以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態)
以下、本実施形態に係るインターホンシステム1、インターホン装置としてのロビーインターホン10及び情報端末としてのインターホン親機20について、図1~図6を用いて説明する。
(1)概要
本実施形態のインターホンシステム1は、図1に示すように、インターホン装置としてのロビーインターホン10と、複数(図示例では2つ)のインターホン親機20と、複数(図示例では2つ)のインターホン子機30と、制御装置40とを備えている。本実施形態では、インターホンシステム1が施設5としての集合住宅に用いられる場合を例として説明する。
ロビーインターホン10は、例えば、集合住宅のロビーなどの共用部E1に設置される。集合住宅は、共用部E1の他、複数の専有部(住戸)E2を有している。インターホン親機20は、専有部E2ごとに当該専有部E2内に設置される。インターホン子機30は、例えば、専有部E2ごとに当該住戸の外玄関に設置される。
ロビーインターホン10とインターホン親機20とは、制御装置40を介して互いに通信可能に構成されている。これにより、本実施形態に係るインターホンシステム1では、ロビーインターホン10とインターホン親機20との間で通話可能となる。さらに、インターホン親機20とインターホン子機30とは、互いに通信可能に構成されている。
ロビーインターホン10は、来訪者が呼出操作を行うと、来訪者の撮像を開始する。ロビーインターホン10は、呼出操作を受け付けると、専有部E2内の居住者を呼び出すための制御信号(呼出信号)をインターホン親機20に制御装置40を介して送信する。ロビーインターホン10は、インターホン親機20に対する操作によりインターホン親機20との間で通話が可能になると、来訪者の音声を含む音のデータを制御装置40を介してインターホン親機20に送信する。ロビーインターホン10は、インターホン親機20の操作者の音のデータを制御装置40を介して受け取ると、受け取ったデータに基づく音(操作者の音声を含む)を出力する。
ロビーインターホン10は、抑制モード及び非抑制モードのいずれかが設定モードとして設定される。抑制モードは、予め指定された方向から入力された音(入力音)に対して出力音を抑制するモードである。非抑制モードは、予め指定された方向から入力された音(入力音)に対して出力音を抑制しないモードである。ロビーインターホン10は、抑制モードが設定されている場合には、来訪者の音声を含む音データをインターホン親機20に送信するときには、指定された方向からの入力音に対して出力音を抑制する。ロビーインターホン10は、非抑制モードが設定されている場合には、音データをインターホン親機20に送信するときには、指定された方向からの入力音に対する出力音の抑制は行わない。
インターホン親機20が制御信号(呼出信号)をロビーインターホン10から受信している状態(つまり、来訪者からロビーインターホン10を介して呼出がある状態)で専有部E2内の住居者は、ロビーインターホン10との通話又はロビーの扉51の解錠の操作を行う。
制御装置40は、ロビーインターホン10から制御信号(呼出信号)を受け取ると、呼出があるインターホン親機20に送信する。制御装置40は、ロビーインターホン10とインターホン親機20との間で通話が可能な状態である場合には、来訪者の音声を含む音データ及び操作者の音声を含む音のデータを送受信する。さらに、制御装置40は、インターホン親機20の操作に応じて、例えば共用部E1に設けられた扉51の施錠、解錠を行う。
インターホン子機30は、来訪者から呼び出しのための操作を受け付けると、専有部E2内の居住者を呼び出すための制御信号(呼出信号)をインターホン親機20に送信する。インターホン子機30は、インターホン親機20に対する操作によりインターホン親機20との間で通話が可能になると、音のデータをインターホン親機20に送信する。インターホン子機30は、インターホン親機20の操作者の音声を含む音のデータを受け取ると、受け取ったデータに基づく音(操作者の音声を含む)を出力する。
(2)構成
(2-1)ロビーインターホン
ロビーインターホン10は、図1に示すように、撮像部11、通信部12、操作部13、収音部14、出力部15及び制御部16を備える。また、ロビーインターホン10は、筐体10Aを備える(図3A参照)。
ロビーインターホン10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが制御部16として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
撮像部11は、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の二次元イメージセンサ等の撮像素子を有し、被写体(来訪者等)を撮影するためのカメラである。本実施形態では、少なくとも来訪者の顔を撮影できるように、撮像部11の撮像エリア(視野)は、ロビーインターホン10の前方に設定される。また、本実施形態では、撮像部11は動画を撮影するカメラであるが、静止画を撮影するカメラであってもよい。さらに、本実施形態では、撮像部11はカラー画像を撮影するカメラであるが、モノクローム画像を撮影するカメラであってもよい。
通信部12は、制御装置40を介してインターホン親機20と通信を行うための通信インタフェースを含んでいる。通信部12は、ロビーインターホン10とインターホン親機20との間で音データ及び制御信号が双方向に伝送可能となるように、インターホン親機20との間で双方向に通信可能に構成されている。
操作部13は、来訪者から呼び出しのための操作を受け付ける。操作部13に対して所定の操作(例えば押操作)がされると、専有部E2(住戸)内の住居者を呼び出すための制御信号(呼出信号)を、通信部12及び制御装置40を介してインターホン親機20に送信する。
収音部14は、複数のマイクロホンを有している。複数のマイクロホンは無向性のマイクロホンである。本実施形態では、図2A及び図2Bに示すように、2つのマイクロホン(第1マイクロホン141、第2マイクロホン142)を有している。第1マイクロホン141及び第2マイクロホン142は、操作部13を操作した人(来訪者)の音声を含む周囲の音を収音し、収音した音を音データを表す音信号に変換して制御部16に出力する。なお、本実施形態では、第2マイクロホン142は、抑制機能の実行を行う場合において音を収音する。
出力部15は、例えばスピーカである。出力部15は、ロビーインターホン10がインターホン親機20と通話可能な状態である場合には、インターホン親機20から送信された音データに基づいた音(操作者の音声を含む)を出力する。
制御部16は、図2A、図2Bに示すように、設定部161、第1除去部162、切替部163、抑制部164、第2除去部165及び処理部166を有する。
制御部16は、抑制モード及び非抑制モードを有しており、抑制モード及び非抑制モードのうちいずれかのモードが通話時の設定モードとして設定される。
設定部161は、抑制モード及び非抑制モードのいちいずれかを設定モードとして記憶部17に設定する。
具体的には、ロビーインターホン10が共用部E1に設置される場合に、設定部161は、設置作業の一環として抑制モード及び非抑制モードのいずれかが設定モードとして記憶部17に設定する。設置時に抑制モードが設定モードして設定される場合、抑制の対象となる入力音が収音される方向を指定することが可能である。設定部161は、抑制の対象となる入力音が収音される方向に係る方向情報を受け取ると、方向情報が表す方向を設定する。本実施形態では、ロビーインターホン10(筐体10A)が設置された状態における筐体10Aの正面方向(第1方向)B1に対して、右側方向B2及び左側方向B3のうち少なくとも一方が指定される。例えば、右側方向B2に共用部E1から専有部E2へと入る扉51がある場合(図3A参照)、左側方向B3に道路等が存在する。そのため、左側方向B3から道路騒音等が発生する。呼出時に道路騒音が発生していると住居者は訪問者の音声が聞き取りにくいことがある。そこで、ロビーインターホン10の設置時に、設定部161は、作業者の操作によって抑制モードの設定、かつ抑制対象の方向として左側方向B3の指定を受け付ける。設定部161は、記憶部17に、受け付けた抑制モード及び抑制対象の方向を設定(記憶)する。これにより、ロビーインターホン10は、来訪者が所望の住居者を呼び出す際に位置する領域であって正面方向B1を含む領域E10(図3B参照)から収音した音の出力音に対して、左側方向B3に対応する領域E11(図3B参照)から収音した音に対する出力音を抑制するように設定することができる。以下の説明においては、抑制モードが設定モードとして設定される場合では、抑制の対象となる方向を左側方向B3が指定されているとする。
さらに、ロビーインターホン10は、設定モードとして抑制モードが設定されている場合には、インターホン親機20ごとに当該抑制モードを実行するか否か(実行の有無)を記憶部17に記憶し管理する。設定部161は、専有部E2に設けられたインターホン親機20から抑制モードの実行及び非実行のいずれかを指定する指定モードを受け付けると、インターホン親機20が設けられた専有部E2の識別子と、指定モードとを対応付けて記憶部17に記憶する。ここで、専有部E2の識別子は、例えば部屋番号である。
第1除去部162は、例えば複数のエコーキャンセラを含む。本実施形態では、第1除去部162は、第1エコーキャンセラ201と第2エコーキャンセラ202とを含む。第1エコーキャンセラ201は、第1マイクロホン141から出力された音信号に対してエコーの抑制又は除去を行う。第2エコーキャンセラ202は、第2マイクロホン142から出力された音信号に対してエコーの抑制又は除去を行う。第1除去部162は、エコー抑制又は除去された信号を切替部163に出力する。
切替部163は、収音部14の接続先の切替を行う。具体的には、切替部163は、呼出対象の専有部E2に対応する指定モードが抑制モードを実行することを表している場合には、収音部14の第1マイクロホン141及び第2マイクロホン142と抑制部164とを、第1除去部162を介して接続する。
切替部163は、呼出対象の専有部E2に対応する指定モードが抑制モードを実行しないことを表している場合には、第1マイクロホン141を第1除去部162の第1エコーキャンセラ201を介して第2除去部165に接続する。切替部163は、第2マイクロホン142を抑制部164及び第2除去部165の双方と非接続にする。具体的には、第2エコーキャンセラ202を抑制部164及び第2除去部165の双方と非接続にする。
抑制部164は、例えばビームフォーミング回路を含む。抑制部164は、呼出対象の専有部E2に対応する指定モードが抑制モードを実行することを表している場合には、抑制処理を行う。具体的には、抑制部164は、第1マイクロホン141が収音し、エコー抑制又は除去された信号(第1音信号)と第2マイクロホン142が収音し、エコー抑制又は除去された信号(第2音信号)とを用いて、正面方向B1から収音した音の出力音に対して、左側方向B3から収音した音に対する出力音を抑制する。例えば、抑制部164は、正面方向B1から収音した音の強度に対して、左側方向B3から収音した音の強度を弱める。抑制部164は、正面方向B1及び右側方向B2から収音した音と、左側方向B3から収音した音であって信号の強度が弱められた音とを含む音の音信号を第2除去部165に出力する。
第2除去部165は、例えばノイズサプレッサを含む。第2除去部165は、第1除去部162から受け取った音の信号に対してノイズの抑制又は除去を行う。
処理部166は、呼出に係る処理、及びインターホン親機20との間で通話が可能な状態である場合には、当該通話に係る処理を行う。
処理部166は、インターホン親機20との間で通話が可能な状態である場合には、第2除去部165でノイズの抑制又は除去された音の信号を、通信部12を介してインターホン親機20に送信する。処理部166は、インターホン親機20との間で通話が可能な状態である場合には、インターホン親機20から受け取った音の信号(インターホン親機の操作者の音声を含む音の信号)を出力部15に出力する。
処理部166は、呼出時において、記憶部17が記憶している設定モード(設置時に設定されたモード)として抑制モードが設定されているか否か(抑制モードの設定の有無)の設定情報を呼出対応のであるインターホン親機20に通信部12を介して送信する。
記憶部17は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスで構成される。
記憶部17は、ロビーインターホン10の設置時に設定された設定モードと、設定モードとして抑制モードが設定されている場合にインターホン親機20(専有部E2)ごとに設定された指定モードとを記憶する設定テーブルを有している(表1参照)。
表1に示す設定テーブルは、設定モード項目と指定モード項目とを含む。設定モード項目は、ロビーインターホン10の設置時に設定されるモードが格納される。設定モード項目には、“ON”又は“OFF”が格納される。設定モードとして抑制モードが設定される場合には設定モード項目に“ON”が格納され、設定モードとして非抑制モードが設定される場合には設定モード項目に“OFF”が格納される。指定モード項目には、専有部E2ごとに指定された指定モードが格納される。指定モードが抑制モードを実行する場合には指定モード項目には“ON”が格納され、抑制モードを実行しない場合には指定モード項目には“OFF”が格納される。表1では、部屋番号が101である専有部E2では抑制モードは実行され、部屋番号が102である専有部E2では抑制モードは実行されないことを示している。なお、ロビーインターホン10の設置時の設定モードとして抑制モードが設定されると、すべての専有部E2に対して初期状態として指定モード項目には“ON”が設定される。
(2-2)インターホン親機
インターホン親機20は、図1に示すように、第1通信部21と、第2通信部22と、操作部23と、表示部24と、通話部25と、制御部26とを備えている。
インターホン親機20は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが制御部26として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
第1通信部21は、制御装置40と通信するための通信インタフェースである。第1通信部21は、制御装置40を介してロビーインターホン10に接続されている。例えば、第1通信部21は、ロビーインターホン10から送信される画像を受信する。さらに、ロビーインターホン10との間で音信号及び制御信号が双方向に伝送可能となるよう、第1通信部21は、ロビーインターホン10との間で双方向に通信可能に構成されている。
第2通信部22は、インターホン子機30と通信するための通信インタフェースである。第2通信部22は、例えばツイストペア線等からなる2線式の伝送路を介して、インターホン子機30と電気的に接続されている。
操作部23は、専有部E2内の住居者の操作を受け付ける。第1通信部21が住居者を呼び出すための制御信号(呼出信号)をロビーインターホン10から受信している状態で、操作部23に対して所定の操作がされると、インターホン親機20とロビーインターホン10との間で通話可能な状態となる。ここで、所定の操作は、例えば押操作である。第1通信部21が呼出信号をロビーインターホン10から受信している状態、又はロビーインターホン10と通話可能な状態で、共用部に設けられた扉51の解錠の操作がされると、解錠信号が制御装置40に送信される。
さらに、第2通信部22が住居者を呼び出すための制御信号(呼出信号)をインターホン子機30から受信している状態で、操作部23に対して所定の操作(例えば押操作)がされると、インターホン親機20とインターホン子機30との間で通話可能な状態となる。
表示部24は、ロビーインターホン10及びインターホン子機30から送信される画像を表示する。本実施形態において、操作部23の一部と、表示部24とは、タッチパネルにより実現される。つまり、表示部24は、撮像部11が撮像した画像に加えて、操作部23の一部であるボタン等を表示する。操作部23は、表示部24に表示されたボタンが押されることで、当該ボタンに応じた指示を受け付ける。
表示部24は、ロビーインターホン10に設定された設定モードに応じて、表示するボタンが異なる。表示部24は、設定モードとして抑制モードが設定されている場合には、抑制モードの実行の有無を指示する2つのボタンB10,B11が表示される(図4A参照)。ボタンB10は、抑制モードの実行を指示する場合に押されるボタンである。ボタンB11は、抑制モードの非実行を指示する場合に押されるボタンである。また、表示部24は、現時点で設定されている指定モードに応じて、ボタンB10とボタンB11とを色分けして表示する。図4Aでは、現時点で設定されている指定モードは抑制モードの実行を表していることを示す。表示部24は、設定モードとして非抑制モードが設定されている場合には、抑制モードの実行の有無を指示する2つのボタンB10,B11は表示されない(図4B参照)。
これにより、住居者は、ロビーインターホン10に対して設定モードとして抑制モードが設定されている場合に、抑制モードの実行の有無を個別に設定することができる。
通話部25は、スピーカ及びマイクロホンを含み、ロビーインターホン10及びインターホン子機30との間で通話可能に構成されている。
制御部26は、ロビーインターホン10から制御信号(呼出信号)及び撮像部11が撮像した画像を、第1通信部21を介して受け取ると、呼出音の音データを、通話部25のスピーカに出力し、受け取った画像を表示部24に出力する。これにより、制御部26は、通話部25のスピーカに呼出音を出力させ、かつ第1画像を表示部24に表示させる。
制御部26は、インターホン子機30から制御信号(呼出信号)を、第2通信部22を介して受け取ると、通話部25のスピーカに呼出音を出力させる。
制御部26は、表示部24が表示するボタンが押されると、当該ボタンに応じた処理を行う。例えば、図4Aにおいて住居者がボタンB11を押すと、制御部26は、指定モードを変更する指示を、つまり抑制モードを実行しないことを設定する設定情報を、ロビーインターホン10に送信する。また、指定モードが抑制モードを実行しないこと表している場合に住居者がボタンB10を押すと、制御部26は、抑制モードを実行することを設定する設定情報を、ロビーインターホン10に送信する。
(2-3)インターホン子機
インターホン子機30は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータがインターホン子機30の機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
インターホン子機30は、来訪者から呼び出しのための操作を受け付けると、専有部E2内の住居者を呼び出すための制御信号(呼出信号)をインターホン親機20に送信する。
インターホン子機30は、スピーカ及びマイクロホンを含み、インターホン親機20との間で通話可能に構成されている。
(3)動作
ここでは、インターホンシステム1の動作について、具体例を用いて説明する。
(3-1)通話時の動作
まず、通話時におけるロビーインターホン10の動作について、図5に示す流れ図を用いて説明する。
ロビーインターホン10とインターホン親機20との間で通話が開始すると、収音部14は、来訪者の音声を含む音を集音する(ステップS1)。
第1除去部162は、第1マイクロホン141及び第2マイクロホン142から受け取った音の信号に対して、エコーキャンセル処理を施す(ステップS2)。具体的には、第1エコーキャンセラ201は、第1マイクロホン141から受け取った音の信号に対して、エコーキャンセル処理を施す。第2エコーキャンセラ202は、第2マイクロホン142から受け取った音の信号に対して、エコーキャンセル処理を施す。
制御部16は、ロビーインターホン10の設定モードが抑制モードであるか否かを判断する(ステップS3)。具体的には、制御部16は、記憶部17が記憶している設定テーブルの設定モード項目にONが格納されているか否かを判断する。
設定モードが抑制モードである場合には(ステップS3における「Yes」)、抑制部164は抑制処理を行う(ステップS4)。具体的には、まず、切替部163は、収音部14の第1マイクロホン141及び第2マイクロホン142と抑制部164とを第1除去部162を介して接続する。抑制部164は、第1マイクロホン141が収音し、エコーキャンセル処理が施された音の第1音信号と第2マイクロホン142が収音し、エコーキャンセル処理が施された音の第2音信号とを用いて、正面方向B1から収音した音の出力音に対して、左側方向B3から収音した音に対する出力音を抑制する。抑制部164は、抑止処理を施した音の信号を第2除去部165に出力する。
設定モードが非抑制モードである場合には(ステップS3における「No」)、第1マイクロホン141が収音した音の信号は、第1除去部162を介して第2除去部165に出力される。
第2除去部165は、エコーキャンセル処理が施された音の信号に対してノイズキャンセル処理を施す(ステップS5)。
処理部166は、エコーキャンセル処理が施された音の信号をインターホン親機20に通信部12を介して送信する送信処理を行う(ステップS6)。このとき、処理部166は、ロビーインターホン10に設定された設定モードに関する情報(抑制モードの設定の有無)を、通信部12を介してインターホン親機20に出力する。なお、処理部166は。通話時においては、音信号とともに、撮像部11が撮像した画像もインターホン親機20に送信している。
制御部16は、通話が終了したか否かを判断する(ステップS7)。通話が終了していないと判断する場合(ステップS7における「No」)、処理はステップS1に戻る。通話が終了したと判断する場合(ステップS7における「Yes」)、処理が終了する。
以上説明したように、抑制モードが設定されている場合には収音された音は抑制処理が施され、抑制モードが設定されていない場合(非抑制モードが設定されている場合)には収音された音は抑制処理が施されない。具体的に、抑制モードが設定されている場合には、第1マイクロホン141が収音した音の第1音信号及び第2マイクロホン142が収音した音の第2音信号がそれぞれ抑制部164に入力される(図2A参照)。第1音信号及び第2音信号を用いて、正面方向B1及び右側方向B2から入力された音と左側方向B3から入力された音が抑制された音とを含む音の音信号は、第1除去部162、第2除去部165及び処理部166を介して、インターホン親機20に送信される。一方、抑制モードが設定されていない場合には、第1マイクロホン141が収音した音の音信号が抑制部164を介すことなく、第1除去部162に入力される(図2B参照)。その後、第1除去部162に入力された音信号は、第2除去部165及び処理部166を介して、インターホン親機20に送信される。
(3-2)指定モードの変更の動作
ここでは、通話時において、インターホン親機20が表示するボタンB11が押された場合の動作について、図6のシーケンス図を用いて説明する。
ロビーインターホン10の処理部166は、ステップS6で説明した出力処理を行い、音の信号、抑制モードの設定の有無及び撮像部11が撮像した画像を、通信部12を介してインターホン親機20に出力する(ステップS10,S11)。
インターホン親機20は、通話処理を行う(ステップS12)。具体的には、インターホン親機20は、ロビーインターホン10から受け取った音の信号に基づいて音(来訪者の音声を含む)を通話部25のスピーカから出力するとともに、表示部24に撮像部11が撮像した画像を表示する。このとき、表示部24に表示される内容は、撮像部11が撮像した画像の他、図3Aに示すように、少なくともボタンB10,B11が表示される。ボタンB10,B11は、現時点で設定されている指定モードは抑制モードの実行を表していることを居住者が識別できるように色分けされている。
ボタンB10,B11が表示されている状態で、ボタンB11が押されると、抑制モードを実行しないことを設定する設定情報を受け付け、当該設定情報をロビーインターホン10に送信する(ステップS13,S14)。
ロビーインターホン10の設定部161は、設定情報を受け付けると、設定情報に基づいて指定モードを設定する(ステップS15)。この場合、設定部161は、抑制モードを実行しないこと表す指定モードを設定テーブルに設定する。
ロビーインターホン10の処理部166は、来訪者の音声を含む音が入力されると、再度出力処理を行い、音の信号、抑制モードの設定の有無及び撮像部11が撮像した画像を、通信部12を介してインターホン親機20に出力する(ステップS16,S17)。
インターホン親機20は、通話処理を行う(ステップS18)。この場合、ボタンB10,B11は、現時点で設定されている指定モードは抑制モードの非実行を表していることを居住者が識別できるように色分けされている。
本実施形態において、指定モードが変更されると、次の設定情報を受け付けるまでの間は、変更された指定モードの内容が有効となっている。つまり、ある来訪者との通話時に指定モードを変更した場合には、次の別の来訪者との通話においても変更後の指定モードの内容に応じて抑制部164を介した通話又は抑制部164を介さない通話が行われる。
(4)利点
本実施形態では、抑制モードを設定することで、正面方向B1から入力される音の出力音に対して、正面方向B1とは異なる方向(例えば左側方向B3)から入力される音に対する出力音を抑制する。これにより、正面方向B1から入力される音の出力音が明瞭になるので、インターホン親機20の操作者(居住者)は、来訪者の音声を聞き取りやすくなる。
また、専有部E2ごとに、抑制モードの実行の有無を個別に設定することができるので、居住者の音の聞き取り状態に応じた設定が可能となる。
(変形例)
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記各実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
実施形態において、ロビーインターホン10(筐体10A)が設置された状態における筐体10Aの正面方向を第1方向として予め設定されている構成としたが、この構成に限定されない。設定部161は、第1方向としての方向に係る方向情報を、ロビーインターホン10(筐体10A)の設置時に受け付け、方向情報が表す第1方向を記憶部17に設定(記憶)してもよい。設定部161(制御部16)は、第1方向及び第2方向のうち少なくとも一方に係る方向情報を受け取ると、方向情報を基に、対応する方向(第1方向又は第2方向)を設定する。ここで、第1方向として筐体10Aの正面方向を指定することに限定されない。設定部161は、正面方向を基準として第1角度を受け付け、当該第1角度に応じた方向を第1方向として設定してもよい。また、設定部161は、第2方向においても同様に、正面方向を基準として第2角度を受け付け、当該第2角度に応じた方向を第2方向として設定してもよい。
実施形態において、撮像部11の撮像方向はロビーインターホン10の正面方向に限定されない。例えば、撮像部11の撮像方向はロビーインターホン10の正面方向と一致しなくてもよい。この場合、第1方向は、撮像部11の撮像方向と一致する方向であってもよい。
実施形態において、設定部161は、撮像部11が撮像した画像を用いて、第1方向及び第2方向を設定してもよい。この場合、例えば撮像部11は、撮像した画像に含まれる人を追尾する追尾機能を有している。撮像部11は、追尾機能を用いて、画像に含まれる人(例えば、来訪者)が画像の中心に位置するように、来訪者を追尾する、つまり撮像部11の撮像方向(撮像部11が有するレンズの光軸の方向)を変更する。設定部161は、撮像部11の撮像方向を第1方向として設定する。設定部161は、設定した第1方向を基準として、第1方向に対して左側に直交する方向及び右側に直交する方向のうち少なくとも一方の方向を第2方向として設定する。これにより、来訪者の立ち位置により第1方向及び第2方向を変更(補正)することができる。なお、設定部161は、画像を用いて第1方向及び第2方向の双方を設定してもよいし、第1方向及び第2方向のうち一方を設定してもよい。要は、設定部161は、画像を用いて第1方向及び第2方向のうち少なくとも一方を設定してもよい。
実施形態において、設定部161は、第2方向から入力された音(抑制対象の音)に対して抑制する割合を表す割合情報を受け付け、受け付けた割合情報が表す割合を設定(記憶)してもよい。この場合、抑制部164は、抑制の対象となる入力音を受け付けたときの音の強度を基準とし、設定された割合の強度を減じる。
実施形態において、設定テーブルは、記憶部17が記憶する構成としたが、この構成に限定されない。設定テーブルは、制御装置40が記憶してもよい。ロビーインターホン10の制御部16は、呼出時に、自機(ロビーインターホン10)に対して抑制モードの設定の有無、及び抑制モードが設定されている場合には呼出対象の専有部E2に対する指定モードの内容を制御装置40から受け取る。
実施形態において、設定テーブルに含まれる指定モードは、対応する専有部E2のインターホン親機20が記憶してもよい。この場合、ロビーインターホン10の制御部16は、自機(ロビーインターホン10)に対して抑制モードの設定が設定されている場合には、呼出時に呼出対象の専有部E2に対する指定モードの内容を制御装置40から受け取る。
実施形態において、施設5は、複数の共用部E1を設けてもよい。この場合、共用部E1ごとに、ロビーインターホン10が設置される。この場合、設定テーブルは、ロビーインターホン10ごとに記憶されてもよい。または、制御装置40が複数のロビーインターホン10の設定テーブルを一括して記憶してもよい。または、インターホン親機20が、ロビーインターホン10の各々の設定モードに対する指定モードを記憶してもよい。
実施形態において、ロビーインターホン10とインターホン親機20との間の通話において、第2方向の出力音の抑制を行う構成としたが、これに限定されない。インターホン親機20とインターホン子機30との間の通話において、第2方向の出力音の抑制を行ってもよい。この場合、インターホン子機30に対して、抑制モード及び非抑制モードのうち一方のモードが設定される。この場合、インターホン子機30に抑止モードが設定されると、インターホン子機30は、第2方向からの入力音に対する出力音の抑制を行う。また、インターホン親機20は、インターホン子機30に抑止モードが設定されている場合において、抑制モードを実行するか否かの指定モードを設定してもよい。これにより、インターホン親機20とインターホン子機30との間の通話においても、来訪者の音声を聞き取りやすくなる。
本実施形態では、インターホンシステム1が集合住宅に用いられる場合を例として説明したが、実施例はこれに限定されない。インターホン子機30に対して、抑制モード及び非抑制モードのうち一方のモードが設定される場合には、インターホン親機20とインターホン子機30とを備えるインターホンシステムとして住戸用に用いられてもよい。
実施形態において、指定モードが変更されると、次の設定情報を受け付けるまでの間は、変更された指定モードの内容が有効となる構成としたが、この構成に限定されない。設定部161は、インターホン親機20との通話が終了する度に、当該インターホン親機20に対する指定モードを初期状態に戻してもよい。
実施形態において、収音部14は、複数の無向性のマイクロホンを有する構成としたが、この構成に限定されない。収音部14は、複数の指向性のマイクロホンを有し、収音する範囲を分担してもよい。この場合、抑制部164は、第2方向からの音を収音するマイクロホンからの入力音に対して出力音を抑制する。
実施形態において、制御装置40とインターホン親機20との間の通信、及びインターホン親機20とインターホン子機30との間の通信は、無線通信であってもよい。また、制御装置40とインターホン親機20との間の通信、及びインターホン親機20とインターホン子機30との間の通信が無線通信である場合、インターホンシステム1は、情報端末として、インターホン親機20を用いる代わりに携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等を用いる構成としてもよい。
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、ロビーインターホン10(インターホン装置)と同様の機能は、処理方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るロビーインターホン装置(ロビーインターホン10)の処理方法は、複数の専有部、共用部を有する施設5において共用部に設けられるインターホン装置で用いられる。処理方法は、収音ステップと、制御ステップとを含む。収音ステップは、筐体10Aに設けられた収音部が音を収音する。制御ステップは、収音ステップが収音した音に対する出力を制御する。制御ステップは、筐体10Aが設置された状態において、第1方向からの入力音に対する第1出力音に対して第1方向とは異なる第2方向からの入力音に対する第2出力音を抑制して出力する抑制モードに基づいて、収音ステップが収音した音に対する出力を制御する。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述したインターホン装置又はインターホン装置の処理方法として機能させるためのプログラムである。
本開示におけるロビーインターホン10(インターホン装置)又はインターホン装置の処理方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるインターホン装置又はインターホン装置の処理方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
また、情報端末としてのインターホン親機20と同様の機能は、処理方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る情報端末の処理方法は、インターホン装置(ロビーインターホン10)と通信を行う情報端末で用いられる。処理方法は、抑制モードの実行の有無を設定するための設定情報を送信する通信ステップを含む。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述した情報端末として機能させるためのプログラムである。
本開示における情報端末としてのインターホン親機20又は情報端末の処理方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における情報端末又は情報端末の処理方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様のインターホン装置(例えば、ロビーインターホン10)は、筐体(10A)と、筐体(10A)に設けられた収音部(14)と、収音部(14)に入力された音に対する出力を制御する制御部(16)とを備える。制御部(16)は、筐体(10A)が設置された状態において、第1方向からの入力音に対する第1出力音に対して第1方向とは異なる第2方向からの入力音に対する第2出力音を抑制して出力する抑制モードを有する。
この構成によると、インターホン装置は、抑制モードが設定されると、第1方向から入力される音の出力音に対して、第2方向から入力される音に対する出力音を抑制する。これにより、インターホン装置は、第1方向から入力される音の出力音を明瞭にして出力する。したがって、インターホン装置から出力された音(来訪者の音声を含む)の聞き手(例えば、住居者)は、インターホン装置から出力された音(来訪者の音声を含む)を聞き取りやすくなる。
第2の態様のインターホン装置では、第1の態様において、第1方向は、筐体(10A)が設置された状態における筐体(10A)の正面方向(B1)である。第2方向は、正面方向(B1)に対して右側方向(B2)及び左側方向(B3)のうち少なくとも一方である。
この構成によると、インターホン装置は、正面方向(B1)から入力される音の出力音を明瞭にして出力する。インターホン装置の操作者は、通常、筐体(10A)の正面に立って操作を行う。そのため、インターホン装置の操作者からの音声は正面方向からインターホン装置に入力される。そのため、正面方向(B1)から入力される音の出力音を明瞭することで、インターホン装置から出力された音の聞き手(例えば、住居者)は、インターホン装置から出力された音に含まれるインターホン装置の操作者(来訪者)の音声を聞き取りやすくなる。
第3の態様のインターホン装置では、第1の態様において、撮像部(11)を、さらに備える。制御部(16)は、撮像部(11)が撮像した画像に基づいて、第1方向及び第2方向のうち少なくとも一方を設定する。
この構成によると、画像を用いて第1方向及び第2方向のうち少なくとも一方の設定が可能となる。
第4の態様のインターホン装置は、第1~第3のいずれかの態様において、抑制モードの実行の有無を設定する設定部(161)を、さらに備える。
この構成によると、インターホン装置に対して、抑制モードの実行の有無を設定することが可能となる。
第5の態様のインターホン装置では、第4の態様において、設定部(161)は、情報端末(例えば、インターホン親機20)から受け取った入力情報(例えば設定情報)を基に、抑制モードの実行の有無を設定する。
この構成によると、情報端末を用いて抑制モードの実行の有無の設定が可能となる。
第6の態様のインターホン装置では、第1~第5のいずれかの態様において、制御部(16)は、第1方向及び第2方向のうち少なくとも一方に係る方向情報を受け取ると、方向情報を基に、対応する方向を設定する。
この構成によると、方向情報を基に、第1方向及び第2方向のうち少なくとも一方の設定が可能となる。
第7の態様のインターホン装置では、第1~第6のいずれかの態様において、制御部(16)は、第2方向からの入力音に対する第2出力音の抑制の割合に係る割合情報を受け取る。制御部(16)は、割合情報を基に、第2方向からの入力音に対する第2出力音の抑制の割合を設定する。
この構成によると、第2出力音の抑制の割合を設定することが可能となる。
第8の態様のインターホン装置では、第1~第7のいずれかの態様において、収音部(14)は、複数のマイクロホン(第1マイクロホン141、第2マイクロホン142)を有している。制御部(16)は、抑制モードが設定されている場合には、複数のマイクロホンで集音した音を基に、第2方向からの入力音に対する第2出力音を抑制する。
この構成によると、複数のマイクロホンを用いて第2方向からの入力音に対する第2出力音を抑制することができる。
第9の態様のインターホン装置では、第1~第8のいずれかの態様において、制御部(16)は、第2方向からの入力音に対する第2出力音を抑制する抑制部(164)を有している。制御部(16)は、抑制モードが設定されている場合には、収音部(14)が収音した音を、抑制部(164)を介して出力音として出力する。制御部(16)は、抑制モードと異なるモードが設定されている場合には、収音部(14)が収音した音を、抑制部(164)を介すことなく出力音として出力する。
この構成によると、設定されたモードに応じて、収音した音が抑制部(164)を介するか否かを制御することができる。
第10の態様のインターホン装置は、第1~第9いずれかの態様において、抑制モードの設定の有無を情報端末に送信する通信部(12)を、さらに備える。
この構成によると、情報端末は、抑制モードの設定の有無について認識することができる。
第11の態様のインターホンシステム(1)は、第1~第10いずれかの態様のインターホン装置(例えばロビーインターホン10)と、インターホン装置と通信する情報端末(例えばインターホン親機20)とを備える。
この構成によると、インターホン装置から出力された音(来訪者の音声を含む)の聞き手、つまり情報端末の操作者は、インターホン装置から出力された音に含まれる来訪者の音声を聞き取りやすくなる。
第12の態様の情報端末(例えばインターホン親機20)は、第1~第10いずれかの態様のインターホン装置(例えばロビーインターホン10)と通信を行う。情報端末は、抑制モードの実行の有無を設定するための設定情報を送信する通信部(例えば第1通信部21)を有する。
この構成によると、抑制モードの実行の有無の設定が可能となる。そのため、抑制モードを実行する旨の設定が行われると、インターホン装置から出力された音(来訪者の音声を含む)の聞き手、つまり情報端末の操作者は、インターホン装置から出力された音に含まれる来訪者の音声を聞き取りやすくなる。
第13の態様の情報端末では、第12の態様において、通信部は、インターホン装置において抑制モードが設定されている場合に、設定情報を送信するように構成されている。
この構成によると、インターホン装置において抑制モードが設定されている場合に、情報端末は、抑制モードの実行の有無を個別に設定することができる。
第14の態様の処理方法は、第1~第10のいずれかの態様のインターホン装置(例えばロビーインターホン10)と通信を行う情報端末(例えばインターホン親機20)で用いられる。処理方法は、抑制モードの実行の有無を設定するための設定情報を送信する通信ステップを含む。
この処理方法によると、インターホン装置から出力された音(来訪者の音声を含む)の聞き手、つまり情報端末の操作者は、インターホン装置から出力された音に含まれる来訪者の音声を聞き取りやすくなる。
第15の態様のプログラムは、第1~第10のいずれかの態様のインターホン装置(例えばロビーインターホン10)と通信を行う情報端末(例えばインターホン親機20)で用いられる。プログラムは、コンピュータに、抑制モードの実行の有無を設定するための設定情報を送信する通信処理を実行させる。
このプログラムによると、インターホン装置から出力された音声の聞き手、つまり情報端末の操作者は、インターホン装置から出力された音声(来訪者の音声)を聞き取りやすくなる。