JP6876661B2 - 有機物プローブ及び分子検出装置 - Google Patents
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Description
図1は実施形態の分子検出装置100を示すブロック図である。図1に示す分子検出装置100は、例えばガス発生元から発生した被検出分子(被検出物)1および微粒子等の交雑物4を含む検出対象ガス3から被検出分子1を検出する装置であり、捕集部10と検出器(分子検出器)20と識別器30と光照射器120を備えている。捕集部10は捕集口を有し、捕集口からガス3を取り込み、取り込んだガス3をガス流路11を介して検出器20に送る。光照射器120は、検出器20に光を照射できる位置に配置される。捕集部10は、検出対象ガス3中に含まれる微粒子等の交雑物4を除去できるフィルタを備えていてもよい。捕集部10にフィルタを備える場合は、フィルタの目は粗いもの(例えば、ガラスフィルターやガラス繊維シートであり、寸法縦100μm横100μmのもの)を使って通気性を確保できるものが使用される。
ナノ粒子層40の有機物プローブに被検出分子1が捕捉されると、GFET21の出力が変化する。グラフェンが1層の場合にはゼロギャップとなっているため、通常はソース電極27とドレイン電極28との間に電気が流れ続けている。グラフェンの層数が2層、3層と増えるとバンドギャップが生じるが、厳密な理論値から考えられるよりも実際の系ではバンドギャップが比較的小さい。ゲート絶縁層25がシリコン酸化膜程度の誘電率の場合には、ソース電極27とドレイン電極28との間に電気が流れ続けることが多い。従って、グラフェン層26はグラフェンの単層構造に限らず、5層以下程度のグラフェンの積層体で構成してもよい。
ここでは、第2の実施形態の分子検出装置について説明する。主に、第1の実施形態と異なる点を説明する。
第2の実施形態の分子検出装置の具体的な実施例およびその評価結果について説明する。
実施例1と同様にして作製したGFETセンサーのグラフェン層26上にナノ粒子層40を設ける。図16に示した化合物B、化合物D、化合物Eを用いて、有機物プローブが被膜した金ナノ粒子を形成し、金ナノ粒子が10μg/1mLとなるように有機溶剤のジクロロメタンまたはクロロホルムに溶解してグラフェン層26に塗布して、ナノ粒子層40を形成する。有機物プローブが被覆した金属ナノ粒子(Organo−modifiedMetal Nanoparticles)の作り方として次の方法を採用する。1gのテトラクロロ金酸水和物を溶解し、水溶液60mLに界面活性作用を持つテトラオクチルアンモニウムブロミド3gを加える。トルエン溶液100mLを入れて撹拌する。次に化合物Bを加えてさらに撹拌を続ける。水素化ホウ素ナトリウム1gを溶解した水溶液を加えて撹拌し、このまま数時間撹拌する。撹拌を止めて静置した後に、トルエン層を取り出して溶媒を除去し、金属ナノ粒子を回収する。また、化合物Bの代わりとして、化合物D、化合物Eを使って同様に金属ナノ粒子を作成する。これらはチオール基を有しており、金属との間で結合を作る。金属ナノ粒子の直径はおよそ3nmとなる。このようにして形成したナノ粒子を実施例1と同様にして検出器を構成する。ナノ粒子は10μg/1mLとなるように有機溶剤のジクロロメタンまたはクロロホルムに溶解して塗布する。μサイズの大きさを持つ酸化グラフェンパウダー(平均25μm)を上部より塗布して充分に乾燥させ、グラフェンパウダーが固形化した層状とする。センサー面から離脱しないように目の粗いガラス繊維で抑える。次に、被検出物1としてDMMPを用意し、その蒸気を窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈し、この希釈ガスを検出器に送って得られる検出結果は、相対的な強度表示となって出力される。その結果が表2である。
実施例1と同様にして作製したGFETセンサーのグラフェン層26上にナノ粒子層40を設ける。1gのナノダイヤモンド(東京化成工業、直径はおよそ10nm以下)が分散した10mL水溶液中に被覆する図16に示す化合物C0.3gの溶解したメタノール溶液30mLを加える。続けてトルエン1mLを加えて激しくかき混ぜる。化合物Cがナノダイヤモンドに付着して親油性へと変わり、ナノダイヤモンドはトルエン中に移行する。トルエン層を取り出して溶媒を除去し、ナノダイヤモンドを回収する。化合物Cはカルボキシル基を有しており、ナノダイヤモンド表面のOHとイオン的に結合を作る。化合物Cの代わりとして、化合物Fやオクタン酸を使って同様にナノ粒子を作成する。
実施例1と同様にして作製したGFETセンサーのグラフェン層26上にナノ粒子層40を設ける。0.1gの酸化亜鉛ナノ粒子(アルドリッチ製、直径は50nm以下)が分散した5mLの水溶液を作製する。ナノ粒子は超音波を利用して水の中に拡散させる。フラスコの中に化合物Cまたは化合物Fまたはオクタン酸を入れて5mLの水溶性溶媒であるエタノール又はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させる。両溶液を混合して撹拌を行う。ときおり超音波によってナノ粒子の分散状態を保ちながら撹拌を続けてゆく。撹拌を終了したのち、ろ過によって固体を取り出し、エタノールやメタノールでよく洗浄したのちに、回収する。
実施例4と同様の方法で酸化亜鉛ナノ粒子に化合物Iと撹拌したのち、ろ過を行って固体を回収する。
実施例1と同様にして作製したGFETのグラフェンの表面に設ける有機物プローブとして、化合物Jを使う。化合物Jを10nMの濃度で溶解させて、この中にグラフェンセンサー面を数分間浸漬して設置する。検出器の検出面に3つの群A〜Cを設け、すべての群に化合物Jを設置する。6面あるが残りの3つの群D〜Fも同様にすべての群に化合物Jを設置する。群を1つおきに光照射して測定を行う。被検出分子1としてDMMPを用意する。被検出分子1については、その蒸気を窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈し、この希釈ガスを検出器に送る。被検出分子1は、群A〜Cおよび群D〜Fの有機物プローブにそれぞれ捕捉される。群A〜Cおよび群D〜Fの有機物プローブは、それぞれ被検出分子との結合強度が異なるため、ゲート電極に検出される信号もそれぞれ異なる。群で検出した結果は、信号処理をする識別器に送られて強度に変換される。検出結果は、相対的な強度表示となって出力される。その結果が表6である。
Claims (13)
- 被検出分子を捕捉するヘッド部と、
基材と結合するベース部と、
前記ヘッド部と前記ベース部との間に設けられるフォトクロミズムを示す化合物と、を
含む有機物プローブ。 - フォトクロミズムを示す化合物は、前記ヘッド部と前記ベース部の重心よりも前記ベース部側に挿入される請求項1に記載の有機物プローブ。
- 前記化合物は、アゾ基を有する化合物、アゾベンゼン、スピロピラン、又はジアリールエテンである請求項1又は2に記載の有機物プローブ。
- 前記ヘッド部は、ヒドロキシ基を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の有機物プローブ。
- 前記基材は、ナノ粒子である請求項1から4のいずれか1項に記載の有機物プローブ。
- 前記ナノ粒子は、1nm以上10nm以下の直径を有する金属粒子、カーボン粒子、又は金属酸化物粒子である請求項5に記載の有機物プローブ。
- 前記ナノ粒子は、亜鉛酸化物粒子である請求項5又は6に記載の有機物プローブ。
- 前記基材は、グラフェンである請求項1から4のいずれか1項に記載の有機物プローブ。
- 光を照射する光照射器と、
前記光によって構造が変化する請求項1から8のいずれか1項に記載の有機物プローブを含み、前記有機物プローブが前記被検出分子を捕捉することで検出信号を出力する分子検出素子と、を具備する分子検出装置。 - 前記分子検出素子は、グラフェン層と、前記グラフェン層に接続されたソース電極およびドレイン電極とを有する電界効果トランジスタを含む請求項9に記載の分子検出装置。
- 前記被検出分子を捕集する捕集部と、
前記検出信号により前記被検出分子を識別する識別器と、を具備する請求項9又は10に記載の分子検出装置。 - 複数の前記検出素子を具備し、
前記識別器は、複数の前記検出信号の強度差に基づく信号パターンにより前記被検出分子を識別する請求項11に記載の分子検出装置。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の有機物プローブと、
前記有機物プローブに光照射する光源と、を具備し、
光照射前後の前記有機物プローブが前記被検出分子を捕捉した際における検出信号の変化を検出する分子検出装置。
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