以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
なお、本明細書において「インクジェットプリンタ」とは、従来公知のインクジェット技術による印刷方法、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式等の連続方式や、サーマル方式、あるいは圧電素子方式等の各種のオンデマンド方式を利用したプリンタ全般をいう。また、「プリンタ」には、二次元の画像を印刷する2Dプリンタと、三次元の造形物を造形する3Dプリンタ(三次元造形装置)と、が包含されうる。
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタともいう。)1の正面図である。プリンタ1は、2Dプリンタである。なお、以下の説明において、左、右、上、下とは、プリンタ1の正面にいるユーザ(プリンタ1の使用者)から見た左、右、上、下をそれぞれ意味し、プリンタ1からユーザに近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ、前、後、左、右、上、下を表すものとする。また、図面中の符号X、Y、Zは、搬送方向(前後方向)、主走査方向(左右方向)、上下方向を表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上定めたものに過ぎず、プリンタ1の設置態様を何ら限定するものではない。
プリンタ1は、大判サイズの記録媒体2に対して画像を印刷する業務用の大型プリンタである。本実施形態において、記録媒体2はロール状の媒体であり、所謂、ロール紙である。ただし、記録媒体2の形態はロール状に限定されない。また、記録媒体2の材質も特に限定されない。記録媒体2は、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類以外に、例えば、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)やポリエステル等の樹脂製のシート、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、木材、ガラス、ゴム等の各種の材料からなる板材、織布や不織布等の布帛、皮革、その他の媒体であってもよい。また、本実施形態において「画像」とは、記録媒体2上に形成される像のことであり、その内容は特に限定されない。画像には、文字、数字、記号、図形、絵柄、模様等が含まれる。
図1に示すように、プリンタ1は、プラテン3と、ガイドレール4と、ケーシング9と、キャリッジ10と、キャリッジ移動機構11と、インクヘッド12と、UVランプ16と、制御部20と、を備えている。ケーシング9は、プリンタ1の筐体である。ケーシング9は、主走査方向Yに延びている。ケーシング9の右端部には、操作パネル9Aが設けられている。操作パネル9Aには、操作状態等を表示する表示部と、ユーザによって操作される入力キー等と、が設けられている。
プラテン3は、印刷の際に記録媒体2を支持するものである。プラテン3は、ケーシング9に設けられ、主走査方向Yに延びている。プラテン3は、ガイドレール4よりも下方に配置されている。プラテン3の少なくとも一部は、ガイドレール4と平行に配置されている。プラテン3には、記録媒体2が載置される。プラテン3の上方には、記録媒体2を上から押さえつけるピンチローラ5Aが設けられている。プラテン3におけるピンチローラ5Aと対向する位置には、グリッドローラ5Bが設けられている。グリッドローラ5Bは、フィードモータ5C(図3参照)に連結されている。
フィードモータ5Cは、制御部20と電気的に接続されており、制御部20によって制御される。グリッドローラ5Bは、フィードモータ5Cの駆動力を受けて回転可能に構成されている。ピンチローラ5Aとグリッドローラ5Bとの間に記録媒体2が挟まれた状態でグリッドローラ5Bが回転すると、記録媒体2が前後方向(搬送方向)に搬送される。本実施形態では、ピンチローラ5Aとグリッドローラ5Bとフィードモータ5Cとが、記録媒体2を搬送方向に移動させる搬送機構である。ただし、ここで説明する機構は一例に過ぎず、搬送機構の構成は特に限定されない。
ガイドレール4は、ケーシング9に設けられ、主走査方向Yに延びている。ガイドレール4は、プラテン3よりも上方に配置されている。ガイドレール4には、キャリッジ10がスライド可能に係合している。キャリッジ10は、ケーシング9の内部に配置されている。キャリッジ10には、4つのインクヘッド12と、2つのUVランプ16と、が搭載されている。キャリッジ10は、キャリッジ移動機構11によって主走査方向Yに移動する。
キャリッジ移動機構11は、本実施形態では、ガイドレール4の左右に配置されたプーリ6L,6Rと、プーリ6L,6Rに巻き掛けられた無端状のベルト7と、プーリ6Rに連結されたキャリッジモータ8と、を備えている。キャリッジ10はベルト7に固定されている。キャリッジモータ8は、制御部20と電気的に接続されており、制御部20によって制御される。キャリッジモータ8が駆動すると、プーリ6Rが回転してベルト7が走行する。これにより、キャリッジ10と、キャリッジ10に搭載されているインクヘッド12およびUVランプ16と、が一体となり、ガイドレール4に沿って主走査方向Yに移動する。ただし、ここで説明する機構は一例に過ぎず、キャリッジ移動機構11の構成は特に限定されない。
図2は、キャリッジ10を下方から見た図である。図2に示すように、キャリッジ10には、4つのインクヘッド12と、2つのUVランプ16と、が設けられている。4つのインクヘッド12は、主走査方向Yに並んでいる。インクヘッド12は、吐出部の一例である。2つのUVランプ16は、インクヘッド12の左右の側方にそれぞれ配置されている。これにより、プリンタ1は双方向印刷が可能なように構成されている。UVランプ16は、光照射部の一例である。なお、本実施形態におけるインクヘッド12の個数およびUVランプ16の個数は一例に過ぎず、特に限定されない。
インクヘッド12は、記録媒体2に向かってインクの液滴を吐出するものである。図1に示すように、インクヘッド12は、プラテン3よりも上方に配置されている。インクヘッド12は、キャリッジ10を介してガイドレール4にスライド可能に係合している。図2に示すように、インクヘッド12の下面には、インクを吐出する複数のノズル13が形成されている。本実施形態では、各インクヘッド12の複数のノズル13が搬送方向Xに一直線上に並んで、ノズル列13Aを形成している。ノズル列13Aは、搬送方向Xに長さL1を有している。長さL1は、複数のノズル13のなかで前後方向の最も前方に位置するノズル(最前ノズル)13の中心から最も後方に位置するノズル(最後ノズル)13の中心までの長さである。ただし、ノズル列13Aにおけるノズル13の配置は特に限定されない。ノズル列13Aは、例えば、千鳥状に配列された複数のノズル13によって形成されていてもよいし、2つのノズル列を備えていてもよい。
図示は省略するが、複数のノズル13は搬送方向Xに複数の領域に区分されている。複数のノズル13は、例えば搬送方向Xに略同数ずつ等間隔に区分されている。この区分は、予め制御部20に記憶されている。各インクヘッド12の内部には、圧電素子等からなるアクチュエータ14(図3参照)が設けられている。アクチュエータ14は、制御部20と電気的に接続されており、制御部20によって制御される。アクチュエータ14が駆動することにより、例えば領域ごとに、インクヘッド12のノズル13からインクが吐出される。複数のノズル13がそれぞれ対応するパスにインクを吐出することにより、キャリッジ10の1回の走査で、複数のパスを同時に印刷することができる。
各インクヘッド12のノズル13からは、異なる種類の色材を含んだ光硬化性インクが吐出される。光硬化性インクは、光が照射されると硬化する性質を有する。光硬化性インクは、例えば、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、ブラックインク(K)等の画像形成用のプロセスカラーインクであってもよく、画像の下地または裏地を形成する前処理用のプライマーインクであってもよく、画像の表面に光沢を付与するためのグロスインク(透明インク)やメタリックインクであってもよい。光硬化性インクは、典型的には、重合性化合物と重合開始剤とを含み、必要に応じてその他の各種添加剤、例えば、顔料などの着色剤、光増感剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、レベリング剤、増粘剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、溶剤などを含み得る。光硬化性インクは、ここでは紫外線(波長:10~400nm)が照射されると硬化する性質を有する紫外線硬化インク(UVインク)である。
UVランプ16は、記録媒体2上に吐出されたインクに向かって紫外線を照射するものである。図1に示すように、UVランプ16は、プラテン3よりも上方に配置されている。UVランプ16は、キャリッジ10を介してガイドレール4にスライド可能に係合している。図2に示すように、UVランプ16の下面には、複数のLED(Light Emitting Diode)素子17が配置されている。LED素子17は、発光素子の一例である。本実施形態では、複数のLED素子17が搬送方向Xに一直線上に並んで、発光源列17Aを形成している。発光源列17Aは、搬送方向Xに長さL2を有している。長さL2は、搬送方向Xにおいて、複数のLED素子17のなかで最も前方に位置するLED素子17の中心から最も後方に位置するLED素子17の中心までの長さである。本実施形態では、UVランプ16の長さL2が、インクヘッド12のノズル列の長さL1よりも長い。長さL2は、例えば、長さL1の1.5倍以上、2倍以上でありうる。また、搬送方向Xにおいて、UVランプ16の後端の位置は、インクヘッド12の後端の位置と一致している。一方、UVランプ16の前端の位置は、インクヘッド12の前端の位置よりも手前側に突出している。これにより、後述する後照射で、紫外線を効率良く照射することができる。
図示は省略するが、複数のLED素子17は搬送方向Xに複数の領域に区分されている。複数のLED素子17は、例えば搬送方向Xに略同数ずつ等間隔に区分されている。この区分は、予め制御部20に記憶されている。各LED素子17は、制御部20と電気的に接続されており、制御部20によって制御される。本実施形態において、複数のLED素子17は、例えば領域ごとに、独立して点灯(ON)と消灯(OFF)とが制御可能に構成されている。複数のLED素子17は、例えば領域ごとに、光の輝度や波長等が調整可能なように構成されていてもよい。UVランプ16は、複数のLED素子17がそれぞれ対応するパスに紫外線を照射することにより、キャリッジ10の1回の走査で、複数のパスに対して同時に紫外線を照射することができる。
制御部20は、プリンタ1の全体の動作を制御するものである。図1に示すように、本実施形態において、制御部20は、ケーシング9の内部に設けられている。制御部20は、例えばマイクロコンピュータである。制御部20のハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置と、を備えている。ただし、制御部20は、必ずしもケーシング9の内部に設けられている必要はなく、例えば、ケーシング9の外部に配置され、プリンタ1と通信可能に接続された汎用のパーソナルコンピュータ等であってもよい。
図3は、制御部20の機能ブロック図である。制御部20は、フィードモータ5Cと、キャリッジ移動機構11のキャリッジモータ8と、インクヘッド12のアクチュエータ14と、UVランプ16のLED素子17と、に通信可能に接続されており、それらを制御可能に構成されている。制御部20は、キャリッジ10がインクヘッド12からインクを吐出しながら主走査方向Yに移動する印刷動作を実行可能なように構成されている。印刷動作は、キャリッジ10がインクヘッド12からインクを吐出すると共に吐出直後のインクに対してUVランプ16から紫外線を照射しながら主走査方向Yに移動する動作であってもよい。言い換えれば、印刷動作は、同じパスに対してインクヘッド12からのインクの吐出の直後にUVランプ16からの紫外線の照射を連続して行う動作であってもよい。また、制御部20は、印刷動作の後に、キャリッジ10がインクヘッド12からインクを吐出しない状態でUVランプ16から紫外線を照射しながら主走査方向Yに移動する後照射動作を実行可能なように構成されている。なお、以下では、後照射と区別するために、印刷動作で吐出直後のインクに対して紫外線照射する場合を同時照射ということがある。
制御部20は、印刷信号受信部21と、フィード制御部22と、スキャン制御部23と、吐出制御部24と、照射制御部25と、記憶部26と、を備えている。制御部20の各部は、相互に通信可能に構成されている。制御部20の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。制御部20の各部は、例えば、1つまたは複数のプロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれたものであってもよい。
印刷信号受信部21は、図示しないホストコンピュータ等の外部機器から、記録媒体2に印刷される画像を表す印刷データと、プリンタ1の制御に必要な印刷設定情報と、を受信する。受信した印刷設定情報と印刷データとは、記憶部26に記憶される。印刷データでは、印刷原点P(図5参照)を基準とした二次元のXY座標の位置で、インクの吐出/非吐出が規定されている。印刷データには、画像の輪郭線(最外縁)が設定されていてもよい。印刷データに複数の画像が含まれる場合、輪郭線は全ての画像が内包されるように設定されていてもよい。
印刷設定情報には、パス数に関する情報が含まれている。「パス数」は、記録媒体2の同一領域上(例えば同一の搬送幅内)の印刷を完了するまでに、キャリッジ10が左から右あるいは右から左に走査する回数である。本実施形態において、パス数は、印刷パス数と後照射パス数との合計である。「印刷パス数」は、印刷動作のパス数である。「後照射パス数」は、後照射動作のパス数である。例えば、印刷パス数が3で、後照射パス数が4である場合は、記録媒体2の同一領域上の印刷を完了するまでに、インクヘッド12がインクを吐出しながら3回、インクヘッド12がインクを吐出しない状態でUVランプ16が紫外線を照射しながら4回、すなわち合計7回、キャリッジ10が走査する。
印刷パス数は、例えば画像の解像度(dpi)や印刷速度に応じて適宜設定されている。印刷パス数は、1であってもよく、2以上であってもよく、例えば2~10であってもよい。なお、印刷パス数を多くすることによって印刷画質は良くなるが、印刷時間は長くなる。一方、後照射パス数は、例えばインクの組成等に応じて適宜設定されている。後照射パス数は、1であってもよく、2以上であってもよく、例えば2~10であってもよい。後照射パス数は、印刷パス数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。後照射パス数は、印刷パス数よりも少なくてもよいし、印刷パス数よりも多くてもよい。後照射パス数は、印刷パス数±1であってもよい。後照射パス数が2以上の複数、好ましくは3以上、例えば4~10であると、後述する後照射幅の更新にかかる処理がシンプルになり、制御部20の負荷が軽減される。
フィード制御部22は、記録媒体2の搬送方向Xへの移動を制御する制御部である。フィード制御部22は、フィードモータ5Cの駆動を制御する。フィード制御部22は、フィードモータ5Cの制御を介して、記録媒体2を搬送方向Xの上流側(後方)から下流側(前方)に順次搬送する。フィード制御部22は、印刷動作および後照射動作の少なくとも一方を1パス実行する毎に、記録媒体2を所定の搬送幅ずつ前方に送り出す。フィード制御部22は、例えば印刷動作および後照射動作をセットで1パス実行する毎に、記録媒体2を所定の搬送幅ずつ前方に送り出す。搬送幅は、予め記憶部26に記憶されていてもよい。
スキャン制御部23は、キャリッジ10の主走査方向Yへの移動を制御する制御部である。スキャン制御部23は、キャリッジモータ8の駆動を制御する。スキャン制御部23は、キャリッジモータ8の制御を介して、キャリッジ10を主走査方向Yの左から右あるいは右から左に走査する。スキャン制御部23は、フィード制御部22によって記録媒体2が前方に1回送り出される毎に、キャリッジ10と、キャリッジ10に搭載されているインクヘッド12およびUVランプ16とを、を所定のパス数分(すなわち、印刷パス数と後照射パス数との合計の回数分)、左から右あるいは右から左に走査する。
吐出制御部24は、印刷データに基づいて記録媒体2の上に画像を描く制御部である。吐出制御部24は、インクヘッド12のアクチュエータ14の駆動を制御して、ノズル13からインクを吐出させる。なお、以下では、印刷動作における主走査方向Yの移動幅、言い換えれば、キャリッジ10がインクヘッド12からインクを吐出しながら主走査方向Yに1回の走査する幅を「印刷幅」という。1回の走査で複数のパスに対して同時に印刷動作を実行する場合は、複数のパスの中での最大値が印刷幅となる。
照射制御部25は、吐出制御部24の制御によって記録媒体2上に吐出されたインクを硬化させる制御部である。照射制御部25は、LED素子17の点灯および消灯を制御して、記録媒体2上のインクに対して紫外線を照射する。なお、以下では、キャリッジ10がUVランプ16から紫外線を照射しながら主走査方向Yに走査する幅を「光照射幅」という。1回の走査で複数のパスに対して同時に紫外線を照射する場合は、複数のパスの中での最大値が照射幅となる。図3に示すように、照射制御部25は、同時照射幅決定部25Aと、後照射幅決定部25Bと、実照射幅設定部25Cと、を備えている。ただし、同時照射幅決定部25Aは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
同時照射幅決定部25Aは、印刷データに基づいて同時照射幅を決定する制御部である。「同時照射幅」は、印刷動作で同時照射を行うための照射幅である。すなわち、吐出直後のインクに対してUVランプ16から紫外線を照射しながら主走査方向Yに走査する幅である。同時照射幅は、例えば吐出制御部24の印刷幅と同じ幅である。同時照射幅決定部25Aは、例えば印刷動作の各走査につき、言い換えれば、キャリッジ10を主走査方向Yに走査するときに、次の走査における同時照射幅を決定する。同時照射幅の値は、記憶部26に記憶される。
後照射幅決定部25Bは、印刷データに基づいて後照射幅を決定する制御部である。「後照射幅」は、後照射動作を行うための照射幅である。すなわち、インクヘッド12がインクを吐出した以降の走査で、記録媒体2上のインクに対してUVランプ16から時間差で紫外線を照射しながら主走査方向Yに走査する幅である。本実施形態において、後照射幅決定部25Bは、後照射動作においてキャリッジ10が後照射パス数の数だけ主走査方向Yに走査するたびに、言い換えれば後照射パス数の倍数のタイミングで、次の走査における後照射幅を決定する。なお、後照射幅の決定方法については後に詳述する。後照射幅の値は、記憶部26に記憶される。
実照射幅設定部25Cは、同時照射幅と後照射幅とに基づいて、照射制御部25に実照射幅を設定する制御部である。「実照射幅」は、実際にUVランプ16の制御に用いられる照射幅である。実照射幅設定部25Cは、例えばキャリッジ10の各走査につき、印刷動作と後照射動作とを行うか否かを判定する。1回の走査で印刷動作と同時照射のみを行う(後照射動作を行わない)場合、実照射幅設定部25Cは、同時照射幅を実照射幅として設定する。1回の走査で後照射動作のみを行う(印刷動作を行わない)場合、実照射幅設定部25Cは、後照射幅を実照射幅として設定する。1回の走査で印刷動作と後照射動作とを同時に行う場合、実照射幅設定部25Cは、同時照射幅と後照射幅とを対比し、最も大きい値を実照射幅として設定する。実照射幅は、照射制御部25に送られる。実照射幅の値は、記憶部26に記憶されてもよい。
図4は、後照射幅を決定する動作の手順を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態では、初期値の取得(ステップS1)、印刷幅の取得(ステップS2)、第1判定(ステップS3)、候補値の記憶または更新(ステップS4)、第2判定(ステップS5)、後照射幅の更新および候補値のリセット(ステップS6)、第3判定(ステップS7)の各処理が、この順に実行される。なお、ステップS2~S6までは、後照射幅を更新する手順としても把握される。また、任意の段階においてその他の処理を含むことは妨げられない。後照射幅決定部25Bは、ステップS1~S7の各処理を実行するように構成またはプログラムされている。
ステップS1の初期値の取得処理において、後照射幅決定部25Bは、例えば、印刷開始から第m回目(mは、印刷パス数の値。)までの各走査における印刷幅を、印刷データから取得する。言い換えれば、印刷開始から後照射が開始されるまでの各走査における印刷幅を取得する。各走査における印刷幅は、典型的には印刷データに予め定められており、例えば印刷原点P(図5参照)から輪郭線の端までの主走査方向Yの水平距離として求められる。そして、各走査の印刷幅のなかで最も大きい値を、後照射幅の初期値として実照射幅設定部25Cに送る。ステップS2の印刷幅の取得処理において、後照射幅決定部25Bは、後照射が開始される前に、第n回目(nは、m+1)の走査における印刷幅を取得する。
ステップS3の第1判定処理において、後照射幅決定部25Bは、記憶部26に次回の後照射幅の更新の際の候補となる候補値が記憶されているか否かを判定する。第n回目の走査では、未だ記憶部26に候補値が記憶されていないため、ステップS4に進む。ステップS4の候補値の記憶または更新処理において、後照射幅決定部25Bは、ステップS2で取得した印刷幅を記憶部26に記憶する。そして、ステップS5に進む。
ステップS5の第2判定処理において、後照射幅決定部25Bは、ステップS2の走査回数nから印刷パス数mを差し引いた(n-m)の値が、後照射パス数の倍数か否かを判定する。(n-m)の値が後照射パス数の倍数でないと判定された場合は、ステップS8に進む。そして、nに1を加算して、ステップS2に戻る。一方、(n-m)の値が後照射パス数の倍数であると判定された場合は、ステップS6に進む。ステップS6の後照射幅の更新および候補値のリセット処理において、後照射幅決定部25Bは、最新の候補値を実照射幅設定部25Cに送り、実照射幅設定部25Cの後照射幅を更新する。また、候補値をリセット(消去)する。そして、ステップS7に進む。
ステップS7の第3判定処理において、後照射幅決定部25Bは、後照射動作が終了したか否か、言い換えればキャリッジ10の走査が全て終了したか否かを判定する。後照射動作が終了したと判定された場合は、処理を終了する。一方、後照射動作が終了していないと判定された場合は、ステップS8に進む。そして、nに1を加算して、ステップS2に戻る。
ステップS2の印刷幅取得処理において、後照射幅決定部25Bは、後照射が開始された後、第(n+1)回目の走査における印刷幅を取得する。ステップS3の第1判定処理において、後照射幅決定部25Bは、ステップS2で取得した印刷幅を候補値と対比し、印刷幅が候補値よりも大きい値であるか否かを判定する。印刷幅が候補値以下であると判定された場合は、ステップS5に進む。一方、印刷幅が候補値よりも大きい値であると判定された場合は、記憶部26に記憶されている候補値を印刷幅の値で書き換える。そして、ステップS5に進む。以上のようにして、後照射動作が終わるまでステップS2~S6を繰り返し、後照射幅を更新し続ける。以下に、幾つかの具体的な実施例を示す。
<実施例1>図5は、印刷データを表す模式図である。印刷データは、印刷原点Pを基準(0)として、横軸にY座標の位置(主走査方向Yの位置)を、1~24の数字で表している。縦軸には、パス数(搬送方向Xの位置)を、1~35の数字で表している。また、印刷データの中の斜体の数字は、各パスにおける印刷幅を表している。実施例1は、図5の印刷データを、印刷パス数:3、後照射パス数:4、の合計7パスで印刷する場合の一例である。実施例1では、後照射パス数が印刷パス数よりも大きい。
図6Aは、印刷開始から第8回目までのキャリッジ10の走査を表す説明図である。なお、図6Aでは、印刷データを左側に表し、キャリッジ10を模式的に右側に表し、印刷データと、キャリッジ10の各走査における同時照射幅および後照射幅とを対応付けて表している。本実施例において、後照射幅決定部25Bは、まず、印刷開始から第3回目(印刷パス数と同じ回数)までの各走査において、それぞれ印刷幅を取得する。図6Aでは、第1~第3回目の走査の印刷幅が、いずれも「24」である。このため、印刷幅「24」を後照射幅の初期値として実照射幅設定部25Cに送る(ステップS1)。実照射幅設定部25Cは、第1~第3回目の走査における実照射幅を「24」に設定する。
第1回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅(同時照射幅)「24」で搬送方向X「1」の位置のみにインクが吐出され、紫外線の同時照射がなされる。第2回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅(同時照射幅)「24」で搬送方向X「1、2」の位置にインクが吐出され、紫外線の同時照射がなされる。第3回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅(同時照射幅)「24」で搬送方向X「1~3」の位置にインクが吐出され、紫外線の同時照射がなされる。
実照射幅設定部25Cは、印刷幅「24」を実照射幅として、照射制御部25に設定する。また、後照射幅決定部25Bは、第4回目の走査が開始される前に、第4回目の走査における印刷幅を取得する(ステップS2)。図6Aでは、第4回目の走査の印刷幅が、「23」である。後照射幅決定部25Bは、記憶部26に候補値が記憶されているか否かを判定する(ステップS3)。ここでは記憶部26に候補値が記憶されていないため、印刷幅「23」を候補値として記憶部26に記憶する(ステップS4)。実照射幅設定部25Cは、第4回目の走査の同時照射幅と後照射幅とを対比する。第4回目の走査の同時照射幅は、印刷幅と同じ「23」であり、後照射幅は「24」である。このため、実照射幅設定部25Cは、第4回目の走査における実照射幅を「24」に設定する。
続いて、第4回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅「23」で搬送方向X「2~4」の位置にインクが吐出されると共に、実照射幅「24」で搬送方向X「1~4」の位置に紫外線が後照射される。
第4回目の走査終了後、後照射幅決定部25Bは、キャリッジ10の走査回数nから印刷パス数mを引いた値が、後照射パス数(ここでは、4)の倍数であるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、n=4、m=3で、(n-m)が1、すなわち、後照射パス数の倍数ではないため、候補値は実照射幅設定部25Cには送られない。後照射幅決定部25Bは、nに1を加算して、ステップS2に戻る。
後照射幅決定部25Bは、第5回目の走査が開始される前に、第5回目の走査における印刷幅を取得する(ステップS2)。図6Aでは、第5回目の走査の印刷幅が、「22」である。後照射幅決定部25Bは、記憶部26に候補値が記憶されているか否か、および、印刷幅「22」が記憶部26に記憶されている候補値「23」よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS3)。ここでは記憶部26に候補値が記憶されているものの、印刷幅が候補値以下であるため、候補値は変更されず、「23」のままである。実照射幅設定部25Cは、第5回目の走査の同時照射幅と後照射幅とを対比する。第5回目の走査の同時照射幅は、印刷幅と同じ「22」であり、後照射幅は「24」である。このため、実照射幅設定部25Cは、第5回目の走査における実照射幅を「24」に設定する。
続いて、第5回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅「22」で搬送方向X「3~5」の位置にインクが吐出されると共に、実照射幅「24」で搬送方向X「1~5」の位置に紫外線が照射される。
第5回目の走査終了後、後照射幅決定部25Bは、キャリッジ10の走査回数nから印刷パス数mを引いた値が、後照射パス数(ここでは、4)の倍数であるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、n=5、m=3で、(n-m)が2、すなわち、後照射パス数の倍数ではないため、候補値は実照射幅設定部25Cには送られない。後照射幅決定部25Bは、nに1を加算して、ステップS2に戻る。
後照射幅決定部25Bは、第6回目の走査が開始される前に、第6回目の走査における印刷幅を取得する(ステップS2)。図6Aでは、第6回目の走査の印刷幅が、「21」である。後照射幅決定部25Bは、ステップS3の判定処理を行うが、判定結果がNoのため、候補値は変更されない。実照射幅設定部25Cは、第6回目の走査の同時照射幅と後照射幅とを対比する。実照射幅設定部25Cは、第6回目の走査における実照射幅を「24」に設定する。
続いて、第6回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅「21」で搬送方向X「4~6」の位置にインクが吐出されると共に、実照射幅「24」で搬送方向X「1~6」の位置に紫外線が照射される。
第6回目の走査終了後、後照射幅決定部25Bは、ステップS5の判定処理を行うが、判定結果がNoのため、候補値は実照射幅設定部25Cに送られない。後照射幅決定部25Bは、nに1を加算して、ステップS2に戻る。
後照射幅決定部25Bは、第7回目の走査が開始される前に、第7回目の走査における印刷幅を取得する(ステップS2)。図6Aでは、第7回目の走査の印刷幅が、「20」である。後照射幅決定部25Bは、ステップS3の判定処理を行うが、判定結果がNoのため、候補値は変更されない。実照射幅設定部25Cは、第7回目の走査の同時照射幅と後照射幅とを対比する。実照射幅設定部25Cは、第7回目の走査における実照射幅を「24」に設定する。
続いて、第7回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅「20」で搬送方向X「5~7」の位置にインクが吐出されると共に、実照射幅「24」で搬送方向X「1~7」の位置に紫外線が照射される。
第7回目の走査終了後、後照射幅決定部25Bは、キャリッジ10の走査回数nから印刷パス数mを引いた値が、後照射パス数(ここでは、4)の倍数であるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、n=7、m=3で、(n-m)が4、すなわち、後照射パス数の倍数である。このため、候補値「23」が、実照射幅設定部25Cに送られる。実照射幅設定部25Cでは、後照射幅が「24」から「23」に更新される。また、候補値はリセット(消去)される。後照射幅決定部25Bは、nに1を加算して、ステップS2に戻る。
後照射幅決定部25Bは、第8回目の走査が開始される前に、第8回目の走査における印刷幅を取得する(ステップS2)。図6Aでは、第8回目の走査の印刷幅が、「19」である。後照射幅決定部25Bは、ステップS3の判定処理を行うが、判定結果がNoのため、候補値は変更されない。実照射幅設定部25Cは、第8回目の走査の同時照射幅と後照射幅とを対比する。実照射幅設定部25Cは、第8回目の走査における実照射幅を「23」に設定する。
続いて、第8回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅「19」で搬送方向X「6~8」の位置にインクが吐出されると共に、実照射幅「23」で搬送方向X「2~8」の位置に紫外線が照射される。
第8回目の走査終了後、後照射幅決定部25Bは、ステップS5の判定処理を行うが、判定結果がNoのため、候補値は実照射幅設定部25Cに送られない。後照射幅決定部25Bは、nに1を加算して、ステップS2に戻る。本実施例では、以上のようにして、印刷開始から第8回目までのキャリッジ10の走査がなされる。また、第9回目以降のキャリッジ10の走査についても、上記したステップが繰り返される。
図6Bは、第24~第27回目のキャリッジ10の走査を表す説明図である。本実施例において、第24回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅「3」で搬送方向X「22~24」の位置にインクが吐出されると共に、実照射幅「7」で搬送方向X「18~24」の位置に紫外線が後照射される。
第24回目の走査終了後、後照射幅決定部25Bは、キャリッジ10の走査回数nから印刷パス数mを引いた値が、後照射パス数(ここでは、4)の倍数であるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、n=24、m=3で、(n-m)が21、すなわち、後照射パス数の倍数ではないため、候補値は実照射幅設定部25Cには送られない。後照射幅決定部25Bは、nに1を加算して、ステップS2に戻る。
後照射幅決定部25Bは、第25回目の走査が開始される前に、第25回目の走査における印刷幅を取得する(ステップS2)。図6Bでは、第25回目の走査の印刷幅が、「9」である。後照射幅決定部25Bは、記憶部26に候補値が記憶されているか否か、および、印刷幅「9」が記憶部26に記憶されている候補値「3」よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS3)。ここでは印刷幅が候補値よりも大きいため、候補値が「9」に変更される。実照射幅設定部25Cは、第25回目の走査の同時照射幅と後照射幅とを対比する。第25回目の走査の同時照射幅は、印刷幅と同じ「9」であり、後照射幅は「7」である。このため、実照射幅設定部25Cは、第25回目の走査における実照射幅を「9」に設定する。
続いて、第25回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅「9」で搬送方向X「23~25」の位置にインクが吐出されると共に、実照射幅「9」で搬送方向X「19~25」の位置に紫外線が照射される。
第25回目の走査終了後、後照射幅決定部25Bは、ステップS5の判定処理を行うが、判定結果がNoのため、候補値は実照射幅設定部25Cに送られない。後照射幅決定部25Bは、nに1を加算して、ステップS2に戻る。
後照射幅決定部25Bは、第26回目の走査が開始される前に、第26回目の走査における印刷幅を取得する(ステップS2)。図6Bでは、第26回目の走査の印刷幅が、「9」である。後照射幅決定部25Bは、ステップS3の判定処理を行うが、印刷幅「9」が候補値「9」と同じであるため、候補値は「9」のままである。実照射幅設定部25Cは、第26回目の走査の同時照射幅と後照射幅とを対比する。実照射幅設定部25Cは、第26回目の走査における実照射幅を「9」に設定する。
続いて、第26回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅「9」で搬送方向X「24~26」の位置にインクが吐出されると共に、実照射幅「9」で搬送方向X「20~26」の位置に紫外線が照射される。
第26回目の走査終了後、後照射幅決定部25Bは、ステップS5の判定処理を行うが、判定結果がNoのため、候補値は実照射幅設定部25Cに送られない。後照射幅決定部25Bは、nに1を加算して、ステップS2に戻る。
後照射幅決定部25Bは、第27回目の走査が開始される前に、第27回目の走査における印刷幅を取得する(ステップS2)。図6Bでは、第27回目の走査の印刷幅が、「9」である。後照射幅決定部25Bは、ステップS3の判定処理を行うが、印刷幅「9」が候補値「9」と同じであるため、候補値は「9」のままである。実照射幅設定部25Cは、第27回目の走査の同時照射幅と後照射幅とを対比する。実照射幅設定部25Cは、第27回目の走査における実照射幅を「9」に設定する。
続いて、第27回目のキャリッジ10の走査では、印刷幅「9」で搬送方向X「25~27」の位置にインクが吐出されると共に、実照射幅「9」で搬送方向X「21~27」の位置に紫外線が照射される。実施例1では、以上のように合計41回のキャリッジ10の走査が行われ、印刷データの印刷がなされる。なお、下記表1には、実施例1の各走査における同時照射幅と後照射幅と実照射幅とをまとめて示している。また、図6Cには、実施例1の光照射範囲を、印刷データに重ねて表している。図6Cに示すように、本実施例では、印刷範囲の全体が光照射範囲によって万遍なく覆われている。また、光照射範囲は、35×24の矩形状の領域よりも小さく(限定的に)抑えられ、図6Cの右下の余白部分(光照射の不要な部分)に対しては照射が省略されていることがわかる。
<実施例2>実施例2は、図5の印刷データを、印刷パス数:5、後照射パス数:4、の合計9パスで印刷する場合の一例である。実施例2では、印刷パス数が後照射パス数よりも大きい。下記表2には、実施例2の各走査における同時照射幅と後照射幅と実照射幅とをまとめて示している。また、図7には、実施例2の光照射範囲を印刷データに重ねて表している。図7に示すように、本実施例においても実施例1と同様に、印刷範囲の全体が光照射範囲によって万遍なく覆われている。また、光照射範囲は、35×24の矩形状の領域よりも小さく(限定的に)抑えられ、図7の右下の余白部分(光照射の不要な部分)に対しては光照射が省略されていることがわかる。
<実施例3>実施例3は、図5の印刷データを、印刷パス数:5、後照射パス数:6、の合計11パスで印刷する場合の一例である。実施例3では、後照射パス数が印刷パス数よりも大きい。下記表3には、実施例3の各走査における同時照射幅と後照射幅と実照射幅とをまとめて示している。また、図8には、実施例3の光照射範囲を印刷データに重ねて表している。図8に示すように、本実施例においても実施例1、2と同様に、印刷範囲の全体が光照射範囲によって万遍なく覆われている。また、光照射範囲は、35×24の矩形状の領域よりも小さく(限定的に)抑えられ、図8の右下の余白部分(光照射の不要な部分)に対しては光照射が省略されていることがわかる。
以上のように、本実施形態のプリンタ1は、後照射パス数の倍数のタイミングで、後照射幅を更新する照射制御部25を備える。これにより、光の照射を効率化することができる。また、キャリッジ10の無駄な移動を低減して、印刷効率を効率化することができる。さらに、例えば記録媒体2の材質等によっては伸縮等を抑制することができ、印刷品質の低下を抑えることができる。
本実施形態のプリンタ1は、照射制御部25は、印刷動作における主走査方向Yの印刷幅を後照射パス数の回数分取得し、最も大きい値を次の後照射幅として更新するように構成されている。これにより、印刷データに沿って効率的に光照射を行うことができる。
本実施形態のプリンタ1は、後照射パス数が複数である。これにより、処理がシンプルになり、制御部20の負荷が軽減される。
本実施形態のプリンタ1は、UVランプ16は、搬送方向Xに並んだ複数のLED素子17を備え、制御部20は、複数のLED素子17を前記搬送方向に区分した領域ごとにLED素子17の点灯および消灯を制御し、キャリッジ10の1回の走査で、複数のパスに対してそれぞれ紫外線の照射を実行可能なように構成されている。1回の走査で複数のパスに対して同時に紫外線を照射することにより、インクの硬化に要する時間を短縮して、印刷効率を向上することができる。
本実施形態のプリンタ1では、制御部20は、キャリッジ10の1回の走査で、印刷動作と後照射動作とを同時に実行可能なように構成されている。これにより、印刷効率を向上することができる。
本実施形態のプリンタ1では、制御部20は、印刷動作において、インクヘッド12からUVインクを吐出し、吐出直後のUVインクに対してUVランプ16から紫外線を同時照射するように構成されている。これにより、記録媒体2上でインクがダレにくくなり、印刷品質を向上することができる。
本実施形態のプリンタ1では、照射制御部25は、印刷動作においてキャリッジ10が主走査方向Yに走査するたびに、同時照射における主走査方向Yの光照射幅として定義される同時照射幅を決定するように構成されている同時照射幅決定部25Aと、同時照射幅と後照射幅とを対比し、最も大きい値を実照射幅としてUVランプ16に設定する実照射幅設定部25Cと、をさらに備える。これにより、例えば画像の印刷幅が急に広くなるような印刷データにも柔軟に対応することができ、UVインクを均質に硬化させることができる。
また、ここに開示される技術によって、コンピュータを、プリンタ1の制御部20として機能させるように構成されているコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、コンピュータを少なくとも後照射幅決定部25Bとして動作させるためのプログラムである。このコンピュータプログラムは、例えばコンピュータを、後照射幅決定部25Bと、実照射幅設定部25Cと、して動作させるためのプログラムである。
コンピュータプログラムは、例えば、記憶装置に記録されていてもよい。言い換えれば、ここに開示される技術によって、上記プログラムが記録された、コンピュータが読み取り可能な記憶装置が提供される。記憶装置としては、例えば、半導体記憶装置(例えば、ROM、不揮発性メモリーカード)、光記憶装置(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD)、磁気記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク)等が例示される。また、このコンピュータプログラムは、上記記憶装置あるいはインターネット等のネットワークを介して、クラウドサーバーに送信することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を、他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、上記した実施形態と以下の変形態様とを適宜組み合わせることもできる。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
例えばプリンタ1は、フラットベッドタイプのプリンタであってもよい。その場合、搬送機構は、例えば記録媒体2を載置したテーブル自体を動かすものであってもよい。また、プリンタ1は独立したプリンタとして単独で使用されるものに限定されず、他の装置と組み合わせたものであってもよい。例えば、プリンタ1は記録媒体2をカットするカッティングヘッド等を備えていてもよい。