JP3893057B2 - 新規な核酸塩基対 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、立体障害を利用した選択的な新規人工核酸塩基対の形成に関する。
また、本発明は、本発明の新規人工核酸塩基対を使用した核酸の複製、転写、および、これを用いタンパク質合成システムあるいは機能性核酸に関する。より詳細には、本発明は、立体障害を利用した選択的な塩基対を形成させることができる、好ましくは立体障害及び静電的な反発並びにスタッキング作用を利用した選択的な塩基対を形成させることができる新規な人工核酸、その製造方法、それを含有してなるコドン、それを含有してなる核酸分子、それを用いた非天然型の遺伝子の製造方法、前記核酸分子又は非天然型の遺伝子を用いた新規な蛋白質の製造方法などに関する。
背景技術
地球上の生物は、すべて遺伝子としてアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類の塩基からなる核酸を用い、AとT、GとCの特異的な塩基対形成によってその遺伝情報を伝えている。また、遺伝子DNAから転写されたmRNA中の遺伝情報に従ってタンパク質が合成される。その際、3塩基からなる64種類(4=64)のコドンがそれぞれ20種類のアミノ酸に対応している。
もし、4種類(A,G,C,T)の既存の塩基に加えて新規な核酸塩基(X,Y)(ここでは、XとYが特異的に塩基対を形成する)を創製することができればコドンの種類が飛躍的に増大し(6=216)、新たにできたコドンを非天然型アミノ酸に対応させることにより、非天然型アミノ酸を含むタンパク質の合成が可能となる(J.D.Bain,et al.,Nature,356,537−539(1992))。
これまで、A−T及びG−C以外の人工塩基対として、イソシトシンとイソグアニンが報告されているが、イソグアニンの互変異性のためにイソシトシンよりもチミンと塩基対を形成し易い事が問題となっている(C.Switzer,et al.,J.Am.Chem.Soc.,111,8322−8323(1989);C.Y.Switzer,et al.,Biochemistry,32,10489−10496(1993).)。また、その他にもいくつかの新規塩基対の報告があるが、いずれもまだ、ポリメラーゼによる認識に問題があり実用化されていない(J.A.Piccirilli,et al.,Nature,343,33−37(1990);J.Horlacher,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,6329−6333(1995);J.C.Morales,et al.,Nature struct.biol.,5,954−959(1998))。
ところで、様々な機能をもつ核酸分子がインビトロセレクション法によって見いだされているが(A.D.Ellington,et al.,Nature,346,818−822(1990);C.Tuerk,et al.,Science, 249,505−510(1990))、前記したX−Yのような新規な塩基対がDNAポリメラーゼ(DNA polymerase)、RNAポリメラーゼ(RNA polymerase)及び逆転写酵素(reverse transcriptase)の各種ポリメラーゼ(polymerases)に認識されれば、現在、4種類の塩基で行われているインビトロセレクション法を6種類の塩基で行うことができ、4種類の塩基では実現できない新しい機能をもつ核酸分子の創製の可能性が期待できる。
また、遺伝子の1個又は2個以上の塩基が他の塩基になっているために発現する遺伝病の治療に、新しい塩基対の創製が期待されている。
本発明者らは、天然の核酸とは塩基対を形成せず、それら自体で選択的に塩基対を形成し、かつ各種のポリメラーゼに認識され得る新規な人工の核酸塩基対を創製すべく鋭意研究してきたところ、立体障害を利用することにより天然の核酸との塩基対の形成を阻害することができ、新たにデザインされた核酸同士で選択的に塩基対を形成させ得ることを見出した。さらに、このようにデザインされた核酸が天然の各種ポリメラーゼに十分認識されることも見出した。
例えば、チミン(thymine)と塩基対を形成しないようにチミンの6位のケト基と立体障害によってぶつかりあうように、2,6−ジアミノプリン(2,6−diaminopurine)の6位のアミノ基に嵩高いメチル基を2つ導入した2−アミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)プリン(2−amino−6−(N,N−dimethylamino)purine)(この塩基をXという。)をデザインする。こうしてこのXは、チミンとは塩基対を形成しなくなるが、チミンの6位のケト基を水素に変えた同族体ピリジン−2−オン(pyridin−2−one)(この塩基をYという。)などの塩基は、このXと塩基対を形成することができることを見出した(第1図参照)。
さらに、プリン環の6位に立体障害を起こし得るジメチルアミノ基を導入した2−アミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(2−amino−6−(N,N−dimethylamino)−9−(2’−deoxy−β−D−ribofuranosyl)purine)(このものを、dXという。)を含むDNAオリゴマーと、3−(2’−デオキシ−5’−トリホスホロ−β−D−リボフラノシル)ピリジン−2−オン(3−(2’−deoxy−5’−triphosphoro−β−D−ribofuranosyl)pyridin−2−one)(このものを、dYTPという。)を化学合成し、dYTPあるいはそのリボヌクレオチド体(rYTP)が、前記のdXの相補鎖としてDNAポリメラーゼやRNAポリメラーゼによって選択的にDNAやRNA中に取り込まれることを見い出した。
しかし、このものは、第2図のa及びbに示されるように、この塩基(第2図aのdx)中の6−ジメチルアミノ基はその立体的なかさ高さによって、天然型塩基のチミン(あるいはウリジン)(第2図b参照)やシトシンとの塩基対をある程度排除することが出来たが、この立体障害が前後に存在する塩基にも影響を与えることから、同時に塩基間のスタッキング等にも不利な影響を及ぼし、KlenowフラグメントによるdYTPの取り込み効率は低く、dxに対するチミジン三リン酸(dTTP)の取り込みを抑えるには充分ではなかった。
そこで、本発明者らは、立体障害だけでなく、塩基相互間の静電的な反発や、前後の塩基とのスタッキング作用を考慮した新たな人工の塩基対を検討しところ、選択性の優れた人工の塩基対を得ることができることを見出した。
発明の開示
本発明は、DNAポリメラーゼなどのポリメラーゼによって塩基対が認識される際に、塩基対間の立体障害を利用して、より好ましくはさらに塩基間のスタッキングには悪影響を及ぼさず、塩基対平面にのみその立体障害を引き起こさせ、さらに好ましくは天然型の塩基との静電的な反発が利用でき得る塩基を選択することにより選択的に新規人工核酸塩基対が形成されうるという概念を提供するものである。
即ち、本発明は天然の核酸とは塩基対を形成せず、それら自体で選択的に塩基対を形成し、かつ各種のポリメラーゼに認識され得る新規な人工の核酸塩基対を提供するものである。さらに、本発明は、これらの人工の核酸、それを含むコドン、核酸分子、非天然型の遺伝子、及びそれらの応用方法を提供するものである。
本発明は、核酸の塩基部分に立体障害を起こさせ得る基、好ましくは核酸の塩基部分に立体障害及び静電的な反発並びスタッキング作用を有する基を導入することにより選択的な塩基対を形成させる方法に関し、より詳細には、当該立体障害を起こさせ得る基が、天然の核酸の塩基部分との塩基対を形成することを阻害するためのものであり、また当該立体障害及び静電的な反発により、天然の核酸の塩基部分との塩基対を形成することを阻害し、スタッキング作用により前後の塩基と安定に存在し、かつこのような塩基対がポリメラーゼに認識され得る塩基対であることを特徴とする選択的な塩基対を形成させる方法に関する。
また、本発明は、核酸の塩基部分における立体障害を利用して選択的な塩基対を形成させる、好ましくは核酸の塩基部分における立体障害及び静電的な反発並びにスタッキング作用を利用して選択的な塩基対を形成させるように核酸をデザインする方法に関し、より詳細には、当該立体障害の利用、好ましくは当該立体障害及び静電的な反発の利用により天然の核酸の塩基部分との塩基対を形成することを阻害し、さらに好ましくはスタッキング作用により前後の塩基と安定に存在し、かつこのような塩基対がポリメラーゼに認識され得る塩基対であることを特徴とする選択的な塩基対を形成させ得る核酸をデザインする方法に関する。
さらに、本発明は、核酸の塩基部分に立体障害を起こさせ得る基、好ましくは核酸の塩基部分に立体障害及び静電的な反発並びにスタッキング作用を有する基を導入することにより選択的な塩基対を形成させ得る核酸に関し、より詳細には、当該立体障害を起こさせ得る基、好ましくは当該立体障害及び静電的な反発を起こさせ得る基が、天然の核酸の塩基部分との塩基対を形成することを阻害し、さらに好ましくはスタッキング作用を有する基により前後の塩基と安定に存在するためのものであり、かつこのような塩基対がポリメラーゼに認識され得る塩基対であることを特徴とする選択的な塩基対を形成させ得る核酸、及びその製造方法に関する。
即ち、本発明は、天然の塩基を含有する核酸類と同様な挙動をすることができる新規な人工の核酸、及びこのような核酸をデザインする方法を開示するものであり、本発明の核酸は天然の核酸と同様な応用をすることができる。
したがって、本発明は、本発明の核酸又は本発明の方法によりデザインされた核酸を用いた各種の応用に関する。
より詳細には、本発明は、本発明の核酸又は本発明の方法によりデザインされた核酸を1個以上含有してなるコドンに関し、当該コドンは天然の核酸と同様にアミノ酸をコードすることができ、当該アミノ酸としては非天然型のアミノ酸であることもできる。また、本発明は、本発明の核酸又は本発明の方法によりデザインされた核酸、及び天然に存在する核酸を含有してなる核酸分子に関し、当該核酸分子は天然の核酸と同様に蛋白質をコードすることができ、また、当該核酸分子は天然の遺伝子の遺伝情報の全部又は一部を保持することもできる。このような核酸分子に各種のポリメラーゼ作用させて、その相補鎖を有する核酸分子を製造することもでき、本発明はこのような相補鎖の製造方法にも関する。
また、天然の遺伝子の一部に、本発明の核酸又は本発明の方法によりデザインされた核酸を導入又は置換することができ、したがって、本発明は天然の遺伝子に、本発明の核酸又は本発明の方法によりデザインされた核酸を1個又は2個以上導入又は置換させて非天然型の遺伝子を製造する方法に関し、これらの導入又は置換を前記した本発明のコドン単位にて行うこともできる。
さらに、本発明は、前記した方法により得ることができる非天然型の遺伝子又は前記した本発明の核酸分子に基づいて、それが含有しているコドンに基づいたアミノ酸の配列を有する蛋白質を製造する方法に関し、本発明の核酸又は本発明の方法によりデザインされた核酸を含有するコドンが非天然型のアミノ酸をコードするようにした場合には、天然の蛋白質の一部に非天然型のアミノ酸が導入又は置換された蛋白質を製造することができる。
したがって、本発明の方法により天然の蛋白質の一部が、他の天然型又は非天然型のアミノ酸、好ましくは非天然型のアミノ酸に置換又はそれらが導入された新たな蛋白質を製造する方法を提供するものであり、それにより天然の遺伝子がコードしている蛋白質の各アミノ酸の機能をスクリーニングすることができ、本発明は天然の遺伝子がコードしている蛋白質の各アミノ酸の機能をスクリーニングする方法にも関する。
また、本発明は、本発明の核酸又は本発明の方法によりデザインされた核酸(以下、単に本発明の核酸という。)を含有する非天然型の遺伝子で形質転換された微生物にも関する。
さらに、本発明の新規な塩基対は、天然の塩基と対を形成しないので、遺伝子の1個又は2個以上の塩基が他の塩基になっているために発現する遺伝病等の治療に有用であり、本発明は新規な塩基対又はその一方の塩基からなる医薬組成物を提供するものである。
本発明は、天然の核酸の塩基とは塩基対を形成せず、かつポリメラーゼに認識され得る人工の核酸を提供することであるが、従来の人工の核酸は水素結合の位置のみを変更しようとしたために天然の核酸の塩基との塩基対の形成を実質的に阻害することはできず、塩基対の選択性が十分ではなかった。本発明は、係る選択性を立体障害を起こす基、好ましくは立体障害及び静電的な反発並びにスタッキング作用を有する基を導入するという手法で解決したものであり、人工の核酸同士が選択的に塩基対を形成することができる最初の人工核酸を提供するものである。
したがって、以下で本発明を具体例に基づいてより具体的に説明してゆくが、これらの具体例は本発明をよりよく理解させるためのものであり、本発明がこれらの具体例に限定されるものでないことは前述した本発明の技術的思想から明らかである。
本発明の核酸における塩基部分に立体障害を起こさせ得る基としては、好ましくない塩基との水素結合を阻害することができる程度のもので、核酸の塩基としての性質に悪影響を及ぼさないものであれば、特に制限はない。さらに好ましくは、核酸の配列における、他の核酸の塩基対の形成を阻害しない程度の大きさのものがよい。また、水素結合が可能となる極性部分や活性水素原子を有していない基が好ましいが、これらの極性部分や活性水素が距離的に水素結合が可能でない箇所に位置する場合には特に留意する必要はない。
本発明の核酸の塩基部分に立体障害を起こさせ得る基としては、例えば、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基などの低級アルキル基、好ましくは分枝した低級アルキル基、メチル基あるいはこれらの低級アルキル基からなる低級アルコキシ基、メチル基あるいはこれらの低級アルキル基で置換されたジ低級アルキルアミノ基、メチル基あるいはこれらの低級アルキル基で置換されたシリル基などが挙げられる。
このような立体障害を起こさせ得る基を塩基中に導入する方法としては、通常の化学合成法を利用することができる。
また、本発明の核酸の塩基部分に立体障害及び静電的な反発並びにスタッキング作用を有する基としては、塩基相互間の好ましくない水素結合を阻害することができる程度の立体障害を有する基で、静電的な反発を有する基で、かつスタッキング作用を有するための環状のπ電子系を有する基であって、核酸の塩基としての性質に悪影響を及ぼさないものであれば、特に制限はない。さらに好ましくは、核酸の配列における、他の核酸の塩基対の形成を阻害しない程度の大きさのものがよい。また、水素結合が可能となる極性部分や活性水素原子を有していない基が好ましいが、これらの極性部分や活性水素が距離的に水素結合が可能でない箇所に位置する場合には特に留意する必要はない。
本発明の核酸の塩基部分に立体障害及び静電的な反発並びにスタッキング作用を有する基としては、平面構造を有する芳香複素環式基が好ましい。このような芳香複素環式基は、分子の平面方向において充分な立体障害を起こさせるだけの大きさを有し、異種原子による静電的な反発を起こさせることができ、そして芳香複素環式基のπ電子系によるスタッキング作用も期待することができる。
このような芳香複素環式基としては、より具体的には、異種原子として1又は2個の硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を有する5又は6員環の芳香複素環式基が挙げられる。これらの芳香複素環式基は、縮合環式、多環式、又は単環式のいずれのものであってもよいが、立体的な大きさからは単環式のものが好ましい。また、これらの芳香複素環式基は必要により各種の置換基を有するものであってもよいが、立体的な制限や好ましくない水素結合が生起することから通常は大きな置換基を持たないものが好ましい。このような置換基としては、水酸基、アミノ基、カルボニル基、炭素数1〜5程度の低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
このような立体障害及び静電的な反発並びにスタッキング作用を有する基を塩基中に導入する方法としては、通常の化学合成法を利用することができる。
また、本発明の核酸はポリメラーゼに認識され得る人工の核酸であり、ポリメラーゼとしては、いずれのポリメラーゼであってもよいが、好ましくはDNAポリメラーゼやRNAポリメラーゼが挙げられる。また、最近のポリメラーゼの構造解析の結果は、全てのポリメラーゼと核酸の相互作用が本質的に同じであることを示しており、本発明の塩基対の形成はポリメラーゼ反応の本質に関わるものであり、以下で具体的な説明で用いたDNAポリメラーゼやRNAポリメラーゼに限定されるものではなく、逆転写酵素などを含め全てのポリメラーゼにおいても利用することができる。
さらに、最近の分子の立体配置の解析方法や原子間距離の精密な測定方法などにより、核酸の立体配置が計算されるので、これらの結果に基づいて立体障害を起こし、かつ他の位置で相互の核酸の塩基が1個又は2個以上、好ましくは2個の水素結合をし得る塩基の化学構造をデザインすることができる。したがって、本発明は核酸の立体障害、好ましくは核酸の塩基部分における立体障害、好ましくはさらにこれに加えて静電的な反発並びにスタッキング作用に基づいて人工の核酸をデザインする方法を包含するものである。本発明の塩基対のデザインに当たっては、ワトソン・クリック型塩基対によるデザインが通常であるが、フーグスティーン型塩基対によりデザインしてもよい。
本発明の核酸は、核酸の立体障害、好ましくは核酸の塩基部分における立体障害に基づいてその化学構造がデザインされた人工の核酸であればよく、人工の核酸同士が選択的に塩基対を形成するものであればよい。好ましくは、これらの人工の核酸の塩基対がポリメラーゼに認識され得るものであり、ポリメラーゼの作用により天然の核酸と同様にその相補鎖が合成されるものが好ましい。
本発明の核酸は、通常の化学合成法によっても合成することができるが、この方法に限定されるものではない。化学的な合成法の例を第3図、第4図及び第5図に例示する。
本発明の核酸を、核酸の配列の中に組み込む方法としては、天然の核酸を組み込む通常の方法を又はこれに準じた方法により行うことができる。例えば、DNA合成装置による方法や、ポリメラーゼによる方法や、ポイントミューテーション技術などに準じて行うことができる。また、従来の天然の核酸と同様な標識化を行うこともできる。
したがって、本発明は遺伝子断片やプローブなどとして使用される核酸分子であって、前記した本発明の核酸を含有する核酸分子を包含する。本発明の核酸分子は1個又は2個以上の本発明の核酸を含有するものであり、1本鎖のものであっても2本鎖のものであってもよい。また、本発明の非天然型の遺伝子は、天然の遺伝子の一部又は全部を本発明の核酸で置換したもの、天然の遺伝子に本発明の核酸を1個又は2個以上を付加したもの、又はこれらを組み合わせたものが包含される。このような本発明の非天然型の遺伝子は、従来の天然型の遺伝子の改変と同様な方法又は従来の方法に準じた方法により行うことができる。
したがって、本発明の核酸分子や非天然型の遺伝子は、従来の天然型のものと同様にこれを適当なベクターに挿入して又はファージなどを用いて、適当な微生物を本発明の核酸を含有する遺伝子により形質転換することができる。
また、本発明の核酸を含む新たなコドンを設計することができる。例えば、本発明の新規な人工の核酸の塩基をX及びYとすると、XXY、XYX、YXXなどのこれらの塩基の組み合わせや、AXA、TYT、CGX、ATX、などの天然の核酸の塩基との組み合わせによるコドンを設計することができる。新たなコドンは、天然型のアミノ酸をコードさせることもできるし、また、非天然型のアミノ酸をコードさせることもできる。さらに、転写や輸送などの機能をコードさせることもできる。このように本発明は新規な人工の核酸を提供するのみならず、本発明の核酸を含む新たなコドンの設計による、全く新しい遺伝暗号の設計を可能とするものであり、新たな遺伝暗号の世界を提供するものである。
本発明の新たなコドンに応じたtRNA系を設計することにより、非常に多くのアミノ酸を利用可能とする新たな蛋白質合成システムを設計することができる。利用可能なアミノ酸はリポソームにおける蛋白質合成酵素系で利用できるものであればよい。したがって、本発明は前記した本発明のコドンをもちいた新たな蛋白質合成システムを提供するものでもある。
従来、天然の蛋白質中の一部のアミノ酸を非天然型のアミノ酸に置換したり、非天然型のアミノ酸を挿入することは極めて困難であったが、本発明の蛋白質合成システムによれば希望する位置のコドンの核酸を本発明の核酸に置換又は導入することにより、所望の非天然型のアミノ酸を含有する蛋白質を製造することが可能となる。そして、このようなアミノ酸の変更を行うことにより、蛋白質中の各アミノ酸の機能をスクリーニングすることが可能となる。
発明を実施するための最良の形態
次の本発明を具体例により詳細に説明する。
人工の塩基のひとつである2,6−ジアミノプリンはチミンの6位のケト基と水素結合をし、チミンと塩基対を形成することがある。このものがチミンと塩基対を形成しないようにチミンの6位のケト基と立体障害によってぶつかりあうように、2,6−ジアミノプリンの6位のアミノ基に嵩高いメチル基を2つ導入した次式で示される、
Figure 0003893057
2−アミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)プリン(以下、この塩基をXという。)をデザインした。
こうしてこのXは、チミンとは塩基対を形成しなくなるが、チミンの6位のケト基を水素に変えた同族体ピリジン−2−オン(以下、この塩基をYという。)などの塩基は、このXと塩基対を形成することができた(第1図参照)。第1図の下段は、これらの塩基X及びYが他の塩基と対を形成できない様子を示している。
次に、塩基対X−Yの立体障害を利用した選択的な新規核酸塩基対形成を検証するために、DNAのプライマー伸長反応(Primer extension)法とDNAからRNAを合成する転写反応を用いた。プライマー伸長反応法とは、鋳型(template)となるDNAオリゴマーにプライマーとなるオリゴマーをアニーリングさせ、DNAポリメラーゼと2’−デオキシヌクレオシド−5’三リン酸(dNTP)を加えることにより、プライマーの3’末端にテンプレートの相補的な配列を伸長させるものである。転写反応は、DNAを鋳型としてその相補鎖RNAを合成するものである。ここでは、DNAポリメラーゼの一つである大腸菌由来のDNAポリメラーゼIからその5’−エクソヌクレアーゼを取り除いたクレノウフラグメント(Klenow fragment)を、また、RNAポリメラーゼとしてはT7ファージ由来のT7RNAポリメラーゼを用いた。どちらの酵素も現在最も良く用いられているものの一つである。
まず、鋳型となるDNAにXを組み込むため、dXのアミダイト試薬を化学合成し(第3図参照)、次に示す塩基配列を有するdXを含む鋳型DNA(Template3、5、6、7、8、9)、また対照実験に用いる鋳型(Template1、2、4)及び、それらのプライマー(Primer 1、2、3)を合成した。
dXを含む鋳型DNA(Template3、5、6、7、8、9)
Figure 0003893057
対照実験に用いる鋳型(Template1、2、4)
Figure 0003893057
Figure 0003893057
プライマー(Primer 1、2、3)
Figure 0003893057
また、基質となるdYTPやrYTPの合成も行った(第4図参照)。
ついで、プライマーの5’末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(polynucleotide kinase)と[α−32P]ATPを用いて32Pラベルした。32Pラベルされたプライマー1(0.5μM)及びテンプレート1、3(1μM)と種々のdNTP(150μM)(Nは種々の塩基を示す。)を用いて、クレノウフラグメント(0.2ユニット/μl)によるプライマー伸長反応を、17℃で30分間行った。
この実験に用いたプライマーとテンプレートの組み合わせを次に示す。
テンプレート1を用いた場合:
Figure 0003893057
テンプレート3を用いた場合:
Figure 0003893057
結果を20%ポリアクリルアミド 7M尿素ゲルに電気泳動をし、それをイメージングプレート(Phosphoroimager analysis)を用いて分析した結果を第6図に示す。第6図の左側5個のAG、AGC、AGT、AGY及びAGCTはテンプレート1を用いた場合を、右側の5個はテンプレート3を用いた場合を示す。この結果、塩基YはA、G及びXの相補鎖に取り込まれ、Xの相補鎖にはYの他にC、Tが取り込まれることがわかった(第6図参照)。
さらに、これらの取り込みを定量するため、5’末端を32Pラベルしたプライマー2(1μM)とテンプレート1、2及び3(2μM)を用い、dNTP(150μM)を1種類だけ加えて同様の実験を行った。
この実験に用いたプライマーとテンプレートの組み合わせを次に示す。
テンプレート1を用いた場合:
Figure 0003893057
テンプレート2を用いた場合:
Figure 0003893057
テンプレート3を用いた場合:
Figure 0003893057
この結果を第7図のA及びBに示す。この結果、YはA、G及びXの相補鎖にそれぞれ78%、48%及び41%取り込まれることがわかった。また、Xの相補鎖には、Y、C及びTがそれぞれ41%、9.5% 及び13%取り込まれることがわかった(第7図参照)。
Yは単独ではXだけでなくAやGにも取り込まれることがわかったので、次に、YがTやCと共存するとき、それぞれの相補鎖に対してどちらが取り込まれやすいかを調べるために、以下のような競争実験を行った。
ラベルされていないプライマー2とテンプレート3をアニールさせ、これに[α−32P]TTPと種々の量のdYTPを加え、[α−32P]TTPのXの相補鎖への取り込みがdYTPによって阻害されるかを調べた。また、同時にdATPも加えることにより、この阻害がXのつぎのTの相補鎖に対するAの取り込みにも影響するかを調べた(第8図のA参照)。その結果、dYTPを[α−32P]TTPとほぼ等量加えると[α−32P]TTPのXの相補鎖への取り込みが50%阻害されることがわかった。同様の実験をテンプレート1及び2を用いて、AやGに対して行った結果、dYTPは[α−32P]TTPのAの相補鎖への取り込み及び[α−32P]CTPのGの相補鎖への取り込みに対しては全く阻害しないことがわかった(第8図のB(テンプレート1)、C(テンプレート2)参照)。したがって、dYTPのAやGへの取り込みは、TTPやdCTP共存させることによって抑えられることがわかった。
また、鋳型上にXが2個あった場合にY及びCやTのXの相補鎖への取り込みがどうなるかを調べるために、5’末端を32Pラベルしたプライマー3とテンプレート4、5、6、7、8及び9を用いてプライマー伸長反応法を行った。その結果、テンプレート上にXが連続して2つあるといずれの塩基を用いてもポリメラーゼ反応が2つのXの場所で停止してしまうことがわかった。2個のXの間に3つの別の塩基が挿入された場合のみ、Yだけが2個目のXの相補鎖にも取り込まれ、相補鎖合成が進むことがわかった(第9図参照)。
同様にXを含むDNAを鋳型としてRNAポリメラーゼによる転写反応が進行するかも調べた。鋳型にテンプレート1−3を用い、この配列上のプロモータ領域を2本鎖化して、[α−32P]ATPを加えてT7RNAポリメラーゼによる転写反応を行った。
この実験に用いたプライマー領域ーとテンプレートの組み合わせを次に示す。
テンプレート1−3を用いた場合:
Figure 0003893057
(テンプレート1:N=A、
テンプレート2:N=G、
テンプレート3:N=X)
この結果を第10図に示す。テンプレート3(N=X)の場合には、Xに対してYが選択的に取り込まれた生成物に相当するバンドが電気泳動上で認められた。ただし、Uも僅かながら取り込まれている。テンプレート1(N=A)の場合には、Aの相補鎖にUだけでなく、Yも取り込まれてしまうことが分かった。テンプレート2(N=G)では、Cのみが取り込まれ、Yの取り込みよる生成物はほとんど認められなかった。
次に全てのrNTPが共存する際の転写反応を行った。先の実験と同様にテンプレート1(N=A)及び3(N=X)を用い[α−32P]ATPを加えてT7RNAポリメラーゼによる転写反応を、rATP2mM、rGTP2mM、rCTP2mM、UTP2mM、及びrYTP1mMの条件で行い、次いでRNaseT2により生成した全長のRNAを完全分解し、3’端が標識されたヌクレオチドを2次元TLCで分析した。この実験の概要を次の式で示す。
Figure 0003893057
この結果を第11図に示す。第11図中の丸で囲んだスポットはUVで観測されたスポットであることを示す。第11図のAはテンプレート3(N=X)の場合の結果を示し、第11図のBはテンプレート1(N=A)の場合の結果を示す。それぞれの場合の各塩基の理論値と実測値を次の表1に示す。
Figure 0003893057
この結果、テンプレート3(N=X)の転写反応では、Xに対してYがほぼ選択的に取り込まれていて、Uは微量ながらわずかに検出された。また、テンプレート1(N=A)の場合には、Yは全く取り込まれていなかった。
以上のように、このようにデザインされた塩基Xは、チミンとは塩基対を形成しなくなるが、チミンの6位のケト基を水素に変えた同族体ピリジン−2−オン(塩基Y)などの塩基は、このXと塩基対を形成することができ(第2図a及びb参照)、塩基対X−Yの選択的な核酸塩基対の形成が検証された。
しかし、このdx中の6−ジメチルアミノ基はその立体的なかさ高さによって、天然型塩基のチミン(あるいはウリジン)(第2図b参照)やシトシンとの塩基対をある程度排除することが出来たが、同時に塩基間のスタッキング等にも不利な影響を及ぼし、KlenowフラグメントによるdYTPの取り込み効率は低く、dxに対するチミジン三リン酸(dTTP)の取り込みを充分に抑えることが出来なかった。
そこでこのジメチルアミノ基の代わりに塩基間のスタッキングには悪影響を及ぼさず、塩基対平面にのみその立体障害を引き起こさせるために平面構造を有する芳香族系の置換基をdxの6位に導入することを行った。
この実験に当たって、その一例として6位にチオフェンを導入した次式で示される、
Figure 0003893057
2−アミノ−6−(2−チエニル)−9−(2−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(dx2:この新しい塩基をX2とし、先の2−アミノ−6−(N.N−ジメチルアミノ)−9−(2−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリンをdxとする)の合成を行い、この塩基を含む鋳型に対するdYTPやrYTPの取り込みを調べた。
鋳型DNA合成用のdx2のアミダイト試薬の調製法の概要を第5図に示した、詳細は実施例2を参照されたい。このアミダイト試薬は、DNA合成において通常の市販のアミダイト試薬と同様のカップリング収率を示した。
まず、Klenowフラグメント(exo)を用いて、鋳型中のdx2に対するdYTPの取り込みを調べた(実施例10参照)。
テンプレート及びプライマーとして次の塩基配列のものを使用した。
Figure 0003893057
テンプレートのNの箇所に本発明の塩基X、塩基X2及び対照としてAの塩基を結合させて各種の塩基の取り込み実験を行った。結果を第12図に示す。第12図にレーン1及び2は対照として使用したアデニン(A)におけるシトシン(C)とチミン(T)の取り込みを示している。
この結果、先のdxに対するdYTPの取り込み効率は21%(レーン3)であったが、dx2を用いることにより40%(レーン8)まで取り込み効率が上昇した。同条件での天然型のdAに対するdTTPの取り込み効率が57%(レーン2)であることと比較すると、dx2によりかなりの改善が見られたことになる。dxに比べてdx2は、dCTPの取り込みが大きくなっている(22%)(レーン11)が、それでもdYTPの取り込み(40%)に比べるとそれほど大きな値であるということはできない。
このKlenowフラグメント(exo)による実験の結果から、先のdxからdx2を用いることにより、dx2に対するdCTPの取り込み効率が上昇したが、これは、シトシンの4−アミノ基とdx2中のチオフェンの硫黄原子との相互作用によるものと思われる(第2図f参照)。また、このようにdx2中のチオフェンの硫黄原子が塩基対面に向いたときは、チミン(T)の4−ケト基と静電的な反発が予想され、これは、塩基対の形成を阻害する要因として、立体的な障害に加えて、静電的な反発(第2図e参照)を用いることができることを示している。これらのことから、dx2中のチオフェンは、硫黄原子の側が塩基対面に向いていると考えられる。
次に、T7 RNAポリメラーゼによる鋳型中のdx2に対するrYTPのRNA中への取り込みを、次に示す反応、
Figure 0003893057
によって調べた(実施例11)。
この方法で製造された次の
GGGAGGAGAnAGAGC
(nはテンプレートの塩基Nに対応する塩基を示し、右肩のアスタリスクは標識化されていることを示す。)
塩基配列を有するRNAを、RNase T2で分解して、次いで2次元TLC(セルロース樹脂)により、それぞれのヌクレオチドの比を求めた。
第13図にそのTLCの展開図を示す。また、次の表2にそれぞれのヌクレオチドの組成比を示す。
Figure 0003893057
表2中のカッコ内は、理論値を示す。
この結果、dx2を用いても高い選択性でrYTPがdx2に対してのみ取り込まれることがわかった。先のdxを鋳型に用いた場合にも良い結果が既に得られていたが、同様の条件でdx2を鋳型に用いて転写反応を行い、dx2に対してRNA中に取り込まれたヌクレオチドの組成分析を行っても、同様に高い選択性でrYTPがdx2に対してのみ取り込まれたことになる。
以上のように、本発明は、これまで報告された人工塩基対ではまだ達成されていない選択的な塩基対の形成を提供するものである。そして、本発明は、このような選択的な塩基対の形成を、塩基の立体障害、好ましくは立体障害及び静電的な反発並びにスタッキング作用を利用することによって実現できることを明らかにするものである。前記の各種の実験に使用した塩基は、本発明を例示するものであり、そして選択的な人工の塩基対を形成させるために必要な前記した本発明の考え方が正しいことを実証するものである。したがって、本発明は前記で例示した具体的な塩基に限定されるものではなく、本発明の考え方に基づいて生成される塩基対を全て包含できるものである。
さらに本発明の塩基対は天然の合成酵素類に認識され得るものであることも前記で示したように実証され、天然のDNAやRNAなどの合成、転写などの系において天然のものと同様に核酸の複製、転写などがおこなわれ得るものであるものである。したがって、本発明は、天然の遺伝子の機能発現のシステムにおいて、そのまま適用可能な新規な人工塩基対を形成させるためのコンセプトを提供するものであり、本発明の塩基を用いタンパク質合成システムあるいは機能性核酸にこのような人工核酸塩基対を適用できることが示され、天然の遺伝子のシステムに応用できるだけでなく、天然の遺伝子のシステムの機能や作用の解明のために応用することも可能である。
実施例
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例1:2−ベンズアミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−[5’−O−ジメトキシトリチル−3’−O−[[(ジイソプロピルアミノ)−2−シアノエトキシ]ホスフィノ]−2’−デオキシ−β−D−リボフラノシノル]プリン(2−Benzamino−6−(N,N− dimethylamino)−9−[5’−O−dimethoxytrityl−3’−O−[[(diisopropylamino)−2−cyanoethoxy]phosphino]−2’−deoxy−β−D−ribofuranosyl]purine)(10)の合成(第3図参照)
(A)2−アミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−(2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−β−D−リボフラノシル)プリン(2)の合成
2−アミノ−6−クロロ−9−(2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−β−D−リボフラノシル)プリン(1)(M.J.Robins and B.Uznanski,Can.J.chem.,59,2601−2607(1981).)(18.6mmol,7.96g)を、無水ピリジンで3回共沸脱水後、無水ピリジン(180ml)に溶解し、室温で撹拌したところへ、ジメチルアミン塩酸塩(55.8mmol,4.55g)、ジイソプロピルエチルアミン(74.4mmol,12.9ml)を加え、室温で15時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に水を加え、減圧濃縮する。残査にクロロホルムを加え、有機層を水で3回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水で1回、10%クエン酸水溶液で2回洗った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後減圧濃縮した。残査がピリジン臭がしなくなるまでトルエンで共沸した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、目的物(2)を5.42g(12.4mmol)(67%)得た。
H−NMR(500.13MHz,CDCl)δ:7.56(s,1H,H8),6.02(d,1H,H1’,J=5.0Hz),5.95(dd,1H,H2’.J=5.0Hz),5.79(t,1H,H3’,J=5.0Hz),4.69(s,2H,2−NH),4.42−4.45(m,1H,H4’),4.34−4.40(m,2H,H5’,H5”),3.43(br,6H,N−CH),2.13,2.10,2.08(s,3H,Ac).
(B)2−ベンズアミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−(2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−β−D−リボフラノシル)プリン(3)の合成
前記(A)で得た化合物(2)(10mmol,4.36g)を無水ピリジンで3回共沸脱水後、無水ピリジン(180ml)に溶解し、室温で撹拌したところへ、塩化ベンゾイル(15mmol,1.74ml)を加え、室温で14時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に水を加え、減圧濃縮する。残査にクロロホルムを加え、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水で1回洗った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後減圧濃縮した。残査がピリジン臭がしなくなるまでトルエンで共沸した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−ジクロロメタン)で精製し、目的物(3)を3.53g(6.53mmol)(65%)得た。
H−NMR(500.13MHz,CDCl)δ:8.46(s,1H,H8),7.96(d,2H,Bz−m,J=10.0 Hz),7.75(s,1H,NHBz),7.55(dd,1H,Bz−p,J=7.5Hz),7.48(t,2H,H Bz−o,J=7.5),6.08(d,1H,H1’,J=3.0Hz),5.96−6.01(m,2H,H2’.H3’),4.39−4.50(m,3H,H4’,H5’,H5”),3.48(br,6H,N−CH),2.15(s,3H,Ac),2.10(s,3H,Ac),2.08(s,3H,Ac).
(C)2−ベンズアミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−(β−D−リボフラノシル)プリン(4)の合成
前記(B)で得た化合物(3)(6.53mmol,3.53g)にピリジン−メタノール−水(65:30:5)50mlを加え、氷浴中で撹拌したところへ、2M水酸化ナトリウム−ピリジン−メタノール−水(65:30:5)溶液50mlを加え、氷浴中で15分間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に塩化アンモニウム(5.21g)を加え40mlになるまで減圧濃縮した。その溶液にクロロホルムを加え、有機層を抽出し、水層をクロロホルム−ピリジンで2回抽出した後、有機層を集め硫酸マグネシウムで乾燥した。濾液を10mlになるまで減圧濃縮し、そこにトルエンを加え減圧濃縮すると結晶が析出した。結晶を濾取し、減圧下90℃で乾燥し、目的物(4)を2.87g得た。
H−NMR(500.13MHz,DMSO−d)δ:8.28(s,1H,H8),7.92(dd,2H,Bz−m,J=7.0Hz),7.57(dd,1H,Bz−p,J=7.3Hz),7.49(t,2H,H Bz−o,J=7.5),5.91(d,1H,H1’,J=4.0Hz),5.48(d,1H,OH,J=5.5Hz),5.15(d,1H,OH,J=4.0Hz),5.04(t,1H,OH,J=1.0Hz),4.56(t,1H,H2’,J=10.0Hz),4.17(d,1H,H3’,J=3.0Hz),3.93(d,3H,H4’,J=3.5Hz),3.63−3.65(m,1H,H5’),3.52−3.56(m,1H,H5”),3.48(br,6H,N−CH).
(D)2−ベンズアミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−(3’,5’−O−テトライソプロピルジシロキサニル−β−D−リボフラノシル)プリン(5)の合成
前記(C)で得た化合物(4)(5.0mmol,2.07g)を無水ピリジンで3回共沸脱水した後、無水ピリジン(50ml)に溶解し、室温で撹拌しながら、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(5.5mmol,1.76ml)を加え室温で14時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に水を加え、減圧濃縮する。残査にクロロホルムを加え、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後減圧濃縮した。残査がピリジン臭がしなくなるまでトルエンで共沸した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、目的物(5)を2.63g(4.0mmol)(80%)得た。
H−NMR(500.13MHz,CDCl)δ:8.22(s,1H,H8),7.89(d,2H,Bz−m,J=5.0Hz),7.80(s,1H,NHBz),7.55(dd,1H,Bz−p,J=7.5Hz),7.48(t,2H,Bz−o,J=7.5Hz),5.91(s,1H,H1’),4.84(dd,1H,H3’,J=5.5Hz),4.50(d,1H,H2’,J=5.5Hz),4.07−4.20(m,2H,H4’,H5’),4.06(d,1H,H5”,J=13.0Hz),3.48(br,6H,N−CH),0.95−1.08(m,28H,iPr).
(E)2−ベンズアミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−(2’−O−フェノキシチオカルボニル−3’,5’−O−テトライソプロピルジシロキサニル−β−D−リボフラノシル)プリン(6)の合成
前記(D)で得た化合物(5)(3.98mmol,2.61g)を無水トルエンで3回共沸脱水した後、無水ジクロロメタン(40ml)に溶解し、室温で撹拌しながら1−メチルイミダゾール(7.96mmol,0.64ml)とクロロチオ炭酸フェニル(5.57mmol,0.77ml)を加え室温で16時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に5%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を抽出後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で1回、10%クエン酸水溶液で2回、水で1回洗った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、目的物(6)を2.96g(3.73mmol)(94%)得た。
H−NMR(500.13MHz,DMSO−d)δ:8.17(s,1H,H8),7.87(d,2H,Bz−m,J=3.0 Hz),7.79(s,1H,NHBz),7.55(t,1H,Bz−p,J=7.5Hz),7.47(t,2H,H Bz−o,J=7.5Hz),7.41(d,2H,PhO−o,J=7.5Hz),7.29(t,2H,PhO−m,J=7.5Hz),7.13(d,1H,PhO−p,J=10.0Hz),6.39(d,1H,H2’,J=5.0Hz),6.11(s,1H,H1’),5.14−5.17(m,1H,H3’),4.23−4.26(m,1H,H5’),4.07−4.12(m,1H,H4’,H5”),3.48(br,6H,N−CH),0.99−1.15(m,28H,iPr).
(F)2−ベンズアミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−(2’−デオキシ−3’,5’−O−テトライソプロピルジシロキサニル−β−D−リボフラノシル)プリン(7)の合成
前記(E)で得た化合物(6)(3.73mmol,2.96g)を無水トルエンで3回共沸脱水した後、無水トルエン(88ml)に溶解し、室温で撹拌しながら2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.746mmol,122mg)を加え、室温下アルゴンガスを1時間バブリングさせる。そこに、水素化トリブチルスズ(5.60mmol,1.51ml)を加え75℃で3.5時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液を減圧濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、目的物(7)を2.27g(3.55mmol)(95%)得た。
H−NMR(500.13MHz,CDCl)δ:8.24(s,1H,H8),7.90(d,2H,Bz−m,J=5.0Hz),7.83(s,1H,NHBz),7.54(t,1H,Bz−p,J=7.5Hz),7.48(t,2H,H Bz−o,J=7.5Hz),6.29(dd,1H,H1’,J=7.5Hz),4.80−4.83(m,1H,H3’),3.97−4.07(m,2H,H5’,H5”),3.86−3.88(m,1H,H4’),3.50(br,6H,N−CH),2.68−2.71(m,1H,H2’),2.59−2.63(m,1H,H2”),1.03−1.09(m,28H,iPr).
(G)2−ベンズアミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(8)の合成
前記(F)で得た化合物(7)(3.55mmol,2.27g)を1Mテトラブチルアンモニウムフロライド−テトラヒドロフラン溶液(14ml)に加え、室温で15分間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液を減圧濃縮した。残査をクロロホルムに溶解し、少量の水で洗った後、水層をクロロホルムで4回抽出し、有機層を集めて硫酸マグネシウムで乾燥した。濾液を減圧濃縮し、トルエンでピリジン臭のしなくなるまで共沸を繰り返し、残査をメタノールに溶解した。そこに少しずつジクロロメタンを加え結晶化させた。結晶を濾取し、減圧下乾燥し、目的物(8)を0.964g(2.42mmol)(68%)得た。
H−NMR(500.13MHz,DMSO−d)δ:8.23(s,1H,H8),7.84(d,2H,Bz−m,J=7.5Hz),7.50(t,1H,Bz−p,J=7.3Hz),7.42(t,2H,H Bz−o,J=7.5Hz),6.25(t,1H,H1’,J=7.0Hz),5.21(s,1H,OH),4.89(s,1H,OH),4.33(s,1H,H3’),3.77(s,1H,H4’),3.50−3.53(m,1H,H5’),3.43−3.46(m,1H,H5”),3.48(br,6H,N−CH),2.56−2.61(m,1H,H2’),2.16−2.18(m,1H,H2”).
(H)2−ベンズアミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−(5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(9)の合成
前記の(G)で得た化合物(8)(1.47mmol,0.585g)を無水ピリジンで3回共沸脱水した後、無水ピリジン(10ml)に溶解し、室温で撹拌しながら4,4’−ジメトキシトリチルクロライド(1.61mmol,547mg)を加え室温で1.5時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に水を加え、減圧濃縮する。残査にクロロホルムを加え、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水で1回洗った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後減圧濃縮する。残査がピリジン臭がしなくなるまでトルエンで共沸した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール 0.5%トリエチルアミン)で精製し、目的物(9)を0.99g(1.41mmol)(96%)得た。
H−NMR(270.16MHz,CDCl)δ:8.20(s,1H,H8),7.79(s,1H,NHBz),7.77(d,2H,Bz−m,J=1.4Hz),7.76(d,1H,Bz−p,J=3.5Hz),7.14−7.51(m,11H,HBz−o,DMTr),6.72(dd,4H,DMTr),6.45(t,1H,H1’,J=6.5Hz),4.78(m,1H,H3’),4.14(m,1H,H4’),3.74(s,6H,OCH),3.50(br,6H,N−CH),3.39−3.47(m,1H,−H5’),3.30−3.33(m,1H,H5”),2.80−2.85(m,2H,H2’,H2”).
(I)2−ベンズアミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−[5’−O−ジメトキシトリチル−3’−O−[[(ジイソプロピルアミノ)−2−シアノエトキシ]ホスフィノ]−2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル]プリン(10)の合成
前記(H)で得た化合物(9)(0.864mmol,0.605g)を無水ピリジンで3回、無水テトラヒドロフランで2回共沸脱水した後、無水テトラヒドロフラン(6ml)に溶解し、室温で撹拌しながらN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.59mmol,0.452ml)とクロロ−2−シアノエトキシ−N,N−ジイソプロピル−アミノホスフィン(1.73mmol,0.385ml)を加え室温で2時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に無水メタノールを加え、反応を停止した。反応液にに酢酸エチルを加え、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で1回飽和食塩水で3回洗った後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後減圧濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール 2%トリエチルアミン)で精製した後、少量のクロロホルムに溶解し、ヘキサンで再沈殿を行い、目的物(10)を0.574g(0.638mmol)(74%)得た。
H−NMR(270.16MHz,CDCl)δ:8.14(s,1H,H8),8.13(s,1H,H8),7.72(s,1H,NHBz),7.65−7.70(m,2H,Bz−m),7.16−7.47(m,12H,H Bz−p,o,DMTr),6.70−6.75(m,4H,DMTr),6.27−6.41(m,1H,H1’),4.63−4.80(m,1H,H3’),4.20−4.27(m,1H,H4’),3.74(s,6H,OCH),3.24−3.72(m,10H,H5’,H5”,NCH(CH,N−CH),2.83−3.00(m,1H,H2’),2.40−2.64(m,5H,H2”,OCHCHCN),1.06−1.19(m,12H,NCH(CH
31P−NMR(109.36MHz,CDCl)δ:149.25.
実施例2:2−イソブチリルアミノ−6−(2−チエニル)−9−[2−デオキシ−3−O−[(ジイソプロピルアミノ)−(2−シアノエトキシ)]ホスフィノ−5−O−ジメトキシトリチル−β−D−リボフラノシル]プリン(22)の合成法(合成経路を第5図に示す。)
(A) 2−イソブチリルアミノ−6−ヨード−9−(2−デオキシ−3,5− ジ−O−イソブチリル−β−D−リボフラノシル)プリン(18)の合成 2−イソブチリルアミノ−6−アミノ−9−(2−デオキシ−3,5−ジ−O−イソブチリル−β−D−リボフラノシル)プリン(17)(Babara L.Gaffney,Luis A.Marky and Roger A.Jones, Tetrahedron,40,3−13(1984))2.38g(5mmol)をアルゴン雰囲気下で60℃に加熱し、n−pentylnitrite 13.5ml(0.10mol)とジョードメタン25ml(0.31mol)を素早く加え懸濁した。この混合物を60℃でよく攪拌しながら200Wハロゲンタングステンランプにより光源距離2cmで可視光を3時間外部照射した。反応溶液に30mlの飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加え室温で3時間攪拌した。その後120mlの飽和亜硫酸ナトリウム水溶液と150mlのクロロホルムを加え分液した。水相をクロロホルムでさらに2回抽出した。得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮した。残査をショートカラム(展開溶媒 酢酸エチル:ジクロロメタン=1:4)で精製し目的物(18)を1.01g(1.72mmol)(34.4%)得た。
H−NMR(270 M Hz,CDCl)δ:8.19(s,1H),8.14(bs,1H),6.42(dd,J=7.4,6.4Hz,1H),5.44(m,1H),4.41(m,2H),4.34(m,1H),3.00(m,1H),2.80(m,1H),2.58(m,3H),1.17(m,18H).
(B) 2−イソブチリルアミノ−6−(2−チエニル)−9−(2−デオキシ−3,5−ジ−O−イソブチリル−β−D−リボフラノシル)プリン(19)の合成
前記(A)で得た(18)294mg(0.5mmol)をアルゴン雰囲気下で80mlのチオフェンに溶解し、ファイレックス製光反応容器に移した。アルゴン気流下、400W水銀ランプ紫外線を24時間照射した。照射後の反応溶液を濃縮し、残査をショートカラム(展開溶媒 イソプロパノール:ジクロロメタン=3:197)で精製し目的物(19)を212mg(0.39mmol)(78.0%)得た。
H−NMR(270M Hz,CDCl)δ:8.63(dd,J=3.8,1.2Hz,1H),8.17(s,1H),8.10(bs,1H),7.64(m,1H),7.25(m,1H),6.47(dd,J=7.9,1.8Hz,1H),5.44(m,1H),4.43(m,2H),4.37(m,1H),3.18(m,1H),3.00(m,1H),2.61(m,3H),1.24(m,18H).
(C) 2−イソブチリルアミノ−6−(2−チエニル)−9−(2−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(20)の合成
前記(B)で得た(19)212mg(0.39mmol)を氷冷下1M水酸化ナトリウム(ピリジン:メタノール:水=13:6:1)1.95mlに溶解し、15分間攪拌した。反応溶液に5%塩化アンモニウム水溶液を加え中和した。1.2gのセライトを加え減圧下完全に溶媒を除いた。残査をショートカラム(展開溶媒 5〜7%エタノール−ジクロロメタン)で精製し目的物(20)を147mg(0.37mmol)(93.6%)得た。
H−NMR(270M Hz,DMSO−d6)δ:10.45(bs,1H),8.69(s,1H),8.60(d,J=3.5Hz,1H),7.90(d,J=4.6Hz,1H),7.32(dd,J=4.6,3.5Hz,1H),6.39(t,J=6.6Hz,1H),5.34(d,J=3.8Hz,1H),4.91(t,J=5.3Hz,1H),4.44(m,1H),3.55(m,2H),2.96(m,1H),2.74(m,1H),2.33(m,1H),1.11(m 6H).
(D) 2−イソブチリルアミノ−6−(2−チエニル)−9−(2−デオキシ−5−O−ジメトキシトリチル−β−D−リボフラノシル)プリン(21)の合成
前記(C)で得た(20)98mg(0.24mmol)を1mlの無水ピリジンで3回共沸した。残査を2mlの無水ピリジンに溶解し、トリエチルアミン35ml、ジメチルアミノピリジン1.4mgそして塩化ジメトキシトリチル85mgを加え、室温で一晩攪拌した。反応溶液に25mlの酢酸エチルを加え25mlの水で3回分液し、有機相を得た。各々の水相を酢酸エチルで洗った。有機相を回収し無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残査をショートカラム(展開溶媒 25〜50%酢酸エチル−ジクロロメタン)で 精製し目的物(21)132mg(0.19mmol)(76.7%)を得た。
H−NMR(270M Hz,CDCl)δ:8.64(dd,J=3.6,0.9Hz,1H),8.14(s,1H),7.92(bs,1H),7.61(dd,J=4.3,0.9Hz,1H),7.39(m,2H),7.24(m,8H),6.77(m,4H),6.47(t,J=6.2Hz,1H),4.79(m,1H),4.13(m,1H),3.76(s,3H),3.75(s,3H),3.44(dd,J=10.23,5.8Hz,1H),3.38(dd,J=10.23,4.4Hz,1H),2.91(m,1H),2.60(m,1H),2.30(m,1H),1.27(m,6H).
(E) 2−イソブチリルアミノ−6−(2−チエニル)−9−[2−デオキシ−3−O−[(ジイソプロピルアミノ)−(2−シアノエトキシ)]ホスフィノ−5−O−ジメトキシトリチル−β−D−リボフラノシル]プリン(22)の合成
前記(D)で得た(21)125mg(0.18mmol)を0.5mlの無水ピリジンで3回共沸し、0.5mlの無水テトラヒドロフランで3回共沸した。残査をアルゴン雰囲気下1.2mlの無水テトラヒドロフランに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン46ml、そして塩化(2−シアノエトキシ)(N,N−ジイソプロピルアミノ)ホスフィン59mlを加え、室温で1時間攪拌したのち50mlのメタノールで未反応の塩化物を分解した。反応溶液に25mlの3%トリエチルアミン含有酢酸エチルを加え25mlの水で3回分液し、有機相を得た。各々の水相を3%トリエチルアミン含有酢酸エチルで洗った。有機相を回収し無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残査をショートカラム(展開溶媒 3%トリエチルアミン−32%酢酸エチル−65%ヘキサン)で精製し、目的物(22)139mg(0.16mmol)(92.2%)を得た。
H−NMR(270M Hz,CDCl)δ:8.64(m,1H),8.16(m,1H),7.86(m,1H),7.61(m,1H),7.26(m,2H),7.24(m,8H),6.78(m,4H),6.45(m,1H),4.75(m,1H),4.23(m,1H),3.75(m,6H),3.70(m,4H),3.36(m,2H),2.75(m,2H),2.62(m,1H),2.48(m,1H),1.95(m,1H),1.18(m,18H).
31P−NMR(270M Hz,CDCl):149.51,148.43ppm.
実施例3:3−(2’−デオキシ−5’−O−トリホスホリル−β−D−リボフラノシル)ピリジン−2−オン(dYTP)(16)の合成(第4図参照)
(A)3−(3’,5’−O−テトライソプロピルジシロキサニル−β−D−リボフラノシル)ピリジン−2−オン(12)の合成
3−(β−D−リボフラノシル)ピリジン−2−オン(11)(J.Matulic−Adamic and L.Beigelman,Tetrahedron Lett.,38,203−206(1997).)(2.29mmol,520mg)を、無水ピリジンで3回共沸脱水後、無水ピリジン(23ml)に溶解し、室温で撹拌しながら、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(2.52mmol,0.81ml)を加え、室温で一晩撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に水を加えて反応を止めた後、減圧濃縮した。残査をクロロホルムに溶解し、有機層を5%炭酸水索ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾液を減圧下濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、目的物(12)を442mg(0.94mmol)(41%)得た。
H−NMR(270.06MHz,CDCl)δ:13.07(br,1H,NH),7.78(d,1H,H4,J=6.8Hz),7.37(d,1H,H6,J=4.6Hz),6.29(t,1H,H5,J=6.6Hz),5.07(s,1H,H1’),4.01−4.30(m,5H,H2’,H3’,H4’,H5’,H5”),0.83−1.10(m,28H,iPr).
(B)3−(2’−O−イミダゾチオカルボニル−3’,5’−O−テトライソプロピルジシロキサニル−β−D−リボフラノシル)ピリジン−2−オン (13)の合成
前記(A)で得た化合物(12)(0.94mmol,442mg)を無水トルエンで3回共沸脱水後、無水DMF(9ml)に溶解し、室温で撹拌しながら、チオカルボニルイミダゾライド(2.24mmol,401mg)を加え、室温で7時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に酢酸エチルを加え、有機層を水で2回洗った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾液を減圧下濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、目的物(13)を434mg(0.749mmol)(80%)得た。
H−NMR(270.06MHz,CDCl)δ:13.40(br,1H,NH),8.44(s,1H,imidazolide),7.84(d,1H,H4,J=6.8Hz),7.73(s,1H,imidazolide),7.33(d,1H,H6,J=6.5Hz),7.07(s,1H,imidazolide),6.34(t,1H,H5,J=6.8Hz),6.23(d,1H,H2’,J=5.1Hz),5.25(s,1H,H1’),4.46−4.52(m,1H,H3’),4.25−4.29(m,1H,H5’),4.03−4.09(m,2H,H4’,H5”),0.87−1.09(m,28H,iPr).
(C)3−(2’−デオキシ−3’,5’−O−テトライソプロピルジシロキサニル−β−D−リボフラノシル)ピリジン−2−オン(14)の合成
前記(B)で得た化合物(13)(0.749mmol,434mg)を無水トルエンで3回共沸脱水後、硫酸アンモニウム(8.4mg)を加え、ヘキサメチルジシラザン(12.6ml)に溶解し、1時間還流した。反応液を減圧濃縮後、無水トルエンで3回共沸脱水し、アゾビスイソブチロニトリル(83.5mg)を加え、無水トルエン(16.8ml)に溶解した。そこに、水素化トリブチルスズ(0.821ml)を加え1時間還流した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液を減圧下濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、目的物(14)を0.268g(0.591mmol)(79%)得た。
H−NMR(270.06MHz,CDCl)δ:13.07(br,1H,NH),7.72(d,1H,H4,J=7.0Hz),7.31(d,1H,H6,J=6.5 Hz),6.29(t,1H,H5,J=6.6Hz),5.20−5,25(m,1H,H1’),4.37−4.40(m,1H,H3’),3.97−4.12(m,2H,H5’,H5”),3.80−3.84(m,1H,H4’),2.26−2.36(m,1H,H2’),1.77−1.86(m,1H,H2”),0.90−1.09(m,28H,iPr).
(D)3−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピリジン−2−オン(15)の合成
前記(C)で得た化合物(14)(0.089mmol,42mg)を無水トルエンで3回共沸脱水後、1Mテトラメチルアンモニウムフルオライド/THF溶液(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応液に酢酸(0.08ml)を加え、減圧濃縮した。残査を水に溶解し、酢酸エチルで3回洗った後、水層を減圧濃縮した。残査を逆相シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、目的物(15)を10.4mg(0.047mmol)(52%)得た。
H−NMR(270.06MHz,CDOD)δ:7.77(d,1H,H4,J=3.8Hz),7.36(d,1H,H6,J=3.5Hz),6.41(t,1H,H5,J=3.6Hz),5.01−5,17(m,1H,H1’),4.29−4.31(m,1H,H3’),3.93−3.95(m,1H,H4’),3.62−3.70(m,2H,H5’,H5”),2.31−2.35(m,1H,H2’),1.89−1.95(m,1H,H2”).
(E)3−(2’−デオキシ−5’−O−トリホスホリル−β−D−リボフラノシル)ピリジン−2−オン(16)の合成
前記(D)で得た化合物(15)(0.059mmol,13.4mg)を無水トルエンで3回共沸脱水後、リン酸トリメチル(0.2ml)に溶解し、氷冷下オキシ塩化リン(0.065mmol,7.1μl)を加え、氷冷下7時間撹拌した。TLCで反応の完結を確認した後、反応溶液に0.5M ビストリブチルアンモニウムピロホスフェイト(bistributylammonium pyrophosphate)−DMF溶液とトリブチルアミン(70.2μl)をよく撹拌した混合溶液を素早く加え、氷冷下30分間よく撹拌した。反応溶液に1M重炭酸トリエチルアンモニウム(triethylammonium bicarbonate)(0.35ml)を加えて反応を停止し、減圧濃縮した。残差を水に溶かし、DEAE−セファデックスA−25 カラムクロマトグラフィー(15×300mm)にのせ、50mM−1M重炭酸トリエチルアンモニウムのグラジエントで溶出し、0.53−0.59Mで溶出された画分を分取し、凍結乾燥した。
MS(ESI−)、H−NMRおよび31P−NMRにより構造を確認した後、ダウエックス(Dowex)50Wx8カラムクロマトグラフィーによりナトリウム塩にした。
MS(ESI−):(M−H)449.9.
H−NMR(270.06MHz,DO)δ:7.83(d,1H,H4,J=4.9Hz),7.35(d,1H,H6,J=4.9Hz),6.51(t,1H,H5,J=4.9Hz),5.17(t,1H,H1’,J=5.0Hz),4.56(br,1H,H3’),4.06(br,1H,H4’),3.99(br,2H,H5’,H5”),2.19−2.33(m,1H,H2’),1.81−1.98(m,1H,H2”).
31P−NMR(109.36MHz,DO)δ:−10.3(m,2P,P,P),−22.7(m,1P,P).
UV(10mM phosphate buffer pH7.0):λmax=298nm(ε=7.6x10),226nm(ε=7.0x10),λmin=247nm,211nm.
実施例4:プライマー及びテンプレートの合成
パーキンエルマー社アップライドバイオシステムズ事業部のDNA/RNA合成機392型により、同事業部より販売されている、dA, dC, dG,Tの各シアノエチルアミダイト試薬と上記の方法で合成したdXのシアノエチルアミダイト試薬を用いて、常法に従って、以下に示すプライマーおよびテンプレートを合成した。
ただし、dXを含むオリゴマーの合成においては、dXのアミノ基の保護基であるベンゾイル基の除去が常法の濃アンモニア中55℃、一夜の条件では、完全に除去できなかったので、濃アンモニア中80℃、10時間処理することにより、完全に除去した。
Figure 0003893057
Figure 0003893057
実施例5:プライマーの5’−32P標識
0.5mlのチューブにプライマー1−4(ca.1nmol)、10xポリヌクレオチドキナーゼ(polynucleotide kinase)バッファー(TAKARA)2μl、[γ−32P]−dATP(ca.1.1TBq/mmol)2μl、およびポリヌクレオチドキナーゼ(10unit/μl,TAKARA)2μlを加え、全量20μlで、37℃、40分間インキュベートした。そこに、10M尿素BPBダイ(dye)10μlを加えて反応を停止し、75℃、5分間加熱した後、20%ポリアクリルアミド 7M尿素ゲル電気泳動(10×10cm)をした。UV(254nm)でメインバンドを切り出し、1.5mlチューブに移し滅菌水を450μlを加えて、37℃、12時間撹拌した。軽く遠心した上清を別のチューブに移し、グリコーゲン1μl、3M酢酸ナトリウム40μlおよびエタノール1mlを加え、よく撹拌した後、−30℃で1時間放置した。−5℃、13,000rpmで1時間遠心した後、沈殿を70%エタノールでリンスし、遠心エバポレーターで30分間乾燥した。そこに、滅菌水40μlを加え、75℃で5分間加熱した後、UV(260nm)で定量した。
実施例6:クレノウフラグメント(Klenow Fragment)を用いたシングルヌクレオチド挿入反応とプライマー伸長反応
0.5mlのチューブに5’−32Pラベルしたプライマー、テンプレートおよび10xクレノウフラグメントバッファー(TAKARA)1μlを加え全量を7μlにして、95℃で3分間、40℃で3分間、4℃で7分間アニーリングした後、dNTP1μl、クレノウフラグメント(1unit/ml,For Sequencing,TAKARA)2μlを加え、全量を10μlにして、17℃で所定の時間インキュベートした。そこに、10M尿素BPBダイ(dye)5μlを加えて反応を停止し、75℃、5分間加熱した後、20%ポリアクリルアミド 7M尿素ゲル電気泳動をした。それを、イメージングプレート(Phosphoroimager analysis)を用いて分析した。
結果を第6図、第7図、第9図に示す。シングルヌクレオチド挿入反応を第7図に、プライマー伸長反応を第6図、第9図にそれぞれ示す。
実施例7:クレノウフラグメントを用いたプライマー伸長反応の阻害実験
0.5mlのチューブにプライマー、テンプレートおよび10xクレノウフラグメントバッファー(TAKARA)1μlを加え全量を7μlにして、95℃で3分間、40℃で3分間、4℃で7分間アニーリングした後、[α−32P]TTPあるいは[α−32P]dCTPおよびdYTPをそれぞれの終濃度になるように加え、クレノウフラグメント(1unit/ml,For Sequencing,TAKARA)2μlを加え、全量10μlにして、17℃で所定の時間インキュベートした。そこに、10M尿素BPBダイ(dye)5μlを加えて反応を停止し、75℃、5分間加熱した後、20%ポリアクリルアミド 7M尿素ゲル電気泳動をした。それを、イメージングプレート(Phosphoroimager analysis)を用いて分析した。
結果を第8図に示す。
実施例8:T7 RNAポリメラーゼによる転写反応
プロモーター領域を二本鎖化した1μMの鋳型DNAと2.5unitsのT7RNAポリメラーゼを、2mMrNTP−0.1μCi/μlの[α−32P]rATPを含む溶液(40mM Tris−HCL(pH 8.0),8mM MgCl.2mM spermidine,5mM DTT,0.01%Triton X−100,10mM rGMP,)に加え、3時間インキュベートした。反応後、これに10M尿素を含む色素を加え、75℃で3分間加熱し、20%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、生成物を分析した。
結果を第10図に示す。
実施例9:T7 RNAポリメラーゼによる転写反応
実施例8と同様の反応を行い、生成したRNAをゲル電気泳動で単離し、0.75unitsのRNase T2でRNAを分解し、それぞれのヌクレオチドを二次元TLCで分離し、それぞれの比を求めた。
結果を第11図に示す。また、先の表1にそれぞれのヌクレオチドの組成比を示す。
実施例10:Klenowフラグメント(exo)を用いた1ヌクレオチド挿入反応
[5’−32P]ラベルしたプライマーDNA(20−mer,4mM)、鋳型DNA(35−mer,4mM)および2x Klenowフラグメント用緩衝液(TAKARA)を含む溶液を、95℃3分間、40℃3分間、4℃7分間アニーリングした後、これに等量の40mM dNTPとKlenowフラグメント(exo+)(2units,For Sequencing,TAKARA)の溶液を加え、37℃で30分インキュベートした。これに等量の10M urea−BPB dye溶液を加えて、75℃で5分間加熱した後、20%ポリアクリルアミド−7M尿素ゲルで電気泳動を行った。Phosphoroimagerプレートを用いて生成物の分析を行った。結果を第12図に示す。
実施例11:T7 RNAポリメラーゼによる転写反応
プロモーター領域を二本鎖化した1mMの鋳型DNA、2.5unitsのT7 RNAポリメラーゼ、2mM rNTP、0.1mCi/mlの[α−32P]rATPを含む溶液(40mM Tris−HCl(pH8.0)、8mM MgCl、2mM spermidine、5mM DTT、0.01% Triton X−100、10mM rGMP)を調製し、3時間インキュベートした。これに10M尿素を含む色素溶液を加え、75℃で3分間加熱し反応を停止した。この溶液中の生成物のRNA(16−mer)を20%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製した。このRNAを0.75unitsのRNase T2で分解し、2次元TLC(セルロース樹脂)により、それぞれのヌクレオチドの比を求めた。第13図にそのTLCの展開図を示す。また、先の表2にそれぞれのヌクレオチドの組成比を示す。
実施例12:塩基X2を含有するプライマー及びテンプレートの合成
パーキンエルマー社アップライドバイオシステムズ事業部のDNA/RNA合成機392型により、同事業部より販売されている、dA、dC、dG、Tの各シアノエチルアミダイト試薬と実施例1の方法に準じて合成した dxのシアノエチルアミダイト試薬を用いて、常法に従って、プライマー及びテンプレートを合成した。
ただし、ここで用いたdx2の2−アミノ基の保護基のイソブチリル基は、オリゴマー合成後の通常の塩基性条件下(55℃、10時間の濃アンモニア水処理)での脱保護法では完全に除去できなかったので、80℃、10時間の濃アンモニア水処理を行った。
産業上の利用可能性
本発明は、これまで報告された人工塩基対ではまだ達成されていない選択的な塩基対形成が立体障害、及び静電的な反発並びにスタッキング作用を利用することによって実現可能であることを示したものである。本発明の方法により、核酸の複製、転写、および、これを用いてタンパク質合成システムあるいは機能性核酸にこのような人工核酸塩基対を適用できる。例えば、本発明の人工塩基対を用いることにより、天然の4種類の塩基で行われているインビトロセレクション法を6種類の塩基で行うことができ、4種類の塩基では実現できない新しい機能をもつ核酸分子の創製や、さらに遺伝子の1個又は2個以上の塩基が他の塩基になっているために発現する遺伝病の治療に、本発明の新しい塩基対を利用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の立体障害を利用新規人工核酸塩基対(X−Y)を示すものである。第1図中のRは、2−デオキシ−β−D−リボフラノシル基を示す。
第2図は、立体障害による塩基対(第2図a及びb)と、立体障害、静電的な反発及びスタッキング作用を利用した新規人工核酸塩基対(X2−Y)を示すものである。
第3図は、本発明の塩基Xを有する核酸のdXのアミダイト試薬の合成スキームを示すものである。
第4図は、本発明の塩基Yを有する核酸のdYTPの合成スキームを示すものである。
第5図は、本発明の塩基X2を有する核酸のdx2のアミダイト試薬の合成スキームを示すものである。
第6図は、5’末端を32Pラベルしたプライマー1(0.5μM)及びテンプレート1、3(1μM)と種々のdNTP(150μM)を用いたクレノウフラグメントによるプライマー伸長反応を20%ポリアクリルアミド7M尿素ゲル電気泳動によって示すものである。反応は17℃で30分間行った。
第7図は、5’末端を32Pラベルしたプライマー2(1μM)及びテンプレート1、2、3(2μM)とdNTP(150μM)を用いたクレノウフラグメントによるシングルヌクレオチド挿入反応を示すものである。反応は17℃で30分間行った。Aは20%ポリアクリルアミド7M尿素ゲル電気泳動の図であり、Bはその結果をグラフにしたものである。
第8図は、プライマー2及びテンプレート1、2、3と[α−32P]TTPあるいは[α−32P]dCTPを用いたクレノウフラグメントによるプライマー伸長反応のdYTPによる阻害実験を示すものである。
Aは、プライマー2(1μM)及びテンプレート3(2μM)と[α−32P]TTP(150μM)を用い、dYTPをそれぞれ、0、50、150、300及び500μM加えてクレノウフラグメントによるプライマー伸長反応を17℃で30分間行った。右の5レーンは、そこに、dATP(300μM)を加えて同様の反応を行ったものである。
Bは、プライマー2(1μM)及びテンプレート1(2μM)と[α−32P]TTP(50μM)を用い、dYTPをそれぞれ、0、20、100、500及び1000μM加えてクレノウフラグメントによるプライマー伸長反応を17℃で10分間行った。右の5レーンは、そこに、dATP(300μM)を加えて同様の反応を行ったものである。
Cは、プライマー2(1μM)及びテンプレート2(2μM)と[α−32P]CTP(50μM)を用い、dYTPをそれぞれ、0、20、100、500及び1000μM加えてクレノウフラグメントによるプライマー伸長反応を17℃で30分間行った。右の5レーンは、そこに、dATP(300μM)を加えて同様の反応を行ったものである。
第9図は、5’末端を32Pラベルしたプライマー3(0.33μM)及びテンプレート4、5、6、7、8、9(1μM)と種々のdNTP(150μM)を用いたクレノウフラグメントによるプライマー伸長反応を示すものである。反応は17℃で60分間行った。
第10図は、テンプレート1−3と[α−32P]rATPならびに種々のrNTPsを用いたT7RNAポリメラーゼによる転写反応によって生成したRNAを電気泳動で調べた結果である。
第11図は、すべてのrNTPを共存させて第10図と同様の転写を行い、生成したRNAを電気泳動で精製し、これをRNaseT2によりヌクレオチドに完全分解し、その産物を二次元TLCで解析した結果である。
第12図は、本発明のX2塩基に対する各種の塩基の取り込み結果を示す、図面に代わる写真である。
第13図は、X2塩基を含有するテンプレートを用いて、すべてのrNTPを共存させたときに生成したRNAを電気泳動で精製し、これをRNaseT2によりヌクレオチドに完全分解し、その産物を二次元TLCで解析した結果を示すものである。

Claims (12)

  1. 下記化式1又は化式2で表される基を有するヌクレオシド又はヌクレオチド。
    Figure 0003893057
    Figure 0003893057
  2. 請求項1に記載のヌクレオチドを含む核酸。
  3. 請求項1に記載のヌクレオシド及び/又はヌクレオチドを含む、2位にヒドロキシ基又はケト基を有するピリジンからなる基と前記化式1又は化式2で表される基との間で塩基対を形成させるための塩基対形成剤。
  4. 2位にヒドロキシ基又はケト基を有するピリジンからなる基が2−オキソ−1H−ピリジン−3−イル基である、請求項3に記載の塩基対形成剤。
  5. 2位にヒドロキシ基又はケト基を有するピリジンからなる基を有するヌクレオチドを含む核酸と、下記式1及び/又は式2で表される基を有するヌクレオチドを含む核酸とをハイブリダイズさせて、2位にヒドロキシ基又はケト基を有するピリジンからなる基と式1及び/又は式2で表される基との間に塩基対を形成させる方法。
    Figure 0003893057
    Figure 0003893057
  6. 2位にヒドロキシ基又はケト基を有するピリジンからなる基が2−オキソ−1H−ピリジン−3−イル基である、請求項5に記載の方法。
  7. 2−アミノ−6−(N,N−ジメチルアミノ)−9−[5’−O−ジメトキシトリチル−3’−O−[[(ジイソプロピルアミノ)−2−シアノエトキシ]ホスフィノ]−2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル]プリンまたはその2位のアミノ基が保護基により修飾された化合物。
  8. 保護基がベンゾイル基である、請求項7に記載の化合物。
  9. 2−アミノ−6−(2−チエニル)−9−[2−デオキシ−3−O−[(ジイソプロピルアミノ)−(2−シアノエトキシ)]ホスフィノ−5−O−ジメトキシトリチル−β−D−リボフラノシル]プリンまたはその2位のアミノ基が保護基により修飾された化合物。
  10. 保護基がイソブチリル基である、請求項9に記載の化合物。
  11. 下記式1及び/又は式2で表される基を有するヌクレオチドを含む核酸の遺伝情報を、RNAポリメラーゼを用いて2位にヒドロキシ基又はケト基を有するピリジンからなる基を有するヌクレオチドを含むRNAに転写する方法。
    Figure 0003893057
    Figure 0003893057
  12. 2位にヒドロキシ基又はケト基を有するピリジンからなる基が2−オキソ−1H−ピリジン−3−イル基である、請求項11に記載の方法。
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