JP7042121B2 - 異方導電性シート、及び異方導電性シートの製造方法 - Google Patents

異方導電性シート、及び異方導電性シートの製造方法 Download PDF

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Description

本技術は、面方向に絶縁性を保持し、厚み方向に導通性を有する異方導電性シート、及び異方導電性シートの製造方法に関する。
近年、電子部品は、より小型化、集積化が進んでおり、隣り合う電極間のピッチがより小さく(ファインピッチ)なっている。このため、ファインピッチ電極に対応する異方性導電接着剤や検査用シートでは、優れた導通性が得られ、かつ隣接する端子間の優れた絶縁性が得られることが求められる。
特許文献1には、絶縁性高分子材料に磁性導電性粒子を分散させた複合材料を、対向する一対の金型磁極間に配置し、磁場を印加して、シートの厚み方向に磁性導電性粒子を配列する技術が提案されている。しかしながら、特許文献1の技術のように、厚み方向に導電性粒子を配列した構成では、粒子同士が接触しない場合があるため、厚み方向の十分な導通性を得るのは困難である。
特開2005-235509号公報
本技術は、前述した課題を解決するものであり、シート厚み方向の優れた導通性が得られ、かつ隣接する端子間の優れた絶縁性が得られる異方導電性シート、及び異方導電性シートの製造方法を提供する。
本件発明者らは、鋭意検討した結果、はんだ粒子を厚み方向に配列させ、はんだ粒子同士を融着させることにより、シート厚み方向の優れた導通性が得られ、かつ隣接する端子間の優れた絶縁性が得られるとの知見に基づき、本技術を完成するに至った。
すなわち、本技術に係る異方導電性シートは、硬化性化合物と、絶縁性無機フィラーと、はんだ粒子とを含有する樹脂組成物を成型してなり、前記絶縁性無機フィラーの配合量が、前記硬化性化合物100質量部に対して1~10質量部であり、前記はんだ粒子が、厚み方向に配列し、融着してなり、前記はんだ粒子が、厚み方向に配列し、融着してなり、前記硬化性化合物が、シリコーン化合物である
また、本技術に係る異方導電性シートの製造方法は、硬化性化合物と、絶縁性無機フィラーと、はんだ粒子とを含有し、前記絶縁性無機フィラーの配合量が、前記硬化性化合物100質量部に対して1~10質量部である樹脂組成物をシート状に形成し、電界強度が2~10kV/mm、周波数が10~30kHzの交流電場を印加しつつ、はんだ粒子の融点以上の温度で加熱する。
本技術によれば、はんだ粒子が厚み方向に配列した状態で融着するため、シート厚み方向の優れた導通性を得ることができ、かつ隣接する端子間の優れた絶縁性を得ることができる。
図1は、本実施の形態に係る異方導電性シートを模式的に示す断面図である。 図2は、交流電場を印加してはんだ粒子を所定方向に配向させる電場処理装置を示す模式図である。 図3は、異方導電性シートの面方向を示す写真である。 図4は、異方導電性シートの厚み方向を示す断面写真である。 図5は、異方導電性シートの導電性の評価方法を説明するための図である。 図6は、異方導電性シートの絶縁性の評価方法を説明するための図である。
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.異方導電性シート
2.異方導電性シートの製造方法
3.実施例
<1.異方導電性シート>
本実施の形態に係る異方導電性シートは、硬化性樹脂と、絶縁性無機フィラーと、はんだ粒子とを含有する樹脂組成物を成型してなり、絶縁性無機フィラーの配合量が、硬化性樹脂100質量部に対して1~10質量部であり、はんだ粒子が、厚み方向に配列し、融着してなるものである。これにより、シート厚み方向の優れた導通性を得ることができ、かつ隣接する端子間の優れた絶縁性を得ることができる。
図1は、本実施の形態に係る異方導電性シートを模式的に示す断面図である。図1に示すように、異方導電性シート10は、絶縁性無機フィラーを含む硬化性樹脂の硬化物である絶縁部11と、はんだ粒子が厚み方向に配列し、融着してなる複数の導電部12とを有する。異方導電性シート10の厚みは、20~300μmであることが好ましく、50~200μmであることがより好ましい。
絶縁部11は、硬化性樹脂が硬化してなり、絶縁性無機フィラーが厚み方向に配列している。硬化性樹脂の硬化型としては、熱硬化型、光硬化型、光熱併用硬化型などが挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。本実施の形態では、はんだ粒子を溶融させることから、熱硬化型を用いることが好ましい。
硬化性化合物としては、例えば、シリコーン化合物、エポキシ化合物、アクリル化合物、メタクリル化合物などが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、弾性及び耐熱性の観点からシリコーン化合物を用いることが好ましい。
シリコーン化合物としては、例えば、アルコキシ基やシラノール基の縮合反応によって硬化する縮合型シリコーン化合物、二重結合に対するSiH基との付加反応によって硬化する付加型シリコーン化合物などが挙げられる。これらの中でも、硬化時に揮発成分が少ない付加型シリコーン化合物を用いることが好ましい。
絶縁性無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、アルミノシリケート、ボロンナイトライドなどが挙げられる。これら絶縁性無機フィラーの平均粒子径は、絶縁性の観点から1.0μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることがさらに好ましい。本明細書において、平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(D50)を意味する。
絶縁性無機フィラーの配合量は、硬化性化合物100質量部に対して1~10質量部であることが好ましく、4~8質量部であることがより好ましい。これにより、ファインピッチの電極間であっても優れた絶縁性を得ることができる。
導電部12は、はんだ粒子が厚み方向に配列し、融着している。厚み方向に配列したはんだ粒子は、少なくとも50個数%以上が融着していることが好ましく、80個数%以上が融着していることがより好ましい。一部に融着していないはんだ粒子が存在していても、プローブピンの押圧によりはんだ粒子が接触するため、高い導通性を確保することができる。
はんだ粒子としては、例えばJIS Z 3282-1999に規定されている、Sn-Pb系、Pb-Sn-Sb系、Sn-Sb系、Sn-Pb-Bi系、Bi-Sn系、Sn-Cu系、Sn-Pb-Cu系、Sn-In系、Sn-Ag系、Sn-Pb-Ag系、Pb-Ag系などが挙げられる。
はんだ粒子の融点は、硬化性化合物が熱硬化型である場合、硬化性化合物の硬化温度以上であることが好ましい。これにより、加熱によって硬化性化合物の硬化後にはんだ粒子を溶融させることができ、優れた導通性を得ることができる。具体的なはんだ融点は、100~240℃であることが好ましく、120~160℃であることがより好ましい。
はんだ粒子の平均粒子径は、3~25μmであることが好ましく、5~10μmであることがより好ましい。また、はんだ粒子の配合量は、硬化性化合物100質量部に対して20~70質量部であることが好ましく、30~60質量部であることがより好ましい。これにより、ファインピッチの電極間であっても優れた異方導電性を得ることができる。
このような構成からなる異方導電性シートは、シート厚み方向の優れた導通性を得ることができ、かつ隣接する端子間の優れた絶縁性を得ることができる。
<2.異方導電性シートの製造方法>
本実施の形態に係る異方導電性シートの製造方法は、硬化性化合物と、絶縁性無機フィラーと、はんだ粒子とを含有し、絶縁性無機フィラーの配合量が、硬化性化合物100質量部に対して1~10質量部である樹脂組成物をシート状に形成し、電界強度が2~10kV/mm、周波数が10~30kHzの交流電場を印加しつつ、はんだ粒子の融点以上の温度で加熱するものである。なお、樹脂組成物は、前述した異方導電性シートのものと同様のため、ここでは説明を省略する。
図2は、交流電場を印加してはんだ粒子を所定方向に配向させる電場処理装置を示す模式図である。図2に示すように、電場処理装置20は、信号発生器21と、増幅アンプ22と、チャンバー23とを備え、チャンバー23内の電極24A、24B間のシート形成材料25に所定の交流電場を印加する。チャンバー23内には、対向する一対の電極24A、24Bが装着され、電極24A、24B間には、シート形成材料25と同等の厚みのスペーサー26が配置される。電極24A、24Bとしては、例えば、SUS製の支持体の内側表面にポリイミド等の絶縁性シートを貼り付けた導電性基材、片面にITOなどの導電性処理を施したガラス板などが挙げられる。
電場処理において、電界強度は、2~10kV/mmであることが好ましく、4~8kV/mmであることがより好ましい。また、周波数は、10~30kHzであることが好ましく、15~25kHzであることがより好ましい。これにより、はんだ粒子及び絶縁性無機フィラーを厚み方向に配向させることができる。
また、チャンバー23内は、はんだ粒子の融点以上の温度で加熱することが好ましい。これにより、硬化性化合物を硬化させ、はんだ粒子を厚み方向に配列した状態で融着させることができる。
このような異方導電性シートの製造方法によれば、はんだ粒子が厚み方向に配列した状態で融着するため、シート厚み方向の優れた導通性を得ることができ、かつ隣接する端子間の優れた絶縁性を得ることができる。
図3は、異方導電性シートの面方向を示す写真であり、図4は、異方導電性シートの厚み方向を示す断面写真である。本実施の形態に係る異方導電性シートの製造方法によれば、図3、4に示すように、はんだ粒子を面方向に分散させるとともに、はんだ粒子を厚み方向に配列させた状態で融着させるため、シート厚み方向の優れた導通性を得ることができ、かつ隣接する端子間の優れた絶縁性を得ることができる。
<3.実施例>
以下、本技術の実施例について説明する。本実施例では、異方導電性シートを作製し、導電性及び絶縁性について評価した。なお、本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
[異方導電性シートの作製]
下記材料を用いて異方導電性シートを作製した。
シリコーンゴム:
XE14-C3021(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン):2成分加熱硬化型液状シリコーンゴム(A液/B液混合比=10/1)
はんだ粒子A:
L23-05007(千住金属工業):Bi-Sn-Ag系はんだ合金粒子、粒径φ5~7μm、融点138℃
はんだ粒子B:
MP6076-10025(千住金属工業):Sn-In-Ag系はんだ合金粒子、粒径φ10~25μm、融点148℃
はんだ粒子C:
M705-05007(千住金属工業):Sn-Ag-Cu系はんだ合金粒子、粒径φ5~7μm、融点217℃
シリカ粒子:
アエロジルR202(日本アエロジル):ジメチルポリシロキサン表面処理疎水性フュームドシリカ、平均一次粒子径:14nm、比表面積100±20m/g
表1及び表2に記載の配合比にて、各材料を所定量ポリ容器中に秤量し、自転公転ミキサーにて均一に混合して、樹脂組成物を調整した。樹脂組成物を厚さ100μmの金型内に注入してシート形成材料を形成し、シート形成材料を電場処理装置のチャンパー内の100μmの電極間に配置した。そして、電極間のシート形成材料に所定の交流電場を作用させながら、所定温度で硬化処理することにより、異方導電性シートを作製した。
[異方導電性シートの評価]
異方導電性シートについて、厚み方向の導電性、及び隣接端子間の絶縁性を評価した。評価用基板として、パターン/スペースが100/100μmに金メッキ電極が形成されたセラミック基板を用いた。
[導電性評価]
図5は、異方導電性シートの導電性の評価方法を説明するための図である。図5に示すように、評価用基板31上に異方導電性シート32を配置し、測定プローブ33を異方導電性シート32上から荷重20gにて押し当て、異方導電性シート32の厚み方向の抵抗値を測定器34にて測定した。抵抗値が1Ω未満の場合を「OK」、1Ω以上の場合を「NG」とした。
[絶縁性評価]
図6は、異方導電性シートの絶縁性の評価方法を説明するための図である。図6に示すように、評価用基板41上に異方導電性シート42を配置し、測定プローブ43を異方導電性シート42上から荷重20gにて押し当て、異方導電性シート42の面方向の抵抗値を測定器44にて測定した。抵抗値が1Ω以上の場合を「OK」、1Ω未満の場合を「NG」とした。
Figure 0007042121000001
Figure 0007042121000002
比較例1のようにシリカ粒子を配合しなかった場合、絶縁性評価がNGとなった。また、比較例2のようにシリカ粒子の配合量が多過ぎた場合、導通性評価がNGとなった。また、比較例3のようにはんだ粒子を用いなかった場合、導通性評価がNGとなった。また、比較例4のように硬化温度が低過ぎた場合、導通性評価がNGとなった。また、比較例5のように電界強度が低過ぎた場合、導通性評価がNGとなった。また、比較例6のように電界強度が高過ぎた場合、絶縁性評価がNGとなった。また、比較例7のように周波数が低過ぎた場合、導通性評価がNGとなった。また、比較例8のように周波数が高過ぎた場合、導通性評価がNGとなった。
一方、実施例1、2のようにシリカ粒子の配合量が適量である場合、導通性評価及び絶縁性評価がOKとなった。また、実施例3、4のようにはんだ粒子の配合量が適量である場合、導通性評価及び絶縁性評価がOKとなった。また、実施例5のようにはんだ粒子の融点が低い場合及び実施例6のようにはんだ粒子の融点が高い場合、はんだ粒子の融点以上の温度の加熱により、導通性評価及び絶縁性評価がOKとなった。また、実施例7~9のように電界強度が適度である場合、導通性評価及び絶縁性評価がOKとなった。また、実施例10、11のように周波数が適度である場合、導通性評価及び絶縁性評価がOKとなった。
10 異方導電性シート、11 絶縁部、12 導電部、20 電場処理装置、21 信号発生器、22 増幅アンプ、23 チャンバー、24A,24B 電極、25 シート形成材料、26 スペーサー、31 評価用基板、32 異方導電性シート、33 測定プローブ、34 測定器、41 評価用基板、42 異方導電性シート、43 測定プローブ、44 測定器

Claims (9)

  1. 硬化性化合物と、絶縁性無機フィラーと、はんだ粒子とを含有する樹脂組成物を成型してなり、
    前記絶縁性無機フィラーの配合量が、前記硬化性化合物100質量部に対して1~10質量部であり、
    前記はんだ粒子が、厚み方向に配列し、融着してなり、
    前記硬化性化合物が、シリコーン化合物である異方導電性シート。
  2. 前記はんだ粒子の配合量が、前記硬化性化合物100質量部に対して20~70質量部である請求項1記載の異方導電性シート。
  3. 前記はんだ粒子の平均粒子径が、3~25μmである請求項1又は2記載の異方導電性シート。
  4. 前記絶縁性無機フィラーの平均粒子径が、1.0μm以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の異方導電性シー卜。
  5. 前記硬化性化合物が、熱硬化型であり。
    前記はんだ粒子の融点が、前記硬化性化合物の硬化温度以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の異方導電性シー卜。
  6. 硬化性化合物と、絶縁性無機フィラーと、はんだ粒子とを含有し、前記絶縁性無機フィラーの配合量が、前記硬化性化合物100質量部に対して1~10質量部である樹脂組成物をシート状に形成し、電界強度が2~10kV/mm、周波数が10~30kHzの交流電場を印加しつつ、はんだ粒子の融点以上の温度で加熱する異方性導電シートの製造方法。
  7. 絶縁性無機フィラーを含む絶縁樹脂層と、
    前記絶縁樹脂層の厚み方向にはんだ粒子が配列し、融着してなる複数の導電部とを有し、
    前記絶縁樹脂層が、シリコーンゴムである異方導電性シー卜。
  8. 前記導電部は、前記はんだ粒子の50個数%以上が融着してなる請求項7記載の異方導電性シー卜。
  9. 前記絶縁性無機フィラーが、シリカである請求項7又は8記載の異方導電性シー卜。
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