JP7053186B2 - 油脂の増粘又は固化剤 - Google Patents
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Description
それを改善するために液状の食品を増粘又は固化させる技術としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する方法が挙げられる。
液状の食品を増粘又は固化させる場合、より透明であるほうが見栄えが良く好ましい。これらの従来技術で増粘又は固化した油脂は透明性に優れておらず、満足できるものではなかった。
本願発明における油脂の増粘又は固化剤は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする。ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分として、脂肪酸、ポリグリセリンが挙げられる。脂肪酸については、全構成脂肪酸の内、炭素数16~18の直鎖脂肪酸が分子数として45%以上を含む場合に高いゲル強度及び優れた透明性が得られる。なお、この割合は、全構成脂肪酸のモル数に対する炭素数16~18の直鎖脂肪酸のモル数の割合を示す。一方、主構成脂肪酸がベヘン酸である場合、優れた透明性が得られない。また、優れた透明性を得るには、炭素数16~18の直鎖脂肪酸が70%以上、更には90%以上が好ましい。
構成脂肪酸は、炭素数8~14の直鎖脂肪酸、炭素数18~22の分岐脂肪酸及び炭素数18~22の不飽和脂肪酸のいずれかを含む事が好ましい。
(式2)水酸基価=(a-b)×28.05/試料の採取量(g)
a:空試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:本試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
上記(式1)中の水酸基価は社団法人日本油化学会編「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法(I)1996年度版」に準じて(式2)で算出される。
エステル化率(%)=(M/(n+2))×100
で算出される値である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
平均重合度が40のポリグリセリン123.2gとステアリン酸(C18)247.8g、ベヘン酸(C22)282.8g、オレイン酸(C18F1)46.2gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は47%。構成脂肪酸として(1)炭素数16~22の直鎖飽和脂肪酸、(2)炭素数8~14の直鎖飽和脂肪酸、炭素数18~22の分岐脂肪酸及び炭素数18~22の不飽和脂肪酸としたとき、(1):(2)のモル比は、0.92:0.08)
平均重合度が40のポリグリセリン133gとステアリン酸(C18)521.6g、オレイン酸(C18F1)45.4gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は92%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン128.1gとパルミチン酸(C16)246.4g、ベヘン酸(C22)280g、オレイン酸(C18F1)45.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は50%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン142.8gとパルミチン酸(C16)507.1g、オレイン酸(C18F1)50.1gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は93%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が20のポリグリセリン128.3gとステアリン酸(C18)257.2g、ベヘン酸(C22)280.6g、オレイン酸(C18F1)46.8gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は49%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が10のポリグリセリン133.0gとステアリン酸(C18)255.3g、ベヘン酸(C22)278.5g、オレイン酸(C18F1)46.4gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は49%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン123.2gとステアリン酸(C18)288.4g、ベヘン酸(C22)282.6g、オレイン酸(C18F1)5.8gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は54%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.99:0.01であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン143.5gとステアリン酸(C18)239.3g、ベヘン酸(C22)272.7g、オレイン酸(C18F1)44.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率80%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は47%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン157.5gとステアリン酸(C18)233.3g、ベヘン酸(C22)265.8g、オレイン酸(C18F1)43.4gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率70%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は47%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン124.6gとステアリン酸(C18)259g、ベヘン酸(C22)293.3g、カプリル酸(C8)23.1gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は47%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン124.6gとステアリン酸(C18)258.9g、ベヘン酸(C22)287.7g、ラウリン酸(C12)28.8gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は48%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン114.8gとステアリン酸(C18)252g、ベヘン酸(C22)287g、エルカ酸(C22F1)46.2gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は47%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン123.2gとステアリン酸(C18)253.8g、ベヘン酸(C22)282.6g、イソステアリン酸(isoC18)40.4gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は48%。構成脂肪酸として(1)炭素数16~22の直鎖飽和脂肪酸、(2)炭素数8~14の直鎖飽和脂肪酸、炭素数18~22の分岐脂肪酸及び炭素数18~22の不飽和脂肪酸としたとき、(1):(2)のモル比は、0.92:0.08)
平均重合度が40のポリグリセリン133.7gとミリスチン酸(C14)249.2g、ベヘン酸(C22)271.6g、オレイン酸(C18F1)45.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は2%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.93:0.07であった。)
平均重合度が10のポリグリセリン128.3gとベヘン酸(C22)531.9g、オレイン酸(C18F1)52.6gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率92%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は1%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.9:0.1であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン128.8gとステアリン酸(C18)257.0g、ベヘン酸(C22)114.2g、オレイン酸(C18F1)199.9gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は48%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.66:0.34であった。)
平均重合度が10のポリグリセリン140.8gとベヘン酸(C22)573.3gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率83%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は0%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、1:0であった。)
平均重合度が6のポリグリセリン123.9gとステアリン酸(C18)286.6g、ベヘン酸(C22)326.5g、オレイン酸(C18F1)53.3gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は47%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン184.8gとステアリン酸(C18)221.5g、ベヘン酸(C22)252.4g、オレイン酸(C18F1)41.2gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率60%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は47%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.92:0.08であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン116.2gとベヘン酸(C22)537.1g、オレイン酸(C18F1)46.7gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は1%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.91:0.09であった。)
平均重合度が40のポリグリセリン123.2gとベヘン酸(C22)482.2、ステアリン酸(C18)72.3g、オレイン酸(C18F1)48.2gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.14gを加えた後、260℃でエステル化反応することにより、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。(実施例1と同様に算定したとき、全構成脂肪酸中の炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸は14%。構成脂肪酸(1):(2)のモル比は、0.91:0.09であった。)
50mlのガラス瓶(口内径φ32×胴径φ45×高さ78mm)に実施例1~12、並びに比較例1~8のいずれかを1.5gとナタネ白絞油(ボーソー油脂株式会社製)を48.5g秤量した。それらを90℃で加熱溶解し、20℃で2時間静置することで、実施例又は比較例を3.0重量%添加した試料を調製した。
得られた試料のゲル強度の測定を行った。ゲル強度とは、プランジャーが1mm進んだ時の反発強度(g)で表される。ゲル強度の測定には、(株)レオテック製のFUDOH RHEOMETER RT-2002D-Dを用い、プランジャーには円柱形の直径12.7mmのものを用いた。
◎◎:100g以上
◎ :60-100g未満
○ :45-60g未満
× :45g未満
試験例1のゲル強度測定結果に応じて増粘したナタネ白絞油について、分光光度計で、光路長1.0cmの石英セルを用い、349.5nmにて測定した吸光度から透過率を得た。この透過率は、無添加のナタネ白絞油の吸光度を透過率100%として算出した。実施例1~12、並びに比較例1~8で増粘させた菜種油の20℃における粘度を1000~4000mPa・sに固定するため、透過率測定時の添加量については、以下に示す。
ゲル強度◎◎の時 1.0重量%添加
ゲル強度◎ の時 2.0重量%添加
ゲル強度○ の時 2.5重量%添加
ゲル強度× の時 3.0重量%添加
◎◎:30%以上
◎ :15-30%未満
○ :10-15%未満
× :10%未満
試験例1及び2の結果を表1及び2に示す。
これに対し、比較例1~6を添加し増粘又は固化させた油は、実施例1~12添加し得られたものよりゲル強度が低く、そのため、低添加量で増粘又は固化を達成できず、それに伴い増粘又は固化達成時の透明性に劣る。
また、比較例7~8を添加し増粘又は固化させた油は、ゲル強度は高いものの、ベヘン酸を主構成としているため、透過率が低く、実施例1~12添加し得られたものより透明性に優れない。
50mlのガラス瓶(口内径φ32×胴径φ45×高さ78mm)に実施例1~12、並びに比較例1~8のいずれかを0.5gとネギ油(ユウキ食品株式会社製)を49.5g秤量した。それらを90℃で加熱溶解し、20℃で2時間静置させ、実施例又は比較例を1.0重量%添加したネギ油を調製した。これに、油不溶物として青色1号で着色させた塩を2.5g混合する事で試料を調製した。
この試料を20℃で保存し、保存1日後、5日後、20日後に油中での塩の分散状態を確認した。
試験例3と同様に調製した、実施例1~12、並びに比較例1~8のいずれかを1.0重量%添加したネギ油について、分光光度計で、光路長1.0cmの石英セルを用い、349.5nmにて測定した吸光度から透過率を得た。この透過率は、無添加のネギ油の吸光度を透過率100%として算出した。
◎◎:30%以上
◎ :15-30%未満
○ :10-15%未満
× :10%未満
試験例3及び4の結果を表3に示す。
50mlのガラス瓶(口内径φ32×胴径φ45×高さ78mm)に実施例1~12を0.05gとネギ油(ユウキ食品株式会社製)を49.95g秤量した。それらを90℃で加熱溶解し、20℃で2時間静置させ、実施例を0.1重量%添加したネギ油を調製した。これに油不溶物としてバジルを0.15g混合する事で試料を調製した。
この試料を5℃、20℃、40℃の各温度帯で保存し、保存1日後に油中でのバジルの分散状態を確認した。
試験例5と同様に調製した、実施例1~12のいずれかを0.1重量%添加したネギ油について、分光光度計で、光路長1.0cmの石英セルを用い、349.5nmにて測定した吸光度から透過率を得た。この透過率は、無添加のネギ油の吸光度を透過率100%として算出した。
◎◎◎:45%以上
◎◎ :30-45%未満
◎ :15-30%未満
○ :10-15%未満
× :10%未満
試験例5及び6の結果を表4に示す。
50mlのガラス瓶(口内径φ32×胴径φ45×高さ78mm)に実施例1~12を0.25gとネギ油(ユウキ食品株式会社製)を49.75g秤量した。それらを90℃で加熱溶解し、20℃で2時間静置させ、実施例を0.5重量%添加したネギ油を調製した。これに油不溶物としてバジルを0.15g混合する事で試料を調製した。
この試料を20℃で保存し、保存1日後、5日後、20日後に油中でのバジルの分散状態を確認した。
試験例7と同様に調製した、実施例1~12のいずれかを0.5重量%添加したネギ油について、分光光度計で、光路長1.0cmの石英セルを用い、349.5nmにて測定した吸光度から透過率を得た。この透過率は、無添加のネギ油の吸光度を透過率100%として算出した。
試験例7及び8の結果を表5に示す。
50mlのガラス瓶(口内径φ32×胴径φ45×高さ78mm)に実施例1~12を0.025gとネギ油(ユウキ食品株式会社製)を49.975g秤量した。それらを90℃で加熱溶解し、20℃で2時間静置させ、実施例を0.05重量%添加したネギ油を調製した。これに油不溶物としてバジルを0.15g混合する事で試料を調製した。
この試料を20℃で保存し、保存1日後に油中でのバジルの分散状態を確認した。
試験例9と同様に調製した、実施例1~12のいずれかを0.05重量%添加したネギ油について、分光光度計で、光路長1.0cmの石英セルを用い、349.5nmにて測定した吸光度から透過率を得た。この透過率は、無添加のネギ油の吸光度を透過率100%として算出した。
試験例9及び10の結果を表6に示す。
一方、表3の結果から明らかなように、比較例1~6をネギ油に添加し油不溶物として塩を分散させた油は、実施例1~12を添加し得られたものより上清の体積割合が大きい。特に、長期保存時にその割合の変動が大きく、分散安定性に劣る。
また、比較例7~8をネギ油に添加し油不溶物として塩を分散させた油は、低添加量で油不溶物の分散を達成できるものの、ベヘン酸を主構成としているため、透過率が低く、実施例1~12を添加し得られたものより透明性に優れない。
50mlのガラス瓶(口内径φ32×胴径φ45×高さ78mm)に実施例2を0.5gとゴマ油(かどや製油株式会社製)、オリーブ油(株式会社J-オイルミルズ製)、ラー油(エスビー食品株式会社製)のいずれかを49.5g秤量した。それらを90℃で加熱溶解し、20℃で2時間静置させ、実施例2を1.0重量%添加した香味油を調製した。これに青色1号で着色させた塩を2.5g混合する事で試料を調製した。
この試料を20℃で保存し、保存1日後、5日後、20日後に油中での塩の分散状態を確認した。
試験例11と同様に調製した、実施例2を1.0重量%添加した香味油について、分光光度計で、光路長1.0cmの石英セルを用い、測定した吸光度から透過率を得た。この透過率は、無添加の各香味油の吸光度を透過率100%として算出した。
各香味油の吸光度測定時の波長は以下に示す。
ゴマ油 398.5nm
オリーブ油 317.5nm
ラー油 542.5nm
試験例11及び12の結果を表7に示す。
アヒージョ
(具材の調製)
冷凍むきえび70gを解凍し、余分な水分をキッチンペーパーでふき取った。
マッシュルーム100gを1個当たり4等分に切った。
(香味油の調製)
鍋にオリーブ油(株式会社J-オイルミルズ製)48g、市販のアヒージョの素(エスビー食品株式会社製)5g、実施例2の本発明品を0.48g添加した。実施例2の本発明品が溶解するまで、撹拌しながら弱火で加熱し、香味油を53.48g得た。
(アヒージョの調製)
鍋に具材170gと香味油53.48gを添加し、撹拌しながら弱火で5分間加熱した。その後、全量を保存容器に移して氷水上で4℃まで冷却し、アヒージョを223.48g得た。
アヒージョを4℃で3日間冷蔵保存したところ、香味油の透明性と凝固性は維持され、液状化した油脂の発生はなく、油脂の分離は抑えられていた。
(呈味性の評価)
アヒージョを電子レンジにて700Wで90秒加熱し、呈味性を評価したところ、異味異臭は無く、香味油の本来の味や香りは維持されていた。
サルサカンパニョーラ
(具材の調製)
赤パプリカ35g、黄パプリカ35g、きゅうり50g、トマト40g、ブラックオリーブ10g、モッツァレラチーズ50gをそれぞれ5mm角に切った。その後、ボールに3重量%食塩水200gを入れ、赤パプリカ35g、黄パプリカ35g、きゅうり50gを添加して5分間浸漬処理し、軽くもみ、水を切り、具材表面の水気を取り除いた。
(香味油の調製)
鍋にオリーブ油(株式会社J-オイルミルズ製)130g、食塩1.5g、実施例2の本発明品を1.3g添加し、実施例2の本発明品が溶解するまで、撹拌しながら弱火で加熱した。その後、鍋ごと氷水上で4℃まで冷却し、香味油を132.8g得た。
(サルサカンパニョーラの調製)
具材220gと香味油132.8gを混合し、サルサカンパニョーラを352.8g得た。
フランスパンを縦6cm、横6cm、高さ2cmに切った。
(茹でスパゲッティの調製)
90℃の水2Lにスパゲッティ(太さ1.6mm、日清フーズ株式会社製)100gを入れ、90℃で11分間加熱し、茹でスパゲッティを240g得た。
評価用フランスパン1切れにサルサカンパニョーラ10gを乗せて、保存容器に入れて4℃で1日間保存したところ、香味油の透明性と凝固性は維持され、液状化した油脂の発生はなく、保存容器底部への香味油の染み出しは確認されなかった。
(茹でスパゲッティでの保存安定性の評価)
茹でスパゲッティ180gにサルサカンパニョーラ50gを乗せて、保存容器に入れて4℃で1日間保存したところ、香味油の透明性と凝固性は維持され、液状化した油脂の発生はなく、保存容器底部への香味油の染み出しは確認されなかった。
(呈味性の評価)
サルサカンパニョーラの呈味性を評価したところ、異味異臭は無く、香味油の本来の味や香りは維持されていた。
麻婆豆腐
(具材の調製)
豆腐350gを1.5cm角に切り、90℃のお湯500gにて2分間加熱した。その後、水を切り、豆腐表面の水気を取り除いた。
(水溶き片栗粉の調製)
水30gに片栗粉10gを加えてよく撹拌した。
(香味油の調製)
鍋にラー油(エスビー食品株式会社製)を100g、実施例2を0.5g添加し、実施例2の本発明品が溶解するまで、撹拌しながら弱火で加熱した。その後、鍋ごと氷水上で4℃まで冷却した。
(麻婆豆腐の調製)
フライパンに水を180g、市販の麻婆豆腐の素(丸美屋食品工業株式会社製)を70g入れて中火で90℃まで加熱後、上述の豆腐を350g加えてゆっくりかき混ぜながら、更に90℃まで加熱した。火を消した後、水溶き片栗粉を40g添加してゆっくりかき混ぜ、90℃まで加熱した。その後、保存容器に180g取り分けて、氷水上で4℃まで冷却した。これに、上述の香味油3gをスポイドで滴下しながら回しかけた。
麻婆豆腐を4℃で3日間冷蔵保存したところ、香味油の透明性と凝固性は維持されており、香味油の合一による油膜の極大化や容器壁面への油膜形成は抑制されていた。
(呈味性の評価)
麻婆豆腐を電子レンジにて700Wで90秒加熱し、呈味性を評価したところ、異味異臭は無く、香味油の本来の味や香りは維持されていた。
Claims (5)
- 下記条件(A)~(D)を満たすポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする透明性に優れた油脂の増粘又は固化剤。
(A)全構成脂肪酸の45%以上が、炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸であり、且つ、構成脂肪酸として、(1)炭素数16~22の直鎖飽和脂肪酸を少なくとも1種以上、(2)炭素数8~14の直鎖飽和脂肪酸、炭素数18~22の分岐脂肪酸及び炭素数18~22の不飽和脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1種以上を含み、(1):(2)のモル比が0.91:0.09~0.99:0.01
(B)ポリグリセリンの平均重合度が20量体以上
(C)エステル化率が70%以上
(D)上記(A)~(C)を満たすポリグリセリン脂肪酸エステルをナタネ白絞油に添加しB型粘度計を用いて測定した時の粘度が、20℃で1000-4000mPa・sとなる増粘油について、波長349.5nmにおける透過率が10%以上である - 油脂が香味油である請求項1記載の油脂の増粘又は固化剤。
- 請求項1又は2記載の油脂の増粘又は固化剤を含有する油脂。
- 油脂の増粘又は固化剤が0.05%以上である請求項3記載の油脂。
- 請求項3又は4記載の油脂を含有する食品。
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