JP7042869B2 - 寝台装置 - Google Patents

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Description

本発明は、寝台装置に関する。
従来、例えば下記特許文献1に示すような寝台装置が知られている。この寝台装置は、寝台と、寝台を昇降自在に支持する支柱構造と、キャスター付きの台車とを備えている。
特開2014-104100号公報
上記従来の寝台装置は、キャスター付きの台車により移動可能に構成されている。特に新生児用の寝台装置の場合、新生児を寝台に寝かせた状態を保ちながら移動するために、寝台装置ごと移動させる場合がある。また、上記従来の寝台装置を、新生児集中治療室(NICU:Neonatal Intensive Care Unit)や継続保育室(GCU:Growing Care Unit)等で使用する場合、点滴装置等の器具を寝台の近傍に配置して使用する場合がある。
この場合、寝台装置を移動させる際に、点滴装置が支持される点滴台も同時に移動させる必要がある。このとき、新生児に取り付けられた点滴針が外れることを防ぐために、寝台装置と点滴台との距離を所定範囲内に保つ必要がある。この他、寝台装置を少し移動させる際に、寝台装置が点滴台に当たって点滴台が転倒することを避けるために細心の注意を要する。
そのため、寝台装置に点滴台を連結することが考えられる。しかし、特許文献1のような従来の寝台装置は、小型であり且つ寝台の昇降機能を備えるため、寝台装置の重心が変動する場合がある。このような寝台装置に点滴台を設置する場合、寝台装置全体の重心のバランスを考慮する必要がある。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、寝台装置の重心のバランスを安定させることを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る寝台装置は、寝台と、医療用具が取付けられる係止部を上部に有する医療用具取付棒と、前記医療用具取付棒の下端部を支持する棒支持部を有するとともに、前記寝台を支持する支持架台と、を備え、前記寝台が、その平面視において左右方向よりも前後方向に長く、前記医療用具取付棒に屈曲部が形成されることにより前記係止部が前記下端部の軸心に対して偏心して配置されて、前記係止部が前記下端部の軸心に対して前後方向に偏心した状態で、前記医療用具取付棒が前記棒支持部に支持されていることを特徴とする。
この場合、医療用具取付棒において係止部が下端部の軸心に対して前後方向に偏心した状態で、医療用具取付棒が棒支持部に支持されている。したがって、屈曲部を有する医療用具取付棒を取り付けた場合でも寝台装置の重心のバランスを安定させることができる。さらに、係止部が左右方向に偏心している場合に比べて、寝台装置の重心のバランスを安定させることができる。
(2)上記(1)に記載の寝台装置において、前記下端部が前記棒支持部にその軸心方向に内嵌めまたは外嵌めされ、前記棒支持部と前記医療用具取付棒とのうち、外嵌めする方を第1嵌合部とし、内嵌めする方を第2嵌合部とした場合に、前記第1嵌合部の内周面の周方向の一カ所及び前記第二嵌合部の外周面の周方向の一カ所のいずれか一方に凸部が設けられる一方、他方の一カ所に、前記凸部を避けた切り欠き部が形成されていてもよい。
この場合、第1嵌合部と第2嵌合部とが、切り欠き部が凸部を避けた状態で嵌合することが可能となり、医療用具取付棒を取り付ける際の周方向の位置が規制され、医療用取付棒を支持架台に対して最適な位置でのみ取付けることができる。したがって、この寝台装置のように、支持架台に支持される医療用取付棒が屈曲して軸心が偏心したものである場合でも、支持架台に対する屈曲部の向きが、寝台装置の重心のバランスを安定させることができる所定の向きとなる状態でのみ、医療用取付棒が支持されるような構成を実現することができる。
(3)上記(2)に記載の寝台装置において、前記棒支持部が前記第1嵌合部であり、前記下端部が前記第2嵌合部であり、前記棒支持部は、前記下端部が挿入可能な開口部を備え、前記凸部は、前記開口部の少なくとも上端縁に前記開口部の内側に向かって突出して形成され、前記切り欠き部は、前記下端部の下端を含む側面の前記周方向の一部に、前記軸心からの距離が他の部分よりも短くなるように形成され、平面視において、前記開口部の前記凸部と、前記下端部の前記切り欠き部とが対向する位置に配置されたときに前記下端部が前記開口部に挿入されて前記下端部が前記棒支持部に嵌合可能に構成されていてもよい。
この場合、開口部に形成された凸部と、医療用取付棒の下端部に形成された切り欠き部とが対向する位置に配置されたときに第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合する。これにより、支持架台に対して医療用取付棒を取り付ける向きが規制され、所定の位置でのみ取付けることができる。
(4)上記(2)に記載の寝台装置において、前記下端部が前記第1嵌合部であり、前記棒支持部が前記第2嵌合部であり、前記医療用具取付棒の下端面に上方に向かって凹む穴部が形成され、前記凸部は、前記穴部の少なくとも下端縁に前記軸心に向かって突出して形成され、前記切り欠き部は、前記棒支持部の上端を含む側面の周方向の一部に、前記棒支持部の軸心からの距離が他の部分よりも短くなるように形成され、平断面視において、前記穴部の前記凸部と、前記棒支持部の前記切り欠き部とが対向する位置に配置されたときに前記棒支持部が前記穴部に挿入されて前記下端部が前記棒支持部に嵌合可能に構成されていてもよい。
この場合、医療用取付棒の下端部が支持架台に外嵌めされる構成であっても、凸部と切り欠き部とが対向する位置に配置されたときに嵌合可能である。これにより、支持架台に対して医療用取付棒を取り付ける向きが規制され、所定の位置でのみ取付けることができる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかひとつに記載の寝台装置において、前記支持架台には、その平面視において左右方向よりも前後方向に長い一対の脚部を備え、前記脚部の前後方向の端部に前記棒支持部が設けられ、前記医療用取付棒が前記支持架台に取り付けられた状態において、前記下端部に対して、前記係止部が前記前後方向に沿って外側に偏心した状態となるように、前記医療用具取付棒が前記支持架台に支持されていてもよい。
この場合、係止部が前後方向に沿って外側に偏心した状態で医療用具取付棒が支持架台に支持されるように医療用取付棒を取り付ける向きが規制されるので、寝台装置の重心のバランスを安定させることができる。
(6)上記(1)から(5)のいずれかひとつに記載の寝台装置において、前記支持架台は、前記寝台を昇降自在に支持し、前記医療用取付棒は、前記寝台が最も低い位置で支持されたときに、前記寝台の下方で、前記寝台との干渉を避けるように前記屈曲部が形成されていてもよい。
この場合、医療用取付棒が寝台の下方で屈曲されているので、寝台の昇降動作と医療用取付棒との干渉を防ぐことができ、且つ、そのような医療用取付棒が設けられても寝台装置の重心のバランスを安定させることができる。
本発明によれば、寝台装置の重心のバランスを安定させることができる。
本発明の第1実施形態に係る寝台装置の斜視図である。 図1に示す寝台装置の側面図である。 図1に示す寝台装置を構成する支持架台の要部の平面図である。 図1に示す寝台装置を構成する寝台であって、収容かごを離脱させた状態を示す平面図である。 図1に示す寝台装置の上面図である。 図1に示す寝台装置の点滴棒を支持架台に挿入する状態を示す斜視図である。 図1に示す寝台装置の取付け部を示す斜視図である。 図1に示す寝台装置の点滴棒を示す斜視図である。 図2のA-A線における断面図である。 図1に示す寝台装置の点滴棒の下端部が適切でない向きに位置する状態を示す図である。 図1に示す寝台装置の側面図であって、寝台を揺動軸回りに揺動させた状態を示す図である。 第2実施形態に係る寝台装置を示す分解斜視図である。 図1及び図12の寝台装置の変形例を示す断面図である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る寝台装置10を、図面に基づいて以下に説明する。図1から図11において、矢印Hは人体(新生児、乳児、児)を乗せる際に頭側となる向きを示し、また矢印Fは人体を乗せる際に脚側となる向きを示している。以下の説明においては、矢印H側を後方、矢印H側を前方、矢印H、Fの方向(前後方向)に対して直交する水平方向を左右と言う場合が有る。
図1及び図2に示すように、寝台装置10は、寝台11と、寝台11を昇降自在に支持する支持架台12と、寝台11よりも下方に配置された機器載置部13と、寝台11の下方に配置されたガイド部14と、支持架台12に支持される点滴棒(医療用具取付棒)38とを備えている。この寝台装置10は、例えば、GCUやNICU等の医療環境下において利用する新生児用ベッドとして採用することができる。
寝台11は、その平面視において左右方向よりも前後方向に長い。寝台11は、収容かご15と、かご受け16と、を備えている。寝台11には、人体が収容される収容空間17が設けられていて、本実施形態では、収容空間17は、収容かご15の内部によって形成されている。
収容かご15は、平面視において矩形状に形成される。収容かご15は、平坦状に形成された床面部18と、床面部18の外周縁に全周にわたって立設された周壁部19と、を備えている。
床面部18上には、必要に応じてマットレス(不図示)が配置される。周壁部19のうち、後側に位置し平面視U字形状をなす後壁20は、前側に位置し平面視U字形状をなす前壁21よりも高い。周壁部19の上端部のうち、後壁20の上端部と前壁21の上端部とを接続する部分は、上方から下方に向けて傾斜している。
かご受け16には、収容かご15が着脱自在に装着され、かご受け16は、収容かご15を下方から支持する。図4に示すように、かご受け16は、フレーム部22と、グリップ部23と、を備えている。
フレーム部22は、収容かご15の下方に配置される。フレーム部22は、平面視において環状をなし、前後方向に長い矩形状に形成されている。
グリップ部23は、前後方向に間隔をあけて一対配置され、各グリップ部23は、フレーム部22の前後両端部上に各別に固定されている。グリップ部23は、フレーム部22の前端部または後端部上に配置される底壁部24と、底壁部24の外周縁から立設される側壁部25と、を備えている。
底壁部24の下面には、フレーム部22の前端部または後端部が嵌合される嵌合溝(不図示)が形成されている。図1及び図4に示すように、側壁部25は、収容かご15の前壁21または後壁20を外側から覆うように、底壁部24の外周縁に立設されている。一対のグリップ部23間には、収容かご15が着脱自在に装着される装着空間27が形成されている。
図1から図3に示すように、支持架台12は、脚フレーム材28と、キャスター29と、支柱部30(昇降台)と、受け部31と、揺動支持機構32と、を備えている。
脚フレーム材28は、前後方向に延び、左右一対設けられている。脚フレーム材28は、全長にわたって上下方向に同等の位置を維持している。
図3に示すように、脚フレーム材28における前後方向の中央部には、前後方向に沿って延びる直線部33が設けられている。直線部33は、水平方向に沿って直線的に延在している。脚フレーム材28は、この直線部33と、この直線部33の両端より平面視して湾曲した湾曲部34と、この湾曲部34に連なって直線的に延在する脚先端部35と、この脚先端部35の末端に溶接固定された取付け部36と、を備えている。
左右一対の脚フレーム材28は、左右方向に間隔をあけて配置されるとともに、左右方向に線対称に形成されている。これら一対の脚フレーム材28を平面視した場合、直線部33は互いに平行をなし、湾曲部34は互いに離間する方向に曲がっており、脚先端部35はさらに互いに離間する方向に延在している。
各脚フレーム材28は、一方の脚先端部35から湾曲部34及び直線部33及び他の湾曲部34を経て他方の脚先端部35に至るまで、それぞれ一本の長尺部材を水平方向の2箇所で曲げ加工して得られた一体品を主要構成要素としており、この一体品の両端に前記取付け部36が溶接固定されている。
図1に示すように、各取付け部36の上端には、その開口部72を覆うゴム栓37が嵌め込まれている。このゴム栓37を外した場合には、開口部72に点滴棒38を差し込み、取付け部36の開口部72を棒支持部として用いることが可能となっている。取付け部36の外周にはゴム製の略円筒形状の外カバー71が外嵌されている。取付け部36の外周面には突起(不図示)が形成されており、外カバー71の内周面には穴(不図示)が形成されている。取付け部36の突起と外カバー71の穴とが嵌合することにより、外カバー71と取付け部36とが固定されている。
図7に示すように、開口部72の上端部の周方向の一カ所に、内方に突出するように湾曲する凸部73が形成されている。凸部73の鉛直方向の下部には内ネジ孔721が形成されている。内ネジ孔721の位置は、外カバー71に形成された外ネジ孔711と中心軸が同軸となるように設けられている。
図3に示すように、凸部73は、脚フレーム材28の前後方向H、Fの最端部に形成されている。開口部72は、点滴棒38が差し込まれた時に、点滴棒38の軸心が鉛直方向となるように立設された状態で支持可能な深さを有する。
キャスター29は、各取付け部36のそれぞれに対して鉛直軸線回りに回転自在に取付けられた回転軸(不図示)と、この回転軸に対して取付けられた車輪39と、この車輪39の回転を許可又はロックするストッパ40とを備えている。
支柱部30は、前記一対の直線部33間に挟まれてかつ鉛直方向に延在するように溶接固定された角パイプ形状の台座部41と、この台座部41内に同軸かつ鉛直方向に昇降自在に挿入された昇降部42と、これら台座部41及び昇降部42間に設けられたガススプリング(不図示)と、昇降部42の昇降動作を許可及び禁止する昇降レバー43と、台座部41及び前記一対の直線部33間の溶接箇所を覆うゴムカバー44と、を備えている。
台座部41は、その下端が前記一対の直線部33の各下縁よりも下方に突出するように固定されている。このようにして台座部41の高さ位置を下げることにより、重心位置を下げて安定性をより高めることが可能となる。昇降部42は、台座部41よりも細い角パイプ形状をなしている。前記ガススプリングは、台座部41に対して昇降部42を鉛直上方向に向かって相対的に付勢している。昇降レバー43は、昇降部42を間にして左右両方に設けられており、寝台11の左右どちらからでも操作可能となっている。
支柱部30において、作業者が昇降レバー43を操作していない状態では、昇降部42の昇降動作がロックされている。一方、作業者が昇降レバー43を操作してロックを解除した場合には、前記ガススプリングによる付勢力を受けて昇降部42が鉛直上方に向かって緩やかに上昇する。また、作業者が昇降レバー43を操作してロックを解除した状態で寝台11を鉛直下方に向かって押し込んだ場合には、昇降部42が鉛直下方に向かって緩やかに下降する。
このように、作業者が昇降レバー43を操作してロックを解除した状態で寝台11を上下動させ、寝台11が適切な高さ位置に至った時点で作業者が昇降レバー43を操作してロックをかけることにより、寝台11を所望の高さ位置に設定することができる。
ところで図3に示すように、支持架台12には、前後方向に突出する脚部45が設けられている。脚部45は、前側に向けて延びる左右一対の前脚部45aと、後側に向けて延びる左右一対の後脚部45bと、を備えている。左側の前脚部45aと左側の後脚部45bとは、左側の脚フレーム材28により形成され、右側の前脚部45aと右側の後脚部45bとは、右側の脚フレーム材28により形成されている。前脚部45aは、脚フレーム材28のうち、支柱部30(ゴムカバー44)から前方に突出する部分により形成され、後脚部45bは、脚フレーム材28のうち、支柱部30(ゴムカバー44)から後方に突出する部分により形成されている。
左右一対の前脚部45a同士は、前方に向かうに従って左右方向に互いに離間して、前脚部45a同士の間には、前方スペースS1(前後スペース)が設けられている。左右一対の後脚部45b同士は、後方に向かうに従って左右方向に互いに離間して、後脚部45b同士の間には、後方スペースS2(前後スペース)が設けられている。左側の前脚部45aと左側の後脚部45bとの間、及び右側の前脚部45aと右側の後脚部45bとの間には、左右一対の側方スペースS3が設けられている。
各脚部45の基端部は、脚フレーム材28の直線部33により形成されていて、前後方向に沿って直線状に延びている。また各脚部45の先端部は、脚フレーム材28の湾曲部34及び脚先端部35により形成され、平面視した場合に、前後方向の外側に向けて凸となるように湾曲している。
図8に、点滴棒38が取付け部36に挿入された状態を示す斜視図であり、点滴棒38の下端部の拡大斜視図を併せて示す。図8に示すように、点滴棒38は長尺な棒状の部材であり、点滴棒本体80の上部に複数の係止部81が設けられ、下端部82に支持架台12との接続部83が設けられている。係止部81は、一端部が点滴棒本体80に対して回動可能に支持され、他端部に湾曲したフック部84を有する。係止部81は、使用時は軸心O1に対して垂直に延びる位置で固定されて、例えば、点滴用の薬剤が充填された点滴バッグ(不図示)等がフック部84に係止される。係止部81を使用しないときは、他端部を回動させてフック部84が点滴棒本体80の近傍に配置される。
点滴棒本体80の長手方向中央部よりも下端部82側には屈曲部85が形成されている。屈曲部85は、上側曲げ部851及び下側曲げ部852の2箇所に曲げ部が形成されている。点滴棒本体80の上側曲げ部851よりも上側の部分801と下側曲げ部852よりも下側の部分802とは軸心O1,O2が偏心した状態で、略平行に延びている。
図8に示すように、接続部83は、円柱の外面の一部が切除されて平面が形成されたような切り欠き部831が形成されている。図9に、図2のA-A線における断面図を示す。図9に示すように、点滴棒38の下端部82の接続部83は、平面状の切り欠き部831と円弧部832とを有する。切り欠き部831は、屈曲部85の曲げ方向に位置している。
切り欠き部831には、孔834が形成されている。
凸部73の内壁731とこれに対向する内壁面732との間の離間距離M1は、点滴棒38の下端部82の直径(切り欠き部以外の部分の直径)r1よりも短い。したがって、図10に示すように、点滴棒38の切り欠き部831が所定の向きと異なる向きとなる状態で、点滴棒38を開口部72内に挿入しようとしても、凸部73に阻害されて挿入できない。
点滴棒38の周方向の向きが適切な向きに位置合わせられて開口部72に嵌合されると点滴棒38は支持架台12に安定して支持される。さらに、不図示のネジを外ネジ孔711、内ネジ孔721及び孔834に挿入して螺合すると、点滴棒38がより安定して支持できる。下端部82が凸部73に対して位置合わせされた状態で下端部82が開口部72に挿入される際、切り欠き部831と凸部73とは接触面積が小さいので、容易に挿入できる。
図1及び図2に示すように、点滴棒38が取付け部36の開口部72(棒支持部)に支持された状態で、点滴棒38は寝台11の下方に屈曲部85が位置する。すなわち、支持架台12の脚部45は、寝台11等を安定して支持可能であり、且つ、作業者の作業導線の妨げとならない寸法で設けられている。このような支持架台12の脚部45に点滴棒38を取り付ける場合に、点滴棒38が寝台11の昇降動作に干渉することを防ぐために、屈曲部85が設けられている。点滴棒38は、屈曲部85が設けられることにより、寝台11が下降端に位置するときにも干渉しないように配置される。そのような点滴棒38が設けられても寝台装置10の重心のバランスを安定させることができる。
点滴棒38の周方向の向きが適切な向きに位置合わせされて開口部72に嵌合されたとき、点滴棒38は、屈曲部85の曲げ方向が所定の位置となるように配置される。具体的には、図2及び図5に示すように、下端部82よりも係止部81が前後方向H、Fの外側に偏心した状態で取付け部36の開口部72に支持される。このとき、図5に示すように、下端部82と係止部81とは前後方向H、Fに沿って配置されている。このように点滴棒38を配置すると、寝台装置10の重心となる支持架台12の台座部41の中心P1と、車輪39の接地点P2と、係止部81に負荷される点滴バッグ等の荷重がかかる点P3との関係において、点滴棒38を最も安定して支持できる。すなわち、点P3が接地点P2に対して前後方向H、Fに位置しているので、重心が中心P1に対して左右方向にずれ難くなる。また、点滴棒38は、取付け部36に支持された後は、嵌合状態が保たれて周方向に回転することが無く、寝台装置10を安定した状態に保つことができる。
点滴棒38は、係止部81が前後方向に沿って外側に偏心した状態で支持架台12に挿入されて支持されると、寝台装置10の重心が最も安定する。そのため、支持架台12側の凸部73の位置と、点滴棒38側の切り欠き部831の位置とを、点滴棒38の係止部81の位置に応じて設定し、点滴棒38の向きが支持架台12に対して最適位置となった場合のみ、下端部82が開口部72に挿入され、嵌合するように構成されている。図5に示すように、支持架台12の開口部72は、ゴム栓37を外した場合に、作業者が上から視認可能である。点滴棒38を挿入する際、作業者は、開口部72を目視で確認し、点滴棒38の下端部82を開口部72に近付ける。このとき、作業者は点滴棒38の周方向の向きを位置合わせするが、上記最適位置となるまでは点滴棒38の下端部82は開口部72に挿入されない。したがって、点滴棒38が誤った方向に挿入されることを防ぐことができる。
図1に示すように、左右一対の前脚部45a同士の間には、架設部材46が設けられている。架設部材46は、平面視において、辺部が前後方向及び左右方向に延びる矩形状に形成されている。架設部材46は、前脚部45aの上面に固定されている。架設部材46は、ケース47と、引き出し48と、を備えるキャビネットとされている。引き出し48は、ケース47から前側に向けて引き出される。なお図3及び図11では、架設部材46の図示を省略している。
図1、図2及び図4に示すように、受け部31は、平置きの状態の寝台11を下方から支持する。受け部31は、昇降部42の上端部に溶接固定されている。受け部31は、平面視において左右方向に長い矩形状に形成されている。
揺動支持機構32は、寝台11を左右方向に延びる揺動軸O3(図2参照)回りに揺動自在に支持する。揺動支持機構32は、寝台11を平置きの状態から揺動させる場合は、寝台11を、揺動軸O3に対して前側の部分が下降し後側の部分が上昇するように揺動支持している。なお、寝台11を傾斜状態から平置き状態に戻す場合には、受け部31が寝台11に当接して動作を止めるので、後側に向けた過度な揺動が禁止されている。
揺動支持機構32は、受け部31に対して寝台11を揺動(傾動)自在に連結する揺動軸受け49(傾動軸受け)と、揺動軸受け49を中心として寝台11が揺動する際に前記揺動に追従して伸縮するダンパー50と、ダンパー50の伸縮を許可及び規制する揺動操作部51と、を備えている。
揺動軸受け49は、受け部31から前方に向けて突出する金具(金属板)である。揺動軸受け49は、左右一対設けられていて、寝台11のフレーム部22にそれぞれ軸体を介して固定されている。左右一対の揺動軸受け49に挿通された両軸体は、互いに共通軸上に配置されていて、この共通軸が揺動軸O3となっている。
ダンパー50としては、例えばガススプリングを備える構成などを採用することができる。ダンパー50の一端は受け部31に対して回動自在に連結され、ダンパー50の他端は寝台11に対して回動自在に連結されている。
ダンパー50は、前後方向に直線状に延びていて、側面視において前後方向及び上下方向の両方向に傾斜している。ダンパー50は、後側から前側に向かうに従い漸次、上方に向けて延びている。ダンパー50の後端部(下端部)は、受け部31から下方に突出する第1支持金具53に、左右方向に延びる第1回動軸(不図示)回りに回動自在に固定されている。ダンパー50の前端部(上端部)は、寝台11から下方に突出する第2支持金具54に、左右方向に延びる第2回動軸(不図示)回りに回動自在に固定されている。
揺動操作部51は、ダンパー50に一体に設けられている。揺動操作部51は、ダンパー50の前端部に回動自在に設けられた金属製のレバー55と、このレバー55の先端に固定された樹脂製の手掛け部56とを備えている。レバー55は、ダンパー50の上端部より前方側に向かって延在しているため、手掛け部56が寝台11真下の前端寄りに配置される。よって、手掛け部56へのアクセスが容易となるので、作業者が揺動操作部51を容易に操作することが可能となる。
機器載置部13は、上方を向く載置面57を有する。機器載置部13は、表裏面が上下方向を向く平板状に形成され、支柱部30よりも前側に配置されている。機器載置部13は、平面視において辺部が前後方向及び左右方向の両方向に延びている。載置面57は、機器載置部13の上面により形成されている。
機器載置部13は、受け部31に、連結部材58を介して連結されていて、寝台11に間接的に連結されている。機器載置部13は、連結部材58に、前後方向にスライド移動自在に連結されている。
載置面57上には、医療機器64(機器)が配置されている。医療機器64としては、児の生体情報を読み取るサチュレーションモニター等がある。
図2に示すように、医療機器64には、配管及び配線のうちの少なくとも一方である被ガイド体65が接続されている。配管は、気体や液体などの流体を移送し、配線は、電力や電気信号などを伝達する。被ガイド体65としては、例えば電源線、信号線、LANケーブル、酸素等の医療用ガス用のガス管等がある。被ガイド体65は、医療機器64と、寝台11や、寝台11上の人と、を接続することができる。また、例えば電源線などの被ガイド体65は、医療機器64から後方に向けて延ばし、部屋の壁面に設けられたコンセント(不図示)に差し込むこともできる。
ガイド部14は、被ガイド体65を下方から支持する。ガイド部14は、支柱部30よりも後側に配置されていて、機器載置部13及びガイド部14は、前後方向に位置をずらして配置されている。
ガイド部14は、寝台11に着脱自在に吊り下げられている。ガイド部14は、1本の線材を複数回屈曲することで形成される。ガイド部14は、左右方向に対称に形成されている。
機器載置部13及びガイド部14は、寝台11の昇降に追従する。機器載置部13及びガイド部14は、寝台11の上昇端位置から下降端位置に至るまで寝台11に追従するときに、支持架台12に非接触である。
なお図11に示すように、揺動支持機構32が寝台11を揺動支持した状態で、寝台11及び揺動支持機構32と載置面57との間に配置空間S7が設けられていて、寝台11と載置面57とが配置空間73の高さ分、離間している。医療機器64は、配置空間S7内に収まるよう載置面57上に配置されている。
以上説明したように、本実施形態に係る寝台装置10によれば、取付け部36と下端部82とは、切り欠き部83が凸部73を避けた状態で嵌合することが可能となり、点滴棒38を取り付ける際の周方向の位置が規制され、点滴棒38を支持架台12に対して最適な位置でのみ取付けることができる。そのため、適切な位置に取り付けて寝台装置10の重心のバランスを安定させることができる。
また、前述のように点滴棒38を支持架台12に対して最適な位置でのみ取付けることができる。したがって、本実施形態のように、支持架台12に支持される点滴棒38が屈曲して軸心が偏心したものである場合でも、支持架台12に対する屈曲部85の向きが、寝台装置10の重心のバランスを安定させることができる所定の向きとなる状態でのみ、点滴棒38が支持されるような構成を実現することができる。
また、開口部72に形成された凸部73と、点滴棒38の下端部82に形成された切り欠き部831とが対向する位置に配置されたときに取り付け部36の開口部72と下端部82とが嵌合する。これにより、支持架台に対して点滴棒38を取り付ける向きが規制され、所定の位置でのみ取付けることができる。
また、係止部81が前後方向に沿って外側に偏心した状態で点滴棒38が支持架台12に支持されるように、点滴棒38を取り付ける向きが規制されるので、寝台装置10の重心のバランスを安定させることができる。
また、点滴棒38が寝台11の下方で屈曲されているので、寝台11の昇降動作と点滴棒38との干渉を防ぐことができ、且つ、そのような点滴棒38が設けられても寝台装置10の重心のバランスを安定させることができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る寝台装置10Aを図12を用いて説明する。第2実施形態に係る寝台装置10Aは、取付け部36A(第2嵌合部)に点滴棒38の接続部83A(第1嵌合部)が外嵌めされる点で第1実施形態と相違する。以降の説明において、すでに説明したものと共通する構成等については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
寝台装置10Aは、点滴棒38の下端部82の接続部83Aが略円筒形状に形成され、下端面から上方に向かって凹む穴部835が形成されている。穴部835の下端縁部836には、点滴棒38の下端部82の軸心O2方向に向かって突出する凸部837が形成されている。凸部837の鉛直方向の上方には接続部83Aの肉圧方向に貫通する孔834が形成されている。
取付け部36Aは、下端部82の軸心O2と直交する方向における断面の外周形状が略D字形状となるように、円弧部362と平面状の切り欠き部363とが形成されている。取付け部36Aは穴部835内に挿入されるように外嵌めされる。このとき、切り欠き部363が凸部837に面する状態でのみ、接続部83Aは取付け部36Aに外嵌めされる。
本実施形態に係る寝台装置10Aにおいても第1実施形態に係る寝台装置10と同様の効果を奏する。
すなわち、点滴棒38の下端部82が支持架台12の開口部72に外嵌めされる構成であっても、凸部837と切り欠き部363とが対向する位置に配置されたときに嵌合可能である。これにより、支持架台12に対して点滴棒38を取り付ける向きが規制され、所定の位置でのみ取付けることができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、開口部72に凸部が形成される構成としたが、凸部を形成した円筒部材を別途用意して、円形の開口部72内に円筒部材を配置する構成でもよい。
上記実施形態では、第2嵌合部として、円柱状の部材に平面状の切り欠き部を設ける構成としたが、第2嵌合部の形状は円柱状に限られず、切り欠き部も平面状のものに限定されない。同様に、第1嵌合部の形状も円筒形状に限られず、凸部の形状も上記実施形態の態様に限定されない。例えば、第2嵌合部の軸心に直交する断面の形状が四角形や多角形状を有する構成でもよく、切り欠き部は凸部の突出量や形状に応じて、形成される構成であればよい。また、上記実施形態では、外嵌めされる第1嵌合部に凸部が設けられ、内嵌めされる第2嵌合部に切り欠きが設けられる構成としたが、これに限定されない。
例えば、図13に示す変形例の様に、下端部(第2嵌合部)82の外周面の周方向の1カ所に外周面から外方に突出する凸部821が形成され、取付け部(第1嵌合部)36の開口部72Aの周方向の1カ所において取付け部36を貫通する切り欠きを設けることにより、凸部821を避けた切り欠き部722が形成される構成でもよい。
ガイド部14、揺動支持機構32、架設部材46がなくてもよい。なお架設部材46は、左右一対の後脚部45b同士の間に設けられてもよい。
各脚部45の先端部が、前後方向の外側に向けて凸となるように湾曲していなくてもよく、例えば、鋭角をなすように屈曲していてもよい。
4つの脚部45が、2つの脚フレーム材28により形成されていなくてもよい。例えば、4つの脚部45を、それぞれ1つずつ4つの別々の部材によって形成することも可能である。この場合、支柱部30に4つの脚部45を各別に固定することができる。
脚部45の基端部が、直線状に延びていなくてもよい。例えば、基端部が、左右方向に凸となるように湾曲していてもよい。
上記実施形態では、点滴棒38を支持架台12に対して上から挿入する構成としたが、点滴棒38と支持架台12とが嵌合する方向は上下方向に限定されない。例えば、点滴棒38を支持架台12に対して横方向から挿入する構成等、点滴棒38と支持架台12とが横方向(略水平方向)に嵌合する構成であってもよい。
上記実施形態では、支持架台12にキャスター29を備えて走行可能としたが、この構成のみに限らず、キャスター29を備えずに床面に据え付ける構成にも本発明は採用可能である。
上記実施形態では、機器載置部13やガイド部14を備える構成としたが、機器載置部13やガイド部14を備えなくてもよい。 本発明は、新生児用ベッドに限られず、小児用ベッドなど、他の寝台装置10にも適用することが可能である。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
10 寝台装置
11 寝台
12 支持架台
36 取付け部(棒支持部、第1嵌合部)
38 点滴棒(医療用具取付棒)
45 脚部
72 開口部(棒支持部)
73、821、837 凸部
81 係止部
82 下端部(第2嵌合部)
85 屈曲部
363、722、831 切り欠き部
835 穴部

Claims (6)

  1. 寝台と、
    屈曲部を有する医療用具取付棒と、
    前記寝台を支持する支持架台と、
    を備え、
    前記寝台が、その平面視において左右方向よりも前後方向に長く、
    前記支持架台に、前後方向に突出する脚部が設けられ、
    前記脚部が、前側に向けて延びるとともに前方に向かうに従って左右方向に互いに離間する左右一対の前脚部と、後側に向けて延びるとともに後方に向かうに従って左右方向に互いに離間する左右一対の後脚部と、を備え、
    前記各脚部の末端の少なくとも1か所に前記医療用具取付棒を差し込み可能となっている取付け部を備え
    前記取付け部にはキャスターが取り付けられている
    ことを特徴とする寝台装置。
  2. 寝台と、
    屈曲部を有する医療用具取付棒と、
    前記寝台を支持する支持架台と、
    を備え、
    前記寝台が、その平面視において左右方向よりも前後方向に長く、
    前記支持架台に、前後方向に突出する脚部が設けられ、
    前記脚部が、前側に向けて延びるとともに前方に向かうに従って左右方向に互いに離間する左右一対の前脚部と、後側に向けて延びるとともに後方に向かうに従って左右方向に互いに離間する左右一対の後脚部と、を備え、
    前記各脚部の末端の少なくとも1か所に前記医療用具取付棒を差し込み可能となっており、
    前記医療用具取付棒は医療用具が取付けられる係止部を上部に有し、
    前記支持架台は前記医療用具取付棒の下端部を支持する棒支持部を有し、
    前記医療用具取付棒に前記屈曲部が形成されることにより前記係止部が前記下端部の軸心に対して偏心して配置されて、
    前記係止部が前記下端部の軸心に対して前後方向に偏心した状態で、前記医療用具取付棒が前記棒支持部に支持され、
    前記下端部が前記棒支持部にその軸心方向に内嵌めまたは外嵌めされ、
    前記棒支持部と前記医療用具取付棒とのうち、外嵌めする方を第1嵌合部とし、内嵌めする方を第2嵌合部とした場合に、
    前記第1嵌合部の内周面及び前記第2嵌合部の外周面のいずれか一方に規制部が設けられる一方、他方に、前記規制部を避けた回避部が形成されている
    ことを特徴とする寝台装置。
  3. 前記棒支持部が前記第1嵌合部であり、前記下端部が前記第2嵌合部であり、
    前記棒支持部は、前記下端部が挿入可能な開口部を備え、
    前記規制部は、前記開口部の少なくとも上端縁に前記開口部の内側に向かって突出して形成され、
    前記回避部は、前記下端部の下端を含む側面の周方向の一部に、前記軸心からの距離が他の部分よりも短くなるように形成され、
    平面視において、前記開口部の前記規制部と、前記下端部の前記回避部とが対向する位置に配置されたときに前記下端部が前記開口部に挿入されて前記下端部が前記棒支持部に嵌合可能に構成される
    ことを特徴とする請求項2に記載の寝台装置。
  4. 前記下端部が前記第1嵌合部であり、前記棒支持部が前記第2嵌合部であり、
    前記医療用具取付棒の下端面に上方に向かって凹む穴部が形成され、
    前記規制部は、前記穴部の少なくとも下端縁に前記軸心に向かって突出して形成され、
    前記回避部は、前記棒支持部の上端を含む側面の周方向の一部に、前記棒支持部の軸心からの距離が他の部分よりも短くなるように形成され、
    平断面視において、前記穴部の前記規制部と、前記棒支持部の前記回避部とが対向する位置に配置されたときに前記棒支持部が前記穴部に挿入されて前記下端部が前記棒支持部に嵌合可能に構成される
    ことを特徴とする請求項2に記載の寝台装置。
  5. 前記支持架台は、前記寝台を昇降自在に支持し、
    前記医療用具取付棒は、前記寝台が最も低い位置で支持されたときに、前記寝台の下方で、前記寝台との干渉を避けるように前記屈曲部が形成される
    ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の寝台装置。
  6. 前記規制部は凸部であり、
    前記回避部は切り欠き部である
    ことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の寝台装置。
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