JP7052353B2 - ツーリング及び加工治具の設計支援装置 - Google Patents

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本発明はツーリング及び加工治具の設計支援装置に関する。
回転する工具を用いた機械加工では、加工の精度と効率を上げるために、びびり振動または歪みを未然に防止する必要がある。特許文献1には、工具を装着した加工装置のコンプライアンスの周波数応答において、安定限界線図を用いてびびり振動の発生しない条件を設定し、びびり振動を未然に防止する方法が開示されている。
特開2013-043240号公報
びびり振動の原因は、被加工物である製品または被加工物を固定する治具に起因する場合がある。一般に一つの要因に起因する場合に比べて、複数の要因に起因するびびり振動を回避することは困難である。その一方で、ツーリング及び加工治具の設計効率を高めることが望まれている。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、機械加工において、加工精度を上げつつ、ツーリング及び加工治具の設計効率の低下を防ぐことが可能な、ツーリング及び加工治具の設計支援装置を提供するものである。
本発明にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置は、加工設備に取り付けられた工具を用いて、加工治具に固定された被加工物を機械加工するために、ツーリング及び前記加工治具の設計を支援する設計支援装置であって、前記加工設備の振動特性と、前記工具の形状および材料特性とから、所定の加工条件における第1の振動特性を算出する手段と、前記被加工物および前記加工治具の、形状および材料特性から、前記所定の加工条件における第2の振動特性を算出する手段と、加工精度を予測する加工精度予測手段と、を備え、前記加工精度予測手段は、前記第2の振動特性が所定の値以上の場合は、前記第1の振動特性と切削力とに基づいて第1の変位量を算出し、前記第1の変位量と前記第2の振動特性とに基づいて算出される第2の変位量から、加工部位の加工精度を予測する一方、前記第2の振動特性が所定の値未満の場合は、前記第1の振動特性と切削力とに基づいた第1の変位量を算出し、前記第1の変位量から、加工部位の加工精度を予測する。
本発明にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置では、加工精度予測手段は、第2の振動特性が所定の値以上の場合は、第1の振動特性と切削力とに基づいて第1の変位量を算出し、第1の変位量と前記第2の振動特性とに基づいて算出される第2の変位量から、加工部位の加工精度を予測する一方、第2の振動特性が所定の値未満の場合は、第1の振動特性と切削力とに基づいた第1の変位量を算出し、第1の変位量から、加工部位の加工精度を予測する。よって、機械加工において、所望の加工精度を得つつ、ツーリング及び加工治具の設計効率の低下を防ぐことができる。
本発明により、機械加工において、所望の加工精度を得つつ、ツーリング及び加工治具の設計効率の低下を防ぐことができる。
実施の形態にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置の機能ブロック図である。 実施の形態にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置の一連の動作を示すフローチャートである。 実施の形態にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置が算出する、加工設備およびツーリング(工具)の振動特性を示すグラフの例示である。 実施の形態にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置が算出する、被加工物および加工治具の振動特性を示すグラフの例示である。 図4に基準値aと各条件の例示を示したグラフである。 実施例にかかるトランスアクスルのハウジングに各部品を入れ込むための穴の加工精度について、従来のツーリング及び加工治具の設計支援装置によって予測した加工精度と、本願発明にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置によって予測した加工精度と、実際の加工精度の結果とを示したグラフである。
<実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態における「ツーリング」とは、例えば、工具および加工条件のことである。「ツーリングの設計」とは、例えば、使用する工具の選択および加工条件の選択をすることである。「加工治具の設計」とは、例えば、被加工物を固定する加工治具の材料や形状を決定することである。
ツーリング及び加工治具の設計支援装置10は、被加工物を加工治具に固定し、ツーリングを用いて機械加工するにあたり、入力された条件に基づいて、加工精度を算出する。
図1は、実施の形態にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置10の機能ブロック図である。図1に示すように、ツーリング及び加工治具の設計支援装置10は、表示部20、入力部30、記憶部40及び演算部50を備える。ツーリング及び加工治具の設計支援装置10は、例えばパーソナルコンピュータにソフトウェアを組み込むことにより実現される。また、上述した機能を備える専用の装置によっても実現される。
次に、各機能ブロックについて説明する。
図1の表示部20は、使用者が入力する情報を表示する。また、表示部20は、演算結果を表示する。表示部20は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等である。
図1の入力部30は、使用者が「種々のパラメータ」と「種々のデータ」とを入力するための装置である。換言すると、入力部30は、種々のパラメータと種々のデータとを受け付ける。
本実施の形態における「種々のパラメータ」とは、例えば、工具、被加工物および被加工物の固定に用いる加工治具の材料特性等を示す。具体的には、工具、加工治具の材料や、材料特性等である。材料特性とは、例えば、材料のヤング率、ポアソン比、密度または減衰係数等のことである。
また、本実施の形態における「種々のデータ」とは、例えば、工具、被加工物、被加工物の固定などに用いる加工治具、および加工設備の形状のデータであるCAD(Computer-Aided Design)データや、被加工物の加工条件等のことである。加工設備とは、例えば、マシニングセンター等のことである。マシニングセンター等の加工設備は、被加工物を加工するための工具を把持する。具体的には、マシニングセンター等の加工設備は、例えば刃具などを把持し、当該刃具を回転させ、被加工物の穴開け加工等を行う。
加工設備のデータについては、CADデータの代わりに主軸モデルを用いることもできる。主軸モデルとは、加工設備を弾性と剛体要素とで表現したモデルであり、振動特性を表すことができる。なお、通常、「振動特性」という語句が示す意味は複数あり、変位を計測したコンプライアンス、速度を計測したモビリティ、加速度を計測したアクセレランス等を示す。ただし、本実施の形態における「振動特性」とは、1Nの力が加えられた際の変位(μm)を示す、「コンプライアンス(μm/N)」のことを示すものとする。
図1に示す入力部30は、かかる種々のパラメータ又は種々のデータを使用者が入力するためのキーボードを有する。さらに、入力部30は、通信手段を介して、かかる種々のパラメータ又は種々のデータを取り込むことができる。また、入力部30は、メモリーカード等の記憶媒体を介して、かかる種々のパラメータ又は種々のデータを取り込むことができる。
図1に示す記憶部40は、入力部30から入力された種々のパラメータ又は種々のデータや、演算部50が演算した結果等を記憶する。また、記憶部40は、演算に頻繁に使用される材料特性、例えばヤング率、ポアソン比、密度または減衰係数等を、あらかじめ記憶することもできる。また、記憶部40は、不揮発性の記憶装置により構成される。不揮発性の記憶装置は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク装置等である。
図1に示す演算部50は、入力部30に入力された種々のパラメータ又は種々のデータや、記憶部40にあらかじめ記憶させておいた情報に基づき、振動特性を算出する。そして、振動特性が所望の基準値以上の場合は、算出した第1の振動特性と切削力から第1の変位量を算出する。さらに、第2の振動特性と第1の変位量とから第2の変位量を算出する。そして、第2の変位量と所望の加工精度とに基づいて、加工部位の加工精度を算出する。一方、振動特性が所望の基準値未満の場合は、算出した振動特性と切削力から変位量を算出し、当該変位量と所望の加工精度とに基づいて、加工部位の加工精度を算出する。
さらに、演算部50は、算出された加工精度が、使用者の所望する加工精度の範囲内か否かを判定する。すなわち、使用者があらかじめ入力しておいた加工精度と、演算部50が算出した加工精度とを比較して、入力された条件によって機械加工が行われる場合に、所望の加工精度の範囲内か否かを判定する。
図2は、実施の形態にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置10の一連の動作を示すフローチャートである。図2の各ステップの一部に対応する図3~図5を参照しつつ、説明する。
<ステップS1:データ入力>
図2のステップS1では、各種パラメータ及びデータを設計支援装置10に入力する。換言すると、工具及び加工治具の設計支援装置10は、各種パラメータ及びデータ入力を受け付ける。すなわち、入力部30が、種々のパラメータ又は種々のデータを受け付ける。
具体的には、入力部30は、種々のパラメータを受け付ける。より具体的には、加工設備、工具、加工治具および被加工物についての材料特性を受け付ける。材料特性とは、工具、加工治具および被加工物の材料についての、ヤング率、ポアソン比、密度、減数係数等のことである。
また、入力部30は、種々のデータを受け付ける。具体的には、加工設備、工具、加工治具および被加工物のCADデータを受け付ける。なお、加工設備については、CADデータの代わりに主軸モデルを用いてもよく、例えば、ハンマリング試験等によって得られる周波数応答の振動特性(コンプライアンス、μm/N)を示すような主軸モデルを用いてもよい。
また、入力部30は、種々のデータとして、工具を用いて被加工物を加工する際の加工条件を受け付ける。例えば、被加工物を加工するために工具として刃具を用いる場合、工具に係る加工条件として、刃物の角度、回転数、送り速度等を受け付ける。また、工具について、振動が加わる位置、すなわち被加工物との接触点、すなわち加工位置である加振点と、被加工物および加工治具について、被加工物と工具との接触点、すなわち被加工物が工具により加工される位置である加振点と、を受け付ける。さらに、入力部30は、基準値a(コンプライアンス、μm/N)を受け付ける。基準値a(コンプライアンス、μm/N)は、算出した振動特性値の比較対象となる値であり、所望の加工精度に応じて任意に設定される、所定の値である。
なお、入力部30が受け付ける上記種々のパラメータまたは種々のデータは、すべてを受け付ける必要はなく、後述する加工精度の算出が可能であれば適宜省略することができる。また、記憶部40に、材料特性に関するデータ、一般的な加工条件、基準となる加工精度等をあらかじめ記憶させておき、記憶させたデータや条件を用いて、後述する加工精度の算出を行うこともできる。
<ステップS2:第1の振動特性の算出>
図2のステップS2では、演算部50が第1の振動特性を算出する。本実施の形態における第1の振動特性とは、加工設備および工具の振動特性である。第1の振動特性は、工具が取り付けられる加工設備の主軸モデルに対し、工具のCADデータ及び材料特性を組み合わせることによって、算出する。なお、前述の通り、主軸モデルとは、加工設備を弾性と剛体要素とで表現したモデルであり、振動特性を表すモデルである。
第1の振動特性を算出するにあたり、まず、工具に対する加振点と、第1の振動特性を算出する位置である振動特性算出点と、を定める。加振点および振動特性算出点は、x方向とy方向の両方を定める。x方向及びy方向の各振動特性算出点において、ステップS1で入力された加工条件の場合の加工設備および工具の振動特性を算出する。具体的には、ステップS1にて入力された加工設備の主軸モデルと、工具のCADデータ及び材料特性と、を組み合わせ、CAE(Computer-aided engineering)を用いて、入力された加工条件における第1の振動特性を算出する。
図3は、実施の形態にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置10が算出する、加工設備および工具の振動特性を示すグラフの例示である。図3のグラフ100の横軸は周波数(Hz)を示しており、縦軸はコンプライアンス(μm/N)、すなわち振動特性を示す。図3に示すグラフ100は、x方向及びy方向の各振動特性算出点における第1の振動特性を示している。
図3に示すグラフ100では、例えば、周波数が約700Hzのときのピークが、約0.5μm/Nを示している。すなわち、図3のグラフ100に示す振動特性を有する加工設備および工具を用いて加工を行い、約700Hzの周期のときに、1Nの力が加えられた場合、約0.5μm/N変位することになる。これに対し、例えば周波数が約500Hzのときの振動特性(コンプライアンス)は約0.2μm/Nであり、約700Hzのときに比べ変位が少ないと考えられる。このように、算出した振動特性から、どの周波数においてコンプライアンスが低くなるか、すなわち振動が低減されるかを予測することができる。
<ステップS3:第2の振動特性の算出>
図2のステップS3では、第1の振動特性と同様に、演算部50が第2の振動特性を算出する。本実施の形態における第2の振動特性とは、被加工物および被加工物を固定する加工治具の振動特性である。第2の振動特性は、被加工物及び加工治具のCADデータ及び材料特性から算出する。
第2の振動特性を算出するにあたり、まず、被加工物の加工部位における加振点と、第2の振動特性を算出する位置、すなわち被加工物の加工部位である振動特性算出点と、を定める。加振点および振動特性算出点は、x方向とy方向の両方を定める。x方向及びy方向の各振動特性算出点において、ステップS1にて入力された加工条件の場合の被加工物および加工治具の振動特性を算出する。具体的には、第2の振動特性は、ステップS1において入力された被加工物および加工治具のCADデータ及び材料特性を組み合わせ、CAEを用いて算出する。
図4は、実施の形態にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置10が算出する、被加工物および加工治具の振動特性を示すグラフの例示である。図4のグラフ200の横軸は周波数(Hz)を示しており、縦軸はコンプライアンス(μm/N)、すなわち振動特性を示す。図4に示すグラフ200は、x方向及びy方向の各振動特性算出点における第2の振動特性を示している。
図4に示すグラフ200では、周波数が約250Hzのときのピークが、約0.25μm/Nを示している。すなわち、図4のグラフ200に示す振動特性を有する被加工物および加工治具に対して加工を行い、約250Hzの周期のときに、1Nの力が加えられた場合、約0.25N変位することになる。これに対し、例えば周波数が約50Hz以上であり、約250Hzのピーク以外の場合は、振動特性(コンプライアンス)が約0.1μm/Nであり、約250Hzのときに比べ変位が少ないと考えられる。
なお、第1の振動特性(ステップS2)と第2の振動特性(ステップS3)とを算出する順番はこれに限定されるものではなく、順番は逆であってもよいし、ステップS2とステップS3とを同時に行ってもよい。
<ステップS4:振動特性値の判定>
図2のステップS4では、ステップS1で入力した加工条件における、ステップS3で算出した第2の振動特性値が、ステップS1であらかじめ入力された基準値a(コンプライアンス、μm/N)を超えるか否かを判定する。基準値a(コンプライアンス、μm/N)は、算出した振動特性値の比較対象となる値であり、所望の加工精度に応じて任意に設定される。
図5は、図4に基準値aと各条件の例示を示したグラフである。図4のグラフ300の横軸は周波数(Hz)を示しており、縦軸はコンプライアンス(μm/N)、すなわち振動特性を示す。本実施の形態では、例として、図5に示すように、基準値aを0.1μm/Nに設定している。
第2の振動特性(コンプライアンス)が基準値a(0.1μm/N)以上の条件K、すなわち第2の振動特性大なりイコール基準値aの条件の場合、ステップS5へ進む。
一方、第2の振動特性(コンプライアンス)が基準値a(0.1μm/N)未満の条件L、すなわち第2の振動特性小なり基準値aの場合、ステップS7へ進む。
(ステップS4:YES、第2の振動特性≧基準値aの場合)
<ステップS5:加工設備および工具の変位量の算出>
図2のステップS5では、演算部50が、加工部位近傍の加工設備および工具の、第1の変位量を算出する。具体的には、ステップS2で算出した第1の振動特性に対し、切削力および定数を乗じて、x方向およびy方向における加工部位近傍の加工設備および工具の、第1の変位量を算出する。なお、切削力とは、被加工物を削るために工具が必要とする力のことであり、ステップS1において入力された加工条件と、加工設備および工具の材料特性を用いて算出した値である。次に、ステップS6へ進む。
<ステップS6:被加工物および加工治具の変位量の算出>
図2のステップS6では、演算部50が、加工部位近傍の被加工物および加工治具の、第2の変位量を算出する。具体的には、ステップS3で算出した第2の振動特性に対し、ステップS5の第1の変位量および定数を乗じて、x方向およびy方向における加工部位近傍の被加工物および加工治具の第2の変位量を算出する。ここで、ステップS5で算出した、加工設備および工具の第1の変位量を乗じているのは、被加工物および加工治具の振動は、加工設備および工具の変位量である第1の変位量に比例すると考えられるためである。次に、ステップS8へ進む。
(ステップS4:NO、第2の振動特性<基準値aの場合)
<ステップS7:加工設備および工具の変位量の算出>
図2のステップS7では、演算部50が、加工部位近傍の加工設備および工具の変位量を算出する。具体的には、ステップS2で算出した第1の振動特性に対し、切削力および定数を乗じて、x方向およびy方向における加工部位近傍の加工設備および工具の変位量を算出する。なお、切削力とは、被加工物を削るために工具が必要とする力のことであり、ステップS1において入力された加工条件と、加工設備および工具の材料特性を用いて算出したものである。本ステップでは、第1の振動特性が基準値aを下回っているため、被加工物および加工治具についての変位の算出は省略することができる。次に、ステップS8へ進む。
<ステップS8:加工精度の算出>
図2のステップS8では、演算部50が、使用者の所望する加工精度と、ステップS6及びステップS7にて算出した変位量を用いて、加工部位の実際の加工精度を算出する。
所望の加工精度が、例えば、被加工物に対して丸穴を切削する場合における真円度の場合は、穴の径方向、すなわち背分力の方向における、加工設備および工具と、被加工物および加工治具との相対的な変位を算出する。
<ステップS9:加工精度の判定>
図2のステップS9では、演算部50は、算出された実際の加工精度が使用者の所望する加工精度の範囲内か否かを判定する。すなわち、使用者があらかじめ入力しておいた加工精度と、演算部50が算出した実際の加工精度とを比較して、入力された条件によって機械加工が行われる場合に、所望の加工精度の範囲内で行われるか否かを判定する。
演算部によって算出された加工精度が、使用者の所望する加工精度の範囲内であった場合(ステップS9:YES)、入力された条件によって問題なく機械加工が行われると判定される。この場合、ツーリング及び加工治具の設計支援装置10は、動作を完了する。
一方、演算部50により算出された加工精度が、使用者の所望する加工精度の範囲内ではなかった場合(ステップS9:NO)、入力された条件では所望する機械加工が行われないと判定され、ステップS10へ進む。
<ステップS10:設計データ変更>
使用者は、入力部30に対して入力する設計データを変更する。具体的には、例えば、第1の変動特性が大きい場合は、工具の回転数を変更したり、加工の送り速度を変更したり、あるいは、工具の取り付け角度を変更する等の対応を行うことができる。一方、第2の振動特性が大きい場合は、被加工物を固定する加工治具の形状を変更したり、被加工物の材質を変更したりするなどの対応を行うことができる。このようにして変更した条件を、入力部30は再び受け付ける(ステップS1)。演算部50は、入力部30が受け付けた条件について、再びステップS2以降の計算を行う。
なお、上述した設計データの変更は、特定のパラメータについて、所定の範囲内において加工精度が最適化されるように、一定のステップごとにパラメータを変化させながら、上述した加工精度の計算を行うこともできる。さらに、このような最適化の計算をするために、演算部50や、その他のコンピュータなどの装置により、パラメータの変更を自動で行わせることもできる。
従来は、機械加工において、一般に一つの要因に起因する場合に比べて、複数の要因に起因するびびり振動を回避することが困難であった。その一方で、設計効率を高めることが望まれていた。
本実施の形態では、加工設備および工具に起因する第1の振動特性に加え、被加工物および被加工物を固定する加工治具に起因する第2の振動特性を算出する。さらに、第2の振動特性が基準値となる振動特性以上の場合は、第1の振動特性に切削力および定数を乗じて、加工部位近傍における加工設備および工具の第1の変位量を算出する。さらに、第2の振動特性に、加工設備および工具の変位量と、定数とを乗じて、第2の変位量を算出する。
一方、加工装置および工具に起因する振動特性が基準値となる振動特性未満の場合は、振動特性に切削力および定数を乗じて、加工部位近傍における加工設備および工具の変位量を算出する。
次に、所望の加工精度と、算出した各変位量とから、加工精度を算出する。当該加工精度が、所望の加工精度以上の場合は終了し、所望の加工精度未満の場合は、設計データを変更し、再度最初から算出し直す。
したがって、加工設備および工具の振動特性が、基準値以上の場合は、被加工物および加工治具の振動特性も算出することによって、より精度の高い加工精度を予測することができる。さらに、加工設備および工具の振動特性が、基準値未満の場合は、被加工物および加工治具の振動特性を算出することなく、加工精度の算出および判定のステップへと進むことができ、ステップを短縮できる。したがって、設計効率の低下を防ぐことができる。つまり、本実施の形態にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置によって、機械加工において所望の加工精度を得つつ、ツーリング及び加工治具の設計効率の低下を防ぐことができる。
本実施例では、トランスアクスルのハウジングに各部品を入れ込むための丸穴の加工精度について、従来のツーリング及び加工治具の設計支援装置および本願発明にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置によって予測した値と、実際に測定した加工精度の値とを比較した。従来のツーリング及び加工治具の設計支援装置によって予測した加工精度とは、加工設備および工具の振動特性に切削力を乗ずることによって算出したものである。
図6は、トランスアクスルのハウジングに各部品を入れ込むための穴の加工精度について、従来のツーリング及び加工治具の設計支援装置によって予測した加工精度と、本願発明にかかるツーリング及び加工治具の設計支援装置によって予測した加工精度と、実際の加工精度の結果とを示したグラフである。各棒グラフは、左から、従来の設計支援装置による加工精度の予測値(白抜き)、実施例の設計支援装置による加工精度の予測値(斜線)、加工精度の実測値(斑点)を示す。また、本実施例における加工精度とは、丸穴加工した穴の真円度のことである。
図6のグラフの横軸は、ハウジングに設ける各部品を入れるための穴の種類を示し、縦軸は真円度を示している。横軸は左から、リダクションを入れるための穴、副軸を入れるための穴、ディファレンシャルギヤ(デフ)を入れるための穴、デフオイルシールを入れるための穴を示す。
図6の、特に副軸用の穴について見ると、従来の真円度の予測値は約40弱の値を示しており、真円度の実測値である約30とは異なる値である。これに対し、実施例の真円度の予測値では約30を示しており、真円度の実測値である約30と近い値を示している。同様に、リダクション用の穴、デフ用の穴、デフオイルシート用の穴についても、従来の真円度の予測値より、本実施例の真円度の予測値の方が、より精度の高い予測値を算出することができた。この結果は、本発明のツーリング及び加工治具の設計支援装置を用いた機械加工において、所望の加工精度を得つつ、ツーリング及び加工治具の設計効率の低下を防ぐことができたことを示す。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
10 ツーリング及び加工治具の設計支援装置
20 表示部
30 入力部
40 記憶部
50 演算部

Claims (1)

  1. 加工設備に取り付けられた工具を用いて、加工治具に固定された被加工物を機械加工するために、ツーリング及び前記加工治具の設計を支援する設計支援装置であって、
    前記加工設備を弾性要素と剛体要素とで表現したモデルと、前記工具の形状及び材料特性とから、所定の加工条件における第1の振動特性を算出する手段と、
    前記被加工物及び前記加工治具の、形状及び材料特性から、前記所定の加工条件における第2の振動特性を算出する手段と、
    加工精度を予測する加工精度予測手段と、を備え、
    前記第1の振動特性は、前記加工設備に取り付けられた前記工具における前記被加工物との接触点に関する振動特性であり、
    前記第2の振動特性は、前記加工治具に固定された前記被加工物における前記工具による加工部位に関する振動特性であり、
    前記加工精度予測手段は、
    前記第2の振動特性が、所望の加工精度に応じて予め定められた基準値以上の場合は、
    前記第1の振動特性と切削力とに基づいて前記加工設備に取り付けられた前記工具における前記接触点に関する変位量である第1の変位量を算出し、
    前記第1の変位量と前記第2の振動特性とに基づいて、前記加工治具に固定された前記被加工物における前記加工部位に関する変位量である第2の変位量を算出し、
    前記第2の変位量から前記加工部位の加工精度を予測
    前記第2の振動特性が、前記基準値未満の場合は、
    前記第1の振動特性と切削力とに基づいて、前記第1の変位量を算出するが
    前記第2の変位量を算出せず、
    前記第1の変位量から、前記加工部位の加工精度を予測する、
    ツーリング及び加工治具の設計支援装置。
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