JP7043205B2 - 分子検出装置及び分子検出方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、分子検出装置及び分子検出方法に関する。
家庭用の温水器等には、不完全燃焼を起こした際に発生する一酸化炭素を検出する装置が取り付けてあり、早い段階で危険性を知らせてくれる。このようなガス成分は人体に重大な影響を与える。LPガス安全委員会の指針によれば、一酸化炭素の濃度がおおよそ200ppm(百万分の2)程度になると頭痛を引き起こすとされている。比較的濃度が高いガス成分を検出する方法としては種々の方法が知られているが、極低濃度に相当するppb(十億分の1)からppt(一兆分の1)の濃度では検出方法が限られている。
災害現場やテロ行為が行われた現場等においては、極めて微量のガス成分を検出することで、事前に危険性を察知することが望まれている。極低濃度のガス成分は、研究施設内の大型機器を利用して検出する場合が多い。このような場合、ガスクロマトグラフィーや質量分析計のような高価で重量と容積の大きな設置型装置が必要となる。このような点から、極低濃度のガス成分をリアルタイムに検出することが可能な装置、すなわち重量や容積が小さくて携帯性に優れると共に、pptからppbオーダーの極低濃度のガス成分を選択的にかつ高感度に検出することを両立させた装置が求められている。
ところで、極低濃度での検出が求められるガス成分としては、例えばテロ行為に使用される爆薬類から放出される爆薬成分が挙げられる。爆薬類は密閉された状態でも僅かながらの爆薬成分を放出しており、これを訓練された警察犬等によって発見するのが、空港等の現場においては一般的である。このような方法は抑止の観点からは効果が高いものの、動物を利用した対処法はコストが高く、加えて常態的な正確性を確保することが難しい。爆薬以外にも比較的入手が容易なシアン化合物をガス化して用いることが想定される。シアン化合物は鉱物を処理して金属を取り出す工程やメッキ工程等にも用いられており、比較的入手が容易であり、しかもその毒性は非常に高く、数ppm程度の濃度の蒸気に晒されただけでも、人命に影響があるとされている。このため、可能な限り低い濃度でシアン系ガス(シアン化合物の揮発成分ガスや分解ガス)を検出し、迅速な避難行動をとることが、例えば駅や空港等の公共性の高い施設では望まれている。
低濃度のガス成分の検出素子としては、例えばカーボンナノ構造体やグラフェンの表面を特定物質と選択的に反応又は吸着する有機物質等で表面修飾した導電層を有し、導電層の表面に付着したガス成分により変化する電位差等を測定する素子が知られている。このような検出素子においては、検出プローブとして機能する有機物質の種類自体に限界があり、シアン系ガス(シアン化合物の揮発成分ガスや分解ガス)と十分な相互作用が得られる有機物質は見出されていない。このようなことから、シアン系ガスを可能な限り低い濃度で検出することが可能で、動物を利用した検出方法のような常態的な正確性を確保することが困難な方法に代わる分子検出装置及び分子検出方法が強く求められている。
特開2010-139269号公報 特表2013-529308号公報 国際公開第2017/025996号 国際公開第2017/042851号
本発明が解決しようとする課題は、例えば極低濃度のシアン化合物の揮発成分ガスや分解ガス等のシアン系ガスを含むガス成分を選択的にかつ高感度に検出することを可能にした分子検出装置及び分子検出方法を提供することにある。
実施形態の分子検出装置は、ンサー部と、前記センサー部に設けられ、ジシアノビニル構造又はクマリン構造を含む有機物プローブとを有する検出セルを備え、検出対象ガスに被検出分子として含まれるシアン化合物分子を前記有機物プローブで捕捉する検出器と、前記被検出分子が前記検出セルの前記有機物プローブに捕捉されることにより前記センサー部から生じる検出信号により前記被検出分子として含まれる前記シアン化合物分子を識別する識別器とを具備する。
実施形態の分子検出装置を示すブロック図である。 図1に示す分子検出装置の変形例を示すブロック図である。 実施形態の検出器の構成を示す図である。 実施例の分子検出装置による被検出分子の検出波形の一例を示す図である。 実施形態の分子検出装置による複数の検出セルの一例を示す図である。 図5に示す複数の検出セルによる被検出分子の検出結果の一例を示す図である。 図5に示す複数の検出セルによる被検出分子の検出結果の他の例を示す図である。 実施形態の分子検出装置で有機物プローブに用いられる有機化合物の第1の例を示す図である。 ジシアノビニル構造によるシアン化合物分子の捕捉例を示す図である。 クマリン構造によるシアン化合物分子の捕捉例を示す図である。 クマリン構造における炭素の位置番号を示す図である。 実施形態の分子検出装置で有機物プローブに用いられる有機化合物の第2の例を示す図である。 実施形態の分子検出装置で有機物プローブに用いられる有機化合物の第3の例を示す図である。 実施形態の分子検出装置における情報処理部を示す図である。
以下、実施形態の分子検出装置及び分子検出方法について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、各部の厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。
図1は実施形態の分子検出装置を示すブロック図である。図1に示す分子検出装置1は、例えばガス発生元から発生した被検出分子(被検出物)2を含む検出対象ガス3から被検出分子2を検出する装置であり、捕集部10と検出器(分子検出器)20と識別器30とを備えている。被検出分子2を含む検出対象ガス3は、まず分子検出装置1の捕集部10で捕集される。捕集部10は、検出対象ガス3の捕集口を有しており、ガス流路11を介して検出器20に接続されている。捕集部10は、検出対象ガス3中に含まれる微粒子等の不純物を除去するフィルタを備えていてもよい。
検出対象ガス3は、被検出分子2に類似する分子量や分子構造等を有する物質を不純物として含んでいる場合がある。また、空気中に漂う被検出分子2は図2に示すように、におい成分や微粒子等の様々な夾雑物4(4a、4b)と混ざった状態で存在することが多い。このような点から、検出対象ガス3は図2に示すように、予めフィルタ装置5や分子分配装置6等で前処理した後に、分子検出装置1に送るようにしてもよい。
前処理装置のうちのフィルタ装置5には、一般的な中高性能フィルタ等が用いられる。フィルタ装置5において、検出対象ガス3中に含まれる微粒子等の粒子状物質が除去される。フィルタ装置5で粒子状物質が除去された検出対象ガス3は、分子分配装置6に送られる。分子分配装置6としては、検出対象ガス3をイオン化してイオン化物質群とし、イオン化物質群に電圧を印加して質量に比例する速度で飛行させ、この質量差による飛行速度及びそれに基づく飛行時間を利用して、イオン化物質群から被検出分子2のイオン化物質を分離する装置が挙げられる。このような分子分配装置6としては、イオン化部、電圧印加部、及び飛行時間分離部を備える装置が用いられる。
被検出分子2を含む検出対象ガス3は、直接もしくはフィルタ装置5や分子分配装置6等の装置で前処理された後に捕集部10で捕集される。捕集部10で捕集された被検出分子2は、ガス流路11を介して検出器20に送られる。検出器20は、図3に示すように、複数の検出セル201に区画された検出面20Aを備えている。検出器20の検出面20Aは、ガス流路11の被検出分子2の導出口(図示せず)に向けて配置されている。複数の検出セル201は、それぞれセンサー部21及びセンサー部21に設けられた有機物プローブ22を有する検出素子23を備えている。図3はセンサー部21にグラフェン電界効果トランジスタ(GFET)を用いた検出素子23を示している。
センサー部21としてのGFETは、ゲート電極として機能する半導体基板24と、半導体基板24上にゲート絶縁層として設けられた絶縁膜25と、絶縁膜25上にチャネルとして設けられたグラフェン層26と、グラフェン層26の一端に設けられたソース電極27と、グラフェン層26の他端に設けられたドレイン電極28とを備えている。グラフェン層26上には、有機物プローブ22が設けられている。検出器20に導かれた被検出分子2は、グラフェン層26上の有機物プローブ22に捕捉される。有機物プローブ22に捕捉された被検出分子2からGFET21に電子が移動することで電気的な検出が行われる。このようにして、目的とする被検出分子2が検出される。
有機物プローブ22を構成する有機物は溶剤に溶ける性質を有するため、溶剤に溶かした溶液として塗布することでグラフェン層26に有機物プローブ22を設置することができる。有機物プローブ22はグラフェンと相互作用を得られやすくするために、ピレン環のような構造を有した部位を有することが好ましい。ピレン環のような構造を持つ分子はグラフェンの炭素が構成する六角形状のπ電子系と相互作用を持ち、いわゆるπ―πスタッキングと呼ばれる相互作用状態を形成する。低濃度のプローブ分子を溶媒に溶かしてグラフェンに塗布すると、ピレン環とグラフェンとの間でπ―πスタッキングが形成され、グラフェン上にプローブ分子が整列して固定化される。このような自己配列作用を利用してグラフェン層26上に有機物プローブ22を設置することができる。有機物プローブ22を構成する有機化合物については、後に詳述する。
グラフェン層26上に設けられた有機物プローブ22に被検出分子2が捕捉されると、GFET21の出力が変化する。グラフェンが1層の場合にはゼロギャップとなっているため、通常はソース電極27とドレイン電極28との間に電気が流れ続けている。グラフェンの層数が2層、3層と増えるとバンドギャップが生じるが、厳密な理論値から考えられるよりも実際の系ではバンドギャップが比較的小さい。ゲート絶縁層25がシリコン酸化膜程度の誘電率の場合には、ソース電極27とドレイン電極28との間に電気が流れ続けることが多い。従って、グラフェン層26はグラフェンの単層構造に限らず、5層以下程度のグラフェンの積層体で構成してもよい。
有機物プローブ22の近傍に飛来した被検出分子2は、水素結合の力等により有機物プローブ22に引き付けられ、場合によっては接触する。被検出分子2の接触が起こると、有機物プローブ22との間で電子のやり取りが発生し、有機物プローブ22が接するグラフェン層26に電気的変化を伝える。有機物プローブ22からグラフェン層26に伝えられた電気的な変化は、ソース電極27とドレイン電極28との間の電気の流れを乱すため、GFET21がセンサーとして機能する。
グラフェン層26をチャネルとして用いたGFET21によれば、極僅かな電気変化であっても顕著に出力として現れる。従って、高感度な検出素子23を構成することができる。GFET21を用いたセンサーは、グラフェンがゼロギャップ半導体としての性質を有することから、ゲート電極24に電圧を加えなくともソース電極27とドレイン電極28との間に電流が流れる傾向もみられる。従って、このままでもセンサーとして機能するが、通常はゲート電極24に電圧を加えた状態でソース電極27とドレイン電極28との間に電流を流し、有機物プローブ22で被検出分子2を捕捉した際のゲート電極24の電気的変化を観測する。図4は分子検出装置1による被検出分子2の検出波形の一例を示している。有機物プローブ22が被検出分子2を捕捉すると、検出波形に図4に示すような変化が現れる。検出波形の信号強度への変換は種々の方法が考えられるが、例えば図4におけるP1とP2、及びピークの先端であるP3との面積から算出した値を強度として設定する。ただし、必ずしもこの方法に限られるものではない。
上記した検出素子23による被検出分子2の検出において、有機物プローブ22に捕捉された被検出分子2からGFET21への電子の移動が高いほどセンサーとしての機能が高くなる。GFET21を用いたセンサーは、最も高感度なFETセンサーとされており、カーボンナノチューブを用いたセンサーと比べて3倍ほど感度を向上させることができる。従って、GFET21と有機物プローブ22とを組み合わせた検出素子23を用いることによって、被検出分子2の高感度な検出が可能になる。
図5は複数の検出セル201を格子状(アレイ状)に配列した検出面20Aを示しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。複数の検出セル201は直線状に配列されていてもよい。複数の検出セル201のグラフェン層26にそれぞれ設けられた有機物プローブ22のうち、少なくとも一部は被検出分子2との作用強度(結合強度)が異なっている。すなわち、複数の検出セル201は被検出分子2との結合強度が異なる複数の有機物プローブ22を備えている。全ての有機物プローブ22が被検出分子2との結合強度が異なっていてもよいし、一部が被検出分子2との結合強度が異なっていてもよい。
図5は検出器20の検出面20Aを4つの検出セル201、すなわち検出セルA、検出セルB、検出セルC、及び検出セルDに分割した格子状センサーを示している。検出セルA~Dのうち、少なくとも一部には種類が異なる有機物プローブ22、すなわち被検出分子2との結合強度が異なる複数の有機物プローブ22が設けられている。複数の有機物プローブ22は、それぞれ被検出分子2と相互作用を有するが、被検出分子2との結合強度が異なるため、強度が異なる検出信号が出力される。図6及び図7は検出セルA~Dによる検出信号の例を示している。検出セルA~Dからの検出信号は、それぞれ有機物プローブ22の被検出分子2との結合強度により信号強度が異なっている。
検出セルA~Dで検出された信号は、識別器30に送られて信号処理される。識別器30は、検出セルA~Dからの検出信号を強度に変換し、これら検出信号の強度差に基づく信号パターン(図6及び図7に示す4つの検出信号のパターン)を解析する。識別器30には、検出する物質に応じた信号パターンが記憶されており、これら信号パターンと検出セルA~Dで検出された信号パターンとを比較することで、検出器20で検出された被検出分子2の識別が行われる。このような信号処理を、ここではパターン認識法と呼ぶ。パターン認識法によれば、例えば指紋検査のように被検出物特有の信号パターンにより被検出分子2を検出及び識別することができる。従って、pptからppbオーダーの極低濃度のガス成分(被検出分子2)を選択的にかつ高感度に検出することができる。
上述したパターン認識法を適用することによって、検出器20に導かれる検出対象ガス3に不純物が混入しているような場合においても、被検出分子2を選択的にかつ高感度に検出及び識別することができる。例えば、被検出分子2が有毒な有機リン化合物の代表的な材料であるメチルホスホン酸ジメチル(DMMP、分子量:124)の場合、化学的な構造が近いジクロルボスのようなリン酸を持つ農薬、さらにマラチオン、クロルピリホス、ダイアジノンのような使用例が多い有機リン系農薬が存在する。これらの物質の誤検知を防ぐためには、図6及び図7に示すような信号パターンにより識別するのが有効である。上述した各物質により検出セルA~Dで検出される信号パターンが異なるため、パターン認識法を適用することで、分子量が近く、また構成元素も似通っている不純物が混入していても、検出対象の物質を選択的にかつ高感度に検出することができる。
次に、実施形態の分子検出装置1の検出セル201に用いられる有機物プローブ22について詳述する。有機物プローブ22を構成する有機化合物は、被検出分子2に対する反応基として、例えばヒドロキシ基(-OH)を有している。ただし、反応基(-OH)のみではほとんどガス成分と反応しない。そこで、水素結合性等を高めるために、例えば反応基(-OH)の周囲をフッ素化した構造を有する有機化合物を適用する。このような有機物プローブ22を構成する有機化合物の代表例を図8に示す。反応基(-OH)の周囲をフッ素化するために、例えば反応基(-OH)が結合した炭素に、トリフルオロメチル基(-CF)やヘキサフルオロエチル基(-C)等のフッ素化アルキル基を、反応基の隣接基として導入する。
上記したような置換アルキル基を有する構造としては、図8に示す1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-フェニル-2-プロパノール構造や、α-トリフルオロメチルベンジル構造等が挙げられる。これらの構造は、電気陰性度が高いフッ素により反応基(OH基)の活性を高める効果を有する。なお、反応基はヒドロキシ基(-OH)に限らず、アミノ基(-NH)等であってもよい。また、隣接基はメチル基(-CH)やエチル基(-C)等のアルキル基であってもよい。
有機物プローブ22を構成する有機化合物は、図8の有機化合物1Aに示すように、上述した反応基と隣接基とを有するヘッド部HSと、グラフェン層26等に対する設置部位となるベース部BSと、ヘッド部HSとベース部BSとを結合する結合部CSとを有する有機化合物で構成することが好ましい。ヘッド部HSは、反応基と隣接基を有する芳香族炭化水素基であることが好ましい。ベース部BSは、ピレン環、アントラセン環、ナフタセン環、フェナントレン環等の多環構造を有する置換又は非置換の多環芳香族炭化水素基であることが好ましく、さらに置換又は非置換のピレン基であることがより好ましい。結合部CSは単結合又は二価基であり、メチレン基やエチレン基等のアルキレン基であってもよいが、エーテル結合(-O-)、エステル結合(-C(=O)O-)、カルボニル結合(-CO-)、アミド結合(-NH-CO-)、イミド結合(-CO-NH-CO-)等の特性基を有する二価の有機基であることが好ましい。
ところで、上述したような有機化合物(例えば、図8に示す有機化合物)からなる有機物プローブ22は、有毒な有機リン化合物の代表的な材料であるメチルホスホン酸ジメチル(DMMP)等に対して有効に機能するため、そのような化合物分子からなる被検出分子2を高精度に検出することができる。一方、例えばシアン化水素(HCN)や塩化シアン(Cl-CN)等のシアン化合物(シアン化物/シアノ化合物)に対しては、上述したような有機化合物の効果は限定的であり、有効に作用するとは言えない。有機リン化合物は特徴的なリン(P)と酸素(O)との結合を有するのに対し、シアン化水素に代表されるシアン化合物は分子構造が大きく異なっている。このようなシアン化合物分子を有機物プローブ22で捕捉するためには、有機化合物の構造を工夫する必要がある。
実施形態の分子検出装置1おいては、シアン化合物と相互作用を示す有機物プローブ22として、ジシアノビニル構造(CN-(CN-)C=C-)又はクマリン構造(C)を備える有機化合物が用いられる。ジシアノビニル構造及びクマリン構造は、シアノ基(-CN/シアン化物イオン)との反応性を有する二重結合部位を有しており、シアン化合物の電気的にマイナスに偏っているシアノ基(ニトリル基)部位と良好な相互作用を示す。これによって、シアノ基の捕捉性を高めることができる。図9はジシアノビニル構造を示しており、図10はクマリン構造を示している。
図9はジシアノビニル構造とシアノ基(-CN)との反応例を示している。電気的にマイナスに偏っているシアノ基は、ジシアノビニル構造の骨格となる二重結合を解裂し、解裂により生じた炭素の一端と結合する。ジシアノビニルの具体的な構造は、必ずしも限定されるものではないが、シアノ基(-CN)との反応性を高める上で、ジシアノビニルの骨格となる炭素-炭素の二重結合(C=C)の一方の炭素に、2つのシアノ基が結合した構造を有することが好ましい。これによって、シアノ基によるジシアノビニル構造の二重結合の解裂性が高められ、シアノ基の捕捉性を向上させることができる。
図10はクマリン構造とシアノ基(-CN)との反応例を示している。電気的にマイナスに偏っているシアノ基は、クマリン構造内の第3の位置の炭素と第4の位置の炭素との間の二重結合を解裂し、解裂により生じた第4の位置の炭素の一端と結合する。図11にクマリン構造における炭素の位置番号を示す。クマリン構造においては、図11に示す第3の位置の炭素と第4の位置の炭素との間の二重結合がシアノ基により解裂しやすい。さらに、クマリン構造は、第3の位置の炭素に結合され、カルボニル基(-C(=O)-)を含む有機基を有することが好ましい。クマリン構造がカルボニル基を含む有機基を有する場合、カルボニル基に近似する第3の位置の炭素と第4の位置の炭素との間の二重結合の解裂性が高められ、解裂により生じた第4の位置の炭素の一端にシアノ基が結合しやすくなる。従って、シアノ基の捕捉性を向上させることができる。
上述したようなシアノ基(-CN)と相互作用を示す特有の二重結合部位を有するジシアノビニル構造又はクマリン構造を備える有機化合物を、検出セル201のセンサー部21に有機物プローブ22として設けることによって、シアン化合物分子の捕捉性を高めることができる。従って、検出器20によるシアン化合物分子の検出感度や検出精度を向上させることが可能になる。さらに、ジシアノビニル構造又はクマリン構造を備える有機物プローブ22は、特有の二重結合構造を持つ部位に電気的に偏ったシアノ基(-CN)が作用することによりシアン化合物分子を捕捉するため、シアン化合物分子を周辺の環境条件等に左右されることなく高感度に検出することが可能になる。すなわち、シアン化合物分子の検出精度を高めることができる。
図12に、有機物プローブ22として用いられる、ジシアノビニル構造又はクマリン構造を備える有機化合物の例を示す。有機化合物2Aはジシアノビニル構造を有し、有機化合物2Bはクマリン構造を有する。有機化合物2A~2Bは、前述した有機化合物1A~1Cと同様に、反応部位を有するヘッド部HSと、グラフェン層26等に対する設置部位となるベース部BSと、ヘッド部HSとベース部BSとを結合する結合部CSとを有している。なお、図12は有機物プローブ22の一例を示しており、ジシアノビニル構造又はクマリン構造を備える有機物プローブ22は、図12に示す有機化合物2A及び有機化合物2Bに限られるものではなく、ヘッド部HSがシアノ基との反応部位となる、ジシアノビニル構造又はクマリン構造に由来する二重結合を有し、かつベース部BSがグラフェン層26等に対して設置を容易にする芳香族炭化水素基を有する有機化合物であればよい。
有機化合物2Aは、ヘッド部HSとしてジシアノビニル基が結合したフェニル基を有しており、ジシアノビニル基の二重結合がシアノ基との反応部位として機能する。ヘッド部HSはジシアノビニル基を有するフェニル基に限られるものではなく、ジシアノビニル基を有する他の芳香族炭化水素基であってもよい。芳香族炭化水素基は、ジシアノビニル基以外の置換基を有していてもよい。上述したように、2つのシアノ基はジシアノビニル基の同一の炭素に結合していることが好ましい。有機化合物2Bは、ヘッド部HSとしてカルボニル基を含む有機基、図12では「-C(=O)-O-C基」を有するクマリン基を有しており、クマリン基の第3の位置の炭素と第4の位置の炭素との間の二重結合がシアノ基との反応部位として機能する。上述したように、クマリン基は第3の位置の炭素に結合された、カルボニル基を含む有機基を有することが好ましい。
ベース部BSは、前述した有機化合物1A~1Cと同様に、ピレン環、アントラセン環、ナフタセン環、フェナントレン環等の多環構造を有する置換又は非置換の多環芳香族炭化水素基であることが好ましく、さらに置換又は非置換のピレン基であることがより好ましい。結合部CSは単結合又は二価の有機基であり、メチレン基やエチレン基等のアルキレン基であってもよいが、エーテル結合(-O-)、エステル結合(-C(=O)O-)、カルボニル結合(-CO-)、アミド結合(-NH-CO-)、イミド結合(-CO-NH-CO-)等の特性基、又は上記特性基を有するアルキレン基のような有機基であることが好ましい。なお、有機化合物2A、2Bは結合部CSとして[-CO-基]を有しているが、これに限定されるものではない。
上述したようなジシアノビニル構造又はクマリン構造を有する有機化合物において、ヘッド部HSの反応部位としての二重結合部位及びそれを有する官能基(ジシアノビニル基又はクマリン基)の構造の違いや、結合部CSとしての2価の有機基(炭化水素基等)の炭素数の違い等に基づいて、それら有機化合物からなる有機物プローブ22と被検出分子2としてのシアン化合物分子との結合強度が異なる。従って、そのようなシアン化合物分子との結合強度が異なる有機化合物からなる有機物プローブ22を、例えば図5に示す検出器20の4つの検出セルA~Dにそれぞれ設けることによって、有機物プローブ22がシアン化合物分子を捕捉した際の検出信号の強度を異ならせることができる。従って、図6や図7に示すような検出信号の強度差に基づく信号パターンが得られ、これによりシアン化合物分子の検出及び識別が可能になる。
複数の検出セル201に設ける有機物プローブ22は、ジシアノビニル構造又はクマリン構造を有する有機化合物のみに限られるものではない。ジシアノビニル構造又はクマリン構造を有する有機化合物からなる有機物プローブ22は、複数の検出セル201の少なくとも1つに設けられていればよい。他の検出セル201は、図8に示す有機化合物からなる有機物プローブ22や後述する図13に示す有機化合物3A、3Bからなる有機物プローブ22を有していてもよい。図13に示す有機化合物3Aは反応基としてアミノ基を有し、有機化合物3Bは反応基を有していない。有機化合物3Bを用いた検出セル201は、基準を示す標準セルとして用いることができる。また、被検出分子2としてのシアン化合物分子の検出は、複数の検出セル201を用いたパターン認識法に限られるものではない。例えば、1つの検出セル201にジシアノビニル構造又はクマリン構造を有する有機物プローブ22を設け、有機物プローブ22がシアン化合物分子を捕捉したことにより生じる検出信号により被検出分子2を識別するように構成することも可能である。
ジシアノビニル構造又はクマリン構造を有する有機物プローブ22を用いた検出器20は、上述したように被検出分子2としてシアン化合物分子を検出する際に有効に作用する。被検出分子2を構成するシアン化合物としては、例えばシアン化水素(HCN)や塩化シアン(Cl-CN)等が挙げられる。また、シアン化ナトリウム(NaCN)、シアン化カリウム(KCN)、シアン化銀(AgCN)、シアン化銅(CuCN)等のシアン化合物は、空気中の二酸化炭素と反応したり、また加熱させることでシアン化水素(HCN)を放出するため、シアン化水素(HCN)を検出することによって、シアン化ナトリウムやシアン化カリウム等のシアン化合物の存在を検知することもできる。
実施形態の分子検出装置1によれば、例えばパターン認識法を適用することで、pptからppbオーダーの極低濃度のガス分子を選択的にかつ高感度に検出することができる。さらに、ジシアノビニル構造又はクマリン構造を有する有機物プローブ22を用いることによって、従来の有機物プローブでは捕捉しづらかったシアン化合物分子を、被検出分子2が存在する環境条件等に左右させることなく、高感度に検出することができる。従って、シアン化合物分子等のガス分子を高感度に検出することが可能になる。さらに、検出器20及び識別器30で検出感度及び検出精度を高めることで、分子検出装置1を小型化することができる。従って、携帯性と検出精度とを両立させた分子検出装置1を提供することが可能になる。このような分子検出装置1は、水質や大気の環境測定の現場、災害によりシアン化合物等の有毒物質が拡散した現場、またテロ行為が行われた現場等、各種の現場でその機能を有効に発揮させることができる。
実施形態の分子検出装置1で得られた被検出分子2の検出及び識別結果は、情報ネットワークを介して送信して活用するようにしてもよい。図14は被検出分子2の検出情報を、情報ネットワークを介して送信する機能、及び検出情報と情報ネットワークから取得する参照情報とを照合する機能を備える情報処理部40が付属又は内設された分子検出装置1の構成例を示している。情報処理部40は、被検出分子2の検出情報を送信する情報送信部41と、参照情報を受信する情報受信部42と、検出情報を参照情報と照合する情報照合部43とを具備している。情報処理部40は、情報送信機能及び情報受信機能を含む情報照合機能の一方のみを有していてもよい。
被検出分子2の検出情報は、情報送信部41からネットワークを介して情報利用者に伝達される。被検出分子2の検出情報を既存の参照情報と照合するために、ネットワークを介して情報受信部42により参照情報を取得する。取得した参照情報は情報照合部43により検出情報と照合される。情報を外部のネットワークから取得して参照することで、多くの情報を持ち歩いて解析する機能を外部に代替できるため、分子検出装置1をより一層小型化して携帯性を高めることができる。さらに、ネットワーク伝達手段を用いることで、パターン認識法における新たな信号パターンを即時に取得することもできる。情報を受信した側では、この情報を基に次の行動を起こすことができる。携帯性のある分子検出装置1を各所に配置しておき、得られるデータを各所から集めて分析し、異常事態の避難誘導等に役立てるといった使い方ができる。ネットワークと分子検出装置1とを結合することで、従来では達し得なかった多くの使い方が生み出され、産業的な価値が向上する。
次に、具体的な実施例及びその評価結果について述べる。
(実施例1)
まず、GFETと有機物プローブとを組み合わせた検出素子を、以下のようにして用意する。グラフェン層は、グラファイトからの剥離法により基板へ転写して形成したり、化学気相成長法(CVD)を利用して金属の表面に成長させることにより形成する。金属の表面に成長した単層や複数層のグラフェンをポリマー膜に転写して、所望の電界効果トランジスタ(FET)作製用の半導体基板に再度転写する。例えば、銅箔表面に1000℃程度の条件でメタンガスをフローしたCVDによりグラフェンを形成する。
次に、ポリメチルメタクリレート膜を、スピンコート法を用いて4000rpmで塗布し、逆面の銅箔膜を0.1Mの過硫酸アンモニウム溶液でエッチングし、溶液に浮遊したグラフェン膜を回収する。これでグラフェン膜がポリメチルメタクリレート膜側へ転写される。十分に表面を洗浄した後に、これをシリコン基板上に再度転写する。余分なポリメチルメタクリレート膜は、アセトンにより溶解させて除去する。シリコン基板に転写されたグラフェンには、レジストを塗布してパターニングし、酸素プラズマによって電極間隔10μmのパターンを形成する。電極を蒸着してソース電極とドレイン電極を設けたFET構造を形成する。シリコン基板表面に形成されている酸化膜上にグラフェンが配置され、グラフェンがソース電極とドレイン電極で挟まれると共に、シリコン基板側をゲート電極とするFET型のセンサー構造が形成される。
次いで、グラフェンの表面に有機物プローブを設ける。有機物プローブは、メタノール溶液に10nMの濃度で溶解させて、この中にグラフェンセンサー面を数分間浸漬して設置する。有機物プローブには、図12に示した有機化合物2A、2Bと図13に示した有機化合物3A、3Bを用いる。実施例1では、図5に示したように、検出器の検出面に4つの検出セルA~Dを設け、検出セルAに有機化合物2A、検出セルBに有機化合物2B、検出セルCに有機化合物3A、検出セルDに有機化合物3Bをそれぞれ有機プローブとして設置する。前述したように、有機化合物2A、2B、3A、3Bは、それぞれ被検出分子(シアン化合物分子)との結合強度が異なる。
次に、被検出分子としてシアン化水素(HCN)を用意する。被検出分子については、その蒸気を窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈し、この希釈ガスを検出器に送る。被検出分子は、検出セルA~Dの有機物プローブにそれぞれ捕捉される。検出セルA~Dの有機物プローブは、それぞれ被検出分子との結合強度が異なるため、ゲート電極に検出される信号もそれぞれ異なる。検出セルA~Dで検出した結果は、信号処理をする識別器に送られて強度に変換される。検出結果は、図6に示すように、相対的な強度表示となって出力される。図6に示す検出結果において、検出セルDは他の検出セルと比べて検出信号の強度が2桁以上低いため、「0」として図示している。被検出分子の検出結果は、検出セルA~Dの信号強度差に基づく信号パターンを示しており、このような信号パターンに基づいて被検出分子を識別することによって、ppbオーダーの極低濃度の被検出分子1を選択的にかつ高感度に検出することができることが分かる。
(実施例2)
実施例1と同様にして作製したGFETセンサーのグラフェンの表面に設ける有機物プローブとして、図12に示した有機化合物2A、2Bと図13に示した有機化合物3A、3Bを用いて、実施例1と同様にして検出器を構成する。このような検出器を用いて、被検出分子(シアン化水素)を検出する。この際に、被検出分子(シアン化水素)と同時に水分子も混合しておく。すなわち、被検出分子(シアン化水素)の蒸気を、100ppbの水蒸気を含んだ窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈して検出器に送る。被検出分子の検出結果を図7に示す。表7に示すように、被検出分子の検出結果は、検出セルA~Dの信号強度差に基づく信号パターンを示しており、このような信号パターンに基づいて被検出分子を識別することによって、ppbオーダーの極低濃度の被検出分子を選択的にかつ高感度に検出できることが分かる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…分子検出装置、2…被検出分子、3…検出対象ガス、10…捕集部、11…ガス流路、20…検出器、201,A,B,C,D…検出セル、21…センサー部(GFET)、22…有機物プローブ、23…検出素子23、24…半導体基板、25…絶縁膜、26…グラフェン層、27…ソース電極、28…ドレイン電極、30…識別器。

Claims (13)

  1. センサー部と、前記センサー部に設けられ、ジシアノビニル構造又はクマリン構造を含む有機物プローブとを有する検出セルを備え、検出対象ガスに被検出分子として含まれるシアン化合物分子を前記有機物プローブで捕捉する検出器と、
    前記被検出分子が前記検出セルの前記有機物プローブに捕捉されることにより前記センサー部から生じる検出信号により前記被検出分子として含まれる前記シアン化合物分子を識別する識別器と
    を具備する分子検出装置。
  2. 前記有機物プローブにおける前記ジシアノビニル構造は、ジシアノビニルの骨格となる二重結合中の同一の炭素に結合された2つのシアノ基を有する、請求項1に記載の分子検出装置。
  3. 前記有機物プローブにおける前記クマリン構造は、クマリンの第3の位置に存在する炭素に結合された、カルボニル基を含む有機基を有する、請求項1に記載の分子検出装置。
  4. 前記センサー部は、グラフェン層と、前記グラフェン層に接続されたソース電極及びドレイン電極とを有する電界効果トランジスタを備え、
    前記有機物プローブは、前記グラフェン層に設けられている、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  5. 前記検出器は、複数の前記センサー部と、前記複数のセンサー部にそれぞれ設けられ、前記有機物プローブからなる第1の有機物プローブ又は前記有機物プローブとは異種の第2の有機物プローブとを有する複数の前記検出セルを備え、
    前記複数の検出セルは、前記被検出分子との結合強度が異なる複数の前記有機物プローブを有し、
    前記識別器は、前記被検出分子が前記複数の検出セルの前記有機物プローブに捕捉されることにより生じる前記検出信号の強度差に基づく信号パターンにより前記被検出分子を識別する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  6. 前記有機物プローブは、前記ジシアノビニル構造又はクマリン構造を有するヘッド部と、多環芳香族炭化水素基を有するベース部と、前記ヘッド部と前記ベース部とを結合する単結合又は二価の有機基を有する結合部とを備える有機化合物からなる、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  7. 前記結合部は、エーテル結合、エステル結合、カルボニル結合、アミド結合、及びイミド結合から選ばれる1つの特性基、又は上記特性基を有するアルキレン基である、請求項6に記載の分子検出装置。
  8. 検出セルのセンサー部に設けられ、ジシアノビニル構造又はクマリン構造を含む有機物プローブで、検出対象ガスに被検出分子として含まれるシアン化合物分子を捕捉する工程と、
    前記被検出分子が前記検出セルの前記有機物プローブに捕捉されることにより前記センサー部から生じる検出信号により前記被検出分子として含まれる前記シアン化合物分子を検出及び識別する工程と
    を具備する分子検出方法。
  9. 前記有機物プローブにおける前記ジシアノビニル構造は、ジシアノビニルの骨格となる二重結合中の同一の炭素に結合された2つのシアノ基を有する、請求項8に記載の分子検出方法。
  10. 前記有機物プローブにおける前記クマリン構造は、クマリンの第3の位置に存在する炭素に結合された、カルボニル基を含む有機基を有する、請求項8に記載の分子検出方法。
  11. 前記被検出分子を、複数の前記検出セルのセンサー部にそれぞれ設けられ、前記有機物プローブからなる第1の有機物プローブ又は前記有機物プローブと異種の第2の有機物プローブを含む、前記被検出分子との結合強度が異なる複数の有機物プローブで捕捉し、
    前記被検出分子が前記複数の検出セルの前記有機物プローブに捕捉されることにより生じる前記検出信号の強度差に基づく信号パターンにより前記被検出分子を識別する、請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の分子検出方法。
  12. 前記有機物プローブは、前記ジシアノビニル構造又はクマリン構造を有するヘッド部と、多環芳香族炭化水素基を有するベース部と、前記ヘッド部と前記ベース部とを結合する単結合又は二価の有機基を有する結合部とを備える有機化合物からなる、請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の分子検出方法。
  13. 前記結合部は、エーテル結合、エステル結合、カルボニル結合、アミド結合、及びイミド結合から選ばれる1つの特性基、又は上記特性基を有するアルキレン基である、請求項12に記載の分子検出方法。
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