JP6876661B2 - 有機物プローブ及び分子検出装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、有機物プローブ及び分子検出装置に関する。
分子検出装置について、被検出分子の高い識別能力が求められている。
特表2013−529308号公報 特開2001−074690号公報 特表2011−526362号公報
本発明の実施形態は、被検出分子の高い識別能力のある分子検出装置を提供する。
上記の課題を達成するために、実施形態の分子検出装置は、光を照射する光照射器と、光によって構造が変化する被検出分子と反応するヘッド部と基材と結合するベース部とヘッド部とベース部の間にフォトクロミズムを示す化合物とを含む有機物プローブと、有機物プローブが被検出分子を捕捉することで検出信号を出力する分子検出素子と、を具備する。
第1の実施形態に係る分子検出装置100の一例を示すブロック図。 第1の実施形態に係る分子検出装置100の一例を示すブロック図。 第1の実施形態に係る分子検出装置100の断面を示す図。 ナノ粒子に有機物プローブを結合させた例を示す図。 ナノ粒子が分散した有機溶媒を塗布した際のSEM図 分子検出装置100による被検出分子1の検出波形の一例を示す図。 GFET21を上部から見た図。 検出素子23を含んだ検出器20の認識結果を示す図。 有機物プローブの代表例を示す図。 アゾベンゼンがシス・トランス反応を起こし構造が変化することを示す図。 有機物プローブを含んだナノ粒子と被検出分子1との接触面も変化することを示す図。 検出器20に紫外光を照射する前と紫外光に照射した後の認識結果を示す図。 被検出分子1の検出情報を、情報ネットワークを介して送信する機能、および検出情報と情報ネットワークから取得する参照情報とを照合する機能を備える情報処理部30が付属または内設された分子検出装置100の構成例を示す図。 有機物プローブの代表例を示す図。 第2の実施形態に係る分子検出装置を示す図。 本実施例における有機物プローブを示す図。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。同じ符号が付されているものは、互いに対応するものを示す。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
(第1の実施形態)
図1は実施形態の分子検出装置100を示すブロック図である。図1に示す分子検出装置100は、例えばガス発生元から発生した被検出分子(被検出物)1および微粒子等の交雑物4を含む検出対象ガス3から被検出分子1を検出する装置であり、捕集部10と検出器(分子検出器)20と識別器30と光照射器120を備えている。捕集部10は捕集口を有し、捕集口からガス3を取り込み、取り込んだガス3をガス流路11を介して検出器20に送る。光照射器120は、検出器20に光を照射できる位置に配置される。捕集部10は、検出対象ガス3中に含まれる微粒子等の交雑物4を除去できるフィルタを備えていてもよい。捕集部10にフィルタを備える場合は、フィルタの目は粗いもの(例えば、ガラスフィルターやガラス繊維シートであり、寸法縦100μm横100μmのもの)を使って通気性を確保できるものが使用される。
検出対象ガス3は、被検出分子1に類似する分子量や分子構造等を有する物質を不純物として含んでいる場合がある。また、空気中に漂う被検出分子1は、におい成分や微粒子等の様々な交雑物4と混ざった状態で存在することが多い。このような点から、検出対象ガス3は図2に示すように、予めフィルタ装置5や分子分配装置6等で前処理した後に、分子検出装置100に送るようにしてもよい。
フィルタ装置5には、一般的な中高性能フィルタ等が用いられる。フィルタ装置5において、検出対象ガス3中に含まれる交雑物4の全て除去されることが望ましい。フィルタ装置5で交雑物4が可能な限り除去された検出対象ガス3は、分子分配装置6に送られる。分子分配装置6としては、検出対象ガス3をイオン化してイオン化物質群とし、イオン化物質群に電圧を印加して質量に比例する速度で飛行させ、この質量差による飛行速度およびそれに基づく飛行時間を利用して、イオン化物質群から被検出分子1のイオン化物質を分離する装置が挙げられる。このような分子分配装置6としては、イオン化部、電圧印加部、および飛行時間分離部を備える装置が用いられる。
被検出分子1を含む検出対象ガス3は、直接もしくはフィルタ装置5や分子分配装置6等の装置で前処理された後に捕集部10で捕集される。捕集部10で捕集された被検出分子1は、ガス流路11を介して検出器20に送られる。検出器20は、図3に示すように、複数に区画された検出面20を有し、それぞれの区画に検出素子23を有している。検出器20の検出面20Aは、ガス流路11の被検出分子1の導出口(図示せず)に対向して配置されている。複数の検出素子23は、それぞれ検出信号を出力するセンサー部21と、センサー部21上に設けられたナノ粒子層40とを備えている。ここで、「上」とは積層方向における上を示しており、検出対象ガス3が導入される側である。z軸は、積層方向を示しており、xy軸は、z軸に直交する水平方向を示している。図3はセンサー部21にグラフェン電界効果トランジスタ(GFET)を用いた例である。
光照射器120は、例えば、紫外光を検出器20に照射可能に配置されており、またオン/オフするためのスイッチを有している。
センサー部21としてのGFETは、ゲート電極として機能する半導体基板24と、半導体基板24上にゲート絶縁層として設けられた絶縁膜25と、絶縁膜25上にチャネルとして設けられたグラフェン層26と、グラフェン層26の一端に設けられたソース電極27と、グラフェン層26の他端に設けられたドレイン電極28とを備えている。グラフェン層26上には、有機物プローブ(図3では図示せず)を含んだナノ粒子を備えるナノ粒子層40が設けられる。検出器20に導かれた被検出分子1は、ナノ粒子層40の有機物プローブに捕捉される。有機物プローブに捕捉された被検出分子1からGFETに電子が移動することで電気的な検出が行われる。このようにして、目的とする被検出分子1が検出される。
ナノ粒子層40は、基材となるナノ粒子を複数含んだ層であり、被検出分子1を捕捉する有機物プローブがナノ粒子に結合されている。ナノ粒子は必ずしも必要なものでなく、グラフェン層26を基材とし、グラフェン層26に有機物プローブを直接結合させることも可能である。グラフェン層を基材とした場合は、二次元的に有機物プローブが並び、ナノ粒子を基材とした場合は、三次元的に有機プローブが並ぶ。したがって、基材としてナノ粒子を用いた場合とグラフェン層26を基材とした場合とを比べると、三次元的に有機プローブが並ぶナノ粒子の方が表面積が大きくなるため、より多くの有機物プローブを結合させることができる。有機物プローブを多くすると、被検出分子1を捕捉する場所が増えるため、高感度な検出素子23を実現する。ナノ粒子としては1〜10nm前後の直径を有する金や銀の金属ナノ粒子、ナノカーボン粒子または鉄やジルコニウムなどの金属酸化物粒子などが用いられ、この粒子表面に化学結合で有機物プローブを結合させる。
図4は、ナノ粒子に有機物プローブを結合させた例を示す図である。図4(a)に示すように金ナノ粒子を用いた場合ではチオール基(SH)末端を有した分子(有機物プローブ)が良好に結合する。チオール基(SH)末端を有した化合物を有機溶剤中に溶解させ、その中にナノ粒子を分散させることで有機プローブを含むナノ粒子を形成できる。また、図4(b)に示すように金属酸化物粒子、又はナノカーボン(ナノダイヤモンド)粒子を用いる場合は、金属酸化物粒子、又はナノカーボン粒子表面は水酸基(OH)で覆われているものを用いる。この水酸基にカルボン酸(COOH)末端を持った有機物プローブまたはアミノ基(NH2)末端を持った有機物プローブがイオン結合により金属酸化物粒子、又はナノカーボン粒子表面に結合する。共有結合で結合することもできるが、合成工程が複雑になるのでイオン結合の方が好適である。カルボン酸を結合することで溶解性が変化し、水中へ分散していた金属酸化物粒子、又はナノカーボン粒子が有機溶媒中への分散するようになる。この性質を利用して有機溶剤中に分散させてグラフェン層26上に塗布する。
図5は、ナノ粒子が分散した有機溶媒を塗布した際のSEM図である。図5に示すように、ナノ粒子が層状に塗布される。塗布はスピンコートが好適である。分散しているナノ粒子量、スピン回転数などを調節することで、塗布粒子量をコントロールできる。
次に被検出分子1の検出について再び図3を用いて説明する。
ナノ粒子層40の有機物プローブに被検出分子1が捕捉されると、GFET21の出力が変化する。グラフェンが1層の場合にはゼロギャップとなっているため、通常はソース電極27とドレイン電極28との間に電気が流れ続けている。グラフェンの層数が2層、3層と増えるとバンドギャップが生じるが、厳密な理論値から考えられるよりも実際の系ではバンドギャップが比較的小さい。ゲート絶縁層25がシリコン酸化膜程度の誘電率の場合には、ソース電極27とドレイン電極28との間に電気が流れ続けることが多い。従って、グラフェン層26はグラフェンの単層構造に限らず、5層以下程度のグラフェンの積層体で構成してもよい。
ナノ粒子に結合した有機物プローブの近傍に飛来した被検出分子1は、水素結合の力等により有機物プローブに引き付けられ、場合によっては接触する。被検出分子1の接触が起こると、有機物プローブとの間で電子のやり取りが発生し、ナノ粒子層40に接するグラフェン層26に電気的変化を伝える。ナノ粒子層40からグラフェン層26に伝えられた電気的な変化は、ソース電極27とドレイン電極28との間の電気の流れを乱すため、センサー部21がセンサーとして機能する。
グラフェン層26をチャネルとして用いたGFET21によれば、極僅かな電気変化であっても顕著に出力として現れる。従って、高感度な検出素子23を構成することができる。GFET21を用いたセンサーは、グラフェンがゼロギャップ半導体としての性質を有することから、ゲート電極として機能する半導体基板24に電圧を加えなくともソース電極27とドレイン電極28との間に電流が流れる傾向もみられる。従って、このままでもセンサーとして機能するが、通常は半導体基板24に電圧を加えた状態でソース電極27とドレイン電極28との間に電流を流し、有機物プローブで被検出分子1を捕捉した際の半導体基板24の電気的変化を観測する。図6は分子検出装置100による被検出分子1の検出波形の一例を示している。また、縦軸に分子検出装置100の電位の変化、横軸に経過時間を示す。有機物プローブが被検出分子1を捕捉すると、検出波形に図6に示すような変化が現れる。検出波形の信号強度への変換は種々の方法が考えられるが、例えば図6におけるP1とP2、およびピークの先端であるP3との面積から算出した値を強度として設定する。ただし、必ずしもこの方法に限られるものではない。
上記した検出素子23による被検出分子1の検出において、有機物プローブに捕捉された被検出分子1からGFET21への電子の移動が高いほどセンサーとしての機能が高くなる。GFET21を用いたセンサーは、高感度なFETセンサーとされており、カーボンナノチューブを用いたセンサーと比べて3倍ほど電子の移動度が高いため、感度を向上させることができる。従って、被検出分子1の高感度な検出が可能になる。
次にGFET21のグラフェン層26と電極27、28の構造とその形成方法について説明する。
図7は、GFET21を上部から見た図である。図7(a)に示すように、マイクロメータ幅で電極27、28をほぼ正方形に加工し、その上にほぼ正方形のグラフェン層26を設ける。この手法で作製すると、ボトムゲート・トップコンタクト(BGTC)と呼ばれる有機半導体FETになる。また、電極をあらかじめ基板24上に設置して、後にグラフェンを電極27、28上に転写してグラフェン層26を形成すると、ボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)と呼ばれる有機半導体FETになる。いずれの手法を用いてもよいが、グラフェンへの応力負荷が少ないのは、あらかじめ電極27、28を設置しておくBGBCのタイプである。グラフェンを電極27、28形成後に設置した方が電極27、28のレジストパターニングによる負荷を避けることができる。グラフェン層26を正方形に加工した場合にはFETの動作に従って、電極27と電極28の間のグラフェンのみが電界がかかる有効面積として機能する。したがって、グラフェンを電極幅(H)よりも大きく加工されている。これはグラフェンのエッジ(端)部分を有効面積に含めないことを意味している。エッジ部分を有効面積に含めずに加工すれば、図7(b)のように加工しても構わない。また図7(c)のように加工すれば、電極27、28の間に高電流を意図的に流すとエッジ部分の抵抗が高いために発熱が誘発されやすくなるため、熱の影響によってガス成分の離脱を容易にする。したがって、測定後に吸着して残留したガス成分の除去ができる。検出素子23は、上記したように加工されたGFET21にナノ粒子層40を塗布して形成される。
次に検出器20を用いたパターン認識の一例を説明する。
図8は、検出素子23を含んだ検出器20の認識結果を示す図である。図8(a)に示すように、検出器20は、6つの検出素子23を含む。この6つの検出素子23を検出素子23A、検出素子23B、検出素子23C、検出素子23D、検出素子23Eおよび検出素子23Fと呼ぶ。検出素子23A〜Fのうち、少なくとも一部には種類が異なる有機物プローブ、すなわち被検出分子1との結合強度が異なる複数の有機物プローブが設けられている。複数の有機物プローブは、それぞれ被検出分子1と相互作用を有するが、被検出分子1との結合強度が異なるため、強度が異なる検出信号が出力される。検出素子23A〜Fからの検出信号は、それぞれ有機物プローブの被検出分子1との結合強度により信号強度が異なっている。
検出素子23A〜Fで検出された信号は、図2に示す識別器30に送られて信号処理される。識別器30は、検出素子23A〜Fからの検出信号を強度に変換し、これら検出信号の強度差に基づく信号パターン(例えば図8(b)に示す6つの検出信号のパターン)を解析する。識別器30には、検出する物質に応じた信号パターンが記憶されており、これら信号パターンと検出素子23A〜Fで検出された信号パターンとを比較することによって、検出器20で検出された被検出分子1の識別が行われる。このような信号処理を、ここではパターン認識法と呼ぶ。パターン認識法によれば、例えば指紋検査のように被検出物特有の信号パターンにより被検出分子1を検出および識別することができる。従って、pptからppbオーダーの極低濃度のガス成分(被検出分子1)を選択的にかつ高感度に検出することができる。
上述したパターン認識法を適用することによって、検出器20に導かれる検出対象ガス3に不純物が混入しているような場合においても、被検出分子1を選択的にかつ高感度に検出および識別することができる。例えば、被検出分子1が有毒な有機リン化合物の代表的な材料であるメチルホスホン酸ジメチル(DMMP、分子量:124)の場合、化学的な構造が近いジクロルボスのようなリン酸を持つ農薬、さらにマラチオン、クロルピリホス、ダイアジノンのような使用例が多い有機リン系農薬が存在する。これらの物質の誤検知を防ぐためには、図8(b)に示すような信号パターンにより識別するのが有効である。すなわち、上述した各物質により検出素子23A〜Fで検出される信号パターンが異なるため、パターン認識法を適用することで、分子量が近く、また構成元素も似通っている不純物が混入していても、被検出分子1を選択的にかつ高感度に検出することができる。
次に、本実施形態の有機物プローブについて詳述する。有機物プローブを構成する有機化合物は、被検出分子1に対する反応基として、例えばヒドロキシ基(−OH)を有している。ただし、反応基のみではほとんどガス成分と反応しない。そこで、水素結合性等を高めるために、反応基(−OH)の周囲をフッ素化した構造を有する有機化合物を適用することが好ましい。このような有機物プローブを構成する有機化合物の代表例を図9に示す。反応基(−OH)の周囲をフッ素化するために、例えば反応基(−OH)が結合した炭素に、トリフルオロメチル基(−CF)やヘキサフルオロエチル基(−C)等のフッ素化アルキル基を隣接基として導入する。そのような置換アルキル基を有する構造としては、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノール構造等が挙げられる。この構造は、電気陰性度が高いフッ素により反応基(OH基)の活性を高める効果を有する。なお、反応基はヒドロキシ基(−OH)に限らず、アミノ基(−NH)等であってもよい。
有機物プローブを構成する有機化合物は、図9の有機化合物に示すように、被検出分子を捕捉する反応基と反応基が結合された炭素と同一の炭素に結合された隣接基とを有するヘッド部HSと、ナノ粒子等の基材と結合するベース部BSと、ヘッド部HSとベース部BSとの間に設けられる結合部CSとを有する有機化合物を用いることが好ましい。。ヘッド部HSは、反応基と隣接基を有する1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。ベース部BSは、チオール基、水酸基、カルボニル基、およびアミノ基などナノ粒子と結合する反応基であることが好ましい。ナノ粒子に金ナノ粒子を用いる場合は、ベース部BSはチオール基が好ましく、金属酸化物粒子、又はナノカーボン粒子を用いる場合は、カルボニル基が好ましい。結合部CSは単結合または2価基(二重結合のこと)であり、メチレン基やエチレン基等のアルキレン基であってもよいが、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)O−)、カルボニル結合(−CO−)、アミド結合(−NH−CO−)、イミド結合(−CO−NH−CO−)等の特性基を有する2価の有機基であることが好ましい。
また、CS構造にフォトクロミズム(フォトクロミックともいう)と呼ばれる光照射によって構造が変化する現象を示す化合物を挿入する。例えば、フォトクロミズムを示す化合物は、アゾ基を有する化合物、アゾベンゼン、スピロピラン、ジアリールエテンなどである。図9は、HSにアゾベンゼンが挿入されている。例えば、図10は、アゾベンゼンに紫外光を照射すると、アゾベンゼンがシス・トランス反応を起こし構造が変化することを示す図である。図10に示すようにトランス構造Aとシス構造Bの間に立体構造長の変化が生じる。すなわち約3Å長いトランス構造Aから約3Å短いシス構造Bへと変化する。このように光照射により、構造長が変わり分子内の電気的な偏りである分極にも変化が生じ、被検出分子1への作用力にも変化が生じる。さらに、図11(a)に示すように、有機物プローブを含んだナノ粒子と被検出分子1との接触面も変化する。ナノ粒子表面に付加された化合物が光照射を受けるとシス・トランス間の変化を起こし、ナノ粒子全体のサイズを拡張・収縮する。図11(b)に示すように、ナノ粒子層40のナノ粒子はグラフェン層26上に堆積しているが、一次粒子が複数集まって形成された二次粒子によって被検出分子1を通す隙間が生じ、この隙間の経路幅が拡幅または減幅される。この物理的な変化により、被検出分子1との接触状態が変わり検出信号強度にも変化が生じる。被検出分子1としてDMMPのサイズは4Å程度しかないため、シス・トランス変化によるナノ粒子表面の拡張・収縮によって被検出分子1の接触量に影響が与えられる。これらのメカニズムを利用することで、第一の状態であるシス状態で被検出分子1を検出した場合と、第二の状態であるトランス状態で被検出分子1を検出した場合とで、測定結果に違いが生じ、第一のパターン認識と、第二のパターン認識を得ることができる。なお、フォトクロミズムを示す化合物は、HSとBSの重心よりもBS側に挿入されることが好ましい。これは、HSとBSの重心よりもBS側に挿入される場合の方が、HSとBSの重心よりもHS側に挿入される場合と比べて フォトクロミズムを示す化合物に結合したHSへ向かう側の分子鎖は長くなる。分子鎖が長くなるとシス・トランス間の変化が起こった時に有機物プローブの拡張・収縮の効果が高まる。これらのフォトクロミズムを示す化合物は、種類によってフォトクロミズムを示すために好ましい光の波長が存在する。この好ましい光は、光照射器120から照射される。
図12は、検出器20に紫外光を照射する前と紫外光に照射した後の認識結果を示す図である。例えば、上記したフォトクロミズムを示す化合物を検出素子23A、検出素子23B、検出素子23C、検出素子23D、検出素子23Eおよび検出素子23Fの有機物プローブとして用いて紫外光を照射すると、検出素子23A´、検出素子23B´、検出素子23C´、検出素子23D´、検出素子23E´および検出素子23F´に変化する。上記したフォトクロミズムを示す化合物がシス・トランス変化することで、図12の紫外光照射前(b)と紫外光照射後(d)のパターン認識が異なる。例えば、図12(b)の検出素子C、D、Fは、紫外光を照射することで図12(d)に示すように、検出信号の強度が大きくなる。一方で、図12(b)の検出素子A、B、Eは、紫外光を照射することで図12(d)に示すように、検出信号の強度が小さくなる。
1つの検出素子で1つのパターン認識が一般的であるが、本実施形態に係る検出素子23を用いると1つの検出素子で2つのパターン認識ができる。このように同じ検出素子数でも2倍のパターン認識を得られるため、被検出分子1の高い識別ができる。また、ナノ粒子として酸化亜鉛粒子を用いると紫外光を吸収するため、GFET21が紫外光によって受けるダメージを軽減できるので好ましい。
実施形態の分子検出装置100で得られた被検出分子1の検出および識別結果は、情報ネットワークを介して送信して活用するようにしてもよい。図13は被検出分子1の検出情報を、情報ネットワークを介して送信する機能、および検出情報と情報ネットワークから取得する参照情報とを照合する機能を備える情報処理部30が付属または内設された分子検出装置100の構成例を示している。情報処理部40は、被検出分子1の検出情報を送信する情報送信部31と、参照情報を受信する情報受信部32と、検出情報を参照情報と照合する情報照合部33とを具備している。情報処理部40は、情報送信機能および情報受信機能を含む情報照合機能の一方のみを有していてもよい。
被検出分子1の検出情報は、情報送信部31からネットワークを介して情報利用者に伝達される。被検出分子1の検出情報を既存の参照情報と照合するために、ネットワークを介して情報受信部32により参照情報を取得する。取得した参照情報は情報照合部33により検出情報と照合される。情報を外部のネットワークから取得して参照することで、多くの情報を持ち歩いて解析する機能を外部に代替できるため、分子検出装置100をより一層小型化して携帯性を高めることができる。さらに、ネットワーク伝達手段を用いることで、パターン認識法における新たな信号パターンを即時に取得することもできる。情報を受信した側では、この情報を基に次の行動を起こすことができる。携帯性のある分子検出装置100を各所に配置しておき、得られるデータを各所から集めて分析し、異常事態の避難誘導等に役立てるといった使い方ができる。ネットワークと分子検出装置100とを結合することで、従来では達し得なかった多くの使い方が生み出され、産業的な価値が向上する。
なお、グラフェン層26は、グラフェン上にピレン環のような構造を持つ有機物プローブが含まれていてもよい。有機物プローブの化学構造は、例えば、図14に示す化合物である。有機物プローブを構成する有機物は溶剤に溶ける性質を有するため、溶剤に溶かした溶液として塗布することでグラフェン層26に有機物プローブを設置することができる。有機物プローブはグラフェンと相互作用を得られやすくするために、ピレン環のような構造を有した部位を有することが好ましい。ピレン環のような構造を持つ分子はグラフェンの炭素が構成する六角形状のπ電子系と相互作用を持ち、いわゆるπ―πスタッキングと呼ばれる相互作用状態を形成する。低濃度のプローブ分子を溶媒に溶かしてグラフェンに塗布すると、ピレン環とグラフェンとの間でπ―πスタッキングが形成され、グラフェン上にプローブ分子が整列して固定化される。このような自己配列作用を利用してグラフェン層26上に有機物プローブを設置することができる。
また、図14に示す化合物が有機物プローブとしてグラフェン層26に設置されている場合、上記した効果と同様に、光を照射することでシス・トランス反応を起こして、第一の状態と、第二の状態とで、測定結果に違いが生じ、第一のパターン認識と、第二のパターン認識を得ることができるため、ナノ粒子層40は省略しても同様の効果を得る。
(第2の実施形態)
ここでは、第2の実施形態の分子検出装置について説明する。主に、第1の実施形態と異なる点を説明する。
具体的には、第2の実施形態に係る分子検出装置は、第1の実施形態と比べて検出素子23の配置が異なる。
図15(a)は、複数の検出素子23を配置する例を示す図である。六角形の面45を中心に、周辺を覆うように複数の検出素子23が配置して、検出素子23の群A〜Fを含む検出器20´を形成する。検出素子23の群A〜Fは、構成する群の検出素子23の有機物プローブは、同じである。また、群ごとに検出素子23の有機物プローブを異なるものに変換すると、検出素子23の群A〜Fからの検出信号はそれぞれ異なる検出信号を出力する。六角形の面45にメタルオーガニックフレイムワーク(MOF)と呼ばれる有機物と金属元素との複合体による多孔質体を設置しておくと、ガス流路11に沿って流れてきたガス成分の一部を吸収して保持する。MOFを後で取り出して加熱してガス成分を取り出し、ガスクロマトグラフィーにより検出すると、検出素子23の検出結果との一致を確認することもできる。ただしこの手法はリアルタイム性を欠くため、グラフェンFETの検出結果の確認に用いる手法である。図15(b)に示すように、検出対象ガスは六角形の面45の直上から導入する。検出対象ガスは上方からガス流路11に沿って六角形の面45に衝突してから周囲にあるマルチアレイ状の複数の検出素子23に導かれる。
第2の実施形態の分子検出装置は、六角形の面45を中心に、周辺を覆うように複数の検出素子23を配置して、検出対象ガスを六角形の面45の直上から導入することで、検出対象ガスを各々の検出素子23に均一に暴露することができ、同時に複数の検出信号を得ることができる。このため、検出対象ガス中の被検出分子が分解変化する状態でもすべての検出素子23の群で同時に捉えることが可能である。
(実施例1)
第2の実施形態の分子検出装置の具体的な実施例およびその評価結果について説明する。
本実施例における有機物プローブは、図16に示す化合物A〜J又はオクタン酸のいずれかを用いる。
まず、GFET21と有機物プローブとを組み合わせた検出素子23を、以下のようにして用意する。グラフェン層26は、グラファイトからの剥離法により基板へ転写して形成したり、化学気相成長法(CVD)を利用して金属の表面に成長させることにより形成する。金属の表面に成長した単層や複数層のグラフェンをポリマー膜に転写して、所望の電界効果トランジスタ(FET)作製用の半導体基板24に再度転写する。例えば、銅箔表面に1000℃程度の条件でメタンガスをフローしたCVDによりグラフェン層26を形成する。
次に、ポリメチルメタクリレート膜を、スピンコート法を用いて4000rpmで塗布し、逆面の銅箔膜を0.1Mの過硫酸アンモニウム溶液でエッチングし、溶液に浮遊したグラフェン膜を回収する。これでグラフェン膜がポリメチルメタクリレート膜側へ転写される。十分に表面を洗浄した後に、これを半導体基板24上に再度転写する。余分なポリメチルメタクリレート膜は、アセトンにより溶解させて除去する。半導体基板24に転写されたグラフェンには、レジストを塗布してパターニングし、酸素プラズマによって電極間隔10μmのパターンを形成する。電極を蒸着してソース電極27とドレイン電極28を設けたFET構造を形成する。半導体基板24表面に形成されている酸化膜上にグラフェンが配置され、グラフェンがソース電極27とドレイン電極28で挟まれると共に、半導体基板24側をゲート電極とするFET型のセンサー構造が形成される。この工程は順序を逆にしてもよい、すなわち電極を先に作製して後からグラフェンを転写して加工する。
次いで、グラフェンの表面に有機物プローブを設ける。有機物プローブは、メタノール溶液に10nMの濃度で溶解させて、この中にグラフェンセンサー面を数分間浸漬して設置する。有機物プローブには、図16に示した化合物A、化合物G、化合物H、を用いる。図15に示すように、検出器20´に3つの検出素子23の群A〜Cを設け、群Aに化合物A、群Bに化合物G、群Cに化合物Hを含む検出素子23を設置する。6面あるが残りの3つも同様に群Aに化合物A、群Bに化合物G、群Cに化合物Hを含む検出素子23を設置する。6面あるが残りの3つも同様に群Aに化合物A、群Bに化合物G、群Cに化合物Hを含む検出素子23を設置する。化合物A、化合物G、および化合物Hは、それぞれ被検出分子1(DMMP)との結合強度が異なる。六角形45にはHKUST―1(銅トリカルボン酸MOF)を薄く膜状にして設置し、上部から通気が可能なようにグラスフィルタで押さえる。
次に、被検出分子1としてDMMPを用意する。被検出分子1については、その蒸気を窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈し、この希釈ガスを検出器に送る。被検出分子1は、群A〜Cおよび群D〜Fの有機物プローブにそれぞれ捕捉される。群A〜Cおよび群D〜Fの有機物プローブは、それぞれ被検出分子との結合強度が異なるため、ゲート電極に検出される信号もそれぞれ異なる。検出セルで検出した結果は、信号処理をする識別器に送られて強度に変換される。検出結果は、相対的な強度表示となって出力される。その結果が表1である。検出終了後にHKUST−1を取り出し、加熱によって排出するガス成分を捕集して保存する。
Figure 0006876661
(実施例2)
実施例1と同様にして作製したGFETセンサーのグラフェン層26上にナノ粒子層40を設ける。図16に示した化合物B、化合物D、化合物Eを用いて、有機物プローブが被膜した金ナノ粒子を形成し、金ナノ粒子が10μg/1mLとなるように有機溶剤のジクロロメタンまたはクロロホルムに溶解してグラフェン層26に塗布して、ナノ粒子層40を形成する。有機物プローブが被覆した金属ナノ粒子(Organo−modifiedMetal Nanoparticles)の作り方として次の方法を採用する。1gのテトラクロロ金酸水和物を溶解し、水溶液60mLに界面活性作用を持つテトラオクチルアンモニウムブロミド3gを加える。トルエン溶液100mLを入れて撹拌する。次に化合物Bを加えてさらに撹拌を続ける。水素化ホウ素ナトリウム1gを溶解した水溶液を加えて撹拌し、このまま数時間撹拌する。撹拌を止めて静置した後に、トルエン層を取り出して溶媒を除去し、金属ナノ粒子を回収する。また、化合物Bの代わりとして、化合物D、化合物Eを使って同様に金属ナノ粒子を作成する。これらはチオール基を有しており、金属との間で結合を作る。金属ナノ粒子の直径はおよそ3nmとなる。このようにして形成したナノ粒子を実施例1と同様にして検出器を構成する。ナノ粒子は10μg/1mLとなるように有機溶剤のジクロロメタンまたはクロロホルムに溶解して塗布する。μサイズの大きさを持つ酸化グラフェンパウダー(平均25μm)を上部より塗布して充分に乾燥させ、グラフェンパウダーが固形化した層状とする。センサー面から離脱しないように目の粗いガラス繊維で抑える。次に、被検出物1としてDMMPを用意し、その蒸気を窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈し、この希釈ガスを検出器に送って得られる検出結果は、相対的な強度表示となって出力される。その結果が表2である。
Figure 0006876661
(実施例3)
実施例1と同様にして作製したGFETセンサーのグラフェン層26上にナノ粒子層40を設ける。1gのナノダイヤモンド(東京化成工業、直径はおよそ10nm以下)が分散した10mL水溶液中に被覆する図16に示す化合物C0.3gの溶解したメタノール溶液30mLを加える。続けてトルエン1mLを加えて激しくかき混ぜる。化合物Cがナノダイヤモンドに付着して親油性へと変わり、ナノダイヤモンドはトルエン中に移行する。トルエン層を取り出して溶媒を除去し、ナノダイヤモンドを回収する。化合物Cはカルボキシル基を有しており、ナノダイヤモンド表面のOHとイオン的に結合を作る。化合物Cの代わりとして、化合物Fやオクタン酸を使って同様にナノ粒子を作成する。
続いて実施例2と同様にして検出器20´を構成し、被検出物1としてDMMPを用意し、その蒸気を窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈し、この希釈ガスを検出器に送って得られる検出結果は、相対的な強度表示となって出力される。その結果が表3である。
Figure 0006876661
(実施例4)
実施例1と同様にして作製したGFETセンサーのグラフェン層26上にナノ粒子層40を設ける。0.1gの酸化亜鉛ナノ粒子(アルドリッチ製、直径は50nm以下)が分散した5mLの水溶液を作製する。ナノ粒子は超音波を利用して水の中に拡散させる。フラスコの中に化合物Cまたは化合物Fまたはオクタン酸を入れて5mLの水溶性溶媒であるエタノール又はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させる。両溶液を混合して撹拌を行う。ときおり超音波によってナノ粒子の分散状態を保ちながら撹拌を続けてゆく。撹拌を終了したのち、ろ過によって固体を取り出し、エタノールやメタノールでよく洗浄したのちに、回収する。
続いて実施例2と同様にして検出器を構成し、被検出物1としてDMMPを用意し、その蒸気を窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈し、この希釈ガスを検出器に送って得られる検出結果は、相対的な強度表示となって出力される。その結果が表4である。
Figure 0006876661
実施例1から実施例4の検出結果において、群A〜Cと群D〜Fで同様の検出信号の強度を得た。これは、検出対象ガス3を六角形の面45の直上から導入することで、検出対象ガス3を群A〜Fに均一に暴露できることを示している。また、実施例2から実施例4の検出結果において、ナノ粒子に結合した有機プローブが正常に検出できることを示している。
(実施例5)
実施例4と同様の方法で酸化亜鉛ナノ粒子に化合物Iと撹拌したのち、ろ過を行って固体を回収する。
続いて実施例2と同様にして検出器を構成し、被検出物1としてDMMPを用意し、その蒸気を窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈し、この希釈ガスを検出器に送る。この際にあらかじめ群A〜Dに覆いを被せて、365nm波長の光照射を群Eのみに行う。本実施例では、群Fは測定していない。得られる検出結果は、相対的な強度表示となって出力される。その結果が表5である。
Figure 0006876661
群Dと群Eを比べると、光照射前後で検出信号強度が変化することが分かる。
(実施例6)
実施例1と同様にして作製したGFETのグラフェンの表面に設ける有機物プローブとして、化合物Jを使う。化合物Jを10nMの濃度で溶解させて、この中にグラフェンセンサー面を数分間浸漬して設置する。検出器の検出面に3つの群A〜Cを設け、すべての群に化合物Jを設置する。6面あるが残りの3つの群D〜Fも同様にすべての群に化合物Jを設置する。群を1つおきに光照射して測定を行う。被検出分子1としてDMMPを用意する。被検出分子1については、その蒸気を窒素ガスで約5ppbの濃度となるように希釈し、この希釈ガスを検出器に送る。被検出分子1は、群A〜Cおよび群D〜Fの有機物プローブにそれぞれ捕捉される。群A〜Cおよび群D〜Fの有機物プローブは、それぞれ被検出分子との結合強度が異なるため、ゲート電極に検出される信号もそれぞれ異なる。群で検出した結果は、信号処理をする識別器に送られて強度に変換される。検出結果は、相対的な強度表示となって出力される。その結果が表6である。
Figure 0006876661
実施例1から実施例6の検出結果において、他の群と比べて検出信号の強度が2桁以上低い場合は「0」と表記する。被検出分子1の検出結果は、群A〜Cおよび群D〜Fの信号強度差に基づく信号パターンを示しており、このような信号パターンに基づいて被検出分子1を識別する。この手法によりppbオーダーの極低濃度の被検出分子1を選択的にかつ高感度に検出することができることが分かる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、説明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1・・被検出分子、2・・、3・・検出対象ガス、4・・交雑物、5・・フィルタ装置、6・・分子分配装置、10・・捕集部、11・・ガス流路、20・・検出器、21・・センサー部、23・・検出素子、24・・半導体基板、25・・絶縁膜、26・・グラフェン層、27・・ソース電極、28・・ドレイン電極、30・・識別器、40・・ナノ粒子層、45・・六角形の面、100・・第1の実施形態に係る分子検出装置

Claims (13)

  1. 検出分子捕捉するヘッド部と、
    基材と結合するベース部と、
    前記ヘッド部と前記ベース部との間に設けられるフォトクロミズムを示す化合物と、を
    含む有機物プローブ。
  2. フォトクロミズムを示す化合物は、前記ヘッド部と前記ベース部の重心よりも前記ベース部側に挿入される請求項1に記載の有機物プローブ。
  3. 前記化合物は、アゾ基を有する化合物、アゾベンゼン、スピロピラン、又はジアリールエテンである請求項1又は2に記載の有機物プローブ。
  4. 前記ヘッド部は、ヒドロキシ基を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の有機物プローブ。
  5. 前記基材は、ナノ粒子である請求項1から4のいずれか1項に記載の有機物プローブ。
  6. 前記ナノ粒子は、1nm以上10nm以下の直径を有する金属粒子、カーボン粒子、又は金属酸化物粒子である請求項5に記載の有機物プローブ。
  7. 前記ナノ粒子は、亜鉛酸化物粒子である請求項5又は6に記載の有機物プローブ。
  8. 前記基材は、グラフェンである請求項1から4のいずれか1項に記載の有機物プローブ。
  9. 光を照射する光照射器と、
    前記光によって構造が変化する請求項1から8のいずれか1項に記載の有機物プローブを含み、前記有機物プローブが前記被検出分子を捕捉することで検出信号を出力する分子検出素子と、を具備する分子検出装置。
  10. 前記分子検出素子は、グラフェン層と、前記グラフェン層に接続されたソース電極およびドレイン電極とを有する電界効果トランジスタを含む請求項9に記載の分子検出装置。
  11. 前記被検出分子を捕集する捕集部と、
    前記検出信号により前記被検出分子を識別する識別器と、を具備する請求項9又は10に記載の分子検出装置。
  12. 複数の前記検出素子を具備し、
    前記識別器は、複数の前記検出信号の強度差に基づく信号パターンにより前記被検出分子を識別する請求項11に記載の分子検出装置。
  13. 請求項1から8のいずれか1項に記載の有機物プローブと、
    前記有機物プローブに光照射する光源と、を具備し、
    光照射前後の前記有機物プローブが前記被検出分子を捕捉した際における検出信号の変化を検出する分子検出装置。
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