以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
(車両制御システムの構成)
図1は、本実施形態に係る車両制御システムを例示する配置構成図である。
図2は、本実施形態に係る車両制御システムを例示する概略構成図である。
図3は、コントロールユニットのブロック図である。
図4は、コントローラを例示する模式図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る車両制御システム1は、車体100の姿勢変化に応じてサスペンション110のダンパ112の特性を調整するシステムである。なお、本実施形態では、車両Mとして四輪自動車を例として説明する。また、説明の便宜上、本実施形態では、車体100の姿勢変化においてローリングの回転軸をX軸、ピッチングの回転軸をY軸、ヨーイングの回転軸をZ軸ということにする。また、X軸回りの回転角度をローリング角度、Y軸回りの回転角度をピッチング角度(または進行方向角度)、Z軸回りの回転角度をヨーイング角度ということにする。
四輪自動車では、4つの車輪120にサスペンション110が設けられており、走行中において路面から車輪120に伝わる振動をサスペンション110を介して車体100に伝えている。サスペンション110にはスプリング111と緩衝器であるダンパ112とが含まれる。本実施形態では、サスペンション110のダンパ112の減衰力を調整できるようになっている。なお、サスペンション110は車高を調整できる構成になっていてもよい。
ダンパ112の減衰力は、例えばダンパ112のロッドを回転させることで調整可能である。すなわち、ダンパ112のロッドの回転に応じてダンパオイルの流路の大きさが変わり、減衰力を調整することができる。ダンパ112には、ロッドを回転させるステッピングモータ113が設けられる。ステッピングモータ113に所定の信号を与えることでダンパ112のロッドの回転角度が調整され、これによりダンパ112の減衰力を遠隔調整できるようになる。
ロッドの回転角度に応じてダンパオイルの流路が連続的に変化する場合、ダンパ112の減衰力は実質的には無段階で連続調整可能である。減衰力の調整量や設定位置を分かりやすくするため、ロッドの回転角度の1回あたりの回転量を設定しておくことで、減衰力を段階的に調整するようにしてもよい。例えば、ダンパ112の減衰力の調整範囲を32分割するようにロッドの1回あたりの回転量を設定すれば、減衰力を32段階で調整でき、回転量をこの1/3に設定すれば、減衰力を96段階で調整できるようになる。このようにロッドの1回あたりの回転量の設定によって、減衰力を実質的に無段階から所望の段階で調整できるようになる。
4つの車輪120のダンパ112のそれぞれにステッピングモータ113が設けられることで、4輪に対応して各ダンパ112の減衰力を独立して調整することができる。減衰力の調整を行うため、各ステッピングモータ113はコントロールユニット10によって制御される。
コントロールユニット10からは、各ダンパ112のステッピングモータ113を制御するため信号線SLが設けられる。また、コントロールユニット10にはコントローラ20が接続される。使用者はコントローラ20から所望の減衰力を設定したり、所定のモードを選択したりすることで、車両制御についての指示を行うことができる。
図3に示すように、コントロールユニット10は、検知部11、記憶部12、モータインタフェース13、コントローラインタフェース14および制御部15を備える。コントロールユニット10にはGPS(Global Positioning System)センサ16が設けられていてもよい。なお、本実施形態ではコントロールユニット10の筐体内に検知部11、記憶部12、モータインタフェース13、コントローラインタフェース14、制御部15およびGPSセンサ16が組み込まれているが、各部のいずれかが筐体の外部に設けられていてもよい。
検知部11は、車体100の姿勢変化におけるピッチおよびロールの少なくとも一方についての回転方向の加速度に基づく値を検知する。すなわち、検知部11は、X軸回りおよびY軸回りの少なくとも一方についての回転方向の加速度に基づく値を検知する。ここで、加速度に基づく値とは、加速度のほか、加速度から求められる角度、速度、距離など他の値であってもよい。また、検知部11による検知には、加速度の検知や加速度に基づく値を検知する場合のほか、加速度に基づく演算した値を出力することを含む。検知部11は、ヨーにおける回転方向(Z軸回り)の加速度に基づく値を検知してもよい。検知部11は、3軸回りの加速度センサであってもよい。検知部11は、軸回りの加速度センサに加え、軸方向の加速度センサを含んでいてもよい。本実施形態では、検知部11を単に「センサ」ということもある。
記憶部12は、検知部11で検知した加速度に基づく値を記憶するメモリ(ROMやRAM)である。記憶部12は、各種の制御モードで使用する設定情報(セッティングデータ、マップデータなど)や後述する車両制御プログラムを記憶していてもよい。
モータインタフェース13は、ダンパ112の減衰力を調整するためのステッピングモータ113との間のインタフェースである。モータインタフェース13には、信号線SLを接続するコネクタおよびモータドライバが含まれる。コントロールユニット10からステッピングモータ113へは信号線SLを介してダンパ112の減衰力を調整するためのモータ制御の信号が送られる。なお、コントロールユニット10からステッピングモータ113への信号の送信は無線で行ってもよい。この場合、モータインタフェース13は、無線通信用のインタフェースを含む。
コントローラインタフェース14は、コントロールユニット10とコントローラ20との間のインタフェースである。コントローラインタフェース14には、コントローラ20との間の信号送受を行う信号回路およびディスプレイドライバが含まれる。コントロールユニット10とコントローラ20との間の信号送受は無線で行ってもよい。この場合、コントローラインタフェース14は無線通信用のインタフェースを含む。
コントロールユニット10は一体型であってもよいし、分離型であってもよい。分離型の場合、例えば、前輪側のステッピングモータ113と通信を行うモータインタフェース13を含む部分と、後輪側のステッピングモータ113と通信を行うモータインタフェース13を含む部分とに分離していてもよい。前輪側/後輪側でコントロールユニット10が分けられていることで、それぞれのステッピングモータ113の近くにコントロールユニット10の部分を配置することができる。これにより、信号線SLを用いる場合には配線を短くすることができ、取り回しを容易にできるとともにノイズ侵入を抑制しやすくなる。また、無線通信を行う場合にはノイズ侵入や混信等を抑制して通信信頼性を高めることができる。
図4に示すように、コントローラ20には、操作部21およびディスプレイ22が設けられる。ユーザは操作部21のボタンやダイヤルによって所望のモードを選択したり、好みの減衰力などのパラメータを設定したりする。ユーザが選択したモードやパラメータ、現在の状況はディスプレイ22に表示される。
例えば、ディスプレイ22には、4輪のダンパ112の減衰力を示す数値が、4輪の位置に対応して表示される。また、自動的に減衰力を調整するモードを選択すると、ディスプレイ22にそれを示すマーク(例えば、「AUTO」)が表示される。自動的に減衰力が調整された場合、減衰力を示す数値がその都度切り替わり、現在どのような減衰力に調整されているのかを確認することができる。本実施形態では、自動的な減衰力調整を行う際、減衰力を示す数値が調整を行う所定期間(演算期間)の単位でディスプレイ22に表示される。
ディスプレイ22にはインジケータ221が表示される。例えば、走行中に減衰力が自動的に調整された場合、インジケータ221が例えば一定時間点滅し、調整されたことをユーザに知らせることができる。減衰力が調整された場合、減衰力を示す数値の表示が点滅するようにしてもよい。
制御部15は、各部を制御する部分である。図3に示すように、制御部15には、演算部151、比較部152および調整部153が含まれる。演算部151は、検知部11で検知した加速度に基づく値を予め設定された演算期間において積算する演算を行う部分である。比較部152は、演算部151で積算した加速度に基づく値の積算値と予め設定された積算基準値とを比較する部分である。調整部153は、比較部152での比較結果に基づきダンパ112の減衰力を調整する部分である。演算部151、比較部152および調整部153で行う処理は、後述の車体制御プログラムによって実現してもよい。
このような構成を備えた車両制御システム1では、車体100の姿勢変化における回転方向の加速度に基づく値を演算期間において積算することで、演算期間での車体100の姿勢変化の度合い(方向性および大きさ)を把握することができる。この姿勢変化の度合いと基準値とを比較した結果に基づきダンパ112の減衰力を調整することで、走行状況に適合したダンパ112の減衰力調整が自動的に行われる。
一般に、加速度に基づきダンパ112の減衰力を調整する場合、加速度に基づく値と減衰力との対応付けを示すマップや関数を用いて加速度に基づく値から減衰力を求め、リアルタイム的にダンパ112の減衰力を調整することが考えられる。しかし、本実施形態に係る車両制御システム1では、単に車体100の加速度に基づく値に応じてリアルタイム的にダンパ112の減衰力を調整するのではなく、一定の演算期間で加速度に基づく値を積算した値(積算値)に基づき、演算期間の単位で減衰力調整を行うため、走行状況の変化をある程度平滑化して把握し、急峻な減衰力の変更を避けることができる。これにより、ドライバーや同乗者に感じさせる調整の不快感や違和感を抑制し、自然な調整を行うことが可能となる。また、細かなマップや複雑な関数を用意したり、ユーザが設定したりすることなく、簡単な処理で減衰力の最適な調整を行うことができる。
(車体制御方法)
次に、車体100の制御方法について説明する。
図5は、イニシャライズ処理を例示するフローチャートである。
イニシャライズは、本実施形態に係る車両制御システム1を車体100に取り付けたのち、検知部11の読み値の基準を得るために行うものである。
先ず、ステップS101に示すように、センサの値を検知する。例えば、検知部11はコントロールユニット10の筐体内に組み込まれているため、コントロールユニット10を車体100の所定位置に取り付けた後、静止状態で検知部11の値を読み取る。
次に、ステップS102に示すように、センサの値を基準値として記憶する。先のステップ101で読み取った検知部11の値は、車体100が静止している状態で取り込んでいるため、加速度はゼロである。したがって、この状態での検知部11の値を基準値として記憶部12に記憶する。これにより、加速度に基づく値を検知する際の基準が決まることになる。
イニシャライズを行うことで、検知部11の取り付け位置にずれがあった場合でも、その位置を基準として加速度に基づく値の検知を正確に検出できるようになる。
次に、走行時における自動的な車両制御について説明する。
図6は、車両制御処理を例示するフローチャートである。
先ず、ステップS201に示すように、動力源がONになったか否かを判断する。エンジンを動力源とする場合、例えばスタートボタンやイグニッションスイッチをONにしたか否かを判断し、モータを動力源とする場合、電源スイッチをONにしたか否かを判断する。
動力源がONになった場合(ステップS201でYes)、モード選択がAUTOになっていることを受け付けると(ステップS202)、ステップS203に示すように、イニシャライズを行うか否かを判断する。イニシャライズを行うか否かは、ユーザによるコントローラ20の操作によって判断される。例えば、車体100に乗車した人数や荷物などの車載重量のバランスが変化した場合、ユーザはコントローラ20の操作でイニシャライズを選択する。イニシャライズを行うことで検知部11の基準値を校正することができる。一方、イニシャライズが不要な場合には、ユーザはコントローラ20を操作してイニシャライズをしないことを選択する。
イニシャライズを行う場合(ステップS203でYes)、ステップS204に示すようにイニシャライズを行う。イニシャライズは図5に示すフローチャートに沿って行われる。イニシャライズによって検知部11の基準値の校正が行われる。
次に、ステップS205に示すように、閾値設定を行うか否かの判断を行う。閾値設定の項目としては、調整開始時(スタート時)の減衰力の設定値、1回の調整で行う減衰力の変化の範囲(調整ステップ範囲)、加速度や角度の変化における処理を無視する範囲(処理余裕度)、加速度や角度の変化における処理を無視する値(ノイズ除去度)、減衰力調整における積算基準値などである。いずれの項目も予め初期値が設定されているため、ユーザの好みに応じて設定することができる。
閾値設定を行うか否かは、ユーザによるコントローラ20の操作によって判断される。閾値設定を行う場合(ステップS205でYes)、ステップS206に示す閾値の入力を受け付ける。閾値は、ユーザによるコントローラ20の操作によって行われる。閾値設定を受け付けた後、ステップS207へ進む。閾値設定を行わない場合(ステップS205でNo)、またはイニシャライズを行わない場合(ステップS203でNo)もステップS207へ進む。
ステップS207では、車両Mの移動開始を検知する(ドライブスタート)。その後、ステップS208~ステップS209に示すように、積算/演算処理および減衰力調整を繰り返す。ステップS208~ステップS209の積算/演算処理および減衰力調整については後述する。
そして、ステップS210に示すように、動力源がOFFになったか否かを判断する。動力源がOFFになっていない場合(ステップS210でNo)、ステップS208へ戻り、以降の処理を繰り返す。
次に、図6のステップS207~ステップS208に示す積算/演算処理および減衰力調整について説明する。
図7は、積算/演算処理および減衰力調整処理を例示するフローチャートである。
先ず、ステップS301に示すように積算値のリセットを行う。積算値は記憶部12に記憶されるが、動力源がONになった段階で、記憶部12に記憶されている積算値(以前に記憶した積算値)をリセットする。
次に、ステップS302に示すように、センサの値を検知する。すなわち、検知部11による加速度に基づく値の検知を行う。加速度に基づく値は、所定のサンプリングレートによって検知される。サンプリングレートは、例えば20ミリ秒以上100ミリ秒以下程度である。サンプル数は、後述する演算期間内で2つ以上必要である。所定の積算期間におけるサンプリング数を一定するため、積算期間に対するサンプリングレートの比率を一定にしてもよい。これにより、積算期間におけるデータの蓄積量を抑制しつつ、加速度に基づく演算の信頼性を安定させることができる。
次に、ステップS303に示すように、検知した加速度に基づく値を積算する。ここで、値の積算とは、検知部11で検知した加速度に基づく値を次々に加えて計算することをいう。加速度に基づく値の積算は演算部151によって行われる。
ここで、加速度に基づく値には、プラス(+)とマイナス(-)とがある。例えば、ピッチングであるY軸回りの加速度や角度変化(以下、「加速度等」と言う。)では、例えば、前傾する方向の加速度等がマイナス(-)、後傾する方向の加速度等がプラス(+)とする。ローリングであるX軸回りの加速度等では、例えば、右側に傾斜する方向の加速度等がマイナス(-)、左側に傾斜する方向の加速度等がプラス(+)となる。ヨーイングであるZ軸回りの加速度等では、例えば、右回りの加速度等がマイナス(-)、左回りの加速度等がプラス(+)となる。検知部11で検知する加速度に基づく値には、プラス/マイナスの符号および加速度に基づく値の大きさを示す数値が表される。ステップS204に示す加速度に基づく値の積算では、この加速度に基づく値の符号と大きさとを含めて積算を行う。なお、積算においては、プラス(+)の値を積算するプラス積算を行い、マイナス(-)の値を積算するマイナス積算を行ってもよい。
次に、ステップS304に示すように、演算期間を経過したか否かを判断する。演算期間を経過していない場合にはステップS302へ戻り、センサの値の検知と、ステップS303に示す検知した値の積算を繰り返す。すなわち、ステップS302からステップS304の処理によって、予め設定された演算期間において検知部11で検知した加速度に基づく値の積算が行われる。
演算期間を経過すると(ステップS304でYes)、ステップS305へ進み、積算値と積算基準値との比較を行う。この比較は、比較部152によって行われる。なお、比較部152では、プラス積算とマイナス積算との大きさ(積算の絶対値)を比較して、プラス傾向か、マイナス傾向かを求めてもよい。次に、ステップS306に示すように、比較結果に基づく減衰力調整を行う。減衰力調整は、調整部153によって行われる。調整部153は、比較部152による比較結果(加速度に基づく値の積算値と、予め設定された積算基準値との比較結果)に基づき、各ダンパ112の減衰力を調整するため、モータインタフェース13に調整のための信号を送る。モータインタフェース13は、調整部153から送られた信号に基づき各ダンパ112に設けられたステッピングモータ113を駆動するための信号を出力する。これにより、ステッピングモータ113が所定量回転して、ダンパ112の減衰力が調整される。
次に、ステップS307に示すように、次の演算期間があるか否かを判断する。次の演算期間がある場合(ステップS307でYes)、ステップS301へ戻り、以降の処理を繰り返す。次の演算期間がない場合(ステップS307でNo)、本処理を終了する。これにより、所定の演算期間の単位で、検知部11での加速度に基づく値の検知、検知した加速度に基づく値の積算、および積算値に基づく減衰力調整が行われることになる。
本実施形態に係る車両制御システム1による制御によって、車両Mの走行中の姿勢変化に基づき発生する加速度に基づく値を所定の演算期間の単位で積算し、演算期間の単位で減衰力を自動的に調整することができる。ユーザは特別な設定を行う必要はなく、車両Mの走行中の姿勢変化から走行条件に適合したダンパ112の減衰力の自動的な調整によって運転を行うことが可能となる。
ここで、制御部15によって減衰力の調整制御を行うにあたり、検知部11で検知した値に変化があっても一定範囲内に収まる変化が一定時間継続した場合は積算値に基づく減衰力調整を行わず、一定範囲を超える変化が生じた場合に積算値に基づく減衰力調整を行うようにしてもよい。例えば、動力源をONにすることでエンジンが始動したり、ファンが回転したりすることで、停止している状態でも車体100に一定の振動が発生し検知部11から信号が出力されることになる。上記の一定範囲を適宜設定することで、このような停止状態での振動と、実際に走行しているときの振動とを区別することができる。
制御部15は、所定の積算単位で検知部11にて検知した値の積算を行い、連続する複数の積算単位での積算値のばらつきが一定範囲を超えるか否かで、車両Mの停止状態と、走行状態とを区別してもよい。これにより、制御部15は、停止状態での振動であると判断した場合には減衰力調整は行わず、走行状態での振動であると判断した場合には減衰力調整を行うようにしてもよい。また、ステップ207の車両Mのドライブスタートの検知を、この振動の区別によって行うようにしてもよい。また、制御部15は、上記の区別における一定範囲(閾値)を変えることで、車両Mの安定走行状態(減衰力調整を行わない状態)と非安定走行状態(減衰力調整を行う状態)との区別を行うことも可能である。
(制御の具体例)
次に、制御の具体例について説明する。なお、説明の便宜上、ピッチングであるY軸回りの加速度に基づく制御の例について説明するが、ローリングであるX軸回り、ヨーイングであるZ軸回りの加速度に基づく制御についても同様である。
図8は、制御の具体例(その1)を例示する図である。
図8には、加速度に基づく値の時間変化のグラフが示される。グラフにおける横軸は時間、縦軸の基準線(加速度に基づく値がゼロ)に対して上側がプラス(+)、下側がマイナス(-)の値である。なお、プラス(+)/マイナス(-)は、センサの設置の向きとイニシャライズした際のセンサ基準値によって決まる(以下、同様)。
この例では、車両Mの走行中の演算期間Taの単位で加速度に基づく値の積算値Σを演算する。そして、積算値Σがプラス(+)であるか、マイナス(-)であるかによって減衰力を高くするか、低くするかを判断する。
例えば、最初の演算期間Ta(1)での加速度に基づく値の積算値Σ(1)がプラス(+)だとする。調整部153は、加速度に基づく値の積算値Σ(1)がプラス(+)であると車体100のピッチングとして前傾よりも後傾のほうが多いと判断し、例えばリアのダンパ112の減衰力を高めるようにステッピングモータ113を制御する。
リアのダンパ112の減衰力を高めることで、次の演算期間Ta(2)での加速度に基づく値の積算値Σ(2)は、演算期間Ta(1)での積算値Σ(1)よりもプラス(+)の値が小さくなる。しかし、まだプラス(+)であることから、調整部153は、さらにリアのダンパ112の減衰力を高めるようにステッピングモータ113を制御する。
これにより、次の演算期間Ta(3)での加速度に基づく値の積算値Σ(3)はゼロ(0±所定範囲)になる。このような加速度に基づく値の積算と減衰力調整を繰り返すことで、加速度に基づく値の積算値Σがゼロ(0±所定範囲)に入るようにダンパ112の減衰力が自動的に調整される。
このような制御では、例えば、車両Mの減速が多い走行状況では、ピッチングにおける加速度に基づく値の積算としてマイナス(-)の値が高くなる(ノーズダイブが大きい)。この場合、マイナス(-)の値が低くなるようにダンパ112の減衰力が調整され、ノーズダイブが小さくなるように自動的に制御される。すなわち、演算期間Taの単位で加速度に基づく値の積算値がプラス(+)になっているかマイナス(-)になっているかの判断だけで減衰力の調整方向を決定し、所定単位で減衰力を調整していくことから、マップや関数を用いた複雑な処理を行うことなく、減衰力を調整できることになる。
なお、この制御において、演算期間Taの単位で行う減衰力の調整の範囲(調整量)は予め設定されている。これにより、調整量のピッチで減衰力の段階的な調整が行われる。この調整量は、車両制御システム1の記憶部12に予め設定されていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。調整量は、減衰力の調整感度と等価である。したがって、調整量が大きいと、調整によって急激に減衰力が変化するため、不快感を与える可能性もある。一方、調整量が小さいと、1回の調整での減衰力変化が少なく、走行条件に合致した減衰力の調整に時間が掛かることになる。ユーザによって設定する場合には、コントローラ20の操作部21によって調整量の値を直接設定したり、調整量のプラス/マイナスを選択したりできるようにすればよい。
また、上記の例では、加速度に基づく値の積算値Σがゼロ(0±所定範囲)になることを目標値(積算基準値)としてダンパ112の減衰力を調整しているが、プラス(+)側またはマイナス(-)側の所定の値を目標値(積算基準値)としてダンパ112の減衰力を調整してもよい。例えば、僅かにマイナス(-)側になる値を目標値にすることで、ピッチングとして後傾よりも僅かに前傾ぎみに(前傾しやすく)車体100が姿勢変化するような減衰力に調整するようにしてもよい。
また、加速度に基づく値の積算値Σの目標値(積算基準値)は、上限および下限を持った所定の範囲に設定されていてもよい。これにより、加速度に基づく値の積算値Σが所定の目標範囲に収まるような制御が行われる。
また、減衰力の調整量や、目標値の範囲は、車両Mの走行速度によって変化させてもよい。例えば、車両Mの速度が高いほど調整量を小さくし、目標値の範囲を広くする。これにより、高速走行時の急激な減衰力変化による不快感を与えないようにすることができる。
この例では、演算期間Taの単位で加速度に基づく値の積算および積算値Σに基づく減衰力調整が行われるため、演算期間Taでの走行状況を平均化して減衰力を調整することになり、急激な乗り心地の変化を起こすことなく、自然に走行状況に合わせた減衰力へ合わせていくことが可能となる。また、演算期間Taでの積算値Σがプラスかマイナスかによって減衰力の調整方向を判断するため、複雑な演算を行うことなく制御が可能となる。
図9は、制御の具体例(その2)を例示する図である。
図9には、加速度に基づく値の時間変化のグラフが示される。グラフにおける横軸は時間、縦軸の基準線(加速度に基づく値がゼロ)に対して上側がプラス(+)、下側がマイナス(-)の値である。
この例では、車両Mの走行中の演算期間Taの単位で加速度に基づく値の積算値Σとともに、加速度に基づく値の絶対値の平均値Aも演算する。そして、積算値Σがプラス(+)であるか、マイナス(-)であるかによって減衰力を高くするか、低くするかを判断し、さらに、加速度に基づく値の絶対値の平均値Aが平均基準値RAに近づくように減衰力を調整する。
例えば、最初の演算期間Ta(1)での加速度に基づく値の積算値Σ(1)および加速度に基づく値の絶対値の平均値A(1)を演算し、積算値Σ(1)がマイナス(-)だとする。調整部153は、加速度に基づく値の積算値Σ(1)がマイナス(-)であると車体100のピッチングとして後傾よりも前傾のほうが多いと判断し、例えばフロントのダンパ112の減衰力を高めるようにステッピングモータ113を制御する。
フロントのダンパ112の減衰力を高めることで、次の演算期間Ta(2)での加速度に基づく値の積算値Σ(2)は、演算期間Ta(1)での積算値Σ(1)よりもマイナス(-)の値が小さくなる。ここで、加速度に基づく値の積算値Σ(2)はゼロ(0±所定範囲)に入ったとする。しかし、加速度に基づく値の絶対値の平均値A(2)が平均基準値RAよりも大きいとすると、調整部153は、例えば4輪全てのダンパ112の減衰力を高めるようにステッピングモータ113を制御する。
これにより、次の演算期間Ta(3)での加速度に基づく値の積算値Σ(3)はゼロ(0±所定範囲)であり、さらに加速度に基づく値の絶対値の平均値A(3)は、平均基準値RA以下となる。このような加速度に基づく値の積算値Σおよび絶対値の平均値Aに基づき減衰力調整を繰り返すことで、加速度に基づく値の積算値Σがゼロ(0±所定範囲)で加速度に基づく値の絶対値の平均値Aも平均基準値RAに収まるようにダンパ112の減衰力が自動的に調整される。
このような制御では、例えば、車両Mの加減速が多い走行状況で、ピッチングにおける前傾/後傾を大きく繰り返しているが、積算するとプラス(+)およびマイナス(-)が相殺されていることも起こり得る。この場合、加速度に基づく値の絶対値の平均値Aを平均基準値RAと比較することで、積算値Σのプラス(+)/マイナス(-)がゼロ(0±所定範囲)になっていたとしても、平均基準値RAを越えるような大きな加速度等になっているときにはこれを抑制するようにダンパ112の減衰力が自動的に調整される。
なお、この制御において、加速度に基づく値の絶対値の平均基準値RAは、車両制御システム1の記憶部12に予め設定されていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。ユーザによって設定する場合には、コントローラ20の操作部21によって平均基準値RAの値を直接設定したり、平均基準値RAのプラス/マイナスを選択したりできるようにすればよい。
また、平均基準値RAは、ゼロよりも大きい値の所定の範囲を持っていてもよい。すなわち、平均基準値RAは、ゼロを含まないある範囲の加速度等に収まるような目標値であってもよい。
また、平均基準値RAやその範囲は、車両Mの走行速度によって変化させてもよい。例えば、車両Mの速度が高いほど平均基準値RAを大きくし、範囲を広くする。これにより、高速走行時の急激な減衰力変化による不快感を与えないようにすることができる。
なお、上記の例では、加速度に基づく値の積算値Σと、加速度に基づく値の絶対値の平均値Aとの両方に基づき制御を行っているが、加速度に基づく値の絶対値の平均値Aのみで制御を行ってもよい。
図10は、制御の具体例(その3)を例示する図である。
図10には、加速度に基づく値の時間変化のグラフが示される。グラフにおける横軸は時間、縦軸の基準線(加速度に基づく値がゼロ)に対して上側がプラス(+)、下側がマイナス(-)の値である。
この例では、車両Mの走行中の演算期間Taの単位で加速度に基づく値の積算値Σとともに、加速度に基づく値の波形の平均周期Cも演算する。そして、積算値Σがプラス(+)であるか、マイナス(-)であるかによって減衰力を高くするか、低くするかを判断し、さらに、加速度に基づく値の波形の平均周期Cが周期基準値RCに近づくように減衰力を調整する。
例えば、最初の演算期間Ta(1)での加速度に基づく値の積算値Σ(1)および加速度に基づく値の波形の平均周期C(1)を演算し、積算値Σ(1)がマイナス(-)だとする。調整部153は、加速度に基づく値の積算値Σ(1)がマイナス(-)であると車体100のピッチングとして後傾よりも前傾のほうが多いと判断し、例えばフロントのダンパ112の減衰力を高めるようにステッピングモータ113を制御する。また、演算期間Ta(1)での加速度に基づく値の波形の平均周期C(1)が周期基準値RCよりも小さいとすると、調整部153は、例えば4輪全てのダンパ112の減衰力が高いと判断し、減衰力を低くするようにステッピングモータ113を制御する。
フロントのダンパ112の減衰力を高めることで、次の演算期間Ta(2)での加速度に基づく値の積算値Σ(2)は、演算期間Ta(1)での積算値よりもマイナス(-)の値が小さくなる。ここで、加速度に基づく値の積算値Σ(2)はゼロ(0±所定範囲)に入ったとする。しかし、加速度に基づく値の波形の平均周期C(2)が周期基準値RCよりも小さいとすると、調整部153は、例えば4輪全てのダンパ112の減衰力をさらに低くするようにステッピングモータ113を制御する。
これにより、次の演算期間Ta(3)での加速度に基づく値の積算値Σ(3)はゼロ(0±所定範囲)であり、さらに加速度に基づく値の波形の平均周期C(3)は、周期基準値RC以上となる。このような加速度に基づく値の積算値Σおよび加速度に基づく値の波形の平均周期Cに基づき減衰力調整を繰り返すことで、加速度に基づく値の積算値Σがゼロ(0±所定範囲)で加速度に基づく値の波形の平均周期Cも周期基準値RCに収まるようにダンパ112の減衰力が自動的に調整される。
この制御において、加速度に基づく値の波形の周期基準値RCは、車両制御システム1の記憶部12に予め設定されていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。ユーザによって設定する場合には、コントローラ20の操作部21によって周期基準値RCの値を直接設定したり、周期基準値RCのプラス/マイナスを選択したりできるようにすればよい。
また、周期基準値RCは、上限および下限を持った所定の範囲に設定されていてもよい。これにより、加速度に基づく値の波形の平均周期Cが周期基準値RCの範囲に収まるような制御が行われる。
また、周期基準値RCやその範囲は、車両Mの走行速度によって変化させてもよい。例えば、車両Mの速度が高いほど周期基準値RCを大きくし、範囲を広くする。これにより、高速走行時の急激な減衰力変化による不快感を与えないようにすることができる。
図11は、制御の具体例(その4)を例示する図である。
図11には、車両Mの走行時間と演算期間との関係が示される。
この例では、車両Mの走行が開始されてから、走行時間に応じて演算期間を変化させている。演算期間の変化の例としては、以下が挙げられる。
(1)車両Mの一連の走行時間が経過するほど、演算期間が長くなる。
(2)車両Mの一連の走行時間が経過するほど、演算期間の頻度が低くなる。
(3)車両Mの速度が高くなるほど、演算期間が長くなる。
ここで、一連の走行時間とは、動力源がONになってからOFFになるまでの時間である。
例えば、図11に示すように、車両Mの走行が開始された直後においては、演算期間Taを連続して設定し、各演算期間Taにおいて加速度に基づく演算および演算期間Taの単位での減衰力調整を行う。車両Mが走行を開始してから初期の段階では、道路状況や走行状態を高い頻度で検出して、迅速に減衰力を調整することが好ましい。このため、演算期間Taとして比較的短い期間、連続するように設定するとよい。
車両Mの一連の走行がある程度進むと、演算期間Taよりも長い演算期間Tbを設定してもよい。これは、車両Mの走行開始から初期の段階に比べ、走行状態の把握が進むことから、初期ほど頻繁に減衰力を調整する必要はなくなる。このため、走行開始からある程度の時間を経過していれば、演算期間Taよりも長い演算期間Tbを設定するようにしてもよい。
また、車両Mの一連の走行がある程度進んだ際、演算期間Taを連続させずに所定のピッチを設けるようにしてもよい。すなわち、演算期間Taの頻度を初期に比べて下げるようにしてもよい。
また、車両Mの車速(例えば、GPSセンサ16、車両MのOBD(On Board Diagnostics)から取得した車速、検知部11で検知した加速度から演算した車速)に応じて演算期間Ta、Tbの長さやピッチを変更するようにしてもよい。例えば、車両Mの速度が低い場合には演算期間Taを短くし、車両Mの速度が高くなるほど演算期間Taを長くする。
つまり、市街地や山道のような走行状況が変化しやすい環境では車両Mの速度は比較的低いことが多い。したがって、低速域では演算期間Ta、Tbを短くして、減衰力の調整頻度を高くする。一方、高速道路を走行するような速度域では、道路状況や走行状態が安定していることから、演算期間Ta、Tbを長くしたり、演算期間Ta、Tbの頻度を低くしたりして減衰力の調整頻度を低くする。これにより、高速走行中の頻繁な減衰力調整を抑制し、ドライバーや同乗者に減衰力の切り替わりで不快感を与えないようにするとともに、高速走行での安定感を優先することが可能となる。
(車体の動きの具体例)
図12および図13は、検知部によって検知した値の一例を示すグラフ図である。
図12には、車両Mが停止している状態から一定時間の加速を行い、その後、減速して停止するまでのピッチング角度(進行方向角度)の時間変化が示される。グラフの縦軸は角度(°)、横軸は時間(s:秒)である。ピッチング角度は、検知部11で検知した加速度から演算によって求められる。
車両Mが停止状態から加速するとピッチング角度がプラス(+)に変化し、減速するとマイナス(-)に変化する。このような変化は、一般道を走行しているときに生じやすい。なお、プラス(+)傾向、マイナス(-)傾向の強さはFFやFRなど駆動方式によっても相違する。本実施形態では、加速/減速を繰り返すことで変化する例えばピッチング角度を所定の演算期間で積算し、積算値と基準値との比較によってダンパ112の減衰力を調整する。
図13(a)には、車両Mが高速走行している状態でのピッチング角度、(b)にはローリング角度、(c)にはヨーイング角度の時間変化が示される。グラフの縦軸は角度(°)、横軸は時間(s:秒)である。これらの角度は、検知部11で検知した加速度から演算によって求められる。
車両Mが高速走行している状態では、各角度において変化の少ない期間が長く続くことが分かる。このため、一般道に比べて積算の演算期間を長くするか、演算期間と演算期間との間を長くすることが好ましい。また、検知部11で検知した値に変化があっても一定範囲内に収まる変化が一定時間継続した場合は積算値に基づく減衰力調整を行わず、一定範囲を超える変化が生じた場合に積算値に基づく減衰力調整を行うようにしてもよい。
検知部11の感度やサンプリングレートにもよるが、検知した加速度に基づく値の波形にはノイズ成分も多く含まれている。したがって、取得した波形から所定の高周波をカットするローパスフィルタや移動平均処理などの信号処理を行った後、演算を行うようにしてもよい。
(マップ制御)
次に、本実施形態に係る車両制御システム1のマップ制御への適用例について説明する。
図14は、マップ制御で用いられるマップデータの例を示す図である。
マップ制御は、予め設定されたトリガーポイントとなる加速度や車速とダンパ112の減衰力との対応をマップデータMDとして設定しておき、走行中の車両Mの加速度や車速がトリガーポイントを超えた場合にマップデータMDに設定された減衰力へ自動的に調整する制御である。
マップデータMDは記憶部12に記憶されており、ユーザがコントローラ20を操作することによって任意に編集することができる。ユーザがコントローラ20でマップ制御モードを選択すると制御部15によるマップ制御が実行される。マップ制御では、制御部15の調整部153がマップデータMDに基づくダンパ112の減衰力になるようステッピングモータ113を動作させる。
一例として、図14に示すマップデータMDでは、加減速G(加速度)、旋回Gおよび車速のそれぞれについて、複数個のチャンネルCH1、CH2、…にトリガーポイントと4輪のダンパ112の減衰力(FL:左フロント、FR:右フロント、LL:左リア、LR:右リア)を設定できるようになっている。
例えば、チャンネルCH1には、加減速G=0、旋回G=0、車速=0の場合、すなわち通常状態の場合、FL=25、FR=25、LL=25、LR=25に設定するデータがセットされている。ここで、減衰力の数値は、最も減衰力が高い1から最も減衰力が低い32までの32段階で設定される場合を例とする。チャンネルCH1にセットされた減衰力は通常状態の設定であり、他のチャンネルに設定されたトリガーポイントに達するまでその減衰力が維持される。
チャンネルCH2、CH3には、加減速Gに対応したトリガーポイントと4輪のダンパ112の減衰力とのデータがセットされている。チャンネルCH4、CH5には、旋回Gに対応したトリガーポイントと4輪のダンパ112の減衰力とのデータがセットされている。チャンネルCH6には、車速に対応したトリガーポイントと4輪のダンパ112の減衰力とのデータがセットされている。また、チャンネルCH7には、旋回Gおよび車速のそれぞれに対応したトリガーポイントと4輪のダンパ112の減衰力とのデータがセットされている。
チャンネルCH2~CH6では、加減速G、旋回Gおよび車速のそれぞれ1種類についてのトリガーポイントが設定される。したがって、加減速G、旋回Gおよび車速のいずれの値が設定されたトリガーポイントに達した場合、そのチャンネルCH2~CH6に対応してセットされた減衰力に自動的に調整される。また、そのトリガーポイントを下回った場合、チャンネルCH1の通常状態の減衰力に戻される。
例えば、車両Mが停止している状態および走行を開始した段階では、制御部15はマップデータMDのチャンネルCH1の減衰力であるFL=25、FR=25、LL=25、LR=25になるようステッピングモータ113を制御する。制御部15は検知部11で検知した車両Mの加速度や車速の情報を得てマップ制御を行う。
ここで、車両Mが加速することで加減速GがマップデータMDのチャンネルCH2のトリガーポイントである0.5を上回った場合、制御部15はマップデータMDのチャンネルCH2にセットされた減衰力であるFL=22、FR=22、LL=15、LR=15になるようステッピングモータ113を制御する。車両Mの加速が弱まり、加減速Gが0.5を下回った場合には、制御部15はチャンネルCH1にセットされた減衰力に戻す。
また、車両Mが減速することで加減速Gが-0.4を下回った場合(マイナス側に増加した場合)、制御部15はマップデータMDのチャンネルCH3にセットされた減衰力であるFL=20、FR=20、LL=23、LR=23になるようステッピングモータ113を制御する。車両Mの減速が弱まり、加減速Gが-0.4を越えた場合(プラス側に増加した場合)には、制御部15はチャンネルCH1にセットされた減衰力に戻す。
車両Mが左旋回することで旋回Gが0.2を上回った場合、制御部15はマップデータMDのチャンネルCH4にセットされた減衰力であるFL=25、FR=18、LL=25、LR=18になるようステッピングモータ113を制御する。車両Mの旋回Gが弱まり、0.2を下回った場合には、制御部15はチャンネルCH1にセットされた減衰力に戻す。
また、車両Mが右旋回することで旋回Gが-0.2を下回った場合(マイナス側に増加した場合)、制御部15はマップデータMDのチャンネルCH5にセットされた減衰力であるFL=18、FR=25、LL=18、LR=25になるようステッピングモータ113を制御する。車両Mの旋回Gが弱まり、-0.2を上回った場合(プラス側に増加した場合)には、制御部15はチャンネルCH1にセットされた減衰力に戻す。
車両Mの速度が80km/hを越えた場合、制御部15はマップデータMDのチャンネルCH6にセットされた減衰力であるFL=22、FR=22、LL=22、LR=22になるようステッピングモータ113を制御する。車両Mの速度が80km/hを下回った場合には、制御部15はチャンネルCH1にセットされた減衰力に戻す。
チャンネルCH7では、加減速G、旋回Gおよび車速のうちのいずれか複数についてのトリガーポイントが設定される。チャンネルCH7では、加減速G、旋回Gおよび車速のうちのいずれか複数で設定された全てのトリガーポイントに達した場合、そのチャンネルCH7に対応してセットされた減衰力に自動的に調整される。また、これらのトリガーポイントのいずれか1つで値を下回った場合、チャンネルCH1の通常状態の減衰力に戻される。
上記のマップデータMDは一例であり、さらに多くのチャンネルにトリガーポイントがセットされていてもよいし、これよりも少ないチャンネルのセットであってもよい。このようなマップ制御は、特にサーキットのようなクローズドコースを走行する場合に有効な制御である。
ここで、上記のようなマップ制御を行うには、予めマップデータMDを用意しておく必要がある。このマップデータMDはユーザの好みによって任意に設定できるが、チャンネルごとに、加減速G、旋回G、車速の少なくともいずれかについてトリガーポイントを設定し、そのトリガーポイントに対応した4輪の減衰力のセットを設定するのは非常に手間のかかる作業となる。また、トリガーポイントに対応した減衰力のセットがユーザの好みに合うかどうか分からず、理想的なマップデータMDを作成するには何度も調整を繰り返しながら作り込みを行う必要がある。
そこで、このようなマップ制御と本実施形態に係る車両制御システム1とを組み合わせることで、マップデータMDの最適化および微調整を自動的に行うことが可能となる。
以下では、本実施形態に係る車両制御システム1のマップ制御への適用について、加減速Gを例として説明する。
図15は、加減速Gの時間変化とダンパの減衰力の変化を例示する図である。
なお、図15では、サーキットのようなクローズドコースを周回するときの加減速Gの変化の例と、左フロント(FL)および右フロント(FR)の減衰力の値の例とが示される。FLおよびFRの減衰力の値は図14に示すマップデータMDを用いる場合を例とする。
加減速Gが-0.4から+0.5の間では、制御部15はマップデータMDのチャンネルCH1にセットされたFL=25、FR=25の減衰力になるよう制御する。クローズドコースを周回するなかで、加減速Gが+0.5を越えた場合、その期間を演算期間Ta-a(1)、Ta-a(2)、…とする。一方、加減速Gが-0.4を下回った場合、その期間を演算期間Ta-b(1)、Ta-b(2)、…とする。
ここで、通常のマップ制御では、加減速Gが+0.5を越えた場合には、マップデータMDのチャンネルCH1に設定された減衰力(FL=25、FR=25)からチャンネルCH2に設定された減衰力(FL=22、FR=22)に変更される。ここから加減速Gが+0.5を下回ればチャンネルCH1に設定された減衰力(FL=25、FR=25)に戻る。加減速Gが-0.4を下回った場合には、チャンネルCH3に設定された減衰力(FL=20、FR=20)に制御され、これを上回った場合にはチャンネルCH1に設定された減衰力(FL=25、FR=25)に戻る。クローズドコースでは、各周回で同様な加減速Gの変化が繰り返されるため、減衰力の制御もマップデータMDに従った値に制御される。
本実施形態に係る車両制御システム1をマップ制御に適用する場合、制御部15の演算部151は、演算期間Ta-a(1)、Ta-a(2)、…、および演算期間Ta-b(1)、Ta-b(2)、…のそれぞれにおいて検知部11で検知した車両Mの加速度に基づく値の積算値Σを演算し、積算値Σに基づいてマップデータMDにセットされた減衰力に対して自動的に補正する。これにより、マップデータMDにセットされたトリガーポイントに対応する減衰力の値をユーザの走り方に応じて自動的にフィッティングすることができる。
図16および図17は、ピッチングの加速度に基づく値の積算と減衰力制御を例示する図である。
なお、説明の便宜上、ここではピッチングの加速度を例とするが、ローリングやヨーイングの加速度を用いる場合も同様である。
図16および図17の横軸は時間、縦軸はピッチングの加速度に基づく値を示す。
車両制御システム1の制御部15の制御部15の演算部151は、図15の演算期間Ta-a(1)、Ta-a(2)、…のそれぞれで、ピッチングの加速度に基づく値の積算値Σa(1)、Σa(2)、…を演算し、演算期間Ta-b(1)、Ta-b(2)、…のそれぞれで、ピッチングの加速度に基づく値の積算値Σb(1)、Σb(2)、…を演算する(図16および図17に示すハッチング部分参照)。
すなわち、演算部151は、加減速Gにおけるプラス側およびマイナス側のそれぞれにおいてトリガーポイントを超える期間(演算期間Ta)でピッチングの加速度に基づく値の積算値Σa、Σbを演算する。
ここで、積算値Σaは、予め設定されたピッチングの加速度に基づく値のプラス側の基準値Rf+をゼロとしたプラス/マイナスで演算される。すなわち、比較部152で基準値Rf+とピッチングの加速度に基づく値との比較結果を積算することで積算値Σaが得られる。
また、積算値Σbは、予め設定されたピッチングの加速度に基づく値のマイナス側の基準値Rf-をゼロとしたプラス/マイナスで演算される。すなわち、比較部152で基準値Rf-とピッチングの加速度に基づく値との比較結果を積算することで積算値Σbが得られる。この積算基準値である基準値Rf+およびRf-は、初期値として設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定および変更できるようになっていてもよい。
調整部153は、演算部151による積算値Σa、Σbの演算結果に基づいてマップデータMDにセットされたトリガーポイントに対応する減衰力の値に補正値を加える。ここで、プラス側の加減速Gに対応した減衰力の補正値をα、マイナス側の加減速Gに対応した減衰力の補正値をβとする。補正値α、βは、初期値として設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定および変更できるようになっていてもよい。
図16には、演算期間Ta-aおよびTa-bにおけるピッチングの加速度に基づく値の積算値Σaがプラス、Σbがマイナスになった場合の補正の例が示される。
例えば、演算期間Ta-a(1)での積算値Σa(1)がプラスとなった場合、次にトリガーポイントを越えてダンパ121の減衰力をマップデータMDにセットされた値に変更する際、セットされた減衰力の値を補正値αによって補正する。具体的には、調整部153はマップデータMDにセットされた減衰力の値から補正値αを引いた値に補正する。
また、演算期間Ta-b(1)での積算値Σb(1)がマイナスとなった場合、次にトリガーポイントを越えてダンパ121の減衰力をマップデータMDにセットされた値に変更する際、セットされた減衰力の値を補正値βによって補正する。具体的には、調整部153はマップデータMDにセットされた減衰力の値から補正値βを引いた値に補正する。
ここで、図14に示すマップデータMDのチャンネルCH2による加減速Gのトリガーポイントで設定したFLおよびFRの減衰力の値を例とすると、1Lap目において加減速Gが+0.5を越えた場合、チャンネルCH2にセットされたFLおよびFRの減衰力の値は25から22に変化する。通常のマップ制御では、2Lap目においても同様に減衰力の値は25から22に変化することになるが、本実施形態に係る車両制御システム1を適用すると、減衰力の値が補正され22-α=19となる(α=3として)。つまり、1Lap目の積算値Σa(1)がプラスになることから、マップデータMDに設定された減衰力では低いと考えられ、2Lap目では補正値αだけ減衰力を高くする補正を行う。
また、図14に示すマップデータMDのチャンネルCH3による加減速Gのトリガーポイントで設定したFLおよびFRの減衰力の値を例とすると、1Lap目において加減速Gが-0.4を越えた場合(下回った場合)、チャンネルCH3にセットされたFLおよびFRの減衰力の値は25から20に変化する。通常のマップ制御では、2Lap目においても同様に減衰力の値は25から20に変化することになるが、本実施形態に係る車両制御システム1を適用すると、減衰力の値が補正され20-β=17となる(β=3として)。つまり、1Lap目の積算値Σb(1)がマイナスになることから、マップデータMDに設定された減衰力では弱いと考えられ、2Lap目では補正値βだけ減衰力を高くする補正を行う。
図17には、演算期間Ta-aおよびTa-bにおけるピッチングの加速度に基づく値の積算値Σaがマイナス、Σbがプラスになった場合の補正の例が示される。
例えば、演算期間Ta-a(1)での積算値Σa(1)がマイナスとなった場合、次にトリガーポイントを越えてダンパ121の減衰力をマップデータMDにセットされた値に変更する際、セットされた減衰力の値を補正値αによって補正する。具体的には、調整部153はマップデータMDにセットされた減衰力の値に補正値αを足した値に補正する。
また、演算期間Ta-b(1)での積算値Σb(1)がプラスとなった場合、次にトリガーポイントを越えてダンパ121の減衰力をマップデータMDにセットされた値に変更する際、セットされた減衰力の値を補正値βによって補正する。具体的には、調整部153はマップデータMDにセットされた減衰力の値に補正値βを足した値に補正する。
ここで、図14に示すマップデータMDのチャンネルCH2による加減速Gのトリガーポイントで設定したFLおよびFRの減衰力の値を例とすると、1Lap目において加減速Gが+0.5を越えた場合、チャンネルCH2にセットされたFLおよびFRの減衰力の値は25から22に変化する。通常のマップ制御では、2Lap目においても同様に減衰力の値は25から22に変化することになるが、本実施形態に係る車両制御システム1を適用すると、減衰力の値が補正され22+α=25となる(α=3として)。つまり、1Lap目の積算値Σa(1)がマイナスになることから、マップデータMDに設定された減衰力では高いと考えられ、2Lap目では補正値αだけ減衰力を低くする補正を行う。
また、図14に示すマップデータMDのチャンネルCH3による加減速Gのトリガーポイントで設定したFLおよびFRの減衰力の値を例とすると、1Lap目において加減速Gが-0.4を越えた場合(下回った場合)、チャンネルCH3にセットされたFLおよびFRの減衰力の値は25から20に変化する。通常のマップ制御では、2Lap目においても同様に減衰力の値は25から20に変化することになるが、本実施形態に係る車両制御システム1を適用すると、減衰力の値が補正され20+β=23となる(β=3として)。つまり、1Lap目の積算値Σb(1)がプラスになることから、マップデータMDに設定された減衰力では高いと考えられ、2Lap目では補正値βだけ減衰力を低くする補正を行う。
このようなマップ制御をベースとした減衰力の補正を周回ごと積み重ねていくと、やがてトリガーポイントを超えた際に調整を行う減衰力の値が、基準値Rf+、Rf-に基づいて収束していくことになる。したがって、ユーザはクローズドコースの周回を重ねることでマップ制御による調整の不足分を補うような減衰力を得られることになる。
マップ制御をベースとした減衰力の補正は、マップデータMDを更新せずにその都度行ってもよいし、補正後の減衰力の値をマップデータMDに順次記憶して更新してもよい。また、補正後の減衰力の値を新たなマップデータMDとして別途記憶するようにしてもよい。
このように、マップ制御ではマップデータMDに基づきダンパ112の減衰力の値を自動的に調整することになるが、路面の状況、タイヤのグリップ、走行ライン、車両Mの重量、ダンパ112の減衰力特性(非直線性など)、ドライバーの技量、好みなど様々な条件によってマップデータMDの最適解は変わることになる。
本実施形態では、複雑なマップデータMDの設定に頼ることなくマップ制御での不足分を補うようにダンパ112の減衰力を自動調整できるようになる。
上記では、本実施形態に係る車両制御システム1のマップ制御への適用について、加減速Gを例として説明したが、旋回Gや車速をトリガーポイントしたマップ制御であっても同様に本実施形態に係る車両制御システム1を適用することができる。
また、上記では、本実施形態に係る車両制御システム1を適用することで、予め設定されたマップデータMDの減衰力に対して補正値を加えて制御する例を示したが、マップデータMDの減衰力に対して補正値を加えるのではなく、トリガーポイントに対して補正値を加えるようにしてもよい。
さらに、上記では、例えば図14に示すマップデータMDのように予めトリガーポイントと減衰力のセットとが設定されており、それについて本実施形態に係る車両制御システム1を適用して減衰力を補正する例を示したが、本実施形態に係る車両制御システム1を適用することで、マップデータMDを半自動的に作成することもできる。
例えば、マップデータMDの各チャンネルにはトリガーポイントだけ設定されており、各トリガーポイントに対応した減衰力のセットは一律の値(例えば、中央値)を設定しておく。この状態で本実施形態に係る車両制御システム1をマップ制御に適用すると、周回を重ねるたびにトリガーポイントを超えた際の減衰力の調整値が補正される。この補正後の減衰力の値をマップデータMDに記憶し、順次更新していくことで、所定の周回数を重ねた後の最新の減衰力の調整値がトリガーポイントに対応して設定されたマップデータMDが作成されることになる。
(車体制御プログラム)
次に、本実施形態に係る車体制御プログラムについて説明する。
本実施形態に係る車体制御プログラムは、車体100の姿勢変化に応じてサスペンション110のダンパ112の特性を調整するプログラムである。
車両制御プログラムは、コンピュータ(本実施形態では、例えば制御部15)を、車体100の姿勢変化におけるピッチおよびロールの少なくとも一方についての回転方向の加速度に基づく値を取得する取得手段、取得手段で取得した加速度に基づく値を予め設定された演算期間において積算する演算を行う演算手段、演算手段で演算した加速度に基づく値の積算値と予め設定された積算基準値とを比較する比較手段、比較手段での比較結果に基づきダンパ112の減衰力を調整する指示をダンパ調整部に与える調整指示手段、として機能させる。
本実施形態に係る車体制御プログラムにおいて、調整指示手段は、マップデータMDを用いたマップ制御において、マップデータMDに設定されたトリガーポイントに達した際、マップデータMDから得たトリガーポイントに対応したダンパ112の減衰力を比較手段での比較結果に基づき補正して調整することを含む。
本実施形態に係る車体制御プログラムは、コントロールユニット10の記憶部12に記憶されていてもよいし、別途の記録媒体に記録されていてもよい。また、車体制御プログラムは、ネットワークを介して配信されるものであってもよい。
(コンピュータ読取可能な記憶媒体)
本実施形態は、上記の車体制御プログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体であってもよい。すなわち、本実施形態に係るコンピュータ読取可能な記憶媒体は、車体100の姿勢変化におけるピッチおよびロールの少なくとも一方についての回転方向の加速度に基づく値を取得する取得ステップと、取得ステップで取得した加速度に基づく値を予め設定された演算期間において積算する演算を行う演算ステップと、演算ステップで演算した加速度に基づく値の積算値と予め設定された積算基準値とを比較する比較ステップと、比較ステップでの比較結果に基づきダンパ112の減衰力を調整する指示をダンパ調整部に与える調整指示ステップと、を記憶する。
(他の例)
本実施形態において、比較部152は、加速度に基づく値と所定の基準との比較において、数値による比較のほか、加速度に基づく値の波形と基準波形とのパターンマッチングや、AI(Artificial Intelligence)を利用した比較を行うようにしてもよい。例えば、車両Mの走行における加速度に基づく値の値を所定期間で蓄積しておき、加速度に基づく値の変化のパターンを解析することで基準となる波形のパターンを決定する。
また、検知部11で検知する加速度に基づく値のサンプリングレートを可変させてもよい。例えば、車両Mの速度が低い場合はサンプリングレートを高くし、速度が高い場合はサンプリングレートを低くする。また、加速度に基づく値の変化の度合いが高いほどサンプリングレートを高くする。
以上説明したように、本実施形態によれば、煩雑な設定を行うことなく、走行条件に適合した車両Mの制御を行うことができる車両制御システム1および車両制御プログラムを提供することが可能になる。
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、上記では、車両Mの制御としてダンパ112の減衰力を調整する例を示したが、ダンパ112の減衰力調整以外でも、車高の調整、アライメント(キャンバ、トーなど)の調整、エアサスペンションの調整、車輪へのトルク配分の調整など、他の姿勢制御に適用することが可能である。また、上記では、加速度センサである検知部11で検知した値に基づきダンパ112の減衰力調整等の車体制御を行っているが、角度検知部(例えばジャイロセンサ)によって検知したローリング角度、ピッチング角度およびヨーイング角度の少なくともいずれかに基づき、上記加速度の場合と同様な積算演算によって車体制御を行うようにしてもよい。また、車両Mとして四輪自動車を例としたが、サスペンションを備えた車両Mであれば二輪車、三輪車、電車など、他の移動体であっても適用可能である。
また、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
本実施形態は以下の付記を含む。
[付記1]
車体の姿勢変化に応じて走行特性を調整する車両制御システムであって、
前記車体の姿勢変化におけるピッチおよびロールの少なくとも一方についての回転方向の加速度に基づく値を検知する検知部と、
前記検知部で検知した加速度に基づく値および予め設定された演算期間をパラメータに含む演算を行う演算部と、
前記演算部で積算した演算結果と予め設定された基準値とを比較する比較部と、
前記比較部での比較結果に基づき前記走行特性を調整する調整部と、
を備えた車両制御システム。
[付記2]
車体の姿勢変化に応じて走行特性を調整する車両制御システムであって、
前記車体の姿勢変化におけるピッチおよびロールの少なくとも一方についての回転方向の角度を検知する角度検知部と、
前記角度検知部で検知した角度および予め設定された演算期間をパラメータに含む演算を行う演算部と、
前記演算部で積算した演算結果と予め設定された基準値とを比較する比較部と、
前記比較部での比較結果に基づき前記走行特性を調整する調整部と、
を備えた車両制御システム。