JP7055006B2 - 分岐回路 - Google Patents

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Description

本発明は、分岐ごとに伝搬する電磁波の周波数が異なる分岐回路に関する。
無線通信装置において、複数の周波数帯を用いる無線通信のために1本のアンテナを共用する場合がある。この場合、アンテナに接続される伝送線路は分岐され、それぞれの分岐路が、第一の周波数帯での無線通信用の第一の送受信回路部と、第二の周波数帯での無線通信用の第二の送受信回路部とに接続される。この構成において、1つの送受信回路部が出力した電磁波が別の送受信回路部に流入すると、その別の送受信回路部による無線通信の妨害や回路の破壊を招きうる。これに対して、複数の経路の各々において、所望の周波数帯の信号は通過させ、異なる周波数帯の無線通信の送信波を通過させない(反射または減衰させる)ダイプレクサ等の分岐回路が適用可能である。特許文献1には、このような特性を実現するために、それぞれの伝送線路に所望の周波数帯の信号を通過させるフィルタ素子を配置する手法が記載されている。
特開2016-15740号公報
一般に、電子機器は小型化が要求されるため、電子機器の電子回路基板にも小型化が要求される。また、電子回路基板の小型化のためには、その基板に実装される部品、回路パターン等の小型化も要求されることとなる。また、このような電子機器の小型化の際に高コスト化しないようにすることが重要である。この点、特許文献1のように分岐した線路上にチップフィルタ等の部品を追加する構成は、部品自体を小型化することによって回路を小型化することは可能であるが、高コスト化しやすいという課題があった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、分岐ごとに異なる特性を有する小型の分岐回路を低コストで提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る分岐回路は、所定の分岐点から少なくとも2つに分岐した第一の導体と第二の導体と、第一の点で前記第一の導体に接続される第一のスタブと、第二の点で前記第二の導体に接続される第二のスタブと、第三の点で前記第一の導体に接続され、高調波の伝搬を抑制する第三のスタブと、前記分岐回路に対する電磁波の入力と出力との少なくとも何れかが行われるポートと、前記ポートと前記所定の分岐点とを接続し、高調波を阻止するフィルタを含んだ第三の導体と、を有し、前記第一の点は、前記第一の導体のうちの前記所定の分岐点と前記第一の点との間の部分の長さが、前記第一のスタブの特性に応じて定められる第一の長さとなる点であり、前記第二の点は、前記第二の導体のうちの前記所定の分岐点と前記第二の点との間の部分の長さが、前記第二のスタブの特性に応じて定められる、前記第一の長さと異なる第二の長さとなる点であり、前記第一の点が、前記フィルタと前記第三の点とに挟まれる位置となるように前記第一のスタブおよび前記第三のスタブが前記第一の導体に接続され、前記第一のスタブと前記第二のスタブとの少なくとも何れかは、線状の導体部分を含み、前記線状の導体部分のうち、前記第一の導体または前記第二の導体に接続される端部を含む第一の部分は第一の幅を有し、当該第一の部分と異なる第二の部分は前記第一の幅と異なる第二の幅を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、分岐ごとに異なる特性を有する小型の分岐回路を低コストで提供することができる。
帯域阻止フィルタの第1の構成例と特性を示す図である。 帯域阻止フィルタの第1の構成例と特性を示す図である。 帯域阻止フィルタの第2の構成例と特性を示す図である。 帯域阻止フィルタの第2の構成例と特性を示す図である。 帯域阻止フィルタの第3の構成例と特性を示す図である。 帯域阻止フィルタの第3の構成例と特性を示す図である。 帯域阻止フィルタの第4の構成例と特性を示す図である。 帯域阻止フィルタが構成される基板の断面図である。 帯域阻止フィルタの第5の構成例と特性を示す図である。 帯域阻止フィルタの第5の構成例と特性を示す図である。 帯域阻止フィルタの第5の構成例と特性を示す図である。 無線通信装置内の分岐回路の構成の一例を示す図である。 第二の導体に接続されるスタブの構成例と特性を示す図である。 第一の導体に接続されるスタブの構成例と特性を示す図である。 分岐回路の第1の構成例と特性を示す図である。 分岐回路の第2の構成例と特性を示す図である。 分岐回路の第3の構成例と特性を示す図である。 分岐回路の第4の構成例と特性を示す図である。 高調波の伝搬を阻止するための帯域阻止フィルタの構成例と特性を示す図である。 分岐回路の第3および第4の構成例に係る低域通過フィルタの構成例と特性を示す図である。 分岐回路の第3および第4の構成例に係る低域通過フィルタの構成例と特性を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
一般に、無線通信装置において、1本のアンテナを共用して複数の周波数帯での無線通信を行う場合、アンテナに接続される伝送線路は分岐する。そして、分岐した伝送線路が、それぞれ、無線通信機能を制御する無線ICの第一の周波数帯を用いる無線通信機能の送受信回路部(第一の送受信回路部)と、第二の周波数帯を用いる無線通信機能の送受信回路部(第二の送受信回路部)とに接続される。これらの伝送線路には、送受信回路部から出力された電磁波や、アンテナによって受信された電磁波が伝搬する。なお、電磁波は、信号やノイズを含む。
上述のように、このような分岐回路では、2つ以上の送受信回路部の1つが出力した所定の周波数成分を有する電磁波が減衰されないで別の送受信回路部に入力されることを防ぐことが重要である。すなわち、このような分岐回路には、いわゆるダイプレクサのような、周波数帯ごとに電磁波を振り分ける機能が要求される。本実施形態では、このような機能を実現するために、分岐回路によって所定の分岐点から分岐した少なくとも2つの伝送線路のそれぞれに、例えば基板上の導体箔による配線として形成される、導体パターンを接続する。この導体パターンは、特定の複数の周波数の電磁波を減衰させる帯域阻止フィルタとして機能するように構成される。これによれば、チップ部品を用いる場合と比して、コストを低下させることができる。また、チップ部品の場合は、基板への実装において実装不良が発生しうるが、導体のパターンでダイプレクサの機能を実現する回路の場合はそのような不良が発生しなくなる。また、チップ部品を実装するのではなく、導体のパターンによってダイプレクサの機能を実現することにより、場合によっては、伝送線路上を伝搬する信号(電磁波)の損失を低減可能となる。
以下では、帯域阻止フィルタとして機能する導体パターンについて説明した後に、そのような帯域阻止フィルタを用いた分岐回路の構成について説明する。なお、以下で説明する帯域阻止フィルタおよびそれを用いた分岐回路では、導体基板付きコプレーナ線路(以下では「コプレーナ線路」と呼ぶ。)を用いるものとし、フィルタ及び伝送線路は、一般的な複数の層から構成される電子回路基板に実装されるものとする。なお、コプレーナ線路は、中央導体と、中央導体から所定の距離離れたグランド導体とを含んで構成されるが、以下では、これらのうち、中央導体を指して「信号線」と呼ぶ。なお、伝送線路は、コプレーナ線路以外の線路が用いられてもよい。例えば、マイクロストリップ線路、ストリップ線路、スロット線路、コプレーナストリップ線路、サスペンデッド・マイクロストリップ線路、インバーテッド・マイクロストリップ線路等が用いられてもよい。
(フィルタの構成)
まず、分岐回路に用いられる帯域阻止フィルタのいくつかの構成例について説明する。
[構成例1]
まず、図1(a)~図1(c)を用いて、帯域阻止フィルタの一例について説明する。図1(a)は、帯域阻止フィルタの構成例であり、図1(b)は、図1(a)の構造の理解を促進するために、帯域阻止フィルタの主要部分のみを取り出した図面である。図1(a)及び図1(b)に示されるように、帯域阻止フィルタは、コプレーナ線路の信号線に導体ビアを接続し、信号線が構成される層の下層に、ビアに接続されたメアンダ形状の導体を構成することで実現される。
ここで、例えば、本構成は、図1(a)のように、4層構造の1層目に信号線(伝送線路)が配置され、3層目にメアンダ形状の導体が構成される。このとき、1層目には信号線のみならずグランド導体も配置されてもよい。例えば、1層目に形成される伝送線路がコプレーナ線路である場合には、線路が一定の距離を隔ててグランド導体で挟まれるように、信号線とグランド導体とが形成される。また、3層目にもメアンダ形状の導体のみならず、グランド導体も配置されうる。このとき、例えば、メアンダ形状の導体が一定の距離を隔ててグランド導体に囲まれるように、メアンダ形状の導体とグランド導体とが形成される。なお、4層構造の2層目及び4層目には、例えば、広い面積を有する面状のグランド導体が配置されうる。このとき、このグランド導体は、例えば図1(a)及び図1(b)に示される信号線とメアンダ形状の導体とを接続する導体ビアと接続状態とならないように形成される。なお、各層に構成されるグランド導体は、どの層においても同一のグランド電位を達成するために、図1(a)に示すように、(多数の)導体ビアで接続されうる。なお、以下の各構成例においても、特に断りのない限り、図に示していない場合であっても、複数層にグランド導体が配置され、それらが層間において導体ビアで接続されているものとする。
図1(b)は、図1(a)の構造から、1層目、2層目及び4層目のグランド導体を取り除き、さらに、グランド導体を接続する導体ビアを取り除いた構造を示している。なお、図1(b)において、メアンダ形状の導体を囲むように配置されている面状の導体は、3層目に形成されるグランド導体である。図1(a)及び図1(b)から分かるように、メアンダ形状の導体は、2層目と4層目の(面積の広い)グランド導体によって挟まれ、さらにメアンダ形状の導体が形成される3層目においてグランド導体に囲まれるように形成されている。また、図1(a)の構成では、信号線とメアンダ形状の導体との間に挟まれる2層目のグランド導体によって、信号線とメアンダ形状の導体との間での電磁的な結合はなくなるように構成されている。
このメアンダ形状の導体は、線幅は同一であり、一方の端部はビアに接続され、もう一方の端部は電気的に何も接続されない開放端を有する線状の導体である。メアンダ形状にすることで、構造体の全体のサイズを短くすることができ、小型基板にも実装可能なサイズとなる。
図1(c)は、図1(a)及び図1(b)のような帯域阻止フィルタが実装されたコプレーナ線路の、入出力端(ポート1、ポート2)における、反射係数S11及び透過係数S21のシミュレーション結果である。図1(c)から、2.45GHz近傍の周波数において透過係数S21の曲線に大きな減衰が見られ、2.45GHz近傍の電磁波の伝搬が阻止されていることが分かる。また、2.45GHzの約3倍にあたる、7.1GHz近傍においても透過係数S21の曲線に大きな減衰が見られ、7.1GHz近傍の電磁波の伝搬が阻止されることも分かる。これは、コプレーナ線路に接続されるビア及びメアンダ形状の導体が、特定の周波数帯で共振するためである。以下では、ビアに接続される導体部(すなわち、メアンダ形状の導体)をスタブと呼び、ビアとスタブとを合わせた導体を共振導体と呼ぶ。なお、スタブ周辺には、図1(a)に示すように、グランド導体間を接続するためのビアが配置される。これにより、共振導体の共振周波数が、基板形状、基板の回路、基板に実装される部品等の影響を受けにくくすることができる。
このように、一方の端部が信号線に接続され、もう一方の端部が開放端を有する共振導体においては、共振導体の全長の4倍の電気長λの周波数帯において共振が起こり、その周波数の電磁波の信号線における伝搬を阻止することができる。すなわち、ある電気長λの周波数帯の電磁波の伝搬を阻止するために、全長がλ/4となるように共振導体の設計が行われる。また、同様に、電気長λの周波数帯の電磁波は、全長が3λ/4の共振導体においても共振して、阻止されうる。すなわち、全長がLの共振導体によって、電気長が4Lの電磁波及び電気長が4L/3の電磁波の伝搬を阻止することができる。図1の構造では、共振導体の全長が、約2.45GHzの電気長λの4分の1であると共に約7.1GHzの電気長λの4分の3になっているため、2.45GHz近傍の電磁波と7.1GHz近傍の電磁波の伝搬が阻止されている。
1つ目の阻止域となる周波数帯をf1(本構成例では2.45GHz)、2つ目の阻止域となる周波数帯をf2(本構成例では7.1GHz)とすると、図1のようにメアンダ形状の導体の線幅が同一である場合は、f2≒3×f1の関係が成り立つ。
上述の図1(a)及び図1(b)のような構造では、メアンダ形状導体の長さを調整することによって、f1又はf2のどちらか一方を、所望の周波数(阻止域としたい周波数)に設定することができる。しかし、阻止したい周波数帯が複数ある場合、上述のとおりf1とf2の関係は、f2≒3×f1となる。このため、阻止したい複数の周波数帯の関係が上述の関係以外の場合には、図1(a)及び図1(b)の構造では、所望の複数の周波数帯を阻止することができない。
そこで、所望の複数の周波数帯の電磁波の伝搬を阻止する帯域阻止フィルタの構成について説明する。図2(a)は、所望の複数の周波数帯を阻止する、帯域阻止フィルタの構成例であり、図2(b)は、図2(a)の帯域阻止フィルタの特性である。図2(a)の帯域阻止フィルタでは、帯域阻止フィルタは、コプレーナ線路の信号線にビアを接続し、信号線が構成される層の下層に、ビアに接続されたスパイラル形状のスタブ(スタブ1)が配置される。また、本帯域阻止フィルタでは、スタブ1が構成される層よりさらに下層に、ビアに接続されたスタブ(スタブ2)が配置される。例えば、コプレーナ線路は4層基板の1層目に、スタブ1及びスタブ2はそれぞれ2層目及び3層目、又は3層目及び4層目に、形成されうる。なお、スタブ1の線幅は同一であり、スタブ2の線幅も同一である。図2(a)の構成においては、例えば、伝搬を阻止する周波数帯に応じて、スタブ1およびスタブ2のそれぞれの長さが調整される。なお、ここでは、2.45GHz帯および5.5GHz帯を、阻止する周波数帯としたものとする。
図2(b)は、図2(a)のように帯域阻止フィルタが実装されたコプレーナ線路の入出力端(ポート1、ポート2)における、反射係数S11及び透過係数S21のシミュレーション結果である。図2(b)から、2.45GHz帯および5.5GHz帯に阻止域が形成されており、図2(a)の構造により、所望の複数の周波数帯において阻止域を形成することができていることが分かる。
一般に、伝送線路に、それぞれが所定の長さを有する複数の共振導体を接続することにより、所望の複数の周波数帯に阻止域を形成することができる。例えば、2つの共振導体を伝送線路上の2つの個所に接続し、共振導体の全長が、それぞれの周波数の電気長λの4分の1となるようにすることで2つの周波数帯において阻止域を形成することができる。しかし、一般的に、伝送線路上を伝搬する信号は、その伝送線路に例えばビアのような不連続部が存在すると、損失が発生する。伝送線路上に複数の接続箇所が存在すると、伝送線路上に不連続部が複数存在することになり、伝送特性が大きく劣化しうる。すなわち、不要な電磁波の阻止と共に、本来伝送すべき(通過させたい)周波数帯の電磁波の信号品質の劣化をも招くことになる。また、複数のフィルタ構造を含むように構成すると、電子回路の小型化が容易でなくなってしまう。
これに対して、図2(a)では、信号線に接続される共振導体の信号線への接続点の数が極力少なくなるように、信号線に接続される1つのビアから、複数のスタブが分岐される構造にしている。これにより、信号線の不連続部が減るため、信号品質の劣化を抑えることが可能となる。また、図2(a)のように、基板平面の垂直方向から見た場合にそれぞれのスタブが重なるように構成することで、フィルタの実装面積を少なくすることができ、小型な基板への実装が可能となる。また、ビアを共用することにより、フィルタの小型化も可能となる。以上のように、信号線に接続された1つのビアに複数のスタブを接続することで、信号品質の劣化を抑えながら、所望の複数の周波数帯において阻止域を形成する小型なフィルタを構成することができる。
[構成例2]
構成例1では、所望の複数の阻止域を得るために、それぞれの阻止域の周波数帯に対応する長さを有する複数のスタブを、信号線に接続されるビアに接続する構成を示した。これに対して、本構成例では、ビアに接続されるスタブを1つの層に構成しながら、複数の所望の阻止域を実現するフィルタ構成について説明する。
構成例1で説明したように、図1(a)のメアンダ形状のスタブの線幅が同一である場合は、1つ目の阻止域となる周波数帯をf1、2つ目の阻止域となる周波数帯をf2とすると、f2≒3×f1の関係が成り立ち、この関係の下でのみ阻止域を設定できる。これに対して、本構成例では、ビアに接続されるスタブの線幅を調整することにより、1つの層に構成されながらも、1つ目の阻止域f1と、2つ目の阻止域f2とを任意に設定することができるフィルタ構成を示す。
図3(a)~図3(j)は、本構成例に係る帯域阻止フィルタの構成例である。図3(a)~図3(e)はフィルタの構成図である。そして、図3(f)~図3(j)は、それぞれ、図3(a)~図3(e)の帯域阻止フィルタが実装されたコプレーナ線路の入出力端(ポート1、ポート2)における、反射係数S11及び透過係数S21のシミュレーション結果である。
図3(a)~図3(e)の帯域阻止フィルタでは、コプレーナ線路の信号線にビアを接続し、信号線が構成される層の下層に、ビアに接続されたメアンダ形状のスタブが配置される。また、図3(a)~図3(e)の帯域阻止フィルタでは、スタブは異なる2つ以上の線幅を有しており、開放端を含むスタブの一部が、ビアとの接続部を含むスタブの一部よりも線幅が太くなるように構成されている。図3(a)~図3(e)では、スタブの線幅が異なる部分の長さの比率がそれぞれ異なっており、このため、図3(f)~図3(j)は、そのような比率が変化する場合の特性の変化を示したものとなっている。
図3(f)~図3(j)から明らかなように、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さの比を変化させることで、1つ目の阻止域(低域側の阻止域)に大きな変化はないが、2つ目の阻止域(高域側の阻止域)が変化していることが分かる。すなわち、図3(f)~図3(j)から、1つ目の阻止域となる周波数帯f1はいずれの場合も約2.2GHzであるが、2つ目の阻止域となる周波数帯f2は、6.9GHz~7.4GHzの間で変化していることが分かる。すなわち、スタブの開放端の部分を、開放端以外の部分よりも線幅を太くすることにより、f2>3×f1とすることができることが分かる。
また、図3(c)に示すように、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さの比がおよそ等しい長さの場合、図3(h)に示すように、2つ目の阻止域(高域側の阻止域)は7.4GHzとなる。図3(h)の場合は、図3(f)、図3(g)、図3(i)、及び、図3(j)の場合と比較すると、低い周波数帯f1の阻止域と最も離れた高い周波数帯f2に2つ目の阻止域を有することが分かる。また、図3(f)と図3(j)の特性はほぼ同様であり、図3(g)と図3(i)の特性はほぼ同様であることが分かる。これらから、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さの比を調整することで、f2>3×f1の範囲において、1つ目の阻止域となる周波数帯f1と、2つ目の阻止域となる周波数帯をf2が所望の周波数帯になるように調整することが可能となる。
次に、図4(a)~図4(f)は、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さを概ね等しくし、線幅を変化させた場合のフィルタ構造およびその特性である。図4(a)は細い部分と太い部分の線幅の比が最も1に近く、図4(c)はその比が最も1から離れており、図4(b)はその比がそれらの中間であるような、構成を示している。ここで、図4(d)~図4(f)は、それぞれ、図4(a)~図4(c)における特性を示している。図4(d)~図4(f)から、線幅の比が1から離れるほど、f2がf1より離れ、阻止域がより高い周波数帯へとシフトすることが分かる。
以上のように、図1のような帯域阻止フィルタにおいて、スタブの開放端の部分の線幅をそれ以外の部分よりも太くすることで、1つ目の阻止域となる周波数帯f1と、2つ目の阻止域となる周波数帯f2との関係を、f2>3×f1とすることができる。また、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さの比と、線幅の比を調整することで、阻止域の周波数帯f1及びf2を調整することができる。なお、上述のように、図3(a)と図3(e)の帯域阻止フィルタの特性はほぼ同様であり、さらに、図3(b)と図3(d)の帯域阻止フィルタの特性はほぼ同様である。ここで、構造体内の導体の線幅を狭くすることによりフィルタを小型化することができるため、図3(a)と図3(e)とを比べると、図3(a)の方が、線幅の狭い割合が大きい分だけ帯域阻止フィルタの小型化を図ることができる。同様に、図3(b)と図3(d)とを比べると図3(b)の方が、線幅の狭い割合が大きい分だけ帯域阻止フィルタの小型化を図ることができる。すなわち、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さを、スタブの線幅が太い部分の長さ≦スタブの線幅が細い部分の長さとすることで、フィルタ構造の小型化を図ることが可能となる。
このように、スタブの開放端の部分の線幅を太くすることで、1つ目の阻止域となる周波数帯f1と、2つ目の阻止域となる周波数帯f2との関係を、f2>3×f1とすることができる。また、スタブの線幅が太い部分の長さと、スタブの線幅が細い部分の長さの比と線幅の比とを調整することによって、所望の周波数帯を阻止域とすることができる。また、このとき、スタブの線幅が太い部分の長さが、スタブの線幅が細い部分の長さよりも短くなるようにすることにより、フィルタ構造を小型化することができる。
本構成例では、複数の周波数帯を阻止する帯域阻止フィルタを構成する上で、複数の共振素子を別々に信号線に接続するのではなく、信号線に1つのビアで接続したスタブで複数の周波数帯を阻止する帯域阻止フィルタを構成している。これによって、構成例1と同様に、信号線を伝搬する信号の損失を少なくすることができる。また、本構成例では、複数の共振素子を構成する必要がないため、帯域阻止フィルタを含んだ電子回路の小型化が可能となりうる。
[構成例3]
本構成例では、構成例2と同様に、ビアに接続されるスタブが1つの層に構成されながらも、複数の所望の阻止域を得るフィルタ構成について説明する。本構成例では、構成例2と異なり、スタブの開放端の部分の線幅を細くすることで、1つ目の阻止域となる周波数帯f1と、2つ目の阻止域となる周波数帯f2との関係を、f2<3×f1とすることを可能とする。
図5(a)~(e)に、スタブのうちの線幅が異なる部分の長さの比率を変化させた場合のフィルタ構造を示し、それらのフィルタ構造のそれぞれについての特性を図5(f)~(j)に示す。図5(f)~(j)から、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さの比を図5(a)~(e)のように変化させた場合に、1つ目の阻止域(低域側の阻止域)は約2.6GHzであり大きな変化はないが、2つ目の阻止域(高域側の阻止域)は変化している。図5(c)に示すように、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さの比がおよそ等しい長さの場合、2つ目の阻止域(高域側の阻止域)は約6.6GHzとなる。この図5(c)のフィルタ構造は、図5(a)、図5(b)、図5(d)及び図5(e)のフィルタ構造よりも、低域側の阻止域の周波数帯f1に最も近い、低い周波数帯f2の阻止域を有している。また、図5(f)の特性と図5(j)の特性はほぼ同様であり、また、図5(g)の特性と図5(i)の特性とはほぼ同様である。また、図5(f)~図5(j)のいずれの場合においても、1つ目の阻止域となる周波数帯f1と、2つ目の阻止域となる周波数帯f2との関係は、f2<3×f1となっている。
図6(a)~図6(c)は、スタブの線幅が太い部分と細い部分との長さが概ね等しく、かつ、それぞれ異なる線幅を有するフィルタ構造を示しており、図6(d)~図6(f)はそれらのフィルタ構造の特性を示している。図6(d)~図6(f)から、線幅の比が1から離れる(太い部分の線幅と細い部分の線幅との差が大きい)ほど、阻止域のうち高い方の周波数帯f2が、低い方の周波数帯f1に近づき、より低域側にシフトすることが分かる。
以上のように、図1のような帯域阻止フィルタにおいて、スタブの開放端の部分の線幅をそれ以外の部分よりも細くすることで、1つ目の阻止域となる周波数帯f1と、2つ目の阻止域となる周波数帯f2との関係を、f2<3×f1とすることができる。また、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さ及び線幅の比を調整することにより、所望の周波数帯を阻止域とすることができる。なお、上述のように、図5(f)の特性と図5(j)の特性はほぼ同様であり、また、図5(g)の特性と図5(i)の特性とはほぼ同様である。このため、スタブの線幅が太い部分の長さが、スタブの線幅が細い部分の長さよりも短くなるようにすることにより、フィルタ構造を小型化することができる。したがって、図5(a)と図5(e)とを比べると、図5(a)の方が、線幅の狭い割合が大きい分だけ帯域阻止フィルタの小型化を図ることができる。同様に、図5(b)と図5(d)とを比べると図5(b)の方が、線幅の狭い割合が大きい分だけ帯域阻止フィルタの小型化を図ることができる。すなわち、スタブの線幅が太い部分と細い部分の長さを、スタブの線幅が太い部分の長さ≦スタブの線幅が細い部分の長さとすることで、フィルタ構造の小型化を図ることが可能となる。
このように、開放端を含むスタブの一部の線幅を細くすることで、1つ目の阻止域となる周波数帯f1、2つ目の阻止域となる周波数帯f2との関係を、f2<3×f1とすることができる。また、スタブの線幅が太い部分の長さと、スタブの線幅が細い部分の長さの比と線幅の比を調整することによって、所望の周波数帯を阻止域とすることができる。また、このとき、スタブの線幅が太い部分の長さが、スタブの線幅が細い部分の長さよりも短くなるようにすることにより、フィルタ構造を小型化することができる。
また、構成例2に係る図4(a)~図4(f)及び本構成例に係る図6(a)~図6(f)から分かるように、スタブの線幅が占める面積が広いほど、透過係数S21において大きな減衰が得られている。すなわち、図4(a)~図4(c)のうちでは図4(c)が、図6(a)~図6(c)のうちでは図6(c)が、透過係数S21において最も大きい減衰が得られている。したがって、設計時に、所望の透過特性(減衰特性)を得られるようにスタブの線幅を決定することにより、所望の特性をもつフィルタを構成することが可能となる。
本構成例では、構成例1及び2と同様に、複数の周波数帯を阻止する帯域阻止フィルタを構成する上で、信号線に1つのビアで接続したスタブで複数の周波数帯を阻止する帯域阻止フィルタを構成している。これによって、構成例1及び2と同様に、信号線を伝搬する信号の損失を少なくすることができる。また、本構成例でも、複数の共振素子を構成する必要がないため、帯域阻止フィルタを含んだ電子回路の小型化が可能となりうる。また、本構成例の帯域阻止フィルタは、構成例2と同様に、1つの層に1つのスタブを配置するように構成されるため、例えば2層基板のような少ない層数の基板にも適用可能である。
[構成例4]
構成例1~3のフィルタ構造では、スタブが構成される層において、スタブを取り囲むようにグランド導体が配置されていた。また、構成例1~3のフィルタ構造は、スタブが構成される層に対向する上下の層にもグランド導体を配置し、スタブがグランド導体に挟まれるように構成されている。すなわち、構成例1~3のフィルタ構造では、スタブの周囲はグランド導体に囲まれている。
以下、このグランド導体の効果について説明する。図8は、本構成例を含む各構成例で使用されうる電子回路基板の層構成を説明する図である。黒色の部分が、回路の導体パターンやグランド導体が配置されるメタル層である。ここでは4層基板を想定しており、図8に記載の通り、1層目~4層目の4層のメタル層が配置される。1層目と2層目との間、及び、3層目と4層目との間にはプリプレグ層があり、2層目と3層目との間には、コア層がある。また、1層目および4層目の表面には、ソルダレジストがあり、回路の導体パターンを保護する。上述の各構成例に係るスタブは、3層目に形成される。なお、図2のスタブは、例えば2層目と3層目に形成される。
図7(a)は、無線LANモジュール基板に実装することを想定し、2.4GHz帯および5GHz帯の電磁波の伝搬を阻止するフィルタの構成であり、図7(d)は、図7(a)のフィルタ構造の特性のシミュレーション結果である。このフィルタは、例えば2.4GHz帯あるいは5GHz帯のノイズを放射する、無線LANモジュール基板上に実装されるインターフェース回路等に適用可能である。なお、図7(a)では、構造の理解を促進するために信号線と同一面に配置されるグランド導体を取り除いた構造体を示しているが、コプレーナ線路の原理上、図示していなくともこのようなグランド導体は当然に同一面に形成される。構成例3で説明したように、スタブの開放端の部分の線幅を細くすることで、2.4GHz帯および5GHz帯の両周波数帯を阻止するフィルタを構成することができる。図7(d)から、図7(a)のフィルタ構造により、2.4GHz帯および5GHz帯の両周波数帯において良好な減衰特性が得られていることが分かる。
図7(b)は、図7(a)の構造から、スタブが配置されている層に対向する、スタブの下層のグランド導体を除去した構造である。すなわち、図8の4層目に構成されるグランドを除去した構成である。また、図7(b)の特性のシミュレーション結果を図7(e)に示す。図7(d)と図7(e)とを比較すると、図7(e)の方が図7(d)の特性に比べて、1つ目の阻止域及び2つ目の阻止域が共に高域側にシフトしていることが分かる。
上述のように、共振導体の全長は、阻止域の周波数における電気長の4分の1の長さが必要である。すなわち、阻止域を低域にしようとすると、それに応じて共振導体の長さを長くしなければならない。これに対して、図7(e)の特性が、図7(d)の特性と比べて1つ目の阻止域及び2つ目の阻止域が共に高域側にシフトしていることから、スタブの下層のグランド導体には、スタブ上に流れる電流の電気長を短くする作用があることが分かる。これは、スタブの下層に面積の大きなグランド導体が存在する構成とすると、共振導体が共振する時のスタブに伝搬する電磁波の位相定数が大きくなることによって、電気長が短くなるからである。すなわち、スタブの下層(スタブが形成される層から見て信号線が形成される層と反対側の層)に、面積の広い面状のグランド導体を配置することにより、スタブを小型化することができる。
次に、図7(b)の構造から、スタブと同じ層に構成され、スタブを取り囲むグランド導体をさらに除去した構造を図7(c)に示す。すなわち、図8の3層目と4層目に構成されるグランド導体を除去した構成である。また、図7(c)の特性のシミュレーション結果を図7(f)に示す。
図7(e)の特性と図7(f)の特性を比較すると、図7(f)の特性は、図7(e)の特性に比べて、1つ目の阻止域及び2つ目の阻止域が、共に高域側にシフトしていることが分かる。このことから、スタブを取り囲むグランド導体には、スタブ上に流れる電流の電気長を短くする作用があることが分かる。これは、スタブの上下層に面積の大きなグランド導体が存在する構成とすると、共振導体が共振する時のスタブに伝搬する電磁波の位相定数が大きくなることによって、電気長が短くなるからである。すなわち、スタブを取り囲むようにグランド導体を配置することにより、スタブを小型化することができる。
以上のように、ビア、スタブを含む共振導体の周囲にグランド導体を配置することにより、共振導体を小型化することができる。また、阻止域の周波数帯の電磁波(ノイズ)が伝送線路を伝搬した場合には、共振導体で共振が生じ、その電磁波(ノイズ)が空間中に放射されうる。これに対して、構成例1~3で説明したように、スタブの上下をグランド導体で挟み、また、スタブをグランド導体で取り囲むように構成することで、上述のような不要な電磁波が空間中へ放射されることを抑制することができる。
[構成例5]
本構成例では、1つの共振導体を、複数の層を用いて構成するフィルタ構造について説明する。また、そのような構造で、共振導体の周囲のグランド導体の一部を除去することによって得られる効果について説明する。本構成例に係るフィルタ構造も、図8のような層構成の基板が用いられる。
図9(a)は、スタブを、図8の2層目および3層目のそれぞれにスパイラル形状のスタブを形成し、それぞれのスタブの端部をビアで接続した帯域阻止フィルタの構造を示している。また、2層目に形成されるスタブは、3層目のスタブと接続していない方の端部は信号線に接続され、3層目に構成されるスタブの、2層目のスタブと接続していない方の端部は開放端である。このように、2つの層を用いてスタブを構成することで、スタブ構成を形成するのに必要な1つの層あたりの面積が減少し、小型な電子回路基板にも実装することができる。なお、図9(a)の構造においても、1層目及び4層目にはグランド導体が構成され、スタブの上下にはグランド導体が構成されるようにしている。また、スタブが構成される2層目及び3層目においても、スタブを取り囲むようにグランド導体が配置されている。これにより、構成例2で述べたように、スタブの小型化が図られ、空間中へのノイズの放射を抑制することが可能となる。
図10(a)は、図8の3層目および4層目の2つの層のそれぞれにスパイラル形状のスタブを形成し、それぞれのスタブの端部をビアで接続した帯域阻止フィルタの構造を示している。また、3層目に構成されるスタブは、4層目のスタブと接続していない方の端部は信号線に接続され、4層目に構成されるスタブの、3層目のスタブと接続していない方の端部は開放端である。この構成によっても、2つの層を用いてスタブを構成することで、スタブ構成を形成するのに必要な1つの層あたりの面積が減少し、小型な電子回路基板にも実装することができる。
なお、図10(a)では、スタブの上面の2層目にはグランド導体が構成されているが、スタブの下面にはグランド導体が構成されていない。その一方で、スタブが構成される3層目及び4層目においては、スタブを取り囲むようにグランド導体が配置されている。なお、スタブの線幅は均一であり、3層目及び4層目に構成されるスタブの線幅は0.1mmである。図10(b)を見ると、図9(b)に示す図9(a)のフィルタ構造に関する特性と比べて、1つ目の阻止域及び2つ目の阻止域の帯域幅が狭くなっていることが分かる。これは、スタブとグランド導体間の結合が弱くなることに起因すると考えられる。ここでの「結合」とは、静電結合(容量結合)、磁気結合(誘導結合)、又はこれらの両方が混在する電磁結合を含みうる、何らかの電磁的な結合のことを指す。信号線を伝搬する電磁波として、電磁波を通過させたい帯域(通過域)と、電磁波の伝搬を阻止させたい帯域(阻止域)が近い場合、フィルタの阻止域の帯域幅が大きいと、通過域特性に影響を与えてしまう場合がある。このような場合に、図10(a)のようにスタブ周囲のグランドの一部を除去することによって、阻止域の帯域幅を狭めることができる。ただし、この場合、図10(b)の透過係数S21を見ると、帯域幅が狭まるとともに減衰が小さくなっていることが分かる。
図11(a)は、図10(a)と同様に、3層目および4層目の2つの層にスタブを形成したフィルタ構造であり、スタブの上面の2層目にはグランド導体が構成されているが、スタブの下面にはグランド導体が構成されていない。スタブが構成される3層目及び4層目においては、スタブを取り囲むようにグランド導体が配置されている。なお、スタブの線幅は均一ではなく、3層目に構成されるスタブの線幅は0.15mmであり、4層目に構成されるスタブの線幅は0.05mmである。図10(b)の特性と図11(b)の特性とを比較すると、図11(b)における2つ目の阻止域は約6.2GHzであり、図10(b)の2つ目の阻止域は7.2GHzである。すなわち、図11(b)の帯域阻止フィルタの2つ目の阻止域は、図10(b)の帯域阻止フィルタの2つ目の阻止域よりも低域側にあることが分かる。図11(a)のフィルタ構造では、上述の通り、3層目に構成されるスタブと4層目に構成されるスタブとがビアで接続されており、このとき、4層目に構成されるスタブは開放端側のスタブに相当する。このため、開放端側のスタブの線幅を狭くすることによって、構成例1の構成と同様の効果を得ることができる。すなわち、本構成例に係る、2つの層を用いてスタブが構成され、スタブとグランド導体間の結合が弱くなるような構成においても、スタブの開放端の部分の線幅を細くして、線幅の比を変化させることで、構成例3と同様の効果を得ることができる。同様に、構成例2および構成例3で説明した効果は、本構成例の帯域阻止フィルタの構成でも得ることができる。
一方で、構成例3で説明したように、スタブの線幅が占める面積が広いほど、透過係数S21において大きな減衰が得られる。これは、スタブの線幅が占める面積が広くなると、スタブとグランド導体間の結合が強くなるためであると考えられる。すなわち、スタブとグランド導体間の結合が強い場合は、所望の周波数帯において、大きな減衰特性が得られると共に阻止域の帯域幅は大きくなる。一方、スタブとグランド導体との間の結合が弱い場合は、所望の周波数帯において、小さな減衰特性が得られると共に阻止域の帯域幅は小さくなる。スタブとグランド導体との間の結合は、スタブの線幅を太くする、スタブをグランド導体で取り囲む、又は、スタブとグランド導体との間の距離を小さくすることによって、強くすることができる。一方で、スタブとグランド導体との間の結合は、スタブの線幅を細くする、スタブとグランド導体間の距離を大きくする、又は、スタブ近傍のグランド導体を除去することにより、弱くすることができる。
(分岐回路の構成)
続いて、上述のような導体パターンによって構成された帯域阻止フィルタを用いる分岐回路の構成について説明する。本実施形態に係る分岐回路は、上述の構成例1~3の帯域阻止フィルタを分岐回路に複数配置する構成を有する。図12に、本実施形態に係る分岐回路の構成例を示す。なお、以下では、例えばアンテナで受信した電磁波が入力される伝送線路が2つに分岐し、その分岐した2つの伝送線路にはその電磁波のうちの相異なる周波数帯の電磁波が主として伝搬する、所謂ダイプレクサとしての機能を有する分岐回路について説明する。ただしこれに限られず、3つ以上の相異なる周波数特性を有する伝送線路に分岐するような分岐回路を以下の説明のようにして構成可能である。なお、以下では、2分岐の場合について説明するため、場合によっては、実施形態に係る分岐回路が有する上述の伝搬する電磁波の周波数特性を制御する機能のことを「ダイプレクサの機能」と呼ぶ。なお、本実施形態では、IEEE802.11規格シリーズの無線LANへの適用を想定し、2.4GHz帯と5GHz帯に対応するマルチバンドアンテナと、それらの周波数帯での無線通信のための2つの送受信回路との間に分岐回路が配置されるものとする。すなわち、本実施形態において分岐回路は、1本のアンテナ、第一の周波数帯(2.4GHz帯)を用いる無線通信を行う第一の送受信回路部、及び、第二の周波数帯(5GHz帯)を用いる無線通信を行う第二の送受信回路部に接続される。なお、2.4GHz帯は、例えばIEEE802.11b/g/n/ax規格に準拠した無線通信で用いられる周波数帯であり、5GHz帯は、例えばIEEE802.11a/n/ac/ax規格に準拠した無線通信で用いられる周波数帯である。図12は、分岐回路は、第一の送受信回路部にポート1で接続され、第二の送受信回路部にポート2で接続され、アンテナにはポート3で接続される例を示している。
このような構成において、分岐回路は、分岐点とポート1とを接続し、2.4GHz帯の電磁波が伝搬する第一の導体(信号線)に接続される、5GHz帯を遮断するための第一の導体パターン(第一のスタブ)を有する。これにより、第二の送受信回路部がポート2に対して出力した5GHz帯の電磁波は、第一の送受信回路部に到達する前に第一の導体に接続された導体パターンによって減衰又は遮断される。一方、分岐回路は、分岐点とポート2とを接続し、5GHz帯の電磁波が伝搬する第二の導体(信号線)に接続される、2.4GHz帯を遮断するための第二の導体パターン(第二のスタブ)をも有する。なお、それぞれのスタブは、ビアを介してそれぞれの導体(信号線)に接続される。これにより、第一の送受信回路部がポート1に対して出力した2.4GHz帯の電磁波は、第二の送受信回路部に到達する前に第二の導体に接続された導体パターンによって減衰又は遮断される。このように、本実施形態の分岐回路では、導体パターンによって、1つの送受信回路部が出力した電磁波が他の送受信回路部に回り込むことを防ぐことができるようになる。これにより、第一の送受信回路部及び第二の送受信回路部から出力された電磁波は、他の送受信回路部に回り込むことがなくなるため、低損失でアンテナに入力されて放射される。同様に、アンテナによって受信された2.4GHz帯及び5GHz帯の成分を含んだ電磁波は、第一の導体において5GHz帯の成分が減衰又は遮断されて、主として2.4GHzの成分を有する電磁波が第一の送受信回路部に入力されるようになる。また、アンテナによって受信された電磁波は、第二の導体において2.4GHz帯の成分が減衰又は遮断されて、主として5GHzの成分を有する電磁波が第二の送受信回路部に入力される。
なお、図12では、アンテナが接続されるポート3と分岐回路における分岐点との間が第三の導体(信号線)によって接続される例を示している。ただし、これに限られず、分岐点にアンテナが直接接続されてもよい。すなわち、分岐回路は、それぞれ異なる周波数特性を得るための導体パターンが接続される少なくとも2つの導体が、電磁波の入力と出力との少なくとも何れかが行われる所定の分岐点に接続された構成を有していれば足りる。この場合、分岐点がその電磁波の入力と出力との少なくとも何れかが行われるポート3として用いられ、第三の導体は省略されてもよい。
ここで、第二の導体に配置される帯域阻止フィルタ(第二のスタブ)について説明する。第二のスタブは、第二の導体において5GHz帯の電磁波を伝搬させる一方で2.4GHz帯の電磁波を伝搬しないようにするための帯域阻止フィルタとして機能する。すなわち、第二のスタブは、5GHz帯の電磁波を透過し、2.4GHzの信号を反射する機能を有する。まず、この帯域阻止フィルタとして、図1(a)及び図1(b)に示すような、線幅が同一のメアンダ形状の導体を持つ帯域阻止フィルタを適用する場合について考える。この場合、図1(c)の透過係数S21を見ると、2.4GHz帯においては20dB以上の減衰量が確保されており、2.4GHz帯の電磁波を十分に減衰させることができると言える。その一方で、透過係数S21は、5GHz帯(5GHz~6GHz)においても最大で3dB程度の減衰が生じており、5GHz帯の信号が伝搬する際にも損失が発生してしまうことになる。このため、2.4GHz帯の減衰量を確保しつつ、5GHz帯の減衰量をより少なくするために、高周波数帯側の阻止域(減衰域)である7.1GHzに発生する阻止域を、より高域にシフトさせることが考えられる。これは、構成例2で説明したように、スタブの線状の導体部分のうちの開放端を含む部分の線幅が、その線状の導体部分のそれ以外の部分の線幅よりも太くなるように構成された帯域阻止フィルタによって実現可能である。
第二の導体において5GHz帯の信号を伝搬させると共に2.4GHz帯の信号を伝搬させないようにするための、第二の導体に接続される帯域阻止フィルタの構成例を図13(a)に、その特性を図13(b)に示す。本構成例は、上述の構成例2のように、帯域阻止フィルタの線状の導体部分が第一の線幅の部分と第二の線幅の部分を有するように構成したものである。図13(b)の透過係数S21からわかるように、阻止域が2.4GHz帯と10.3GHzの付近に存在しており、図1(a)及び図1(b)のように線幅が同一の導体による構成に比べて、高域側の阻止域がさらに高域側にシフトしていることが分かる。また、図13(b)から、このように阻止域が高域側にシフトしたことに伴って、5GHz帯の損失が1dB以内になっていることが分かる。このように、図13(a)に示す構成を用いることにより、第二の導体において、5GHz帯の電磁波を十分に低い損失で伝搬させ、2.4GHz帯の電磁波が有意なレベルで伝搬しないようにすることができる。以上より、第二の導体に伝搬させる電磁波の周波数に応じて第一の線幅の部分と第二の線幅の部分の長さを変化させることで、高域側の阻止域をさらに高域にシフトさせ、第二の導体に伝搬させる電磁波の周波数の範囲での減衰量を小さくすることができる。なお、高域側の阻止域を低域側にシフトさせることによって第二の導体に伝搬させる電磁波の周波数の範囲での減衰量を小さくできる場合は、例えば上述の構成例3のような構成のスタブが用いられてもよい。
次に、第一の導体に配置される帯域阻止フィルタ(第一のスタブ)について説明する。第一のスタブは、第一の導体において2.4GHz帯の電磁波を伝搬させる一方で5GHz帯の電磁波は伝搬させないようにするための帯域阻止フィルタとして機能させる。すなわち、第一のスタブは、2.4GHz帯の電磁波を透過し、5GHzの信号を反射する機能を有する。その構成例を図14(a)に、その周波数特性を図14(b)に示す。図14(b)の透過係数S21からわかるように、2.4GHz帯の電磁波の減衰は1dB以内であり、5GHz帯においては、20dB以上の減衰量が確保できていることが分かる。なお、ここでは、図14(a)に示すように、第一のスタブは一定の線幅を有している。ただし、これに限られず、例えば、2.4GHz帯の電磁波の減衰量を抑制する必要がある場合に相異なる線幅を有する複数の部分が含まれるように第一のスタブを構成することができる。
なお、例えば、高域側の阻止域の周波数がターゲットの阻止域より高くなるように線幅を調整し、その上でスタブの導体長を長くすることによって高域側の周波数がターゲットの阻止域に合致するように、スタブが構成されてもよい。これによれば、導体長が長くなったことにより、阻止域が全体的に低域側へシフトするため、高域側の阻止域の周波数をターゲットの周波数としながら、低域側の阻止域をさらに低域にシフトすることが可能となる。同様に、高域側の阻止域の周波数がターゲットの阻止域より低くなるように線幅を調整し、その上でスタブの導体長を短くすることによって高域側の周波数がターゲットの阻止域に合致するように、スタブが構成されてもよい。これによれば、導体長が短くなったことにより、阻止域が全体的に高域側へシフトするため、高域側の阻止域の周波数をターゲットの周波数としながら、低域側の阻止域を高域側にシフトすることが可能となる。すなわち、ターゲットの周波数と、スタブの周波数特性に基づいて、シフトさせるべき阻止域と、高域側と低域側とのいずれにシフトさせるかによって、スタブの線幅が異なる導体部分の長さの比、線幅の比、スタブの導体長等が定められうる。
[構成例A]
続いて、上述のような2つのスタブを分岐する2つの導体にそれぞれ接続させた分岐回路の構成例とその特性について、図15(a)及び図15(b)を用いて説明する。まず、これらのスタブの導体への接続位置について説明する。
ポート1とポート3との間で2.4GHz帯の電磁波を伝搬させると共に5GHz帯の信号を伝搬させないようにする必要がある。このために、2.4GHz帯の電磁波にとって、分岐点からポート2側の回路が、電気的に何も接続されない開放端に見えるようにする。これは、第二の導体において、2.45GHz(2.4GHz帯の中心周波数)の電気長のおよそ4分の1の導体長だけ分岐点から離れた位置に、図13(a)に示す第二のスタブを配置することで実現可能である。なお、上述の電気長は、伝送線路であるコプレーナ線路における電気長である。図13(b)の周波数特性が示すように、図13(a)の帯域阻止フィルタは2.4GHz帯の信号を反射する。すなわち、2.4GHz帯の電磁波に対しては、図13(a)に示す帯域阻止フィルタが配置されている点において、インピーダンスがほぼ0であり、信号線が電気的にグランドに短絡している場合と同様に取り扱うことができる。このため、図13(a)の第二のスタブが配置された点から2.45GHzのおよそ4分の1の電気長だけポート3と反対側に離れた点からポート3側を見ると、電気的に何も接続されない開放端であるように見える。以上のように、第二の導体において、2.4GHz帯の電磁波の電気長に対応する長さだけ分岐点から離れた位置に2.4GHz帯の電磁波を反射する第二のスタブを配置することで、ポート2側へ2.4GHz帯の電磁波が伝搬しないようにすることができる。
同様に、ポート2とポート3との間で5GHz帯の電磁波を伝搬させると共に2.4GHz帯の電磁波は伝搬しないようにする必要がある。このために、5GHz帯の電磁波にとって、分岐点からポート1側の回路が開放端に見えるようにする。これは、第一の導体において、5.5GHz(5GHz帯の中心周波数)の電気長のおよそ4分の1の導体長だけ分岐点から離れた位置に、図14(a)に示す第一のスタブを配置することで実現可能である。なお、上述の電気長は、コプレーナ線路における電気長である。図14(b)の周波数特性が示すように、図14(a)の帯域阻止フィルタは5GHz帯の電磁波を反射する。このため、5GHz帯の信号にとっては、図14(a)が配置されている点において、グランドに短絡している場合と同様に取り扱うことができる。このため、図14(a)の第一のスタブが配置された点から5.5GHzの電気長のおよそ4分の1の導体長だけポート1と反対側に離れた点からポート1側を見ると、電気的に開放された状態であるように見える。以上のように、第一の導体において、5GHz帯の電磁波の電気長に対応する長さだけ分岐点から離れた位置に5GHz帯の電磁波を反射する第一のスタブを配置することにより、ポート1側へ5GHz帯の電磁波が伝搬しないようにすることができる。
図15(b)において、ポート3からポート1への信号の透過係数を表すS13から、2.4GHz帯の電磁波の損失は1dB以内であり、2.4GHz帯の電磁波はポート3からポート1に、少ない損失で伝搬することが分かる。また、5GHz帯の電磁波は、ポート3からポート1の間で20dB以上の減衰量が確保できており、5GHz帯の電磁波はポート3からポート1へはほぼ伝搬しない(少なくとも大幅に減衰する)ことが分かる。また、ポート3からポート2への電磁波の透過係数を表すS23から、5GHz帯の電磁波の損失は1dB以内であり、5GHz帯の電磁波はポート3からポート2に、少ない損失で伝搬することが分かる。また、2.4GHz帯の電磁波の損失は20dB以上の減衰量が確保できており、2.4GHz帯の電磁波はポート3からポート2へはほぼ伝搬しない(少なくとも大幅に減衰する)ことが分かる。以上のように、分岐回路の所定の位置に、上述の帯域阻止フィルタとして機能するスタブを配置することによって、ダイプレクサの機能を実現できる。
なお、上述の通り、分岐点から各スタブが接続される点までは、所定の導体長の伝送線路が必要である。図15(a)の例では、第二の導体は直線の伝送線路によって構成され、第一の導体は1つの曲がり角を有する直線の伝送線路によって構成されている。しかしながら、これらの伝送線路の形状はこれらに限られず、例えばメアンダ形状のような複数の曲がり角を有する伝送線路が用いられてもよい。これによれば、分岐回路の一方向の全長を短縮することが可能となり、回路全体の小型化(少なくとも回路が構成される領域の一辺の長さの短縮)が可能となる。また、入出力が行われるポート3と分岐点とを接続する第三の導体も同様に、伝送線路の形状は直線でなくてもよい。
以上のように、本構成例によれば、第一のスタブと、第一のスタブと特性の異なる(すなわち、第一のスタブと少なくとも形状が異なる)第二のスタブとを、所定分岐点から少なくとも2つに分岐した第一の導体と第二の導体とに接続する。このとき、第一のスタブが第一の導体と接続される点(第一の点)と分岐点との間の長さ(第一の長さ)は、第一のスタブの特性(例えば周波数特性やスタブの導体長・形状)に対応する長さである。また、第二のスタブが第二の導体と接続される点(第二の点)と分岐点との間の長さ(第二の長さ)は、第二のスタブの特性(例えば周波数特性やスタブの導体長・形状)に対応する長さである。例えば、スタブの導体長が長いほど、分岐点から離れた導体位置にそのスタブが接続されうる。また、スタブの導体長によらずに形状や周波数特性によってスタブが接続される位置が定められてもよい。第一のスタブは、第二の導体に伝搬させる電磁波の周波数に応じて設計されてもよく、また、第二のスタブは、第一の導体に伝搬させる電磁波の周波数に応じて設計されてもよい。同様に、第一のスタブは、第二の導体に伝搬させる電磁波の周波数に応じて設計されてもよく、第二のスタブは、第一の導体に伝搬させる電磁波の周波数に応じて設計されてもよい。これにより、電子回路基板上に、ダイプレクサの機能を有する分岐回路を安価かつ小型な回路パターンで構成することが可能となる。
[構成例B]
構成例Aでは、2つのスタブを分岐する2つの導体にそれぞれ接続した分岐回路を説明した。本構成例では、構成例Aで述べた構成をさらに発展させ、第一の送受信回路部から出力される可能性がある高調波成分を抑制することも考慮した分岐回路の構成について説明する。なお、構成例Aと同様の構成については説明を省略する。
一般的に、無線ICからは所定の無線周波数の信号が出力されるが、その際に高調波成分が発生してしまう場合がある。信号の無線周波数を有する成分を基本波とすると、基本波の2倍の周波数を持つ成分を第二高調波、基本波の3倍の周波数を持つ成分を第三高調波、基本波のn倍の周波数を持つ成分を第n高調波と呼ぶ。無線ICから発生した高調波がアンテナから放射されると、それらはノイズとなり、周辺の電子機器や設備に対して電波障害等の影響を与えてしまいうる。よって、高調波ノイズが生じた場合、それをアンテナから放射されないようにする必要がある。本構成例では、高調波ノイズがアンテナから放射されないように考慮した、ダイプレクサの機能を有する分岐回路について説明する。
まず、第一の送受信回路部から生じる可能性のある高調波の周波数について考える。ここでは、第二高調波および第三高調波を考慮する。第一の送受信回路部からは、基本波である2.4GHz帯の電磁波が出力されるが、同時に第二高調波である4.8~5GHzの電磁波や、第三高調波である7.2~7.5GHzの電磁波も出力されうる。ここで、図15(b)に示す構成例Aのポート1とポート3との間の透過特性S13から、4.8~5GHzの範囲で減衰量が15dB以上であり、第一の送受信回路部が出力しうる第二高調波成分はポート1とポート3との間でほぼ伝搬しないことがわかる。
ここから、本構成例では、第一の送受信回路部から出力される可能性のある第三高調波が、ポート1とアンテナが接続されるポート3との間でほぼ伝搬しないようにするために、構成例Aの構造に帯域阻止フィルタを組み合わせる。図19(a)及び図19(b)に、第一の送受信回路部から出力される可能性がある第三高調波である7.2~7.5GHzの電磁波の伝搬を阻止するために配置されるスタブの構成と、その周波数特性を示す。図19(b)に示すように、図19(a)の構成により、透過係数S21が7.2~7.5GHzの範囲で小さくなることが分かる。
図16(a)及び図16(b)に、第一の導体に図19(a)のスタブを配置した場合の分岐回路の構成例とその特性を示す。図16(a)の構成は、図15(a)に示す構成例Aに、2.4GHz帯の電磁波を出力するための第一の送受信回路部から出力されうる7.2~7.5GHzの第三高調波の伝搬を阻止するためのスタブを追加配置した構成である。図16(b)において、ポート3とポート1との間の透過係数S13をみると、第三高調波の周波数帯である7.2~7.5GHzにおいて25dB以上の減衰量が確保されていることが分かる。また、第二高調波である4.8~5GHzの電磁波は、構成例Aで説明した図14(a)のスタブによって、15dB以上の減衰量が確保できている。
以上のように、本構成例の構造により、第一の送受信回路部から出力されうる第二高調波および第三高調波が、ポート1とアンテナが接続されるポート3との間で伝搬することを阻止できる。
[構成例C]
本構成例では、構成例Bで述べた構成をさらに発展させ、第二の送受信回路部から出力される可能性がある高調波成分を抑制することも考慮した、分岐回路の構成について説明する。なお、構成例Bと同様の構成については説明を省略する。
第二の送受信回路部からは、基本波である5GHzの電磁波が出力されるが、同時に第二高調波である10~12GHzの電磁波や、第三高調波である15~18GHzの電磁波も出力されうる。図16(b)において、構成例Bのポート3とポート2との間の透過係数S23をみると、第二高調波の周波数である10~12GHzでは周波数によっては損失が5dB、第三高調波の周波数である15~18GHzでは周波数によっては損失が1dBとなる。すなわち、図16(a)の分岐回路では、第二の送受信回路部から出力された第二高調波および第三高調波が大きく減衰されないままポート3まで伝搬してしまいうる。
本構成例では、第二の送受信回路部から生じうる高調波がポート3に入力されないようにするために、構成例Bの構成と、高調波の伝搬を阻止するための低域通過フィルタとを組み合わせる。図20(a)及び図20(b)に、第二の送受信回路部から生じうる第二高調波(10~12GHz)及び第三高調波(15~18GHz)の伝搬を阻止するための低域通過フィルタとして動作する導体構成と、その特性を示す。図20(a)の低域通過フィルタは、2つの異なる線幅の線路によって構成される。この構成では、太い線幅の線路が並列のコンデンサ成分(C素子)として機能し、より細い線幅の線路が直列のインダクタ成分(L素子)として機能する。すなわち、図20(a)の構成は、並列の3つのコンデンサ成分と直列の2つのインダクタ成分として機能する。このように構成された5つのL素子とC素子とによって低域通過フィルタが実現される。実際、図20(b)に示すように、図20(a)の構成により、ポート1とポート2との間の透過係数S21が7.5GHzより高域の周波数において小さくなることがわかる。
図17(a)及び図17(b)に、図20(a)の低域通過フィルタを含む分岐回路の構成例とその特性を示す。図17(a)の構成は、図16(a)に示す構成例Bの第二の導体に、図20(a)に示す低域通過フィルタを追加配置した構成である。図17(b)において、ポート3とポート2との間の透過係数S23から、第二高調波の周波数である10GHz~12GHzの範囲では14dB以上、第三高調波の周波数である15~18GHzの範囲では35dB以上の減衰量が確保されていることがわかる。すなわち、第二の送受信回路部から送信される可能性のある第二高調波(10~12GHz)および第三高調波(15~18GHz)の伝搬は、分岐回路上に配置された低域通過フィルタで阻止される。
なお、本構成例では、L素子を構成するためのより細い線幅の線路は、小型化のためにメアンダ形状としたが、図21(a)に示すように、直線形状の線路でもよい。その場合も、図21(b)に示すように、図20(a)の構成と同様、低域通過フィルタとしての機能が得られる。また、異なる線幅の線路によって構成されるC素子とL素子の数は、それぞれ3つと2つとに限定されず、所望の低域通過フィルタの特性を実現するために、所望の数のC素子とL素子とを用いることができる。例えば、2つのC素子で1つのL素子を挟むように構成されるπ型フィルタや、2つのL素子で1つのC素子を挟むように構成されるT型フィルタによっても低域通過フィルタを構成できる。また、本構成例では、C素子とL素子を構成するために2つの異なる線幅の線路を用いたが、3つ以上の異なる線幅を有する線路を用いてもよい。また、本構成例では、低域通過フィルタは第二の導体が構成される層と同一の層に構成されるものとしたが、異なる層に構成されてもよい。
[構成例D]
本構成例では、構成例Bで述べた構成をさらに発展させ、第一の送受信回路部および第二の送受信回路部から生じうる高調波成分を抑制することを考慮した、分岐回路の構成について説明する。本構成例では、第一の送受信回路部と第二の送受信回路部とから生じうる高調波がポート3に入力されないようにするために、構成例Bの第三の導体に、高調波の伝搬を阻止するための低域通過フィルタを配置する。本構成例では、図20(a)に示す低域通過フィルタを用いる。
図18(a)及び図18(b)は、低域通過フィルタを第三の導体に配置した場合の分岐回路の構成例およびその特性である。第三の導体に低域通過フィルタを配置することにより、図18(b)に示すように、ポート2とポート3との間の透過係数S23のみではなく、ポート1とポート3との間の透過係数S13においても高い周波数帯において減衰が確保できていることが分かる。すなわち、図18(a)の構成では、第一の送受信回路部から出力されうる第三高調波よりも高域の高調波に対しても、その伝搬を阻止することができる。
以上のように、ダイプレクサの機能を有する分岐回路において、第一のおよび第二の送受信回路部から出力される可能性がある高調波を、ポート3とポート1またはポート2との間で伝搬させないようにすることができる。
[その他の構成例]
構成例A~Dにおいて、ダイプレクサの機能を有する分岐回路に配置される帯域阻止フィルタには、メアンダ形状を有する多数の曲折部を有する構造を用いた。しかしながら、例えば構成例1~3で説明したような帯域阻止フィルタなど、他の形状を有する帯域阻止フィルタが用いられてもよい。また、形状はこれらに限られず、曲折部の数がより少なくてもよいし、直線形状や円弧状等、いかなる形状が用いられてもよい。また、第一の導体、第二の導体、および第三の導体は、例えばメアンダ形状のような複数の曲がり角を有する線路で構成されてもよい。このようにすることで、分岐回路の一方向の全長を短縮することによる小型化が可能となる。
また、構成例A~Dにおいて、帯域阻止フィルタが線路と異なる層(第3層)に構成される場合について説明したが、線路と同じ層(第1層)に帯域阻止フィルタが構成されてもよい。また、低域通過フィルタが線路と同じ層(第1層)に配置される場合について説明したが、低域通過フィルタが線路と異なる層に構成されてもよい。また、第一の導体、第二の導体、および第三の導体が互いに異なる層に構成されてもよい。これにより、ダイプレクサの機能を有する分岐回路の回路パターンを設計する際の自由度を高めることができる。
また、構成例A~Dにおいて、デュアルバンドの2つの周波数帯を分離する3ポートのフィルタであるダイプレクサの機能を有する分岐回路について説明した。この手法は、例えば3つの異なる周波数帯を分離する、トリプレクサの機能を有する分岐回路や、4つ以上の異なる周波数帯を分離する分岐回路にも適用可能である。すなわち、各分岐線路に、他の分岐線路に伝搬させる周波数帯の電磁波の伝搬を阻止するための1つ以上の導体構造をその周波数特性に応じた位置に接続することで、所定の周波数帯の信号成分を伝搬させると共に、他の周波数帯の信号成分については阻止できる。
また、スタブは分岐した2つ以上の導体のうちの1つ以上に対して配置されればよい。例えば、2つの周波数帯を分離する3ポートのダイプレクサにおいて、1つの分岐路が信号測定に用いられる場合など、電磁波の特定の周波数成分の遮断を必要としない伝送線路については、スタブが配置されなくてもよい。
また、構成例A~Dにおいて、分岐回路は信号が伝搬する伝送線路として説明したが、分岐回路は例えば電源回路のようなその他の分岐回路であってもよい。
また、本発明は図8に示す4層基板以外の基板にも適用可能である。例えば2層基板のような、レイヤの数がより少ない基板にも適用可能である。
なお、構成例A~Dでは、ポート3とポート1との間の透過特性としてS13を用いて説明したが、S13とS31は、ほぼ同等の特性を有することを確認している。同様に、ポート3とポート2との間の透過特性としてS23を用いて説明したが、S23とS32も、ほぼ同等の特性を有することを確認している。このため、ポート3からポート1に伝搬されるべき電磁波の所定の周波数成分と、ポート1からポート3に伝搬されるべきその所定の周波数成分の電磁波が、共に大きく減衰せずにポート2へ流れ込むことを防ぐことができる。同様に、ポート3からポート2に伝搬されるべき電磁波の所定の周波数成分と、ポート2からポート3に伝搬されるべきその所定の周波数成分の電磁波が、共に大きく減衰せずにポート1へ流れ込むことも防ぐことができる。

Claims (13)

  1. 分岐回路であって、
    所定の分岐点から少なくとも2つに分岐した第一の導体と第二の導体と、
    第一の点で前記第一の導体に接続される第一のスタブと、
    第二の点で前記第二の導体に接続される第二のスタブと、
    第三の点で前記第一の導体に接続され、高調波の伝搬を抑制する第三のスタブと、
    前記分岐回路に対する電磁波の入力と出力との少なくとも何れかが行われるポートと、
    前記ポートと前記所定の分岐点とを接続し、高調波を阻止するフィルタを含んだ第三の導体と、
    を有し、
    前記第一の点は、前記第一の導体のうちの前記所定の分岐点と前記第一の点との間の部分の長さが、前記第一のスタブの特性に応じて定められる第一の長さとなる点であり、
    前記第二の点は、前記第二の導体のうちの前記所定の分岐点と前記第二の点との間の部分の長さが、前記第二のスタブの特性に応じて定められる、前記第一の長さと異なる第二の長さとなる点であり、
    前記第一の点が、前記フィルタと前記第三の点とに挟まれる位置となるように前記第一のスタブおよび前記第三のスタブが前記第一の導体に接続され
    前記第一のスタブと前記第二のスタブとの少なくとも何れかは、線状の導体部分を含み、
    前記線状の導体部分のうち、
    前記第一の導体または前記第二の導体に接続される端部を含む第一の部分は第一の幅を有し、
    当該第一の部分と異なる第二の部分は前記第一の幅と異なる第二の幅を有する、
    ことを特徴とする分岐回路。
  2. 前記第一のスタブの特性は、前記第二の導体に伝搬させる電磁波の周波数に応じて定められることを特徴とする請求項1に記載の分岐回路。
  3. 前記第二のスタブの特性は、前記第一の導体に伝搬させる電磁波の周波数に応じて定められることを特徴とする請求項1又は2に記載の分岐回路。
  4. 前記第一のスタブが前記第一の部分と前記第二の部分とを有する場合、前記第一のスタブの前記第一の部分の長さと前記第二の部分の長さとの比または前記第一の部分の線幅と前記第二の部分の線幅との比は前記第一の導体に伝搬させる電磁波の周波数に応じて定まることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の分岐回路。
  5. 前記第二のスタブが前記第一の部分と前記第二の部分とを有する場合、前記第のスタブの前記第一の部分の長さと前記第二の部分の長さとの比または前記第一の部分の線幅と前記第二の部分の線幅との比は前記第二の導体に伝搬させる電磁波の周波数に応じて定まる、
    ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の分岐回路。
  6. 前記第一の幅は前記第二の幅より狭いことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の分岐回路。
  7. 前記第一のスタブは、前記第一の導体とは異なる層に形成されることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の分岐回路。
  8. 前記第二のスタブは、前記第二の導体とは異なる層に形成されることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の分岐回路。
  9. 前記フィルタは、第三の幅を有する第三の部分と、前記第三の幅とは異なる第四の幅を有する第四の部分とをさらに有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の分岐回路。
  10. 1つの前記第三の部分が、2つの前記第四の部分に挟まれることを特徴とする請求項に記載の分岐回路。
  11. 前記第三の幅は、前記第四の幅より狭いことを特徴とする請求項又は10に記載の分岐回路。
  12. 前記第三の幅は、前記第四の幅より広いことを特徴とする請求項又は10に記載の分岐回路。
  13. 前記第一のスタブおよび前記第二のスタブを取り囲むように配置される第四の導体をさらに有することを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の分岐回路。
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