(第1の実施形態)
本発明の扉開閉装置の適用例である書類読取装置について、図面を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る書類読取装置1aの構成を示す外観斜視図である。書類読取装置1aは、伝票や入場券、書籍、免許証、パスポート等の書類D1に付されたRFID(Radio Frequency IDentifier)タグT1を読み取るための装置である。書類読取装置1aは、例えば机上等に設置されて用いられる。なお、図1は、読取部10が備える後述する扉12を開けた開状態を示している。
図1に示すように、書類読取装置1aは、本体部2と、本実施形態の扉開閉装置を備えた読取部10とを備える。本体部2は、タッチパネル3aが表面に配設されたディスプレイ3bを備えている。ディスプレイ3bとしては例えば液晶表示器が用いられる。
読取部10は、書類D1に付されたRFIDタグT1から情報を読み取ったり、当該RFIDタグT1に情報を書き込んだりすることが可能なリーダライタ装置である。本実施形態では、RFIDタグT1は、当該RFIDタグT1が付された書類D1を識別する書類コード等の情報を記憶しているものとする。
読取部10は、図示しないケーブル等により本体部2に接続される。読取部10は、RFIDタグT1から読み取った書類コード等の各種の情報を、有線または無線により本体部2に出力(送信)する。なお、本実施形態では、本体部2と読取部10とを別体としたが、これに限らず、一体的に構成してもよい。
また、読取部10は、読取部10の主たる外装を構成する、筐体11と、筐体11に設けられた開口部13に対して開閉可能に設置された扉12(扉部の一例)とを有する。筐体11は、箱型の形状を備え、横幅寸法(X方向の寸法)よりも奥行寸法(Y方向の寸法)が大きい、奥行方向に長いプロポーションを有する。筐体11は、本体部2と一体的に設けられてもよいし、本体部2から着脱可能な構成としてもよい。扉12は、筐体11の右方前面に設けられたヒンジ部14を介して、筐体11と接続しており、ヒンジ部14を支軸として、矢印Pの方向に開閉する。
なお、RFIDタグT1には、後述する登録済フラグを書き込むための記憶領域が用意されているものとする。登録済フラグの有無は、例えば、書類読取装置1aが設置されたフロアの出入口に設置されたゲートでチェックされて、登録済フラグがないものはブザー等の報知手段により警告が行われる。
以下、読取部10について説明する。図2は、読取部10の概略構成を示す外観斜視図である。図2(a)は、読取部10の扉12を開けた開状態を示し、図2(b)は、読取部10の扉12を閉じた閉状態を示している。
扉12は、開口部13(収納室19)を開閉する。扉12には、開閉レバー121が取り付けられている。ユーザは、開閉レバー121を把持して扉12の開閉を行う。
開口部13は、複数の書類D1を一度に通過させることが可能な大きさを有する。また、筐体11は、その内部に複数の書類D1を収納することが可能な大きさの収納室19を有する。ユーザは、扉12を開状態とすることで、筐体11の開口部13を通じて、収納室19の内部に書類D1を収納したり、収納室19から書類D1を取り出したりすることができる。なお、書類D1は、木やガラス等の絶縁性(電波透過性)を有する部材で形成された収納容器に収納した状態で、収納室19内に収納してもよい。
収納室19内において、書類D1は、収納室19の底面となる載置面15上に載置される。載置面15は、木やガラス等の絶縁性(電波透過性)を有する板状部材で構成され、筐体11の底面18と所定の間隙を有して支持されている。また、載置面15を除いた収納室19内の筐体11の内壁面は、扉12の収納室19側の壁面を含めて、電波を反射する部材(電波反射材)で形成される。係る部材としては、金属やモールド材、フェライト等の公知・公用の電波反射材を用いることができる。
載置面15と筐体11の底面18との間の空間には、平面状のRFIDアンテナ16や図示しない回路基板等が設けられる。RFIDアンテナ16は、UHF帯等の電波を出射することで、収納室19内に存在するRFIDタグT1、つまり収納室19に収納された各書類D1に付されているRFIDタグT1と交信を行う。また、RFIDアンテナ16は、後述するリーダライタ部41と協働することで、扉12の閉状態時に電波を出射する。
筐体11(収納室19)および扉12の外壁面は、筐体11(収納室19)内の電波が外部に漏洩すること、および外部の電波が筐体11(収納室19)内に侵入することを防ぐため、電波反射材または電波を吸収する部材(電波吸収材)で形成される。係る部材としては、金属やモールド材、フェライト等の公知・公用の電波反射材又は電波吸収材を用いることができる。
また、扉12の閉状態時に当該扉12と接する、または近接する筐体11側の部位には、扉12の開閉状態を検知するための開閉検出機構20が設けられる。この開閉検出機構20は、扉12の閉状態において、この扉12に接する、または近接する筐体11の部位(縁部)と、当該縁部に対向する扉12の部位とに設けられる。以下、図2(a)および図3を参照して、開閉検出機構20の構成について説明する。
(扉の開閉検出機構の説明)
図3は、開閉検出機構20の概略構成を示す図である。ここで、図3は、開閉検出機構20を図2のX方向から見た部分断面図を示している。開閉検出機構20は、例えば、プッシュスイッチやタクタイルスイッチ等、押下されている間だけON動作を行う(モーメンタリ動作)メカニカルスイッチを備えたスイッチ21が、筐体11の内壁に設けられたカバー部25の内部に設置される。そして、筐体11側には、スイッチ21に対向する位置に、当該スイッチ21のプッシュ部211に応じた大きさの穴23が設けられている。
一方、扉12の筐体11側の壁面には、閉状態において筐体11の穴23(スイッチ21)に対向する位置に凸部24が形成されている。凸部24は、穴23よりも小さな径を有し、扉12の閉状態においてスイッチ21のプッシュ部211を押下することによって、スイッチ21を作動させることが可能な高さを有する。
開閉検出機構20は、上記構成を有することによって、扉12が閉じられると、扉12の凸部24は、穴23を通じてプッシュ部211を押下することで、スイッチ21をオンとする。また、扉12が開けられると、扉12の凸部24は、プッシュ部211の押下を解除することで、スイッチ21をオフとする。スイッチ21は、凸部24によるオン/オフの切り替えに基づき、扉12の開閉状態を検出する。なお、スイッチ21は、オフからオンに切り替わったことを条件に、扉12が閉状態であることを示す信号を、ワイヤハーネス22を介して本体部2および読取部10に出力する。また、スイッチ21は、オンからオフに切り替わったことを条件に、扉12が開状態であることを示す信号を、ワイヤハーネス22を介して本体部2および読取部10に出力する。
ところで、上記の構成では、RFIDアンテナ16からの電波が筐体11の穴23を通じて、筐体11(読取部10)の外部に漏洩する可能性がある。また、筐体11の外部の電波が、筐体11の穴23を通じて、筐体11の内部に侵入する可能性がある。このような、電波の漏洩および侵入は、自他の読取装置において、RFIDタグT1の誤読や誤動作等の発生要因となる。
そこで、本実施形態の開閉検出機構20は、スイッチ21が設けられる部位において、筐体11の内部から外部へ漏洩する電波、および筐体11の外部から内部へ侵入する電波を遮蔽する遮蔽部を備える。
具体的には、開閉検出機構20は、遮蔽部として、スイッチ21および穴23の周囲を覆う、前述したカバー部25(構造体)を備える。カバー部25は、電波反射材または電波吸収材で形成され、ネジ止めや溶接等により筐体11の内壁に隙間なく接続される。
また、カバー部25には、ワイヤハーネス22を通すための穴26が設けられる。ここで、穴26の大きさは特に問わず、例えばワイヤハーネス22の径に応じた大きさとすればよい。なお、ワイヤハーネス22と穴26との間の間隙は、電波(電磁)シールド性を有する導電性材料で充填することが好ましい。係る導電性材料としては、金属メッシュや発泡金属等を用いることができる。これにより、穴26を通じて、漏洩および侵入する電波を防ぐことができる。
(扉の開閉機構の説明)
次に、扉12の開閉機構について、図4を用いて説明する。図4は、筐体11および扉12の概略構造を示す図であり、図4(a)は、筐体11をZ軸のプラス側から見た上面図である。図4(b)は、筐体11をY軸のマイナス側から見た正面図である。
ヒンジ部14は、例えば平蝶番によって構成されている。すなわち、ヒンジ部14は、固定側蝶番片14aと、可動側蝶番片14bと、固定側軸筒14cと、可動側軸筒14dと、軸部14eとを備える。固定側蝶番片14aは、筐体11に取り付けられる蝶番片である。可動側蝶番片14bは、扉12に取り付けられる蝶番片である。固定側軸筒14cは、固定側蝶番片14aと一体化された部材であり、後述する可動側軸筒14dと、軸部14eを軸として開閉可能に固定される。可動側軸筒14dは、可動側蝶番片14bと一体化された部材であり、前述した固定側軸筒14cと、軸部14eを軸として開閉可能に固定される。そして、図4(b)に示すように、ヒンジ部14は、扉12の上下端にそれぞれ取り付けられている。
扉12は、前述した軸部14eを回転軸として開閉する。扉12の筐体11側の面の外周部には、扉12が閉じた際に筐体11と扉12との間の隙間を埋めて、開口部13を密閉された状態に保持する、シール部材としてのガスケット12aが設置されている。このガスケット12aは、ゴム部材等の弾性部材で構成されており、扉12が閉じた際に、ガスケット12aは筐体11の開口部13の外周縁と接触する。このとき、ガスケット12aは、開口部13の外周縁から、扉12を閉じた状態に保持する力の反力を受けるため、ガスケット12aは、筐体11の開口部13の外周縁と密着した状態を保持する。したがって、扉12を閉じた際には、開口部13は密閉された状態を保持する。なお、ガスケット12aは、筐体11側に設置してもよい。
扉12を開閉させる際に、扉12がスムーズに動くように、ヒンジ部14の軸部14eは、扉12を開閉させた際に、扉12と筐体11とが接触しない位置に設けられる。したがって、扉12と筐体11との間には、図4(b)に示すように隙間28が形成される。そのため、扉12の操作者以外の人間が、誤って手指等の身体の一部を、隙間28に挿入してしまうおそれがある。そして、扉12の操作者が、隙間28に身体の一部が挿入されていることに気付かずに扉12を閉めると、身体の一部が扉12と筐体11との間に挟まれてしまうおそれがあった。
(近接センサの構造の説明)
第1の実施形態に係る書類読取装置1aは、扉12のヒンジ部14側の外面縁部に、図4(a)、図4(b)に示すように、人体の接近を検出する近接センサ30aを備えている。この近接センサ30aは、扉12の上下方向に沿って延設されて、近接センサ30aが設置された扉12と、当該扉12に接する空間との間の静電容量の変化を検出する。なお、図4の例では、近接センサ30aは、扉12の外面縁部に設置されているが、近接センサ30aは、隙間28(図4(b))に対する身体の接近を検出することができれば、設置場所は問わない。すなわち、近接センサ30aは、扉12の内面縁部に設置してもよい。また、近接センサ30aは、筐体11のヒンジ部14側の縁部に設置してもよい。なお、昨今、静電容量の変化を検出することによって、指の接触や接近を検出するタッチパネルが実用化されている。近接センサ30aは、こうしたタッチパネルの技術を用いて実現する。以下、近接センサ30aの構造および測定原理について簡単に説明する。
図5は、近接センサ30aの概略構造を示す図である。図5に示すように、近接センサ30aは、例えばアクリル樹脂等の絶縁体で形成された基材31aの表面に、同じ形状を有する複数の電極32a、32b、…、32nと、同じ形状を有する複数の電極33a、33b、…、33nと、をそれぞれペアとして規則的に配置した構造を有する。すなわち、例えば、電極32aと電極33aとは、所定の間隔を隔てて配置されている。電極32a、32b、…、32nは、いずれも配線32Lに接続している。また、電極33a、33b、…、33nは、いずれも配線33Lに接続している。配線32Lには、入力端子32から所定の電圧波形(例えば、矩形波)が印加される。また、配線33Lは、容量検出回路34に接続される。容量検出回路34は、所定値を超える静電容量の減少を検出したときに、当該静電容量が減少したことを示す検出信号を出力端子33に出力する。なお、図4(a)、図4(b)において、近接センサ30aは、基材31aの電極32a、32b、…、32nおよび電極33a、33b、…、33nを備える面が、扉12の外側に向けて設置される。なお、近接センサ30aは、できるだけ隙間28の近傍に設置するのが好ましい。
図5において、隣接する2つの電極、例えば電極32aと電極33aとは、コンデンサを形成している。そして、電極32a、32b、…、32nに正の電圧が印加されると、電極32a、32b、…、32nから電極33a、33b、…、33nに向かって、電気力線B(電界)が発生する。このとき、近接センサ30aの電極32bと電極33bに、身体の一部、例えば指先Fが接近すると、静電誘導を受けた指先Fには分極が発生する。そして、指先Fの電極32bに近い側に負の電荷が集中する。したがって、電極32bから電極33bに向かっていた電気力線Bの一部が、集中した負の電荷に引き寄せられて、指先Fに向かって向きを変える。電気力線Bが向きを変える度合いは、指先Fと電極32b、33bとの距離が小さいほど大きい。このように、電気力線Bが向きを変えると、電極32a、32b、…、32nから電極33a、33b、…、33nに向かう電気力線Bが減少するため、電極32a、32b、…、32nと、電極33a、33b、…、33nとが形成するコンデンサのうち、指先Fが接近した電極によって形成されるコンデンサの静電容量が減少する。容量検出回路34は、この静電容量の減少を検出することによって、指先Fの接近を検出する。なお、容量検出回路34は、例えば、近接センサ30aの近傍に接近物がない場合に、電極32a、32b、…、32nおよび電極33a、33b、…、33nがそれぞれ形成するコンデンサの静電容量と、実際の静電容量とを比較することによって、静電容量の減少が発生したかを検出する。このとき、前述したように、近接センサ30aは、電極32a、32b、…、32nおよび電極33a、33b、…、33nを備える面が、扉12の外側に向けて設置されているため、近接センサ30aが検出する静電容量は、扉12と扉12に接する空間との間の静電容量である。
図5に示した配線32Lおよび配線33Lは、基材31aの内部に埋め込んで配設してもよいし、或いは、基材31aの表面に配線層を形成してもよい。これらの配線32L、33Lは、前述したヒンジ部14の内部に形成した、図示しない配線通路を介して、筐体11側に配設される。すなわち、入力端子32、出力端子33および容量検出回路34は、筐体11側に設置される。なお、近接センサ30aは、扉12が開状態であるときのみ、身体の一部が隙間28に接近していないかを検出できればよい。したがって、近接センサ30は、前述した開閉検出機構20(図3)が、扉12が開状態にあると判定したときのみ動作する。
(読取部のハードウェア構成の説明)
次に、読取部10のハードウェア構成について説明する。図6は、本体部2および読取部10のハードウェア構成を示すブロック図である。
本体部2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等から構成されるコンピュータ構成の制御部50を備える。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。
制御部50には、各種の入出力回路(非図示)を介して、タッチパネル3aおよびディスプレイ3bが接続される。
また、制御部50には、各種の入出力回路(非図示)を介して、記憶部51および通信I/F52等が接続される。
記憶部51は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶媒体を備えた記憶装置である。記憶部51は、本体部2の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。また、記憶部51は、読取部10が読み取った書類コードを記憶する。なお、記憶部51は、書類コードと関連付けて、当該書類コードに係る書類D1や当該書類D1を所持するユーザ等の情報を対応付けたデータベース等のデータテーブル(以下、テーブルという)を記憶してもよい。通信I/F52は、読取部10との間で各種データの送受信を行うためのインタフェースである。
一方、読取部10は、CPU、ROMおよびRAM等から構成されるコンピュータ構成の制御部40を備える。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。
また、制御部40には、各種の入出力回路(非図示)を介して、リーダライタ部41、開閉検出部42、記憶部43、近接センサ30a、報知部38、通信I/F44等が接続される。
リーダライタ部41は、RFIDアンテナ16を駆動することで、RFIDタグT1の読み取りおよび書き込みするための変調波(電波)を発信させる。リーダライタ部41は、RFIDアンテナ16を介してRFIDタグT1から読み取った各種の情報(例えば書類コード等)を制御部40に出力する。また、リーダライタ部41は、書き込み対象の情報(例えばフラグ情報等)を、RFIDアンテナ16を介して出力することで、RFIDタグT1に当該情報の書き込みを行う。
開閉検出部42(開閉検出手段の一例)は、例えば、扉12の開閉状態を検出するスイッチ21である。スイッチ21の動作は前述した通りである(図3参照)。開閉検出部42の検出結果は制御部40に出力される。記憶部43は、HDDやSSD等の不揮発性の記憶媒体を備えた記憶装置である。記憶部43は、読取部10の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。
近接センサ30aは、身体の接近を検出する。報知部38は、例えばブザー(非図示)である。報知部38は、近接センサ30aが身体の接近を検出したことを条件として警報を出力する。通信I/F44は、本体部2との間で各種データの送受信を行うためのインタフェースである。なお、読取部10が備える制御部40、リーダライタ部41、記憶部43、報知部38、および通信I/F44は、図示しない回路基板上に実装されて、例えば筐体11(図2(a))の載置面15と底面18との間の空間に収納される。
(読取部の機能構成の説明)
次に、書類読取装置1aの機能的構成について説明する。図7は、本体部2および読取部10の機能構成を示すブロック図である。
本体部2の制御部50(CPU)は、記憶部51に記憶されたプログラムと協働することで、表示制御部301と、入力受付部302と、通信制御部303と、書類登録部304とを機能部として実現する。
表示制御部301は、ディスプレイ3bを制御し、当該ディスプレイ3bに各種画面を表示させる。例えば、表示制御部301は、書類コード(RFIDタグT1)の読み取り開始を指示させるための操作子(以下、読取開始ボタンという)や、読み取り終了を指示させるための操作子(以下、読取終了ボタンという)を含んだ画面を表示させる。なお、記憶部51にテーブルが記憶されている場合には、表示制御部301は、読取部10から送信された書類コードに対応する情報をテーブルから読み出し、その情報をディスプレイ3bに表示させてもよい。
入力受付部302は、タッチパネル3aを介した操作入力を受け付ける。例えば、入力受付部302は、ディスプレイ3bに表示された操作画面において、操作子が操作(タッチ操作)された場合に、その操作子に対応する指示情報を制御部50に出力する。
通信制御部303は、通信I/F52を制御し、当該通信I/F52を介して読取部10との間で各種の情報を送受信する。例えば、通信制御部303は、読取開始ボタンが操作されると、読取開始を指示する指示情報を読取部10に送信する。また、通信制御部303は、読取部10から送信された書類コードを受信する。また、通信制御部303は、読取終了ボタンが操作されると、読取終了を指示する指示情報を読取部10に送信する。また、通信制御部303は、書類登録部304による書類登録が完了すると、登録完了を指示する指示情報を読取部10に送信する。
書類登録部304は、読取部10から送信された書類コードを記憶部51の所定領域に記憶することで、読み取り済みの書類コードとして登録を行う。具体的に書類登録部304は、通信制御部303が受信した書類コードを、その受信が行われた日時等とともに登録用の記憶領域(例えばデータベース等)に記憶する。なお、登録用の記憶領域は、本体部2と通信可能な外部装置が備える形態としてもよい。
一方、読取部10の制御部40(CPU)は、記憶部43に記憶されたプログラムと協働することで、開閉状態取得部401と、リーダライタ制御部402と、接近検出部403(接近検出手段の一例)と、接近報知部404(報知手段の一例)と、通信制御部405とを機能部として実現する。
開閉状態取得部401は、開閉検出部42と協働することで、扉12が開状態にあるか閉状態にあるかを示す開閉状態情報を取得する。具体的には、開閉状態取得部401は、扉12の凸部24(図3参照)がスイッチ21のプッシュ部211を押下したことを検出したことを条件として、扉12が閉状態にあると判断する。
リーダライタ制御部402は、リーダライタ部41を制御することで、書類D1に付されたRFIDタグT1の読み取りと、当該RFIDタグT1への書き込みを行う。具体的に、リーダライタ制御部402は、本体部2から読み取り開始が指示され、且つ開閉状態取得部401が取得した開閉状態情報が扉12の閉状態を示す場合に、読み取りを開始する。
また、リーダライタ制御部402は、本体部2から読み取り終了が指示されると、リーダライタ部41による読み取りを終了する。そして、リーダライタ制御部402は、本体部2から登録完了が指示されると、リーダライタ部41を制御することによって、登録済フラグの書き込みを開始する。ここで、登録済フラグは、書類登録が完了したことを示す情報であって、RFIDタグT1が有する所定の記憶領域に書き込まれるものとする。
さらに、リーダライタ制御部402は、RFIDタグT1の読み取りを開始してから登録済フラグを書き込むまでの間に、扉12が開状態となった場合、読み取りを終了し、それまでに読み込んだ書類コードをリセットするリセット処理を実行する。このリセット処理により、本体部2に送信(登録)された書類コードもリセットが行われるものとする。そして、リーダライタ制御部402は、扉12が再び閉状態になったことを確認すると、RFIDタグT1の読み取りを再度実行する。
これにより、登録済フラグの書き込み前に、RFIDタグT1を読取済の書類D1が収納室19から抜き取られた場合や、RFIDタグT1を未読取の書類D1が収納室19内に追加された場合であっても、収納室19内の書類D1を確実に読み取ることができる。なお、扉12が開状態となったことを本体部2に通知することで、本体部2のディスプレイ3bに、扉12が開状態であることを報知する画面を表示させる形態としてもよい。
接近検出部403は、近接センサ30aの出力をモニタすることによって、隙間28(図4(b))に対する身体の接近を検知する。そして、接近検出部403は、身体の接近を検知したことを、制御部40に送信する。
接近報知部404は、身体の接近を検知したという情報を受信した制御部40からの指示を受けて、報知部38を駆動する。すなわち、接近報知部404は、隙間28に対する身体の接近を検出したことを条件として、報知部38として設けられたブザーを鳴動させる。
通信制御部405は、通信I/F44を制御し、当該通信I/F44を介して本体部2との間で各種の情報を送受信する。例えば、通信制御部405は、本体部2から送信された読取開始を指示する指示情報を受信する。また、通信制御部405は、リーダライタ制御部402がRFIDタグT1から読み取った書類コードを、本体部2に送信する。また、通信制御部405は、本体部2から送信された読取終了を指示する指示情報を受信する。また、通信制御部405は、本体部2から送信された登録完了を指示する指示情報を受信する。
(読取部が行う処理の流れの説明)
次に、書類読取装置1aの動作について説明する。図8は、本体部2および読取部10の動作例を説明するフローチャートである。書類読取装置1aを使用するユーザは、読取部10の扉12を開け、書類D1を収納室19に収納する。次いで、ユーザは、本体部2のディスプレイ3bに表示された読取開始ボタンを操作することで、本処理が開始される。
本体部2では、入力受付部302が読取開始ボタンの操作を受け付けると、通信制御部303は、読み取り開始を指示する指示情報を読取部10に送信する(ステップS11)。
読取部10では、通信制御部405が読み取り開始を指示する指示情報を受信すると、リーダライタ制御部402は、開閉状態取得部401が取得した開閉状態情報に基づき、扉12が閉状態にあるかを判定する(ステップS21)。ここで、リーダライタ制御部402は、扉12が開状態にあると判定すると(ステップS21;No)、ステップS34に移行する。
次いで、ステップS34において、接近検出部403は、隙間28(図4(b))への接近物を検出する(ステップS34)。接近検出部403が接近物を検出すると(ステップS34;Yes)、接近報知部404は、報知部38に報知を行わせる(ステップS35)。その後、ステップS34に戻る。
ステップS34において、接近検出部403が隙間28への接近物を検出しないと(ステップS34;No)、接近報知部404は、報知部38が出力している報知を解除する(ステップS36)。なお、ステップS36において、報知部38が報知を行っていない場合であっても、接近報知部404は報知部38に対して、報知を解除する命令を出力する。その後、ステップS21に移行する。すなわち、読取部10は、扉12が閉状態となるまでの間、ステップS34における接近物の検出を繰り返して行う。そして、読取部10は、扉12が閉状態となるまで待機した状態となる。なお、ステップS21において、扉12が開いていると判定された場合(ステップS21;No)に、リーダライタ制御部402が本体部2の表示制御部301と協働することで、扉12を閉じることを促す画面を表示させる形態としてもよい。
一方、ステップS21において、扉12が閉状態にあると判定すると(ステップS21;Yes)、リーダライタ制御部402は、RFIDタグT1の読み取りを開始する(ステップS22)。このとき、RFIDアンテナ16からの電波の放射が始まる。次いで、リーダライタ部41は、RFIDタグT1から書類コードを読み取ったかを判定する(ステップS23)。ここで、書類コードが読み取れない場合(ステップS23;No)、ステップS25に移行する。
一方、ステップS23において、書類コードが読み取られた場合(ステップS23;Yes)、通信制御部405は、その書類コードを本体部2に順次送信し(ステップS24)、その後ステップS25に移行する。
続くステップS25において、リーダライタ制御部402は、開閉状態取得部401が取得した開閉状態情報に基づき、扉12が閉状態にあるかを判定する。扉12が開状態にあると判定した場合(ステップS25;No)、リーダライタ制御部402は、RFIDタグT1の読み取りを停止する(ステップS26)。なお、このときRFIDアンテナ16からの電波の放射が停止する。そして、リーダライタ制御部402は、これまでに読み取った書類コードをリセットするリセット処理を行い(ステップS27)、その後ステップS34に移行する。係るリセット処理により、本体部2に送信されて登録された書類コードもリセットが行われるものとする。
また、ステップS25において、扉12が閉状態にあると判定した場合(ステップS25;Yes)、リーダライタ制御部402は、本体部2から読み取りの終了が指示されたかを判定する(ステップS28)。ここで、読み取り終了の指示がない場合には(ステップS28;No)、ステップS23に戻る。
なお、収納室19が空の状態でRFIDタグT1の読み取りが開始されたような場合には、RFIDタグT1が一つも読み取れないまま、ステップS23;No、ステップS25;Yes、ステップS28;Noを順に辿るループが続くことになる。このようなループ状態を回避するため、RFIDタグT1が一つも読み取れないまま、所定時間(例えば5秒)が経過した場合や、上記のループを所定回数実行した場合には、RFIDタグT1の読み取りを強制的に終了させてもよい。また、この場合、リーダライタ制御部402は、本体部2の表示制御部301と協働することで、RFIDタグT1を読み取ることができない旨のメッセージを表示させることが好ましい。
本体部2では、通信制御部303が読取部10から書類コードを受信すると、表示制御部301は、その書類コードをディスプレイ3bに表示する(ステップS12)。
本体部2を操作するユーザは、ディスプレイ3bに表示された書類コードを参照し、収納室19に収納した全ての書類D1の書類コードが表示されたことを確認すると、そのディスプレイ3bに表示された読取終了ボタンを操作する。そして、入力受付部302が読取終了ボタンの操作を受け付けると、通信制御部303は、読み取り終了を指示する指示情報を読取部10に送信する(ステップS13)。
読取部10では、通信制御部405が読み取り終了を指示する指示情報を受信すると、リーダライタ制御部402は、読み取りの終了が指示されたと判定する(ステップS28;Yes)。次いで、リーダライタ制御部402は、RFIDアンテナ16からの電波の放射を停止させて、RFIDタグT1の読み取りを停止する(ステップS29)。
続いて、リーダライタ制御部402は、本体部2から登録完了が指示されたか否かを判定する(ステップS30)。登録完了の指示がない場合(ステップS30;No)、リーダライタ制御部402は、開閉状態取得部401が取得する開閉状態情報に基づき、扉12が閉状態にあるかを判定する(ステップS31)。
ステップS31において、扉12が閉状態にあると判定された場合は(ステップS31;Yes)、ステップS30に戻る。また、開状態にあると判定された場合(ステップS31;No)、リーダライタ制御部402は、ステップS27と同様のリセット処理を行い(ステップS32)、その後、ステップS34に移行する。
本体部2では、書類登録部304が、表示された各書類コードについて登録処理を行う(ステップS14)。そして、通信制御部303は、登録完了を指示する指示情報を読取部10に送信し(ステップS15)、本処理を終了する。
読取部10では、通信制御部405が登録完了を指示する指示情報を受信すると、リーダライタ制御部402は、登録完了が指示されたと判定する(ステップS30;Yes)。そして、リーダライタ制御部402は、リーダライタ部41を制御することで、各書類D1のRFIDタグT1に登録済フラグを書き込み(ステップS33)、本処理を終了する。
(第2の実施形態)
第1の実施形態において、接近検出部403は、近接センサ30aが検出した静電容量の変化に基づいて、身体の接近を検出する。そして、接近報知部404は、報知部38が備えるブザーを鳴動させて、身体の一部が、扉12と筐体11との間の隙間28に近接していることを報知する。この接近検出部403および接近報知部404の構成は、第1の実施形態で説明した構成に限定されるものではない。以下、第2の実施形態として、第1の実施形態とは異なる接近検出部403および接近報知部404を備える書類読取装置1bについて説明する。
なお、書類読取装置1bは、第1の実施形態で説明した書類読取装置1aと同じハードウェア構成(図6)および同じ機能構成(図7)を有する。そして、書類読取装置1bは、近接センサ30aに代わって、構成が異なる近接センサ30b(図9)を備える。そして、近接センサ30bは、接近検出部403として機能するとともに、接近報知部404としても機能する。したがって、ハードウェア構成および機能構成の説明は省略し、同じ構成部位は、第1の実施形態と同じ符号を用いて説明する。
図9は、第2の実施形態に係る書類読取装置1bに使用される近接センサ30bの概略構造を示す図である。図9(a)は、近接センサ30bの断面構造を示す図であり、図9(b)は、近接センサ30bの上面図である。
近接センサ30bは、近接センサ30aと同様に、扉12の上下方向に沿って延設される細長形状を有して、扉12に接する空間の温度変化を検出する。近接センサ30bは、温度変化を検出する複数の焦電センサを配設した構造を有する。焦電センサとは、セラミック(例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)など)で形成されている。焦電センサは、温度変化によってセンサの表面の分極状態が変化する焦電効果によって、分極状態に応じて発生した電荷量に対応する信号を出力する。このとき発生する電荷量は、焦電センサが面する空間の温度変化に応じて増減するため、焦電センサが出力した信号に基づいて、空間の温度変化を検出することができる。なお、扉12に面する空間の気温が36℃の状態と、体温36℃の身体が接近した状態とを識別する必要があるため、接近検出部403は、近接センサ30bの出力の時間変化に基づいて、身体の接近を判断するのが望ましい。
図9(a)に示すように、近接センサ30bは、例えば透明なアクリル樹脂等の絶縁体で形成された基材31bの表面に、同じ形状を有する複数の焦電センサ35a、35b、…、35nがアレイ状に規則的に配置した構造を有する。焦電センサ35a、35b、…、35nは、それぞれ、配線45Lおよび配線46Lに接続している。配線45Lの端子36は接地される。そして、配線46Lは、温度検出回路39に接続される。温度検出回路39は、焦電センサ35a、35b、…、35nの出力信号から、身体の接近を示す、所定範囲の温度値を検出したときに、検出信号を出力端子37に出力する。なお、図9(a)において、近接センサ30bは、基材31bの焦電センサ35a、35b、…、35nを備える面31pが、扉12の外側に向けて設置される。そして、近接センサ30bは、できるだけ隙間28の近傍に設置される。
近接センサ30bは、さらに、接近報知部404としても機能する。すなわち、基材31bの背面31q側には、LED48が設置されている。LED48の背面は反射性を有するスクリーン49で覆われている。そして、LED48から出射した光は、基材31bの背面31qから基材31bの内部に入射する。
この入射光は、図9(a)に示すように、基材31bの一端側に形成された楔状部31sに到達した後、楔状部31sにおいて、基材31bの奥側に向けて進路を曲げられる。なお、楔状部31sは光を透過せずに全て反射するものとする。進路を曲げられた光線は、基材31bの内部で全反射を繰り返しながら前進する。すなわち、基材31bは導光板を形成する。なお、基材31bの面31p以外の面、すなわち、背面31q(ただしLED48の出射光が基材31bの内部に入射する面を除く)および端面31r、31tは、基材31bの内部を進行する光が外部に漏れないように遮光されている。
基材31bの内部を進行する光の多くは、図9(a)に示す光線Rのように、面31pおよび背面31qで全反射を繰り返しながら進行する。面31pは、拡散性の高いすりガラス状の粗面になっている。そして、面31p上の点P1に到達した全反射条件を満たす光線Rのうち、殆どの光線は、点P1において全反射して基材31bの奥に向かって進行するが、光線Rの一部は、図9(a)に示すように、点P1において拡散して基材31bの外部に出射する。同様の現象は、面31p上の全ての点(例えば点P2)で発生する。
このように、LED48から出射した光の一部は、基材31bの面31pから外部に向かって出射する。したがって、基材31bを、焦電センサ35a、35b、…、35nが設置された面31p側から見ると、むらなく光っているように見える。これは、液晶モニタを背面から照明する、いわゆるバックライト照明と同じ原理である。
書類読取装置1bは、このような照明を行うことによって、身体の一部が扉12に接近していることを報知する。すなわち、近接センサ30bは、接近報知部404としても機能する。したがって、図9(a)において、LED48は、温度検出回路39の出力によって点消灯が制御される。すなわち、温度検出回路39が身体の接近を検出すると、LED48が点灯して、温度検出回路39が身体の接近を検出しないと、LED48は消灯する。
以上説明したように、第1の実施形態の書類読取装置1aによれば、接近検出部403(接近検出手段)が、筐体11に設けられた開口部13または当該開口部13に対して開閉可能に設置された扉12(扉部)への身体の接近を検出したことを条件として、接近報知部404(報知手段)が警報を出力する。したがって、扉12を閉める際に、誤って身体の一部を挟み込むことを防止することができる。
また、第1の実施形態の書類読取装置1aによれば、扉12と開口部13とは、ヒンジ部14を介して接続される。そして、接近検出部403を構成する近接センサ30aは、ヒンジ部14の近傍に設置される。したがって、不用意に身体の一部を挟む可能性が高い隙間28への接近を確実に検出することができる。
そして、第1の実施形態の書類読取装置1aによれば、接近検出部403は、近接センサ30aの出力に基づいて、扉12と当該扉12に接する空間との間の静電容量の変化を検出する。したがって、身体の扉12への接近を容易かつ確実に検出することができる。
さらに、第1の実施形態の書類読取装置1aによれば、接近検出部403は、開閉検出部42(開閉検出手段の一例)が、扉12が開いていることを検出したことを条件として動作を開始する。したがって、扉12が閉まっているときには接近検出部403が動作しないため、接近検出部403の不要な電力の消費を抑止することができる。
また、第2の実施形態の書類読取装置1bによれば、接近検出部403は、近接センサ30bの出力に基づいて、扉12に接する空間の温度変化を検出する。したがって、身体の扉12への接近を容易かつ確実に検出することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、いずれも例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、前述した実施形態にあっては、近接センサ30a、30bを筐体11のヒンジ部14側の縁部に設置したが、近接センサ30a、30bの設置場所は、その位置に限定されるものではない。すなわち、近接センサ30a、30bは、開口部13の枠を形成する4辺のうち、いずれかの辺に沿って設置すればよい。
また、筐体11と扉12とは、ヒンジ部14で接続された構成に限定されるものではない。すなわち、例えば、扉12が、筐体11の開口部13に沿ってスライドするシャッタ構造を有していてもよい。
さらに、身体の接近を検出する方法は、前述した近接センサ30a、30bを用いた方法に限定されるものではない。すなわち、超音波、あるいは光センサを適用した測距センサを用いて、身体の接近を検出する構成としてもよい。