JP7046105B2 - シクロペンテノンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンの製造方法に関する。
式(I)で表される4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンはプロスタグランジン(prostaglandins)、ペンテノマイシン(pentenomycin)、ベルチマイシン(vertimycin)等の医薬品原料となる有望な合成ブロックであるとされ、その合成方法についてはすでに文献に報告されている(非特許文献1参照)。
Figure 0007046105000001

非特許文献1では、原料としてクロロアセトアルデヒドとアセト酢酸エチルを用いた式(I)の(4RS)体の製造方法と、原料としてキナ酸を用いた式(I)の(4R)体の製造方法が示されている。クロロアセトアルデヒドとアセト酢酸エチルを用いる製造方法では、クロロアセトアルデヒドとアセト酢酸エチルが反応し、フラン誘導体(2-メチル-3-フランカルボン酸エチル、収率:66%)が生成する。このフラン誘導体は水素化リチウムアルミニウムで還元されて3-ヒドロキシメチル-2-メチルフランとなり、シリカゲルクロマトグラフィによる精製後(3-ヒドロキシメチル-2-メチルフランの収率:52%)に、メタノール-エーテル溶液(臭素を含む)中での反応とトリエチルアミンの添加によってジヒドロフラン誘導体(2,5-ジヒドロ-3-ヒドロキシメチル-2,5-ジメトキシ-2-メチルフラン、収率:80%)に変換される。このジヒドロフラン誘導体がリン酸緩衡液でpH調整されたジオキサン水溶液(ヒドロキノンを含む)でフラン環の開環反応と分子内アルドール反応を引き起こし、上記構造式(I)に示されるシクロペンテノン誘導体(溶媒抽出及びシリカゲルクロマトグラフィ精製後の収率:50%)を生成する。5段階の反応ステップを経たシクロペンテノン誘導体の全収率は約14%に留まる。
2-デオキシ―アルドヘキソースを出発原料とし、その水溶液を蒸発させずに加熱する工程(150℃~300℃の範囲内)における化学的変換反応により4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンを得ることができたことが報告されている(特許文献1)。また、特許文献1の請求項3は加熱する工程における温度が150℃~300℃の範囲とし、加熱時間が10分間~300分間とする工程を含むことを特徴とする4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンの製造方法を開示している。なお、特許文献1の実施例1では、回分式反応装置を用いて、2-デオキシ-D-グルコース水溶液を180℃、180分間加熱し、未精製の目的物である4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オン(クルード、淡黄油状物質)が得られたことが報告されている。しかしながら、この方法における収率は、HPLCにおけるピーク面積を基準とした相対的な値であり、2-デオキシ―アルドヘキソースから4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンに変換する収率の向上、目的生成物である4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンの精製のし易さ等の課題が存在する。
また、特許文献1の方法で得られた、式(I)の4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンのNMRにおいて、4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンの反応前駆体でもある構造異性体(4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オン、式(II))由来のピークが検出されていた。2-デオキシ-D―グルコース水溶液を160℃、6時間加熱した場合、当該1H-NMRにおける式(I)の4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンと式(II)の構造異性体(4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オン)それぞれの二重結合の炭素原子に結合したプロトンのピーク比は約1:1であることが判明した。140℃、14時間加熱では約1:0.5、140℃、22時間加熱でも約1:0.3であり、式(II)の化合物の存在が次段階の化学合成の妨げとなることが危惧される。

Figure 0007046105000002
式(II)の化合物(構造異性体)は、式(I)の4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンと分子量が同じであり、両者を工業的に分離することは難しいという問題が存在する。
特許第5776984
J.D.Elliottら, J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 1782 (1981)
上記した従来技術における1以上の課題または問題を解決することができる、目的生成物である上記式(I)の化合物の工業的に好ましい製造方法が望まれていた。従って、本発明の目的は、工業的に好ましく、経済的であり、目的生成物の製造方法を提供することにある。
上記のような状況に鑑み、本発明者が上記式(I)の化合物の製造方法について鋭意研究した。その結果、上記式(I)の化合物の以下の製造方法を提供することにより、前記課題が解決可能であることが見出された。本発明者はこの知見に基づき本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
2-デオキシ―アルドヘキソース水溶液を蒸発させずに加圧状態で100℃~150℃で加熱する工程を含む、式(I)で表される化合物の製造方法。

Figure 0007046105000003
[2]
加熱する工程における温度は135℃~145℃ の範囲とし、加熱時間は5時間以上とする工程を含むことを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[3]
さらに式(II)で表される化合物を式(I)で表される化合物に異性化させる異性化反応を含むことを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
Figure 0007046105000004
[4]
異性化反応が無機多孔質酸化物の存在下において行われることを特徴とする、[3]に記載の製造方法。
[5]
無機多孔質酸化物が、アルミナであることを特徴とする、[4]に記載の製造方法。
[6]
式(II)で表されるジアステレオ化合物。
Figure 0007046105000005
本発明により、目的生成物である上記式(I)の化合物の新規で工業的に適用できる製造方法が提供される。本発明によれば、上記した従来技術における1以上の課題または問題を解決することができる、目的生成物である上記の式(I)の化合物の、工業的に好ましい製造方法が提供される。本発明によれば、従来の高温という反応条件を避けることにより、目的生成物を精製することは容易となり、工業的規模で実施することができる製造方法が提供される。更に反応生成物である異性体を目的生成物へ変換することにより、高純度な目的生成物である上記式(I)の化合物を製造することができる。従って、本発明の方法は、工業的に好ましく、経済的であり、高い工業的な利用価値を有する。
反応温度160℃での式(I)の化合物・式(II)の化合物の合計の濃度を示す。 反応温度140℃での式(I)の化合物・式(II)の化合物の合計の濃度を示す。 反応温度160℃、反応時間7時間の結果(ろ液のFIDチャート)を示す。 反応温度140℃、反応時間28時間の結果(ろ液のFIDチャート)を示す。 反応温度140℃、反応時間22時間のペースト(式(I)の化合物・式(II)の化合物)の1H-NMRチャートを示す。 6時間の異性化反応後の1H-NMRチャートを示す。 式(II)の化合物の1H-NMRチャートを示す。 式(II)の化合物の13C-NMRチャートを示す。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明に係る構造式(I)で示されるシクロペンテノン誘導体の製造方法について説明する。
(出発原料)
出発原料である2-デオキシ―アルドヘキソースとして、例えば、2-デオキシ-D-グルコース、2-デオキシ-L-グルコース、2-デオキシ-D-ガラクトース、2-デオキシ-L-ガラクトース、2-デオキシ-D-グロース、2-デオキシ-L-グロース、2-デオキシ-D-アロース及び2-デオキシ-L-アロース等が挙げられる。
出発原料である2-デオキシ―アルドヘキソースは、ピラノース環構造または、フラノース環構造の環状異性体構造をとってもよい。また、その時、それぞれα型、β型のどちらのアノマー異性体構造であってもよいし、それらの混合物であってもよい。
これらの2-デオキシ―アルドヘキソースは、対応するアルドヘキソースを出発原料として化学合成法等の公知の方法により製造することができる。
(反応溶媒)
反応溶媒として使用する水としては、流通式反応装置及び回分式反応装置の場合でも水道水、イオン交換水等の純水、超純水等が挙げられるが、生成物収率を向上させるためには、不純物の少ないイオン交換水等の純水、超純水を使用することが好ましく、空気中に含まれる酸素による酸化反応を防止するためにイオン交換水、超純水を脱気した状態で使用することがより好ましい。水のpHは6~8の中性の範囲であることが好ましい。酸性条件あるいはアルカリ性条件下では、副反応が起こり、目的とする式(I)の化合物の収率が低下する場合がある。水道水を高温で使用する場合は水道水に含まれる微量の化合物(炭酸カルシウムやシリカ等)が反応装置内にスケール等を発生させることがあるので、装置の点検が必要となる。
(溶媒の使用量)
本発明の反応に使用される溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率及び経済効率等の観点から、出発原料1モルに対して、1~50L(リットル)、好ましくは2~20Lの範囲を例示することができるが、溶媒の使用量は当業者により適切に調整されることができる。
本明細書において加圧状態とは、具体的に水の温度に対する飽和蒸気圧以上の圧力の範囲であることをいう。密閉された回分式反応装置に反応溶液を仕込み加熱温度に設定するだけで達成されるので、反応器の耐圧性、安全性から飽和蒸気圧に近い加圧状態が好ましい。
(反応温度)
反応が進行する限りは、本発明の反応温度は特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、100℃~150℃、好ましくは120℃~150℃、より好ましくは135℃~145℃の範囲を例示することができる。しかしながら、本発明の反応温度は当業者により適切に調整されることができる。
(反応時間)
本発明の反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、6時間~100時間、好ましくは6時間~30時間の範囲を例示できる。しかしながら、本発明の反応時間は反応温度の条件をふまえて当業者により適切に調整されることができる。
(異性化反応)
式(II)の化合物(副生成物)は、式(I)の化合物の反応前駆体および構造異性体であり、分子量が同じであり、構造も類似しているため工業的な分離が困難である。下記に示すように、脱水・水和反応に基づく異性化反応により式(I)で表される化合物に変換することができる。
Figure 0007046105000006
前記の異性化反応は例えば、無機多孔質酸化物等の存在下において行うことができる。無機多孔質酸化物として、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛及び酸化リン並びにこれらの2種以上の組み合わせからなる複合酸化物から選択される少なくとも1種の無機酸化物が用いられる。中でも、異性化選択性が更に向上する観点から、アルミナが好ましい。また、上記「これらの2種以上の組み合わせからなる複合酸化物」とは、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛、及び酸化リンのうちの少なくとも2種の成分からなる複合酸化物であるが、複合酸化物を基準として50質量%以上のアルミナ成分を含有するアルミナを主成分とする複合酸化物が好ましい。
(無機多孔質酸化物の使用量)
異性化反応に使用される無機多孔質酸化物(例えば、アルミナ)の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率及び経済効率等の観点から、式(I)の化合物と式(II)の化合物の合計重量に対する重量比で、1重量倍~10重量倍、好ましくは1重量倍~2重量倍の範囲を例示することができるが、無機多孔質酸化物の使用量は当業者により適切に調整されることができる。
(反応温度)
反応が進行する限りは、異性化反応の温度は特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、20℃~90℃、好ましくは40℃~60℃の範囲を例示することができる。しかしながら、本発明の反応温度は当業者により適切に調整されることができる。
(反応時間)
異性化反応の時間は、特に制限されない。反応温度、収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、1時間~30時間、好ましくは4時間~8時間の範囲を例示できる。しかしながら、本発明の反応時間は当業者により適切に調整されることができる。
本実施形態では、反応温度等の反応条件を適切に選択すれば、高収率、高選択率で式(I)の化合物を得ることができるため、反応生成物を含む水溶液をそのままクルード(Crude)状の水溶液として使用でき、さらに水分を蒸発させたクルード状のもの(ペースト)として使用してもよい。また、純度をさらに高めるために、必要に応じて公知の方法により精製してもよい。精製方法としては、クロマトグラフィ、溶媒抽出、再沈殿及び蒸留等が挙げられる。
合成化学の手法を駆使する従来の製造方法においては、酸・アルカリ及び有機溶媒、金属やハロゲン化物を反応物や触媒に使用するので、これらの化合物が混合された反応後の溶液から生成物を積極的に分離精製しなければならず、中和工程、洗浄工程が一般に必須となる。一方、本発明の反応工程では酸・アルカリを使用しないため中和工程は不要であり、有機溶媒を使用しないため有機溶媒を取り除く洗浄工程も不要となる。分離工程においても、生成物収率が高いため分離に要する有機溶媒等の使用の抑制が期待される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
2-デオキシ-D-グルコース(Carbosynth社製)3gを超純水に溶かして、100mLの水溶液とし、反応器(Swagelok社製、316L-HDF4-150、体積150mL)に仕込んだ。なお、反応器内は、この水溶液と空気で満たされ、ねじ締めで密閉化される。
反応器を立てた状態で、あらかじめ設定温度に調節された乾燥器(アズワン社製、DO-450PA)内に置き、加熱(反応)を開始した。反応温度は、乾燥器内の温度(設定温度)とみなした。
所定時間経過(反応)後に、反応器を乾燥器から取り出し、水中に反応器を投入し、反応器の温度を常温まで下げて反応を停止させた。反応時間は、乾燥器内に置いた時点から水中に投入した時点までの時間とした。
反応器を開けて内容物を回収し、ろ過操作(5C、φ0.22μmのろ紙を使用)で、ろ液(式(I)の化合物・式(II)の化合物を含む水溶液)を回収した。当該回収されたろ液についてガスクロマトグラフィによる定量分析を行った。
ガスクロマトグラフィの分析条件は、カラム:HP-INNOWAX、注入口及びFID温度:250℃、圧力:88.0kPa、He流量:2.5mL/min、スプリット流量:14mL/min、オーブン温度:80℃(2min)-10℃/min-100℃(2min)-10℃/min-245℃(5min)である。
図1に反応温度160℃、反応時間7、14及び28時間、また図2に反応温度140℃、反応時間14、28、56及び94時間に対する式(I)の化合物と式(II)の化合物の合計の濃度(回収されたろ液中の濃度)を示す。
なお、別途にろ液(式(I)の化合物と式(II)の化合物を含む水溶液)から水を蒸発させた後に残るペースト(シロップ)に対して、溶媒抽出を行い、抽出液(extract)の溶媒を除去した後に、減圧蒸留法で蒸留精製し、受器に溜まった式(I)の化合物と式(II)の化合物のサンプルを用いてガスクロマトグラフィにおける検量線を作成した。この検量線に基づき、回収されたろ液中の式(I)の化合物と式(II)の化合物の合計の濃度を求めた。
図1より、反応温度160℃では、反応時間が長くなるにつれて、式(I)の化合物と式(II)の化合物の合計の濃度が低下する。これは、式(I)の化合物に対してさらなる副反応が進行したためと考えられる。
図2より、反応温度140℃では、28時間の反応時間の場合は他の反応時間の場合と比較して式(I)の化合物と式(II)の化合物の合計の濃度が高く、160℃・7時間における濃度よりも高い。
図3及び図4はそれぞれ160℃・7時間、140℃・28時間のガスクロマトグラフィ(FID)チャートを示す。リテンションタイム22分のピークが式(I)の化合物と式(II)の化合物のピークである。
図3及び図4において、式(I)の化合物・式(II)の化合物以外のピークを比較すると、図4の140℃の場合が小さく、この点でも140℃、28時間の条件が有用であることが示される。
式(I)の化合物と式(II)の化合物を含むペーストは、以下の方法で得られる。回分式反応器として反応器(Swagelok社製、304L-HDF4-300、体積300mL)を用いた。
2-デオキシ-D-グルコース水溶液は、2-デオキシ-D-グルコース(Carbosynth社製)10gを蒸留水(和光純薬工業社製)に溶かして、250mLの水溶液とした。
反応器を立てた状態で、あらかじめ設定温度に調節された乾燥器(ヤマト科学社製、DY400)内に置き、加熱(反応)を開始した。反応温度は、乾燥器内の温度(設定温度)とみなした。
所定時間経過(反応)後に、反応器を乾燥器から取り出し、水中に反応器を投入し、反応器の温度を常温まで下げて反応を停止させた。
反応器を開けて内容物を回収し、ろ過操作(5C、φ0.22μmのろ紙を使用)で、ろ液(式(I)の化合物と式(II)の化合物を含む水溶液)を回収した。当該回収されたろ液を2~3日間凍結乾燥(凍結乾燥機は東京理化器械社製のFDU-1200型を使用)し、水を除去し、式(I)の化合物と式(II)の化合物を含むペーストを得た。
反応温度140℃、反応時間22時間の反応条件下において得られたペーストの1H-NMRチャート(図5、測定条件:400MHz、重アセトン)から、4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンとその構造異性体(4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オン)それぞれの二重結合の炭素原子に結合したプロトンのピーク(ピーク7.36とピーク7.62)の比は約1:0.3であることが判明した。
13mLのバイアル内に式(I)の化合物と式(II)の化合物を含むペースト、アルミナ粒子(Sigma-Aldrich社製、Aluminum Oxide、activated, basic, Brockmann I)、微量の蒸留水(和光純薬工業社製)及びスターラーチップ(ホットプレートスターラーにより回転)を仕込んだ。バイアルを50℃の水浴中に設置し、ホットプレートスターラー(Advantec社製、SRS710HA)で加熱した。アルミナ粒子が触媒となり、脱水・水和反応による構造異性体の異性化反応が進行した。
異性化反応後にバイアル内にアセトンを追加し、撹拌して溶解・抽出した。上澄みのアセトン溶液をろ紙(5C)でろ過し、エバポレータで溶媒を除去し、異性化後のペースト(式(I)の化合物)を得た。
式(I)の化合物と式(II)の化合物を含む異性化前のペースト、異性化後のペースト(式(I)の化合物)についてガスクロマトグラフィによる定性分析を行った。
ガスクロマトグラフィの分析条件は、カラム:HP-INNOWAX、注入口及びFID温度:250℃、圧力:76.7kPa、スプリット流量:15mL/min、オーブン温度:80℃(2min)-20℃/min-245℃(9min)である。
なお、式(I)の化合物と式(II)の化合物を含む異性化反応前のペーストとして、熱水反応後のろ液から水を蒸発させた後に残るペーストをアセトン等の溶媒で抽出し、その抽出液(extract)の溶媒を除去したものを使用した。異性化反応前のペーストのFID(ガスクロマトグラフィ)チャートにおけるピーク(式(I)の化合物と式(II)の化合物)の相対面積比は80.7%である。
表1に異性化反応及びアセトン抽出後の回収結果を示す。なお、表1のうち、一番上の結果(割合1:3)のみは、アセトン溶媒による溶解・抽出操作において超音波洗浄器を使用して得られた結果である。
Figure 0007046105000007
ペーストとアルミナの割合を変えて異性化反応を行った結果によると、式(I)の化合物と式(II)の化合物を含むペーストよりもアルミナの量が少ないと(1:0.5や1:0.75の場合)、FIDの相対面積比の値が低くなった。一方、アルミナの量が多くなると(1:3の場合)、回収物の量が少なくなった。できるだけ少量なアルミナの使用が望まれるため、ペーストとアルミナの割合1:1が適当であると判断した。
次に、ペーストとアルミナの割合を1:1に固定し、仕込み量を変えた実験を行った。式(I)の化合物と式(II)の化合物を含む異性化反応前のペーストとして、熱水反応後のろ液から水を蒸発させた後に残るペーストをそのまま使用した。13mL及び50mLのバイアルを使用した。
異性化反応前のペーストのFID(ガスクロマトグラフィ)におけるピーク(式(I)の化合物と式(II)の化合物)の相対面積比は83.6%であった。
表2に異性化反応及びアセトン抽出後の回収結果を示す。
Figure 0007046105000008
表2の結果からは、変動があるものの回収率60~80%の範囲で回収でき、仕込み量を増やしても問題ないことが確認された。
次に、ペーストとアルミナの割合を1:1、仕込みの量を3.2g、蒸留水の量を約0.2gに固定し、時間を変えた実験を行った。
なお、この実施例でも、式(I)の化合物と式(II)の化合物を含む異性化反応前のペーストとして、熱水反応後のろ液から水を蒸発させた後に残るペーストをそのまま使用した。50mLのバイアルを使用した。
表3に異性化反応及びアセトン抽出後の回収結果を示す。
Figure 0007046105000009
異性化反応前のペーストのFID(ガスクロマトグラフィ)におけるピーク(式(I)の化合物と式(II)の化合物)の相対面積比は、上、中及び下の段においてそれぞれ86.2%、85.6%及び86.0%である。
6時間の異性化反応後の1H-NMRチャート(表3中段の結果、測定条件:400MHz、重アセトン)を図6に示す。
二重結合の炭素原子に結合したプロトンのピークとして、式(I)の化合物のピーク(7.36)を1とした場合、式(II)の化合物のピーク(7.62)のピーク比は、0.03となった。表3より、時間とともに値が低下することがわかった。
(式(II)の化合物の同定)
式(I)の化合物と式(II)の化合物を含むペーストとして、実施例1と同じ方法で反応(ただし、超純水の代わりに蒸留水を使用)・ろ過させ、凍結乾燥器(実施例2と同じ)で水を除去して得られた160℃、6時間のペーストを用いた。このペーストをヘキサン:IPA(2-プロパノール)=50:50<v/v>に溶解させ、ろ液(ろ紙は0.2μまたは0.45μ)を分取HPLCの試料溶液とした。
分取HPLCの分取条件は、カラム:CHIRAL ART Cellulose-SC(粒径5μm、φ30.0mm I.D.、長さ250mm、YMC社製)、ヘキサン:IPA=50:50<v/v>(ともに和光純薬工業社製、特級)、検出波長220nm(UV)、温度:室温、溶媒流量:13mL/minである。試料溶液の注入量2mL (約14000mg/L in Eluent:例えば、式(I)の化合物と式(II)の化合物を含むペースト0.84gを混合溶媒(ヘキサン30mL、IPA30mL)に溶かしろ過して調整)である。
約1gのペーストを分取HPLCで処理し、分取された溶液を蒸発させて、71mgの式(II)のジアステレオ化合物を得た。図7、図8に式(II)の化合物の1H-、13C-NMRチャート(測定条件:400MHz、100MHz、重アセトン)を示す。なお、ガスクロマトグラフィによる定性分析(分析条件は実施例2と同じ条件、マススペクトルを同時測定)により、式(II)の化合物の分子量の値を確認した。
本発明によれば、上記式(I)の化合物の新規で工業的に適用できる製造方法が提供される。


Claims (4)

  1. 2-デオキシ-アルドヘキソース水溶液を蒸発させずに加圧状態で100℃~150℃で加熱する工程、および式(II)
    Figure 0007046105000010
    で表される化合物を式(I)
    Figure 0007046105000011
    で表される化合物に異性化させる異性化反応をを含む、式(I)で表される化合物の製造方法。
  2. 異性化反応が無機多孔質酸化物の存在下において行われることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
  3. 無機多孔質酸化物が、アルミナであることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
  4. 式(II)
    Figure 0007046105000012
    で表されるジアステレオ化合物。
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