本開示の第1態様によれば、基板を位置決めする基板位置決め部と、下方に延びたリードを有する部品をピックアップし、基板位置決め部により位置決めされた基板の部品挿入位置において、基板の挿入孔に上方からリードを挿入する挿入ヘッドと、基板の挿入孔から基板の下面側に突出したリードをクリンチするアンビル部と、アンビル部を水平方向および高さ方向に移動させる移動装置と、移動装置によるアンビル部の水平方向および高さ方向の移動を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、部品のリードに対するクリンチ動作を実施した第1部品挿入位置から別の部品のリードに対するクリンチ動作を実施する第2部品挿入位置に向けてアンビル部が水平移動を行う際に、基板の下面に配置された部品のうち、アンビル部の水平移動のルート上に配置された部品の実装情報に基づいて設定された部品との干渉を回避する回避高さにて、アンビル部の移動を行うように移動装置を制御する、部品実装装置を提供する。
本開示の第2態様によれば、制御装置は、基板の下面に配置された第1部品との干渉を回避する第1回避高さでの第1水平移動と、基板の下面に配置された第2部品との干渉を回避する高さであり第1回避高さよりも低い第2回避高さでの第2水平移動とを実施させるように移動装置を制御する、第1態様に記載の部品実装装置を提供する。
本開示の第3態様によれば、制御装置は、基板の下面における第1部品挿入位置から第2部品挿入位置までのアンビル部の水平移動のルート上に部品が配置されていない場合の回避高さは、アンビル部の水平移動のルート上に部品が配置されている場合の回避高さよりも低くなるように、移動装置を制御する、第3態様に記載の部品実装装置を提供する。
本開示の第4態様によれば、下方に延びたリードを有する部品を、基板の部品挿入位置に挿入する挿入ヘッドと、部品のリードをクリンチするアンビル部と、を用いて、部品を基板に実装した部品実装基板の製造方法であって、基板の第1部品挿入位置に挿入された部品のリードに対するクリンチ動作を実施する第1実装工程と、基板の第2部品挿入位置に挿入された別の部品のリードに対するクリンチ動作を実施する第2実装工程と、第1部品挿入位置から第2部品挿入位置へアンビル部を水平移動させる移動工程と、を含み、移動工程において、基板の下面に配置された部品のうち、アンビル部の水平移動のルート上に配置された部品の実装情報に基づいて設定された部品との干渉を回避する回避高さにて、アンビル部の移動を行う、部品実装基板の製造方法を提供する。
本開示の第5態様によれば、移動工程は、基板の下面に配置された第1部品との干渉を回避する第1回避高さでのアンビル部の第1水平移動工程と、基板の下面に配置された第2部品との干渉を回避する高さであり第1回避高さよりも低い第2回避高さでのアンビル部の第2水平移動工程と、を含む、第4態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。
本開示の第6態様によれば、移動工程において、基板の下面における第1部品挿入位置から第2部品挿入位置までのアンビル部の水平移動のルート上に部品が配置されていない場合の回避高さは、アンビル部の水平移動のルート上に部品が配置されている場合の回避高さよりも低く設定される、第4態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。
以下に、本開示にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態)
本開示の一の実施の形態にかかる部品実装装置1の主要な構成を図1の概略斜視図に示す。
図1に示す部品実装装置1は、例えば、下方に延びた2本のリード4を備えたリード付きの部品2を基板3に装着・実装する装置である。部品2が実装された基板3は、「部品実装基板」となる。
図1に示す部品実装装置1は、基板位置決め部11と、挿入ヘッド移動装置(第1移動装置)12と、挿入ヘッド13と、クリンチユニット移動装置(第2移動装置)14と、クリンチユニット(クリンチ機構)15とを備える。
基板位置決め部11は、基板3を所定位置に位置決めする装置である。本実施の形態の基板位置決め部11としては、例えば、一対のコンベア機構が採用され、基板3の両端を下方から支持して搬送し、所定位置に位置決めする。基板3には、部品2のリード4を挿通するための複数の挿入孔3aが設けられている。
挿入ヘッド移動装置12は、挿入ヘッド13を移動させる装置である。本実施の形態の挿入ヘッド移動装置12としては、例えば、直交座標テーブルが採用され、挿入ヘッド13を水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)に移動させる。なお、X方向とY方向は、互いに直交する水平方向であり、Z方向は、X方向およびY方向と直交する方向である。
挿入ヘッド13は、部品2をピックアップし、基板位置決め部11によって位置決めされた基板3の挿入孔3aに部品2のリード4を上方から挿入する装置である。挿入ヘッド13は基板位置決め部11よりも上方に位置し、挿入ヘッド移動装置12によりXY方向およびZ方向に移動される。
挿入ヘッド13は、部品2をピックアップする一対のピックアップ爪13aを備える。ピックアップ爪13aは部品2を把持してピックアップするものであり、ピックアップ爪駆動装置13Kによって駆動される。ピックアップ爪13aに代えて、部品2を吸着する吸着ノズルを用いてもよい。
クリンチユニット移動装置14は、クリンチユニット15を水平方向(XY方向)および上下方向(高さ方向:Z方向)に移動させる装置である。本実施の形態のクリンチユニット移動装置14としては、例えば、直交座標テーブルが採用され、クリンチユニット15を取り付けるためのアタッチメント部材14Tを水平方向および上下方向に移動させる。なお、クリンチユニット移動装置14およびアタッチメント部材14Tの構成は、大きく簡略化した形で図示している。
クリンチユニット(クリンチ機構)15は、基板3の挿入孔3aから基板3の下面側に突出したリード4をクリンチする機構であり、アタッチメント部材14Tに取り付けられて基板3の下方に位置している。クリンチユニット15は、アタッチメント部材14Tに取り付けられたベース部材21と、ベース部材21に対して水平回転する回転ベース22と、回転ベース22に取り付けられたアンビルユニット23およびリード屑回収容器24とを備えている。クリンチユニット移動装置14によってアタッチメント部材14Tが移動されるとベース部材21が基板3の下方を水平方向に移動する。これによりクリンチユニット15は、基板3の下方を基板3に対して水平方向に移動自在である。
クリンチユニット15の拡大斜視図を図2および図3に示し、これらの図面を用いて、クリンチユニット15の詳細構成について説明する。
図2および図3において、ベース部材21は、アタッチメント部材14Tに取り付けられたブラケット部21aと、ブラケット部21aに連結されたブロック部21bおよび底板部21cとを備えている。底板部21cはブロック部21bの下方を水平に延びている。
図3に示すように、ブロック部21bは上下方向に延びた中空のθ回転シャフト31を上下軸回りに回転自在に保持している。ここで、クリンチユニット15におけるθ回転シャフト31の周辺構成について、図4(a)、(b)に示す。図3および図4(a)、(b)に示すように、θ回転シャフト31の下端はブロック部21bと底板部21cとの間に突出しており、その突出した部分にはウォームホイールから成るθ回転シャフト駆動ギヤ32が水平姿勢で設けられている。θ回転シャフト31の上端はブロック部21bの上方に突出しており、その突出した部分には前述の回転ベース22が取り付けられている。
図3および図4(a)、(b)において、θ回転シャフト31の内部には上下方向に延びた中空の間隔変更シャフト33がθ回転シャフト31を上下方向に貫通して設けられている。間隔変更シャフト33の下端はθ回転シャフト駆動ギヤ32と底板部21cとの間に突出しており、その突出した部分には外歯の平歯車から成る間隔変更シャフト駆動ギヤ34が水平姿勢で設けられている。間隔変更シャフト33の上端は回転ベース22の上方に突出しており、その突出した部分には駆動側傘歯車35が水平姿勢で設けられている。駆動側傘歯車35の歯は下面側に設けられている。間隔変更シャフト33はθ回転シャフト31の内部で、θ回転シャフト31と同軸の上下軸回りに回転自在となっている。
ここで、クリンチユニット15における動作を説明する動作説明図を図5から図9に示す。図3および図5に示すように、ベース部材21の底板部21cの上面にはθ駆動モータ36が駆動軸を水平方向に向けて設けられている。θ駆動モータ36の駆動軸にはθ駆動ギヤ37が設けられており、θ駆動ギヤ37はθ回転シャフト駆動ギヤ32と噛み合っている。このため、θ駆動モータ36がθ駆動ギヤ37を水平軸回りに回転させると(図5中に示す矢印R1)、θ回転シャフト駆動ギヤ32が回転し、これによりθ回転シャフト31が上下軸回りに回転する(図5中に示す矢印R2)。そして、このθ回転シャフト31の回転によって回転ベース22が水平回転し、アンビルユニット23の全体がθ回転シャフト31の回転軸回りに水平回転する(図5中に示す矢印R3)。
図3および図6(a)、(b)に示すように、ベース部材21の底板部21cの上面には、間隔変更モータ38が駆動軸を下方に向けて設けられている。間隔変更モータ38の駆動軸には外歯の平歯車から成る間隔変更ギヤ39が水平姿勢で設けられている。間隔変更ギヤ39は前述の間隔変更シャフト駆動ギヤ34と噛み合っている。
図4(a)、(b)に示すように、間隔変更シャフト33の内部には上下方向に延びた中空のロッド部材41が間隔変更シャフト33および底板部21cを上下方向に貫通して設けられている。ロッド部材41の下端はベース部材21の底板部21cの下方に突出しており、その突出した部分の下端には水平軸回りに回転自在なローラ部材42が設けられている(図7(a)、(b))。ロッド部材41の上端は駆動側傘歯車35の上方に突出しており、その突出した部分には操作板43が水平姿勢で設けられている。ロッド部材41は間隔変更シャフト33の内部で上下方向に移動自在となっている。
図2、図3および図7(a)、(b)に示すように、ベース部材21の底板部21cの上面には、クリンチシリンダ44がピストンロッド44aを下方に向けて設けられている。底板部21cの下方には底板部21cに一端45aが回転自在に連結されたレバー部材45が設けられている。レバー部材45の他端(操作端45bと称する)にはピストンロッド44aの下端に回転自在に連結されている。レバー部材45の中間部には、ロッド部材41の下端に設けられた前述のローラ部材42が上方から当接している。
クリンチシリンダ44によりレバー部材45の操作端45bが押し下げられた状態では、ロッド部材41は操作板43を下方位置(「非操作位置」と称する)に位置させる(図7(a))。一方、クリンチシリンダ44によりレバー部材45の操作端45bが引き上げられた状態では、ロッド部材41はレバー部材45によって押し上げられて(図7(b)中に示す矢印F1)、操作板43を上方位置(「操作位置」と称する)に位置させる(図7(b))。
図7(a)、(b)、図8(a)、(b)および図9(a)、(b)に示すように、アンビルユニット23はアンビルベース51を備えている。アンビルベース51は、回転ベース22から上方に延びた支柱22aによって水平姿勢に支持されており、操作板43の上方に位置している。アンビルベース51は、固定側ベース51Aと可動側ベース51Bとを備える。固定側ベース51Aは、支柱22aにより回転ベース22に直接取り付けられており、可動側ベース51Bは、固定側ベース51Aから水平方向に延びた移動ガイド53を介して回転ベース22に間接的に取り付けられている。可動側ベース51Bは移動ガイド53に沿って水平方向に移動自在であり、可動側ベース51Bが移動ガイド53に沿って移動すると、可動側ベース51Bと固定側ベース51Aとの間隔が変化する。
図8(a)、(b)および図9(a)、(b)に示すように、固定側ベース51Aと可動側ベース51Bとはそれぞれ上方に突出したマウント部51aを有している。各マウント部51aにはアンビル部52が設けられている。図9(a)、(b)において、各アンビル部52は、部品2のリード4を挟んでクリンチ動作を行う一対の爪部として、固定爪保持部54と可動爪保持部55とを備えている。固定爪保持部54はマウント部51aに固定して設けられている。可動爪保持部55はマウント部51aに対して揺動軸55Jの回りに揺動自在に設けられている。固定爪保持部54は固定爪54aを有しており、可動爪保持部55は可動爪55aを有している。
図7(a)、(b)および図8(a)、(b)に示すように、アンビルベース51の固定側ベース51Aと可動側ベース51Bのそれぞれにはアンビル操作ロッド56が設けられている。固定側ベース51Aに設けられたアンビル操作ロッド56は固定側ベース51Aを上下方向に貫通して上下方向に移動自在となっている。可動側ベース51Bに設けられたアンビル操作ロッド56は可動側ベース51Bを上下方向に貫通して上下方向に移動自在となっている。各アンビル操作ロッド56は下端側に下端側ローラ57を有しており、上端側に上端側ローラ58を有している。各アンビル操作ロッド56の下端側ローラ57は操作板43の上方に位置している。
各アンビル操作ロッド56は、操作板43が前述の「非操作位置」に位置しているときには下端側ローラ57が操作板43に当接しておらず、自重によって「下方位置」に位置する(図8(a))。一方、操作板43が前述の「操作位置」に位置しているときには、アンビル操作ロッド56は、下端側ローラ57を介して操作板43によって押し上げられ(図8(b)中に示す矢印F2)、アンビル操作ロッド56は「上方位置」に位置する(図8(b))。
図7(a)、(b)および図8(a)、(b)において、各アンビル部52の可動爪保持部55は、揺動軸55Jとは反対側の端部の下面において、アンビル操作ロッド56の上端側ローラ58と当接している。各可動爪保持部55は図示しないばね等の付勢部材によって上端側ローラ58に押し付けられており、可動爪保持部55と上端側ローラ58は常に接触した状態を維持する。
可動爪保持部55は、アンビル操作ロッド56が「下方位置」に位置した状態では、アンビル操作ロッド56からの押し上げを受けず、可動爪55aを固定爪54aから離間させた「待機位置」に位置する(図8(a)および図9(a)に示す位置)。一方、可動爪保持部55は、アンビル操作ロッド56が「上方位置」に位置した状態ではアンビル操作ロッド56からの押し上げを受けて(図9(b)中に示す矢印F3)、可動爪55aを固定爪54aの上方に位置させた「カット位置」(図8(b)および図9(b)に示す位置)に移動(揺動)する(図9(b)中に示す矢印F4)。
このように、本実施の形態におけるクリンチユニット15においては、クリンチシリンダ44がレバー部材45の操作端45bを押し下げている状態では、操作板43が「非操作位置」に位置して可動爪55aが「待機位置」に位置する。一方、クリンチシリンダ44がレバー部材45の操作端45bを引き上げた状態では、操作板43が「操作位置」に位置して可動爪55aが「カット位置」に位置するようになっている。すなわち、クリンチシリンダ44を操作することによって、2つのアンビル部52それぞれの可動爪55aを「待機位置」から「カット位置」に移動させることができる。
レバー部材45には、図示しないクリンチ検出部75(図11参照)が設けられている。クリンチ検出部75は、クリンチユニット15において部品2のリード4に対するクリンチ動作が行われたことを検出する。クリンチ検出部75は、固定爪54aと可動爪55aの間に挟まれたリード4に対してクリンチ動作を行う際に生じる部材のひずみを電気信号として検出するひずみセンサを採用してもよい。ひずみセンサは、クリンチ動作の際に生じる部材のひずみを検出できる位置に設ければよく、例えば、各アンビル部52における可動爪保持部55にひずみセンサがそれぞれ設けられている。クリンチ検出部75であるひずみセンサにより検出されたひずみに基づく電気信号は、後述する制御装置に入力された、制御装置にて所定のひずみ量が検出されたと判断された場合にクリンチ動作が行われたものと判定する。これにより、それぞれのアンビル部52において、クリンチ動作が正常に行われたことをそれぞれのクリンチ検出部75により検出することができる。
図4(a)、(b)および図6(a)、(b)に示すように、アンビルベース51には、2つのアンビル部52を近接および離間させて2つのアンビル部52の間隔を変更する送りねじ機構60が設けられている。送りねじ機構60は回転ベース22から垂直上方に延びた垂直部22bによって水平姿勢に支持されたボールねじ61と、ボールねじ61の先端に設けられた従動側傘歯車62と、ボールねじ61の回転により、ボールねじ61の軸方向に沿った方向に移動する移動ブロック63とを備えている。従動側傘歯車62は駆動側傘歯車35と噛み合っており、移動ブロック63は連結部材64によって可動側ベース51Bと連結されている。
間隔変更モータ38が間隔変更ギヤ39を回転させると、間隔変更シャフト33が上下軸回りに回転し(図6(b)中に示す矢印R4)、駆動側傘歯車35が従動側傘歯車62を水平軸回りに回転させる。これによりボールねじ61が回転し(図6(b)中に示す矢印R5)、移動ブロック63がボールねじ61の軸方向に沿って移動する(図6(b)中に示す矢印F5)。
上述したように、送りねじ機構60が駆動されて移動ブロック63がボールねじ61の軸方向に移動すると、連結部材64を介して可動側ベース51Bが移動ガイド53に沿って移動する(図6(b)中に示す矢印F6)。これにより可動側ベース51Bに取り付けられたアンビル部52が固定側ベース51Aに取り付けられたアンビル部52に対して移動し、2つのアンビル部52の間の間隔が広げられ(図6(a)から図6(b)の状態)、あるいは狭められる(図6(b)から図6(a)の状態)。
図2および図3に示すように、リード屑回収容器24は、アンビルユニット23が切断したリード4の下端部であるリード屑を回収するための容器である。リード屑回収容器24は、回転ベース22に取り付けられた容器保持部70に上方から載置させるようにして着脱自在に取り付けられる。リード屑回収容器24は、アンビルユニット23の周囲の一部を取り囲む形状に形成されて上方に開口した本体部24aと、本体部24aに取り付けられた2つの蓋部(本体部24aに固定された固定蓋部24bと本体部24aに対して着脱自在な着脱蓋部24c)とを備えている。リード屑回収容器24が容器保持部70に載置されると、容器保持部70から上方に延びて設けられた係止部材71の上端部が着脱蓋部24cに係止し、リード屑回収容器24の全体が回転ベース22に対して(従ってアンビルユニット23に対して)固定される(図2)。
図3に示すように、固定側ベース51Aのマウント部51aには管状部材から成る固定側誘導管72が設けられており、可動側ベース51Bのマウント部51aには同じく管状部材から成る可動側誘導管73が設けられている。これら固定側誘導管72と可動側誘導管73それぞれの上端側の開口は対応するアンビル部52の直下に位置しており、それぞれの下端側の開口はリード屑回収容器24に設けられた屑入口24Rの上方に位置している。
図2および図3に示すように、リード屑回収容器24の着脱蓋部24cには、下方に屈曲して延びた検出片24Sが設けられている。一方、クリンチユニット15が取り付けられるアタッチメント部材14Tには、装着検出センサ74が設けられている。装着検出センサ74は、リード屑回収容器24の本体部24aが容器保持部70に正常に取り付けられ、かつ、本体部24aに着脱蓋部24cが正常に取り付けられた状態でのみ検出片24Sを検出する。
本実施の形態の部品実装装置1が備える制御装置80と上述したそれぞれの構成部との関係について、図10のブロック図に示す。図10に示すように、制御装置80には、作業者が制御装置80に対して種々の操作入力を行うとともに、制御装置80からの種々の情報を受け取る入出力手段として、例えば、タッチパネル81が接続されている。入出力手段としては、その他、ディスプレイ、キーボード、音声入力手段などを採用してもよい。作業者がタッチパネル81から部品実装動作を開始する指令入力を行うと、制御装置80は部品実装装置1の各構成部を作動させる。具体的には、基板位置決め部11、挿入ヘッド移動装置12及びピックアップ爪駆動装置13Kを作動させる。また、制御装置80は、クリンチユニット移動装置14、θ駆動モータ36、間隔変更モータ38、クリンチシリンダ44等も作動させる。
装着検出センサ74による検出情報は制御装置80に入力され、制御装置80は、装着検出センサ74からの検出情報に基づいて、クリンチユニット15の回転ベース22にリード屑回収容器24が正常に装着されているか否かの判断を行うことができる。クリンチ検出部75による検出情報は制御装置80に入力され、制御装置80は、それぞれのアンビル部52にて、クリンチ動作が正常に行われたか否かの判断を行うことができる。
本実施の形態において、制御装置80は、メモリと、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路とを備える。装着検出センサ74およびクリンチ検出部75の検出情報に基づく判断を行う構成は、例えば、メモリに記憶されたこれらの要素を機能させるプログラムをプロセッサが実行することで実現させてもよい。あるいは、これらの判断を行う構成は集積回路を用いて構成してもよい。また、制御装置80は、部品実装に関する情報、すなわち、基板に対して複数の部品をどのような順番でどこに実装するのかという実装情報を格納する記憶装置を備える。実装情報には、例えば、基板の上面および下面に実装されている/実装を行う部品についての形状(大きさ、高さ)、実装位置、実装順序の情報が含まれている。制御装置80は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより、記憶装置の実装情報に基づいて予め定められた手順にて、部品実装装置の各構成部の動作が制御されることで部品実装が行われてもよい。なお、サーバなどに実装情報が格納され、通信により制御装置80に実装情報が提供されるような場合であってもよい。
次に、このような構成を有する部品実装装置1において、リード4を有する部品2に対してクリンチ動作を行うことにより、部品2を基板3に実装する手順について説明する。
作業者がタッチパネル81から基板3に部品2を装着する指令入力を行うと、部品実装装置1の各構成部が制御装置80に制御されて作動し、部品実装動作を実行する。この部品実装動作の実行は、制御装置80において、プログラムが実行されて実装情報に基づいて行われる。
部品実装動作では、先ず、基板位置決め部11が作動して外部から搬送される基板3を受け取り、所定の作業位置に位置決めする。基板位置決め部11によって基板3が位置決めされたら、挿入ヘッド13が作動し、図示しない部品供給部から供給される部品2を一対のピックアップ爪13aによって把持してピックアップし、その把持した部品2を基板3の上方に移動させる。そして、部品2が備えるリード4を基板3に設けられた挿入孔3a(図1)に上方から挿入する。
それとともに、クリンチユニット移動装置14がクリンチユニット15を部品2の下方に移動させる。クリンチユニット15が部品2の下方に移動したら、間隔変更モータ38が作動して2つのアンビル部52の間隔を変更するとともに、θ駆動モータ36が作動してアンビルユニット23を上下軸回りに回転させる。ここで、間隔変更モータ38は、2つのアンビル部52の間隔が部品2の2本のリード4の間隔に合致するように送りねじ機構60を駆動し、θ駆動モータ36は、2つのアンビル部52の向きが2本のリード4の向きに対応するように回転ベース22を回転させる。
その後、2つのアンビル部52のそれぞれの可動爪55aを「待機位置」に位置させた状態で、可動爪55aと固定爪54aとの間にリード4が上方から挿通されるように、クリンチユニット移動装置14によりクリンチユニット15を上昇させる。これにより、部品2のリード4に対して、2つのアンビル部52が位置決めされた状態となる。その後、クリンチシリンダ44を作動させて、2つのアンビル部52それぞれの可動爪55aを「カット位置」に移動させる。これにより固定爪54aと可動爪55aは間にリード4の中間部を挟み込み(図8(b)中に示す矢印F7)、リード4の下端の一部をカットしたうえで、残ったリード4をクリンチする(図8(a)及び図9(a))。これにより、部品2は基板3に固定され、部品2が基板3に実装される。
アンビル部52によりリード4のカットを行うと、切断された側のリード4はリード屑となってアンビル部52の下方に落下する。この落下するリード屑は固定側誘導管72又は可動側誘導管73によって受容され、リード屑回収容器24の屑入口24Rに誘導されて本体部24a内に排出される。
その後、ピックアップ爪13aによる部品2の把持が解除され、挿入ヘッド移動装置12により挿入ヘッド13が上昇され、クリンチユニット移動装置14によりクリンチユニット15が下降されて、部品2の部品挿入位置(実装位置)から離れるように移動する。次に実装すべき部品がある場合には、挿入ヘッド13が部品供給部から供給される次の部品2をピックアップして、上述の動作が繰り返される。
実装すべき全ての部品2の実装が完了すると、部品実装基板3(すなわち、部品の実装が行われた基板3)が部品実装装置1から搬出される。これにより、部品実装基板3の製造が完了する。
本実施の形態の部品実装装置1では、下面にすでに複数の部品(例えば、表面実装部品)が実装された基板3に対して、上面にリード4を有する複数の部品2の実装を行う。基板3の下面にすでに実装されている複数の部品には複数種類の部品が含まれ、その形状および大きさも様々である。本実施の形態の部品実装装置1にて行われる部品実装基板の製造方法について、以下に説明する。
図11は、部品実装装置1にてリード4を有する部品2が実装される基板3の模式平面図(上面図)である。図11に示すように、基板3の下面にはすでに複数の部品(例えば、表面実装部品)5が実装されている(図11において、下面に実装されている部品5を点線にて示している)。基板3の下面に実装されている部品5は複数種類存在している。例えば、図11の例では、第1部品5A、第2部品5B、第3部品5Cが存在し、それぞれ形状、大きさが互いに異なっている。
基板3には、リード4を有する部品2が実装される複数の部品挿入位置として、第1部品挿入位置P1、第2部品挿入位置P2、第3部品挿入位置P3が設けられている。第1から第3部品挿入位置P1、P2、P3には、部品2のリード4が挿入される挿入孔3aが形成されている。なお、図11では図示を省略しているが、基板3の上面および下面には、導体配線パターンが設けられている。
このような基板3において、図11に示すように、挿入ヘッド13およびアンビル部52を用いて、第1部品挿入位置P1にて部品2Aを実装した後、第2部品挿入位置P2にて別の部品2Bを実装する動作について説明する。図11における第1部品挿入位置P1と第2部品挿入位置P2とを結ぶ、基板3の模式断面図を図12に示す。
図11および図12に示すように、基板3の第1部品挿入位置P1に挿入された部品2のリード4に対してクリンチ動作を行ったアンビル部52は、クリンチユニット移動装置14により第2部品挿入位置P2に向けて移動を行うことになる。このアンビル部52の水平移動のルートR1を、図11では点線矢印で示し、図12では実線矢印にて示す。
アンビル部52の水平移動のルートR1を平面視すると、基板3の下面においてルートR1上には、1個の第1部品5Aと4個の第2部品5Bとが配置(実装)されている。ルートR1の外側には、第3部品5Cが配置されている(図12参照)。ここで、図12に示すように、第1部品5Aの高さをH1、第2部品5Bの高さをH2、第3部品5Cの高さをH3とすると、それぞれの高さはH2<H1<H3の関係にある。また、部品の高さとは、基板3の下面から部品5の下面までの距離のことである。
第1部品挿入位置P1にてクリンチ動作を行った後(第1実装工程)、クリンチユニット移動装置14によりアンビル部52の下降が開始され、アンビル部52は基板3の下面から離間する。アンビル部52が第1部品5Aとの干渉を回避する第1回避高さH11にまで達すると、アンビル部52の下降が停止される。それとともにクリンチユニット移動装置14は、第1回避高さH11に維持した状態にて、第2部品挿入位置P2へ向けてのアンビル部52の水平移動を開始する(第1水平移動工程)。ここで、第1回避高さH11は、基板3の下面からアンビル部52の上端までの距離のことである。第1回避高さH11は、第1部品5Aの高さH1よりも大きく、高さH1に対して余裕しろとして所定距離だけ大きく設定された高さである。例えば、H1を15mm、H11を17mmと設定してもよい。なお、アンビル部52の水平移動のルートR1の外側に配置されている第3部品5Cの高さH3は、例えば20mmであり、第1回避高さH11は高さH3よりも小さく設定されている。
アンビル部52が第1部品5Aの下方を通過すると、クリンチユニット移動装置14によりアンビル部52が第2部品5Bとの干渉を回避する第2回避高さH12にまで上昇され、第2回避高さH12に維持した状態にて、アンビル部52がそれぞれの第2部品5Bの下方を通過する(第2水平移動工程)。ここで、第2回避高さH12は、基板3の下面からアンビル部52の上端までの距離のことである。第2回避高さH12は、第2部品5Bの高さH2よりも大きく、高さH2に対して余裕しろとして所定距離だけ大きく設定された高さである。例えば、H2を8mm、H12を10mmと設定してもよい。また、図11および図12に示す例では、第2回避高さH12は、第1回避高さH11よりも小さい高さとなっている。
その後、アンビル部52が第2部品挿入位置P2の下方に達すると、クリンチユニット移動装置14によりアンビル部52が上昇され、アンビル部52の上端が基板3の下面に達する。その後、挿入ヘッド13より別の部品2が第2部品挿入位置P2に移動されて、部品2の挿入および挿入された部品2のリード4に対するクリンチ動作が行われる(第2実装工程)。
クリンチユニット移動装置14によるアンビル部52のこのような移動制御は、制御装置80が有する実装情報に基づいて行われる。制御装置80では、基板3の下面の全ての領域において配置された部品5のうち、第1部品挿入位置P1から第2部品挿入位置P2へと向かうアンビル部52の水平移動のルートR1上に配置されている部品5に関する実装情報に基づいて制御が行われる。具体的には、基板3の下面に実装されている第1部品5A、第2部品5B、第3部品5Cのうち、ルートR1上に配置されている第1部品5Aおよび第2部品5Bに関する実装情報に基づいた制御が行われる。制御装置80は、アンビル部52が第1部品5Aの下方を通過する際には、第1部品5Aとの干渉を回避する第1回避高さH11にアンビル部52を維持して、ルートR1の外部に配置されている第3部品5Cの高さについては考慮しないような制御を行う。また、制御装置80は、アンビル部52が第1部品5Aの下方を通過した後、第2部品5Bの下方を通過する際には、第2部品5Bとの干渉を回避する第2回避高さH12にアンビル部52を維持するような制御を行う。また、アンビル部52の水平移動のルート上とは、アンビル部52が移動する際に基板3上にアンビル部52が投影される領域のことである。アンビル部52の全ての投影領域であってもよく、アンビル部52における主に上端部分の投影領域であってもよい。すなわち、アンビル部52が水平移動を行う際に、その部分に部品が配置されていれば、アンビル部52と干渉するおそれがあるような領域のことである。
このような制御を行うことにより、基板3の下面においてアンビル部52の水平移動のルートR1上に配置されている様々な障害物(部品5など)の配置高さに応じて、干渉を回避する高さ位置にアンビル部52を順次位置させながら水平移動を行うことができる。すなわち、アンビル部52の移動ルート上において、障害物との干渉を回避するために必要な高さのみ、基板3の下面からアンビル部52を離間させればよく、必要以上にアンビル部52を下降させることがない。よって、部品挿入位置の間のアンビル部52の移動に要する時間を短縮でき、部品実装基板の製造における生産性を向上できる。
なお、図11および図12の説明では、クリンチユニット移動装置14により、アンビル部52を所定高さにまで下降/上昇させた後、水平移動を開始するような場合について説明したが、このような場合のみに限られない。障害物との干渉が避けられる範囲にて、例えば、アンビル部52を所定高さに到達する前に、水平移動を開始するような場合であってもよい。
次に、図13および図14を用いて、基板3における第2部品挿入位置P2から第3部品挿入位置P3に向けて、アンビル部52の移動を行う場合(アンビル部52の水平移動のルートR2)を例として説明する。図14は、アンビル部52の水平移動のルートR2における基板3の模式断面図である。
アンビル部52の水平移動のルートR2を平面視すると、基板3の下面においてルートR2上には、部品5が配置されていない。一方、ルートR2の外側には、第1部品5Aおよび第2部品5Bが配置されている。
第2部品挿入位置P2にてクリンチ動作を行った後、クリンチユニット移動装置14によりアンビル部52の下降が開始され、アンビル部52は基板3の下面から離間する。アンビル部52が基板3の下面との干渉を回避する第3回避高さH13にまで達すると、アンビル部52の下降が停止される。それとともにクリンチユニット移動装置14は、第3回避高さH13に維持した状態にて、第3部品挿入位置P3へ向けてのアンビル部52の水平移動を開始する。ここで、第3回避高さH13は、基板3の下面からアンビル部52の上端までの距離のことである。第3回避高さH13は、基板3の下面に対して余裕しろとして所定距離だけ離れるように設定された高さである。例えば、H13を2mmと設定してもよく、第3回避高さH13は、第1回避高さH11および第2回避高さH12よりも小さい高さとして設定されている。
クリンチユニット移動装置14により、第3回避高さH13に維持された状態にてアンビル部52の水平移動が行われる。その後、アンビル部52が第3部品挿入位置P3の下方に達すると、クリンチユニット移動装置14によりアンビル部52が上昇され、アンビル部52の上端が基板3の下面に達する。その後、挿入ヘッド13より別の部品2が第23品挿入位置P3に移動されて、部品2の挿入および挿入された部品2のリード4に対するクリンチ動作が行われる。
このように、第2部品挿入位置P2から第3部品挿入位置P3へ向かうアンビル部52の水平移動のルートR2上に障害物が存在しないような場合には、アンビル部52の回避高さを低く抑えたまま水平移動を行うことができる。すなわち、水平移動のルート上に配置されている部品等の実装情報に基づいて、アンビル部52の回避高さを必要な回避量に抑えることができる。よって、部品実装基板の製造方法における生産性を向上できる。
本実施の形態の部品実装装置1によれば、制御装置80は、部品2のリード4に対するクリンチ動作を実施した第1部品挿入位置P1から別の部品2のリード4に対するクリンチ動作を実施する第2部品挿入位置P2に向けてアンビル部52の水平移動を制御する。この際、制御装置80は、基板3の下面に配置された部品5のうち、アンビル部52の水平移動のルートR1上に配置された部品5の実装情報に基づいて設定された部品5との干渉を回避する回避高さH11、H12にて、アンビル部52の移動制御を行う。すなわち、部品実装装置1では、基板3の第1部品挿入位置P1に挿入された部品2のリード4に対するクリンチ動作を実施する第1実装工程と、基板3の第2部品挿入位置P2に挿入された別の部品2のリード4に対するクリンチ動作を実施する第2実装工程と、第1部品挿入位置P1から第2部品挿入位置P2へアンビル部52を水平移動させる移動工程とを行う。この移動工程において、基板3の下面に配置された部品5のうち、アンビル部52の水平移動のルートR1上に配置された部品5の実装情報に基づいて設定された部品との干渉を回避する回避高さH11、H12にて、アンビル部52の移動制御が行われる。したがって、アンビル部52の移動に要する時間を短縮することができ、リードを有する部品の実装を行う部品実装装置、および部品実装基板の製造方法における生産性の向上を実現できる。
また、制御装置80は、基板3の下面に配置された第1部品5Aとの干渉を回避する第1回避高さH11でのアンビル部52の第1水平移動と、第2部品5Bとの干渉を回避する高さであり第1回避高さH11よりも低い第2回避高さH12での第2水平移動とを実施させるようにアンビル部52の移動制御を行う。したがって、回避すべき部品の高さに応じた回避高さにてアンビル部52の移動を行うことができ、アンビル部52の移動に要する時間を短縮できる。
また、制御装置80は、基板3の下面における第2部品挿入位置P2から第3部品挿入位置P3までのアンビル部52の水平移動のルートR2上に部品5が配置されていない場合の回避高さH13は、アンビル部52の水平移動のルートR1上に部品5が配置されている場合の回避高さH11、H12よりも低くなるように、アンビル部52の移動制御を行う。したがって、水平移動のルートR2上に障害物が存在しないような場合には、アンビル部52の回避高さを低く抑えたまま水平移動を行うことができる。
また、部品実装装置1における挿入ヘッド13およびクリンチユニット15の構成は一例であり、その他の構成を採用してもよい。また、クリンチユニット15において、アンビル部52が2つ備えられる場合に限られず、1つであってもよく、また3つ以上であってもよい。
また、基板3の下面に配置された部品は、表面実装部品に限られず、その他の部品であってもよい。このような部品の例としては、表面実装部品の他に、シールドケース、コネクタなども含まれる。
なお、上記様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。