JP7042063B2 - 親水化処理剤 - Google Patents
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Description
撥水化処理は、ガラス、金属、繊維等の固体表面に撥水性を持たせる表面処理を行い、水に含まれる汚れを付着させないようにする技術である。例えば、衣類を洗濯後、柔軟仕上げ剤で処理したり、スキーウェア等に撥水剤をスプレーして防水効果を持たせたり、自動車の塗装面をワックス掛けしたりすることが広く行われている。
しかしながら、撥水化処理では、表面を完全に撥水化させることは難しく、度重なる水との接触により、水に含まれる汚れが固体表面に蓄積するため、十分な防汚効果を発揮することが難しい。
例えば、特許文献1には、両性高分子電解質を含有する水性防汚組成物が開示されている。特許文献2には、界面活性剤及び特定のポリベタインを含有する洗浄用又は、すすぎ洗い用の組成物が開示されている。特許文献3には、特定のベタイン構造を有する重合性不飽和モノマーと特定の重合性不飽和モノマーとを共重合して得られるアクリル樹脂、親水性架橋重合体粒子及び架橋剤を含有する親水化処理剤組成物が開示されている。特許文献4には、両親媒性ブロックコポリマーを含む組成物を支持体に適用する段階を含み、両新媒性ブロオックコポリマーが特定の構造の親水性ブロックとエチレン性不飽和疎水性モノマーから形成される疎水性ブロックを含有する疎水性支持体の湿潤性/親水性を改良する方法が開示されている。特許文献5には、疎水性不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の重合体セグメントA-1と、スルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の重合体セグメントA-2とを有し、重合体セグメントA-1の含有量が0.05質量%以上、75質量%以下であるブロック重合体A、からなる親水化処理剤が開示されている。特許文献6には、ベタイン基を有する特定の構成単位(A)及びカチオン基を有する特定の構成単位(B)を含む共重合体からなる表面処理剤が開示されている。
本発明は、優れた親水化能力を発揮する親水化処理剤及びそれを含有する親水化処理剤組成物を提供することを課題とする。
R1a、R2a、R3a:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R4a:炭素数1以上4以下のアルキレン基、又は-Z1-OPO3 --Z2-
Z1、Z2:同一又は異なって、炭素数1以上4以下のアルキレン基
R5a、R6a:同一又は異なって、炭素数1以上4以下の炭化水素基
X1:O又はNR7aであり、R7aは水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
X2:水素原子、炭素数1以上4以下の炭化水素基、R8aSO3 -、又はR8aCOO-を示す。ただし、R4aが炭素数1以上4以下のアルキレン基のとき、X2はR8aSO3 -、又はR8aCOO-、R8aは炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R4aが-Z1-OPO3 --Z2-のとき、X2は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基である。〕
本発明の親水化処理剤は、本発明の共重合体からなる。
本発明の共重合体は、前記式(a1)で表される構成単位(A)と芳香族基を有する構成単位(B)とを含む。
式(a1)中、不飽和単量体の入手性の観点、単量体の重合性の観点及び親水化処理剤の親水化性能を高める観点から、R1a及びR2aは水素原子が好ましい。R3aは、同様の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。X1は、同様の観点から、Oが好ましい。R4aは、同様の観点から、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のジメチレン基がより好ましい。R5a及びR6aは、同様の観点から、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(a1)では、同様の観点から、R4aが炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、X2がR8aSO3 -又はR8aCOO-であることが好ましく、R4aが炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、X2がR8aSO3 -であることがより好ましい。
R1b、R2b、R3b:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R4b:芳香族基を有する総炭素数6以上22以下の炭化水素基
Y1:O又はNR5bであり、R5bは水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
を示す。〕
本発明の親水化処理剤組成物は、本発明の親水化処理剤及び水を含有する。すなわち、本発明の親水化処理剤組成物は、前記式(a1)で表される構成単位(A)と芳香族基を有する構成単位(B)とを含む共重合体、及び水を含有する親水化処理剤組成物である。親水化処理剤は1種又は2種以上を用いることができる。
親水化処理剤組成物中の親水化処理剤の含有量は、親水化処理剤組成物の親水化性能を高める観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、増粘により均一な処理が抑制され、親水化性能が低下するのを防止する観点から、好ましくは5質量%以下、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
本発明の親水化処理剤組成物は、親水化処理剤組成物の親水化性能を高める観点から、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を用いることにより、親水化処理剤組成物が固体表面に濡れ広がりやすくなり、親水化性能が向上する。また、固体表面に汚れ物質、特に疎水性の高い例えば油性の汚れ物質が付着している場合には、界面活性剤を用いることにより、界面活性剤により疎水性の高い汚れ物質が除去され、固体表面の親水化性能が向上する。
親水化処理剤組成物中の界面活性剤の含有量は、親水化処理剤組成物の親水化性能を高める観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましく0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、本発明の共重合体の固体表面への吸着が阻害され、親水化性能が低下するのを防止する観点から、好ましくは30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。さらに抑泡の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%未満、さらに好ましくは0.3質量%以下、よりさらに好ましくは0.1質量%以下である。
界面活性剤は、前述の観点から、疎水性部位としてアルキル基又はアルケニル基を有することが好ましく、その炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、その上限は、好ましくは20以下、より好ましくは16以下である。
陰イオン性界面活性剤としては、疎水性部位を有する硫酸エステル塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸エステル塩、及びアミノ酸塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
具体的には、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の疎水性部位を有する硫酸エステル塩;スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート等の疎水性部位を有するスルホン酸塩;炭素数8以上16以下の高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩等の疎水性部位を有するカルボン酸塩;アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等の疎水性部位を有するリン酸エステル塩;アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等の疎水性部位を有するアミノ酸塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤と、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
これらの非イオン性界面活性剤の中では、親水化処理剤組成物の親水化性能を向上させる観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、及びアルキルグリコシドから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルグルコシドから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤、及びアルキルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤等が挙げられる。
これらの両性界面活性剤の中では、親水化処理剤組成物の親水化性能を向上させる観点から、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びアルキルヒドロキシスルホベタインから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ラウリン酸アミドプロピル-N,N-ジメチル-酢酸ベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタインがより好ましい。
陽イオン性界面活性剤としては、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数12以上28以下、好ましくは炭素数16以上22以下の炭化水素基を有する第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、又は3級アミンの鉱酸又は有機酸の塩が挙げられる。
具体的には、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、オクダデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等の長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩等の長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジイソテトラデシルジメチルアンモニウム塩等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;ステアリルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、オクタデシロキシプロピルジメチルアミンの酸塩等のモノ長鎖アルキルジメチルアミン塩が挙げられる。
これらの陽イオン性界面活性剤の中では、親水化処理剤組成物の親水化性能を向上させる観点から、長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩が好ましい。
本発明の親水化処理剤組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、アジピン酸、セバシン酸、リンゴ酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリp-スチレンスルホン酸等の多価カルボン酸;エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の溶剤;NaCl等の親水化処理剤の水への溶解性を向上させる塩;トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、尿素等の可溶化剤;粘土鉱物、水溶性高分子化合物等の粘度調整剤(但し、本発明の共重合体を除く);方解石、珪石、リン酸カルシウム、ゼオライト、炭酸カルシウム、ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレン等の水不溶性研磨剤;グリセリン、ソルビトール等の保湿剤;カチオン化セルロース等の感触向上剤(但し、本発明の共重合体を除く);炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム等のアルカリビルダー;酵素、色素、香料、防腐・防かび剤等を添加することができる。
本発明の親水化処理剤組成物は、本発明の共重合体、水及び必要に応じて前述した界面活性剤や多価有機酸等のその他の成分を加えて、公知の方法により攪拌、混合することにより得ることができる。
親水化処理剤組成物は、固体表面の種類や処理目的に応じて、適宜組成割合を調整することができる。また、濃厚溶液を調製しておき、使用時に希釈して用いることもできる。
本発明は、本発明の親水化処理剤組成物を固体表面に接触させる、固体表面の親水化方法を提供する。
更に、本発明は、本発明の親水化処理剤組成物を、表面自由エネルギーが5mN/m以上35mN/m以下の固体表面に接触させる、固体表面の親水化方法を提供する。
ここで「固体表面」の「固体」とは、特に制限はなく、ガラス、陶器、磁器、琺瑯、タイル、セラミックス;アルミニウム、ステンレス、真鍮等の金属;ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、FRP等の合成樹脂;木綿、絹、羊毛等の天然繊維;ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の合成繊維;毛髪、爪、歯等の固体を意味する。
本発明方法を適用しうる好適な固体表面としては、疎水性硬質表面、更にセラミックス、金属、合成樹脂から選ばれる1種又は2種以上の疎水性硬質表面が挙げられる。ここで、疎水性硬質表面とは、水に対する静止接触角が70°以上であることを意味し、親水性硬質表面とは70°未満であることを意味する。なお、静止接触角は、実施例に記載の方法で測定することができる。
(i)親水化処理剤組成物に固体を浸漬させる方法
(ii)親水化処理剤組成物を固体表面に噴霧又は塗布する方法
(iii)親水化処理剤組成物で常法に従い固体表面を洗浄する方法
固体表面を親水化処理剤組成物で親水化処理する温度は、親水化処理剤組成物の親水化性能を高める観点、処理方法の容易性の観点から、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
前記(i)の方法において、浸漬する時間は、親水化処理剤組成物の親水化性能を高める観点及び経済性の観点から、好ましくは0.5分以上、より好ましくは1分以上であり、好ましくは60分以下、より好ましくは50分以下である。
前記(ii)の方法において、親水化処理剤組成物を固体表面に噴霧又は塗布する方法は、硬質表面の広さ(面積)等に応じて適宜選択できる。親水化処理剤組成物を固体表面にスプレー等で噴霧した後、乾燥する方法が好ましい。必要に応じて、噴霧した後、水ですすいでもよい。また、噴霧した後、スポンジ等を用いて薄く塗りのばしてもよい。
固体表面に噴霧又は塗布する親水化処理剤組成物の量は、例えば、本発明の共重合体の含有量が0.5質量%の親水化処理剤組成物の場合、好ましくは10cm2あたり0.01mL以上0.1mL以下である。
前記(iii)の方法において、本発明の共重合体及び界面活性剤を含有する洗浄剤組成物の形態で使用し、固体表面と接触させることが好ましい。かかる洗浄剤組成物の形態とする場合、取扱いの安全性、及び固体表面の損傷防止の観点から、そのpHは4以上が好ましく、そして、10以下が好ましく、8以下がより好ましい。
界面活性剤としては、前述したものを使用することができる。
また、本発明の親水化処理剤組成物により親水化処理された固体表面の水に対する静止接触角は、当該固体表面の表面自由エネルギーが5mN/m以上35mN/m以下の場合は、好ましくは70°以下、より好ましくは65°以下、より好ましくは60°以下、より好ましくは55°以下である。
また、本発明の親水化処理剤組成物により親水化処理された固体表面は、親水化性能を高める観点から、均一に処理されていることが好ましい。表面処理の均一性は、処理後の固体表面を目視で観察することにより判断できる。
(DOPAMAmの合成)
セパラブルフラスコにドーパミン塩酸塩(和光純薬工業(株)製)50.00g、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)28.00g、ホウ酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)70.00g、イオン交換水700.0gを入れ、室温で撹拌させた。別に滴下漏斗にメタクリル酸無水物(和光純薬工業(株)製)34.22g、テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)155.6gを調製し、1時間かけて滴下した。NaOH(1M)(和光純薬工業(株)製)を数滴加え、pHを8.0以上のアルカリ性にし、室温で12時間熟成させた。その後HCl(6M)(和光純薬工業(株)製)を加えてpH2.0以下の酸性にし、硫酸マグネシウム(和光純薬工業(株)製)を加えて乾燥させた。乾燥液に酢酸エチル(和光純薬工業(株)製)を加え、分液漏斗によって抽出及び洗浄を行い、酢酸エチル溶液を単離した。その後再結晶によって精製し、目的の白色粉体を得た。
100mLのナスフラスコに、[2-(メタクリロキシ)エチル]ジメチル]-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド〔[2-(Methacryloyloxy)ethyl]dimethyl]-(3-sulfopropyl)ammoniumhydroxide〕(Aldrich製)18.38g、前項で合成したDOPAMAm1.618g、V-65B(和光純薬工業(株)製) 0.1816g、トリフルオロエタノール(東京化成工業(株)製) 46.49gを入れ、窒素バブリングによって脱気を行った。オイルバスを65℃に設定し、ナスフラスコをセットして重合を開始させた。6時間後に重合を終了し、アセトン(和光純薬工業(株)製)にて再沈殿を行った。析出したポリマーを80℃で真空乾燥させて共重合体1を得た。
100mLのナスフラスコに、[2-(メタクリロキシ)エチル]ジメチル]-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド〔[2-(Methacryloyloxy)ethyl]dimethyl]-(3-sulfopropyl)ammoniumhydroxide〕 8.347g、前項で合成したDOPAMAm 1.653g、V-65B 0.093g、トリフルオロエタノール23.24gを入れ、窒素バブリングによって脱気を行った。オイルバスを65℃に設定し、ナスフラスコをセットして重合を開始させた。6時間後に重合を終了し、アセトン溶媒にて再沈殿を行った。析出したポリマーを80℃で真空乾燥させて共重合体2を得た。
100mLのナスフラスコに、[2-(メタクリロキシ)エチル]ジメチル]-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド〔[2-(Methacryloyloxy)ethyl]dimethyl]-(3-sulfopropyl)ammoniumhydroxide〕 9.345g、ベンジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製) 0.655g、V-65B 0.092g、トリフルオロエタノール 23.24gを入れ、窒素バブリングによって脱気を行った。オイルバスを65℃に設定し、ナスフラスコをセットして重合を開始させた。6時間後に重合を終了し、アセトン溶媒にて再沈殿を行った。析出したポリマーを80℃で真空乾燥させ、共重合体3を得た。
100mLのナスフラスコに、[2-(メタクリロキシ)エチル]ジメチル]-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド〔[2-(Methacryloyloxy)ethyl]dimethyl]-(3-sulfopropyl)ammoniumhydroxide〕 8.638g、ベンジルメタクリレート 1.362g、V-65B 0.096g、トリフルオロエタノール 23.24gを入れ、窒素バブリングによって脱気を行った。オイルバスを65℃に設定し、ナスフラスコをセットして重合を開始させた。6時間後に重合を終了し、アセトン溶媒にて再沈殿を行った。析出したポリマーを80℃で真空乾燥させ、共重合体4を得た。
100mLのナスフラスコに、[2-(メタクリロキシ)エチル]ジメチル]-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド〔[2-(Methacryloyloxy)ethyl]dimethyl]-(3-sulfopropyl)ammoniumhydroxide〕 9.602g、スチレン(和光純薬工業(株)製) 0.398g、V-65B 0.095g、トリフルオロエタノール 23.24gを入れ、窒素バブリングによって脱気を行った。オイルバスを65℃に設定し、ナスフラスコをセットして重合を開始させた。6時間後に重合を終了し、アセトン溶媒にて再沈殿を行った。析出したポリマーを80℃で真空乾燥させ、共重合体5を得た。
(工程1)
1000mLの4つ口フラスコにエタノール(和光純薬工業(株)製)を46.40g入れ、78℃に昇温して還流させた。ここにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル(和光純薬工業(株)製)128.0g、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルジエチル硫酸塩(花王(株)製/90%水溶液)14.12g、ベンジルメタクリレート 9.340g、エタノール20.90gを混合させた溶液と、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)2.080g、エタノール10.00gを混合させた溶液をそれぞれ2時間かけて滴下した。4時間熟成させた後に冷却し、ポリマー溶液を得た。
1000mL4つ口フラスコに、得られたポリマー溶液を230.8g、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)6.837g、水を310.7g添加し、50℃に昇温した。そこに1,3-プロパンスルトン(東京化成(株)製)106.4gを2時間かけて滴下して反応を行った。3時間熟成させた後に、90℃/20kPaで2時間減圧加熱することでエタノールを留去し、共重合体6を含有する水溶液を得た。
(工程1)
内容量500mLの4つ口フラスコにエタノールを53.23g入れ、78℃まで昇温して還流させた。そこにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル150.0g、エタノール16.60gを混合させた溶液と、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.920g、エタノール10.00gを混合させた溶液を別々に2時間かけて滴下して重合した。4時間熟成させた後に冷却し、ポリマー溶液を得た。
(工程2)
内容量1000mLの4つ口フラスコに、得られたポリマー溶液を75.76g、炭酸水素ナトリウム3.470g、水を150.0g入れて50℃まで昇温した。そこに1,3-プロパンスルトン42.73gを2時間かけて滴下して反応を行った。3時間熟成させた後に、90/20kPaで2時間減圧加熱することでエタノールを留去し、重合体7を含有する水溶液を得た
(工程1)
ナスフラスコにスターラーチップ、メタクリル酸ブチル(和光純薬工業(株)製)2.000g、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル19.90g、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.140g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)21.90gを入れ、30分間窒素バブリングを行った。その後、67℃で8時間反応を行い、溶液を空気にさらしながら氷冷した後、乾燥によりポリマー固体を得た。
(工程2)
ナスフラスコに得られたポリマー固体6.000g、2,2,2-トリフルオロエタノール24.00g、1,3-プロパンスルトン4.710gを入れ、ポリマーを溶解させた。50℃で5時間反応を行い、乾燥により共重合体8を固体で得た。
(工程1)
ナスフラスコにスターラーチップ、メタクリル酸ブチル(和光純薬工業(株)製)7.875g、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル13.13g、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.140g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)21.90gを入れ、30分間窒素バブリングを行った。その後、67℃で8時間反応を行い、溶液を空気にさらしながら氷冷した後、乾燥によりポリマー固体を得た。
(工程2)
ナスフラスコに得られたポリマー固体6.000g、2,2,2-トリフルオロエタノール24.00g、1,3-プロパンスルトン3.520gを入れ、ポリマーを溶解させた。50℃で5時間反応を行い、乾燥により共重合体9を固体で得た。
(工程1)
1000mLの4つ口フラスコにエタノールを126.3g入れ、78℃に昇温して還流させた。ここにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル181.1g、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルジエチル硫酸塩47.20g、エタノール53.20gを混合させた溶液と、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)5.830g、エタノール10.00gを混合させた溶液をそれぞれ2時間かけて滴下した。4時間熟成させた後に冷却し、ポリマー溶液を得た。
(工程2)
1000mLの4つ口フラスコに、得られたポリマー溶液を94.70g、炭酸水素ナトリウム3.150g、水を150.0g添加し、50℃に昇温した。そこに1,3-プロパンスルトン38.70gを2時間かけて滴下して反応を行った。3時間熟成させた後に、90℃/20kPaで2時間減圧加熱することでエタノールを留去し、共重合体10を含有する水溶液を得た。
共重合体1~6、8~10及び重合体7の重量平均分子量は、SLS(静的光散乱法)による分子量測定を行った。重量平均分子量(Mw)は光散乱光度計「DLS-7000」(大塚電子(株)製)を用いて、下記の条件で静的光散乱を測定し、Zimm-plotを作製することで算出した。また、分子量の算出に必要な屈折率増分は、示差屈折率計「DRM3000」(大塚電子(株)製)を用いて測定した。
波長:632.8nm(ヘリウムーネオンレーザー)
散乱角:30°から150°まで10°おきに測定した。
平均温度:25°
溶媒:トリフルオロエタノール
上記製造例で得られた共重合体又は重合体を用いて、表1の組成になるように親水化処理剤組成物を調製し、実施例1~6及び比較例2~5の親水化処理剤組成物を得た。比較例1は水以外何も配合しなかった。なお、水はイオン交換水を用いた。また、水は、組成物の組成が100質量%となる量(表中、残部と表示)で用いた。
実施例1~6の親水化処理剤組成物、比較例1の水、比較例2~5の親水化処理剤組成物を用いて、以下の評価を用いた。
予め清浄にしたテストピースを水平に固定し、親水化処理剤組成物1mLを滴下して5分間静置した後、イオン交換水約200mLで軽くすすいで風乾した。
このテストピースの処理部分表面のイオン交換水に対する静止接触角を、自動接触角計「DM-500」(協和界面科学株式会社製)を用いて、添加量10μL、添加6秒後の条件にて測定した。
測定は、2枚のテストピースを用いて、1枚のテストピース当たり5回行い、10個の測定値の平均値を用いた。
接触角が小さいほど、親水化性能に優れる。結果を表1に示す。
テストピースは、以下のものを用いた。
PP:「PPテストピース」(日本テストパネル製、25mm×75mm)
PE:「PEテストピース」(日本テストパネル製、25mm×75mm)
塩化ビニル::「塩化ビニルテストピース」((株)エンジニアリングテストサービス製、材質:硬質ポリ塩化ビニル、25mm×75mm)
アルミニウム:「アルミテストピース」((株)エンジニアリングテストサービス製、25mm×75mm)
SUS:「ステンレステストピース」((株)エンジニアリングテストサービス製、材質:JIS G 4305 SUS304、25mm×75mm)
ガラス:「ガラステストピース」(あけぼの商会、材質:ガラス板(四辺角削り加工)、60mm×60mm)
・SBMA:N-(3-スルホプロピル)-N-メタクリロキシエチル-N、N-ジメチルアンモニウムベタイン
・DOPAMAm:ドーパミンメタクリルアミド
・BzMA:メタクリル酸ベンジル
・St:スチレン
・MOEDES:メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート
・BMA:メタクリル酸n-ブチル
Claims (6)
- 下記式(a1)で表される構成単位(A)と芳香族基を有する構成単位(B)とを含む共重合体からなる親水化処理剤であって、
前記構成単位(B)が、下記式(b1)で表される構成単位及び/又はスチレン由来の構成単位であり、
前記共重合体が、前記構成単位(A)と前記構成単位(B)のランダム共重合体であり、
前記共重合体は、全構成単位中の構成単位(A)の割合が、80モル%以上である、
親水化処理剤。
〔式中、
R1a、R2a、R3a:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R4a:炭素数1以上4以下のアルキレン基、又は-Z1-OPO3 --Z2-
Z1、Z2:同一又は異なって、炭素数1以上4以下のアルキレン基
R5a、R6a:同一又は異なって、炭素数1以上4以下の炭化水素基
X1:O又はNR7aであり、R7aは水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
X2:水素原子、炭素数1以上4以下の炭化水素基、R8aSO3 -、又はR8aCOO-を示す。ただし、R4aが炭素数1以上4以下のアルキレン基のとき、X2はR8aSO3 -、又はR8aCOO-、R8aは炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R4aが-Z1-OPO3 --Z2-のとき、X2は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基である。〕
〔式中、
R 1b 、R 2b 、R 3b :同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
R 4b :総炭素数6以上22以下のアラルキル基又はアリール基
Y 1 :O又はNR 5b であり、R 5b は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基を示す。〕 - 前記共重合体の全構成単位中の前記構成単位(B)の割合が0.1モル%以上20モル%以下である、請求項1記載の親水化処理剤。
- 請求項1又は2記載の親水化処理剤と水を含有する親水化処理剤組成物。
- 請求項3に記載の親水化処理剤組成物を、表面自由エネルギーが5mN/m以上35mN/m以下の固体表面に接触させる、固体表面の親水化方法。
- 表面自由エネルギーが5mN/m以上35mN/m以下の固体表面が、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンの固体表面である、請求項4に記載の固体表面の親水化方法。
- 前記親水化処理剤組成物を、前記固体表面に接触させた後、該固体表面を水ですすぐ、請求項4又は5に記載の固体表面の親水化処理方法。
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