JP2022064475A - ガス検知装置の温度制御方法およびガス検知装置の温度制御装置 - Google Patents

ガス検知装置の温度制御方法およびガス検知装置の温度制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】環境ガスの状態の影響を抑制して、より精度良く対象ガスを検知することを目的とする。【解決手段】所定の周期で検知用加熱制御が行われ、検知用加熱制御は、ガス検知部の吸着物を削減するためのパージ温度で所定の第1時間にわたる第1パルス加熱を行う工程と(#1)、第1パルス加熱後に周囲環境温度より高い所定の予備加熱温度で所定の第2時間にわたる予備加熱を行う工程と(#3)、予備加熱の後に測定温度で所定の第3時間にわたる第2パルス加熱を行う工程と(#5)を備え、測定温度は150℃以上450℃以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、特定条件で対象ガスと接触することにより、ガス検知部の電気的特性値が変化することを利用したガス検知装置における温度制御方法および温度制御装置に関する。
特許文献1に示すように、ガス検知部を加熱した際のガス検知部の特性の変化に基づいて、環境ガス中の対象ガスの存在や対象ガスの濃度を検知するガス検知装置がある。
また、特許文献2、3に示すように、対象ガスを検知する際の加熱の前後に、所定の温度制御を行うガス検知装置もある。このような構成により、干渉ガスの影響を排除し、対象ガスの検知感度を向上させている。
特開2012-167954号公報 特開2017-90188号公報 特開2018-194434号公報
しかしながら、現実的には、環境ガス中に干渉ガスが含まれている場合、対象ガスを検知することは困難であり、精度良く対象ガスを検知するためには複数のガス検知部を設ける必要がある。これは、干渉ガスの存在以外の要因、例えば、環境ガスの湿度(相対湿度。以下同じ)の差により、対象ガスの選択性が小さくなることも原因の一つであると考えられる。
本発明は、干渉ガスによる対象ガス感度への影響を抑制して、より精度良く対象ガスを検知することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係るガス検知装置の温度制御方法の特徴構成は、所定の測定温度に加熱されたガス検知部の電気的特性を測定することにより環境ガス中に存在するアセトンを検知するガス検知装置の温度制御方法であって、所定の周期で検知用加熱制御が行われ、前記検知用加熱制御は、前記ガス検知部の吸着物を削減するためのパージ温度で所定の第1時間にわたる第1パルス加熱を行う工程と、前記第1パルス加熱後に周囲環境温度より高い所定の予備加熱温度で所定の第2時間にわたる予備加熱を行う工程と、前記予備加熱の後に前記測定温度で所定の第3時間にわたる第2パルス加熱を行う工程とを備え、前記測定温度は150℃以上450℃以下である点にある。
さらに、本発明の一実施形態に係るガス検知装置の温度制御装置の特徴構成は、所定の測定温度に加熱されたガス検知部の電気的特性を測定することにより環境ガス中に存在するアセトンを検知するガス検知装置の温度制御装置であって、前記ガス検知部を加熱するヒータ部と、前記ヒータ部の加熱動作を制御する温度制御部とを備え、前記温度制御部は、所定の周期で検知用加熱制御を行い、前記検知用加熱制御は、前記ガス検知部の吸着物を削減するためのパージ温度で所定の第1時間にわたる第1パルス加熱と、前記第1パルス加熱後に周囲環境温度より高い所定の予備加熱温度で所定の第2時間にわたる予備加熱と、前記予備加熱の後に前記測定温度で所定の第3時間にわたる第2パルス加熱とを有し、前記測定温度は150℃以上450℃以下である点にある。
以上の構成により、環境ガス中に含まれる干渉ガスとの選択性を高めながら、環境ガス中の湿度の影響によるアセトンの検知感度の悪化を抑制することができ、環境ガスの状態の影響を抑制して、精度良くアセトンを検知することができる。
また、前記パージ温度は350℃以上450℃以下であり、前記第2時間は5秒以上45秒以内であることが好ましい。
このような構成により、湿度や吸着物の影響によるアセトンの検知感度の悪化をより適切に抑制することができ、より精度良くアセトンを検知することができる。
また、前記環境ガスにはエタノールが含まれても良い。
アセトンとエタノールとが混在する環境ガスであっても、精度良くアセトンを検知することができる。
また、前記環境ガスは呼気であっても良い。
医療目的や健康目的で、呼気中のアセトンが検知される場合がある。上記構成によると、呼気中からアセトンを適切に検知することができる。
ガス検知装置の概要を示す概略図である。 実施形態の検知用加熱制御における加熱パターンを示す図である。 検知用加熱制御のフローを示す図である。 比較例の検知用加熱制御における加熱パターンを示す図である。 比較例における湿度と感度の関係を説明する両対数グラフである。 実施形態における湿度と感度の関係を説明する両対数グラフである。 実施形態における予備加熱温度と湿度変動によるアセトン濃度の変化量IRHとの関係を説明するグラフである。 実施形態における予備加熱時間と湿度変動によるアセトン濃度の変化量IRHとの関係を説明するグラフである。 測定温度が300℃におけるアセトンとエタノールとの選択性を説明する両対数グラフである。 測定温度が400℃におけるアセトンとエタノールとの選択性を説明する両対数グラフである。 測定温度が200℃におけるアセトンとエタノールとの選択性を説明する両対数グラフである。 実施形態における測定温度に対するアセトン濃度とエタノール濃度との比IETの関係を説明するグラフである。
〔ガス検知装置〕
本実施形態に係るガス検知装置100の構成を図1に基づいて説明する。ガス検知装置100は、環境ガスである呼気に含まれるアセトン(CO)が存在することを検知し、呼気に含まれるアセトンの濃度を導出する(以下、単に「アセトンを検知する」と称す)。ガス検知装置100は、センサ素子20と、加熱制御部12(「温度制御部」の一例)と、検知制御部13と、温度検出部14とを有する。センサ素子20は、ガス検知層10(「ガス検知部」の一例)と、触媒層11と、ヒータ層6(「ヒータ部」の一例)とを少なくとも有している。また、加熱制御部12と、センサ素子20のヒータ層6とを少なくとも含む構成を温度制御装置と称す。
ガス検知装置100は、加熱制御部12によりヒータ層6への通電を行うことにより、ガス検知層10を対象ガスの種類に応じた適切な温度にまで加熱して、ガス検知層10の電気的特性値(電気抵抗値、電圧値など)に基づいて対象ガスを検知する。
〔センサ素子〕
センサ素子20は、シリコン基板1に支持されてダイアフラムを構成する。センサ素子20は、支持層5と、絶縁層7と、ガス検知層10と、触媒層11とを有する。支持層5はシリコン基板1上に形成され、支持層5上にヒータ層6が形成される。絶縁層7は、ヒータ層6の全体を覆って支持層5上に形成される。絶縁層7の上に一対の接合層8が形成され、接合層8の上に電極層9が形成される。絶縁層7の上の、一対の電極層9の間に、ガス検知層10が形成される。絶縁層7の上に、ガス検知層10を覆う形態にて、触媒層11が形成される。なお、センサ素子20は、ブリッジ構造をとっても良く、ヒータ層6は、電極として兼用されても良い。
支持層5は、熱酸化膜2と、Si膜3と、SiO膜4とが順に積層されて形成されている。ヒータ層6は通電により発熱して、ガス検知層10および触媒層11を加熱する。
ガス検知層10は、金属酸化物を主成分とする半導体の層である。例えば、ガス検知層10は、酸化スズ(SnO)を主成分とする混合物である。ガス検知層10は、対象ガスとの接触により電気抵抗値が変化する。ガス検知層10は、厚さが0.2~1.6μm程度の薄膜としても良いし、1.6μmを越える厚さを有する膜(厚膜)としても良い。
触媒層11は、ヒータ層6により加熱されて高温となり、その温度において活性のある(燃焼する)ガスを燃焼させる。さらに、その温度では、対象ガスであるアセトンが透過・拡散されてガス検知層10へ到達される。これにより、加熱温度を適切に制御することによってアセトンの検知精度が高められている。換言すれば触媒層11は、対象ガスとしてアセトンを検知する際に、アセトン以外の水素ガスなどの非対象ガスを燃焼させてガス検知層10に到達しないようにし、ガス検知装置100にガス選択性を持たせる機能を有する。そのため、ガス検知層10は、触媒層11を透過・拡散したアセトンを効率的に検知することができる。
触媒層11は、金属酸化物を主成分とする担体に、触媒金属を担持させて構成される。具体的には、触媒金属を担持した金属酸化物が、バインダーを介して互いに結合されて形成される。
〔加熱制御部〕
加熱制御部12は、ヒータ層6に対する通電制御を行い、ヒータ層6に通電することによりガス検知層10を加熱する。また、加熱制御部12は、ヒータ層6に対する通電電圧または通電電流を制御することにより、ヒータ層6を設定された任意の温度に加熱することができる。
具体的には加熱制御部12は、図示しない電池等の電源から電源供給を受け、センサ素子20のヒータ層6に通電して、センサ素子20を加熱する。加熱する温度、すなわちガス検知層10および触媒層11の到達温度は、例えばヒータ層6に印加する電圧を変更することにより制御される。以下の説明において、ある温度に加熱を行うことは、その温度に対応する電圧を印加することを意味し、加熱時間は電圧を印加する時間である。
〔検知制御部〕
検知制御部13は、ガス検知層10の電気的特性値を測定して対象ガスを検知する。例えば、検知制御部13は、一対の電極層9の間の電気抵抗値(電気的特性値)を測定することにより、ガス検知層10の抵抗値を測定して、抵抗値または抵抗値の変化から対象ガスを検知する。
温度検出部14は、ガス検知層10、または、ガス検知層10とその周辺の温度(以下、周囲環境温度と総称する)とを検出する。具体的には温度検出部14は、サーミスタ等の温度センサである。また、ヒータ層6の抵抗値を計測することによってヒータ層6の温度(ガス検知層10の温度とほぼ同等)を検出することもできる。温度検出部14によって検出された温度は、加熱制御部12へ送られる。
〔加熱動作〕
アセトンの検知動作において、加熱制御部12は、センサ素子20の検知制御部13をパルス加熱により加熱する。パルス加熱は、所定の間隔を隔てて、対象ガスであるアセトンを検知するのに適した測定温度に所定時間昇温することを繰り返す加熱動作である。また、測定温度に加熱してアセトンを検知する所定時間前に、所定のパージ温度に所定時間昇温するパージ加熱が行われる。パージ加熱が行われることにより、ガス検知層10の吸着物が除去または削減されてガス検知層10の表面がクリーニングされる。具体的には、パルス加熱により、ガス検知層10の表面に付着した水素や一酸化炭素等を燃焼させ、水分等のガス検知層10の吸着物が除去または削減される。これにより、周囲環境によるガス検知層10の表面の汚れによりアセトンの検知感度が悪化することが抑制される。
呼気中のアセトンを検知する場合、測定温度を100℃以上500℃以下とすることにより、アセトンの検知感度は十分に発揮される。しかし、呼気中にエタノールが干渉ガスとして存在する場合、エタノールとの選択性が低下する。そのため、呼気中のアセトンを検知する場合の測定温度は150℃以上400℃以下とすることが好ましい。
さらに、呼気中の湿度により、アセトンの検知感度が低下することがある。つまり、呼気中の湿度が一定以上高くなると、アセトンの検知感度が大きく低下する。これは、呼気中の湿度が高いと、パージ加熱したとしても測定温度に加熱するまでの間に、呼気中の水分がガス検知層10の表面に吸着するためであると考えられる。
そのため、本実施形態では、パージ加熱後から測定温度に加熱するまでの間に、呼気の温度またはガス検知層10の周辺温度である周囲環境温度より高く、測定温度より低い予備加熱温度に加熱される。パージ加熱後、測定温度でアセトンの検知を行う前に、予備加熱温度にガス検知層10を加熱することにより、ガス検知層10の温度が下がりすぎることが抑制され、呼気中の水分がガス検知層10の表面に吸着することが抑制される。その結果、呼気中の湿度により、アセトンの検知感度が低下することを抑制することができる。
具体的には、図1,図2に示すように、本実施形態に係る温度制御装置において、検知用加熱制御として、温度制御部である加熱制御部12はヒータ層6を制御して、まず、所定の第1パルス時間Wp(「第1時間」の一例)にわたってパージ温度tpにパージ加熱(第1パルス加熱)を行い、続けて所定の予備加熱時間Wr(「第2時間」の一例)の間に加熱温度を予備加熱温度trに保持した後(予備加熱)、測定温度tdに所定の第2パルス時間wd(「第3時間」の一例)にわたって加熱し(第2パルス加熱)、測定温度tdに加熱される際にガス検知層10の電気的特性値を測定する。そして、この様な検知用加熱制御を周期Tごとに繰り返し、測定温度tdに加熱されている間にガス検知層10の電気的特性値を測定してアセトンの検知が行われる。
同様に、本実施形態に係る温度制御方法は、図3に示すように以下の工程で検知用加熱制御を行う。
まず、パージ加熱としてパージ温度tpへの加熱が開始される(ステップ#1)。そして、パージ温度tpへの加熱が開始されてから第1パルス時間Wpが経過したか否かが判定される(ステップ#2)。第1パルス時間Wpが経過していない場合はパージ加熱が継続されてパージ温度tpが維持され、第1パルス時間Wpでパージ温度tpのパージパルスが行われる(ステップ#2のNo)。
第1パルス時間Wpが経過すると(ステップ#2のYes)、予備加熱として予備加熱温度trへの加熱が開始される(ステップ#3)。そして、予備加熱温度trへの加熱が開始されてから予備加熱時間Wrが経過したか否かが判定される(ステップ#4)。予備加熱時間Wrが経過していない場合は予備加熱が継続されて予備加熱温度trが維持される(ステップ#4のNo)。
予備加熱時間Wrが経過すると(ステップ#4のYes)、測定温度tdへの加熱が開始される(ステップ#5)。測定温度tdが維持されている間に、測定温度tdへの加熱が開始されてから所定の測定時間が経過したか否かが判定される(ステップ#6)。所定の測定時間が経過すると、ガス検知層10の電気抵抗を測定してアセトンの検知が行われる(ステップ#7)。具体的には、アセトンの検知は、アセトンを含有しない環境ガスにおける上記検知用加熱制御を行って測定されたガス検知層10の電気抵抗値Rs(Air)を記憶しておき、アセトンの検知を行う環境ガス(呼気)に対して上記検知用加熱制御を行って測定されたガス検知層10の電気抵抗値Rsとの比(以下、「抵抗比」と称す)を求める。そして、あらかじめ求められた抵抗比とアセトンの濃度との関係を示すグラフあるいはテーブルから、測定された抵抗比に対応するアセトンの濃度が導出される。
そして、測定温度tdへの加熱が開始されてから第2パルス時間Wdが経過したか否かが判定される(ステップ#8)。第2パルス時間Wdが経過していない場合は測定温度tdへの加熱が継続されて測定温度tdが維持され、第2パルス時間Wdで測定温度tdの検知パルスが行われる(ステップ#8のNo)。
第2パルス時間Wdが経過すると(ステップ#8のYes)、測定温度tdへの加熱が終了される(ステップ#9)。そして、パージ加熱が開始されてから時間Tが経過しているか否かが判定される(ステップ#10)。時間Tが経過するまで加熱が停止され、時間Tが経過するとパージ加熱からの処理が繰り返される。これにより、時間(周期)Tごとに上記検知用加熱制御が繰り返される。
なお、上述のように、周期Tの間にパージパルスと検知パルスとが予備加熱を挟んで行われる。上記検知用加熱制御において、周期Tは10秒以上300秒以内であり、より好ましくは30秒以上150秒以内であり、例えば60秒である。また、パージパルスにおける第1パルス時間Wpは、0.05秒以上0.5秒以内であり、例えば0.20秒である。検知パルスにおける第2パルス時間Wdは、0.05秒以上0.5秒以内であり、例えば0.20秒である。予備加熱における予備加熱時間Wrは、5秒以上45秒以内であり、例えば5秒である。また、測定温度tdへの加熱が開始されてから電気抵抗が測定されるまでの測定時間は0.05秒以上0.20秒以内の任意の時間であり、例えば、測定時間は0.10秒である。
また、パージ温度tpは350℃以上とすることができ、好ましくは350℃以上450℃以下であり、例えば400℃である。予備加熱温度trは、30℃以上70℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上60℃以下である。このような条件で、測定温度tdは、150℃以上450℃以下、より好ましくは240℃以上400℃以下である。
以下、図1~図11を用いて、本実施形態に係る検知用加熱制御を従来の検知用加熱制御と比較する。図4に示すように、従来の検知用加熱制御は、400℃のパージ温度tpで0.2秒間のパージパルスを行い、5秒間加熱を停止した後に、300℃の測定温度tdで0.2秒間の検知パルスを30秒の周期Tで行う制御である。なお、本実施形態に係る検知用加熱制御としては、従来の検知用加熱制御に対して、パージパルスと検知パルスとの間にわたり、予備加熱温度trが30~70℃の種々の温度で5.0秒間の予備加熱を追加した。また、測定時間は0.10秒とした。
図5,図6では、従来の検知用加熱制御と予備加熱温度tr50℃で5.0秒間の予備加熱を追加した検知用加熱制御とでのアセトンの検知感度の湿度による影響を比較する。
従来の検知用加熱制御を行った場合のアセトンの検知感度は、環境ガス(呼気)の湿度によって大きく変化する。図5に示すように、湿度が50%や65%の場合、対象ガスであるアセトンのガス濃度に対する抵抗比の変化量は十分に大きく(グラフの傾きが大きい)、アセトンの検知感度が十分に確保されていることがわかる。湿度が80%になると、アセトンのガス濃度に対する抵抗比の変化量が、湿度が50%や65%の場合より大きく減少し(グラフの傾きが小さくなる)、アセトンの検知感度が大きく低下していることがわかる。ここで、抵抗比が0.5における湿度変動によるアセトン濃度の変化量(最大値と最小値の比)をIRHとする(小さいほど湿度変動が抑制されている)。抵抗比が0.5におけるアセトン濃度、湿度が50%では0.04ppmで最小値となり、湿度が80%では0.37ppmで最大値となる。そのため、IRHは9.25となる。
これに対して、本実施形態に係る検知用加熱制御を行った場合のアセトンの検知感度は、環境ガス(呼気)の湿度が異なっても大きく変化しない。図6に示すように、湿度が50%、65%、および80%におけるアセトンのガス濃度に対する抵抗比の変化量は十分に大きく(グラフの傾きが大きい)、ここでのIRHは、1.8であり、湿度変動による抵抗値変動が大幅に抑制され、アセトンの検知感度が十分に確保されていることがわかる。このことから、パージパルスと検知パルスとの間にわたって予備加熱を行うことにより、アセトンの検知感度に対する湿度の影響が抑制されることがわかる。
図7では、予備加熱温度trとIRHとの関係をまとめた。ここで、比較例として予備加熱を行わない検知用加熱制御にてIRHを測定した結果は、9.2であった。なお、従来の予備加熱を行わない検知用加熱制御の測定結果を、予備加熱温度が20℃であるとして図にプロットしている。予備加熱温度trが30~70℃において、比較例よりも湿度変動が抑制されていることがわかる。また、予備加熱温度trが40~60℃においては、IRHが3.0以下となり、大幅に湿度変動が抑制されている。
以上の結果から、予備加熱温度trを30℃以上70℃以下とすることにより、アセトン検知感度の湿度変動による影響を抑制することが可能であり、40℃以上60℃以下とすると、より効果が得られることがわかる。なお、予備加熱温度trは、測定温度等の測定環境に応じて適宜設定することができる。
また、図8に予備加熱温度trを50℃とし、予備加熱時間を5.0~50.0秒と変化させた時の予備加熱時間とIRHとの関係をまとめた。予備加熱時間5.0秒以上45.0秒以下とすることで従来の予備加熱を行わない検知用加熱制御を行った場合のIRHよりも小さくなることがわかる。さらに、予備加熱時間5.0秒以上30.0秒以下でIRHが5.0以下となり大幅に湿度変動が抑制されている。このことから、予備加熱時間は、5.0秒以上45.0秒以下が望ましく、5.0秒以上30.0秒以下であるとより望ましいことがわかる。
次に、環境ガス(呼気)に干渉ガスとしてエタノールが含まれている場合でも、本実施形態に係る検知用加熱制御を行った場合、アセトンとエタノールとの選択性が確保されることを示す。
図9~図11に示すように、相対湿度が65%の環境ガスを用いて本実施形態に係る温度制御を行った場合、アセトンのガス濃度に対する抵抗比の変化を示すグラフAは、エタノールのガス濃度に対する抵抗比の変化を示すグラフEと十分に離れており、アセトンとエタノールとの選択性が確保されることがわかる。ここで、抵抗比が0.5となるアセトン濃度とエタノール濃度の比(エタノール濃度をアセトン濃度で除したもの)をIETとする(大きいほど選択性が大きい)と、200℃では、1.8(図11)、300℃では7.5(図9)、400℃では、3.7(図10)となっている。
図12では、400℃のパージ温度tpで0.2秒間のパージパルスを行い、予備加熱温度tr50℃で5.0秒間の予備加熱を行い、その後測定温度tdを150℃から450℃の種々の温度とした場合の、測定温度とIETとの関係をまとめた。ここで、比較例として従来の予備加熱を行わない検知用加熱制御にてIETを測定した結果、IETは1.1であった。150℃(IET=1.3)から450℃(IET=1.3)のいずれの測定温度においても従来よりも大きなIETが得られることがわかった。また、測定温度tdは、240℃以上400℃以下であればより望ましく、従来の3倍以上の選択性が得られることがわかった。
以上の結果から、測定温度tdが150℃以上450℃以下の場合に従来以上の選択性が得られ、測定温度tdが240℃以上400℃以下であるとアセトンのエタノールに対する選択性がより良好であることがわかる。
〔別実施形態〕
<1>上記実施形態では、予備加熱は、パージ加熱および測定温度tdへの加熱と連続して行われる例について説明したが、予備加熱はパージ加熱から所定の時間後に行われても良いし、予備加熱から所定の時間後に測定温度tdへの加熱が行われても良い。すなわち、予備加熱は、パージ加熱および測定温度tdへの加熱の少なくとも一方との間に間隔を空けて行われても良い。
<2>上記各実施形態において、予備加熱は連続的に加熱される構成に限らず、所定の加熱停止期間を挟んで断続的に行われても良い。この際、予備加熱温度への複数のパルス加熱が行われても良い。
<3>上記各実施形態において、干渉ガスはエタノールに限らず任意である。さらに、環境ガスは呼気に限らず、対象ガスを含むか否かの検知が求められる任意のガスとすることもできる。
<4>上記各実施形態において、抵抗比を測定する構成に限らず、その他の電気的特性を測定する構成とすることができる。電気的特性は、例えば、測定温度tdへの加熱が開始されてから所定の時間における電気抵抗値、検知パルスの最終点における電気抵抗値、検知パルスにおける所定の2点における電気抵抗値の変化量あるいは変化率等とすることができる。また、電気的特性の測定は、測定温度tdへの加熱が行われている間に行われる構成に限らず、測定温度tdへの加熱が終了した後に行われても良い。
<5>上記各実施形態において、センサ素子20の構成は上記した薄膜型の半導体であるガス検知層10を備えたセンサ素子20の構成に限らず、任意の構成のガスセンサを用いることができる。例えば、上記実施形態のセンサ素子20は、ガス検知層10を比較的厚さの厚い半導体からなるガス検知層10を採用した2層構造のガスセンサとされても良い。また、例えば、上記実施形態のセンサ素子20は、ガス検知層10を覆う触媒層11を設けない基板型のガスセンサとされても良い。また、ガス検知層10としての電極とヒータ部としてのヒータとを兼ねる電極線のコイルを備え、当該コイルの周囲に酸化物半導体を備えたセンサ素子20を用いることもできる。
なお、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、環境ガス中に含まれる所定の対象ガスを検知するガス検知に適用できる。
6 ヒータ層(ヒータ部)
10 ガス検知層(ガス検知部)
12 加熱制御部(温度制御部)

Claims (8)

  1. 所定の測定温度に加熱されたガス検知部の電気的特性を測定することにより環境ガス中に存在するアセトンを検知するガス検知装置の温度制御方法であって、
    所定の周期で検知用加熱制御が行われ、
    前記検知用加熱制御は、
    前記ガス検知部の吸着物を削減するためのパージ温度で所定の第1時間にわたる第1パルス加熱を行う工程と、
    前記第1パルス加熱後に周囲環境温度より高い所定の予備加熱温度で所定の第2時間にわたる予備加熱を行う工程と、
    前記予備加熱の後に前記測定温度で所定の第3時間にわたる第2パルス加熱を行う工程とを備え、
    前記測定温度は150℃以上450℃以下であるガス検知装置の温度制御方法。
  2. 前記パージ温度は350℃以上450℃以下であり、
    前記第2時間は5秒以上45秒以内である請求項1に記載のガス検知装置の温度制御方法。
  3. 前記環境ガスにはエタノールが含まれる請求項1または2に記載のガス検知装置の温度制御方法。
  4. 前記環境ガスは呼気である請求項1から3のいずれか一項に記載のガス検知装置の温度制御方法。
  5. 所定の測定温度に加熱されたガス検知部の電気的特性を測定することにより環境ガス中に存在するアセトンを検知するガス検知装置の温度制御装置であって、
    前記ガス検知部を加熱するヒータ部と、
    前記ヒータ部の加熱動作を制御する温度制御部とを備え、
    前記温度制御部は、所定の周期で検知用加熱制御を行い、
    前記検知用加熱制御は、
    前記ガス検知部の吸着物を削減するためのパージ温度で所定の第1時間にわたる第1パルス加熱と、
    前記第1パルス加熱後に周囲環境温度より高い所定の予備加熱温度で所定の第2時間にわたる予備加熱と、
    前記予備加熱の後に前記測定温度で所定の第3時間にわたる第2パルス加熱とを有し、
    前記測定温度は150℃以上450℃以下であるガス検知装置の温度制御装置。
  6. 前記パージ温度は350℃以上450℃以下であり、
    前記第2時間は5秒以上45秒以内である請求項5に記載のガス検知装置の温度制御装置。
  7. 前記環境ガスにはエタノールが含まれる請求項5または6に記載のガス検知装置の温度制御装置。
  8. 前記環境ガスは呼気である請求項5から7のいずれか一項に記載のガス検知装置の温度制御装置。
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