JP7057629B2 - ガスセンサおよびガス検知装置 - Google Patents
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上記目的を達成するためのガス検知装置の特徴構成は、
検出対象ガスである一酸化炭素及びメタンとの接触により特性が変化するガス検知部位と、
前記ガス検知部位の少なくとも一部を覆って設けられる触媒部位と、
前記ガス検知部位および前記触媒部位を加熱するヒータ部位と、
前記ヒータ部位による加熱を制御する加熱制御部と、
前記ガス検知部位の特性を測定して検出対象ガスを検出するガス検出部とを有するガス検知装置であって、
前記加熱制御部は、
前記ヒータ部位による加熱を制御して前記ガス検知部位および前記触媒部位とを一酸化炭素検出用の第1温度に加熱する第1加熱動作と、
前記ヒータ部位による加熱を制御して前記ガス検知部位および前記触媒部位とを前記第1温度よりも高い第2温度に加熱する第2加熱動作とを行うよう構成され、
前記触媒部位が担体に触媒金属を担持させて構成され、前記触媒金属が白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であり、前記担体の主成分が酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、及び、酸化タンタル(Ta2O5)のうちの少なくとも一つである点にある。
本発明に係るガス検知装置の別の特徴構成は、前記触媒金属がイリジウムと白金を含む混合物であり、前記触媒部位におけるイリジウムの含有率が0.3質量%以上であり、白金の含有率が0.3質量%以上である点にある。
本発明に係るガス検知装置の別の特徴構成は、前記触媒部位における白金の含有率が0.3質量%以上である点にある。
本発明に係るガス検知装置の別の特徴構成は、前記触媒部位におけるイリジウムの含有率が0.3質量%以上である点にある。
発明者らは、担体として酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、及び、酸化タンタル(Ta2O5)のうちの少なくとも一つを用いると、従来用いられるアルミナ担体と比べて、メタンおよびCOの検知温度におけるメタンおよびCOの燃焼除去反応率の湿度依存性が小さいことを見出した。特に、担体が、酸化ジルコニウムであれば、白金およびイリジウムを高分散に担持することができ、熱的安定性も高いため貴金属担持に好適であり、更に好ましい。
以上述べた触媒部位は、第1温度が250℃以下、より望ましくは150℃以下であり、第2温度が300℃以上、より望ましくは400℃以上であるガス検知装置に好適に用いることができる。第1温度が250℃を超えると触媒部位における一酸化炭素の反応性が高まり、一酸化炭素の感度が大幅に低下してしまう。また、第2温度が300℃よりも低くなるとガス検知部位における表面吸着酸素とメタンとの反応進行しなくなるためメタン感度が発現しなくなってしまう。
また本発明は、前記加熱制御部が、前記ヒータ部位による加熱を行う加熱動作と、前記ヒータ部位による加熱を停止する非加熱動作とを行うよう構成されているガス検知装置において、より好適に適用される。
また、前記ガス検知部位と、前記触媒部位と、前記ヒータ部位とを有し、前記触媒部位が担体に触媒金属を担持させて構成され、前記触媒金属が白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であり、前記担体の主成分が酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、及び、酸化タンタル(Ta2O5)のうちの少なくとも一つであるガスセンサは、第1温度(一酸化炭素検出用)での一酸化炭素の選択性、および第2温度(メタンの検出用)でのメタンの選択性を従来より高くすることができるので、一酸化炭素およびメタンのそれぞれ選択性を向上させることができるガスセンサとして適用するのに好適である。
センサ素子20は、支持層5の端部がシリコン基板1に支持された、ダイアフラム構造をとる。支持層5は、熱酸化膜2と、Si3N4膜3と、SiO2膜4とが順に積層されて形成されている。そして支持層5の上にヒータ層6が形成され、ヒータ層6の全体を覆って絶縁層7が形成され、絶縁層7の上に一対の接合層8が形成され、接合層8の上に電極層9が形成されている。ヒータ層6は通電により発熱してガス検知層10および触媒層11を加熱する。センサ素子20は、ブリッジ構造をとってもよく、ヒータ層6は、電極を兼用してもよい。
加熱制御部12は、ヒータ層6に通電する通電動作(ヒータ部位による加熱を行う加熱動作)と、ヒータ層6に通電しない非通電動作(ヒータ部位による加熱を停止する非加熱動作)とを行うよう構成される。また加熱制御部12は、ヒータ層6の温度を変動させるよう構成されており、ヒータ層6の温度を設定された任意の温度へ加熱することが可能なように構成されている。
ガス検出部13は、ガス検知層10の特性を測定して検出対象ガスを検出する。本実施形態ではガス検出部13は、一対の電極層9の間の電気抵抗値(電気的特性)を測定することにより、ガス検知層10の抵抗値を測定して、その変化から検出対象ガスの濃度を検出する。
以上の様に構成されたガス検知装置100における、検出対象ガスの検出の際の動作について説明する。
メタンおよびCOに対するセンサ感度の温度依存性および湿度依存性を明らかにするため、担体の種類と触媒金属の種類・量を変更したサンプルを作成し、CO・メタンガス感度の温度および湿度による変化を測定した。測定対象は以下の7種のサンプルである。
(実験例a)担体としての酸化ジルコニウムに1質量%のパラジウム、1質量%のイリジウムおよび1質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例b)担体としての酸化ジルコニウムに3質量%のイリジウムおよび2質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例c)担体としての酸化ジルコニウムに3質量%のパラジウムおよび2質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例d)担体としての酸化ジルコニウムに3質量%のパラジウムおよび2質量%のイリジウムを担持させたサンプル、
(実験例e)担体としての酸化ジルコニウムに2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例f)担体としてのアルミナに2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、および
(実験例g)担体としてのアルミナに7質量%のパラジウムを担持させたサンプル。
担体による湿度依存性の変化を確認するため、担体の種類のみを変更したサンプルを作成し、CO・メタンガス感度の加熱温度および周囲湿度による変化を測定した。測定対象は以下の10種のサンプルである。
(実験例1)担体としての酸化ジルコニウム(ZrO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例2)担体としての酸化イットリウム(Y2O3)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例3)担体としての酸化セリウム(CeO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例4)担体としての酸化ランタン(La2O3)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例5)担体としての酸化チタン(TiO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例6)担体としての酸化ハフニウム(HfO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例7)担体としての酸化ニオブ(Nb2O5)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例8)担体としての酸化タンタル(Ta2O5)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例9)担体としてのアルミナ(Al2O3)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、および
(実験例10)担体としての酸化シリコン(SiO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル。
一方で、第3族~第5族の遷移金属酸化物を担体とした場合、低温動作時の毛管凝縮は起こりにくく、凝縮水が少ないため、パージによって十分に水分を飛ばすことができ、OH基の残存は起こらない。このため、触媒層におけるCO酸化が促進されることはないためCO感度はSiO2,Al2O3を担体とした場合に比べて高く、またCO感度が湿度に依存することもない。
メタンおよびCOに対するセンサ感度の温度依存性および湿度依存性について更に詳しく調べるため、触媒金属の種類・量を変更したサンプルを作成し、CO・メタンガス感度の温度および湿度による変化を測定した。測定対象は以下の表2に示す11種のサンプルである。温度依存性・湿度依存性に加えて、水素感度についても測定を行った。
上述の実施形態では、ガス検知装置100の構造は、図1に示されるいわゆる基板型であるが、他の構造も可能である。例えば、ヒータ層6を覆う絶縁層7が設けられず、ヒータ層6が電極層9を兼ねる構造も可能である。また、例えば図9に示すように、電極とヒータ部位とを兼ねる電極線21のコイル22の周囲に、酸化物半導体からなるガス検知部位23を形成し、その周囲に触媒層24を形成する構造も可能である。また図10に示すように、電極とヒータ部位とを兼ねる電極線31のコイル32の中心に、別の電極33を配置して、コイル32の周囲に、酸化物半導体からなるガス検知部位34を形成し、その周囲に触媒層35を形成する構造も可能である。
また上述の実施例においては、担体としての酸化ジルコニウムを用いた例を挙げたが、同様の効果は酸化チタンを用いた場合にも得られ、また、他の遷移金属酸化物も用いた場合にも得られる。
10 :ガス検知層(ガス検知部位)
11 :触媒層(触媒部位)
12 :加熱制御部
13 :ガス検出部
21 :電極線(ヒータ部位)
23 :ガス検知部位
24 :触媒層(触媒部位)
31 :電極線(ヒータ部位)
34 :ガス検知部位
35 :触媒層(触媒部位)
100 :ガス検知装置
Claims (7)
- 検出対象ガスである一酸化炭素及びメタンとの接触により特性が変化するガス検知部位と、
前記ガス検知部位の少なくとも一部を覆って設けられる触媒部位と、
前記ガス検知部位および前記触媒部位を加熱するヒータ部位と、
前記ヒータ部位による加熱を制御する加熱制御部と、
前記ガス検知部位の特性を測定して検出対象ガスを検出するガス検出部とを有するガス検知装置であって、
前記加熱制御部は、
前記ヒータ部位による加熱を制御して前記ガス検知部位および前記触媒部位とを一酸化炭素検出用の第1温度に加熱する第1加熱動作と、
前記ヒータ部位による加熱を制御して前記ガス検知部位および前記触媒部位とを前記第1温度よりも高い第2温度に加熱する第2加熱動作とを行うよう構成され、
前記触媒部位が担体に触媒金属を担持させて構成され、前記触媒金属が白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であり、前記担体の主成分が酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、及び、酸化タンタル(Ta2O5)のうちの少なくとも一つであるガス検知装置。 - 前記触媒金属がイリジウムと白金を含む混合物であり、前記触媒部位におけるイリジウムの含有率が0.3質量%以上であり、白金の含有率が0.3質量%以上である請求項1に記載のガス検知装置。
- 前記触媒部位における白金の含有率が0.3質量%以上である請求項1に記載のガス検知装置。
- 前記触媒部位におけるイリジウムの含有率が0.3質量%以上である請求項1に記載のガス検知装置。
- 前記第1温度が250℃以下であり、前記第2温度が300℃以上である請求項1から4のいずれか一項に記載のガス検知装置。
- 前記加熱制御部は、前記ヒータ部位による加熱を行う加熱動作と、前記ヒータ部位による加熱を停止する非加熱動作とを行うよう構成されている請求項1から5のいずれか1項に記載のガス検知装置。
- 検出対象ガスである一酸化炭素及びメタンとの接触により特性が変化するガス検知部位と、
前記ガス検知部位の少なくとも一部を覆って設けられる触媒部位と、
前記ガス検知部位および前記触媒部位を加熱するヒータ部位とを有し、
前記触媒部位が担体に触媒金属を担持させて構成され、前記触媒金属が白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であり、前記担体の主成分が酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、及び、酸化タンタル(Ta2O5)のうちの少なくとも一つであるガスセンサ。
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