JP2977646B2 - ステンレス鋼帯の脱スケール用中性塩電解浴の主要成分濃度測定方法 - Google Patents

ステンレス鋼帯の脱スケール用中性塩電解浴の主要成分濃度測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として硫酸ソーダ水
溶液から成る中性塩電解浴がステンレス鋼帯の脱スケー
ルに使用されるに従って変量,生成する硫酸ソーダ及び
6価クロムの各成分濃度の測定を正確に容易且つ迅速に
実施出来るステンレス鋼帯の脱スケール用中性塩電解浴
の主要成分濃度測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼帯はその製造過程における
焼鈍処理などによりその表面にスケール(金属酸化物)
を生成し、このスケールが残存したままの状態では種々
不都合があるため、脱スケール処理がなされる。この脱
スケール処理方法として、硫酸ソーダ水溶液中での電解
処理(以下、単に中性塩電解処理と言うことがある)、
或は苛性ソーダと硝酸ソーダとの混合溶融塩中での浸漬
処理等の前処理を行った後に硝弗酸に浸漬したり硝酸水
溶液中で電解処理を行ったり、更にこれらを組み合わせ
ることが広く行われている。中でも、中性塩電解処理は
特公昭38−12162号公報に開示されて以来、近年
広く採用されるに至った処理方法である。この中性塩電
解処理は、前述の如く電解浴として硫酸ソーダ水溶液が
広く使用されており、その浴管理は一般的にはpH,液
温度,液量の他に、電解中に変化する硫酸ソーダの濃
度,ステンレス鋼から溶解して生成する6価クロム(ク
ロム酸イオンで言うこともある)の濃度,スラッジの濃
度等の浴組成についての組成管理が行われている。
【0003】このうち、pHについては水素イオン電極
を用いる方法により、液温度については熱電対を用いる
方法により、液量については超音波液面高さ計等を用い
て得られる浴面高さに浴槽の横断面積を乗じる方法によ
り、それぞれ連続的ないし自動的な機器分析が可能であ
り、一般的に実施されている。しかしながら、硫酸ソー
ダの濃度,クロム酸イオンの濃度及びスラッジの濃度に
ついては、代表的に示す次のような方法が一般に用いら
れてきた。すなわち、硫酸ソーダの濃度についてはJI
SK0102,41.2項に記載の硫酸根を硫酸バリウムと
して沈殿させてその質量を計る方法、クロム酸イオンの
濃度についてはJISK0102,65.2項に示されてい
るジフェニルカルバジド吸光光度法又は原子吸光法、或
は一般的に酸化性物質を含む水溶液中の酸化性物質濃度
の測定に適用される還元剤(硫酸第一鉄アンモニウム,
チオ硫酸ソーダ等)と適当な指示薬とを使用した還元滴
定方法、スラッジ濃度についてはJISK0102,1
4.1項に示されている懸濁物質の濾過・乾燥法である。
これらの分析作業は、いずれも人手と熟練を要し、連続
的或は自動的な機器分析が殆ど不可能であることは勿
論、頻度を高めて測定することも困難であった。
【0004】一方、中性塩電解浴の能力維持のために
は、硫酸ソーダ濃度の管理のみでは不充分であり、同時
に老化物として蓄積していく6価クロム濃度の管理が必
要なことは広く知られている。このような背景から、信
頼性が高くしかも硫酸ソーダ濃度と6価クロム濃度との
正確で容易且つ迅速な同時的測定が可能で、加えて予測
出来ない浴の異常を管理するためにも多頻度ないし連続
実施の可能な測定方法が強く望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の欠点を解消し、ステンレス鋼の脱スケール用の中性
塩電解浴の組成管理において、中性塩電解処理能力に特
に影響を与える主要成分である中性塩濃度及びクロム酸
イオン濃度の同時的な測定を正確に容易且つ迅速に行う
ことが出来て、多頻度な測定、更には自動的な機器分析
による連続的な測定をも可能とさせることを課題とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は種々検討した
結果、超音波伝搬速度計測と溶液導電率計測とを組み合
わせ、且つその測定する場所を特定することによって前
記課題を解決出来ることを究明して本発明を完成した。
その経過を以下に説明する。一般に、超音波伝搬速度計
測によって溶質濃度を測定する超音波濃度計は、アルカ
リ,水分,塩,糖,酸,樹脂,有機溶媒,アルコール等
を対象に広く使用されている。超音波伝搬速度計測によ
る濃度測定の原理は、超音波の液体中での伝搬速度が速
くしかもこの伝搬速度(以下、単に音速と言うことがあ
る)が液体の種類(溶媒及び溶質の種類),溶質濃度及
び液温度によって大きく変化する性質を利用したもので
ある。すなわち液体の溶質濃度,液温度及び音速の関係
は一般的には複雑な場合が多く、液体の種類によって種
々変化するが、液体の種類が一定の場合これらの間には
一定の関係が成立するため、対象液体の温度及び音速を
計測することにより前記一定の関係から溶質濃度を知る
ことが出来るのである。
【0007】従って、溶質が例えば硫酸ソーダだけの水
溶液の濃度測定が超音波濃度計によって可能であること
は公知である。しかし、ステンレス鋼の脱スケール用の
中性塩電解浴の場合は、硫酸ソーダ,クロム酸イオン及
びスラッジが多量に含まれているため、これらが互いに
妨害し合って信頼の出来る濃度の測定は困難であるとさ
れてきた。そこで硫酸ソーダと6価クロムとが共に溶存
した水溶液について超音波伝搬速度と溶液導電率とを共
に計測した処、水溶液の組成(硫酸ソーダ濃度及び6価
クロム濃度)が一定な水溶液についてはその液温度が一
定であれば常にほぼ一定な各値が得られ、そして水溶液
の組成が異なればそれに応じて異なる計測値の得られる
ことが判った。これは水溶液中における硫酸ソーダと6
価クロムとは互いに共存相手の超音波伝搬速度及び溶液
導電率の各計測を妨害するとしても、両物質の混溶した
水溶液を一つの系と見たときの超音波伝搬速度と溶液導
電率は常に一定のそれぞれ一つの計測値を持つことを示
している。そして又、硫酸ソーダ濃度及び6価クロム濃
度で示される水溶液組成と超音波伝搬速度及び溶液導電
率から成る計測値組との対応について、水溶液組成及び
計測値組がそれぞれにおいて2つの異なる事項から成る
ことから、それぞれが一つの事項から成る場合に比べて
二次元的に位置が定められることによって互いに誤差を
補い合い、それによってよりシャープに対応することも
判った。
【0008】前記のような硫酸ソーダ及び6価クロムの
水溶液と実ラインの中性塩電解浴とは、スラッジの含有
の有無の点で相違する。この相違が、両者を前記と同様
に超音波伝搬速度及び溶液導電率を同時的に計測して両
者の計測値組が同じ場合に、前記水溶液においてその計
測値組に対応する水溶液組成と中性塩電解浴の実際の組
成との比較にどのような影響をもたらすかを調べた処、
中性塩電解浴の含有スラッジ濃度が1グラム/リットル
以上になると実際の浴組成よりも水溶液において計測値
組に対応する水溶液組成の方が低くなるが、電解浴を濾
過してスラッジを除去した試料を用いれば両者は同じに
なることが判った。従って、予め硫酸ソーダ及び6価ク
ロムの各種濃度既知の水溶液について超音波伝搬速度及
び溶液導電率を複数の温度下で計測して水溶液組成と計
測値組との関係を示す基準データとして前記各計測値を
温度と共に記録しておくことにより、濃度測定対象浴の
濾過液についてその超音波伝搬速度及び溶液導電率を計
測して前記基準データから硫酸ソーダ及び6価クロムの
各濃度を知ることが出来るのである。
【0009】本発明はこのような知見に基づいて完成さ
れたのである。すなわち本発明は、主として硫酸ソーダ
水溶液から成る中性塩電解浴をステンレス鋼帯の脱スケ
ールに使用するに従って変量,生成する硫酸ソーダ及び
6価クロムの各成分濃度を測定するに際して、電解槽に
発生する超音波の影響を避けるために前記中性塩電解浴
の一部が電解槽から取り出されて送液され再び元の電解
槽に戻る循環経路の途中から更に分岐した流路により濾
過装置を経て導かれる計測槽内で測定用試料浴について
超音波伝搬速度と溶液導電率と液温度とを計測し、予め
硫酸ソーダと6価クロムとの各種濃度既知の水溶液につ
いて前記計測時の温度周辺の複数温度毎に作成された超
音波伝搬速度及び溶液導電率の測定値から成る計測値組
と硫酸ソーダ濃度及び6価クロム濃度で示される水溶液
組成との関係を示す二次元検量線により、前記関係を温
度補正して各成分濃度を知ることを特徴とするステンレ
ス鋼帯の脱スケール用中性塩電解浴の主要成分濃度測定
方法に関するものである。
【0010】以下、本発明に係るステンレス鋼帯の脱ス
ケール用中性塩電解浴の主要成分濃度測定方法を図面に
よって詳細に説明する。図1及び図2は硫酸ソーダ濃度
及び6価クロム濃度で示される水溶液組成と超音波伝搬
速度及び溶液導電率から成る計測値組との関係を温度の
異なる2つの場合について示す図、図3及び図4は本発
明方法によって得られる硫酸ソーダ濃度及び6価クロム
濃度それぞれの温度補正による誤差程度を示す図、図5
は本発明方法の実施の1態様をそれに適する装置例と共
に示す図である。
【0011】本発明において使用する二次元検量線を作
成するための基準データは次のように実験して得る。先
ず、硫酸ソーダ及び6価クロムの各種濃度の水溶液を調
製する。本発明が測定対象とする液は、実ラインにおけ
る中性塩電解浴である。従って硫酸ソーダ及び6価クロ
ムの各濃度も実ラインでの濃度変動範囲を考慮して、通
常、硫酸ソーダについては0〜200グラム/リット
ル、6価クロムについては0〜50グラム/リットルと
なるように各水溶液を調製するのが好ましい。これは中
性塩電解浴の濃度管理範囲としては、硫酸ソーダの濃度
が50〜200グラム/リットルで且つ6価クロム濃度
が50グラム/リットル以下が好ましいからである。そ
の理由は、硫酸ソーダについてはその水への溶解度が低
いために、200グラム/リットルを超える濃度に浴を
調製をしようとした場合に未溶解の硫酸ソーダが浴内に
残留して種々の弊害を生じること、そして50グラム/
リットル未満では電解処理効果が期待出来ないためであ
る。また6価クロムについてはその濃度が50グラム/
リットルを超えると、電解処理効果が期待出来ないため
と、硫酸ソーダの溶解度が更に低下するためとである。
【0012】次に計測温度を定める。超音波伝搬速度及
び導電率は、共に液温度の影響を大きく受ける。そのた
め、前記水溶液の計測温度を濃度測定対象浴の計測温度
と同じに定めるのが好ましい。しかしながら、実ライン
における濃度測定対象浴の計測温度は、測定場所が電解
槽に近いか,電解槽からいくつかの流路を経て導かれる
離れた所にあるかによってその間に受ける温度変化に違
いがある上、浴温度自体が一定範囲内で変動又は計画的
に変えているため、必ずしも一定していない。そこで予
測される計測温度範囲(多くの場合電解槽中の温度範囲
に近い)内のどの温度での計測であっても内挿法又は外
挿法によって温度補正が出来るように、前記予測される
計測温度範囲の少なくとも両端部を含む複数の温度(こ
れらの温度は計測温度から言ってその周辺温度となる)
を基準データ作成のための水溶液の計測温度と定める。
例えば、中性塩電解浴の液温管理値を80±10℃とし
ている実ラインに適用する基準データの作成のための水
溶液計測温度として70℃と90℃とを定める。
【0013】次に、前記調製した各種水溶液についてそ
の超音波伝搬速度と溶液導電率とを前記で定めた水溶液
の計測温度例えば70℃と90℃とで計測する。計測に
当っては、超音波伝搬速度,溶液導電率及び液温度それ
ぞれの計測用センサを備えた測定機器を使用するのが便
利である。このようにして得られた水溶液組成(硫酸ソ
ーダ濃度及び6価クロム濃度)とこれに対応する計測値
組(超音波伝搬速度及び溶液導電率)との基準データの
1例(水溶液組成範囲及び計測温度は何れも例示したも
の)を二次元検量線としてグラフに示したのが図1(計
測温度が70℃の場合)及び図2(同じく90℃の場
合)である。これらの図は、超音波伝搬速度を横軸、溶
液導電率を縦軸とする直角座標の中の或る計測値組を示
す位置に、それに対応する水溶液組成が判るように座標
内に目盛を付したものである。このような二次元検量線
における計測値組と水溶液組成との関係は、後に説明す
る多成分用濃度計の記憶演算装置に記憶させておくこと
が出来る。
【0014】このようにして計測値組と水溶液組成との
関係が得られたら、次に濃度測定対象浴すなわち実ライ
ンの中性塩電解浴について超音波伝搬速度と溶液導電率
とを計測温度と共に計測する。この3項目についての計
測は、浴が急変しない限り必ずしも同時的に行う必要は
ないが、なるべく時間を空けないでほぼ同時的に計測す
るのが好ましい。前記したようにこれらの計測は浴を一
旦濾過してスラッジを除去した瀘液について行う。この
スラッジの除去は、測定機器或は多成分用濃度計のセン
サがスラッジによって汚染されないようにするためにも
必要であって、本発明方法でない方法でセンサを使用す
る場合にも行われていたことである。本発明方法におけ
る濾過の程度は、粒径1μm以上のスラッジを90%以
上除去することで充分であり、そのような性能の濾過装
置を使用するのが好ましい。
【0015】前記のような濾液について超音波伝搬速度
と溶液導電率と液温度とを計測したら、予め作成してお
いた前記基準データによる計測値組と水溶液組成との関
係から濃度測定対象浴の硫酸ソーダ濃度と6価クロム濃
度とを知る。その手法を具体的に説明する。二次元検量
線を用いる場合について図1及び図2を例にして説明す
ると、実際の計測温度が丁度二次元検量線の温度例えば
70℃に一致するときは図1を用い、得られた計測値組
の位置をその横軸,縦軸の目盛によって座標上に見出
し、その位置が硫酸ソーダ濃度及び6価クロム濃度を示
す目盛の如何なる数値に当るかによってそれぞれの成分
濃度を読み取るのである。若し実際の計測温度と二次元
検量線の温度とが一致しないときは、2つの二次元検量
線から一先ず実際の計測値組と同じ計測値組に対応する
各成分濃度を読み取り、この読み取った2つの濃度と2
つの二次元検量線の温度及び実際の計測温度とから内挿
法又は外挿法によって実際の計測濃度に対応する各成分
濃度を計算する。このようにして得られた各成分濃度す
なわち水溶液組成と計測によって得られた計測値組と
は、先に基準データから得ておいた計測値組と水溶液組
成との関係を実際の計測温度における関係に温度補正し
た場合におけるものである。このようにして得られた各
成分濃度がすなわち測定目的とする成分濃度である。
又、超音波伝搬速度,溶液導電率及び液温度それぞれの
計測用のセンサと、記憶演算装置とを備えた多成分用濃
度計を使用するときは、これに前記二次元検量線の関係
を記憶させておき、計測値をマニュアルで入力するか自
動的に入力するようにして前記グラフの場合と同様な温
度補正によって各成分濃度を知るようにすることも出来
る。
【0016】次に、前記のように温度補正をした場合の
誤差程度を実証的に説明する。図1及び図2の二次元検
量線の基準データを得たときに使用した硫酸ソーダ及び
6価クロムを混溶した各種組成の水溶液のうち、硫酸ソ
ーダ濃度が0グラム/リットル,100グラム/リット
ル,150グラム/リットル,200グラム/リットル
の4つの場合と、6価クロム濃度が0グラム/リット
ル,20グラム/リットル,50グラム/リットルの3
つの場合とを組み合わせた計12種の各水溶液につい
て、75℃,80℃,85℃の各計測温度における超音
波伝搬速度及び溶液導電率を計測して各水溶液1種につ
き3組の実際の計測値組を得た。そしてこれら12種の
水溶液の組成が未知であると仮定して本発明方法を適用
し、前記した手法と同様にして合計36組の濃度測定値
組を得た。これらの濃度測定値組を硫酸ソーダ濃度及び
6価クロム濃度のそれぞれについてその各実濃度に対す
る測定濃度の分布範囲つまり本発明方法における温度補
正による誤差程度を調べたのが図3(硫酸ソーダ濃度の
場合)及び図4(6価クロム濃度の場合)である。図3
及び図4から判るように、本発明方法は温度補正による
誤差が5%程度であり、充分信頼出来るものである。
【0017】本発明方法は、実ラインにおける中性塩電
解浴の硫酸ソーダ濃度及び6価クロム濃度の測定を正確
に容易且つ迅速に、そして多頻度に更には機器分析を利
用して連続的ないし自動的に実施することを可能とさせ
る。このような実施態様をそれに適する装置例と共に図
5により説明する。すなわち、超音波伝搬速度,溶液導
電率及び液温度の計測を、電解槽に発生する超音波の影
響を避けるために中性塩電解浴の一部が電解槽から取り
出されて送液され再び元の電解槽に戻る循環経路の途中
から更に分岐した流路により濾過装置を経て導かれる計
測槽内で行うのである。この実施態様においては濃度計
として超音波伝搬速度、溶液導電率及び液温度それぞれ
の計測用のセンサと、記憶演算装置と、表示装置とを備
えた多成分用濃度計が使用されている。
【0018】ステンレス鋼帯Sは入側送板ロール1a及
び入側浸漬ロール1cを経て電解浴1bの貯液された電
解槽1に連続的に送板され、ステンレス鋼帯Sと対向す
るように電解槽1a内に配置された電解用電極1dの作
用により電解処理を受けた後に出側浸漬ロール1c及び
出側送板ロール1aを経て連続的に送板される。一方、
電解液1bは電解槽1と循環槽1eとの間で配管1gと
循環ポンプ1fとを経て強制循環されているが、この強
制循環経路の途中で電解液1bはこの循環経路から分岐
された配管2d,濾過装置2e,定量ポンプ2fを経て
サンプル採取槽2に送液されると共に、配管2gにて循
環槽1eに戻されている。ここでサンプル採取槽2を設
ける理由は、濃度計が超音波伝搬速度を測定するもので
ある関係から、電解槽1内で生じる水素ガス或は酸素ガ
ス等の気泡が破壊する時に生じる超音波による外乱を避
けるためである。このサンプル採取槽2内にサンプリン
グされた電解液1b内に、濃度計の温度センサ2a,超
音波伝搬速度センサ2b及び導電率センサ2c部を浸漬
する。これらのセンサ2a,2b及び2cの各出力は二
次元検量線の関係を予め記憶させた記憶演算装置2hに
て処理され、電解液1bの液温,硫酸ソーダ濃度及び6
価クロム濃度が連続的に表示装置2iに表示される。
【0019】サンプル採取槽2に供給される電解液1b
は、1μm以上の粒径を有するスラッジを90%以上除
去する能力を有した濾過装置2eにより、含有されるス
ラッジが除去される。このような装置を使用して本発明
方法を実施すれば、中性塩電解液の硫酸ソーダ濃度及び
6価クロム濃度の同時的な且つ迅速な測定を頻度多く更
には自動的ないし連続的に実施することは極めて容易で
ある。
【0020】
【実施例】実施例1建浴直後の及び建浴後実ラインで使
用しながら6ヶ月経過後の同一中性塩電解浴を対象に、
本発明方法と従来方法(比較例)とによって得られた硫
酸ソーダ濃度及び6価クロム濃度とを表1に示す。な
お、測定値は10回の繰返し測定の平均値であり、標準
偏差を括弧内に示す。
【0021】 使用した多成分用濃度計は多成分超音波濃度計MODE
L−50(スズキ株式会社製)を改造したものであっ
た。表1から、本発明方法により得られた硫酸ソーダ濃
度及び6価クロム濃度は従来方法のものと殆んど一致し
ており、バラツキも同じである。しかも、測定は極めて
正確で迅速且つ容易に行うことが出来るのである。
【0022】
【発明の効果】以上に詳述したように本発明に係るステ
ンレス鋼帯の脱スケール用中性塩電解浴の主要成分濃度
測定方法は、以下に列挙するような効果を有しており、
その工業的価値の非常に大きなものである。 中性塩
電解浴中の硫酸ソーダ及び6価クロムの濃度管理を正確
で迅速且つ容易に、また多頻度ないし連続的にも実施出
来るようになったため、これらの分析に要する作業負荷
が低減された。 迅速に浴情報が得られるようになっ
たことから浴条件の調整が容易となり、その結果中性塩
電解処理作用が安定し、ステンレス鋼帯の脱スケールの
能力安定化による品質の向上が図れた。 超音波伝搬
速度,溶液導電率及び液温度の測定を電解槽に発生する
超音波の影響を避けるために中性塩電解浴の一部が電解
槽から取り出されて送液され再び元の電解槽に戻る循環
経路の途中から更に分岐した流路により濾過装置を経て
導かれる計測槽内で行うため、正確な測定が可能となっ
た。 中性塩電解処理作用が安定した結果、後続の硝
弗酸の使用量が低減し、製造コストの低減及び環境汚染
物質の排出量の低減が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1及び図2】硫酸ソーダ濃度及び6価クロム濃度で
示される水溶液組成と超音波伝搬速度及び溶液導電率か
ら成る計測値組との関係を温度の異なる2つの場合につ
いて示す図である。
【図3及び図4】本発明方法によって得られる硫酸ソー
ダ濃度及び6価クロム濃度それぞれの温度補正による誤
差程度を示す図である。
【図5】本発明方法の実施の1態様をそれに適する装置
例と共に示す図である。
【符号の説明】
1 電解槽 1a 送板ロール 1b 電解浴 1c 浸漬ロール 1d 電解用電極 1e 循環槽 1f 循環ポンプ 1g 配管 2 サンプル採取槽 2a 温度センサ 2b 超音波伝搬速度センサ 2c 溶液導電率センサ 2d 試料採取用配管 2e 濾過装置 2f 試料採取用ポンプ 2g 配管 2h 記憶演算装置 2i 表示装置 S ステンレス鋼帯

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として硫酸ソーダ水溶液から成る中性
    塩電解浴をステンレス鋼帯の脱スケールに使用するに従
    って変量,生成する硫酸ソーダ及び6価クロムの各成分
    濃度を測定するに際して、電解槽に発生する超音波の影
    響を避けるために前記中性塩電解浴の一部が電解槽から
    取り出されて送液され再び元の電解槽に戻る循環経路の
    途中から更に分岐した流路により濾過装置を経て導かれ
    る計測槽内で測定用試料浴について超音波伝搬速度と溶
    液導電率と液温度とを計測し、予め硫酸ソーダと6価ク
    ロムとの各種濃度既知の水溶液について前記計測時の温
    度周辺の複数温度毎に作成された超音波伝搬速度及び溶
    液導電率の測定値から成る計測値組と硫酸ソーダ濃度及
    び6価クロム濃度で示される水溶液組成との関係を示す
    二次元検量線により、前記関係を温度補正して各成分濃
    度を知ることを特徴とするステンレス鋼帯の脱スケール
    用中性塩電解浴の主要成分濃度測定方法。
  2. 【請求項2】 超音波伝搬速度,溶液導電率及び液温度
    それぞれの計測用のセンサと、請求項1に記載の二次元
    検量線の関係を記憶していて計測値から濃度を算出する
    記憶演算装置とを備えた多成分用濃度計を使用する請求
    項1に記載のステンレス鋼帯の脱スケール用中性塩電解
    浴の主要成分濃度測定方法。
  3. 【請求項3】 粒径1μm以上のスラッジを90%以上
    除去する能力を有する濾過装置により中性塩電解浴を濾
    過してスラッジをほぼ除去した試料浴を測定対象とする
    請求項1又は2に記載のステンレス鋼帯の脱スケール用
    中性塩電解浴の主要成分濃度測定方法。
JP3201155A 1991-07-17 1991-07-17 ステンレス鋼帯の脱スケール用中性塩電解浴の主要成分濃度測定方法 Expired - Fee Related JP2977646B2 (ja)

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