JP2009221168A - ヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体、核酸誘導体、標的物質捕捉材料、標的物質を捕捉および/または放出する方法、ならびにヘミンアプタマー - Google Patents
ヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体、核酸誘導体、標的物質捕捉材料、標的物質を捕捉および/または放出する方法、ならびにヘミンアプタマー Download PDFInfo
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Abstract
【課題】標的物質に対する結合力を制御可能な新規アプタマーを得るための手段の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体。
一般式(I)中、A1は、*−CO−Ar1−N=N−Ar2で表される基を含むプリン塩基またはピリミジン塩基であり、R1は、水素原子、水酸基の保護基、リン酸残基、二リン酸残基または三リン酸残基である。また、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子または水酸基の保護基を表す。
【選択図】なし
【解決手段】下記一般式(I)で表されるヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体。
一般式(I)中、A1は、*−CO−Ar1−N=N−Ar2で表される基を含むプリン塩基またはピリミジン塩基であり、R1は、水素原子、水酸基の保護基、リン酸残基、二リン酸残基または三リン酸残基である。また、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子または水酸基の保護基を表す。
【選択図】なし
Description
本発明は、光照射により標的物質を捕捉ないしは放出し得る新規核酸誘導体、上記核酸誘導体の製造に使用し得るヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体、上記核酸誘導体からなる標的物質捕捉材料、ならびに上記核酸誘導体を用いて標的物質を捕捉および/または放出する方法に関する。
更に本発明は、光応答性を有するヘミンアプタマーに関する。
更に本発明は、光応答性を有するヘミンアプタマーに関する。
アプタマーは、任意の物質に特異的に結合する核酸やペプチドであり、例えば非特許文献1および2には、試験管内分子進化法により核酸アプタマーを得ることが記載されている。更に、非特許文献3には、ヌクレオチドを化学修飾することにより、標的タンパク質に対する結合力が強化されたアプタマーを得ることが開示されている。
Tuerk, C., Gold, L., Science, 1990, 249:505-510 Ellington, A. D., Szostak, J. W., Nature, 1990, 346, 818-822 Eaton, B. E., Current Opinion in Chemical Biology, 1997, 1, 10-16
Tuerk, C., Gold, L., Science, 1990, 249:505-510 Ellington, A. D., Szostak, J. W., Nature, 1990, 346, 818-822 Eaton, B. E., Current Opinion in Chemical Biology, 1997, 1, 10-16
近年、アプタマーは、医療分野等で抗体に代わる物質として大きな注目を集めている。標的物質に対する結合力を制御可能なアプタマーが存在すれば、物質の精製やドラッグデリバリーシステム等への応用が期待できるが、現在、そのようなアプタマーは知られていない。
そこで本発明の目的は、標的物質に対する結合力を制御可能な新規アプタマーを得るための手段を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、一般式(II)で表される基を核酸に導入することにより、標的物質に対する結合力を光によって制御可能なアプタマーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]下記一般式(I)で表されるヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体。
[一般式(I)中、A1は、下記一般式(II)で表される基を含むプリン塩基またはピリミジン塩基であり、R1は、水素原子、水酸基の保護基、リン酸残基、二リン酸残基または三リン酸残基であり、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子または水酸基の保護基を表す。]
[一般式(II)中、Ar1は、アリーレン基または芳香族複素環基を表し、Ar2は、アリール基または芳香族複素環基を表し、*は、プリン塩基またはピリミジン塩基と直接または連結基を介して結合する位置を表す。]
[2]一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される基である[1]に記載のヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体。
[一般式(III)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、*は、プリン塩基またはピリミジン塩基と直接または連結基を介して結合する位置を表す。]
[3]下記一般式(IV)で表される核酸誘導体。
Nx (IV)
[一般式(IV)中、Nは下記一般式(V)で表される基であり、xは2以上の整数である。]
[一般式(V)中、R4およびR5は、それぞれ独立に水酸基または隣接するヌクレオチドを表し、R6は水素原子または水酸基を表し、A2は、プリン塩基またはピリミジン塩基を表し、但し、一般式(IV)中の少なくとも1つのA2で表される塩基は、下記一般式(II)で表される基を含む。]
[一般式(II)中、Ar1は、アリーレン基または芳香族複素環基を表し、Ar2は、アリール基または芳香族複素環基を表し、*は、プリン塩基またはピリミジン塩基と直接または連結基を介して結合する位置を表す。]
[4]一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される基である[3]に記載の核酸誘導体。
[一般式(III)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、*は、プリン塩基またはピリミジン塩基と直接または連結基を介して結合する位置を表す。]
[5][3]または[4]に記載の核酸誘導体からなる標的物質捕捉材料であって、光を照射することにより、および/または、加熱することにより、捕捉した標的物質の少なくとも一部を放出し得る標的物質捕捉材料。
[6][3]または[4]に記載の核酸誘導体に対し、標的物質存在下で光を照射することにより、および/もしくは、上記核酸誘導体を加熱することにより、上記核酸誘導体に捕捉されていた上記標的物質の少なくとも一部を該核酸誘導体から放出させること、ならびに/または、上記核酸誘導体に上記標的物質の少なくとも一部を捕捉させること、を特徴とする標的物質を捕捉および/または放出する方法。
[7]配列番号1に記載の塩基配列または配列番号1に記載の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換および/もしくは付加している塩基配列からなり、少なくとも1つの塩基が下記一般式(II)で表される基を含むことを特徴とするヘミンアプタマー。
[一般式(II)中、Ar1は、アリーレン基または芳香族複素環基を表し、Ar2は、アリール基または芳香族複素環基を表し、*は、プリン塩基またはピリミジン塩基と直接または連結基を介して結合する位置を表す。]
[8]一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される基である[7]に記載のヘミンアプタマー。
[一般式(III)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、*は、プリン塩基またはピリミジン塩基と直接または連結基を介して結合する位置を表す。]
[9]一般式(II)で表される基は、少なくとも1つのアデニンに含まれる[7]または[8]に記載のヘミンアプタマー。
[1]下記一般式(I)で表されるヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体。
[2]一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される基である[1]に記載のヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体。
[3]下記一般式(IV)で表される核酸誘導体。
Nx (IV)
[一般式(IV)中、Nは下記一般式(V)で表される基であり、xは2以上の整数である。]
[4]一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される基である[3]に記載の核酸誘導体。
[5][3]または[4]に記載の核酸誘導体からなる標的物質捕捉材料であって、光を照射することにより、および/または、加熱することにより、捕捉した標的物質の少なくとも一部を放出し得る標的物質捕捉材料。
[6][3]または[4]に記載の核酸誘導体に対し、標的物質存在下で光を照射することにより、および/もしくは、上記核酸誘導体を加熱することにより、上記核酸誘導体に捕捉されていた上記標的物質の少なくとも一部を該核酸誘導体から放出させること、ならびに/または、上記核酸誘導体に上記標的物質の少なくとも一部を捕捉させること、を特徴とする標的物質を捕捉および/または放出する方法。
[7]配列番号1に記載の塩基配列または配列番号1に記載の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換および/もしくは付加している塩基配列からなり、少なくとも1つの塩基が下記一般式(II)で表される基を含むことを特徴とするヘミンアプタマー。
[8]一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される基である[7]に記載のヘミンアプタマー。
[9]一般式(II)で表される基は、少なくとも1つのアデニンに含まれる[7]または[8]に記載のヘミンアプタマー。
本発明によれば、光応答性を有する新規アプタマーを提供することができる。
[ヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体]
本発明は、下記一般式(I)で表されるヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体に関する。
本発明は、下記一般式(I)で表されるヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体に関する。
一般式(I)中、A1は、後述する一般式(II)で表される基を含むプリン塩基またはピリミジン塩基であり、R1は、水素原子、水酸基の保護基、リン酸残基、二リン酸残基または三リン酸残基であり、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子または水酸基の保護基を表す。一般式(I)中のR1が水素原子または水酸基の保護基である化合物はヌクレオシド誘導体であり、R1がリン酸残基、二リン酸残基または三リン酸残基である化合物は、ヌクレオチド誘導体である。本発明の誘導体は、一般式(II)で表される基を有することにより、光応答性を発揮し得る。
以下、本発明の誘導体について、更に詳細に説明する。
以下、本発明の誘導体について、更に詳細に説明する。
一般式(I)中、A1は、下記一般式(II)で表される基を含むプリン塩基またはピリミジン塩基である。プリン塩基は、例えばアデニン、グアニンおよびそれらの誘導体であり、ピリミジン塩基は、例えばチミン、シトシン、ウラシルおよびそれらの誘導体である。上記誘導体とは、例えば下記塩基を挙げることができる。
一般式(II)中、Ar1は、アリーレン基または芳香族複素環基を表し、Ar2は、アリール基または芳香族複素環基を表し、*は、プリン塩基またはピリミジン塩基と直接または連結基を介して結合する位置を表す。
Ar1で表されるアリーレン基としては、単環であっても、ナフタレンアントラセン、フェナントレン、フェナレン、ピレン等の縮合環由来のものであってもよく、フェニレン基であることが好ましい。
Ar1で表される芳香族複素環基としては、上記アリーレン基の1つ以上の炭素原子がヘテロ原子、好ましくは窒素原子、によって置換された環構造を挙げることができ、具体的には、フェニレン基の1つの炭素原子が窒素原子に置換されたピリジニレン基を挙げることができる。
Ar2で表されるアリール基としては、単環であっても、ナフタレンアントラセン、フェナントレン、フェナレン、ピレン等の縮合環由来のものであってもよく、フェニル基であることが好ましい。
Ar2で表される芳香族複素環基としては、上記アリール基の1つ以上の炭素原子がヘテロ原子、好ましくは窒素原子、によって置換された環構造を挙げることができ、具体的には、フェニル基の1つの炭素原子が窒素原子に置換されたピリジル基を挙げることができる。
上記アリーレン基、アリール基、芳香族複素環基として例示した各基は置換基を有していてもよく無置換であってもよい。置換基としては、後述する一般式(III)中のR11〜R19として例示する各基を挙げることができる。
一般式(II)中、*はプリン塩基またはピリミジン塩基と直接または連結基を介して結合する位置を表す。連結基としては、−O−、−CO−、−S−、−NH−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を挙げることができる。良好な光応答性を示す共役系を形成するためには、上記連結基としては−O−、−CO−、−S−、−NH−、炭素数1〜3のアルキレン基、炭素数1〜3のアルケニレン基、炭素数1〜3のアルキニレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基が好ましい。光反応性の点からは、例えば、アデニンの8位、7位のデアザ位、6位のアミノ基位置、グアニンの7位のデアザ位、2位のアミノ基位置、シトシンの5位、4位のアミノ基位置、ウラシル・チミンの5位の位置を置換することが好ましい。
一般式(II)で表される基の好ましい態様としては、下記一般式(III)で表される基を挙げることができる。
一般式(III)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基、エステル基、ケトン基、−CA3、−(C=O)A、−(C=O)NA2、−BA、−OA、−SA、−NA2、または−(P=O)A2(Aは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキル基であり、1つの基に複数のAが含まれる場合のAはそれぞれ同じでも異なってもよい。)を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
アルコキシ基は、炭素数1〜28のアルコキシ基であることができ、その具体例としては、CH3O−基、CH3CH2O−基等を挙げることができる。
アルキル基は、例えば炭素数1〜28の直鎖または分岐のアルキル基、具体的にはCH3−基、CH3CH2−基、CH3CH2CH2CH2CH2CH2-基、CH3CH2(CH3)CH−(sec-butyl)基等であることができる。
シクロアルキル基は、例えば、炭素数5または6のシクロアルキル基、即ちシキロペンチル基、シクロヘキシル基であることができる。
アリール基は、例えば単環であるフェニル基であることができ、またナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フェナレン、トリフェナレン、ピレン等の縮合環由来のアリール基であることもできる。
複素環基としては、例えば窒素原子を含む複素環基(例えばピリジル基)を挙げることができる。エステル基は、R’OCO−基(R’は水素原子またはアルキル基を示す)であることができ、R’は、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基である。
−CA3、−(C=O)A、−(C=O)NA2、−BA、−OA、−SA、−NA2、−(P=O)A2で表される基において、Aは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキル基であり、1つの基に複数のAが含まれる場合のAはそれぞれ同じでも異なってもよい。これらの基に含まれ得るアルコキシ基、アルキル基については先に記載した通りである。なお、上記基においてCは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、Bはホウ素原子、Sは硫黄原子、Pはリン原子を表す。上記基の具体例としては、−CF3、−(C=O)H、−(C=O)CH3、−CONHCH3、−B(CH3)2、−(P=O)(OCH2CH3)2、−OH、−NH(CH3)、−SH、を挙げることができる。
一般式(III)中の*の詳細は一般式(II)と同様である。
一般式(I)中、R1は、水素原子、水酸基の保護基、リン酸残基、二リン酸残基または三リン酸残基であり、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子または水酸基の保護基を表す。上記保護基としては、イソブチル、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、ジメトキシトリチル(DMTr)等を挙げることができる。
本発明の誘導体の具体例としては、以下の化合物を例示できる。
本発明の誘導体は、ヌクレオシドまたはヌクレオチドに一般式(II)で表される基を導入することにより合成することができる。一般式(II)で表される基の導入は、例えば、下記一般式(VI)で表されるヌクレオシドまたはヌクレオチドと下記一般式(VII)で表される化合物のカップリング反応により行うことができる。本発明の誘導体の合成方法の詳細は、後述の実施例を参照できる。また、合成原料は、公知の方法で合成可能であり、市販品として入手可能なものもある。また、ヌクレオシドに一般式(II)で表される基を導入した後、4位水酸基をリン酸化することにより、本発明のヌクレオチド誘導体を得ることもできる。
本発明の誘導体は、本発明の核酸誘導体を合成するために使用することができる。本発明の誘導体であるヌクレオチドは、転写反応において高効率で取り込まれ得るため、本発明の誘導体によれば目的核酸を容易に合成することができる。
[核酸誘導体]
本発明の核酸誘導体は、下記一般式(IV)で表される。
Nx (IV)
本発明の核酸誘導体は、下記一般式(IV)で表される。
Nx (IV)
一般式(IV)中、Nは下記一般式(V)で表される基であり、xは2以上の整数である。xは2以上の整数であればよく所望の物性に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは3以上、より好ましくは5以上である。その上限も用途に応じて適宜設定すればよく特に限定されるものではないが、例えば500以下、好ましくは150以下である。
一般式(V)中、R4およびR5は、それぞれ独立に水酸基または隣接するヌクレオチドを表す。該当するNが核酸誘導体の末端である場合、R4およびR5は水酸基であり、それ以外の場合、R4およびR5は隣接するヌクレオチド(N)である。
R6は水素原子または水酸基を表す。R6が水素原子である場合、核酸誘導体はDNAであり、R6が水酸基である場合、核酸誘導体はRNAである。1つの核酸誘導体において、R6が水素であるヌクレオチド(N)とR6が水酸基であるヌクレオチド(N)が混在する場合もある。
一般式(IV)中、A2は、プリン塩基またはピリミジン塩基を表す。プリン塩基は、例えばアデニン、グアニンおよびそれらの誘導体であり、ピリミジン塩基は、例えばチミン、シトシン、ウラシルおよびそれらの誘導体である。上記誘導体の具体例は先に示した通りである。A2は、各ヌクレオチド(N)についてそれぞれ独立の塩基であり、塩基の組み合わせにより種々の塩基配列を有する核酸誘導体を構成できる。
一般式(IV)中の少なくとも1つのA2で表される塩基は、前述の一般式(II)で表される基を含む。一般式(II)で表される基の詳細は、先に説明した通りである。例えば、転写反応において、転写反応基質として使用するリボヌクレオシド5'トリフォスフェート(NTP)類中、1種のNTPとして本発明のヌクレオチド誘導体を使用することにより、任意の位置に一般式(II)で表される光応答性基が導入されたRNAを得ることができる。例えば、ATP、CTP、GTP、UTP中、ATPとして本発明のヌクレオチド誘導体を使用すれば、アデニンに光応答性基を有するRNAを得ることができる。一般式(II)で表される基は、Ar1−N=N−Ar2部が紫外線照射によりトランス体からシス体へ異性化し得る。したがって、一般式(II)で表される基を含む核酸誘導体に光を照射することにより構造変化を起こすことができる。この点について、以下に更に説明する。
本発明の核酸誘導体は、ある標的物質に対し、所定波長の光照射下では標的物質との結合性が向上または低下するという性質を有する。例えば、ある波長の光照射下では標的物質と強く結合し、異なる波長の光照射下では標的物質との結合性が弱まる。即ち、本発明の核酸誘導体は、照射する光を変えることによって標的物質に対する結合性を制御することができる。これは、一般式(II)で表される基のシス−トランス異性化により核酸誘導体の分子構造が変化することに起因すると考えられる。本発明の核酸誘導体は、上記光応答性を示すために、A2で表される塩基の少なくとも1つが一般式(II)で表される基を含めばよい。核酸誘導体を構成するヌクレオチド(N)中、一般式(II)で表される基を有するヌクレオチドの数は、塩基配列および塩基長、標的物質との結合性等に応じて適宜設定すればよく特に限定されるものではないが、例えば10〜20塩基程度の核酸誘導体の場合、1〜2程度の塩基が一般式(II)で表される基を含むことが好ましい。
本発明の核酸誘導体は、公知の核酸合成方法により得ることができる。核酸合成方法としては、転写反応、逆転写反応、PCR法等の酵素法を用いることが好ましい。本発明の核酸誘導体の合成のために使用可能な核酸合成酵素は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、ターミナルトランスフェラーゼなどが挙げられるが特に限定されるものではない。また、鋳型核酸はDNA、RNAのいずれであってもよく、天然由来のDNAおよびRNA、ならびに組み換えDNAおよびRNA、化学合成DNAおよびRNA等の非天然型DNAおよびRNAを使用することができる。核酸合成反応は、例えば、鋳型DNA、本発明のヌクレオチド誘導体を含むNTP類、および核酸合成酵素を用いて行うことができる。反応条件は適宜設定すればよい。
光によって所望の標的物質に対する結合力を制御可能な核酸誘導体を得るためには試験管内分子進化法を用いることが好ましい。具体的には、以下の方法を用いることができる。
DNAライブラリーを鋳型にし、ATP、CTP、GTP、UTP中の1種のNTPの代わりとして、本発明のヌクレオチド誘導体を使用する。これらNTP類を転写反応基質として用いることにより一般式(II)で表される基をランダムに導入したRNAライブラリーを構築することができる。このライブラリー溶液に波長αの光(以下、「光1」という)を照射した後、標的物質に対する選択的結合性を有するカラムに通す。標的物質に結合しない画分を洗い流し、結合した修飾RNA画分を基質溶出により回収する。回収したRNAをRT−PCRにより増幅し、次のラウンドの鋳型DNAライブラリーを得る。このサイクルを繰返すことにより、光1照射条件下で、標的物質と強く結合するRNA配列を選択することができる。次いで、サブクローニングとシークエンシングにより、光1照射条件下で、標的物質に対する結合性を有するRNAアプタマーの配列を決定することができる。ここで得られたRNAから波長β(波長αとは異なる)の光(以下、「光2」という)を照射した後、標的物質に対する結合性が弱い配列を選択する。これにより、光1と光2に応答して標的物質を結合・放出できる核酸誘導体(RNAアプタマー)を得ることができる。上記工程の概要を図1に示す。詳細については、後述の実施例も参照できる。
DNAライブラリーを鋳型にし、ATP、CTP、GTP、UTP中の1種のNTPの代わりとして、本発明のヌクレオチド誘導体を使用する。これらNTP類を転写反応基質として用いることにより一般式(II)で表される基をランダムに導入したRNAライブラリーを構築することができる。このライブラリー溶液に波長αの光(以下、「光1」という)を照射した後、標的物質に対する選択的結合性を有するカラムに通す。標的物質に結合しない画分を洗い流し、結合した修飾RNA画分を基質溶出により回収する。回収したRNAをRT−PCRにより増幅し、次のラウンドの鋳型DNAライブラリーを得る。このサイクルを繰返すことにより、光1照射条件下で、標的物質と強く結合するRNA配列を選択することができる。次いで、サブクローニングとシークエンシングにより、光1照射条件下で、標的物質に対する結合性を有するRNAアプタマーの配列を決定することができる。ここで得られたRNAから波長β(波長αとは異なる)の光(以下、「光2」という)を照射した後、標的物質に対する結合性が弱い配列を選択する。これにより、光1と光2に応答して標的物質を結合・放出できる核酸誘導体(RNAアプタマー)を得ることができる。上記工程の概要を図1に示す。詳細については、後述の実施例も参照できる。
[標的物質捕捉材料、標的物質を捕捉および/または放出する方法]
本発明は、本発明の核酸誘導体からなる標的物質捕捉材料に関する。本発明の標的物質捕捉材料は、光を照射することにより、および/または、加熱することにより、捕捉した標的物質の少なくとも一部を放出し得る。
更に本発明は、標的物質を捕捉および/または放出する方法に関する。本発明の方法では、本発明の核酸誘導体に対し、標的物質存在下で光を照射することにより、および/もしくは、上記核酸誘導体を加熱することにより、上記核酸誘導体に捕捉されていた上記標的物質の少なくとも一部を該核酸誘導体から放出させること、ならびに/または、上記核酸誘導体に上記標的物質の少なくとも一部を捕捉させることを含む。
以下、上記材料および方法について更に詳細に説明する。
本発明は、本発明の核酸誘導体からなる標的物質捕捉材料に関する。本発明の標的物質捕捉材料は、光を照射することにより、および/または、加熱することにより、捕捉した標的物質の少なくとも一部を放出し得る。
更に本発明は、標的物質を捕捉および/または放出する方法に関する。本発明の方法では、本発明の核酸誘導体に対し、標的物質存在下で光を照射することにより、および/もしくは、上記核酸誘導体を加熱することにより、上記核酸誘導体に捕捉されていた上記標的物質の少なくとも一部を該核酸誘導体から放出させること、ならびに/または、上記核酸誘導体に上記標的物質の少なくとも一部を捕捉させることを含む。
以下、上記材料および方法について更に詳細に説明する。
先に説明したように、本発明の核酸誘導体は光によって標的物質に対する結合性を制御可能な光応答性基を有する。一般式(II)で表される基がトランス体である本発明の核酸誘導体に対し、紫外光等の光(例えば波長300〜400nm)を照射すると、シス体への異性化を起こすことができ、その後、トランス−シス異性化に用いた光よりも長波長の光(例えば波長400〜550nm)を照射するか、または加熱することにより、再びトランス体に変化させることができる。例えば本発明の核酸誘導体が、一般式(II)で表される基がトランス体の場合に標的物質に対する高い結合性を示し、シス体である場合に標的物質に対する結合性が乏しいのであれば、上記長波長の光を照射および/または加熱しながら本発明の核酸誘導体と標的物質を溶液等の適当な環境下に共存させることにより、本発明の核酸誘導体に標的物質を捕捉させることができる。更に、上記環境を紫外線等の光照射下に置くことによりトランス→シス異性化を起こし捕捉された標的物質の少なくとも一部を本発明の核酸誘導体から放出することができる。上記態様とは逆に、標的物質に対する結合性がシス体で高くトランス体で低い場合には照射する光を上記とは逆にすればよい。本発明の核酸誘導体と標的物質の共存環境における両者の濃度および混合比は、目的に応じて適宜設定すればよい。
加熱温度は、例えば20〜100℃程度とすることができ、加熱温度が高いほど高速でシス−トランス異性化を起こすことができる。上記照射する光としては、例えば高圧水銀灯の輝線である313nm、365nm、407nm、436nm;YAGレーザーの第2および第3高調波である355nm、532nm;またはアルゴンイオンレーザーの458nm、488nm、514nmなどを用いることができる。更に光強度については、0.1〜100mW/cm2程度が好ましい。標的物質を捕捉ないしは放出させるための光照射時間および加熱時間は、シス−トランス異性化を起こし得る範囲であればよく特に限定されるものではない。
標的物質としては、タンパク質、抗体、核酸、生理活性小分子、およびこの他の有機機能性分子など幅広い分子が適応できる。
本発明の核酸誘導体は、光応答性アプタマーとして使用することができる。合成化学における精製のために、また抗体に代わる物質として医薬分野への適用が期待される。医薬分野の中でも眼科用途は適用後に光照射可能なため本発明の核酸誘導体の適用が好ましい分野である。
以下、標的物質がヘミンである態様について説明するが、本発明の材料および方法の適用対象はヘミンに限定されるものではない。
以下、標的物質がヘミンである態様について説明するが、本発明の材料および方法の適用対象はヘミンに限定されるものではない。
[ヘミンアプタマー]
本発明のヘミンアプタマーは、配列番号1に記載の塩基配列または配列番号1に記載の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換および/もしくは付加している塩基配列からなり、少なくとも1つの塩基が先に説明した一般式(II)で表される基を含む。本発明において「1〜複数個の塩基が欠失、置換および/または付加している塩基配列」における「1〜複数個」の範囲は特に限定されるものではないが、例えば、1〜60個、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜5個程度を意味する。
本発明のヘミンアプタマーは、配列番号1に記載の塩基配列または配列番号1に記載の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換および/もしくは付加している塩基配列からなり、少なくとも1つの塩基が先に説明した一般式(II)で表される基を含む。本発明において「1〜複数個の塩基が欠失、置換および/または付加している塩基配列」における「1〜複数個」の範囲は特に限定されるものではないが、例えば、1〜60個、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜5個程度を意味する。
後述する実施例では、一般式(II)で表される光応答性基がアデニンに含まれるヘミンアプタマーを示すが、本発明のヘミンアプタマーにおいて一般式(II)で表される基を含む塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンのいずれでもよい。
本発明のヘミンアプタマーの合成方法および本発明のヘミンアプタマーにヘミンを捕捉ないしは捕捉されたヘミンを放出させるための光照射および加熱については先に説明した通りであり、また後述の実施例も参照できる。
本発明のヘミンアプタマーの合成方法および本発明のヘミンアプタマーにヘミンを捕捉ないしは捕捉されたヘミンを放出させるための光照射および加熱については先に説明した通りであり、また後述の実施例も参照できる。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
アゾベンゼン修飾ATP(化合物3)の合成
下記合成スキームに従い、アデノシン(市販品)と4-フェニルアゾベンゾイルクロリドをカップリングさせ、化合物1を得た。化合物1を三リン酸化し、化合物3を得た。
アゾベンゼン修飾ATP(化合物3)の合成
下記合成スキームに従い、アデノシン(市販品)と4-フェニルアゾベンゾイルクロリドをカップリングさせ、化合物1を得た。化合物1を三リン酸化し、化合物3を得た。
(1)化合物1の合成
アデノシン(300 mg, 1.12 mmol)を4.5 mlのPyridineに溶解し、アルゴン雰囲気下で氷冷化し、TMS-Cl (Trimethylchlorosilane)(0.469 ml, 3.70 mmol)を加え、30分攪拌した。この懸濁液に4-phenylazobenzoyl chloride(604 mg, 2.47 mmol)を0℃で滴下した。その後、室温に戻して一晩反応させた。TLCで産物の生成を確認後、H2Oを1.12 ml加えた。その後、2.25 mlの28 % NH3・H2Oを加え反応を停止させた。EtOAc (Ethyl acetate)による分液・抽出を行った。溶媒留去後、残渣をカラムにて精製することにより、化合物1 (150 mg, 0.315 mmol, 28 %)を得た。同定結果を以下に示す。
1H NMR 400MHz (DMSO)δ 11.4239 (br, 1H, NH) 8.7805 -7.6348 (m, 11H, Ar ), 6.0596 (d, 1H, J=5.88, 1'-H), 5.5725 (d, 1H, J=5.84, 2'-OH), 5.2551 (d, 1H, J=4.88, 3'-OH), 5.1349 (t, 1H, J1=5.36, J2=5.4, 2'-H), 4.66915 (dd, 1H, J1=5.36, J2=5.36, 2'-H), 4.2108-4.2010 (m, 1H, 3'-H), 4.0033-3.9947 (m, 1H, 4'-H), 3.7347-3.5663 (m, 2H, 5'-H)
13C NMR 100MHz (DMSO) δ 164.0404, 159.9775, 153.6977, 152.0577, 151.7034, 151.4232, 149.9892, 143.0419, 131.9988, 129.7242, 129.4028, 125.6613, 122.6533, 122.1277, 87.4883, 85.6340, 73.5937, 70.2890, 61.2567.
Hi-Mass (451.13896) found 474.1392(Na+)
アデノシン(300 mg, 1.12 mmol)を4.5 mlのPyridineに溶解し、アルゴン雰囲気下で氷冷化し、TMS-Cl (Trimethylchlorosilane)(0.469 ml, 3.70 mmol)を加え、30分攪拌した。この懸濁液に4-phenylazobenzoyl chloride(604 mg, 2.47 mmol)を0℃で滴下した。その後、室温に戻して一晩反応させた。TLCで産物の生成を確認後、H2Oを1.12 ml加えた。その後、2.25 mlの28 % NH3・H2Oを加え反応を停止させた。EtOAc (Ethyl acetate)による分液・抽出を行った。溶媒留去後、残渣をカラムにて精製することにより、化合物1 (150 mg, 0.315 mmol, 28 %)を得た。同定結果を以下に示す。
1H NMR 400MHz (DMSO)δ 11.4239 (br, 1H, NH) 8.7805 -7.6348 (m, 11H, Ar ), 6.0596 (d, 1H, J=5.88, 1'-H), 5.5725 (d, 1H, J=5.84, 2'-OH), 5.2551 (d, 1H, J=4.88, 3'-OH), 5.1349 (t, 1H, J1=5.36, J2=5.4, 2'-H), 4.66915 (dd, 1H, J1=5.36, J2=5.36, 2'-H), 4.2108-4.2010 (m, 1H, 3'-H), 4.0033-3.9947 (m, 1H, 4'-H), 3.7347-3.5663 (m, 2H, 5'-H)
13C NMR 100MHz (DMSO) δ 164.0404, 159.9775, 153.6977, 152.0577, 151.7034, 151.4232, 149.9892, 143.0419, 131.9988, 129.7242, 129.4028, 125.6613, 122.6533, 122.1277, 87.4883, 85.6340, 73.5937, 70.2890, 61.2567.
Hi-Mass (451.13896) found 474.1392(Na+)
(2)化合物2および化合物3の合成
化合物1 (51.1 mg, 0.113 mmol)を(EtO)3PO (Triethyl phosphate) (1.1 ml)に溶解し、アルゴン雰囲気下で氷冷化し、POCl3 (Phosphorus oxychloride) (42.2 μL, 0.453 mmol) をゆっくり滴下した。0℃で2時間反応後、更にPOCl3を(21.1 μL, 0.226 mmol)滴下した。1時間後、再度POCl3 (10.55 μL, 0.113 mmol) を滴下した。203.3 μLのH2Oを加えた後、TEA (Triethylamine)を加えて反応を停止した。反応液をH2Oで抽出した後クロロホルムで洗浄し、溶媒留去した。残渣をHPLCで精製・脱塩することにより、化合物2 (42.6 mg, 0.077 mmol, 68 %)を得た。
化合物2(34.7 mg, 0.063 mmol)をDMF (N,N'-Dimethylformamide)に溶解し、CDI (1,1'-Carbonyldiimidazole) (75.64 mg, 0.466 mmol)を加え、室温アルゴン雰囲気下で3時間反応させた。MeOH (Methanol) (16.5 μL, 0.406 mmol)を加えて更に30分間反応させた。その後、0.5 MのTributylammonium pyrophosphateを1 ml加えて、室温アルゴン雰囲気下で一晩反応させた。溶媒留去後、HPLCで精製・凍結乾燥をすることで、化合物3 (10.0 mg, 0.014 mmol, 22 %)を得た。化合物3の同定結果を以下に示す。
1H NMR 400MHz (D2O). δ 8.7996 (s, 1H, Ade), 8.5939 (s, 1H, Ade), 7.9799-7.3274 (m, 9H, Ar), 6.14485 (d, 1H, J=5.64, 1'-H), 4.8329-4.8085 (m, 1H, 2'-H), 4.6138 (dd, 1H, J=3.92, J=4.41, 3'-H), 4.4362 (m, 1H, 4'-H), 4.3031 (m, 2H, 5'-H)
13C NMR 100MHz (D2O). δ 184.2537, 172.0153, 169.7160, 160.4775, 159.6286, 151.6758, 149.9039, 147.1348, 146.9947, 146.8216, 146.7557, 140.2780, 140.1050, 138.7122, 105.0876, 92.2477, 88.1600, 83.0833, 66.7320.
Hi-Mass (714.0519) found 714.0497(H-)
化合物1 (51.1 mg, 0.113 mmol)を(EtO)3PO (Triethyl phosphate) (1.1 ml)に溶解し、アルゴン雰囲気下で氷冷化し、POCl3 (Phosphorus oxychloride) (42.2 μL, 0.453 mmol) をゆっくり滴下した。0℃で2時間反応後、更にPOCl3を(21.1 μL, 0.226 mmol)滴下した。1時間後、再度POCl3 (10.55 μL, 0.113 mmol) を滴下した。203.3 μLのH2Oを加えた後、TEA (Triethylamine)を加えて反応を停止した。反応液をH2Oで抽出した後クロロホルムで洗浄し、溶媒留去した。残渣をHPLCで精製・脱塩することにより、化合物2 (42.6 mg, 0.077 mmol, 68 %)を得た。
化合物2(34.7 mg, 0.063 mmol)をDMF (N,N'-Dimethylformamide)に溶解し、CDI (1,1'-Carbonyldiimidazole) (75.64 mg, 0.466 mmol)を加え、室温アルゴン雰囲気下で3時間反応させた。MeOH (Methanol) (16.5 μL, 0.406 mmol)を加えて更に30分間反応させた。その後、0.5 MのTributylammonium pyrophosphateを1 ml加えて、室温アルゴン雰囲気下で一晩反応させた。溶媒留去後、HPLCで精製・凍結乾燥をすることで、化合物3 (10.0 mg, 0.014 mmol, 22 %)を得た。化合物3の同定結果を以下に示す。
1H NMR 400MHz (D2O). δ 8.7996 (s, 1H, Ade), 8.5939 (s, 1H, Ade), 7.9799-7.3274 (m, 9H, Ar), 6.14485 (d, 1H, J=5.64, 1'-H), 4.8329-4.8085 (m, 1H, 2'-H), 4.6138 (dd, 1H, J=3.92, J=4.41, 3'-H), 4.4362 (m, 1H, 4'-H), 4.3031 (m, 2H, 5'-H)
13C NMR 100MHz (D2O). δ 184.2537, 172.0153, 169.7160, 160.4775, 159.6286, 151.6758, 149.9039, 147.1348, 146.9947, 146.8216, 146.7557, 140.2780, 140.1050, 138.7122, 105.0876, 92.2477, 88.1600, 83.0833, 66.7320.
Hi-Mass (714.0519) found 714.0497(H-)
[実施例2]
光応答性RNAアプタマーの選択
(1)非天然のRNAライブラリーの構築
DNA合成機により59塩基のランダム領域を含むDNAライブラリー(5'-TAG-GGAATT-CGT-CGA-CGG-ATC-C-N59-CTG-CAG-GTCGAC-GCA-TGC-GCC-G-3')(配列番号2)を合成した。このDNAライブラリー(80 ng)を800 μLの反応溶液(10 mM Tris-HCl (pH 8.3), 50 mM KCl, 1.5 mM MgCl2, 0.001% gelatin, 200 μM dNTPs, 0.5 μM のT7 promoterの配列を含む 5'-primer (5'-ATAA-TAC-GACTCA-CTA-TAG-GGA-ATT-CGT-CGA-CGG-AT-3')(配列番号3), 0.5 μMの 3'-primer (5'-CGG-CGC-ATG-CGT-CGA-CCT-G-3')(配列番号4))の中で、PCR (10 cycles, 94 °C, 15 s; 55 °C, 15 s; 72 °C, 15 s)により増幅した。反応液に対し、フェノール・クロロホルム抽出を行った後、エタノール沈殿により精製した。増幅したDNAライブラリー(およそ1.5 μg)を鋳型にし、転写反応バッファー中(T7 RNA polymerase 200 U / 4 μL, 80 mM Tris-HCl (pH 7.9), 12 mM MgCl2, 4 mM spermidine, 20 mM DTT, RNasin, 1 mM 化合物3, 1 mM UTP, CTP, GTP, up to 200 μL)で、反応させた(37℃、6時間)。その後、RQ1 RNase-Free DNase (8 U)を加え、37℃で40分間インキュベートして鋳型DNAを分解した。転写産物を8 %の変性PAGEにより精製することで、およそ10 μgのRNAライブラリーを得た。このRNAライブラリー(およそ5 μg)を100 μLの水に溶かして、UVスペクトル(JASCO V-550紫外可視分光光度計)を測定した。得られたUVスペクトルを図2に示す。335 nm附近にアゾベンゼン由来の吸収バンドが観測されたことからアゾベンゼン導入ATP (化合物3) がRNAに導入されていることが確認された。
光応答性RNAアプタマーの選択
(1)非天然のRNAライブラリーの構築
DNA合成機により59塩基のランダム領域を含むDNAライブラリー(5'-TAG-GGAATT-CGT-CGA-CGG-ATC-C-N59-CTG-CAG-GTCGAC-GCA-TGC-GCC-G-3')(配列番号2)を合成した。このDNAライブラリー(80 ng)を800 μLの反応溶液(10 mM Tris-HCl (pH 8.3), 50 mM KCl, 1.5 mM MgCl2, 0.001% gelatin, 200 μM dNTPs, 0.5 μM のT7 promoterの配列を含む 5'-primer (5'-ATAA-TAC-GACTCA-CTA-TAG-GGA-ATT-CGT-CGA-CGG-AT-3')(配列番号3), 0.5 μMの 3'-primer (5'-CGG-CGC-ATG-CGT-CGA-CCT-G-3')(配列番号4))の中で、PCR (10 cycles, 94 °C, 15 s; 55 °C, 15 s; 72 °C, 15 s)により増幅した。反応液に対し、フェノール・クロロホルム抽出を行った後、エタノール沈殿により精製した。増幅したDNAライブラリー(およそ1.5 μg)を鋳型にし、転写反応バッファー中(T7 RNA polymerase 200 U / 4 μL, 80 mM Tris-HCl (pH 7.9), 12 mM MgCl2, 4 mM spermidine, 20 mM DTT, RNasin, 1 mM 化合物3, 1 mM UTP, CTP, GTP, up to 200 μL)で、反応させた(37℃、6時間)。その後、RQ1 RNase-Free DNase (8 U)を加え、37℃で40分間インキュベートして鋳型DNAを分解した。転写産物を8 %の変性PAGEにより精製することで、およそ10 μgのRNAライブラリーを得た。このRNAライブラリー(およそ5 μg)を100 μLの水に溶かして、UVスペクトル(JASCO V-550紫外可視分光光度計)を測定した。得られたUVスペクトルを図2に示す。335 nm附近にアゾベンゼン由来の吸収バンドが観測されたことからアゾベンゼン導入ATP (化合物3) がRNAに導入されていることが確認された。
(2)試験管内分子進化法によるヘミン結合性の光応答性RNAアプタマーの選択
図3に概略図を示すヘミン-アガロースを0.5 mlのベッドボリュームになるようにカラムに充填した。カラムを100% DMF(10 ml), 66% DMF(10 ml), 33% DMF(10 ml), H2O(10 ml), 25% pyridine(10 ml), H2O(10 ml)の順番で洗浄した後、結合バッファー(10 ml)(20 mM Tris-AcOH, pH 8.0; 100 mM NaCl; 200 mM KCl; 5 mM MgCl2; 0.5% Triton X-100; 5% dimethyl sulfoxide)で平衡化した。
次に、試験管内分子進化法による第一ラウンド目の選択実験を行った(図1参照)。まず、上記で得た光応答性分子を導入したRNAライブラリー(10 μg)を200 μLのアニーリングバッファー(20 mM Tris-AcOH, pH 8.0; 100 mM NaCl; 200 mM KCl; 5 mM MgCl2)に溶解し、70℃で10分間RNAを熱変性すると同時にアゾベンゼンをtrans体に熱異性化させた。その後、ゆっくり室温になるまで放置した。このサンプルに対し、光照射装置(MORITEX MHF-D100LR)により3分間可視光(波長400〜700nm)を照射した後には、335 nm附近にアゾベンゼン由来の吸収度の変化がないことを確認した。これにより、70℃、10分間でアゾベンゼンがほとんどtrans体になることが確認された。その後、このRNA溶液に800 μLの結合バッファー(20 mM Tris-AcOH, pH 8.0; 100 mM NaCl; 200 mM KCl; 5 mM MgCl2; 0.5% Triton X-100; 5% dimethyl sulfoxide)を加え、よく混ぜてからヘミン−アガロースカラムにロードした。15℃で30分間インキュベートした後、室温で、30カラムボリュームの結合バッファーで結合しないRNAを洗い流した。結合しているRNAは、室温でヘミンを飽和させた結合バッファー(6カラムボリューム)で 基質溶出した。溶出液に対し、フェノール・クロロホルム抽出を行い、ヘミンを除いた。抽出液に20 μgのグリコーゲンを加えてエタノール沈殿を2回行った。得られたペレットを20 μLのDEPC処理滅菌水で溶解した。その溶液から10 μLを採取しUVスペクトル測定により結合画分RNAを定量した。残りの10 μLは4 μLの3'-primer (50 μM), 3.2μLのdNTP (2.5 μM)と2.8 μLのH2Oと混ぜて70℃で10分間インキュベートした後、氷中で1分以上静置した。この溶液に8 μLの5×逆転写バッファー (250 mM Tris-HCl (pH 8.3), 375 mM KCl, 15 mM MgCl2 )、4 μLのDTT (1,4-Dithiothreitol) (0.1 M)、RNsin Reverse transcriptase Superscript III (800 U), RNase OUT (80 U)を加え40 μLにメスアップし、50℃で50分間インキュベートした。その後、合成されたcDNAは非天然RNAライブラリー構築の際と同じプログラムで、PCRによる増幅を行った。QIAquik PCR Purification Kit (QIAGEN)により精製し、次のラウンドの選択に用いた。結合率は、結合画分RNAとロードしたRNAの260 nmにおける吸光度比で計算した。
上記の選択サイクルを8ラウンド行ったところ、6ラウンド以降から結合率の顕著な上昇(約20%)が見られた。
図3に概略図を示すヘミン-アガロースを0.5 mlのベッドボリュームになるようにカラムに充填した。カラムを100% DMF(10 ml), 66% DMF(10 ml), 33% DMF(10 ml), H2O(10 ml), 25% pyridine(10 ml), H2O(10 ml)の順番で洗浄した後、結合バッファー(10 ml)(20 mM Tris-AcOH, pH 8.0; 100 mM NaCl; 200 mM KCl; 5 mM MgCl2; 0.5% Triton X-100; 5% dimethyl sulfoxide)で平衡化した。
次に、試験管内分子進化法による第一ラウンド目の選択実験を行った(図1参照)。まず、上記で得た光応答性分子を導入したRNAライブラリー(10 μg)を200 μLのアニーリングバッファー(20 mM Tris-AcOH, pH 8.0; 100 mM NaCl; 200 mM KCl; 5 mM MgCl2)に溶解し、70℃で10分間RNAを熱変性すると同時にアゾベンゼンをtrans体に熱異性化させた。その後、ゆっくり室温になるまで放置した。このサンプルに対し、光照射装置(MORITEX MHF-D100LR)により3分間可視光(波長400〜700nm)を照射した後には、335 nm附近にアゾベンゼン由来の吸収度の変化がないことを確認した。これにより、70℃、10分間でアゾベンゼンがほとんどtrans体になることが確認された。その後、このRNA溶液に800 μLの結合バッファー(20 mM Tris-AcOH, pH 8.0; 100 mM NaCl; 200 mM KCl; 5 mM MgCl2; 0.5% Triton X-100; 5% dimethyl sulfoxide)を加え、よく混ぜてからヘミン−アガロースカラムにロードした。15℃で30分間インキュベートした後、室温で、30カラムボリュームの結合バッファーで結合しないRNAを洗い流した。結合しているRNAは、室温でヘミンを飽和させた結合バッファー(6カラムボリューム)で 基質溶出した。溶出液に対し、フェノール・クロロホルム抽出を行い、ヘミンを除いた。抽出液に20 μgのグリコーゲンを加えてエタノール沈殿を2回行った。得られたペレットを20 μLのDEPC処理滅菌水で溶解した。その溶液から10 μLを採取しUVスペクトル測定により結合画分RNAを定量した。残りの10 μLは4 μLの3'-primer (50 μM), 3.2μLのdNTP (2.5 μM)と2.8 μLのH2Oと混ぜて70℃で10分間インキュベートした後、氷中で1分以上静置した。この溶液に8 μLの5×逆転写バッファー (250 mM Tris-HCl (pH 8.3), 375 mM KCl, 15 mM MgCl2 )、4 μLのDTT (1,4-Dithiothreitol) (0.1 M)、RNsin Reverse transcriptase Superscript III (800 U), RNase OUT (80 U)を加え40 μLにメスアップし、50℃で50分間インキュベートした。その後、合成されたcDNAは非天然RNAライブラリー構築の際と同じプログラムで、PCRによる増幅を行った。QIAquik PCR Purification Kit (QIAGEN)により精製し、次のラウンドの選択に用いた。結合率は、結合画分RNAとロードしたRNAの260 nmにおける吸光度比で計算した。
上記の選択サイクルを8ラウンド行ったところ、6ラウンド以降から結合率の顕著な上昇(約20%)が見られた。
(3)サブクローニングと配列解析
6ラウンド目と8ラウンド目の結合画分RNAからcDNAを合成した。それぞれのラウンドのcDNAはTA Cloning Kit (invitrogen)により、pCR 2.1ベクターに挿入し、大腸菌へ形質転換し、プレート培養した。形成したコロニーをPCRで増幅し、配列解析(RIKEN BSIリサーチリソースセンター)を行った。
配列解析結果から得た39種類のRNAアプタマー候補の中で、8ラウンド目の結合画分RNAから得た8-6-azoRNA(5'-GGGAAUUCGUCGACGGAUCCAGGGGUGUGGCUGGCGGUCCCGUGGGGGGAGGGUGGUAUGAGUGUACUGCUGCCGUGCCCUGCAGGUCGACGCAUGCGCCG-3')(配列番号1)がヘミンに対して光応答性を有することを確認した。
6ラウンド目と8ラウンド目の結合画分RNAからcDNAを合成した。それぞれのラウンドのcDNAはTA Cloning Kit (invitrogen)により、pCR 2.1ベクターに挿入し、大腸菌へ形質転換し、プレート培養した。形成したコロニーをPCRで増幅し、配列解析(RIKEN BSIリサーチリソースセンター)を行った。
配列解析結果から得た39種類のRNAアプタマー候補の中で、8ラウンド目の結合画分RNAから得た8-6-azoRNA(5'-GGGAAUUCGUCGACGGAUCCAGGGGUGUGGCUGGCGGUCCCGUGGGGGGAGGGUGGUAUGAGUGUACUGCUGCCGUGCCCUGCAGGUCGACGCAUGCGCCG-3')(配列番号1)がヘミンに対して光応答性を有することを確認した。
[実施例3]
アゾベンゼン導入RNAアプタマーとヘミンの相互作用の光応答性
上記と同じ方法でアニーリングした8-6-azoRNA(10 μg)サンプルを2等分し、それぞれヘミン含有バッファー(0.5 μM Hemin, 20 mM Tris-AcOH pH 8.0, 100 mM NaCl, 200 mM KCl, 5 mM MgCl2, 0.05 % Triton X-100, 0.5 % DMSO)とヘミン無しのバッファー(20 mM Tris-AcOH pH 8.0, 100 mM NaCl, 200 mM KCl, 5 mM MgCl2, 0.05 % Triton X-100, 0.5 % DMSO)の中で30分間インキュベートした。その後、それぞれUVスペクトルを取って、これらのスペクトルからアゾベンゼン由来の吸収を引いた。その結果、図4に示すスペクトルを得た。その後、両サンプルをそれぞれ取り出して、ガラスフィルター(旭テクノグラス、UV-D36B)を通して、それぞれ紫外光(HAMAMATSU, UV spot light source、波長300〜400nm))を3分間照射した。同様の方法で、図4に示す紫外光照射後のスペクトルを得た。図4に8-6-azoRNA無しの場合のヘミン含有バッファーのスペクトルも示す。
過去の研究で、DNAアプタマーがヘミンに結合するに伴い、ヘミンの400 nm附近のソーレバンドの吸光度が上昇(濃色効果)すると同時に、λmaxが若干レッドシフトする(深色効果)現象がおこることが報告されている(Travascio P., Li Y., Sen D., Chem. Biol. 1998, 5, 505-517参照)。図4の可視光照射後のスペクトルでも、8-6-azoRNA存在下で、濃色効果と深色効果が現れたことから、8-6-azoRNAアプタマーがヘミン結合性を有することが確認できる。更に、紫外光照射後のスペクトルにおいて、可視光照射後のスペクトルと比べて、400 nm附近のソーレバンドの吸光度が下がる現象は、結合していたヘミンが8-6-azoRNAアプタマーから離れ放出されたことに起因するものである。
アゾベンゼン導入RNAアプタマーとヘミンの相互作用の光応答性
上記と同じ方法でアニーリングした8-6-azoRNA(10 μg)サンプルを2等分し、それぞれヘミン含有バッファー(0.5 μM Hemin, 20 mM Tris-AcOH pH 8.0, 100 mM NaCl, 200 mM KCl, 5 mM MgCl2, 0.05 % Triton X-100, 0.5 % DMSO)とヘミン無しのバッファー(20 mM Tris-AcOH pH 8.0, 100 mM NaCl, 200 mM KCl, 5 mM MgCl2, 0.05 % Triton X-100, 0.5 % DMSO)の中で30分間インキュベートした。その後、それぞれUVスペクトルを取って、これらのスペクトルからアゾベンゼン由来の吸収を引いた。その結果、図4に示すスペクトルを得た。その後、両サンプルをそれぞれ取り出して、ガラスフィルター(旭テクノグラス、UV-D36B)を通して、それぞれ紫外光(HAMAMATSU, UV spot light source、波長300〜400nm))を3分間照射した。同様の方法で、図4に示す紫外光照射後のスペクトルを得た。図4に8-6-azoRNA無しの場合のヘミン含有バッファーのスペクトルも示す。
過去の研究で、DNAアプタマーがヘミンに結合するに伴い、ヘミンの400 nm附近のソーレバンドの吸光度が上昇(濃色効果)すると同時に、λmaxが若干レッドシフトする(深色効果)現象がおこることが報告されている(Travascio P., Li Y., Sen D., Chem. Biol. 1998, 5, 505-517参照)。図4の可視光照射後のスペクトルでも、8-6-azoRNA存在下で、濃色効果と深色効果が現れたことから、8-6-azoRNAアプタマーがヘミン結合性を有することが確認できる。更に、紫外光照射後のスペクトルにおいて、可視光照射後のスペクトルと比べて、400 nm附近のソーレバンドの吸光度が下がる現象は、結合していたヘミンが8-6-azoRNAアプタマーから離れ放出されたことに起因するものである。
本発明によれば、合成化学、医薬分野等の各種分野において有用な光応答性アプタマーを提供することができる。
Claims (9)
- 下記一般式(I)で表されるヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体。
- 一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される基である請求項1に記載のヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体。
- 下記一般式(IV)で表される核酸誘導体。
Nx (IV)
[一般式(IV)中、Nは下記一般式(V)で表される基であり、xは2以上の整数である。]
- 一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される基である請求項3に記載の核酸誘導体。
- 請求項3または4に記載の核酸誘導体からなる標的物質捕捉材料であって、光を照射することにより、および/または、加熱することにより、捕捉した標的物質の少なくとも一部を放出し得る標的物質捕捉材料。
- 請求項3または4に記載の核酸誘導体に対し、標的物質存在下で光を照射することにより、および/もしくは、上記核酸誘導体を加熱することにより、上記核酸誘導体に捕捉されていた上記標的物質の少なくとも一部を該核酸誘導体から放出させること、ならびに/または、上記核酸誘導体に上記標的物質の少なくとも一部を捕捉させること、を特徴とする標的物質を捕捉および/または放出する方法。
- 配列番号1に記載の塩基配列または配列番号1に記載の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換および/もしくは付加している塩基配列からなり、少なくとも1つの塩基が下記一般式(II)で表される基を含むことを特徴とするヘミンアプタマー。
- 一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される基である請求項7に記載のヘミンアプタマー。
- 一般式(II)で表される基は、少なくとも1つのアデニンに含まれる請求項7または8に記載のヘミンアプタマー。
Priority Applications (1)
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JP2008068842A JP2009221168A (ja) | 2008-03-18 | 2008-03-18 | ヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体、核酸誘導体、標的物質捕捉材料、標的物質を捕捉および/または放出する方法、ならびにヘミンアプタマー |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015065930A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | シスメックス株式会社 | 二重鎖核酸の解離の制御方法、二重鎖核酸の鎖交換反応の制御方法および核酸の増幅方法 |
CN106589029A (zh) * | 2016-10-28 | 2017-04-26 | 南通宏慈药业有限公司 | 一种环磷腺苷三聚杂质的制备方法 |
CN109096267A (zh) * | 2017-06-21 | 2018-12-28 | 湖南大学 | 一种含偶氮苯碱基元素的化合物及其制备方法和应用 |
JP2020041981A (ja) * | 2018-09-13 | 2020-03-19 | 株式会社東芝 | 有機物プローブ及び分子検出装置 |
-
2008
- 2008-03-18 JP JP2008068842A patent/JP2009221168A/ja active Pending
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