===第1実施形態===
<印刷システム1の基本的な構成>
図1Aは、本実施形態の印刷システム1の概要説明図である。図1Bは、印刷装置10のキャリッジ21に搭載された部材の説明図である。図2は、印刷システム1のブロック図である。
以下の説明では、キャリッジ21の移動方向を「走査方向」又は「左右方向」と呼ぶことがある。また、フラットテーブル31(又は媒体M)の移動方向を「搬送方向」と呼び、印刷済みの媒体Mの排出側(フラットテーブル31から見て作業者の側)のことを「手前側」又は「搬送方向下流側」と呼び、逆側を「奥側」又は「搬送方向上流側」と呼ぶことがある。フラットテーブル31の載置面に垂直な方向を「上下方向」と呼び、フラットテーブル31から見て媒体Mの載置される側を「上」と呼び、逆側を「下」と呼ぶことがある。
印刷システム1は、媒体Mにインク滴を吐出して印刷を行うためのシステムである。印刷システム1は、コンピューター3と、印刷装置10とを有する。但し、コンピューター3の果たす機能を印刷装置10が実現することによって、印刷システム1が印刷装置10単体で構成されても良い。
コンピューター3は、印刷装置10を制御するための印刷制御装置である。コンピューター3は、印刷装置10を制御するための指令コードを生成し、その指令コードを印刷装置10に送信する。コンピューター3から指令コードを受信した印刷装置10は、指令コードに沿って各部を制御して、媒体Mへの印刷を行うことになる(後述)。また、コンピューター3は、印刷すべき画像のデータ(後述の画像データ)も印刷装置10に送信する。コンピューター3は、例えば汎用のパーソナルコンピューターであり、印刷制御プログラム(いわゆるプリンタドライバ)がインストールされている。コンピューター3の処理装置(例えばCPU)は、記憶媒体(例えばメモリ)に記憶された印刷制御プログラムを実行することによって、指令コードを生成する印刷制御部として機能する。
印刷装置10は、媒体Mにインク滴を吐出して印刷を行うための装置である。本実施形態の印刷装置10は、媒体Mに紫外線硬化型インク(いわゆるUVインク)を吐出し、媒体M上に形成されたドットに紫外線を照射してドットを硬化させるUVプリンタである。本実施形態の印刷装置10は、コントローラー11と、キャリッジ部20と、搬送部30と、印刷部40と、照射部50と、レーザーポインター60とを備えている。なお、第1実施形態では、レーザーポインター60は、無くても良い。レーザーポインター60については、第2実施形態で説明する。
コントローラー11は、印刷装置10の制御を司る制御部である。コントローラー11は、コンピューター3からの指令コードに基づいて、印刷装置10の各駆動部(キャリッジ用モーター22、搬送用モーター32、ヘッド駆動部42、LED駆動部52、LD駆動部62など)を制御する。
キャリッジ部20は、キャリッジ21を走査方向(左右方向)に往復移動させるためのユニットである。キャリッジ部20は、キャリッジ21と、キャリッジ用モーター22とを有する。キャリッジ21は、走査方向に往復移動する部材である。キャリッジ21には、ヘッド41、照射部50、及びレーザーポインター60が搭載されている(図1B参照)。キャリッジ21が走査方向に往復移動することによって、キャリッジ21に搭載された部材(ヘッド41、照射部50、及びレーザーポインター60)を走査方向に往復移動させることが可能である。キャリッジ用モーター22は、キャリッジ21を走査方向に移動させるための駆動部である。コントローラー11は、キャリッジ用モーター22の駆動を制御することによって、キャリッジ21の移動を制御することになる。
キャリッジ部20は、キャリッジ21の走査方向の位置を検出するための走査位置検出部23を有する。なお、走査位置検出部23は、キャリッジ21の走査方向の位置を検出することによって、キャリッジ21に搭載されている部材(ヘッド41、照射部50、及びレーザーポインター60)の走査方向の位置も実質的に検出している。走査位置検出部23は、検出結果をコントローラー11に出力する。ここでは、走査位置検出部23は、原点センサ及びリニアエンコーダーから構成されている。
原点センサは、キャリッジ21がハードウェア上の原点(第1座標系の原点)に到達したときに、パルス信号をコントローラー11に出力する。コントローラー11は、原点センサのパルス信号に基づいて、キャリッジ21が原点(走査方向の原点)にあることを検出できる。
なお、以下の説明では、ハードウェアの構成や形状から定まる座標系のことを「第1座標系」と呼ぶことがある。ここでは、第1座標系は、走査方向及び搬送方向を2軸とする2次元の座標系である。これに対し、ソフトウェア上の座標系(後述する画像データ上の座標系)のことを「第2座標系」と呼ぶことがある。
リニアエンコーダーは、キャリッジ21が所定距離(例えば1/720インチ)で移動する毎に、パルス信号をコントローラー11に出力する。コントローラー11は、リニアエンコーダーからのパルス信号に基づいて、キャリッジ21が所定距離移動したことを検出できる。このため、コントローラー11は、原点センサからのパルス信号を検出後、リニアエンコーダーからのパルス信号をカウントすることによって、原点(第1座標系の原点)からの走査方向の距離を検出でき、第1座標系上でのキャリッジ21(若しくは、キャリッジ21に搭載されているヘッド41、照射部50、及びレーザーポインター60)の走査方向の位置を検出できる。
なお、走査位置検出部23は、リニアエンコーダーの代わりに、キャリッジ用モーター22の駆動量(回転量)を検出するロータリーエンコーダーを備えても良い。また、キャリッジ用モーター22がステッピングモーターの場合には、コントローラー11は、エンコーダーからのパルス信号をカウントする代わりに、キャリッジ用モーター22に出力したパルス数に基づいて、キャリッジ21が走査方向に所定距離移動したことを検出できる。このため、この場合、走査位置検出部23は、原点センサのみで構成可能である。
搬送部30は、媒体Mを搬送するための機構である。搬送対象となる媒体Mは、例えば厚みのあるプラスチック製の板状部材である。但し、媒体Mは、これに限られるものではなく、単票用紙、フィルム、布などでも良い。また、媒体Mの印刷面は、平面に限られるものではない。例えば、媒体Mが球状のボールなどの場合には、印刷面は曲面になる。
搬送部30は、フラットテーブル31と、搬送用モーター32とを有する。フラットテーブル31は、媒体Mを載置する載置台(支持台)であり、搬送方向に移動可能である。フラットテーブル31には、媒体Mだけでなく、例えば媒体Mを支持するための治具や、媒体Mを吸着させるための吸着装置なども載置可能である。搬送用モーター32は、フラットテーブル31を搬送方向に搬送させるための駆動部である。コントローラー11は、搬送用モーター32の駆動を制御することによって、フラットテーブル31(若しくは、媒体M)の移動を制御することになる。フラットテーブル31を移動させて媒体Mを搬送方向に搬送する動作のことを「搬送動作」と呼ぶことがある。
搬送部30は、フラットテーブル31(若しくは、媒体M)の搬送方向の位置を検出するための搬送位置検出部33を有する。搬送位置検出部33は、検出結果をコントローラー11に出力する。ここでは、搬送位置検出部33は、走査位置検出部23と同様に、原点センサ及びリニアエンコーダーから構成されている。但し、走査位置検出部23と同様に、搬送位置検出部33は、リニアエンコーダーの代わりに、搬送用モーター32の駆動量(回転量)を検出するロータリーエンコーダーを用いても良い。また、搬送用モーター32がステッピングモーターの場合、コントローラー11は、エンコーダーからのパルス信号をカウントする代わりに、搬送用モーター32に出力したパルス数に基づいて、フラットテーブル31が搬送方向に所定距離移動したことを検出しても良い。
印刷部40は、媒体Mにインク滴を吐出するためのユニットである。印刷部40は、ヘッド41と、ヘッド駆動部42とを有する。ヘッド41は、インクを吐出するためのノズル列を有している。ヘッド駆動部42は、ヘッド41の各ノズルからのインク滴の吐出・非吐出を行わせる駆動部である。ヘッド駆動部42は、例えばヘッド41がピエゾ式であればピエゾ素子を駆動する駆動部である。ヘッド41は、キャリッジ21に搭載されており(図1B参照)、キャリッジ21と共に走査方向に移動可能である。コントローラー11は、ヘッド駆動部42を制御することによって、ヘッド41からのインク滴の吐出を制御することになる。
ヘッド41の下面には、ノズル列が形成されている。ノズル列は、搬送方向に並ぶ複数のノズルから構成されている。キャリッジ21には、4個のヘッド41が搭載されている(図1B参照)。4個のヘッド41は、走査方向に並んで配置されている。言い換えると、複数のノズル列は、走査方向に並んで配置されている。
本実施形態では、ヘッド41から吐出されるインクは、光が照射されると硬化する光硬化型インク(光硬化性樹脂)である。ここでは、光硬化型インクは、紫外線硬化型インク(いわゆるUVインク)であるが、他の波長の光が照射されて硬化するインクであっても良い。光硬化型インクは、光の照射前には流動性を有しているが、所定の照射量の光が照射されると固化する性質を有する。媒体Mに吐出されたインク(ドット)に光が照射されると、媒体Mにドットを定着させることができる。
照射部50は、光硬化型インクを硬化させるための光を照射するユニットである。本実施形態では、照射部50は、LEDアレイ51と、LED駆動部52とを有する。LEDアレイ51は、発光素子512であるLEDを配列させた発光素子群である。LEDアレイ51は、発光素子512を2次元配列させることによって、所定範囲に光を照射可能である。なお、発光素子512は、紫外線を照射するが、紫外線以外の光を照射しても良い。LED駆動部52は、発光素子512となるLEDを駆動して、発光素子512をオン・オフ(点灯・消灯)させるための駆動部である。コントローラー11は、LED駆動部52を制御することによって、LEDアレイ51の発光素子512(LED)のオン・オフを制御することになる。LEDアレイ51及びLED駆動部52の構成については後述する。
照射部50は、キャリッジ21に搭載されており(図1B参照)、キャリッジ21(及びヘッド41)とともに走査方向に移動可能である。照射部50は、下方に向かって光を照射し、フラットテーブル31(若しくは媒体M)に向かって光を照射することになる。キャリッジ21には一対の照射部50が搭載されており、一対の照射部50は、走査方向からヘッド41を挟むように、ヘッド41の左右にそれぞれ配置されている。これにより、いわゆる双方向印刷を可能としている。但し、左右方向からヘッド41を挟むように一対の照射部50を配置する代わりに、左右のどちらか一方だけに照射部50を配置しても良い。
上記の構成の印刷装置10では、印刷時に、コントローラー11は、印刷装置10の各駆動部(キャリッジ用モーター22、搬送用モーター32、ヘッド駆動部42、LED駆動部52)を制御して、「パス」と呼ばれる動作と、搬送動作とを交互に行わせて、媒体Mに画像を印刷することになる。「パス」とは、キャリッジ21を走査方向に移動させながら、ヘッド41からインクを吐出させる動作である。本実施形態では、印刷装置10がUVプリンタであるため、コントローラー11は、キャリッジ21の移動中に、走査方向に移動するヘッド41からインクを吐出させるだけでなく、照射部50からドット(媒体Mに吐出されたインク)に光を照射させる動作も行うことになる。なお、或るパスにおいて、照射部50は、そのパスで形成されたドットに光を照射するだけでなく、そのパスよりも前のパスで形成されたドットに光を照射しても良い。
<照射部50の構成と印刷時の動作について>
図3Aは、本実施形態の照射部50の概要説明図である。図3Bは、比較例の照射部50の概要説明図である。本実施形態及び比較例のLEDアレイ51は、いずれとも、発光素子512となるLEDが走査方向及び搬送方向に2次元配列されて構成されている。ここでは、搬送方向に多数の発光素子512の並んだ発光素子列511が、走査方向に4つ配列されることによって、LEDアレイ51が構成されている。比較例のLED駆動部52は、全ての発光素子512に共通のスイッチ部を有しており、全ての発光素子512を同時にオン・オフ(点灯・消灯)させるように構成されている。これに対し、本実施形態のLED駆動部52は、発光素子512毎にそれぞれ設けられたスイッチ部を有しており、発光素子512毎に個別にオン・オフ(点灯・消灯)できるように構成されている。
・比較例における印刷時の動作について
図10A及び図10Bは、比較例における印刷時の動作の説明図である。図10Aは、比較例における印刷時の動作を上から見た図である。ここでは説明のため、発光素子512及びヘッド41を透過させて図示している。図10Bは、比較例における印刷時の動作を手前から見た図である。なお、図10A及び図10Bには、キャリッジ21が左から右に移動するパスにおける動作が上から順に示されている。ここでは説明のため、一対の照射部50のうちの一方(左側の照射部50)だけを図示している。図中の白丸で示された発光素子512は消灯してことを示しており、黒丸で示された発光素子512は点灯していることを示している。上記の図示方法は、他の図においても同様である。
図10A及び図10Bに示すように、コントローラー11は、キャリッジ21を左から右に向かって移動させる。キャリッジ21の移動中、コントローラー11の位置判定部11A(図2参照)は、走査位置検出部23の検出結果に基づいて、ヘッド41や照射部50の走査方向の位置(第1座標系の位置)を取得する。なお、コントローラー11の位置判定部11A(図2参照)は、搬送位置検出部33の検出結果に基づいて、フラットテーブル31の搬送方向の位置(第1座標系の位置)も取得している。そして、コントローラー11は、位置判定部11Aの取得したヘッド41(及びフラットテーブル31)の現在位置に基づいて、ヘッド41から媒体Mにインク滴を吐出させ、媒体M上にドットを形成する。また、コントローラー11の照射判定部11Bは、位置判定部11Aの取得した照射部50の現在位置に基づいて、照射部50のいずれかの発光素子512がフラットテーブル31に対向しているか否かを判定する。いずれかの発光素子512がフラットテーブル31に対向していれば、コントローラー11は、発光素子512を点灯させるように照射部50を制御する。一方、いずれの発光素子512もフラットテーブル31に対向していなければ、コントローラー11は、発光素子512を消灯させるように照射部50を制御する。
比較例では、全ての発光素子512が同時にオン・オフ(点灯・消灯)するように照射部50が構成されている。このため、比較例では、一部の発光素子512がフラットテーブル31に対向していれば、全ての発光素子512が点灯することになる。このため、比較例では、フラットテーブル31に対向していない発光素子512が点灯することがある(上から2番目と4番目の図を参照)。但し、フラットテーブル31に対向していない発光素子512が点灯すると、フラットテーブル31の外部に光が漏洩し、フラットテーブル31の外部で反射した反射光がヘッド41に入射するおそれがある。そして、ヘッド41に反射光が照射されてしまうと、ノズル内のUVインクが硬化してしまい、ノズルの目詰まりが発生するおそれがある。このため、フラットテーブル31の外部に漏洩するような光(印刷に不要な光)は、できる限り減らすことが望ましい。
・第1実施形態における印刷時の動作について1
図4A及び図4Bは、第1実施形態における印刷時の動作の説明図である。
図4A及び図4Bに示すように、コントローラー11は、キャリッジ21を左から右に向かって移動させる。キャリッジ21の移動中、コントローラー11の位置判定部11A(図2参照)は、走査位置検出部23及び搬送位置検出部33の検出結果に基づいて、キャリッジ21の位置(第1座標系の位置)を取得する。なお、キャリッジ21に対する各ヘッド41や照射部50(若しくは各発光素子512)の位置関係は設計上で既知であるため、コントローラー11の位置判定部11A(図2参照)は、キャリッジ21の位置が取得できれば、ヘッド41や照射部50の位置(第1座標系の位置)も取得できる。そして、コントローラー11は、位置判定部11Aの取得したヘッド41の現在位置に基づいて、ヘッド41から媒体Mにインク滴を吐出させ、媒体M上にドットを形成することになる。
第1実施形態では、コントローラー11の照射判定部11Bは、位置判定部11Aの取得した照射部50の現在位置(第1座標系の位置)に基づいて、発光素子512がフラットテーブル31に対向しているか否かを判定する。そして、第1実施形態では、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、フラットテーブル31に対向している発光素子512は点灯させ、フラットテーブル31に対向していない発光素子512は消灯させるように、発光素子512毎に個別にオン・オフ(点灯・消灯)させるように照射部50を制御する。後述するように、キャリッジ21の移動中、照射部50とフラットテーブル31との位置関係が変化し、この結果、フラットテーブル31に対向しない発光素子512(及び、対向する発光素子512)が変化するため、印刷動作中(キャリッジ21の移動中)に照射部50のオン・オフ(点灯・消灯)する発光素子512が逐次変化することになる。
なお、本実施形態では、コントローラー11の照射判定部11Bは、それぞれの発光素子512ごとに個別にフラットテーブル31に対向しているか否かを判定して、各発光素子512のオン・オフ(点灯・消灯)を制御している。但し、照射部50や各発光素子512の位置関係は設計上で既知であるため、照射判定部11Bは、照射部50の代表点(例えば照射部50の外周縁に位置する点など)の現在位置(第1座標系の位置)に応じて、点灯領域と消灯領域とを決定し、点灯領域に属する発光素子512は点灯させ、消灯領域に属する発光素子512を消灯させるようにして、照射部50を制御しても良い。つまり、照射判定部11Bは、それぞれの発光素子512ごとに個別にフラットテーブル31に対向しているか否かを判定しなくても良い(この点は、他の実施形態においても同様である)。
図4A及び図4Bの上から1番目の図に示す段階では、照射部50はフラットテーブル31よりも左外側に位置しており、照射部50の全ての発光素子512がフラットテーブル31に対向していない。この段階では、コントローラー11の照射判定部11Bは、位置判定部11Aの取得した照射部50の現在位置(第1座標系の位置)に基づいて、全ての発光素子512がフラットテーブル31に対向していないと判定することになる。このため、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、全ての発光素子512を消灯させることになる。この状態からキャリッジ21が左から右に移動すると、上から2番目の図に示すように、照射部50の右側の部位がフラットテーブル31と対向する位置に到達する。
図4A及び図4Bの上から2番目の図に示す段階では、照射部50の右側の部位はフラットテーブル31と対向しており、照射部50の左側の部位はフラットテーブル31よりも左外側に位置している。コントローラー11の照射判定部11Bは、位置判定部11Aの取得した照射部50の現在位置(第1座標系の位置)に基づいて、照射部50の右側の発光素子列511の発光素子512はフラットテーブル31に対向しており、照射部50の左側の発光素子列511の発光素子512はフラットテーブル31に対向していないと判定することになる。このため、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、照射部50の右側の発光素子列511の発光素子512(フラットテーブル31に対向している発光素子512)を点灯させるとともに、照射部50の左側の発光素子列511の発光素子512(フラットテーブル31に対向していない発光素子512)を消灯させることになる。本実施形態によれば、図4A及び図4Bの上から2番目の図に示すように、フラットテーブル31に対向していない発光素子512は消灯するため、比較例(図10A及び図10B参照)と比べて、フラットテーブル31の外部に漏洩する光を減らすことができる。この結果、フラットテーブル31の外部で反射した反射光がヘッド41に入射することを抑制できるため、ノズルの目詰まりを抑制することができる。
なお、ヘッド41から媒体Mに吐出されたインク滴は、媒体Mに着弾して、媒体M上でドットを形成することになる。そして、媒体M上に形成されたドットは、発光素子512から照射された光(紫外線)によって硬化することになる。第1実施形態では、フラットテーブル31に対向しない発光素子512は消灯することになるが、フラットテーブル31に対向する発光素子512は点灯するため、媒体M上に形成されたドットは、発光素子512から照射された光(紫外線)によって硬化することになる。また、フラットテーブル31の外側にインクが吐出されることは無いため、ドットに光を照射しない位置の発光素子512を消灯しているだけなので、このような発光素子512を消灯しても、ドットの硬化には影響は無い。このため、フラットテーブル31に対向しない発光素子512を消灯することは許容されている。
このように、キャリッジ21が左から右に移動すると、照射部50の右側の発光素子列511から順に、発光素子512が点灯することになる。そして、図4A及び図4Bの上から3番目の図に示すように、照射部50の全ての発光素子512がフラットテーブル31に対向する。この段階では、コントローラー11の照射判定部11Bは、位置判定部11Aの取得した照射部50の現在位置(第1座標系の位置)に基づいて、全ての発光素子512がフラットテーブル31に対向していると判定することになる。このため、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、全ての発光素子512を点灯させることになる。この状態からキャリッジ21が左から右に移動すると、上から4番目の図に示すように、照射部50の右側の部位がフラットテーブル31の右外側へ通過する。
図4A及び図4Bの上から4番目の図に示す段階では、照射部50の右側の部位はフラットテーブル31よりも右外側に位置しており、照射部50の左側の部位はフラットテーブル31と対向している。コントローラー11の照射判定部11Bは、位置判定部11Aの取得した照射部50の現在位置(第1座標系の位置)に基づいて、照射部50の右側の発光素子列511の発光素子512はフラットテーブル31に対向しておらず、照射部50の左側の発光素子列511の発光素子512はフラットテーブル31に対向していると判定することになる。このため、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、照射部50の右側の発光素子列511の発光素子512(フラットテーブル31に対向していない発光素子512)を消灯させるとともに、照射部50の左側の発光素子列511の発光素子512(フラットテーブル31に対向している発光素子512)を点灯させることになる。本実施形態によれば、図4A及び図4Bの上から4番目の図に示すように、フラットテーブル31に対向していない発光素子512は消灯するため、比較例と比べて、フラットテーブル31の外部に漏洩する光を減らすことができる。この結果、フラットテーブル31の外部で反射した反射光がヘッド41に入射することを抑制できるため、ノズルの目詰まりを抑制することができる。
更にキャリッジ21が左から右に移動すると、照射部50の右側の発光素子列511から順に、発光素子512が消灯することになる。そして、図4A及び図4Bの一番下の図に示すように、照射部50がフラットテーブル31よりも右外側に位置し、照射部50の全ての発光素子512がフラットテーブル31に対向しない状態になり、照射部50の全ての発光素子512が消灯することになる。
・第1実施形態における印刷時の動作について2
図5A及び図5Bは、第1実施形態における印刷時の別の動作の説明図である。
前述の図4A及び図4Bに示す印刷時の動作では、照射部50がフラットテーブル31に対向するとき、照射部50の搬送方向の全範囲がフラットテーブル31に対向していた。但し、図5A及び図5Bに示すように、フラットテーブル31の搬送方向の位置に応じて、照射部50の搬送方向の一部がフラットテーブル31に対向し、照射部50の搬送方向の残りの一部はフラットテーブル31に対向しないことがある。
このような場合においても、コントローラー11の照射判定部11Bは、位置判定部11Aの取得した照射部50の現在位置(第1座標系の位置)に基づいて、それぞれの発光素子512ごとに、発光素子512がフラットテーブル31に対向しているか否かを判定する。そして、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、フラットテーブル31に対向している発光素子512は点灯させ、フラットテーブル31に対向していない発光素子512は消灯させるように、発光素子512毎に個別にオン・オフ(点灯・消灯)させるように照射部50を制御する。
図5A及び図5Bの上から2番目の図に示す段階では、照射部50の右側の部位のうちの搬送方向奥側はフラットテーブル31と対向しており、照射部50の右側の部位の搬送方向手前側と照射部50の左側の部位は、フラットテーブル31よりも左外側に位置している。コントローラー11の照射判定部11Bは、位置判定部11Aの取得した照射部50の現在位置(第1座標系の位置)に基づいて、照射部50の右側の発光素子列511のうち、搬送方向奥側の発光素子512はフラットテーブル31に対向していると判定し、搬送方向手前側の発光素子512はフラットテーブル31に対向していないと判定し、照射部50の左側の発光素子列511の発光素子512はフラットテーブル31に対向していないと判定することになる。このため、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、照射部50の右側の発光素子列511のうちの搬送方向奥側の発光素子512(フラットテーブル31に対向している発光素子512)を点灯させ、照射部50の右側の発光素子列511のうちの搬送方向手前側の発光素子512(フラットテーブル31に対向していない発光素子512)と、照射部50の左側の発光素子列511の発光素子512(フラットテーブル31に対向していない発光素子512)は、消灯させることになる。
なお、図5A及び図5Bに示すように、或るパスにおいて、フラットテーブル31よりも搬送方向手前側に位置する発光素子512は、そのパスの間、フラットテーブル31に対向しないことは明らかである。このため、コントローラー11の照射判定部11Bは、フラットテーブル31よりも搬送方向手前側に位置する発光素子512についてはフラットテーブル31に対向しないものとパス前に予め判定しておき、残りの発光素子512(そのパスでフラットテーブル31と対向する位置の発光素子512)だけを判定対象として、そのパスにおいて(そのパスの最中に)、照射部50の現在位置に基づいてフラットテーブル31に対向しているか否かをリアルタイムで判定しても良い。これにより、コントローラー11の演算負荷を軽減させることができる。若しくは、既に説明したように、照射判定部11Bは、照射部50の代表点の現在位置(第1座標系の位置)に応じて、点灯領域と消灯領域とを決定し、点灯領域・消灯領域に応じてそれぞれの発光素子512の点灯・消灯を制御しても良い。
前述の図4A及び図4Bに示す印刷時の動作では、各発光素子列511の全ての発光素子512は、共通にオン・オフ(点灯・消灯)しているが、図5A及び図5Bに示すように、同じ発光素子列511の発光素子512であっても、フラットテーブル31に対向するか否かに応じて、個別にオン・オフ(点灯・消灯)することが望ましい。これにより、フラットテーブル31の外部に漏洩するような光(印刷に不要な光)をできる限り減らすことができる。
===第2実施形態===
前述の第1実施形態では、発光素子512は、フラットテーブル31に対向するか否かに応じて、個別にオン・オフ(点灯・消灯)していた。但し、これに限られるものではない。光を照射すべきドットは、媒体Mの外側に形成されることは無いため、第2実施形態では、媒体Mに対向するか否かに応じて、発光素子512を個別にオン・オフ(点灯・消灯)する。なお、本実施形態では、媒体Mの領域をコントローラー11に認識させるため、キャリッジ21に搭載されたレーザーポインター60を利用している。
<レーザーポインター60について>
図6Aは、レーザーポインター60を用いた基準位置の設定の様子の説明図である。
レーザーポインター60は、可視光を照射するユニットである。本実施形態では、レーザーポインター60は、基準位置の設定に用いられることになる。レーザーポインター60は、レーザーダイオード61(LD)と、LD駆動部62とを有する(図2参照)。レーザーダイオード61は、スポット状のレーザー光を照射する発光素子である。LD駆動部62は、レーザーダイオード61を駆動して、レーザーダイオード61をオン・オフ(点灯・消灯)させるための駆動部である。コントローラー11は、LD駆動部62を制御することによって、レーザーダイオード61のオン・オフを制御することになる。
レーザーポインター60は、キャリッジ21に搭載されており(図1B参照)、キャリッジ21(及びヘッド41)とともに走査方向に移動可能である。レーザーポインター60は、下方に向かって光を照射し、フラットテーブル31(若しくは媒体M)に向かって光を照射することになる。
作業者は、印刷装置10の操作パネル12を操作して、レーザーポインター60からフラットテーブル31(若しくは媒体M)に向かってレーザー光を照射させる。また、作業者は、フラットテーブル31(若しくは媒体M)の所望の位置(基準位置とすべき位置)にレーザー光が照射されるように、印刷装置10の操作パネル12を操作して、キャリッジ21を走査方向に移動させて走査方向の位置を調整するとともに、フラットテーブル31を搬送方向に移動させて搬送方向の位置を調整する。ここでは、図6Aに示すように、基準位置は、媒体Mの角(右手前)としている。但し、基準位置は、これに限られるものではなく、媒体Mの中心位置でも良い。また、基準位置は、媒体Mの位置に限られるものではなく、印刷可能エリアの角としても良いし、印刷予定の画像の中心位置となるべき位置でも良い。基準位置にレーザー光を照射させた状態で、作業者が操作パネル12の設定ボタンを押すと、コントローラー11の位置判定部11Aは、そのときの走査位置検出部23及び搬送位置検出部33の検出結果に基づいて、そのときの第1座標系上の座標(走査方向及び搬送方向における位置)を基準位置として記憶し、これにより、基準位置が設定される。
媒体Mのサイズ(走査方向の幅、及び搬送方向の幅)が予めコントローラー11に記憶されていれば、コントローラー11は、設定された基準位置(図6A参照)と、予め登録された媒体Mのサイズとに基づいて、第1座標系における媒体Mの領域(媒体Mの占める領域)を認識できる。一方、未登録のサイズの媒体Mに印刷を行う場合には、作業者は、操作パネル12を操作して、媒体Mのサイズを入力する。これにより、コントローラー11は、設定された基準位置(図6A参照)と、操作パネル12から入力された媒体Mのサイズとに基づいて、第1座標系上における媒体Mの領域を認識できる。若しくは、図6Bに示すように、基準位置となる角の対角(左奥)にレーザー光が照射されるように、作業者が、印刷装置10の操作パネル12を操作して、キャリッジ21及びフラットテーブル31の位置をそれぞれ調整し、そのときの第1座標系上の座標(走査方向及び搬送方向における第1座標系上の位置)を記憶させれば、コントローラー11は、媒体Mのサイズを認識できるとともに、第1座標系上における媒体Mの領域を認識できる。
<第2実施形態における印刷時の動作>
図7A及び図7Bは、第2実施形態における印刷時の動作の説明図である。図中には、照射部50の右側の部位がフラットテーブル31上の媒体Mと対向しており、照射部50の左側の部位が媒体Mよりも左外側に位置している段階での印刷時の様子が示されている。また、参考のため、図7Cには、この段階における第1実施形態の印刷時の様子が示されている。
第2実施形態においても、コントローラー11は、キャリッジ21を走査方向(ここでは左から右に向かう方向)に移動させることになる。キャリッジ21の移動中、コントローラー11の位置判定部11A(図2参照)は、走査位置検出部23及び搬送位置検出部33の検出結果に基づいて、キャリッジ21の位置(第1座標系の位置)を取得する。既に説明したように、コントローラー11の位置判定部11A(図2参照)は、キャリッジ21の位置が取得できれば、ヘッド41や照射部50の位置(第1座標系の位置)も取得できる。そして、コントローラー11は、位置判定部11Aの取得したヘッド41の現在位置に基づいて、ヘッド41から媒体Mにインク滴を吐出させ、媒体M上にドットを形成する。この点については、第1実施形態(若しくは比較例)と同様である。
第2実施形態では、コントローラー11の照射判定部11Bは、位置判定部11Aの取得した照射部50の現在位置(第1座標系の位置)に基づいて、それぞれの発光素子512ごとに、発光素子512が媒体Mに対向しているか否かを判定する。そして、第2実施形態では、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、媒体Mに対向している発光素子512は点灯させ、媒体Mに対向していない発光素子512は消灯させるように、発光素子512毎に個別にオン・オフ(点灯・消灯)させるように照射部50を制御する。
第2実施形態においても、フラットテーブル31に対向しない発光素子512は消灯することになる。このため、第2実施形態においても、フラットテーブル31の外部で反射した反射光がヘッド41に入射することを抑制できるため、ノズルの目詰まりを抑制することができる。なお、第2実施形態では、媒体Mに対向する発光素子512は点灯するため、媒体M上に形成されたドットは、発光素子512から照射された光(紫外線)によって硬化することになる。
また、第2実施形態では、第1実施形態とは異なり(図7C参照)、発光素子512は、フラットテーブル31に対向していても、媒体Mに対向していなければ、消灯することになる。但し、媒体Mの外側にインクが吐出されることは無いため、ドットに光を照射しない位置の発光素子512を消灯しているだけなので、このような発光素子512を消灯しても、ドットの硬化には影響は無い。一方、仮に媒体Mに対向していない発光素子512が点灯すると、媒体Mの外部に光が漏洩し、例えばフラットテーブル31の表面で反射した反射光がヘッド41に入射するおそれがある。そして、ヘッド41に反射光が照射されてしまうと、ノズル内のUVインクが硬化してしまい、ノズルの目詰まりが発生するおそれがある。このため、第2実施形態によれば、第1実施形態よりも、反射光がヘッド41に入射することを更に抑制できるため、ノズルの目詰まりを更に抑制することができる。
===第3実施形態===
前述の実施形態では、発光素子512は、フラットテーブル31若しくは媒体Mに対向するか否かに応じて、個別にオン・オフ(点灯・消灯)していた。但し、これに限られるものではなく、要するに、インクの吐出された領域(ドット形成領域)には光が照射され、インクの吐出されていない領域(未ドット形成領域)には光が照射されないようにすれば良い。
図8Aは、媒体Mに印刷される画像データの説明図である。画像データは、画像を示すデータである。ここでは、画像データは、所定領域(ここでは矩形領域)に配置された画像「A」を示すデータとして構成されている。画像データは、多数の画素データから構成されている。画素データは、画素の階調値を示すデータである。画像データ上の画像は、XY平面上の矩形領域に多数の画素が2次元的に配列されて構成されており、各画素には画素データが対応付けされている。ここでは、白又は黒の階調を示す画素によって画像「A」が構成されている。但し、各画素は、灰色の階調を示しても良いし、カラーの階調値でも良い。ここでは、画像データ上の原点(第2座標系の原点)は、矩形領域の右上の角としている。なお、画像データの原点は、この位置に限られるものではない。また、画像データの外枠は、矩形に限られるものではなく、例えば円形や楕円形であっても良い。
図8Bは、図8Aに示す画像データと、媒体Mに印刷される画像との関係を示す説明図である。既に説明したように、媒体Mはフラットテーブル31に載置されている。コントローラー11は、図8Aに示す画像データに基づいて、ヘッド41からインク滴を媒体Mに吐出させて媒体M上にドットを形成させ、照射部50から光をドットに照射させてドットを硬化させ、多数のドットによって媒体M上に画像(ここでは、画像「A」)を形成することになる。このとき、図6Aに示すように基準位置が設定された後、コントローラー11は、媒体Mの角(右手前)の基準位置に対して画像データの原点が所定の位置関係になるように、画像の印刷位置を設定する。これにより、媒体Mの縁に所定幅の「余白領域」が設定される。「余白領域」は、後述の「画像データ領域」よりも外側の媒体Mの領域である。余白領域の幅は、設定に応じて変更可能である。ここでは、画像データ上のX軸が走査方向と平行になり、画像データ上のY軸が搬送方向と平行になるように、画像の印刷位置が設定されている。但し、画像データ上のX軸・Y軸は、走査方向・搬送方向と平行で無くても良く、傾いていても良い(回転していても良い)。
図8Bの矩形の点線(余白領域の内側の範囲を示す矩形の点線)は、画像データの外枠に相当する領域を示している。以下の説明では、この点線で囲まれた領域(図8Bの矩形の点線の領域)のことを「画像データ領域」と呼ぶことがある。仮に画像データの全画素が黒画素で構成されている場合には、画像データ領域にインクが吐出され、矩形の黒塗り画像が形成されることになる。このため、画像データ領域は、インクの吐出される限界範囲を示している。コントローラー11は、第1座標系上における画像データ領域を、基準位置(第1座標系の所定位置)と、画像データのサイズ(第2座標系における画像データの外枠のサイズ)と、余白領域の設定値(基準位置と、第2座標系の原点との位置関係)とに基づいて、算出することができる。
ここでは、画像データは、白又は黒の階調を示す画素によって構成された画像「A」を示すデータであるため、媒体M上の矩形の画像データ領域の内側には、ドットの形成された領域と、ドットの形成されていない領域とが存在する。主に、画像データ上の黒画素に相当する媒体M上の位置にはドットが形成されている。以下の説明では、媒体M上のドットの形成された領域のことを「ドット形成領域」又は「黒画素相当領域」と呼ぶことがある。画像データ上の白画素に相当する媒体M上の位置にはドットが形成されていない。以下の説明では、媒体M上のドットの形成されていない領域のことを「非ドット形成領域」又は「白画素相当領域」と呼ぶことがある。コントローラー11は、第1座標系上におけるドット形成領域又は非ドット形成領域を、基準位置(第1座標系の所定位置)と、画像データの各画素の座標(第2座標系)及び階調値と、余白領域の設定値(基準位置と、第2座標系の原点との位置関係)とに基づいて、算出することができる。
図9Aは、第3実施形態の印刷時の動作を上から見た説明図である。図中には、照射部50の右側の部位が媒体M上の画像データ領域と対向しており、照射部50の左側の部位が画像データ領域よりも左外側に位置している段階での印刷時の様子が示されている。
第3実施形態においても、コントローラー11は、キャリッジ21を走査方向(ここでは左から右に向かう方向)に移動させることになる。キャリッジ21の移動中、コントローラー11の位置判定部11A(図2参照)は、走査位置検出部23及び搬送位置検出部33の検出結果に基づいて、キャリッジ21等の位置(第1座標系の位置)を取得する。そして、コントローラー11は、位置判定部11Aの取得したヘッド41の現在位置に基づいて、ヘッド41から媒体Mにインク滴を吐出させ、媒体M上にドットを形成する。この点については、他の実施形態と同様である。
第3実施形態では、コントローラー11の照射判定部11Bは、それぞれの発光素子512ごとに、発光素子512が画像データ領域に対向しているか否かを判定する。コントローラー11の照射判定部11Bは、前述の第1実施形態及び第2実施形態では、キャリッジ21等の位置(第1座標系の位置)に基づいて発光素子512がフラットテーブル31又は媒体Mの領域に対向しているか否かを判定していたが、第3実施形態では、キャリッジ21等の位置(第1座標系の位置)だけでなく、画像データのサイズ(及び余白領域の設定値)にも基づいて、各発光素子512が画像データ領域に対向しているか否かを判定することになる。そして、第3実施形態では、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、画像データ領域に対向している発光素子512は点灯させ、画像データ領域に対向していない発光素子512は消灯させるように、発光素子512毎に個別にオン・オフ(点灯・消灯)させるように照射部50を制御する。
第3実施形態では、第1実施形態や第2実施形態とは異なり、発光素子512は、媒体Mに対向していても、画像データ領域に対向していなければ、消灯することになる。但し、画像データ領域よりも外側(余白領域)にインクが吐出されることは無いため、ドットに光を照射しない位置の発光素子512を消灯しているだけなので、このような発光素子512を消灯しても、ドットの硬化には影響は無い。一方、仮に余白領域に対向している発光素子512が点灯すると、余白領域で反射した反射光がヘッド41に入射するおそれがある。このため、第3実施形態によれば、第1実施形態や第2実施形態よりも、反射光がヘッド41に入射することを更に抑制できる。
・変形例
図9Bは、第3実施形態の変形例の説明図である。
変形例では、コントローラー11の照射判定部11Bは、それぞれの発光素子512ごとに、発光素子512がドット形成領域に対向しているか否かを判定する。変形例では、コントローラー11の照射判定部11Bは、画像データのサイズの代わりに、画像データの各画素の座標(第2座標系)及び階調値に基づいて、各発光素子512がドット形成領域に対向しているか否かを判定することになる。言い換えると、コントローラー11の照射判定部11Bは、キャリッジ21等の位置(第1座標系の位置)と、画像データ上の黒画素の座標(第2座標系の位置)と、余白領域の設定値とに基づいて、各発光素子512がドット形成領域に対向しているか否かを判定することになる。そして、変形例では、コントローラー11は、照射判定部11Bの判定結果に基づいて、ドット形成領域に対向している発光素子512は点灯させ、ドット形成領域に対向していない発光素子512は消灯させるように、発光素子512毎に個別にオン・オフ(点灯・消灯)させるように照射部50を制御する。
変形例では、第3実施形態とは異なり、発光素子512は、画像データ領域に対向していても、ドット形成領域に対向していなければ、消灯することになる。但し、非ドット形成領域にはインクが吐出されることは無いため、ドットに光を照射しない位置の発光素子512を消灯しているだけなので、このような発光素子512を消灯しても、ドットの硬化には影響は無い。一方、仮に非ドット形成領域に対向している発光素子512が点灯すると、非ドット形成領域で反射した反射光がヘッド41に入射するおそれがある。このため、第3実施形態によれば、第3実施形態よりも、反射光がヘッド41に入射することを更に抑制できる。
なお、上記の第3実施形態(及び変形例)においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、フラットテーブル31に対向しない発光素子512は消灯することになる。このため、第3実施形態においても、フラットテーブル31の外部で反射した反射光がヘッド41に入射することを抑制できる。また、第3実施形態(及び変形例)においても、第2実施形態と同様に、媒体Mに対向しない発光素子512は消灯することになる。このため、第3実施形態においても、媒体Mの外部のフラットテーブル31の表面で反射した反射光がヘッド41に入射することを抑制できる。なお、第3実施形態では、ドットに対向する発光素子512は点灯することになるため、媒体M上に形成されたドットは、発光素子512から照射された光(紫外線)によって硬化することになる。
===小括===
上記の印刷装置10は、フラットテーブル31と、キャリッジ21と、ヘッド41と、照射部50と、コントローラー11(制御部)とを備えており、コントローラー11は、パス(キャリッジ21を走査方向に移動させながらヘッド41からインクを吐出させるととも照射部50から光を照射させる動作)と、搬送動作(フラットテーブル31を移動させて媒体Mを搬送方向に搬送させる動作)とを行わせることによって、媒体Mに画像を印刷させるように構成されている。そして、第1実施形態~第3実施形態(変形例を含む)によれば、コントローラー11は、キャリッジ21の移動中において(パスにおいて)、複数の発光素子512のうちフラットテーブル31と対向しない少なくとも一部の発光素子512を消灯させ、媒体Mに形成されたドット(媒体Mに吐出されたインク)に発光素子512の光を照射させている(例えば、図4A及び図4Bの上から2番目の図を参照)。これにより、比較例(図10A及び図10B参照)と比べて、フラットテーブル31の外部に漏洩する光を減らすことができるため、反射光がヘッド41に入射することを抑制でき、ノズルの目詰まりを抑制することができる。
また、第1実施形態~第3実施形態(変形例を含む)によれば、印刷装置10は、キャリッジ21とフラットテーブル31との位置関係を検出するための検出部として、走査位置検出部23及び搬送位置検出部33を備えている。そして、コントローラー11は、検出部(走査位置検出部23及び搬送位置検出部33)の検出結果に基づいて、照射部50のそれぞれの発光素子512を制御している。これにより、コントローラー11は、フラットテーブル31と対向しない発光素子512を消灯させることができる。
上記の第2実施形態及び第3実施形態(変形例を含む)によれば、コントローラー11は、複数の発光素子512のうちフラットテーブル31に載置した媒体Mと対向しない発光素子512を消灯させ、ドットに発光素子512の光を照射させている(例えば、図7A及び図7Bを参照)。これにより、第1実施形態と比べて、フラットテーブル31の表面で反射した反射光がヘッド41に入射することを抑制できるため、ノズルの目詰まりを更に抑制することができる。
また、第2実施形態及び第3実施形態(変形例を含む)では、印刷前に、図6Aに示すように、コントローラー11は、媒体Mとキャリッジとが所定の位置関係にあるときの検出部(走査位置検出部23及び搬送位置検出部33)の検出結果を基準位置として予め記憶する。そして、印刷時には、コントローラー11は、キャリッジ21の移動中において(パスにおいて)、予め設定した基準位置と、パス中の検出部(走査位置検出部23及び搬送位置検出部33)の検出結果とに基づいて、照射部50のそれぞれの発光素子512を制御している。これにより、コントローラー11は、媒体Mと対向しない発光素子512を消灯させることができる。なお、前述の実施形態では、レーザーポインター60が用いられているが、基準位置の設定にレーザーポインター60が用いられなくても良い。例えば、センサやカメラ等を用いて、フラットテーブル31に載置されている媒体Mの位置を検出することによって、媒体Mとキャリッジとが所定の位置関係にあることを検出することも可能である。
上記の第3実施形態(変形例を含む)によれば、コントローラー11は、複数の発光素子512のうち画像データ領域(媒体Mに印刷すべき画像を示す画像データ(図8A参照)に対応する領域:図8B参照)と対向しない発光素子512を消灯させ、ドットに発光素子512の光を照射させている(例えば、図9A参照)。これにより、第2実施形態と比べて、媒体Mの表面で反射した反射光がヘッド41に入射することを抑制できるため、ノズルの目詰まりを更に抑制することができる。
また、第3実施形態(変形例を含む)では、コントローラー11は、キャリッジ21の移動中において(パスにおいて)、パス中の検出部(走査位置検出部23及び搬送位置検出部33)の検出結果だけでなく、画像データにも基づいて、照射部50のそれぞれの発光素子512を制御している。これにより、コントローラー11は、画像データ領域と対向しない発光素子512を消灯させることができる。
上記の第3実施形態の変形例によれば、コントローラー11は、複数の発光素子512のうちドット形成領域(図8B参照)と対向しない発光素子512を消灯させ、ドットに発光素子512の光を照射させている(例えば、図9B参照)。これにより、第3実施形態と比べて、媒体Mの表面で反射した反射光がヘッド41に入射することを抑制できるため、ノズルの目詰まりを更に抑制することができる。
また、第3実施形態の変形例では、コントローラー11は、キャリッジ21の移動中において(パスにおいて)、パス中の検出部(走査位置検出部23及び搬送位置検出部33)の検出結果だけでなく、画像データにおける各画素の座標及び階調値にも基づいて、照射部50のそれぞれの発光素子512を制御している。これにより、コントローラー11は、ドット形成領域と対向しない発光素子512を消灯させることができる。
===その他の実施形態===
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。