JP2021021656A - ヒドラジンを含有する水溶液のヒドラジン濃度の管理方法およびヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法 - Google Patents
ヒドラジンを含有する水溶液のヒドラジン濃度の管理方法およびヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021021656A JP2021021656A JP2019139125A JP2019139125A JP2021021656A JP 2021021656 A JP2021021656 A JP 2021021656A JP 2019139125 A JP2019139125 A JP 2019139125A JP 2019139125 A JP2019139125 A JP 2019139125A JP 2021021656 A JP2021021656 A JP 2021021656A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aqueous solution
- hydrazine
- orp
- value
- concentration
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
Abstract
【課題】 ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度の上限管理において、広く利用されている機器を用い、かつ既存の流路に設置してインラインで常時監視できるヒドラジンの濃度管理方法を提供する。【解決手段】 ヒドラジンを含む水溶液の諸因子を経過時間の変数として計測、記録する水溶液計測操作により計測されたpH測定値と、水溶液pHの管理範囲下限値PHLとの差から、補正されたORP補正値と予め求めたORP基準値を比較して該ORP基準値を基にして下限管理され、前記ORP基準値と温度およびpHが同じ条件で測定した時に、前記管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の半分の濃度のORP値と前記ORP基準値との差が20mV以上、かつ前記管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の2倍の濃度のORP値と前記ORP基準値との差が20mV以上であることを特徴とするヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度の管理方法。【選択図】 図1
Description
本発明は廃液等、ヒドラジンを含有する水溶液中のヒドラジン濃度の管理方法とヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法に関する。
ヒドラジンは還元作用を有するので、金属めっきや粉末合成等、水溶液中の金属イオンを析出(晶析)させるのに用いられるだけでなく、ボイラユニットの防食など、広く使用されている。しかしながら、この還元作用を有することからCOD(化学的酸素要求量)が高く、ヒドラジンを含む水溶液を排出しようとする時には、その濃度を管理する必要がある。
濃度管理に際し、先ずヒドラジン濃度を知る必要があり、そのためのヒドラジン濃度の測定方法には、JIS B 8224:2016に規定されたp−ジメチルアミノベンズアルデヒドを試薬として用いる比色法や、ポーラロ式酸化還元電流法が知られている。
例えばボイラユニット中のヒドラジン濃度は、少なすぎると防食効果が小さく、多すぎると廃液のCODが高くなりすぎて処理して低下させる必要があるので、このような方法で厳しく濃度管理が行われている。
例えばボイラユニット中のヒドラジン濃度は、少なすぎると防食効果が小さく、多すぎると廃液のCODが高くなりすぎて処理して低下させる必要があるので、このような方法で厳しく濃度管理が行われている。
ところが上記方法では、前者は測定までに10分程度の時間がかかること、後者は試薬(支持電解質)の投入が必要であること、などの問題点もあった。また両者ともμg/L程度の濃度では濃度と測定値に直線的に比例する関係があるが、濃度が0.1mg/Lを超えるようになると直線性が低下するため、高濃度の場合には希釈して測定する必要があった。
これらを解消するために、特許文献1には、JISで規定された比色法の測定装置を改良して、短時間で自動測定する方法が開示されている。また、ポーラロ式酸化還元電流法では、特許文献2において硝酸カリウム又は塩化カリウムを添加して、特許文献3において測定セルを通過する試料水の流量を特定の範囲とすることで、10mg/L程度まで濃度と測定値の直線性を向上させる方法が開示されている。
ヒドラジンを金属めっきや粉末合成の用途で用いる場合には、未還元の金属イオンが残留しないように、一般的には過剰にヒドラジンを添加して金属めっきや粉末合成の処理に供される。これらの処理終了後の液にはヒドラジンが残留しているが、最終的にはmg/Lレベルのヒドラジンを含有する廃液として排出されることが多い。当然この廃液中のヒドラジン濃度は、決められた基準以内であることを確認して排出されることになるので、ヒドラジン濃度が決められた上限未満であることを測定できれば十分である。しかしながら上記説明した測定法は精度が高く、μg/Lレベルの濃度を測定可能な分だけ装置が高価になってしまい、要求精度との間に乖離があった。
また、廃液の濃度は常時監視が必要となるが、上記の測定装置は既存の流路にインラインで設置できるような小型ではなく、これらの測定装置を使用する場合にはサンプリングラインを別途設置する必要もあった。
また、廃液の濃度は常時監視が必要となるが、上記の測定装置は既存の流路にインラインで設置できるような小型ではなく、これらの測定装置を使用する場合にはサンプリングラインを別途設置する必要もあった。
そこで、本発明はかかる問題点に鑑み、ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度の上限管理において、広く利用されている機器を用い、かつ既存の流路に設置してインラインで常時監視できるヒドラジンの濃度管理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ヒドラジンは還元剤であることから酸化還元電位(ORP)を利用することを鋭意検討した結果、温度およびpHの条件を特定の範囲とすれば、酸化還元電位(ORP)の測定値はヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度の上限管理に十分な精度を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の第1の発明は、ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度の管理方法であって、前記ヒドラジンを含む水溶液の温度、pH、酸化還元電位(ORP値)を、基準時刻J0からの経過時間tの変数として計測、記録する水溶液計測操作と、かつ、少なくとも水溶液温度の管理範囲下限値TLと水溶液pHの管理範囲下限値PHLを予め定めて記録する定数操作と、前記水溶液のヒドラジン濃度の管理範囲上限値と、前記水溶液温度の管理範囲下限値と、前記水溶液pHの管理範囲下限値とから定まる前記水溶液の酸化還元電位(ORP値)を、前記水溶液の酸化還元電位の基準値ORP0(ORP基準値)とし、前記水溶液計測操作により計測されたpH測定値と、前記水溶液pHの管理範囲下限値PHLとの差から、下記[1]式により補正されたORP補正値と前記ORP基準値を比較して該ORP基準値を基にして下限管理され、前記ORP基準値と温度およびpHが同じ条件で測定した時に、前記管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の半分の濃度のORP値と前記ORP基準値との差が20mV以上、かつ前記管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の2倍の濃度のORP値と前記ORP基準値との差が20mV以上であることを特徴とするヒドラジン濃度の管理方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明における管理範囲の上限とするヒドラジン濃度が1mg/L〜100mg/Lの範囲とすることを特徴とするヒドラジン濃度の管理方法である。
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明における水溶液の温度の管理範囲の下限値TLが20℃〜80℃の範囲であり、前記水溶液のpHの管理範囲の下限値PHLが2〜12の範囲であることを特徴とするヒドラジン濃度の管理方法である。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明における前記水溶液の温度の検出器と、前記水溶液のpHの検出器と、前記酸化還元電位(ORP)の検出器を個別或いは集合して前記ヒドラジンを含む水溶液の流路に設置して各検出器により得られた各測定値を用いて前記流路内を流れる前記ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジンの濃度を調整することを特徴とするヒドラジン濃度の管理方法である。
本発明の第5の発明は、ヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法であって、前記水溶液温度の管理範囲下限値と、前記水溶液のpHの管理範囲下限値とから定まる前記水溶液の酸化還元電位(ORP値)を、前記水溶液の酸化還元電位の基準値ORP0(ORP基準値)として設定することを特徴とするヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法である。
本発明により、高価な専用装置を用いることなく、広く利用されている温度、pH、及びORPを測定し、pHで補正したORP値を基準値として管理することで、ヒドラジンを含有する水溶液のヒドラジン濃度の上限管理を低コストで実現することが可能となる。
また、これらの測定は市販の検出器を、ヒドラジンを含有する水溶液の流路に設置するだけで、インラインで常時監視することが可能であり、例えばヒドラジンを含有する廃液の管理に用いれば産業上有用である。
また、これらの測定は市販の検出器を、ヒドラジンを含有する水溶液の流路に設置するだけで、インラインで常時監視することが可能であり、例えばヒドラジンを含有する廃液の管理に用いれば産業上有用である。
本実施の形態に係わるヒドラジン濃度の管理方法は、例えば廃液などヒドラジンを含む水溶液において、当該水溶液の温度、pH、及び酸化還元電位(ORP)を、基準時刻J0からの経過時間tの変数として計測、記録する水溶液計測操作と、少なくとも水溶液の温度の管理範囲下限値TLと水溶液のpHの管理範囲下限値PHLを予め定めて記録する定数操作を有し、ヒドラジンを1mg/L〜100mg/L程度含有しうる水溶液におけるヒドラジン濃度の上限を管理するのに有用である。
そこで、先ず、本実施の形態のヒドラジン濃度の管理方法を説明する前に、ヒドラジン濃度と温度とpHが変動した場合のORP値(ORPの測定値)の挙動について説明する。
そこで、先ず、本実施の形態のヒドラジン濃度の管理方法を説明する前に、ヒドラジン濃度と温度とpHが変動した場合のORP値(ORPの測定値)の挙動について説明する。
図1は、ヒドラジンを含有する水溶液の温度と水溶液のpHを一定にした時のヒドラジン濃度に対するORP値の変化を示す図で、当該水溶液のpHが4、液温20℃、pHが4、液温80℃、pHが12、液温20℃、pHが12、液温80℃におけるヒドラジン濃度に対するORP値の変化を示している。なお、ORP値はAg/AgClの基準電極を用いた時の値である。
図1から、ORP値はヒドラジン濃度が濃くなるにつれて低下するとともに、一律に低下するのではなく、ヒドラジン濃度が1mg/L〜100mg/Lの間に急激にORP値が低下する箇所が1箇所あることが分かる。
図1から、ORP値はヒドラジン濃度が濃くなるにつれて低下するとともに、一律に低下するのではなく、ヒドラジン濃度が1mg/L〜100mg/Lの間に急激にORP値が低下する箇所が1箇所あることが分かる。
ここで、ORP値はpHにも依存することは知られており、ネルンストの式から、下記(2)式が得られる。
廃液などでは、pHは一定の範囲内で変動することは通例であることから、上記関係式(2)を用いて特定のpHに補正したORP値を用いる方が管理はしやすくなる。
そこで、図1に示されるデータを用い、上記(2)式から、pH=8に補正したORP値を用いて、水溶液の温度が20℃、50℃、80℃におけるpHとヒドラジン濃度に対するpH補正後のORP値(以降、pH補正後ORP値とすることもある。)の等高線図を図2(20℃)、図3(50℃)、図4(80℃)に示す。
そこで、図1に示されるデータを用い、上記(2)式から、pH=8に補正したORP値を用いて、水溶液の温度が20℃、50℃、80℃におけるpHとヒドラジン濃度に対するpH補正後のORP値(以降、pH補正後ORP値とすることもある。)の等高線図を図2(20℃)、図3(50℃)、図4(80℃)に示す。
図2〜図4から、ヒドラジン濃度が濃くなるにつれてpH補正後ORP値が急激に低下するヒドラジン濃度は、温度が高くなるにつれて低濃度側に移行している。
また、ヒドラジン濃度が0.1mg/Lと低濃度の時には、温度、pHによらず、pH補正後ORP値がほぼ同等の値を示すが、ヒドラジン濃度が1mg/L〜10mg/Lを超えると、温度、pHが高いほどpH補正後ORP値は一段と低下する傾向が現れ、ヒドラジン濃度が1000mg/Lになると、この傾向が顕著になる。
また、ヒドラジン濃度が0.1mg/Lと低濃度の時には、温度、pHによらず、pH補正後ORP値がほぼ同等の値を示すが、ヒドラジン濃度が1mg/L〜10mg/Lを超えると、温度、pHが高いほどpH補正後ORP値は一段と低下する傾向が現れ、ヒドラジン濃度が1000mg/Lになると、この傾向が顕著になる。
以上をまとめると、
第一に、これらのpH補正後ORP値の挙動からヒドラジン濃度が0.1mg/L〜1000mg/Lの範囲において、ヒドラジン濃度が低い0.1mg/L付近では温度、pHによらずpH補正後ORP値はほぼ一定の値を示すこと。
第二に、ヒドラジン濃度が高くなるにつれてpH補正後ORP値は低下するが、ヒドラジン濃度が1mg/L〜100mg/Lの範囲において急激にpH補正後ORP値が低下する箇所があること、ヒドラジン濃度が1mg/L〜10mg/Lを超えると温度、pHが高いほどpH補正後ORP値は一段と低下すること、が特徴として認められる。
第一に、これらのpH補正後ORP値の挙動からヒドラジン濃度が0.1mg/L〜1000mg/Lの範囲において、ヒドラジン濃度が低い0.1mg/L付近では温度、pHによらずpH補正後ORP値はほぼ一定の値を示すこと。
第二に、ヒドラジン濃度が高くなるにつれてpH補正後ORP値は低下するが、ヒドラジン濃度が1mg/L〜100mg/Lの範囲において急激にpH補正後ORP値が低下する箇所があること、ヒドラジン濃度が1mg/L〜10mg/Lを超えると温度、pHが高いほどpH補正後ORP値は一段と低下すること、が特徴として認められる。
pH補正後ORP値がヒドラジン濃度の変化に対して変化率が大きい、つまりヒドラジン濃度に対してpH補正後ORP値が敏感に反応するほど、この値を用いてヒドラジン濃度を管理するには有利である。即ち、急激にpH補正後ORP値が低下するヒドラジン濃度が1mg/L〜100mg/Lの範囲で、pH補正後ORP値をヒドラジン濃度管理に利用する。
また、pH補正後ORP値は、上記の通り、温度、pHともに、高い値を示すほど低下する傾向にある。一方、ヒドラジンを含む水溶液の代表例である廃液では、温度およびpHの上下限値を定めて管理するのが通例である。
そこで、本実施の形態に係わるヒドラジン濃度の管理方法では、ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度の代用特性としてORP値を用い、予め予備実験で求められた、管理範囲の上限とするヒドラジン濃度と、水溶液の温度の管理範囲の下限値TLと、水溶液のpHの管理範囲の下限値PHLから定まる、当該水溶液の酸化還元電位(ORP)を、前記水溶液の酸化還元電位の基準値ORP0(以降、ORP基準値とすることもある)として設定する。
その上で、少なくとも水溶液の温度とpHの管理範囲の下限値が定められたヒドラジンを含む水溶液の温度とpHとORP値を測定し、pHの測定値とpHの管理範囲の下限値との差からORP測定値を補正したORP補正値と上記のORP基準値を比較し、このORP基準値を基にして下限管理する。
具体的には、ORP基準値以下となれば、ヒドラジン濃度が上限以上になったと判断する。ここで、ORP補正値は、上記(2)式から、下記[3]式のように表される。
その上で、少なくとも水溶液の温度とpHの管理範囲の下限値が定められたヒドラジンを含む水溶液の温度とpHとORP値を測定し、pHの測定値とpHの管理範囲の下限値との差からORP測定値を補正したORP補正値と上記のORP基準値を比較し、このORP基準値を基にして下限管理する。
具体的には、ORP基準値以下となれば、ヒドラジン濃度が上限以上になったと判断する。ここで、ORP補正値は、上記(2)式から、下記[3]式のように表される。
また、ORP基準値を基にして下限管理することには、ORP基準値に多少補正を行い、管理を強化したり緩和したりすることも含まれる。このようにすれば、上記で示すように、温度およびpHが管理下限値よりも高い値のヒドラジンを含む水溶液では、上記管理範囲の上限とするヒドラジン濃度よりも低いヒドラジン濃度でも、ORP補正値はORP基準値に到達してしまうので、ヒドラジン濃度の上限管理としては安全側に作用する。従って、温度およびpHの管理範囲内すべてにおいて、このORP基準値を下限値として管理すれば、ヒドラジン濃度は管理範囲の上限を超えることはない。なお、温度の測定値は、ヒドラジンを含む水溶液が温度の管理に用いられる。
さらに、上限とするヒドラジン濃度付近では、ヒドラジンの濃度変化に対してORPの変化率が大きい方が有利である。
即ち、本実施の形態に係わるヒドラジン濃度の管理方法では、管理範囲の上限とするヒドラジン濃度に対応するORP基準値に対して、ORP基準値と温度およびpHが同じ条件で測定した管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の半分の濃度のORP値との差が20mV以上、同じく管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の2倍の濃度のORP値と基準値との差も20mV以上とするのが好ましい。より好ましくは両者とも25mV以上、さらに好ましくは両者とも30mV以上とする。
即ち、本実施の形態に係わるヒドラジン濃度の管理方法では、管理範囲の上限とするヒドラジン濃度に対応するORP基準値に対して、ORP基準値と温度およびpHが同じ条件で測定した管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の半分の濃度のORP値との差が20mV以上、同じく管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の2倍の濃度のORP値と基準値との差も20mV以上とするのが好ましい。より好ましくは両者とも25mV以上、さらに好ましくは両者とも30mV以上とする。
以上を数式で表すと、ヒドラジン濃度C[mg/L]のORP値をORP(C)と表した場合、以下の(4)式及び(5)式を満足することを意味する。
ヒドラジン濃度の変化に対してORP値の変化が大きい方が好ましく、ヒドラジン濃度が半分もしくは2倍になった時とのORP値の差が20mVより小さくなると、見かけ上ORP値の変化が小さくてもヒドラジン濃度が十分に変化している恐れがあり、濃度管理としては不適切である。
そこで、具体的には、水溶液の温度を50℃、水溶液のpHを10の条件で、ヒドラジン濃度が10mg/Lを管理範囲の上限とみなした時、そのORP値は−441mV(基準電極はAg/AgCl)である。その半分の濃度である5mg/Lの時のORP値は−388mV、2倍の濃度である20mg/Lの時にはORP値は−484mVであり、上記(4)式および(5)式を満足し、ヒドラジン濃度の変化に対して十分にORP値も変化している。なお、上記具体的な試験では、ヒドラジンを含有する水溶液として、水加ヒドラジン(エムジーシー大塚ケミカル株式会社製、60%)を、純水およびpH調整用として硫酸または水酸化ナトリウムを用いて希釈、pH調整と、温度調整を実施して使用し、各水溶液温度でのORP値を測定した。
pHとORPは、pH/ORP電極(型式:GRMT90W)を装着したハンディpH/ORPメータ(東興化学研究所製)を使用し、ヒドラジン濃度の測定は、デジタルパックテスト ヒドラジン(型式:DPM2−HYD、共立理化学研究所製)を使用した。ORPの測定にはAg/AgClの基準電極を用いた。
pHとORPは、pH/ORP電極(型式:GRMT90W)を装着したハンディpH/ORPメータ(東興化学研究所製)を使用し、ヒドラジン濃度の測定は、デジタルパックテスト ヒドラジン(型式:DPM2−HYD、共立理化学研究所製)を使用した。ORPの測定にはAg/AgClの基準電極を用いた。
本実施の形態に係わるヒドラジン濃度の管理方法では、ヒドラジンを含む水溶液の管理範囲の上限とするヒドラジン濃度は1mg/L〜100mg/Lの範囲、より好ましくは1mg/L〜10mg/Lとする。このヒドラジン濃度が1mg/L〜100mg/Lの範囲において、ORP値は急激に低下する挙動を示すため、ORP値をヒドラジンの濃度管理に利用するのに好都合である。
また、本実施の形態に係わるヒドラジン濃度の管理方法では、ヒドラジンを含む水溶液の温度の管理範囲の下限値は20℃〜80℃の範囲とするのが好ましく、50℃〜80℃の範囲とするのがより好ましい。
同じくヒドラジンを含む水溶液のpHの管理範囲の下限値は2〜12の範囲とするのが好ましく、8〜12の範囲とするのがより好ましく、10〜12の範囲とするのがさらに好ましい。
これらの範囲とすることで、ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度をORP値で管理することが可能となる。
同じくヒドラジンを含む水溶液のpHの管理範囲の下限値は2〜12の範囲とするのが好ましく、8〜12の範囲とするのがより好ましく、10〜12の範囲とするのがさらに好ましい。
これらの範囲とすることで、ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度をORP値で管理することが可能となる。
本実施の形態に係わるヒドラジン濃度の管理方法では、ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度の管理を温度とpHとORPを測定するのみで可能としている。これらの測定は市販の装置を用いればよく、それらの検出器自体も小型で取り扱いが容易なものが公知である。
従って、これらの検出器を、既存のヒドラジンを含有する水溶液の流路に設置すれば、大規模な工事を必要とせず、容易にインラインで、かつ常時監視を実現することができる。
従って、これらの検出器を、既存のヒドラジンを含有する水溶液の流路に設置すれば、大規模な工事を必要とせず、容易にインラインで、かつ常時監視を実現することができる。
Claims (5)
- ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジン濃度の管理方法であって、
前記ヒドラジンを含む水溶液の温度、pH、酸化還元電位(ORP値)を、基準時刻J0からの経過時間tの変数として計測、記録する水溶液計測操作と、
かつ、少なくとも水溶液の温度の管理範囲下限値TLと水溶液のpHの管理範囲下限値PHLを予め定めて記録する定数操作と、
前記水溶液のヒドラジン濃度の管理範囲上限値と、
前記水溶液温度の管理範囲下限値と、
前記水溶液pHの管理範囲下限値とから定まる前記水溶液の酸化還元電位(ORP値)を、前記水溶液の酸化還元電位の基準値ORP0(ORP基準値)とし、
前記水溶液計測操作により計測されたpH測定値と、前記水溶液pHの管理範囲下限値PHLとの差から、下記[1]式により補正されたORP補正値と前記ORP基準値を比較して該ORP基準値を基にして下限管理され、
前記ORP基準値と温度およびpHが同じ条件で測定した時に、前記管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の半分の濃度のORP値と前記ORP基準値との差が20mV以上、かつ前記管理範囲の上限とするヒドラジン濃度の2倍の濃度のORP値と前記ORP基準値との差が20mV以上、
であることを特徴とするヒドラジン濃度の管理方法。
- 前記管理範囲の上限とするヒドラジン濃度が1mg/L〜100mg/Lの範囲とすることを特徴とする請求項1に記載のヒドラジン濃度の管理方法。
- 前記水溶液の温度の管理範囲下限値TLが20℃〜80℃の範囲であり、前記水溶液のpHの管理範囲の下限値PHLが2〜12の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒドラジン濃度の管理方法。
- 前記水溶液の温度の検出器と、前記水溶液のpHの検出器と、前記酸化還元電位(ORP)の検出器を個別或いは集合して前記ヒドラジンを含む水溶液の流路に設置して各検出器により得られた各測定値を用いて前記流路内を流れる前記ヒドラジンを含む水溶液のヒドラジンの濃度を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒドラジン濃度の管理方法。
- ヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法であって、
前記水溶液の温度の管理範囲下限値と、
前記水溶液のpHの管理範囲下限値とから定まる前記水溶液の酸化還元電位(ORP値)を、前記水溶液の酸化還元電位の基準値ORP0(ORP基準値)として設定することを特徴とするヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019139125A JP2021021656A (ja) | 2019-07-29 | 2019-07-29 | ヒドラジンを含有する水溶液のヒドラジン濃度の管理方法およびヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019139125A JP2021021656A (ja) | 2019-07-29 | 2019-07-29 | ヒドラジンを含有する水溶液のヒドラジン濃度の管理方法およびヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021021656A true JP2021021656A (ja) | 2021-02-18 |
Family
ID=74574741
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019139125A Pending JP2021021656A (ja) | 2019-07-29 | 2019-07-29 | ヒドラジンを含有する水溶液のヒドラジン濃度の管理方法およびヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021021656A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114778648A (zh) * | 2022-04-24 | 2022-07-22 | 深圳科瑞德健康科技有限公司 | 一种水溶液氧化还原电位值的测试系统及测量方法 |
-
2019
- 2019-07-29 JP JP2019139125A patent/JP2021021656A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114778648A (zh) * | 2022-04-24 | 2022-07-22 | 深圳科瑞德健康科技有限公司 | 一种水溶液氧化还原电位值的测试系统及测量方法 |
CN114778648B (zh) * | 2022-04-24 | 2023-10-31 | 深圳科瑞德健康科技有限公司 | 一种水溶液氧化还原电位值的测试系统及测量方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11913903B1 (en) | Systems and methods for testing and measuring compounds | |
Del Campo et al. | Improved free chlorine amperometric sensor chip for drinking water applications | |
JP6840368B2 (ja) | 残留塩素測定方法及び残留塩素測定装置 | |
CN112305035B (zh) | 校正来自不同分析测量装置的两个测量值的方法和测量点 | |
CN1841059A (zh) | 检查传感器功能的方法 | |
Baker et al. | Determination of microgram quantities of fluoride and cyanide by measurement of current from spontaneous electrolysis | |
JP2008275557A (ja) | ガス警報器 | |
JP2021021656A (ja) | ヒドラジンを含有する水溶液のヒドラジン濃度の管理方法およびヒドラジンを含む水溶液の酸化還元電位の基準値を設定する方法 | |
WO2009055093A1 (en) | Electrochemical methods for selective detection of free chlorine, monochloramine and dichloramine | |
CN107478766A (zh) | 次磷酸钠中氯化物测定的方法 | |
RU2326376C1 (ru) | Способ определения активности ионов натрия и устройство для его осуществления | |
Horvai et al. | A simple continuous method for calibration and measurement with ion-selective electrodes | |
CN104977393A (zh) | 一种船舶压载水处理系统用在线有效氯检测仪及检测方法 | |
JP2977646B2 (ja) | ステンレス鋼帯の脱スケール用中性塩電解浴の主要成分濃度測定方法 | |
JP4714209B2 (ja) | Cod自動計測器およびそれを用いたcodの測定方法 | |
JPH07294509A (ja) | 混合酸の分析方法および酸洗液の管理方法 | |
JP6814990B2 (ja) | 残留塩素測定方法及び残留塩素測定装置 | |
CN111373250B (zh) | 使用氯作为活性碱测定塔中游离氯浓度的方法 | |
EP1936366B1 (de) | Verfahren und Vorrichtung zur Überwachung einer elektrochemischen Halbzelle | |
Cover et al. | AUTOMATIC AND COULOMETRIC TITRATIONS IN STUDIES OF CHEMICAL KINETICS. I. COMPLEX FORMATION | |
US10274454B2 (en) | Concentration measurement method, concentration measurement program, concentration measurement system, and concentration measurement device | |
US5286358A (en) | Method of analyzing the complexing power of a pickling liquor | |
JP2006215014A (ja) | スケール防止剤濃度測定方法および装置 | |
EP3472597B1 (en) | A method for measuring the concentration of a chemical species using a reagent baseline | |
CN106645326A (zh) | 一种无毒快速的cod检测方法 |