次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1、図2を参照して、部品実装装置1の構成について説明する。図1において、基台1aの中央部には、第1の基板搬送機構2A、第2の基板搬送機構2Bが、X方向(基板搬送方向)に設けられており、それぞれ上流側装置から受け渡された基板4をX方向下流側へ搬送する。第1の基板搬送機構2A、第2の基板搬送機構2Bはそれぞれ基板保持部3を有し、上流側から搬送された基板4は基板保持部3によって以下に説明する部品実装機構による実装作業位置に位置決め保持される。
第1の基板搬送機構2A、第2の基板搬送機構2Bのそれぞれの外側方には、基板4に実装される部品を供給する第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bが設けられている。図2に示すように、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bには、複数のテープフィーダ6が配置された台車7が装着されている。テープフィーダ6は供給リール8からキャリアテープ9を引き出してテープ送りすることにより、これらの部品を部品実装機構による部品取出位置に供給する。
キャリアテープ9は、部品を収納保持したベーステープ9aの上面にトップテープ9bを貼着して被覆した構成となっている(図3参照)。実装対象となる基板種の切替えに際しては、台車7を第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bに対して着脱することにより、複数のテープフィーダ6を一括して交換することができる。なお本実施の形態においては、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bのいずれにもテープフィーダ6が配列された台車7を装着する例を示しているが、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bのいずれか一方は、トレイフィーダなどテープフィーダ6以外のパーツフィーダが配置されている構成であってもよい。
基台1aのX方向の一端部にはリニア駆動機構を備えたY軸移動テーブル10がY方向に水平に配設されており、Y軸移動テーブル10には同様にリニア駆動機構を備えた第1のX軸移動テーブル11A、第2のX軸移動テーブル11Bが、ガイドレール10aに沿ってスライド自在に結合されている。第1のX軸移動テーブル11A、第2のX軸移動テーブル11Bにはそれぞれ第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13BがX方向にスライド自在に装着されている。Y軸移動テーブル10及び第1のX軸移動テーブル11A、Y軸移動テーブル10及び第2のX軸移動テーブル11Bはそれぞれ第1のヘッド移動機構12A、第2のヘッド移動機構12Bを構成する。
第1のヘッド移動機構12A、第2のヘッド移動機構12Bを駆動することにより、第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13BはX方向及びY方向に水平移動し、下端部に装着された吸着ノズル13aによって、それぞれ第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bのテープフィーダ6の部品取出位置から部品を取り出して、第1の基板搬送機構2A、第2の基板搬送機構2Bのそれぞれの基板保持部3に位置決め保持された基板4に装着する。
すなわち、第1のヘッド移動機構12A及び第1の装着ヘッド13A、第2のヘッド移動機構12B及び第2の装着ヘッド13Bの組み合わせは、第1の基板搬送機構2A、第2の基板搬送機構2Bのそれぞれに対応して設けられ、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bから部品を取り出して、第1の基板搬送機構2A、第2の基板搬送機構2Bのそれぞれの基板保持部3に保持された基板4に実装する第1の部品実装機構、第2の部品実装機構を構成する。
第1のX軸移動テーブル11A、第2のX軸移動テーブル11Bの下面側には、それぞれ第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bと一体的に移動する基板認識カメラ14が備えられている。第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bがそれぞれ第1の基板搬送機構2A、第2の基板搬送機構2Bの基板4上に移動することにより、基板認識カメラ14はそれぞれの基板4を撮像する。また第1の部品供給部5Aと第1の基板搬送機構2A、第2の部品供給部5Bと第2の基板搬送機構2Bとの間には、部品認識カメラ15及びノズル収納部16が配設されている。
第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bから部品を取り出した第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bが部品認識カメラ15の上方を移動することにより、部品認識カメラ15は第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bに保持された状態の部品を撮像する。ノズル収納部16には複数種類の吸着ノズル13aが実装対象の部品種に対応して収納されており、第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bをノズル収納部16にアクセスさせてノズル交換動作を行わせることにより、吸着ノズル13aを部品種に応じて交換することができる。
そして基板認識カメラ14の撮像結果を認識処理部25(図5参照)によって認識処理することにより、基板4における部品実装位置が認識され、部品認識カメラ15の撮像結果を認識処理することにより第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bに保持された状態の部品の識別や位置ずれ検出が行われる。第1の部品実装機構、第2の部品実装機構による部品装着動作においては、これらの認識結果を加味して搭載位置が補正される。
前述の第1の部品実装機構、第2の部品実装機構は、図2に示すように、Y軸移動テーブル10、第1のX軸移動テーブル11A、第2のX軸移動テーブル11Bの上方を覆う全体カバー部材18によって閉囲されている。全体カバー部材18のY方向の両端部に設けられた保護カバー部18aは、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bにおいてテープフィーダ6が配列された台車7の上方に外側から延入して、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bとそれぞれの部品実装機構の可動範囲、すなわち第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bの移動可能範囲とを隔てている。これにより、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bを対象として作業を行うオペレータが、動作状態の第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bに接触することがなく、作業時のオペレータの安全が確保される。
保護カバー部18aの端部には、テープフィーダ6の部品取出位置6aの上方に対応して、吸着ノズル13aによって部品を吸着するために必要な所定開口サイズの開口部19が設けられている。部品装着動作においては、第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bがそれぞれの第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bに移動する。そして吸着ノズル13aを開口部19を介して昇降させることにより、テープフィーダ6の部品取出位置から部品をピックアップする。
テープフィーダ6には、テープ送りされたキャリアテープ9を部品取出位置の近傍において上面側からカバーするテープカバー27が設けられている。図3(a)に示すように、テープカバー27は、テープフィーダ6の本体フレームに軸支部27aを介して軸支されている。軸支部27a廻りにテープカバー27を上方に回動させることにより、テープカバー27をテープフィーダ6の上面から離隔させることができる。テープカバー27がテープフィーダ6へ固定装着された状態では、テープカバー27の先端部から延出して設けられた延出部材27cが係止部材28によって係止固定される。
テープカバー27の上面において部品取出位置に対応した位置には取出し開口部27bが設られている。供給リール8から引き出されてテープフィーダ6内に導入されたキャリアテープ9はテープフィーダ6内をテープ送りされ、部品取出位置の近傍においてテープカバー27によって上面側から押さえ込まれてカバーされる。
テープ送りされたキャリアテープ9は、取出し開口部27bにおいてベーステープ9aからトップテープ9bが剥離される。これによりベーステープ9aに保持された部品は露呈状態となり、第1の装着ヘッド13Aによって吸着保持されて取出し開口部27bを介して取り出される。第1の装着ヘッド13Aは、テープフィーダ6の上面から所定の高さ間隔を隔てて設定された所定のノズル下端レベルNLに下端部を一致させた状態で、テープフィーダ6の上面を水平移動(矢印a)する。部品取り出し後のベーステープ9aはテープカバー27の先端部から排出され(矢印b)、台車7に設置された回収部(図示省略)に回収される。また剥離されたトップテープ9bは取出し開口部27bを介して上流側へ送られ(矢印c)、テープフィーダ6の内部に設けられた回収部(図示省略)に収納回収される。
上述のトップテープ9bの剥離動作において、トップテープ9bの張力(矢印c)が何らかの不具合によって過大となると、図3(b)に示すように、係止部材28による延出部材27cの係止固定が外れる場合がある。このような場合には、テープカバー27が軸支部27a廻りに上方に回動して(矢印d)、テープカバー27の先端部が浮き上がる「浮き」が生じる。そしてテープカバー27の上部がノズル下端レベルNLよりも高くなると、テープフィーダ6の上方を移動する第1の装着ヘッド13Aとの干渉が生じ、部品取り出し動作の不具合を招く。
このような不具合を防止するため、本実施の形態に示す部品実装装置1では、テープフィーダ6におけるテープカバー27の装着状態の異常を検出する検出手段としての機能を有するテープカバー異常検出センサ17を装備するようにしている。すなわち、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bにおいて、台車7に配列されたテープフィーダ6の先端部の開口部19の開口範囲には、テープカバー27の位置に対応してテープカバー異常検出センサ17が配置されている。
テープカバー異常検出センサ17の構成について、図4を参照して説明する。図4(a)に示すように、テープカバー異常検出センサ17は、矩形板形状のセンサプレート30の側面に透過型の光学センサの投光部、受光部などのセンサ素子を取り付けた第1センサ部17a、第2センサ部17bを対向させた構成となっている。なお、図4(b)、図4(c)は、それぞれ図4(a)におけるA矢視、B矢視を示している。
テープカバー異常検出センサ17を部品実装装置1に配置するに際しては、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bに配置された複数のテープフィーダ6の先端部、すなわちテープカバー27が装着された範囲を両側方から挟むように、第1センサ部17a、第2センサ部17bを対向配置する。本実施の形態に示す例では、図1に示すように、Y軸移動テーブル10に沿った側(他方側)に第2センサ部17bを配置し、複数のテープフィーダ6を挟んで第2センサ部17bと対向する側(一方側)に第1センサ部17aを配置している。なお、第1センサ部17a、第2センサ部17bの配置については、対向するセンサ素子の対応関係が同一であれば、上述の一方側、他方側を逆に配置してもよい。
第1センサ部17a、第2センサ部17bの構成を説明する。図4(a)に示すように、第1センサ部17aはセンサプレート30の略中央部に1対の第1の投光部31a、第1の受光部31bを取り付け、第1の投光部31aの外側に第2の受光部32bを、第1の受光部31bの外側に第3の投光部33aを取り付けた構成となっている。図4(b)のA矢視に示すように、センサプレート30におけるセンサ素子の配置は、検出対象となるテープカバー27の投影側面形状に対応して決定されている。
すなわちセンサプレート30を所定の高さ位置に固定した状態において、第1の投光部31aの投光軸ax、第1の受光部31bの受光軸bxは、テープカバー27の上端面よりも異常検出の対象となる高さ変位分だけ高い位置に設定される。また第3の投光部33aの投光軸axは、テープカバー27が第1の投光部31aの投光軸ax、第1の受光部31bの受光軸bxの位置を超えて回動している状態においてもテープカバー27を検出できるよう、これらの位置よりもさらに高い位置に設定されている。さらに、第2の受光部32bの受光軸bxは、テープフィーダ6から排出されたベーステープ9aが延出部材27cの近傍で塊状態となりやすい位置に対応するように設定される。
そして第1センサ部17aにおけるこれらのセンサ素子の配置に対応して、第2センサ部17bにおけるセンサ素子の配置が決定される。すなわち図4(c)のB矢視に示すように、第2センサ部17bのセンサプレート30において、対向する第1センサ部17aにおける第2の受光部32bと対応する位置には、第2の投光部32aが配置されている。同様に第3の投光部33aと対応する位置には第3の受光部33bが配置されている。
そして第2の投光部32aと第3の受光部33bとの間には、第1の投光部31a、第1の受光部31bと対応する位置を含んで、矩形形状の反射部材34が装着されている。反射部材34は第1センサ部17a側から入射した光を反射する機能を有している。上述のセンサ素子の配置において、第1の投光部31a、第1の受光部31bは第1のセンサユニット31を構成する。そして第2の投光部32a、第2の受光部32bは第2のセンサユニット32を構成し、さらに第3の投光部33a、第3の受光部33bは第3のセンサユニット33を構成する。
ここで上述のセンサ素子に装着された偏光フィルタについて説明する。本実施の形態に示すテープカバー異常検出センサ17のように、検出用の光を投光また受光する複数の光学式センサを相互に近接して配置した構成では、センサ相互の干渉による誤検出のおそれがある。本実施の形態に示すテープカバー異常検出センサ17では、前述のセンサ素子に偏光方向が異なる2種類の偏光フィルタを取り付けて、このような干渉を極力防止するようにしている。
すなわち、第1センサ部17aにおいてセンサプレート30の中央に配置された第1の投光部31aと第1の受光部31b(第1のセンサユニット31)にはいずれも同一方向(横方向)の偏光方向を有する偏光フィルタが取り付けられている。そして両端に配置された第2の受光部32b、第3の投光部33aには、縦方向の偏光方向を有する偏光フィルタが取り付けられている。さらに第2センサ部17bにおける第2の投光部32a、第3の受光部33bにはいずれも縦方向の偏光方向を有する偏光フィルタが取り付けられている。
すなわち、第2の投光部32aと第2の受光部32b(第2のセンサユニット32)にはいずれも同一方向(縦方向)の偏光方向を有する偏光フィルタが取り付けられている。そしてこの偏光フィルタは、第1のセンサユニット31とは異なる偏光方向を有している。同様に第3の投光部33aと第3の受光部33b(第3のセンサユニット33)には、いずれも同一方向(縦方向)の偏光方向を有する偏光フィルタが取り付けられている。そしてこの偏光フィルタは、第1のセンサユニット31とは異なる偏光方向を有している。このように複数のセンサユニットを並列に配置した構成において、隣接するセンサユニットに用いられる偏光フィルタの偏光方向を異ならせることにより、検査光の干渉を極力低減して誤検出を防止することが可能となっている。
図4(a)を参照して、テープカバー異常検出センサ17の検出機能を説明する。前述のように第1センサ部17aと第2センサ部17bを対向させた状態では、第1のセンサユニット31の第1の投光部31aから発信した光は検査光軸AX11(第1の光軸)に沿って反射部材34に入射する。そしてこの反射部材34による反射光は光検査軸AX12(第2の光軸)に沿って第2センサ部17bに入射し、第1の受光部31bによって受光される。
また第2のセンサユニット32の第2の投光部32aから発信した光は検査光軸AX2に沿って第1センサ部17aに入射して、第2の受光部32bによって受光される。さらに第3のセンサユニット33の第3の投光部33aから発信した光は検査光軸AX3に沿って第2センサ部17bに入射して、第3の受光部33bによって受光される。上述構成において、検査光軸AX11,AX12,検査光軸AX2,3のいずれかを遮る遮蔽物が第1センサ部17aと第2センサ部17bとの間に存在すると、遮られた検査光軸に対応するセンサユニットの受光部は光を受光しない。
したがって、第1のセンサユニット31、第2のセンサユニット32、第3のセンサユニット33による検出結果を総合すれば、テープカバー27の装着状態の異常、すなわち図4(b)に示すテープカバー27が軸支部27a廻りに上向きに回動して本来存在すべき正規位置から外れている状態、さらにはテープフィーダ6から排出されたベーステープ9aが滞留して塊状で存在している状態などを検出することが可能となっている。このテープカバー27の装着状態の異常検出は、実装制御部20が備えた異常検出処理部20a(図5参照)の機能によって行われる。
上記構成において、テープカバー27の装着状態の異常を検出する検出手段としてのテープカバー異常検出センサ17は、テープフィーダ6を挟む両側方における一方側に第1センサ部17a(図4(a)参照)を設け、一方側の反対の他方側に第2センサ部17b(図4(a)参照)を設けた配置となっている。本実施の形態においては、上述のテープカバー27の装着状態の検出を、検査光軸AX11,AX12、検査光軸AX2,3の4つの検査光軸を用いた検出方式で行うようにしている。
従来技術においては、このような4つの検査光軸を用いる場合には、投光部と受光部を組み合わせたセンサユニットを4組用いる必要があった。これに対し、本実施の形態では第1の投光部31aから検査光軸AX11に沿って入射した光を反射部材34によって反射し、この反射光を検査光軸AX11に沿って入射させて第1の受光部31bで受光する構成としている。これにより、必要とされるセンサユニットの数を減少させることができ、設備コストを削減することが可能となっている。
次に図5を参照して、制御系の構成を説明する。図5において、実装制御部20は、記憶部21に記憶された各種のデータに基づき、部品実装装置1を構成する以下の各部を制御する。すなわち、実装制御部20は記憶部21に記憶された実装データ22に基づき、第1の基板搬送機構2A、第1の部品供給部5A、第1の部品実装機構(第1のヘッド移動機構12A、第1の装着ヘッド13A)および第2の基板搬送機構2B、第2の部品供給部5B、第2の部品実装機構(第2のヘッド移動機構12B、第2の装着ヘッド13B)を制御する。
ここで実装制御部20は、内部処理機能としての異常検出処理部20a、安全動作処理部20bを備えている。異常検出処理部20aは、記憶部21に記憶された異常検出データ23に基づき、テープカバー異常検出センサ17を構成する第1のセンサユニット31、第2のセンサユニット32、第3のセンサユニット33による検出結果に基づいて、テープフィーダ6におけるテープカバー27の装着状態の異常の有無を検出する処理を行う。ここで装着状態の異常には、単にテープフィーダ6におけるテープカバー27の「浮き」のみならず、テープフィーダ6自体の装着高さ状態の異常や、テープフィーダ6から排出されたベーステープ9aの縺れなど、テープフィーダ6に関連する装置状態の異常なども含まれる。
安全動作処理部20bは、記憶部21に記憶された安全動作データ24に従って、異常検出処理部20aによる検出結果に基づき、部品実装作業におけるオペレータの安全を確保することを目的とした処理を行う。すなわち予め定められた動作条件やインターロック条件に従って、異常検出の内容に応じて各部の動作を規定または禁止する処理を行う。例えばテープカバー27の装着状態の異常が検出されたならば、第1の部品実装機構、第2の部品実装機構のいずれの動作も禁止するようにしている。
認識処理部25は、基板認識カメラ14、部品認識カメラ15による撮像結果を認識処理する。これにより、実装対象の基板4の部品実装点が認識されるとともに、第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bに保持された状態の部品が認識される。認識結果は実装制御部20に伝達され、第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bによる基板4への部品搭載動作においては、実装制御部20はこの認識結果を加味して第1のヘッド移動機構12A、第2のヘッド移動機構12Bを制御する。
テープカバー異常検出センサ17は前述のように、第1のセンサユニット31、第2のセンサユニット32、第3のセンサユニット33より構成される。テープカバー異常検出センサ17による検出結果は、実装制御部20に伝達される。このとき、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bにテープフィーダ6が配列された台車7が装着されている場合には、テープカバー異常検出センサ17の検出結果に基づき、実装制御部20はテープフィーダ6の装着状態の異常を報知部26によって報知する。また機種切替えなどの作業中で台車7が取り外された状態において、テープカバー異常検出センサ17からの検出信号を実装制御部20が受信した場合には、実装制御部20は予め設定されたインターロック条件に従って、安全動作処理部20bによってオペレータの安全確保に必要な動作制御処理を行う。
次に図6を参照して、テープカバー異常検出センサ17の機能を説明する。図6(a)は、テープフィーダ6におけるテープカバー27の装着状態が正常である場合を示している。この場合には、第1の投光部31aの投光軸ax、第1の受光部31bの受光軸bx、第3の投光部33aの投光軸axは、いずれもテープカバー27の上端面よりも高い位置にあって、図4(a)に示す検査光軸AX11,AX12、検査光軸AX3はいずれも遮光されない。またテープカバー27の先端部に配置された第2の受光部32bの受光軸bxについても近傍には塊状のベーステープ9aが存在しないことから、検査光軸AX3は遮光されていない。したがってテープカバー異常検出センサ17を構成する第1のセンサユニット31、第2のセンサユニット32、第3のセンサユニット33はいずれも受光状態となり、この検出結果を受信した異常検出処理部20aは、テープカバー27の装着状態は正常であると判定する。
これに対し、図6(b)は、テープカバー27がテープフィーダ6から図3(b)と同様に浮き上がり(矢印e)、さらにテープカバー27の先端部の近傍に塊状のベーステープ9aが滞留した状態を示している。この場合には、第1の投光部31aの投光軸ax、第1の受光部31bの受光軸bxはいずれもテープカバー27のテープカバー27の投影側断面と重なっており、また第2の受光部32bの受光軸bxは塊状のベーステープ9aと重なる位置関係にある。第3の投光部33aの投光軸axについては、テープカバー27の回動量によってテープカバー27との重なり状態が異なる。ここでは第3の投光部33aの投光軸axがテープカバー27と重なっていない例を示している。
そしてこのような状態では、図6(c)に示すように、検査光軸AX11はテープカバー27によって遮光されることから、反射部材34による反射光も存在せず、したがって第1の受光部31bは受光しない。また検査光軸AX2は塊状のベーステープ9aによって遮光され、第2の受光部32bは受光しない。そして検査光軸AX3は透光状態となって、第3の受光部33bは受光状態となる。
したがってテープカバー異常検出センサ17を構成する第1のセンサユニット31、第2のセンサユニット32、第3のセンサユニット33のうち、第1のセンサユニット31、第2のセンサユニット32が遮光状態となり、この検出結果を受信した異常検出処理部20aは、テープカバー27の装着状態は異常であると判定する。この判定結果は報知部26に報知され、これによりオペレータは特定のテープフィーダ6におけるテープカバー27の装着状態が、図6(b)に示すような状態であることを推察することができる。
上述のようにテープカバー異常検出センサ17は、本来的には台車7に配列されたテープフィーダ6におけるテープカバー27の装着状態の異常を検出するために設けられている。本実施の形態においては、テープカバー27の装着状態を検出する目的以外にも、テープカバー異常検出センサ17を機種切替え作業時におけるオペレータの安全確保の目的にも用いるようにしている。
すなわち、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bに設けられた開口部19は、図7(a)に示すように、台車7を分離した状態においてオペレータによるアクセスが可能な状態となる。すなわち何らかの理由で、図7(b)に示すように、オペレータの身体の一部である手指29または作業ツールなどの異物を下方から開口部19を介して進入させることが可能となる。そしてこのような状態で、第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bが開口部19に進入するような誤動作をすると(矢印f、g)、オペレータにとって不安全状態を招くおそれがある。
このような不安全状態を防止するため、ここでは、テープカバー異常検出センサ17をオペレータの安全確保用のセンサとして用いるようにしている。例えば、テープカバー異常検出センサ17がオペレータの手先や作業ツールなど、身体の一部または異物を検出したならば、検出信号は実装制御部20(図5)に伝達される。そして実装制御部20の安全動作処理部20bは、予め安全動作データ24に規定された安全動作基準に従った処理を行う。ここでは、当該テープカバー異常検出センサ17が設けられた部品供給部の属する部品実装機構のみならず、反対側の部品実装機構による作業動作を停止させるようにしている。これにより、オペレータの身体の一部などが開口部19に存在する状態で第1の装着ヘッド13A、第2の装着ヘッド13Bが開口部19に進入することによるオペレータの不安全状態を防止することができる。
なお、上記実施の形態においては、テープカバー異常検出センサ17の構成として第1のセンサユニット31、第2のセンサユニット32、第3のセンサユニット33を用い、検査光軸AX11、AX12、検査光軸AX3、AX2によって4つの検出位置における検出対象の有無を検出する構成を用いているが、検査光軸AX11、AX12のみを検出位置とする簡略な検出方式を用いてもよい。すなわちテープカバー27の装着状態の異常を検出する検出手段としてのテープカバー異常検出センサ17を、テープフィーダ6を挟む両側方における一方側に設けられ検査光軸AX11に沿って光を発信する第1の投光部31aおよび発信された光を受光する第1の受光部31bと、一方側の反対の他方側に設けられ一方側からの光を反射する反射部材34とを有する構成とする。
そして第1の投光部31aによって発信された光を反射部材34が反射し、反射部材34から反射された光を第1の受光部31bが受光することにより、テープカバー27の装着状態が異常でないことを検出する。このような構成を採用することにより、1組のセンサユニット31と反射部材34との組み合わせという簡略な構成でテープフィーダ6においてテープカバー27が上方へ変位した装着状態の異常を検出することができる。
また上記構成に加えて、検出対象を追加したい場合、例えば、テープフィーダ6から排出されて延出部材27cの近傍で塊状態となったベーステープ9aを検出したい場合には、テープカバー異常検出センサ17において、第1のセンサユニット31とは異なる偏光方向を有する偏光フィルタが取り付けられた第2の投光部32aおよび第2の受光部32b(第2のセンサユニット32)を、第2センサ部17b(他方側)および第1センサ部17a(一方側)にそれぞれ追加して設けるようにする。そして塊状態のベーステープ9aが存在せずに装着状態が異常でないときには、第2の投光部32aによって発信された光を第2の受光部32bが受光する。
さらにテープカバー27が第1のセンサユニット31による検出可能範囲を超えて変位した状態を検出したい場合には、テープカバー異常検出センサ17に第1のセンサユニット31とは異なる偏光方向を有する偏光フィルタが取り付けられた第3の投光部33aおよび第2の受光部32b(第3のセンサユニット33)を、第1センサ部17a(一方側)および第2センサ部17b(他方側)にそれぞれ追加して設けるようにする。そしてテープカバー27が第1のセンサユニット31による検出可能範囲を超えて変位した状態ではなく、装着状態が異常でないときには、第3の投光部33aによって発信された光を第3の受光部33bが受光する。
上記説明したように、本実施の形態に示す部品実装装置では、テープフィーダ6におけるテープカバー27の装着状態の異常を検出するテープカバー異常検出センサ17を、テープフィーダ6を挟む両側方における一方側に配置される第1センサ部17aに、テープカバー27に対応する位置に設定された検査光軸に沿って光を発信する第1の投光部31aおよび発信された光を受光する第1の受光部31bを有し、一方側の反対の他方側に配置される第2センサ部17bに一方側からの光を反射する反射部材34を有する構成としている。
そしてテープカバー27の装着状態が異常でないときには、第1の投光部31aによって発信された光を反射部材34が反射し、反射部材34から反射された光を第1の受光部31bが受光するようにしている。これにより、単一のセンサユニットでテープカバー27における複数位置を検出対象とすることができ、部品実装装置における検出機能の精細化と装置コストの低廉化とを両立させることができる。