JP7057629B2 - ガスセンサおよびガス検知装置 - Google Patents

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本発明は、検出対象ガスとの接触により特性が変化するガス検知部位と、ガス検知部位の少なくとも一部を覆って設けられる触媒部位と、ガス検知部位および触媒部位を加熱するヒータ部位とを有するガスセンサ、および上述のガスセンサと、ヒータ部位による加熱を制御する加熱制御部と、ガス検知部位の特性を測定して検出対象ガスを検出するガス検出部とを有するガス検知装置に関する。
このようなガス検知装置においては、加熱制御部によりヒータ部位による加熱を制御することにより、ガス検知部位を検出対象ガスの種類に応じた適切な温度にまで加熱して、この温度を保持した状態におけるガス検知部位の特性(電気抵抗値、電圧値など)に基づいて検出対象ガスを検出する。
特許文献1のガス検知装置では、触媒部位として、Al23(アルミナ)にPd(パラジウム)を触媒として担持させた焼結材が用いられる。触媒部位は、ヒータ部位により高温に加熱されて、CO(一酸化炭素)やH2(水素)等の還元性ガスその他の雑ガスを燃焼させ、不活性なCH4(メタン)、C38(プロパン)等の可燃性ガスを透過・拡散させてガス検知部位へ到達させる。これにより、CH4(メタン)、C38(プロパン)等の可燃性ガスの検出精度が高められている。そしてガス検知装置は、ヒータ部位を高温(400~500℃)に保持してメタン等の可燃性ガスを検知し、低温(約100~200℃)に保持してCOを検知する、いわゆる可燃性ガス(例えばメタン)/COワンセンサとして動作させることもできる。
特開2013-190232号公報
上述の可燃性ガス/COワンセンサ検知を行う場合、高温では触媒部位により検出対象ガスである可燃性ガス以外の水素、CO、アルコール等を燃焼させ、可燃性ガスを燃焼させることなく透過させることで、可燃性ガスを選択的に検知するものとされている。そして低温では、触媒部位がCOを燃焼させることなく透過させて、COを検知するとされている。しかし発明者らが、一般に触媒部位として用いられる上述の材料について実験を行ったところ、Pdを担持したアルミナは高温での可燃性ガスおよび低温でのCOの燃焼除去活性の抑制が十分でないため、ガス検知部へ到達するメタンや一酸化炭素の濃度が減少し、ガス感度が低下してしまうことから、必ずしも可燃性ガス/COワンセンサ検知を実現する上で最適な材料ではないことを見出した。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、触媒部位の性能を高め、可燃性ガスおよびCOの両方の触媒部位における反応性の温度依存性を最適化し、可燃性ガスおよびCOの両方の検知温度における感度および選択性を向上させたガス検知装置を提供することにある。
<構成1>
上記目的を達成するためのガス検知装置の特徴構成は、
検出対象ガスである一酸化炭素及びメタンとの接触により特性が変化するガス検知部位と、
前記ガス検知部位の少なくとも一部を覆って設けられる触媒部位と、
前記ガス検知部位および前記触媒部位を加熱するヒータ部位と、
前記ヒータ部位による加熱を制御する加熱制御部と、
前記ガス検知部位の特性を測定して検出対象ガスを検出するガス検出部とを有するガス検知装置であって、
前記加熱制御部は、
前記ヒータ部位による加熱を制御して前記ガス検知部位および前記触媒部位とを一酸化炭素検出用の第1温度に加熱する第1加熱動作と、
前記ヒータ部位による加熱を制御して前記ガス検知部位および前記触媒部位とを前記第1温度よりも高い第2温度に加熱する第2加熱動作とを行うよう構成され、
前記触媒部位が担体に触媒金属を担持させて構成され、前記触媒金属が白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であり、前記担体の主成分が酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化ランタン(La)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ニオブ(Nb)、及び、酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも一つである点にある。
発明者らは、触媒部位として従来用いられる、Al23(アルミナ)を主成分とする担体に触媒金属としてPd(パラジウム)を触媒として担持させた焼結材(Pd/アルミナ)について、メタン(可燃性ガスの一例)およびCOとの反応性を実験により確認した。すると、可燃性ガス/COワンセンサでの可燃性ガスであるメタンの検知温度に相当する400℃では、メタンとの反応率は湿度によらず85~88%という高い値になることが分かった。つまり400℃では、ガス検知装置に到達したメタンのうち、85~88%が触媒部位で燃焼してしまい、僅か12~15%のメタンだけがガス検知部位に到達し、メタン検知に寄与しているのである。一方でCO検知温度に相当する150℃では、COとの反応率は湿度によって42~85%と変動し、高湿中では85%という高い値になることが分かった。つまりPd/アルミナは、メタン/COワンセンサでのメタンおよびCOの検知温度において、特に高湿中では大部分が触媒部位で反応してしまう。また、COの反応率が湿度によって大きく変動してしまう。
そこで発明者らは様々な物質を触媒部位の材質として検討した。触媒金属として白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下である物質を用いると、メタンおよびCOの検知温度における触媒部位によるそれぞれのガスに対する選択性(検知対象ガス以外のガスの反応性)が大きくなることを見出した。そして、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化ランタン(La)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ニオブ(Nb)、及び、酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも一つを触媒部位の担体として用い、触媒金属として白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下である物質を用いる本発明を完成したのである。
<構成
本発明に係るガス検知装置の別の特徴構成は、前記触媒金属がイリジウムと白金を含む混合物であり、前記触媒部位におけるイリジウムの含有率が0.3質量%以上であり、白金の含有率が0.3質量%以上である点にある。
上記の特徴構成によれば、触媒金属がイリジウムと白金を含む混合物であり、触媒部位におけるイリジウムの含有率が0.3質量%以上であり、白金の含有率が0.3質量%以上であることにより、従来のパラジウム触媒と比べ、メタンまたはCOの検知におけるメタンおよびCOの選択性(検知対象ガス以外のガスの反応性)を高めた選択性の高いガス検知装置を提供することができる。
<構成
本発明に係るガス検知装置の別の特徴構成は、前記触媒部位における白金の含有率が0.3質量%以上である点にある。
白金の含有率を0.3質量%以上とすることによっても、メタンおよびCO検知時の検知対象ガスの選択性を高められることを見出した。上記の特徴構成によれば、メタンおよびCO検知時の検知対象ガス以外のガスの燃焼除去反応性を高めることができる。このため、メタンおよびCO検知時の検知対象ガスの選択性を高めることができる。
<構成
本発明に係るガス検知装置の別の特徴構成は、前記触媒部位におけるイリジウムの含有率が0.3質量%以上である点にある。
発明者らは触媒金属の組成について検討・実験を行い、イリジウムを0.3質量%以上含有することにより、一酸化炭素を検知する加熱温度における一酸化炭素に対する触媒部位における燃焼除去反応性を抑制できることを見出した。上記の特徴構成によれば、一酸化炭素に対するガス検知装置の感度をより一層高めることができる。
前記触媒部位における白金の含有率が0.7質量%以上であってもよい。
発明者らは触媒金属の組成について検討・実験を行い、触媒金属の組成によっては、一酸化炭素を検知する加熱温度において、水素感度の発現を抑制する手段を見出した。前記触媒部位における白金の含有率が0.7質量%以上にすると、白金の有する高い水素燃焼作用によって水素感度の発現を抑制することができる。
以上述べた触媒金属は、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化ランタン(La)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ニオブ(Nb)、及び、酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも一つを担体として用いた触媒部位に好適に適用できる。
発明者らは、担体として酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化ランタン(La)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ニオブ(Nb)、及び、酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも一つを用いると、従来用いられるアルミナ担体と比べて、メタンおよびCOの検知温度におけるメタンおよびCOの燃焼除去反応率の湿度依存性が小さいことを見出した。特に、担体が、酸化ジルコニウムであれば、白金およびイリジウムを高分散に担持することができ、熱的安定性も高いため貴金属担持に好適であり、更に好ましい。
<構成
以上述べた触媒部位は、第1温度が250℃以下、より望ましくは150℃以下であり、第2温度が300℃以上、より望ましくは400℃以上であるガス検知装置に好適に用いることができる。第1温度が250℃を超えると触媒部位における一酸化炭素の反応性が高まり、一酸化炭素の感度が大幅に低下してしまう。また、第2温度が300℃よりも低くなるとガス検知部位における表面吸着酸素とメタンとの反応進行しなくなるためメタン感度が発現しなくなってしまう。
また以上述べた触媒部位は、ガス検知部位の主成分が酸化スズであるガス検知装置に対して好適に適用できる。なお、ガス検知部位の主成分としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、複合酸化物等を用いてもよい。
また本発明は、前記触媒部位が前記ガス検知部位の検出対象ガスに接触しうる部位の全体を少なくとも覆って設けられるガス検知装置に対して好適に適用でき、検知対象ガスの選択性を確実に得ることができる。
<構成
また本発明は、前記加熱制御部が、前記ヒータ部位による加熱を行う加熱動作と、前記ヒータ部位による加熱を停止する非加熱動作とを行うよう構成されているガス検知装置において、より好適に適用される。
<構成
また、前記ガス検知部位と、前記触媒部位と、前記ヒータ部位とを有し、前記触媒部位が担体に触媒金属を担持させて構成され、前記触媒金属が白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であり、前記担体の主成分が酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化ランタン(La)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ニオブ(Nb)、及び、酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも一つであるガスセンサは、第1温度(一酸化炭素検出用)での一酸化炭素の選択性、および第2温度(メタンの検出用)でのメタンの選択性を従来より高くすることができるので、一酸化炭素およびメタンのそれぞれ選択性を向上させることができるガスセンサとして適用するのに好適である。
ガス検知装置の概要を示す概略図 実験例aのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例bのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例cのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例dのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例eのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例fのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例gのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ ガス検知装置の構造を示す概略図 ガス検知装置の構造を示す概略図 実験例hのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例iのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例jのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例kのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例lのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例mのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例nのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例oのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例pのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例qのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例rのメタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性を示すグラフ 実験例a、b、c、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、p、q、およびrのCO感度とメタン感度の実験結果を示すグラフ 実験例a、f、g、i、j、k、l、n、p、およびrのCO感度とメタン感度の実験結果を示すグラフ 実験例f、g、i、j、k、l、およびnのCO感度とメタン感度の実験結果を示すグラフ 実験例f、g、i、j、l、およびnのCO感度とメタン感度の実験結果を示すグラフ
本実施形態に係るガス検知装置100を図1に基づいて説明する。ガス検知装置100は、センサ素子20と、加熱制御部12と、ガス検出部13とを有する。センサ素子20は、ガス検知層10(ガス検知部位の一例)と、触媒層11(触媒部位の一例)と、ヒータ層6(ヒータ部位の一例)とを有している。
ガス検知装置100は、加熱制御部12によりヒータ層6への通電を行うことにより、ガス検知層10を検出対象ガスの種類に応じた適切な温度にまで加熱して、この温度を保持した状態におけるガス検知層10の特性(電気抵抗値、電圧値など)に基づいて検出対象ガスを検出する。本実施形態では、検出対象ガスとしてメタンと一酸化炭素とを想定している。
触媒層11は、ヒータ層6により加熱されて高温となり、その温度において活性のある(燃焼する)可燃性ガスを燃焼させ、その温度では不活性な可燃性ガスを透過・拡散させてガス検知層10へ到達させる。これにより、加熱温度を適切に制御することによって検出対象ガス(たとえば、CH4(メタン)、C38(プロパン)等)の可燃性ガスの検出精度が高められている。換言すれば触媒層11は、検出対象ガス以外の水素ガス、アルコールガスなどの還元性ガス(非検出対象ガス)を燃焼させてガス検知層10に到達しないようにし、ガス検知装置100にガス選択性を持たせる機能を有する。従って、メタン/COワンセンサ検知を行う場合、高温(400℃以上)でメタンの検出精度を高め(メタン以外の水素、CO、アルコール等を燃焼除去し、メタンのみを透過させ)、低温(150℃以下)でCOの検出精度を高める(CO以外の水素、アルコール等を燃焼除去し、COは燃焼させない)ように触媒金属組成を最適化する必要がある。なお、低温(150℃以下)でメタンは触媒層11にて燃焼除去されないが、ガス検知層10においてもその温度域では反応しない(300℃以上でないと反応しない)ため、ガス検知層10へ到達したとしても検出されない。
(センサ素子)
センサ素子20は、支持層5の端部がシリコン基板1に支持された、ダイアフラム構造をとる。支持層5は、熱酸化膜2と、Si34膜3と、SiO2膜4とが順に積層されて形成されている。そして支持層5の上にヒータ層6が形成され、ヒータ層6の全体を覆って絶縁層7が形成され、絶縁層7の上に一対の接合層8が形成され、接合層8の上に電極層9が形成されている。ヒータ層6は通電により発熱してガス検知層10および触媒層11を加熱する。センサ素子20は、ブリッジ構造をとってもよく、ヒータ層6は、電極を兼用してもよい。
絶縁層7の上の、一対の電極層9の間に、ガス検知層10が形成されている。ガス検知層10は、金属酸化物を主成分とする半導体の層である。本実施形態では、ガス検知層10として酸化スズ(SnO2)を主成分とする混合物を用いる。ガス検知層10は、検出対象ガスとの接触により電気抵抗値が変化する。
ガス検知層10の上に、ガス検知層10を覆う形態にて、触媒層11が形成されている。触媒層11は、金属酸化物を主成分とする担体に、触媒金属を担持させて構成される。具体的には、触媒金属を担持した金属酸化物をバインダーを介して互いに結合させて形成される。ガス検知層10は、厚さが0.2~1.6μm程度の薄膜としてもよいし、1.6μmを越える厚さを有する膜(厚膜)としてもよい。
触媒金属としては、検出対象ガスの検出に際して誤検知を引き起こし得る干渉ガス(エタノールやH2(水素)等の還元性ガスその他の雑ガス)を、酸化除去できる触媒となる金属を用いる。触媒金属としてパラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)等が使用可能であるが、本実施形態では、パラジウム、白金、イリジウム、ロジウムのうち少なくとも一つを含むものを用いる。
触媒金属を担持する担体としては、従来はアルミナ(Al23)が主として用いられてきた。本実施形態では、遷移金属酸化物、なかでも第3族元素の酸化物、第4族元素の酸化物、および第5族元素の酸化物のうち少なくとも一つの酸化物を用いる。例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウム(Y23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ランタン(La23)、酸化チタン(TiO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ニオブ(Nb25)、または酸化タンタル(Ta25)を用いることができる。
担体を結合させるバインダーとしては、金属酸化物の微粉末、例えば酸化ジルコニウム、シリカ微粉末、シリカゾル、マグネシア等を用いることができる。バインダーとしての微量の使用であれば、触媒層11の機能を阻害しない範囲で、アルミナ微粉末またはアルミナゾルを用いることも可能である。
上述した触媒金属、担体としての金属酸化物、バインダーはいずれも、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
触媒層11に含有される触媒金属の量は、触媒金属と担体の合計質量に対して0.3~9質量%とするのが好適であり、さらに望ましくは触媒金属と担体の合計質量に対して0.5質量%~6質量%とするのが良い。
触媒層11に含有される触媒金属は、パラジウム、白金およびイリジウムから構成される群より選ばれる1つ以上の金属を含むと好適である。この場合、触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上6質量%以下とするとよい。触媒部位における当該金属の含有率の合計を1質量%以上5質量%以下とすることで、一酸化炭素およびメタンに対するガス検知装置の感度を高められることが、後述の実験により確認されている。
また、前記触媒部位における白金の含有率を0.3質量%以上とすると好適である。前記触媒部位における白金の含有率を0.5質量%以上とすることで、可燃性ガス(メタン等)に対するガス検知装置の感度を高められることが、後述の実験により確認されている。また、前記触媒部位における白金の含有率は6質量%以下とするのがよい。触媒部位における白金の含有率が6質量%を超えると、メタン検知時のメタンの反応性が高まりメタンが燃焼されてメタン感度が大きく低下することが予想される。前記触媒部位における白金の含有率が5質量%のもので、白金の含有率が3質量%のものと比べてメタン感度が低下していることが後述の実験により確認されている。
触媒層11に含有される触媒金属は、イリジウムおよび白金を含み、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計を0.3質量%以上、望ましくは0.7質量%以上、4.5質量%以下とするとさらに好ましい。前記触媒部位における白金の含有率を0.5質量%以上とし、当該金属の含有率の合計を1質量%以上4質量%以下の組成とすることで、一酸化炭素検知時の一酸化炭素の反応性、およびメタン検知時のメタンの反応性の両方を抑制することができ、一酸化炭素およびメタンに対するガス検知装置の感度を更に高めることができることが、後述の実験により確認されている。
触媒層11に含有される触媒金属は、イリジウムおよび白金を含み、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計を0.3質量%以上、望ましくは0.7質量%以上、2.5質量%以下とするとより一層好ましい。前記触媒部位における白金の含有率を0.5質量%以上とし、当該金属の含有率の合計を1質量%以上2質量%以下の組成とすることで、メタン検知時のメタンの反応性をさらに抑制することができ、メタンに対するガス検知装置の感度を更に高めることができることが、後述の実験により確認されている。
また、前記触媒部位におけるイリジウムの含有率を0.3質量%以上とすると好適である。パラジウム、白金およびイリジウムから構成される群より選ばれる1つ以上の金属を含み、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計を1質量%以上4質量%以下とし、イリジウムの含有率を0.5質量%以上とすることで、一酸化炭素検知時の一酸化炭素の反応性を抑制することができ、一酸化炭素に対するガス検知装置の感度をより高められることが、後述の実験により確認されている
また、前記触媒部位における白金の含有率を0.7質量%以上とすると好適である。前記触媒部位における白金の含有率を1質量%以上とすることで、一酸化炭素検知時の水素ガスの反応性を高められることができ、一酸化炭素検知時の水素ガス感度を抑制できることが、後述の実験により確認されている。
(加熱制御部)
加熱制御部12は、ヒータ層6に通電する通電動作(ヒータ部位による加熱を行う加熱動作)と、ヒータ層6に通電しない非通電動作(ヒータ部位による加熱を停止する非加熱動作)とを行うよう構成される。また加熱制御部12は、ヒータ層6の温度を変動させるよう構成されており、ヒータ層6の温度を設定された任意の温度へ加熱することが可能なように構成されている。
具体的には加熱制御部12は、図示しない電池等の電源から電源供給を受け、センサ素子20のヒータ層6に通電して、センサ素子20を加熱する。加熱する温度、すなわちガス検知層10および触媒層11の到達温度は、例えばヒータ層6に印可する電圧を変更することにより、制御される。
(ガス検出部)
ガス検出部13は、ガス検知層10の特性を測定して検出対象ガスを検出する。本実施形態ではガス検出部13は、一対の電極層9の間の電気抵抗値(電気的特性)を測定することにより、ガス検知層10の抵抗値を測定して、その変化から検出対象ガスの濃度を検出する。
(検出対象ガスの検出)
以上の様に構成されたガス検知装置100における、検出対象ガスの検出の際の動作について説明する。
まずガス検知装置100にてCH4(メタン)、C38(プロパン)等の可燃性ガス(検出対象ガス)を検出する場合を説明する。加熱制御部12によりヒータ層6に通電して、0.05秒~0.5秒の間、ガス検知層10および触媒層11を300℃~500℃に加熱する。この間にガス検出部13がガス検知層10の抵抗値を測定して、その値からCH4(メタン)、C38(プロパン)等の可燃性ガスの濃度を検出する。その後、ヒータ層6への通電を停止する。
この間、高温になった触媒層11では、触媒金属が触媒となって、CO(一酸化炭素)やH2(水素)等の還元性ガスその他の雑ガスが燃焼する。そして不活性なCH4(メタン)、C38(プロパン)等の可燃性ガスは、触媒層11を透過・拡散して、ガス検知層10へ到達し、ガス検知層10の金属酸化物(酸化スズ)と反応し、抵抗値を変化させる。以上の様にして、ガス検知装置100でCH4(メタン)、C38(プロパン)等の可燃性ガス(検出対象ガス)が検出される。
次にガス検知装置100にてCO(一酸化炭素)を検出する場合を説明する。ヒータ層6への通電を制御して、ガス検知層10および触媒層11を50℃~250℃にし、0.05秒~0.5秒の間温度を保持する。この間にガス検出部13がガス検知層10の抵抗値を測定して、その値からCO(一酸化炭素)の濃度を検出する。その後、ヒータ層6への通電を停止する。以上の様にして、ガス検知装置100でCO(一酸化炭素、検出対象ガス)が検出される。
これらの通電動作は、低温動作(一酸化炭素検出用温度よりも低い温度での加熱動作または休止動作)を挟んで、繰り返し行われる。本実施形態では、ガス検知装置100はメタンと一酸化炭素とを一つのセンサで検知するメタン/COワンセンサとして構成され、400℃に加熱する通電動作を行い、次に低温動作を行い、その後、150℃に加熱する通電動作を行い、再度、低温動作を行い、以上の動作を繰り返し行う。また、通電動作時間、低温動作時間、加熱温度等は適宜変更でき、低温動作はなくても良く、400℃加熱と150℃加熱の出現頻度は一定でなくても良い(例えば、400℃加熱1回に対して150℃加熱を5回繰り返すなど)。
(メタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性)
メタンおよびCOに対するセンサ感度の温度依存性および湿度依存性を明らかにするため、担体の種類と触媒金属の種類・量を変更したサンプルを作成し、CO・メタンガス感度の温度および湿度による変化を測定した。測定対象は以下の7種のサンプルである。
(実験例a)担体としての酸化ジルコニウムに1質量%のパラジウム、1質量%のイリジウムおよび1質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例b)担体としての酸化ジルコニウムに3質量%のイリジウムおよび2質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例c)担体としての酸化ジルコニウムに3質量%のパラジウムおよび2質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例d)担体としての酸化ジルコニウムに3質量%のパラジウムおよび2質量%のイリジウムを担持させたサンプル、
(実験例e)担体としての酸化ジルコニウムに2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例f)担体としてのアルミナに2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、および
(実験例g)担体としてのアルミナに7質量%のパラジウムを担持させたサンプル。
測定は具体的には、加熱温度をCO検知温度である150℃とメタン検知温度である400℃でのCO感度(150℃加熱時のAir中の抵抗値を、150℃加熱時の100ppmのCO中での抵抗値で除したもの)とメタン感度(400℃加熱時のAir中の抵抗値を400℃加熱時の3000ppmのCH4中での抵抗値で除したもの)を、低湿(水蒸気濃度:0.1%)中と、高湿(水蒸気濃度:2.3%)中とで調べた。
図2~図8は、実験例a~gの150℃と400℃におけるCOおよびメタン感度を表したものである。メタン/COワンセンサ検知を行う場合、理想としては、150℃ではメタンおよび水素感度がなくCO感度が大きく、400℃ではCOおよび水素感度がなくメタン感度が大きくなる特性を示すことであり、更に湿度による感度変動がない特性を持つものである。触媒金属としてパラジウムのみを用いたもの(図7:実験例fおよび図8:実験例g)に比べ、他の構成としたもの(実験例a~e)では、150℃のCO感度、400℃のメタン感度が大きくなっており、メタン/COワンセンサ検知を行うのに、より適していることがわかる。
また、酸化ジルコニウム担体であれば、湿度依存性がほとんど発現しないことがわかる。
すなわち以上の実験結果により、酸化ジルコニウムを触媒層11の担体として用い、触媒金属の成分がパラジウムまたはイリジウムまたは白金のうち、少なくともイリジウムまたは白金を含む物(すなわち、パラジウムのみにて構成されるもの以外)を用いることで、触媒層11における第1温度(メタン検出用)でのメタンの反応性、および第2温度(一酸化炭素検出用)での一酸化炭素の反応性(特に高湿中での反応性)を従来より低くすることができ、メタンおよびCOの両方に対するガス検知装置100の感度が向上することが示された。
また、同じ触媒金属を用いていても、アルミナ担体に比べて酸化ジルコニウム担体の方が高湿時の感度低下を抑制できることから、パラジウムのみにて構成されるものであっても、担体を酸化ジルコニウムとすることにより、従来よりもメタン/COワンセンサ検知に適した触媒層とすることができると考えられる。
(担体による湿度依存性の変化)
担体による湿度依存性の変化を確認するため、担体の種類のみを変更したサンプルを作成し、CO・メタンガス感度の加熱温度および周囲湿度による変化を測定した。測定対象は以下の10種のサンプルである。
(実験例1)担体としての酸化ジルコニウム(ZrO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例2)担体としての酸化イットリウム(Y23)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例3)担体としての酸化セリウム(CeO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例4)担体としての酸化ランタン(La23)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例5)担体としての酸化チタン(TiO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例6)担体としての酸化ハフニウム(HfO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例7)担体としての酸化ニオブ(Nb25)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例8)担体としての酸化タンタル(Ta25)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、
(実験例9)担体としてのアルミナ(Al23)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル、および
(実験例10)担体としての酸化シリコン(SiO2)に2質量%のイリジウムおよび5質量%の白金を担持させたサンプル。
測定は具体的には、加熱温度をCO検知温度である150℃とメタン検知温度である400℃でのCO感度(150℃加熱時のAir中の抵抗値を、150℃加熱時の100ppmのCO中での抵抗値で除したもの)とメタン感度(400℃加熱時のAir中の抵抗値を400℃加熱時の3000ppmのCH4中での抵抗値で除したもの)を、低湿(水蒸気濃度:0.1%)中と、高湿(水蒸気濃度:2.3%)中とで調べた。
下掲の表1は、実験例1~10の150℃と400℃におけるCOおよびメタン感度を表したものである。なお、各サンプル・各ガスの低湿中での感度を1としている。
Figure 0007057629000001
表1に示される通り、担体が第3~第5族の遷移金属酸化物である実験例1~8については、CO感度、メタン感度のいずれも、湿度変動による感度の変化はほとんどみられない。これに対して、実験例9(担体がアルミナ)および実験例10(担体が酸化シリコン)では、湿度変動によってCO感度が大きく変動した。
発明者らは、この要因が下記によるものであることを発見した。SiO,Alを担体とする場合、水との相互作用が強いため、毛管凝縮によって凝縮水がたまりやすく、高湿であれば多く蓄積する。この後、パージ(センサ表面をクリーニングするための高温での加熱処理。低温動作を含む加熱制御をする場合には高温での加熱時間は有限の時間となる)によって水を飛ばすが、水を全て飛ばし切れないことがあり、表面にOH基が残存してしまう。特に、所定の温度以上に加熱する時間が有限な、低温動作を含む場合には顕著に現れる。このOH基は、COの吸着促進効果を発現することを発明者らは見出しており、触媒層にてCO酸化が促進されることにより、検知層へ到達するCOが減少し、CO感度が下がると考えられる。
一方で、第3族~第5族の遷移金属酸化物を担体とした場合、低温動作時の毛管凝縮は起こりにくく、凝縮水が少ないため、パージによって十分に水分を飛ばすことができ、OH基の残存は起こらない。このため、触媒層におけるCO酸化が促進されることはないためCO感度はSiO2,Al23を担体とした場合に比べて高く、またCO感度が湿度に依存することもない。
(メタン、CO感度の温度依存性、湿度依存性、水素感度)
メタンおよびCOに対するセンサ感度の温度依存性および湿度依存性について更に詳しく調べるため、触媒金属の種類・量を変更したサンプルを作成し、CO・メタンガス感度の温度および湿度による変化を測定した。測定対象は以下の表2に示す11種のサンプルである。温度依存性・湿度依存性に加えて、水素感度についても測定を行った。
Figure 0007057629000002
測定は上述の実験と同様にして行った。加熱温度をCO検知温度である150℃とメタン検知温度である400℃でのCO感度(150℃加熱時のAir中の抵抗値を、150℃加熱時の100ppmのCO中での抵抗値で除したもの)とメタン感度(400℃加熱時のAir中の抵抗値を400℃加熱時の3000ppmのCH4中での抵抗値で除したもの)を、低湿(水蒸気濃度:0.1%)中と、高湿(水蒸気濃度:2.3%)中とで調べた。
水素感度は、水素1000ppmでの感度であり、一酸化炭素検知における水素感度は、150℃加熱時のAir中の抵抗値を150℃加熱時の1000ppmのH中での抵抗値で除した値である。メタン検知時における水素感度は、400℃加熱時のAir中の抵抗値を400℃加熱時の1000ppmのH中での抵抗値で除した値である。水素感度が1を越えた場合に、水素感度の発現「あり」とした。なお、メタン検知時における水素感度(400℃加熱時での水素感度)は、いずれのサンプルでも「なし」であった。また、水素感度の測定は、低湿(水蒸気濃度:0.1%)環境で行った。
上記実験結果より、いずれの触媒金属の種類・量であってもメタン検知時における水素感度は発現しなかった。このことから、パラジウム、白金およびイリジウムから構成される群より選ばれる1つ以上の金属を含み、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が1質量%以上であれば、メタン検知時における水素感度が抑制され、メタン検知時におけるメタン選択性が高められることが示された。また、触媒部位における当該金属の含有率の合計を0.3質量%以上とすることによっても同様の効果が期待できると予想される。
図11~図21は、実験例h~rの150℃と400℃におけるCOおよびメタン感度を表したものである。メタン/COワンセンサ検知を行う場合、理想としては、150℃ではメタン感度がなくCO感度が大きく、400℃ではCO感度がなくメタン感度が大きくなる特性を示すことであり、更に湿度による感度変動がない特性を持つものである。いずれのサンプルも、150℃のCO感度、400℃のメタン感度が大きくなっており、メタン/COワンセンサ検知を行うのに、より適していることがわかる。
実験例e~g(図6~8参照)のCO感度(16~18.4、低湿)、メタン感度(9.3~10.3、低湿)に比べて、実験例a~d(図2~5参照)および実験例h~r(図11~21参照)のCO感度(19.9~24.6、低湿)、メタン感度(11.3~15.2、低湿)は高い。ここで触媒部位におけるパラジウム、イリジウムおよび白金の含有率の合計に着目すると、実験例e~gは5質量%を越えているのに対し、実験例a~dおよび実験例h~rは1質量%以上5質量%以下となっている。すなわち上述の実験結果からは、触媒金属を、パラジウム、白金およびイリジウムから構成される群より選ばれる1つ以上の金属を含有し、触媒部位における当該金属の含有率の合計を1質量%以上5質量%以下とすることによって一酸化炭素およびメタンの感度を高められることが示された。また、触媒部位における当該金属の含有率の合計を0.7質量%以上6質量%以下とすることによっても同様の効果が期待できると予想される。
図22は、横軸にCO感度(低湿)、縦軸にメタン感度(低湿)をとり、触媒部位における白金の含有率が0.3質量%以上6質量%以下であるサンプル(実験例a,b,c,e、h、i、j、k、l、m、n、p、q、およびr;図2~4,6、11~17,および19~21参照)を、従来のアルミナ担体のサンプル(実験例f、g;図7,8参照)と比較してプロットしたものである。いずれのサンプルも従来のアルミナ担体のサンプルよりもCO感度およびメタン感度が大きくなっている。すなわち、白金を含む組成とすることによって、CO感度およびメタン感度を従来よりも高めることに好適であることがわかる。なお、担体が同じジルコニアのもので、白金を5質量%含有するサンプル(実験例e;図6参照)のCO感度(18.4、低湿)、メタン感度(10.3、低湿)は、白金を3質量%含有するサンプル(実験例p;図19参照)のCO感度(19.9、低湿)、メタン感度(16.2、低湿)よりも低くなっている。このことから、白金の含有量が多くなると、COおよびメタンの反応性が高まり、COおよびメタンの感度が低下してしまうと考えられる。従って、白金の含有率は、0.3質量%以上6質量%以下とすることが好適であると予想される。
図23は、横軸にCO感度(低湿)、縦軸にメタン感度(低湿)をとり、触媒部位における白金の含有率が0.3質量%以上であり、白金とイリジウムの含有率の合計が0.3質量%以上4.5質量%以下であるサンプル(実験例a,i、j、k、l、n、p、およびr;図2,12~15,17、19および21参照)を、従来のアルミナ担体のサンプル(実験例f、g;図7,8参照)と比較してプロットしたものである。触媒部位における白金の含有率を0.3質量%以上とし、白金とイリジウムの含有率の合計を0.3質量%以上4.5質量%以下とすることにより、一酸化炭素検知時の一酸化炭素の反応性、およびメタン検知時のメタンの反応性の両方を抑制することができ、一酸化炭素およびメタンに対するガス検知装置の感度を更に高めることにより好適であることが示された。
図24は、横軸にCO感度(低湿)、縦軸にメタン感度(低湿)をとり、触媒部位における白金の含有率が0.3質量%以上であり、白金とイリジウムの含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であるサンプル(実験例i、j、k、l、およびn;図12~15、および17参照)を、従来のアルミナ担体のサンプル(実験例f、g;図7,8参照)と比較してプロットしたものである。触媒部位における白金の含有率を0.3質量%以上とし、白金とイリジウムの含有率の合計を0.3質量%以上2.5質量%以下とすることにより、メタン検知時のメタンの反応性をさらに抑制することができ、メタンに対するガス検知装置の感度を高めることにより一層好適であることが示された。
図25は、横軸にCO感度(低湿)、縦軸にメタン感度(低湿)をとり、触媒部位における白金の含有率が0.3質量%以上であり、白金とイリジウムの含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であり、イリジウムの含有率が0.3質量%以上であるサンプル(実験例i、j、l、およびn;図12,13、15および17参照)を、従来のアルミナ担体のサンプル(実験例f、g;図7,8参照)と比較してプロットしたものである。触媒部位における白金の含有率を0.3質量%以上とし、白金とイリジウムの含有率の合計を0.3質量%以上2.5質量%以下とし、イリジウムの含有率を0.3質量%以上することにより、一酸化炭素検知時の一酸化炭素の反応性をさらに抑制することができ、一酸化炭素に対するガス検知装置の感度を高めることにより一層好適であることが示された。
一酸化炭素検知時の水素感度については表2の右側に示す通り、実験例h、iおよびjは水素感度の発現「あり」、その他のサンプルは水素感度の発現「なし」となった。ここで触媒部位における白金の含有率に着目すると、実験例h、iおよびjは0.5質量%であるのに対し、白金の含有率が1質量%以上のサンプル(実験例k、l、m、n、p、qおよびr)では水素感度の発現「なし」となっている。すなわち上述の実験結果からは、白金の含有率を1質量%以上とすることによって、水素感度の発現を抑制できることが示された。また、触媒部位における白金の含有率を0.7質量%以上とすることによっても、水素感度の発現を抑制できることが予想される。
以上の結果から、メタン検知時のメタン感度およびメタン選択性を高め、CO検知時のCO感度およびCO選択性を高めるには、触媒部位における白金の含有率を0.7質量%以上とし、白金とイリジウムの含有率の合計を1質量%以上2.5質量%以下とし、イリジウムの含有率を0.3質量%以上とすると最も高い効果が得られることがわかった。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、ガス検知装置100の構造は、図1に示されるいわゆる基板型であるが、他の構造も可能である。例えば、ヒータ層6を覆う絶縁層7が設けられず、ヒータ層6が電極層9を兼ねる構造も可能である。また、例えば図9に示すように、電極とヒータ部位とを兼ねる電極線21のコイル22の周囲に、酸化物半導体からなるガス検知部位23を形成し、その周囲に触媒層24を形成する構造も可能である。また図10に示すように、電極とヒータ部位とを兼ねる電極線31のコイル32の中心に、別の電極33を配置して、コイル32の周囲に、酸化物半導体からなるガス検知部位34を形成し、その周囲に触媒層35を形成する構造も可能である。
また上述の実施例においては、担体としての酸化ジルコニウムを用いた例を挙げたが、同様の効果は酸化チタンを用いた場合にも得られ、また、他の遷移金属酸化物も用いた場合にも得られる。
なお上述の実施形態(他の実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
6 :ヒータ層(ヒータ部位)
10 :ガス検知層(ガス検知部位)
11 :触媒層(触媒部位)
12 :加熱制御部
13 :ガス検出部
21 :電極線(ヒータ部位)
23 :ガス検知部位
24 :触媒層(触媒部位)
31 :電極線(ヒータ部位)
34 :ガス検知部位
35 :触媒層(触媒部位)
100 :ガス検知装置

Claims (7)

  1. 検出対象ガスである一酸化炭素及びメタンとの接触により特性が変化するガス検知部位と、
    前記ガス検知部位の少なくとも一部を覆って設けられる触媒部位と、
    前記ガス検知部位および前記触媒部位を加熱するヒータ部位と、
    前記ヒータ部位による加熱を制御する加熱制御部と、
    前記ガス検知部位の特性を測定して検出対象ガスを検出するガス検出部とを有するガス検知装置であって、
    前記加熱制御部は、
    前記ヒータ部位による加熱を制御して前記ガス検知部位および前記触媒部位とを一酸化炭素検出用の第1温度に加熱する第1加熱動作と、
    前記ヒータ部位による加熱を制御して前記ガス検知部位および前記触媒部位とを前記第1温度よりも高い第2温度に加熱する第2加熱動作とを行うよう構成され、
    前記触媒部位が担体に触媒金属を担持させて構成され、前記触媒金属が白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であり、前記担体の主成分が酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化ランタン(La)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ニオブ(Nb)、及び、酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも一つであるガス検知装置。
  2. 前記触媒金属がイリジウムと白金を含む混合物であり、前記触媒部位におけるイリジウムの含有率が0.3質量%以上であり、白金の含有率が0.3質量%以上である請求項1に記載のガス検知装置。
  3. 前記触媒部位における白金の含有率が0.3質量%以上である請求項1に記載のガス検知装置。
  4. 前記触媒部位におけるイリジウムの含有率が0.3質量%以上である請求項1に記載のガス検知装置。
  5. 前記第1温度が250℃以下であり、前記第2温度が300℃以上である請求項1から4のいずれか一項に記載のガス検知装置。
  6. 前記加熱制御部は、前記ヒータ部位による加熱を行う加熱動作と、前記ヒータ部位による加熱を停止する非加熱動作とを行うよう構成されている請求項1から5のいずれか1項に記載のガス検知装置。
  7. 検出対象ガスである一酸化炭素及びメタンとの接触により特性が変化するガス検知部位と、
    前記ガス検知部位の少なくとも一部を覆って設けられる触媒部位と、
    前記ガス検知部位および前記触媒部位を加熱するヒータ部位とを有し、
    前記触媒部位が担体に触媒金属を担持させて構成され、前記触媒金属が白金およびイリジウムを含む混合物であり、前記触媒部位における当該金属の含有率の合計が0.3質量%以上2.5質量%以下であり、前記担体の主成分が酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化ランタン(La)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ニオブ(Nb)、及び、酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも一つであるガスセンサ。
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