JP7056809B1 - 石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法 - Google Patents

石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7056809B1
JP7056809B1 JP2021568549A JP2021568549A JP7056809B1 JP 7056809 B1 JP7056809 B1 JP 7056809B1 JP 2021568549 A JP2021568549 A JP 2021568549A JP 2021568549 A JP2021568549 A JP 2021568549A JP 7056809 B1 JP7056809 B1 JP 7056809B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coal
binder
coke
semi
height
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021568549A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2022039045A1 (ja
Inventor
一穂 穐鹿
勇介 土肥
大輔 井川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JPWO2022039045A1 publication Critical patent/JPWO2022039045A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7056809B1 publication Critical patent/JP7056809B1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N11/00Investigating flow properties of materials, e.g. viscosity, plasticity; Analysing materials by determining flow properties
    • G01N11/10Investigating flow properties of materials, e.g. viscosity, plasticity; Analysing materials by determining flow properties by moving a body within the material
    • G01N11/14Investigating flow properties of materials, e.g. viscosity, plasticity; Analysing materials by determining flow properties by moving a body within the material by using rotary bodies, e.g. vane
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N3/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N3/40Investigating hardness or rebound hardness
    • G01N3/54Performing tests at high or low temperatures
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/22Fuels; Explosives
    • G01N33/222Solid fuels, e.g. coal

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Coke Industry (AREA)
  • Solid Fuels And Fuel-Associated Substances (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

石炭を収容する容器と、容器内に配置された撹拌子とを有する装置を用いる石炭や粘結材の軟化溶融特性の評価方法であって、石炭または粘結材を加熱しながら撹拌子を回転させて形成されるセミコークスの形状を示す値と、セミコークスの形状を示す値と石炭または粘結材の浸透距離との対応関係と、を用いて、石炭または粘結材の浸透距離を推定する。

Description

本発明は、冶金用コークスの原料となる石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法に関する。
高炉において溶銑を製造するために高炉原料として用いられる冶金用コークスは高強度であることが好ましい。強度が低いコークスを高炉原料に用いると、コークスが高炉内で粉化し、当該粉が高炉の通気性を阻害して安定的な溶銑の生産が行なえなくなるからである。このため、高強度となるコークスが得られる、あるいは、コークスの強度を低下させないという観点で、冶金用コークスの原料として石炭や粘結材を評価する技術が求められている。
コークスは、粉砕され、粒度が調整された種々のコークス製造用石炭が配合された配合炭をコークス炉内にて乾留することで製造される。コークス製造用石炭や粘結材は、約300°C~550°Cの温度域で乾留されて軟化溶融し、また、同時に揮発分の発生に伴い発泡、膨張することで、各々の粒子が互いに接着しあい、塊状のセミコークスとなる。セミコークスは、その後1000°C付近まで昇温する過程で収縮して焼きしまり、堅牢なコークス(コークスケーキ)となる。このため、石炭や粘結材の軟化溶融時の接着特性が、乾留後のコークス強度や粒径等の性状に大きな影響を及ぼす。
コークス炉内での石炭や粘結材の軟化溶融挙動を評価するには、コークス炉内において軟化溶融した石炭や粘結材の周辺の環境を模擬した状態で、石炭や粘結材の軟化溶融特性を測定することが必要である。コークス炉内において軟化溶融した石炭や粘結材とその周辺の環境を、以下に詳述する。
コークス炉内において、石炭は隣接する層に拘束された状態で軟化溶融している。ここでの石炭は、石炭と粘結材との混合物も含むものとする。石炭の熱伝導率が小さいので、コークス炉内において石炭は一様に加熱されず、加熱面である炉壁側からコークス層、軟化溶融層、石炭層と状態が異なっている。コークス炉自体は乾留時に多少膨張するがほとんど変形しないので、軟化溶融した石炭は隣接するコークス層、石炭層に拘束される。また、軟化溶融した石炭の周囲には、石炭層の石炭粒子間空隙、軟化溶融石炭の粒子間空隙、熱分解ガスの揮発により発生した粗大気孔、隣接するコークス層に生じる亀裂など、多数の欠陥構造が存在する。特に、コークス層に生じる亀裂は、その幅が数百ミクロンから数ミリ程度と考えられ、数十~数百ミクロン程度の大きさである石炭粒子間空隙や気孔に比較して大きい。このようなコークス層に生じる粗大欠陥へは、石炭から発生する副生物である熱分解ガスや液状物質だけではなく、軟化溶融した石炭自体の浸透も起こると考えられる。また、その浸透時に軟化溶融した石炭に作用するせん断速度は、石炭の銘柄毎に異なることが予想される。
特許文献1には、石炭や粘結材の軟化溶融特性の評価方法が開示されている。具体的には、石炭又は粘結材を容器に充填して試料を作成し、当該試料の上に上下面に貫通孔を有する材料を配置し、当該試料と上下面に貫通孔を有する材料とを一定容積に保ちつつまたは一定荷重を負荷した状態で試料を加熱し、材料の貫通孔に浸透した溶融試料の浸透距離を測定する。そして、当該測定値を用いて石炭や粘結材の軟化溶融特性を評価する評価方法が開示されている。
特許第5062353号公報
しかしながら、特許文献1に開示された浸透距離を測定する方法は、石炭や粘結材に荷重をかけつつ加熱する、あるいは一定容積で加熱しつつ、石炭や粘結材の溶融物が上下面間に貫通孔を有する材料に浸透する距離を測定する方法である。そして、このための特別な装置を導入する必要があり、容易に測定を始められないといった課題があった。本発明は、このような課題を鑑みてなされた発明であり、その目的は、特別な装置を用いることなく石炭や粘結材の浸透距離を容易に推定できる、石炭の軟化溶融特性の評価方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)石炭または粘結材を収容する容器と、前記容器内に配置された撹拌子とを有する装置を用いる石炭の軟化溶融特性の評価方法であって、前記石炭または粘結材を加熱しながら撹拌子を回転させて形成されるセミコークスの形状を示す値と、前記セミコークスの形状を示す値と石炭または粘結材の浸透距離との対応関係と、を用いて、前記石炭または粘結材の浸透距離を推定する、石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法。
(2)前記セミコークスの形状を示す値は、前記容器内におけるセミコークスの内側壁での高さb、前記撹拌子に付着した前記セミコークスの高さa、前記高さaと前記高さbとの差であるa-bおよび前記高さaと前記高さbとで表される絡みつき度(a-b)/aのうちの少なくとも1つである、(1)に記載の石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法。
(3)前記装置がギーセラープラストメータであり、前記石炭または粘結材を加熱する温度が前記石炭または粘結材の再固化温度以上である、(1)または(2)に記載された石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法。
本発明に係る石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法では、コークスの製造を目的に石炭を扱う施設では広く一般的に使用されているギーセラープラストメータを用いて実施される。そして、ギーセラー流動度の測定後におけるセミコークスの形状を示す値を用いて浸透距離を推定できるので、特別な装置を用いることなく容易に石炭または粘結材の軟化溶融特性を評価できる。
本実施形態に係る石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法で用いることができるギーセラープラストメータ10の鉛直断面図である。 撹拌子に付着したセミコークスの高さaと石炭の浸透距離との関係を示すグラフである。 内側壁でのセミコークスの底面からの高さbと石炭の浸透距離との関係を示すグラフである。 撹拌子に付着したセミコークスの高さaとセミコークスの底面からの高さbとの差(a-b)と石炭の浸透距離との関係を示すグラフである。 絡みつき度[(a-b)/a]と石炭の浸透距離との関係を示すグラフである。
本発明は、石炭または粘結材を収容する容器と、当該容器内に配置された撹拌子とを有する装置で加熱された石炭または粘結材から形成されるセミコークスの形状を示す値を指標とする石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法である。本発明者らは、ギーセラー流動度の測定後における撹拌子に付着したセミコークスの高さa、セミコークスの容器の内側壁での高さb、撹拌子に付着したセミコークスの高さaと容器の内側壁での高さbとの差、および、絡みつき度(a-b)/aのそれぞれが石炭の浸透距離と対応関係があることを見出だして本発明を完成させた。以下、本発明を本発明の実施形態を通じて説明する。
図1は、本実施形態に係る石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法で用いるギーセラープラストメータ10の一例を示す鉛直断面図である。ギーセラープラストメータ10は、評価対象の石炭または粘結材を収容する容器12と、当該容器12内に配置される撹拌子14とを有する。ギーセラープラストメータ10は、図示しない駆動装置をさらに有し、当該駆動装置により撹拌子14が回転される。容器12内に石炭または粘結材を収容した状態で撹拌子14を回転させ、容器12を昇温加熱していくと、加熱された石炭または粘結材は軟化溶融状態になる。石炭または粘結材は粘弾性体となって変形し、回転する撹拌子14に絡みついていくが、石炭または粘結材には形状を保つ力が働き、回転に抗する力が撹拌子14に作用する。
ギーセラープラストメータ法では撹拌子14に所定のトルクをかけた状態で撹拌子14の回転速度を測定し、加熱中の最大の回転速度をギーセラー最高流動度MF(ddpm)として求める。測定値は、MFの常用対数logをとって、ギーセラー最高流動度をlogMFで表すこともある。ギーセラープラストメータ法における石炭の加熱条件や容器12の寸法などの測定条件は、JIS M 8801に規定されており、以下の通りである。
(1)深さ35.0mm、内径21.4mmの容器に、直径4.0mmの軸に軸と垂直に4本の横棒(直径1.6mm、長さ6.4mm、図1には不図示)を取り付けた撹拌子を入れる。
(2)容器内に5gの石炭を充填する。
(3)容器を300℃または350℃に予熱した金属浴に漬けて、金属浴の温度が予熱温度に回復した後、昇温速度が3℃/minの加熱を撹拌子の回転が停止するまで続ける。
なお、一番低い横棒と容器の底との距離は1.6mmであり、横棒間の軸方向に沿った距離が3.2mmである。中央の2本の横棒は回転方向に互いに180度異なった位置にあり、上下端の横棒も回転方向に互いに180度異なった位置にあり、中央の2本の横棒と上下端の2本の横棒は回転方向に互いに90度異なった位置に設けられる。
石炭や粘結材は加熱により軟化溶融して流動性を示し、さらに加熱することによって溶融物が再固化するので、ギーセラー流動度が測定された後、容器12内には、石炭または粘結材の再固化温度以上の温度で加熱された石炭または粘結材がセミコークス16となって収容される。この加熱によって軟化溶融した石炭または粘結材が再固化する温度を再固化温度と呼ぶ。石炭、粘結材およびセミコークス16は塑性体でもあるので、ギーセラー流動度の測定後には、セミコークス16は容器12の内側壁に接触しつつも撹拌子14に引っ張られて、セミコークス16は、撹拌子14に絡みつくように付着した形状を維持する。よって、大抵の銘柄の石炭または粘結材では、図1に示すように、撹拌子14に付着しているセミコークス16の容器12の底面からの高さaが最も高く、容器12の内側壁に接触しているセミコークス16の底面からの高さbが最も低くなる。石炭または粘結材の軟化溶融物のこのような挙動はワイセンベルグ効果として知られている。
高さaおよび高さbは、測定後の容器12を解体して測定できる。また、ギーセラー流動度の測定後に容器12をマイクロフォーカスX線CT装置でスキャンして、セミコークス16の形状の画像を得て、当該画像から高さaおよび高さbを測定してもよい。マイクロフォーカスX線CT装置は、例えば、ニコン(株)製XTH320LC、GEセンシング&インスペクション・テクノロジー(株)製phoenix v|tome|x m300などである。高さaおよび高さbは、容器円周方向での位置による違いはほとんどないので、ある特定の断面での高さを測定すればよい。仮に、周方向の位置により、高さの違いがある場合には、複数断面で高さを測定し、これらの平均値を高さaおよび高さbの値として用いてもよい。ギーセラー流動度の測定においては、石炭または粘結材はその再固化温度以上にまで加熱されるが、高さaおよび高さbを石炭または粘結材が完全に再固化する前に求めてもよい。例えば、容器12を透明な容器とし、外部から加熱しながら石炭または粘結材の形状を観察し、軟化溶融した石炭または粘結材の形状に変化が認められなくなったところで加熱を中止してその形状から高さaおよび高さbを求めてもよい。
ギーセラー流動度の測定後におけるセミコークス16の形状は石炭によって異なる。絡みつき度が大きい石炭または粘結材や、撹拌子14に付着したセミコークス16の高さaが高い石炭または粘結材は、軟化溶融状態では膨張性が過剰に大きくて、加熱した後のコークス中で欠陥構造ができやすく、コークス強度に悪影響を与えると推測される。このため、本発明者らは、容器内でのセミコークス16の形状がコークスの強度に影響を及ぼす軟化溶融特性を示す指標になると考え、セミコークス16の形状を示す値と、石炭または粘結材の軟化溶融特性のひとつである浸透距離との関係を調査した。なお、セミコークス16の形状を示す値とは、例えば、撹拌子14に付着したセミコークス16の高さa、セミコークス16の底面からの高さb、当該高さaとbとの差であるa-b、または、(a-b)/aで表される絡みつき度である。この結果、ギーセラー流動度の測定後におけるセミコークス16の形状を示す値と、その石炭または粘結材の浸透距離とに対応関係があることが確認された。
このように、ギーセラー流動度の測定後におけるセミコークス16の形状を示す値と石炭または粘結材の浸透距離とに対応関係が確認された。このことから、予め、実験等を行ってギーセラー流動度の測定後におけるセミコークス16の形状を示す値[a、b、a-b、(a-b)/a]と石炭または粘結材の浸透距離との対応関係を示す回帰式を求めておけば、ギーセラー流動度の測定後におけるセミコークスの形状を示す値のうちの少なくとも1つを測定するだけで石炭または粘結材の浸透距離の推定値を算出できる。
以上、説明したように、本実施形態に係る石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法ではギーセラー流動度の測定後におけるセミコークス16の形状を示す値[a、b、a-b、(a-b)/a]から石炭または粘結材の浸透距離の推定値を算出できるので、石炭に荷重をかけつつ加熱するなどの浸透距離測定のための特別な装置を用いる必要はない。このため、石炭の浸透距離の推定値を算出でき、当該浸透距離を用いて、石炭または粘結材の軟化溶融特性を評価できる。
ギーセラー流動度の測定方法はJIS M 8801に流動性試験方法として規定されているほか、ASTMやISOにも同様の方法が規定されている。このため、当該測定方法に準拠して測定することで、異なる実験施設または異なる実験装置で測定した値であっても、これらの値を比較することができる。さらに、予め求められたセミコークス16の形状を示す値[a、b、a-b、(a-b)/a]と石炭または粘結材の浸透距離との対応関係を示す回帰式を、他の異なる実験施設や実験装置で用いることもできる。
なお、上記ではJIS M 8801に規定された流動性試験方法(ギーセラープラストメータ法)で測定した後のセミコークスの形状を示す値を用いる例で説明したが、これに限らない。ASTM D2639やISO 10329に規定された条件もJIS M 8801の条件と同様であるので、ASTMなどに規定された方法を用いてもよい。また、ギーセラープラストメータを用いない場合には、石炭または粘結材を収容する容器の内径の5~60%の径を有する撹拌子を用いることが好ましい。また、撹拌子14には横棒を設けることが好ましいが、横棒がなくても軟化溶融したセミコークス16の撹拌子14への絡みつきは発生する。
また、本実施形態ではギーセラー流動度の測定後におけるセミコークス16の形状を示す値を用いて石炭または粘結材の浸透距離を求める例を示したがこれに限らない。例えば、石炭に代えて粘結材や粘結材が添加された石炭を用いて、これら材料の浸透距離を求めてもよい。石炭同様に、これら材料は石炭と同様のメカニズムで加熱により軟化溶融し、さらに温度を上げると軟化溶融物は再固化するので、当該再固化物の形状を示す値を用いて浸透距離の推定値を算出できる。なお、粘結材の例としてはアスファルトピッチやコールタールピッチなどのピッチ類や、瀝青物、石炭からの抽出物や水素化物など、加熱により軟化溶融性を示す材料が挙げられる。このように、本実施形態に係る石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法は、粘結材や粘結材が添加された石炭の軟化溶融特性も評価できる。
さらに、セミコークスの形状を測定するための装置としては、ギーセラープラストメータ法で用いる容器に限られない。石炭または粘結材を試料として収容する容器と、容器内に配置された撹拌子とを有する装置を用いて、その容器に収納した試料を加熱しながら撹拌子を回転させれば、軟化溶融した試料の攪拌子への絡みつきが発生しうる。すなわち容器の寸法や測定条件は適宜決定することができる。そして、この容器を用いてセミコークスの形状を表す値を測定し、同じ試料について特許文献1に記載の方法によって浸透距離を求めて、両者の測定値の相関をあらかじめ求めておけば、任意に試料について、セミコークスの形状を表す値を測定するのみで、石炭または粘結材の浸透距離を推定できる。
石炭または粘結材の銘柄によってはセミコークス16が撹拌子14に全て引っ張られて、容器12の内側壁(側壁)にセミコークス16が全く接触していない場合がある。このように、石炭または粘結材の膨張性が過剰に大きいか、撹拌子14に絡みつきやすく、容器の内壁とセミコークスが接触していない場合には、高さbに0を代入して絡みつき度を1とすればよい。また、このような場合であっても、絡みつき度を算出して石炭の軟化溶融特性を評価できる。
次に実施例を説明する。浸透距離が異なる様々な石炭を準備し、JIS M 8801に規定されたギーセラー流動度の測定後におけるセミコークス16の形状を示す値を、マイクロフォーカスX線CT装置を用いてそれぞれ測定した。具体的には、撹拌子に付着したセミコークスの高さa、内側壁でのセミコークスの底面からの高さb、高さa-b、および、絡みつき度(a-b)/aと、石炭の浸透距離との関係を調査した。この調査結果を図2~5に示す。なお、石炭の浸透距離は、特許文献1の請求項15に記載された方法で測定した。
特許文献1の請求項15に記載の方法は以下のとおりである。石炭又は粘結材を容器に充填して試料を作成し、試料の上に上下面に貫通孔を有する材料を配置し、上下面に貫通孔を有する材料に一定荷重を負荷しつつ、試料を加熱する。そして、貫通孔へ浸透した溶融試料の浸透距離を測定する。測定値を用いて試料の軟化溶融特性を評価する方法において、試料の作成は、石炭又は粘結材を粒径2mm以下が100質量%となるように粉砕し、粉砕された石炭又は粘結材を充填密度0.8g/cmで、層厚が10mmとなるように容器に充填することからなる。また、上下面に貫通孔を有する材料の配置は、試料の上に直径2mmのガラスビーズを層厚80mmとなるように配置することからなる。試料の加熱は、ガラスビーズの上部から50kPaとなるように荷重を負荷しつつ、加熱速度が3℃/分で室温から550℃まで不活性ガス雰囲気下で加熱することからなる。
図2は、撹拌子に付着したセミコークスの高さaと石炭の浸透距離との関係を示すグラフである。図2の横軸は石炭の浸透距離(mm)であり、縦軸は撹拌子に付着したセミコークスの高さa(mm)である。図2では、石炭の浸透距離が増加するにつれて高さaが高くなっており、浸透距離と高さaとには正の相関関係が成立することがわかる。また、浸透距離と高さaとの回帰式の決定係数(R)は0.73となり、撹拌子に付着したセミコークスの高さaと回帰式とを用いて石炭の浸透距離を推定できることが確認された。なお、決定係数(R)は、回帰式が実際のデータに当てはまっているか否かを示す指標である。
図3は、内側壁でのセミコークスの底面からの高さbと石炭の浸透距離との関係を示すグラフである。図3の横軸は石炭の浸透距離(mm)であり、縦軸は内側壁でのセミコークスの底面からの高さb(mm)である。図3では、石炭の浸透距離が増加するにつれて高さbが低くなっており、浸透距離と高さbとには負の相関関係が成立することがわかる。また、浸透距離と高さbとの回帰式の決定係数(R)は0.77となり、セミコークスの底面からの高さbと回帰式とを用いて石炭の浸透距離を高い精度で推定できることが確認された。
図4は、撹拌子に付着したセミコークスの高さaと内側壁でのセミコークスの底面からの高さbとの差(a-b)と石炭の浸透距離との関係を示すグラフである。図4の横軸は石炭の浸透距離(mm)であり、縦軸は高さの差(a-b)(mm)である。図4では、石炭の浸透距離が増加するにつれて高さの差(a-b)が高くなっており、浸透距離と高さの差(a-b)とには正の相関関係が成立することがわかる。また、浸透距離と高さの差(a-b)との回帰式の決定係数(R)は0.91となり、高さの差(a-b)と図4に示した回帰式とを用いて石炭の浸透距離を高い精度で推定できることが確認された。
図5は、絡みつき度[(a-b)/a]と石炭の浸透距離との関係を示すグラフである。図5の横軸は石炭の浸透距離(mm)であり、縦軸は絡みつき度[(a-b)/a]である。図5では、石炭の浸透距離が増加するにつれて絡みつき度[(a-b)/a]が大きくなっており、浸透距離と絡みつき度とには正の相関関係が成立することがわかる。また、浸透距離と絡みつき度との回帰式の決定係数(R)は0.89となり、絡みつき度[(a-b)/a]と図5に示した回帰式とを用いて石炭の浸透距離を高い精度で推定できることが確認された。
図2~図5の実施例では、浸透距離が特許文献1の測定条件において7mm以上23mm以下の測定例を示したが、さらに浸透距離が大きい試料の評価も可能である。ただし、高さaは容器の大きさの制限を受けるので、浸透距離の大きい石炭や粘結材の評価のためには、高さの大きな容器を用いるか、試料の量を減らしてセミコークスの形状を測定することが好ましい。このようにすることによって、少なくともギーセラープラストメータ法の容器の高さを変更した条件で高さaが60mm以下となる試料、特許文献1の測定条件における浸透距離で70mm以下の浸透距離を有する試料の評価が問題なく実施できる。
これらの結果から、予め実験等を行って図2~5に示した回帰式を求めておけば、浸透距離を求めたい石炭に対して、ギーセラー流動度の測定後におけるセミコークスの形状を示す値である、撹拌子に付着したセミコークスの高さaと、内側壁でのセミコークスの底面からの高さbと、高さの差a-bと、絡みつき度(a-b)/aとのうちの少なくとも1つを測定するだけで、当該測定値と回帰式とを用いて石炭の浸透距離を容易に算出でき、当該浸透距離を用いて石炭の軟化溶融特性を評価できることが確認された。なお、セミコークスの形状を示す値(例えば、撹拌子に付着したセミコークスの高さaと、内側壁でのセミコークスの底面からの高さbと、高さの差a-bと、絡みつき度(a-b)/a)を求めて浸透距離を推定する実施者と、セミコークスの形状を示す値と浸透距離との対応関係(回帰式)を求める実施者とは異なっていてもよい。さらにこれらの実施者と、石炭や粘結材の浸透距離を推定する実施者は異なっていてもよい。すなわち、本実施形態に係る石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法は、セミコークスの形状示す値とセミコークスの形状を示す値と浸透距離との対応関係とを用いて石炭または粘結材の浸透距離を推定すればよく、セミコークスの形状を示す値と浸透距離との対応関係は、誰が求めたものであっても使用できる。なお、本実施形態及び実施例では、主に石炭を対象として軟化溶融特性の評価について述べたが、粘結材についても同様に軟化溶融特性の評価対象とすることができる。つまり、軟化溶融特性の評価対象としては、石炭、粘結材、石炭及び粘結材の混合物がある。
10 ギーセラープラストメータ
12 容器
14 撹拌子
16 セミコークス

Claims (3)

  1. 石炭または粘結材を収容する容器と、前記容器内に配置された撹拌子とを有する装置を用いる石炭の軟化溶融特性の評価方法であって、
    前記石炭または粘結材を加熱しながら撹拌子を回転させて形成されるセミコークスの形状を示す値と、前記セミコークスの形状を示す値と石炭または粘結材の浸透距離との対応関係と、用いて、前記石炭または粘結材の浸透距離を推定する、
    石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法。
    ここで、前記浸透距離は、石炭または粘結材を容器に充填して試料を作成し、前記試料の上に上下面に貫通孔を有する材料を配置し、前記試料と上下面に前記貫通孔を有する材料とを一定容積に保ちつつまたは一定荷重を負荷した状態で前記試料を加熱した際の、前記貫通孔へ浸透した溶融試料の浸透距離である。
  2. 前記セミコークスの形状を示す値は、前記容器内におけるセミコークスの内側壁での高さb、前記撹拌子に付着した前記セミコークスの高さa、前記高さaと前記高さbとの差であるa-bおよび前記高さaと前記高さbとで表される絡みつき度(a-b)/aのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法。
  3. 前記装置がギーセラープラストメータであり、前記石炭または粘結材を加熱する温度が前記石炭または粘結材の再固化温度以上である、請求項1または請求項2に記載された石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法。
JP2021568549A 2020-08-17 2021-08-05 石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法 Active JP7056809B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020137312 2020-08-17
JP2020137312 2020-08-17
PCT/JP2021/029202 WO2022039045A1 (ja) 2020-08-17 2021-08-05 石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2022039045A1 JPWO2022039045A1 (ja) 2022-02-24
JP7056809B1 true JP7056809B1 (ja) 2022-04-19

Family

ID=80322697

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021568549A Active JP7056809B1 (ja) 2020-08-17 2021-08-05 石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法

Country Status (9)

Country Link
US (1) US20230296486A1 (ja)
EP (1) EP4170345A4 (ja)
JP (1) JP7056809B1 (ja)
CN (1) CN116113818A (ja)
AU (1) AU2021329613B2 (ja)
BR (1) BR112023002405A2 (ja)
CA (1) CA3182598A1 (ja)
TW (1) TWI783624B (ja)
WO (1) WO2022039045A1 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01233344A (ja) * 1988-03-14 1989-09-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 石炭の粘結性迅速測定装置
JP2004315664A (ja) * 2003-04-16 2004-11-11 Nippon Steel Corp 触媒濃度分布の異なる高炉用高反応性コークスの製造方法
JP2010190761A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Jfe Steel Corp 石炭の軟化溶融特性評価方法
WO2015146122A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 Jfeスチール株式会社 石炭混合物、及び、石炭混合物の製造方法、並びに、コークスの製造方法
CN110887763A (zh) * 2019-11-29 2020-03-17 安徽工业大学 一种测试炼焦煤在热塑状态下的自由流动性的装置及方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI457555B (zh) * 2010-09-01 2014-10-21 Jfe Steel Corp Evaluation method of softening and melting of coal and binder and method for manufacturing coke
JP5062353B2 (ja) 2010-09-01 2012-10-31 Jfeスチール株式会社 石炭及び粘結材の軟化溶融特性の評価方法
PL2746366T3 (pl) * 2010-09-01 2022-02-07 Jfe Steel Corporation Sposób wytwarzania koksu

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01233344A (ja) * 1988-03-14 1989-09-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 石炭の粘結性迅速測定装置
JP2004315664A (ja) * 2003-04-16 2004-11-11 Nippon Steel Corp 触媒濃度分布の異なる高炉用高反応性コークスの製造方法
JP2010190761A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Jfe Steel Corp 石炭の軟化溶融特性評価方法
WO2015146122A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 Jfeスチール株式会社 石炭混合物、及び、石炭混合物の製造方法、並びに、コークスの製造方法
CN110887763A (zh) * 2019-11-29 2020-03-17 安徽工业大学 一种测试炼焦煤在热塑状态下的自由流动性的装置及方法

Non-Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
土肥勇介 ほか,浸透現象に着目した石炭の軟化溶融特性の新評価方法,鉄と鋼,2015年,vol.101, No.8,pp.407-415
土肥勇介 ほか,酸素が熱軟化溶融状態の石炭の浸透距離に及ぼす影響,日本エネルギー学会石炭科学会議発表論文集,2018年10月22日,vol.55,pp.40-41
土肥勇介 ほか: "浸透現象に着目した石炭の軟化溶融特性の新評価方法", 鉄と鋼, vol. 101, no. 8, JPN6021036789, 2015, pages 407 - 415, ISSN: 0004680646 *
土肥勇介 ほか: "酸素が熱軟化溶融状態の石炭の浸透距離に及ぼす影響", 日本エネルギー学会石炭科学会議発表論文集, vol. 55, JPN6021036788, 22 October 2018 (2018-10-22), pages 40 - 41, ISSN: 0004680647 *
花田一利 ほか,軟化溶融石炭の浸透距離現象とその影響因子,日本鉄鋼協会概要集「材料とプロセス」第168回秋季講演大会,Vol.27, No.2,2014年09月01日,p.7
花田一利 ほか: "軟化溶融石炭の浸透距離現象とその影響因子", 日本鉄鋼協会概要集「材料とプロセス」第168回秋季講演大会, vol. 27, no. 2, JPN6021036787, 1 September 2014 (2014-09-01), pages 7, ISSN: 0004680648 *

Also Published As

Publication number Publication date
CA3182598A1 (en) 2022-02-24
TWI783624B (zh) 2022-11-11
TW202223072A (zh) 2022-06-16
AU2021329613A1 (en) 2023-02-02
JPWO2022039045A1 (ja) 2022-02-24
EP4170345A4 (en) 2023-11-29
CN116113818A (zh) 2023-05-12
EP4170345A1 (en) 2023-04-26
US20230296486A1 (en) 2023-09-21
AU2021329613B2 (en) 2024-01-11
WO2022039045A1 (ja) 2022-02-24
BR112023002405A2 (pt) 2023-03-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104710999B (zh) 煤及粘结材料的软化熔融特性评价方法、以及焦炭的制造方法
JP6056157B2 (ja) コークス用配合炭組成決定方法及びコークス製造方法
KR101461838B1 (ko) 야금용 코크스의 제조 방법
JP2010190761A (ja) 石炭の軟化溶融特性評価方法
TWI450954B (zh) Metallurgical coke manufacturing methods and metallurgical coke for the manufacture of bonding materials
JP7056809B1 (ja) 石炭または粘結材の軟化溶融特性の評価方法
JP5062378B1 (ja) コークスの製造方法
JP7067226B2 (ja) コークス強度の評価方法
TWI457555B (zh) Evaluation method of softening and melting of coal and binder and method for manufacturing coke
KR20130063016A (ko) 야금용 코크스의 제조 방법
JP6822622B1 (ja) 石炭の評価方法及び配合炭の調製方法並びにコークスの製造方法
JP6565642B2 (ja) コークス収縮率の推定方法
RU2803905C1 (ru) Способ оценки термопластичности угля или спекающей добавки

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211122

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20211122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220321

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7056809

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150