”(2)が水素イオン濃度に応じて変化する。
ここで、第1電極11を構成する金属と第2電極12を構成する金属は、水素イオンに対する反応性が異なっている。従って、第1電極11と第2電極12の間では、水素イオン濃度が変化したときの電極電位(詳細には、水素イオン由来成分)の変化の割合が異なっている。
また、第3電極13の電極電位V(3)も、水素イオン濃度によっても変化する。即ち、第3電極13の電極電位V(3)にも、水素イオンに由来する成分V”(3)が含まれていて、この水素イオン由来成分V”(3)が水素イオン濃度に応じて変化する。
図3には、対数目盛の横軸を水素イオン濃度Yとし、縦軸を水素イオン由来成分V”とした片対数グラフが示されている。同図のグラフから分かるように、第1電極11の水素イオン由来成分V”(1)、第2電極12の水素イオン由来成分V”(2)及び第3電極13の水素イオン由来成分V”(3)は、水素イオン濃度の対数に対して1次的に変化する。
具体的には、第1電極11の水素イオン由来成分V”(1)と第2電極12の水素イオン由来成分V”(2)と第3電極13の水素由来成分V”(3)は、それぞれ、以下の数式7~9で表され、その傾きc、c、cが互いに異なっている。なお、数式7~9におけるd、d、dは、図3の各グラフにおける縦軸の切片である。
Figure 0007058167000007
Figure 0007058167000008
Figure 0007058167000009
以上説明したように、第1電極11の電極電位V(1)、第2電極12の電極電位V(2)及び第3電極13の電極電位V(3)は、遊離残留塩素濃度と水素イオン濃度によって変化する。言い換えれば、第1電極11、第2電極12及び第3電極13においては、遊離残留塩素濃度と水素イオン濃度が共に、電極電位の変化に影響を与える電位変化因子となっている。
ところで、各電極11,12,13の電極電位V(1)、V(2)、V(3)は、遊離残留塩素濃度及び水素イオン濃度以外の他の電位変化因子Zによっても変化する。即ち、各電極電位V(1)、V(2)、V(3)には、それぞれ、他の電位変化因子に由来する成分v(1)、v(2)、v(3)が含まれている。ここで、第1電極11と第2電極12と第3電極13とは、他の電位変化因子Zに対する電極電位の変化の挙動が略同じとなる組合せとなっている(図4参照。図4に示すグラフでは、3つの電極の間で、電極電位のうち他の電位変化因子Zに由来する成分vの傾きが略同じになっている。)。その結果、第1電極11と第2電極12の間に発生する電位差V12と第1電極と第3電極13の間に発生する電位差V13とは、遊離残留塩素濃度と水素イオン濃度の2つの電位変化因子に依存することになり、以下の数式10,11で表される。なお、数式10,11において、K=a-a、K=a-a、K=c-c、K=c-c、L=b-b、L=b-b、L=d-d、L=d-dである。
Figure 0007058167000010
Figure 0007058167000011
詳細には、第1電極11と第2電極12と第3電極13とは、以下のように構成されればよい。即ち、第1電極11と第2電極12の間の電位差V12及び第1電極11と第3電極13の間の電位差V13において、遊離残留塩素濃度に起因した電位差成分と水素イオン濃度に起因した電位差成分が予め設定された閾値以上であって、他の電位変化因子に起因した電位差成分が閾値未満となっていればよい。ここで、閾値は、例えば、電圧計20の分解能に一致していてもよい。なお、閾値は、残留塩素濃度測定装置10の分解能を決定するものとなっている。
さて、本実施形態の残留塩素濃度測定装置10では、上述したように、第1電極11と第2電極12の間の電位差V12と第1電極11と第3電極13の間の電位差V13を測定する。これらの電位差V12,V13は、上記した数式10,11で表される。ここで、本実施形態では、第1電極11と第3電極13との間に発生する電位差において遊離残留塩素濃度が変化したときの電位差の変化の割合に対する水素イオン濃度が変化したときの電位差の変化の割合の比K/Kが、第1電極11と第2電極12との間に発生する電位差において遊離残留塩素濃度が変化したときの電位差の変化の割合に対する水素イオン濃度が変化したときの電位差の変化の割合の比K/Kと異なるように、第1電極11、第2電極12及び第3電極13が構成されている。このような構成は、第1電極11、第2電極12及び第3電極13を互いに異なる金属で構成することで達成可能となる。
そうすると、上記した数式10,11を遊離残留塩素濃度Xについて解くことができ、以下の数式12が導出される。そして、この数式12に基づいて、塩素濃度測定装置10の演算部21(図1参照)は、水道水中の遊離残留塩素濃度Xを算出する。
Figure 0007058167000012
ここで、演算部21は、K、K、(L+L)、(L+K)、及び(K・K-K・K)の数値データを保有してもよいし、K、K、K、K、L、L、L及びLの数値データを保有してもよいし、V12の係数となるK/(K・K-K・K)とV13の係数となるK/(K・K-K・K)と定数項となる{K・(L+L)-K・(L+L)}/(K・K-K・K)の数値データを保有してもよい。
このように、本実施形態の残留塩素濃度測定装置10及び水道メータ50では、第1電極11と第2電極12に加えて第3電極13が備えられ、この第3電極13が、遊離残留塩素濃度Xに対する電極電位V(3)の変化と水素イオン濃度に対する電極電位V(3)の変化において、第1電極11及び第2電極12と異なっているので、水素イオン濃度が電極間の電位差に及ぼす影響を考慮して、遊離残留塩素濃度を測定することが可能となる。
なお、上記した数式10,11を水素イオン濃度Yについて解けば、水素イオン濃度を算出することできるので、塩素濃度測定装置10の演算部21が水素イオン濃度の算出式に基づいてpHを算出することも可能となる。
<付記>
上記実施形態で説明した技術を用いれば、例えば、(n+1)個の電極を用いて、n個の電位変化因子の量を算出することが理論的に可能となる。具体的には、第1電極と第i電極(2≦i≦n+1)の間に発生する電位差をV1iとすると、電位差V1iは、以下の数式13で表され、数式14の行列式が得られる。そして、この行列式の行列Aに逆行列が存在する場合、各電位変化因子xの量を算出可能となる。なお、ここで、Cは定数である。
Figure 0007058167000013
Figure 0007058167000014
[他の実施形態]
(1)上記実施形態において、第1電極11と第2電極12と第3電極13は、水素イオン濃度に対する電極電位の変化の挙動が略同じであって、遊離残留塩素及び水素イオン濃度以外の水質因子の1つである第1の水質因子(例えば、溶存酸素濃度)に対する電極電位の変化の挙動が異なっていてもよい。
(2)上記実施形態において、第1電極11と第2電極12と第3電極13は、水素イオン濃度に対する電極電位の変化の挙動が略同じであって、一の環境因子(例えば、計測管51を流れる水道水の水圧、温度、流速等)に対する電極電位の変化の挙動が異なっていてもよい。
(3)上記実施形態において、第1電極11、第2電極12及び第3電極13の先端が多孔質体(例えば、多孔質セラミックス)で包囲された構成であってもよい。本構成によれば、計測管51を流れる水道水の流速が電極電位に与える影響を低減して、遊離残留塩素の濃度をより正確に測定することが可能となる。
(4)上記実施形態において、水道水の水圧を計測する圧力計や水道水の温度を計測する温度計を備えて、演算部21が、計測された水圧や温度に基づいて遊離残留塩素濃度Xを補正する構成としてもよい。本構成によれば、遊離残留塩素の濃度をより正確に測定することが可能となる。
10 残留塩素濃度測定装置
11 第1電極
12 第2電極
13 第3電極
20 電圧計
21 演算部
50 水道メータ
51 計測管

Claims (6)

  1. 複数の電極と、
    それら複数の電極間に発生する電位差を測定する電位差測定部と、
    記電位差から水道水中の遊離残留塩素の濃度を算出する演算部と、を有する残留塩素濃度測定装置であって、
    前記複数の電極として、遊離残留塩素濃度の変化量に対する電極電位の変化量が相互に異なる第1電極と、第2電極と、第3電極と、を備え、
    前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極の電極電位に変化を及ぼす電位変化因子には、前記遊離残留塩素濃度の他に前記水道水の水質に関わる前記電位変化因子である水素イオン濃度、溶存酸素濃度、塩素濃度、硬度成分と、前記水道水の物理量に関わる前記電位変化因子である前記水道水の圧力、温度、流速が含まれ、
    前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極とは、前記電位変化因子の1つである第1因子の変化量に対する電極電位の変化量が相互に異なる一方で、前記遊離残留塩素濃度及び前記第1因子を除く全ての前記電位変化因子の変化量に対する電極電位の変化量は互いに近似するように構成され、
    前記第1電極と前記第3電極との間に発生する電位差において前記遊離残留塩素濃度が変化したときの電位差の変化の割合に対する前記第1因子が変化したときの電位差の変化の割合の比、前記第1電極と前記第2電極との間に発生する電位差において前記遊離残留塩素濃度が変化したときの電位差の変化の割合に対する前記第1因子が変化したときの電位差の変化の割合の比と異なっている、残留塩素濃度測定装置。
  2. 前記第1電極と前記第2電極の間に発生する電位差をV12とし、
    前記第1電極と前記第3電極の間に発生する電位差をV13とし、
    前記遊離残留塩素濃度をXとし、
    対数目盛の横軸を前記遊離残留塩素濃度とし、縦軸を前記遊離残留塩素濃度に起因する前記第1電極と前記第2電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとし、
    対数目盛の横軸を前記遊離残留塩素濃度とし、縦軸を前記遊離残留塩素濃度に起因した前記第1電極と前記第3電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとし、
    対数目盛の横軸を前記第1因子とし、縦軸を前記第1因子に起因する前記第1電極と前記第2電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとし、
    対数目盛の横軸を前記第1因子とし、縦軸を前記第1因子に起因する前記第1電極と前記第3電極の間の電位差とした片対数グラフにおける傾きと切片をそれぞれKとLとしたとき、
    前記演算部は、以下の数式1に基づいて、前記遊離残留塩素濃度を算出する、請求項1に記載の残留塩素濃度測定装置。
    Figure 0007058167000015
  3. 前記第1因子は、前記水道水の水質に関わる前記電位変化因子である、請求項1又は2に記載の残留塩素濃度測定装置。
  4. 前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極のうち任意の2つの電極間に発生する電位差において、前記遊離残留塩素濃度に起因した電位差と前記第1因子に起因した電位差の両方が予め設定された閾値以上であって、前記遊離残留塩素及び前記第1因子以外の水質因子に起因した電位差が前記閾値よりも小さい、請求項1乃至3のうち何れか1の請求項に記載の残留塩素濃度測定装置。
  5. 前記第1電極は、白金、イリジウム、金又はパラジウムからなり、
    前記第2電極は、SUS316、SUS316L又はSUS430からなり、
    前記第3電極は、タングステン、タンタル、チタン、モリブデン又はジルコニウムからなる、請求項1乃至4のうち何れか1の請求項に記載の残留塩素濃度測定装置。
  6. 請求項1乃至5のうち何れか1の残留塩素濃度測定装置を備えた、水道メータ。
JP2018077861A 2018-04-13 2018-04-13 残留塩素濃度測定装置及び水道メータ Active JP7058167B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018077861A JP7058167B2 (ja) 2018-04-13 2018-04-13 残留塩素濃度測定装置及び水道メータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018077861A JP7058167B2 (ja) 2018-04-13 2018-04-13 残留塩素濃度測定装置及び水道メータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019184501A JP2019184501A (ja) 2019-10-24
JP7058167B2 true JP7058167B2 (ja) 2022-04-21

Family

ID=68340838

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018077861A Active JP7058167B2 (ja) 2018-04-13 2018-04-13 残留塩素濃度測定装置及び水道メータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7058167B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000221165A (ja) 1999-01-29 2000-08-11 Toto Ltd 残留塩素濃度計測装置
JP2016114376A (ja) 2014-12-11 2016-06-23 国立大学法人横浜国立大学 固体型残留塩素センサーおよびこれを備えた水道メーター

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01287456A (ja) * 1988-05-16 1989-11-20 Hitachi Ltd 複合電極水質センサ
JP3447158B2 (ja) * 1995-09-05 2003-09-16 株式会社クボタ 電極型センサー
JPH10318967A (ja) * 1997-05-19 1998-12-04 Hitachi Ltd 電位出力素子、水質センサ装置及び水質監視制御システム

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000221165A (ja) 1999-01-29 2000-08-11 Toto Ltd 残留塩素濃度計測装置
JP2016114376A (ja) 2014-12-11 2016-06-23 国立大学法人横浜国立大学 固体型残留塩素センサーおよびこれを備えた水道メーター

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019184501A (ja) 2019-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sosna et al. Development of a reliable microelectrode dissolved oxygen sensor
JPWO2008032790A1 (ja) イオン液体被覆参照電極及びその参照電極を用いた電気化学測定装置
CN104422720B (zh) 测量装置
JP6840368B2 (ja) 残留塩素測定方法及び残留塩素測定装置
US11714059B2 (en) Isolating interferences in alkalinity measurement
CN109477811B (zh) 氯、氧化还原电位(orp)和ph测量探针
JP2015132581A (ja) すきま腐食試験方法およびすきま腐食試験装置
Lingane et al. Fundamental Studies with the Dropping Mercury Electrode. 1 III. Influence of Capillary Characteristics on the Diffusion Current and Residual Current
Abbas et al. No more conventional reference electrode: Transition time for determining chloride ion concentration
JP7058167B2 (ja) 残留塩素濃度測定装置及び水道メータ
Taryba et al. Plasticizer-free solid-contact pH-selective microelectrode for visualization of local corrosion
RU2326376C1 (ru) Способ определения активности ионов натрия и устройство для его осуществления
Souto et al. Progress in scanning electrochemical microscopy by coupling potentiometric and amperometric measurement modes
KR101459595B1 (ko) 전기 화학 센서와 tro 센서 장치
Nesic et al. Testing for erosion-corrosion under disturbed flow conditions using a rotating cylinder with a stepped surface
JP2006170973A (ja) 測定器
US10724989B2 (en) Amperometric chlorine dioxide sensor
KR20070005732A (ko) 전해질 용액에 대한 농도측정에서 오류를 감소시키는한―점 재보정 방법
JP6518937B2 (ja) 固体型残留塩素センサーおよびこれを備えた水道メーター
Urbanowicz et al. The computational methods in the development of a novel multianalyte calibration technique for potentiometric integrated sensors systems
US8117003B2 (en) Method of monitoring an electrochemical half-cell
AU2006208032A1 (en) Amperometric sensor comprising counter electrode isolated from liquid electrolyte
US11382541B2 (en) Miniaturized analyte sensor
CN107110813A (zh) 对内源性调节剂进行校正的安培型肌酸酐传感器的校准概念
JP2021021656A (ja) ヒドラジンを含有する水溶液のヒドラジン濃度の管理方法およびヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190315

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220317

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7058167

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150