JP7046776B2 - 電源装置 - Google Patents
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Description
本発明は、複数の電池回路モジュールを備えた電源装置に関する。
従来より、様々な電源装置が知られており、例えばハイブリッド車両や電動車両における走行モータの駆動に用いられる電源装置では、電池の電圧を昇圧コンバータで昇圧してインバータに入力している。しかし、このような装置は汎用性が低く、仕様に応じて電源装置を製作する必要がある。
特許文献1には、多数の電池回路モジュールを、スイッチング素子を介し直列接続する電源装置が提案されている。この電源装置では、所定のデューティー比のゲート信号を各電源素子に所定時間だけずらせて供給することで、接続される電池回路モジュールの数を制御して、所望の電圧を出力することができる。従って、この電源装置では、各種の仕様に対し、同一の電池回路モジュールを使用することが可能であり、汎用性を高めることができる。
ここで、特定の電池回路モジュールを切り離しその状態を維持する強制切り離しモードや、特定の電池回路モジュールを強制的に接続しその状態を維持する強制接続モードを実現することで、当該特定の電池回路モジュールについてはゲート信号により接続/切り離しを行わなくてよい。従って、電源装置の出力状態に応じて、強制切り離しモードや強制接続モードを利用することで、特定の電池回路モジュール(例えば、故障した電池を有するモジュール)の電池に電流を流さないようにしたり、他の電池モジュールと異なる電流を流すことが可能になる。
しかし、このようなモードを実行する際に、通常モードとの切り換えをどのように行えばよいかについては十分な検討はなされていない。
本発明に係る電源装置は、電池を正側端子と負側端子に接続し電池からの電力を出力する接続状態と、電池を正側端子または負側端子から切り離し正側端子と負側端子を短絡するスルー状態とが、ゲート信号によって切り換えられる電池回路モジュールを、正側端子および負側端子を介して複数直列接続した電池回路モジュール群と、各電池回路モジュールに対応して設けられ、ゲート信号を一定時間ずつ遅延させて伝達する複数の遅延回路と、最上流側の遅延回路にゲート信号を供給するとともに、ゲート信号を電池回路モジュール群の各電池回路モジュールに対して一定時間ずつ異ならせてそれぞれ供給する、制御回路と、を有し、前記制御回路は、特定の電池回路モジュールについてゲート信号の状態に関わらず当該電池回路モジュールの切り離しを維持する強制切り離し指令を受けた際に、当該電池回路モジュールに供給される遅延前ゲート信号と、遅延前ゲート信号が一定時間遅延された遅延後ゲート信号との両方がスルー状態を指示しているタイミングで強制切り離しを実行する。
強制切り離し指令をラッチしておき、遅延前ゲート信号および遅延後ゲート信号の両方がスルー状態を指示しているタイミングで強制切り離しを実行するとよい。
また、本発明に係る電源装置は、電池を正側端子と負側端子に接続し電池からの電力を出力する接続状態と、電池を正側端子または負側端子から切り離し正側端子と負側端子を短絡するスルー状態とが、ゲート信号によって切り換えられる電池回路モジュールを、正側端子および負側端子を介して複数直列接続した電池回路モジュール群と、各電池回路モジュールに対応して設けられ、ゲート信号を一定時間ずつ遅延させて伝達する複数の遅延回路と、最上流側の遅延回路にゲート信号を供給するとともに、ゲート信号を電池回路モジュール群の各電池回路モジュールに対して一定時間ずつ異ならせてそれぞれ供給する、制御回路と、を有し、前記制御回路は、特定の電池回路モジュールについてゲート信号の状態に関わらず当該電池回路モジュールの接続を維持する強制接続指令を受けた際に、当該電池回路モジュールに供給される遅延前ゲート信号と、遅延前ゲート信号が一定時間遅延された遅延後ゲート信号との両方が接続状態を指示しているタイミングで強制接続を実行する。
強制接続指令をラッチしておき、遅延前ゲート信号および遅延後ゲート信号の両方が接続状態を指示しているタイミングで強制接続を実行するとよい。
本発明によれば、所望の出力電圧に容易に対応することができ、汎用性が高い電源装置を得ることができる。そして、電源回路モジュールについて強制的に切り離しを維持する強制切り離しモードや、強制的に接続を維持する強制接続モードと、通常モードとの切り換え時において、出力変動を抑制して切り換えが行える。
「全体構成」
実施形態における電源装置1について説明する。図1は、電源装置1のブロック図を示している。図1に示すように、電源装置1は、複数の電池回路モジュール10(10a,10b,10c,・・・,10e)と、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eにゲート信号を出力して電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eをONOFF駆動する制御回路11とを備えている。
実施形態における電源装置1について説明する。図1は、電源装置1のブロック図を示している。図1に示すように、電源装置1は、複数の電池回路モジュール10(10a,10b,10c,・・・,10e)と、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eにゲート信号を出力して電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eをONOFF駆動する制御回路11とを備えている。
電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eは、その正側端子+OTが負側端子-OTに順次接続されることで直列接続されており、電池回路モジュール群100を構成している。最上流側の電池回路モジュール10aの正側端子+OTが、電池回路モジュール群100の正側出力端子+OUTに接続され、最下流側の電池回路モジュール10eの負側端子-OTが電池回路モジュール群100の負側出力端子-OUTに接続されている。
電池回路モジュール10は、1つまたは複数の電池セルが直列接続された電池Bを有する。電池Bの正極は、チョークコイルL、第2のスイッチング素子S2を介し、正側端子+OTに接続されており、電池Bの負極は負側端子-OTに接続されている。正側端子+OTと負側端子-OTの間には第1のスイッチング素子S1が配置されている。また、チョークコイルLと第2のスイッチング素子S2との接続点と電池Bの陰極との間にはコンデンサCが配置されている。
従って、第2のスイッチング素子S2をON、第1のスイッチング素子S1をOFFにすると、正側端子+OTと、負側端子-OTの間に、電池Bとコンデンサの両方が並列接続された直流電源となる(接続状態)。一方、第2のスイッチング素子S2をOFF、第1のスイッチング素子S1をONにすると、電池Bが切り離され正側端子+OTと、負側端子-OTが短絡され、この電池回路モジュール10は、スルー状態になる。なお、電池B、チョークコイルLおよびコンデンサCによってRLCフィルタを形成して電流の平準化を図り、電池Bの劣化を抑制している。ただし、電池自体のリアクタンスLや、配線のリアクタンスLでフィルタを形成こともできるため、チョークコイルLは省略することも可能である。
第1のスイッチング素子S1および第2のスイッチング素子S2は、電界効果トランジスタとしてのMOS-FETである。第1のスイッチング素子S1および第2のスイッチング素子S2は、制御回路11からのゲート信号によってスイッチング動作される。なお、スイッチング動作可能な素子であれば、MOS-FET以外のスイッチング素子を使用することもできる。
電池回路モジュール10には、制御回路11が接続されており、制御回路11から出力されるゲート信号が各電池回路モジュール10に供給される。このゲート信号は、各電池回路モジュール10において、第1のスイッチング素子S1および第2のスイッチング素子S2の一方をオン、他方をオフするように指示する。
制御回路11は、コントローラ12を有しており、このコントローラ12が最上流側の電池回路モジュール10aに供給するためのゲート信号を出力する。制御回路11は、各電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eに対応して、遅延回路13(13a,13b,13c,・・・,13e)を有しており、各遅延回路13a,13b,13c,・・・13eによって遅延したゲート信号が、対応する電池回路モジュール10b,10c,・・・,10eに供給される。
従って、各電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eにおける、第1のスイッチング素子S1および第2のスイッチング素子S2のスイッチングのタイミングは、遅延回路13a,13b,13c,・・・13eの遅延時間ずつ遅れることになる。
そして、最下流側の遅延回路13eから出力されたゲート信号は、コントローラ12に入力されるようになっている。従って、コントローラ12は、自己の出力したゲート信号がすべての遅延回路13によって遅延された合計の遅延時間を把握することができ、これに基づいて、次のゲート信号を出力することができる。また、遅延時間の合計をゲート信号の周期に容易に一致させることができる。
そして、制御回路11において、各電池回路モジュール10にゲート信号を出力する経路には、選択回路15がそれぞれ設けられている。この選択回路15は、強制切り離しモード、強制接続モードにおいて、強制切り離しを実行する信号(スルー固定)、強制接続を実行する信号(接続固定)をゲート信号に代えて出力する。従って、選択回路15に所定の制御信号を供給することによって、対応する電池回路モジュール10を強制切り離しモードや、強制接続モードに設定することができる。
なお、図1においては、コントローラ12から出力したゲート信号をそのまま1番目の電池回路モジュール10に入力するようにしたが、遅延回路13で遅延したゲート信号を1番目の電池回路モジュール10に供給してもよく、その場合には各電池回路モジュール10には対応する遅延回路13で遅延したゲート信号が入力される。
「電池回路モジュール10の動作」
次に、電池回路モジュール10の動作について図2、3を参照して説明する。図2は、電池回路モジュール10の概略構成図を、図3は電池回路モジュール10の動作に関するタイムチャートをそれぞれ示している。また、図3において、符号D1は、電池回路モジュール10aを駆動するゲート信号の矩形波を、符号D2は、第1のスイッチング素子S1のONOFF状態を示す矩形波を、符号D3は、第2のスイッチング素子S2のONOFF状態を示す矩形波を、符号D4は、電池回路モジュール10aにより出力される電圧Vmodの特性をそれぞれ示している。
次に、電池回路モジュール10の動作について図2、3を参照して説明する。図2は、電池回路モジュール10の概略構成図を、図3は電池回路モジュール10の動作に関するタイムチャートをそれぞれ示している。また、図3において、符号D1は、電池回路モジュール10aを駆動するゲート信号の矩形波を、符号D2は、第1のスイッチング素子S1のONOFF状態を示す矩形波を、符号D3は、第2のスイッチング素子S2のONOFF状態を示す矩形波を、符号D4は、電池回路モジュール10aにより出力される電圧Vmodの特性をそれぞれ示している。
電池回路モジュール10の初期状態、すなわち、ゲート信号が出力されていない状態(ゲート信号がOFFの状態)では、第1のスイッチング素子S1はON状態、第2のスイッチング素子S2はOFF状態となっている。そして、制御回路11からゲート信号が電池回路モジュール10aに入力されると、電池回路モジュール10はPWM制御によってスイッチング動作する。このスイッチング動作は、第1のスイッチング素子S1と第2のスイッチング素子S2とが交互にONOFFすることによって行われる。
図3の符号D1で示すように、制御回路11からゲート信号が出力されると、このゲート信号に応じて、電池回路モジュール10aの第1のスイッチング素子S1および第2のスイッチング素子S2が駆動される。第1のスイッチング素子S1は、ゲート信号の立ち上がりに応じて、ON状態からOFF状態に切り替わる。また、第1のスイッチング素子S1は、ゲート信号の立ち下がりから僅かな時間(デッドタイムdt)遅れて、OFF状態からON状態に切り替わる(符号D2参照)。
一方、第2のスイッチング素子S2は、ゲート信号の立ち上がりから僅かな時間(デッドタイムdt)遅れて、OFF状態からON状態に切り替わる。また、第2のスイッチング素子S2は、ゲート信号の立ち下がりと同時に、ON状態からOFF状態に切り替わる(符号D3参照)。このように、第1のスイッチング素子S1と第2のスイッチング素子S2とは交互にONOFF動作する。
なお、第1のスイッチング素子S1がゲート信号の立ち下がり時に僅かな時間(デッドタイムdt)遅れて動作することと、第2のスイッチング素子S2がゲート信号の立ち上がり時に僅かな時間(デッドタイムdt)遅れて動作することは、第1のスイッチング素子S1と第2のスイッチング素子S2とが同時に動作することを防止するためである。すなわち、第1のスイッチング素子S1と第2のスイッチング素子S2とが同時にONして電池が短絡することを防止している。この動作を遅らせているデッドタイムdtは、例えば、100nsに設定しているが、適宜設定することができる。なお、デッドタイムdt中はダイオードを還流し、その還流したダイオードと並列にあるスイッチング素子がONしたときと同じ状態になる。
そして、この動作によって、電池回路モジュール10は、図3の符号D4で示すように、ゲート信号がOFF時(すなわち、第1のスイッチング素子S1がON、第2のスイッチング素子S2がOFF)では、コンデンサCが電池回路モジュール10aの正側端子+OTから切り離されて正側端子+OTには電圧が出力されない。この状態を、図4(a)に示す。図4(a)に示すように、電池回路モジュール10の電池B(コンデンサC)をバイパス(スルー状態)している。
また、ゲート信号がON時(すなわち、第1のスイッチング素子S1がOFF、第2のスイッチング素子S2がON)では、コンデンサCが電池回路モジュール10の正側端子+OTに接続されて正側端子+OTに電圧が出力される。この状態を、図4(b)に示す。図4(b)に示すように、電池回路モジュール10におけるコンデンサCを介して電圧Vmodが正側端子+OTに出力されている。
ここで、ゲート信号のデューティー比は、電源装置1に対する出力電圧要求によって決定され、決定されたデューティー比のゲート信号が生成される。出力電圧要求は電源装置1から電力を使用するシステム側からの要求である。
「制御回路11の動作」
図1に戻り、制御回路11による電源装置1の制御について説明する。制御回路11は、電池回路モジュール群100の全体を制御する。すなわち、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの動作をそれぞれ制御して電源装置1としての出力電圧を制御する。
図1に戻り、制御回路11による電源装置1の制御について説明する。制御回路11は、電池回路モジュール群100の全体を制御する。すなわち、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの動作をそれぞれ制御して電源装置1としての出力電圧を制御する。
上述したように、制御回路11は、矩形波のゲート信号を出力するコントローラ12と、コントローラ12から出力されるゲート信号を、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eに遅延させて順次出力する遅延回路13a,13b,13c,・・・,13eとを備えている。
コントローラ12は、電池回路モジュール群100において直列接続されている電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eのうちの最上流側の電池回路モジュール10aにゲート信号を供給する。
遅延回路13a,13b,13c,・・・,13eは、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eに対応してそれぞれ設けられている。遅延回路13aは、コントローラ12からのゲート信号を、一定時間遅延させて隣接する電池回路モジュール10bに出力するとともに、遅延回路13bに出力する。この結果、コントローラ12から出力されたゲート信号は、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eに順次遅延されて供給される。
なお、遅延回路13a,13b,13c,・・・,13eは、電気的な回路構成としては制御回路11に含まれるものであるが、ハード構成としては電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eと一体化して構成することが好ましい。図1において、例えば、一点鎖線Mで示すように、遅延回路13bと電池回路モジュール10bとを一体化(モジュール化)して構成するとよい。
図1において、コントローラ12から最上流側の電池回路モジュール10aにゲート信号を出力すると、電池回路モジュール10aが駆動されて、図4(a)、(b)に示すように、電池回路モジュール10aにおける電圧が正側端子+OTに出力される。また、コントローラ12からのゲート信号は、遅延回路13aに入力されて、一定時間遅延された後、隣接する電池回路モジュール10bに入力される。このゲート信号により電池回路モジュール10bが駆動する。
一方、遅延回路13aからのゲート信号は、遅延回路13bにも入力されて、遅延回路13aと同様に、一定時間遅延されて、次に隣接する電池回路モジュール10cに入力される。以下、同様に、ゲート信号は遅延されて下流側の電池回路モジュールにそれぞれ入力される。そして、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eは、順次駆動されて、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの電圧が各正側端子+OTに順次出力される。
電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eが順次駆動される状態を図5に示す。図5に示すように、ゲート信号に応じて、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eが、一定の遅延時間を持って上流側から下流側に次々と駆動されている。図5において、符号E1は、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの第1のスイッチング素子S1がOFF、第2のスイッチング素子S2がONして、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eが正側端子+OTから電圧を出力している状態(接続状態)を示している。また、符号E2は、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの第1のスイッチング素子S1がON、第2のスイッチング素子S2がOFFして、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eが正側端子+OTから電圧を出力していない状態(スルー状態)を示す。このように、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eは、一定の遅延時間を持って順次駆動される。
図5を参照して、ゲート信号やゲート信号の遅延時間の設定について説明する。ゲート信号の周期Fは、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの遅延時間を合計することによって設定される。このため、遅延時間を長く設定すると、ゲート信号の周波数は低周波になる。逆に、遅延時間を短く設定すると、ゲート信号の周波数は高周波になる。また、ゲート信号を遅延する遅延時間は、電源装置1に求められる仕様に応じて適宜設定することができる。
ゲート信号の周期FにおけるON時比率G1、すなわち、周期FのうちのON時間の比率は、電源装置1の出力電圧/電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの合計電圧(電池回路モジュール電池電圧×電池回路モジュール数)により算出することができる。すなわち、ON時比率G1=電源装置出力電圧/(電池回路モジュール電池電圧×電池回路モジュール数)となる。なお、厳密には、デッドタイムdtだけON時比率がずれてしまうので、チョッパ回路で一般的に行われているようにフィードバックまたはフィードフォワードでON時比率の補正を行う。
説明の簡単化のために、以下ではすべての電池回路モジュールの電池電圧が等しいとして説明する。この時、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの合計電圧は、上述したように、電池回路モジュール電池電圧×接続状態の電池回路モジュール数によって表すことができる。電源装置1の出力電圧が、一つの電池回路モジュール10の電池電圧で割り切れる値であれば、電池回路モジュール10が通過(スルー状態)から接続に切り替わる瞬間に、他の電池回路モジュールが接続から通過(スルー状態)に切り替わるので、電池回路モジュール群100の全体の出力電圧に変動はない。
しかし、電源装置1の出力電圧が、電池回路モジュール10aの電池電圧で割り切れない値であれば、電源装置1の出力電圧と、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの合計電圧とは整合しない。換言すると、電源装置1の出力電圧(電池回路モジュール群100の全体の出力電圧)が変動してしまう。ただし、このときの変動振幅は1つの電池回路モジュール分の電圧であり、また、この変動周期は、ゲート信号の周期F/電池回路モジュール数となる。ここでは、数十個の電池回路モジュールを直列接続しているので、電池回路モジュール全体の寄生インダクタンスは大きな値となっており、この電圧変動はフィルタされて結果的には電源装置1の出力電圧を得ることができる。
「具体例」
「具体例」
次に、具体例について説明する。図5において、例えば、電源装置1としての所望の出力電圧が400V、電池回路モジュール10の電池電圧が15V、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10e数が40個、遅延時間が200nsであるとする。なお、この場合は、電源装置1の出力電圧(400V)が、電池回路モジュール10の電池電圧(15V)で割り切れない場合に相当する。
これらの数値に基づくと、ゲート信号の周期Fは、遅延時間×電池回路モジュール数により算出されるので、200ns×40個=8μsとなり、ゲート信号は125kHz相当の矩形波になる。また、ゲート信号のON時比率G1は、電源装置出力電圧/(電池回路モジュール電池電圧×電池回路モジュール数)により算出されるので、ON時比率G1は、400V/(15V×40個)≒0.67となる。
これらの数値に基づいて、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eを順次駆動すると、電源装置1として、図5中、符号H1で示す矩形波状の出力特性が得られる。この出力特性は、390Vと405Vとの間で変動する電圧出力特性となる。すなわち、ゲート信号の周期F/電池回路モジュール数により算出される周期で変動する出力特性となり、8μs/40個=200ns(5MHz相当)で変動する出力特性となる。この変動は、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eの配線による寄生インダクタンスでフィルタリングされるので、符号H2で示すように、電源装置1としては、400Vの電圧が出力される。
そして、最上流側の電池回路モジュール10aのコンデンサCには、接続状態の場合に電流が流れるため、図5中符号J1で示すように、コンデンサ電流波形は矩形波になる。
電池BとコンデンサCはRLCフィルタを形成しているので、電源装置1にはフィルタリングされて平準化された電流が出力される(図5中、符号J2参照)。
電池BとコンデンサCはRLCフィルタを形成しているので、電源装置1にはフィルタリングされて平準化された電流が出力される(図5中、符号J2参照)。
このように、全ての電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eにおいて電流波形は同様であり、また、全ての電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eから均等に電流を出力することができる。
「コントローラ12の動作」
本実施形態において、最下流側の遅延回路13cからのゲート信号は、コントローラ12に入力される。従って、コントローラ12は、遅延回路13eからのゲート信号の入力タイミングから、ゲート信号を最上流側の遅延回路13aに向けて出力してから、最下流側の遅延回路13eからゲート信号が出力されるまでに時間、すなわち、制御回路11にある遅延回路13a,13b,13c,・・・13e全体での合計としての遅延時間を把握することができる。そして、ゲート信号の受信に応じて次のゲート信号を出力することができる。
本実施形態において、最下流側の遅延回路13cからのゲート信号は、コントローラ12に入力される。従って、コントローラ12は、遅延回路13eからのゲート信号の入力タイミングから、ゲート信号を最上流側の遅延回路13aに向けて出力してから、最下流側の遅延回路13eからゲート信号が出力されるまでに時間、すなわち、制御回路11にある遅延回路13a,13b,13c,・・・13e全体での合計としての遅延時間を把握することができる。そして、ゲート信号の受信に応じて次のゲート信号を出力することができる。
遅延回路13は、個体差や温度ドリフトによって、遅延時間に±5%程度のばらつきが生じるといわれる。本実施形態の構成によれば、遅延時間のばらつき、変動によらず、次のゲート信号の出力タイミングを設定することができ、適切なゲート信号出力タイミング制御が行える。
図6は、ゲート信号の遅延の様子を示している。このように、コントローラ12から出力されたゲート信号が遅延回路13a,13b,・・・13eにより順次対応する電池回路モジュール10に供給される。これによって、各電池回路モジュール10における第1のスイッチング素子S1および第2のスイッチング素子S2のスイッチングが制御される。なお、図6では、ゲート信号の前半をON(接続)、後半をOFF(スルー)に設定したが、これによっても図5に示した場合と同様の制御が行われる。
そして、コントローラ12は、最下流側のゲート信号を受信するため、制御回路11内の遅延回路13における合計の遅延時間を把握できる。すなわち、ゲート信号を出力してから、最下流側のゲート信号としてコントローラ12に戻るまでの時間をタイマなどで計測すれば、制御回路11内の全遅延回路13a,13b,・・・13eの遅延時間の合計を把握することができる。そこで、この遅延時間の合計によりゲート信号の周期および出力タイミングを制御することで、ゲート信号の周期を遅延時間の合計に一致させることができる。すなわち、タイマなどによって、遅延時間の合計値を把握した場合に、次のゲート信号の出力タイミングおよび1周期の時間を把握した遅延時間の合計値に応じて調整する。例えば、ゲート信号をタイマ(カウンタ)を用いて発生しているのであれば、そのカウントアップの値を変更すれば1周期の時間を変更することができ、カウントアップのタイミングでゲート信号を出力すればよい。なお、カウンタのクロックの周期は通常遅延時間の合計値に比べ十分小さいので追従がある程度遅れても問題はない。また、遅延回路13における遅延時間は大きく変動するものではなく、毎回このような処理を行う必要はなく、またズレがある程度以上になった時点で調整してもよい。
また、コントローラ12のデジタルインプット機能などを用い、最下流側のゲート信号が立ち上がる(ゲート信号が入力される)タイミングをトリガとして検出し、すぐに次のゲート信号を出力させることも好適である。
すなわち、図7に示すように、コントローラ12は、その動作周期を規定するシステムクロックなどを用い、最下流側のゲート信号の立ち上がりをトリガとして、ゲート信号許可フラグを立ち上げる。そして、許可フラグがONである許可状態において、次のシステムクロックの立ち上がりでゲート信号を出力する。これによって、最下流側のゲート信号を受け取り、すぐにゲート信号を出力することができる。従って、コントローラ12からの出力を必要以上に遅らせることなく、また最下流側の電池回路モジュール10へのゲート信号の出力が終了した後、ゲート信号を出力することができ、ゲート信号の周期を遅延時間の合計と一致させることができる。そして、ゲート信号を出力してから受け取るまでの時間をタイマで計測することで遅延時間合計を計測できるため、これに基づいてゲート信号の周期を遅延時間の合計と一致させることができる。なお、システムクロックは、数10-数100MHzであり、遅延回路13の遅延時間合計は数100ns程度(数MHz)であるため、ある程度のズレは許容される。
「電池回路モジュール10の強制切り離し・強制接続」
本実施形態では、多数の電池回路モジュール10を直列接続して用いる。ここで、所望の電池回路モジュール10を切り離せば、その電池回路モジュール10についてはスイッチングが不要となる。従って、出力電圧が比較的低い場合には、一部の電池回路モジュール10を強制的に切り離すことも好適である。また、一部の電池回路モジュールを強制接続することも考えられる。強制接続すれば、当該電池回路モジュール10については、スイッチングが必要なくなる。このため、出力電圧が比較的高い場合には強制接続することも好適である。
本実施形態では、多数の電池回路モジュール10を直列接続して用いる。ここで、所望の電池回路モジュール10を切り離せば、その電池回路モジュール10についてはスイッチングが不要となる。従って、出力電圧が比較的低い場合には、一部の電池回路モジュール10を強制的に切り離すことも好適である。また、一部の電池回路モジュールを強制接続することも考えられる。強制接続すれば、当該電池回路モジュール10については、スイッチングが必要なくなる。このため、出力電圧が比較的高い場合には強制接続することも好適である。
そこで、本実施形態では、すべての電池回路モジュールを使用する通常モードの他に、一部の電池回路モジュールを切り離す強制切り離しモード、一部の電池回路モジュールを強制接続する強制接続モードを設け、通常モードから他のモードに適宜切り換え、または復帰することができる。
<強制切り離しモード>
強制切り離しモードでは、切り離す電池回路モジュール10について、スイッチング素子S1をON、スイッチング素子S2をOFFの状態に固定することで、当該電池回路モジュール10を切り離す。
強制切り離しモードでは、切り離す電池回路モジュール10について、スイッチング素子S1をON、スイッチング素子S2をOFFの状態に固定することで、当該電池回路モジュール10を切り離す。
本実施形態では、図8に示すように、各遅延回路13に対応して切り換え回路14を有している。そして、この切り換え回路14を切り換えることで、対応する遅延回路13をバイパス(スルー)することができる。これによって、この遅延回路13での遅延時間をほぼ0、すなわち無視できる程小さくすることができる。なお、切り換え回路14は通常のマルチプレクサを利用することができる。
<切り離し時の挙動1>
ここで、電源装置1が、10個の電池回路モジュール10、遅延回路13を有し、5番目の電池回路モジュール10を切り離す場合について考える。
ここで、電源装置1が、10個の電池回路モジュール10、遅延回路13を有し、5番目の電池回路モジュール10を切り離す場合について考える。
図9は、図1のようにゲート信号をコントローラ12によって列の先頭の遅延回路13に戻すのではなく、制御回路11において毎回ゲート信号を発生する場合において、5番目の電池回路モジュールを切り離すときの各電池回路モジュール10に供給されるゲート信号波形と、その際の電源装置1の出力電圧波形を示している。
この場合、5番電池回路モジュール10の切り離し指令が制御回路11に供給された場合、制御回路11は出力するゲート信号の周期を変更してデューティー比を変更する。この例では、10個の電池回路モジュールで周期20μsec(us)、オン期間15us(デューティー比=0.75)であり、平均出力は7.5個の電池回路モジュール10が直列接続されていることになる。一方、1つの電池回路モジュール10を切り離した場合、9個の電池回路モジュールで周期18us、オン期間15us(デューティー比=0.833)であり、平均0.833個*9=7.5個の電池回路モジュール10が直列接続されていることになる。
そこで、切り離し指令が来たときに制御部30が周期18us、オン期間15usに変更する。一方、5番電池回路モジュール10の切り離しが行われるまでには、ある程度の時間が掛かる。すなわち、通常はフォトカプラなど利用して切り離しの動作を行うため、その応答時間により少し遅れて切り離しが実行される。なお、切り離し時に行う処理は、対応する電池回路モジュール10におけるスイッチ素子の固定と、切り換え回路14の切り換えである。
図9の例では、矢印で示すように4サイクル後程度に5番電池回路モジュール10の切り離しが実行される。従って、ゲート信号の周期が変更されてから、実際に切り離しが行われるまでの期間は、10個の電池回路モジュール10が接続された状態で、デューティー比0.833でスイッチングが行われることになる。この場合、出力は、平均0.833個*10=8.33個の電池回路モジュール10が直列接続されていることになる。すなわち、9-8個接続の期間と、8-7個接続の期間が混在することで、全体としての出力は8.33個接続となる。そして、切り離しが行われ、5番電池回路モジュール10をスルーし、切り換え回路14におけるゲート信号のスルーも行われた場合には、その次のサイクルからは、7.5個接続になる。
このように、強制切り離しの実行時において、出力電圧が変動する。
<切り離し時の挙動2>
図10には、図1に示すゲート信号をコントローラ12によって列の先頭の遅延回路13に戻す構成において、5番電池回路モジュール10を切り離す場合を示してある。この場合は、切り離し指令に応答して所定の遅延したタイミングで、切り換え回路14における切り換え、および対応する電池回路モジュール10のスイッチング素子のオンオフ固定が行われるとともに、次のサイクルより、周期(20→18us)の変更が行われる。
図10には、図1に示すゲート信号をコントローラ12によって列の先頭の遅延回路13に戻す構成において、5番電池回路モジュール10を切り離す場合を示してある。この場合は、切り離し指令に応答して所定の遅延したタイミングで、切り換え回路14における切り換え、および対応する電池回路モジュール10のスイッチング素子のオンオフ固定が行われるとともに、次のサイクルより、周期(20→18us)の変更が行われる。
この場合、切り離しが行われた時点で、切り換え回路14におけるゲート信号がスルーされ、ゲート信号による電池回路モジュール10のオンオフが固定される。そして、次のサイクルから、デューティー比0.833で9個の電池回路モジュール10を対象にスイッチングが行われる。従って、次のサイクルでゲート信号を新しいデューティー比のものに入れ替わるまでは、デューティー比0.75であって、対応する電池回路モジュール数は、9個となる。このため、このときの出力は、基本的に0.75*9=6.75個接続になり、出力が指令に比べ低い状態が生じる。
<強制切り離し>
図11には、本実施形態に係る電源装置における、強制切り離しモードへの移行時の各電池回路モジュール10のスイッチング状態を示してある。
図11には、本実施形態に係る電源装置における、強制切り離しモードへの移行時の各電池回路モジュール10のスイッチング状態を示してある。
この例では、10個の電池回路モジュール10を有し、6個接続の出力が指令されている。そして、5番電池回路モジュール10について、強制切り離し指令が出され、6個接続の出力を維持しつつ、5番電池回路モジュール10を切り離す。
本実施形態では、強制切り離し指令を受け取った時に必ずしもすぐに切り離しは行わず、当該電池回路モジュール10のスイッチング素子S1がON、スイッチング素子S2がOFFとなっているときに、強制切り離しを実行する。
すなわち、対象とする電池回路モジュール10に供給するゲート信号(遅延前ゲート信号と呼ぶ)がOFF(スルー指示)の状態であって、かつ遅延前ゲート信号を遅延回路13において遅延したゲート信号(遅延後ゲート信号と呼ぶ)もOFF(スルー指示)の場合に、強制切り離しを実行する。遅延後ゲート信号は次段の電池回路モジュール10に供給されるものであるが、これがON(接続)のときに強制切り離しを実行すると、次段の電池回路モジュール10に供給される遅延信号がその時点で遅延前ゲート信号に切り換えられて変化してしまうからである。
例えば、図12に示すように、制御部30は、切り離し指令を受信したかを判定し(S11)、受信した場合に当該電池回路モジュールに供給する遅延前ゲート信号および遅延前ゲート信号を遅延回路13で遅延した遅延後ゲート信号がOFF(スルー指示)であるかを判定する(S12)。そして、遅延前ゲート信号および遅延後ゲート信号がOFF(スルー指示)であった場合に強制切り離しを実行する(S13)。すなわち、切り換え回路14によって、5番目の電池回路モジュール10に対応する遅延回路13をバイパスさせるとともに、5番電池回路モジュール10に供給するゲート信号をOFF(スルー指示)に固定してスイッチング素子S1をON、S2をOFFに固定する。また、オン期間は6のままで、周期を9にする。これによって、ゲート信号のデューティー比は、6/9(0.667)となり、使用される電池回路モジュール10は9個で、出力は6個接続で変動しない。
このように、5番電池回路モジュール10に対する遅延前および遅延後ゲート信号がOFF(スルー指示)のタイミングで切り離しの処理を行うため、切り離しの過渡期において、出力電圧の変動が生じない。
<強制切り離し解除>
図13には、強制切り離し解除時の各電池回路モジュール10のスイッチング状態を示してある。
図13には、強制切り離し解除時の各電池回路モジュール10のスイッチング状態を示してある。
この例では、5番電池回路モジュール10を切り離した状態から接続して通常動作モードにする。この場合も、強制切り離し解除指令を受け取った時に、必ずしもすぐに切り離しの解除は行わず、5番電池回路モジュール10に対する遅延前ゲート信号および遅延後ゲート信号の両方がOFF(スルー指示)になっているときに、強制切り離しの解除を実行する。
例えば、図14に示すように、制御部30は、切り離し解除指令を受信したかを判定し(S21)、受信した場合に当該電池回路モジュール10に対する遅延前ゲート信号および遅延前ゲート信号を遅延した遅延後ゲート信号がOFF(スルー指示)かを判定する(S22)。そして、遅延前および遅延後ゲート信号がOFF(スルー指示)になっている場合に強制切り離しの解除を実行する(S23)。すなわち、切り換え回路14を切り換えて、遅延回路13を通過したゲート信号を選択するとともに、5番電池回路モジュール10に遅延前ゲート信号を供給し、5番電池回路モジュールのスイッチング素子S1,S2が遅延前ゲート信号によりスイッチングされる状態にする。また、オン期間を6のままで周期を10にする。これによって、ゲート信号のデューティー比は、6/10(0.6)となり、使用される電池回路モジュール10は10個で、出力は6個接続になる。
この場合にも、使用される電池回路モジュール10は9個から10個となり、電源回路の出力は6個接続になるが、強制切り離し解除の過渡期において、出力電圧の変動が生じない。
<強制接続>
強制接続モードでは、強制接続する電池回路モジュール10について、スイッチング素子S1をOFF、スイッチング素子S2をONの状態に固定することで、対応する電池回路モジュール10を常時接続(スイッチング素子S1をOFF、スイッチング素子S2をON)に固定する。
強制接続モードでは、強制接続する電池回路モジュール10について、スイッチング素子S1をOFF、スイッチング素子S2をONの状態に固定することで、対応する電池回路モジュール10を常時接続(スイッチング素子S1をOFF、スイッチング素子S2をON)に固定する。
この場合、強制接続している電池回路モジュール10については対応する切り換え回路14を切り換えることで、対応する遅延回路13をバイパスする。
図15には、通常モードから5番電池回路モジュール10を強制接続とする場合のスイッチング状態が示してある。
5番電池回路モジュール10についての強制接続指令を受け取った場合には、必ずしもその時点では接続を行わず、当該電池回路モジュール10に供給する遅延前ゲート信号および遅延前ゲート信号を遅延回路13によって遅延した遅延後ゲート信号がいずれもON(接続指示)である場合に強制接続を実行する。
このように、対象とする電池回路モジュール10に供給する遅延前ゲート信号および遅延後ゲート信号がON(接続)である場合に、強制接続を実行する。これによって、強制接続指令により当該電池回路モジュール10のゲート信号の1周期の途中でOFFからONに切り替わることを防止でき、また次段の電池回路モジュール10に供給されるゲート信号に切り換えられて変化してしまうことが防止できる。
例えば、図16に示すように、制御部30は、強制接続指令を受信したかを判定し(S31)、受信した場合に当該電池回路モジュール10に対する遅延前および遅延後ゲート信号がON(接続指示)かを判定する(S32)。そして、いずれもが接続指示であった場合に強制接続を実行する(S33)。すなわち、切り換え回路14によって、5番目の電池回路モジュール10に対応する遅延回路13をバイパスさせるとともに、5番電池回路モジュール10へ供給するゲート信号をON(接続指示)に固定して、スイッチング素子S1,S2をOFF、ONに固定する。また、オン期間を6のままで周期を9にする。これによって、ゲート信号のデューティー比は、6/9(0.667)となり、使用される電池回路モジュール10は9個で、出力は6個接続になる。
このように、強制接続する電池回路モジュールが接続状態の時に強制接続の処理を行うことで、出力の変動を防止して強制接続状態に移行することができる。
<強制接続解除>
図17には、5番電池回路モジュール10の強制接続を解除し、通常モードに復帰する場合のスイッチング状態が示してある。
図17には、5番電池回路モジュール10の強制接続を解除し、通常モードに復帰する場合のスイッチング状態が示してある。
5番電池回路モジュール10についての強制接続解除指令を受け取った場合には、その時点では必ずしも解除せず、5番電池回路モジュール10についての遅延前ゲート信号および遅延後ゲート信号がいずれもON(接続指示)の時点で、強制接続を解除する。
例えば、図18に示すように、制御部30は、強制接続解除指令を受信したかを判定し(S41)、受信した場合に当該電池回路モジュール10に対する遅延前および遅延後ゲート信号がON(接続指示)かを判定する(S42)。そして、両者が接続指示であった場合に強制接続解除を実行する(S43)。すなわち、切り換え回路14によって、5番目の電池回路モジュール10に対応する遅延回路13を経由させるとともに、5番電池回路モジュール10に遅延前ゲート信号を供給することでスイッチング素子S1,S2を遅延前ゲート信号に応じてオンオフさせる。また、オン期間を6のままで周期を10にする。これによって、ゲート信号のデューティー比は、6/10(0.6)となり、使用される電池回路モジュール10は10個で、出力は6個接続になる。
「モード変更についての信号処理回路」
「モード変更についての信号処理回路」
図19~図20には、モード変更の際のタイミングを調整するための回路例を示す。
<強制切り離しおよび強制切り離し解除の回路>
図19に示すように、Dフリップフロップ40が設けられ、このDフリップフロップ40のD入力端には強制切り離し指令が入力される。また、Dフリップフロップ40のクロック入力端には6番電池回路モジュール10に入力されるゲート信号(遅延後ゲート信号)の反転信号が入力される。これによって、強制切り離し指令がオン(Hレベル)になった後の遅延後ゲート信号の立ち下がりにおいて強制切り離し指令がラッチされ、強制切り離し実行信号がオン(Hレベル)になる。
図19に示すように、Dフリップフロップ40が設けられ、このDフリップフロップ40のD入力端には強制切り離し指令が入力される。また、Dフリップフロップ40のクロック入力端には6番電池回路モジュール10に入力されるゲート信号(遅延後ゲート信号)の反転信号が入力される。これによって、強制切り離し指令がオン(Hレベル)になった後の遅延後ゲート信号の立ち下がりにおいて強制切り離し指令がラッチされ、強制切り離し実行信号がオン(Hレベル)になる。
また、遅延前ゲート信号は、切り換え回路42に入力される。切り換え回路42は、強制切り離しの際に選択するLレベル固定の端子を有しており、Dフリップフロップ40の出力である強制切り離し実行信号がその実行を指令している(ON:Hレベル)ときに、Lレベル固定を選択し、強制切り離し実行信号が実行を指令していない(OFF:Lレベル)ときには遅延前ゲート信号を選択する。
従って、強制切り離し実行信号がONになった時に遅延前ゲート信号に代えて、L固定(切り離し信号)が5番電池回路モジュール10に供給される。これによって、スイッチング素子S1,S2がON、OFFに固定され、スルー状態に固定される。
なお、Dフリップフロップ40からの強制切り離し実行信号は切り換え回路14にも供給され、切り換え回路14は強制切り離し実行信号がONの場合に遅延回路13をバイパスしてくるゲート信号を選択する。
従って、強制切り離し指令がONになった後、遅延前ゲート信号(自回路用)と遅延後ゲート信号(次回路用)の両方がスルーを指令する状態(OFF:Lレベル)となった時に、切り換え回路42,14が切り換えられる。
さらに、強制切り離しを解除する際には、強制切り離し指令がOFFになる。従って、Dフリップフロップ40は、その後の遅延後ゲート信号の立ち下りでOFFを取り込み、出力である強制切り離し実行信号がOFFとなる。このため、遅延前ゲート信号および遅延後ゲート信号の両方がOFFの時に強制切り離しの解除が行われ、遅延前ゲート信号が当該電池回路モジュールに供給されるようになる。また、遅延回路13における遅延もこのタイミングで再開される。
ここで、本構成では、遅延後ゲート信号の立ち下がり時において、強制切り離しを実行する。しかし、遅延前ゲート信号と、遅延後ゲート信号の両方がOFFの期間(図19の波形図においてハッチングで示した期間)であれば、必ずしも遅延後ゲート信号の立ち下りのタイミングでなくてもよい。
<強制接続および強制接続解除の回路>
図20には、強制接続の実行のための回路例を示す。このように、この回路では、図20の回路と異なり、Dフリップフロップ40D入力端に強制接続指令が入力され、クロック入力端に遅延後ゲート信号がそのまま入力される。従って、強制接続指令のONの後の遅延後ゲート信号の立ち上がりをトリガとして、強制接続指令のONが取り込まれ、強制接続実行信号がオンとなり、このタイミングで5番電池回路モジュール10への切り換え回路42,14が切り換えられる。従って、遅延前および遅延後ゲート信号の両方がONのタイミングで、5番電池回路モジュール10に供給されるゲート信号がON(Hレベル:接続状態)に固定される。また、遅延回路13における遅延もこのタイミングで停止される。
図20には、強制接続の実行のための回路例を示す。このように、この回路では、図20の回路と異なり、Dフリップフロップ40D入力端に強制接続指令が入力され、クロック入力端に遅延後ゲート信号がそのまま入力される。従って、強制接続指令のONの後の遅延後ゲート信号の立ち上がりをトリガとして、強制接続指令のONが取り込まれ、強制接続実行信号がオンとなり、このタイミングで5番電池回路モジュール10への切り換え回路42,14が切り換えられる。従って、遅延前および遅延後ゲート信号の両方がONのタイミングで、5番電池回路モジュール10に供給されるゲート信号がON(Hレベル:接続状態)に固定される。また、遅延回路13における遅延もこのタイミングで停止される。
さらに、強制接続を解除する際には、強制接続指令がOFF(Lレベル)になる。そして、その後の遅延後ゲート信号の立ち上がりで強制接続実行信号がOFFとなる。従って、遅延前ゲート信号および遅延後ゲート信号の両方がONの時に強制接続の解除が実行され、遅延前ゲート信号が当該電池回路モジュールに供給されるようになる。また、遅延回路13における遅延もこのタイミングで再開される。
「実施形態の効果」
以上説明したように、電池回路モジュール群100を駆動する場合、最上流側の電池回路モジュール10aに出力したゲート信号を、下流側の電池回路モジュール10bに一定時間遅延して出力して、さらに、このゲート信号を一定時間遅延して下流側の電池回路モジュールに順次伝達するので、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eは、一定時間遅延しながら、接続状態の期間において順次電圧をそれぞれ出力する。そして、これらの電圧が合計されることによって、電源装置1としての電圧が出力されることになり、所望の電圧を得ることができる。このため、昇圧回路が必要なくなり、電源装置1の構成を簡素化することができ、小型化、低コスト化することができる。また、構成が簡素化されるので、損失が発生する部分が減少して昇圧効率が向上する。さらに、複数の電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eから略均等に電圧を出力しているので、特定の電池回路モジュールに駆動が集中することもなく、電源装置1の内部抵抗損失を低減することができる。
以上説明したように、電池回路モジュール群100を駆動する場合、最上流側の電池回路モジュール10aに出力したゲート信号を、下流側の電池回路モジュール10bに一定時間遅延して出力して、さらに、このゲート信号を一定時間遅延して下流側の電池回路モジュールに順次伝達するので、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eは、一定時間遅延しながら、接続状態の期間において順次電圧をそれぞれ出力する。そして、これらの電圧が合計されることによって、電源装置1としての電圧が出力されることになり、所望の電圧を得ることができる。このため、昇圧回路が必要なくなり、電源装置1の構成を簡素化することができ、小型化、低コスト化することができる。また、構成が簡素化されるので、損失が発生する部分が減少して昇圧効率が向上する。さらに、複数の電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eから略均等に電圧を出力しているので、特定の電池回路モジュールに駆動が集中することもなく、電源装置1の内部抵抗損失を低減することができる。
また、ON時比率G1を調整することによって、所望の電圧に容易に対応することができ、電源装置1としての汎用性を向上することができる。特に、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eに故障が発生して、使用困難な電池回路モジュールが発生した場合でも、その故障した電池回路モジュールをスルー状態に固定することで除外して、正常な電池回路モジュールを使用して、ゲート信号の周期F、ON時比率G1、遅延時間を再設定することによって、所望の電圧を得ることができる。すなわち、電池回路モジュール10a,10b,10c,・・・,10eに故障が発生しても所望の電圧の出力を継続することができる。
さらに、ゲート信号を遅延する遅延時間を長く設定することによって、ゲート信号の周波数が低周波になるので、第1のスイッチング素子S1および第2のスイッチング素子S2のスイッチング周波数も低くなり、スイッチング損失を低減することができ、電力変換効率を向上することができる。逆に、ゲート信号を遅延する遅延時間を短くすることによって、ゲート信号の周波数が高周波になるので、電圧変動の周波数が高くなり、フィルタリングが容易になって、安定した電圧を得ることができる。また、電流変動をRLCフィルタによって平準化することも容易になる。このように、ゲート信号を遅延する遅延時間を調整することによって、求められる仕様、性能に応じた電源装置1を提供することができる。
また、最下流側の遅延信号をコントローラ12に入力するため、遅延回路13a,13b,13c,・・・13eの合計の遅延時間を把握することができ、ゲート信号の周期、出力タイミングを適切なものに維持することができる。
そして、必要に応じて、特定の電池回路モジュール10について除外(スルー)したり、強制接続したり、さらには元に戻すことが可能であり、その切り換えの際の出力変動を抑制することができる。
1 電源装置、10(10a,10b,10c,・・・,10e) 電池回路モジュール、11 制御回路、12 コントローラ、13(13a,13b,13c,・・・13e) 遅延回路、14 切り換え回路、15 選択回路、100 電池回路モジュール群、B 電池、C コンデンサ、L チョークコイル、+OT 正側端子、-OT 負側端子、S1 第1のスイッチング素子、S2 第2のスイッチング素子。
Claims (4)
- 電池を正側端子と負側端子に接続し電池からの電力を出力する接続状態と、電池を正側端子または負側端子から切り離し正側端子と負側端子を短絡するスルー状態とが、ゲート信号によって切り換えられる電池回路モジュールを、正側端子および負側端子を介して複数直列接続した電池回路モジュール群と、
各電池回路モジュールに対応して設けられ、ゲート信号を一定時間ずつ遅延させて伝達する複数の遅延回路と、最上流側の遅延回路にゲート信号を供給するとともに、ゲート信号を電池回路モジュール群の各電池回路モジュールに対して一定時間ずつ異ならせてそれぞれ供給する、制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、特定の電池回路モジュールについてゲート信号の状態に関わらず当該電池回路モジュールの切り離しを維持する強制切り離し指令を受けた際に、当該電池回路モジュールに供給される遅延前ゲート信号と、遅延前ゲート信号が一定時間遅延された遅延後ゲート信号との両方がスルー状態を指示しているタイミングで強制切り離しを実行する、
電源装置。 - 請求項1に記載の電源装置であって、
強制切り離し指令をラッチしておき、遅延前および遅延後ゲート信号の両方がスルー状態を指示しているタイミングで強制切り離しを実行する、
電源装置。 - 電池を正側端子と負側端子に接続し電池からの電力を出力する接続状態と、電池を正側端子または負側端子から切り離し正側端子と負側端子を短絡するスルー状態とが、ゲート信号によって切り換えられる電池回路モジュールを、正側端子および負側端子を介して複数直列接続した電池回路モジュール群と、
各電池回路モジュールに対応して設けられ、ゲート信号を一定時間ずつ遅延させて伝達する複数の遅延回路と、最上流側の遅延回路にゲート信号を供給するとともに、ゲート信号を電池回路モジュール群の各電池回路モジュールに対して一定時間ずつ異ならせてそれぞれ供給する、制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、特定の電池回路モジュールについてゲート信号の状態に関わらず当該電池回路モジュールの接続を維持する強制接続指令を受けた際に、当該電池回路モジュールに供給される遅延前ゲート信号と、遅延前ゲート信号が一定時間遅延された遅延後ゲート信号との両方が接続を指示しているタイミングで強制接続を実行する、
電源装置。 - 請求項3に記載の電源装置であって、
強制接続指令をラッチしておき、遅延前ゲート信号および遅延後ゲート信号の両方が接続状態を指示しているタイミングで強制接続を実行する、
電源装置。
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