JP7040526B2 - 自動車用窓ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用窓ガラスに関する。
近年、カメラ等の情報デバイスを有する車載システムを車内に搭載して窓ガラス(例えば車両のフロントガラス)を介して、道路状況等の情報信号の送受信を行うことが知られている(特許文献1参照)。これらの車載システムは年々高度化しており、カメラにより取得した被写体の撮影画像を解析することで、対向車、前走車、歩行者、交通標識、車線境界線等を認識し、運転者に危険を知らせる等の様々な運転の支援を行うことができる。
また、この車載システムのカメラは、フロントガラスの中央上部近傍等、遮蔽層を有する位置に設置されるケースが多い。その場合、カメラの撮影範囲に対応する遮蔽層には、情報信号を送受信するための透過領域として、光学的開口部が設けられる。すなわち、情報信号を送受信するための透過領域の周囲には遮蔽層が設けられている場合が多い(特許文献2参照)。
特開2016-107755号公報 特開2006-327381号公報
ところで、特許文献1や特許文献2のようにカメラ等の情報デバイスを車内に搭載する場合、カメラで得られた画像情報等を計算処理したり、通信を行ったりするためにカメラに加えて情報処理装置を併せて設けた車載システムとする場合が多い。近年はカメラで得られた情報から瞬時に衝突を抑制する機構を作動させたり、運転者の運転操作を補助する機能を持たせたり、とカメラで得られた情報の処理は益々重要かつ高度になってきている。
その一方で、処理する情報量が高速かつ膨大になってくることによる情報処理装置への負荷が問題となってくる。他の家庭用のコンピュータと同様に、情報処理装置の負荷が大きくなることによる発熱の問題は避けられない。そのため、処理により発生した熱に加え、自動車の窓ガラスの外側から入り込む熱をさらに受けてしまった場合、カメラや情報処理装置がオーバーヒートし、誤作動を起こしたり動作しなくなったりする問題があった。
本発明は、カメラをはじめとする情報送受信装置および情報処理装置等を備える車載システムへの熱による負荷を低減可能な自動車用窓ガラスを提供することを目的とする。
本発明の自動車用窓ガラスは、車外と電波および/または光の信号の送受信を行う車載システムを車内に取り付け可能な自動車用窓ガラスであって、板状ガラス部材と、前記板状ガラス部材の車内面上に、前記板状ガラス部材の外周に沿って設けられた遮蔽層と、を有し、前記遮蔽層は、前記板状ガラス部材の上辺中央から面内方向に突出する突出部を有し、前記突出部は、前記信号の送受信にともない該信号が透過する信号透過領域を備える開口部を有し、低放射層が、前記板状ガラス部材の車内面上に、前記開口部の外周の少なくとも一部に沿うように、かつ前記信号透過領域の少なくとも一部を取り囲むように設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、カメラをはじめとする情報送受信装置および情報処理装置等を備える車載システムへの熱による負荷を低減可能な自動車用窓ガラスを提供できる。
本発明に係るフロントガラスの一実施形態の平面図である。 図1に示すフロントガラスのX-X線における断面図である。 本発明に係るフロントガラスの別の実施形態の上辺中央付近の拡大平面図である。 本発明の実施形態に係るフロントガラスの低放射層の構成例を説明する平面図である。 本発明の実施形態に係るフロントガラスの低放射層の別の構成例を説明する平面図である。 本発明の実施形態に係るフロントガラスの低放射層の別の構成例を説明する平面図である。 本発明の実施形態に係るフロントガラスの低放射層の構成例を説明する断面図である。 本発明の実施形態に係るフロントガラスの低放射層の別の構成例を説明する断面図である。 本発明の実施形態に係るフロントガラスの低放射層の別の構成例を説明する断面図である。 本発明の実施形態に係るフロントガラスの低放射層の別の構成例を説明する断面図である。 本発明の実施形態に係るフロントガラスの低放射層の別の構成例を説明する断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態を、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、変更または変形することができる。
図1は本発明に係るフロントガラスの一実施形態の平面図である。図2は図1に示すフロントガラスのX-X線における断面図である。本発明の自動車用窓ガラスは、車外と電波および/または光の信号の送受信を行う車載システムを車内に取り付け可能な自動車用窓ガラスであって、フロントガラス、リヤガラス、サイドガラス、ルーフガラス等に適用可能であり、フロントガラスへの適用が好適である。
本明細書において「上」および「下」の表記は、自動車用窓ガラスを車両に搭載した際のそれぞれ上および下を示す。自動車用窓ガラスの「上部」とは、自動車用窓ガラスが車両に搭載された場合の上側の部分のことであり、また、その「下部」とは、自動車用窓ガラスが車両に搭載された場合の下側の部分のことである。
また、本明細書において、板状ガラス部材の「周縁部」とは、板状ガラス部材の外周から主面の中央部に向かって、ある一定の幅を有する領域を意味する。本明細書において、板状ガラス部材の主面において中央部から見て外周側を外側、外周からみて中央部側を内側という。本明細書において、低放射層および遮蔽層の「端面」とは、一方の主面と他方の主面とを接続する面をいい、「端部」とは、端面から主面の中央部に向かってある一定の幅を有する部分をいう。
図1および図2に示す、フロントガラス1は、板状ガラス部材2と、板状ガラス部材2の車内面Sa上であって、板状ガラス部材2の外周に沿って設けられた、可視光を遮蔽する遮蔽層5を有する。遮蔽層5は、板状ガラス部材2の上辺中央から面内方向(下方)に向けて突出するように形成された突出部7を有する。突出部7は、中央部に車載システムの信号の送受信にともない該信号が透過する信号透過領域3を備える開口部4を有する。開口部4の車内面Sa上には、開口部4の外周の少なくとも一部に沿うように、かつ、信号透過領域3の少なくとも一部を取り囲むように低放射層6が設けられている。なお、図1は、フロントガラス1の車内側から見た平面図である。
図1に車載システムの取り付け部Aを点線で示す。取り付け部Aは遮蔽層5の開口部4の周辺に位置する。図2にフロントガラス1に車載システムが取り付けられた場合の車載システム40の概略の構成を点線で示す。車載システム40は、情報送受信装置41、情報処理装置42、およびこれらを収容する筐体43を有する。車載システム40は、例えば、筐体43が取り付け部Aに接着層44を介して取り付けられていてもよい。筐体43は不図示のブラケットに取り付けられていてもよく、その場合、ブラケットが接着層44を介して取り付け部Aに取り付けられていてもよい。
遮蔽層5は、板状ガラス部材2の車内面Saの少なくとも車載システムの取り付け部Aを含む領域に設けられる。フロントガラスにおいて、車載システムの取り付け部Aは、通常、フロントガラスの上部に位置する。遮蔽層5は取り付け部Aを含み、かつ運転者の視界を妨げない領域に設けられる。
フロントガラス1において、遮蔽層5は、板状ガラス部材2の車内面Sa上の周縁部に設けられている。そして、開口部4を有し取り付け部Aを含む遮蔽層5が、突出部7として、周縁部の遮蔽層5と連続的に設けられている。なお、周縁部の遮蔽層5と開口部4を有し取り付け部Aを含む遮蔽層5は離間して設けられていても構わない。また、遮蔽層5は、例えば、フロントガラス1の車体取り付け部分を隠蔽する目的でその周縁部の全部に帯状に設けられることがあるが、必ずしも周縁部の4辺全部である必要はなく、周縁部の一部に遮蔽層5が形成されることもある。
遮蔽層5は、黒色セラミックス層等の従来公知の材料からなってよい。遮蔽層5の厚みは、視認性に問題のない範囲であれば特に制限されない。遮蔽層5の厚みは、8~20μm程度が好ましく、10~15μmがより好ましい。
フロントガラス1が有する板状ガラス部材2は合わせガラスである。板状ガラス部材2である合わせガラスは、車内ガラス板2Aと、車外ガラス板2Bが、中間接着層2Cを介して接着された構成である。以下、板状ガラス部材2である合わせガラスに2の符号を付して説明する。車内ガラス板2Aおよび車外ガラス板2Bは、それぞれ、ガラス板2Aおよびガラス板2Bともいう。
板状ガラス部材2が合わせガラスの場合、遮蔽層5は車内ガラス板2Aの中間接着層2Cとは反対側の主面、すなわち合わせガラス2の車内面Sa上に設けられる。ただし、遮蔽層5は、必要に応じて、車外ガラス板2Bの中間接着層2C側の主面に設けられてもよい。遮蔽層5は、車内ガラス板2Aの中間接着層2Cとは反対側の主面と、車外ガラス板2Bの中間接着層2C側の主面の両方に設けられていてもよい。
合わせガラス2における2枚のガラス板2A、2Bとしては、自動車の窓ガラスに用いられる従来公知のガラス板が使用可能である。ガラス板2A、2Bは、例えば、公知のフロート法で製造されたガラス板が好ましい。フロート法では、溶かしたガラス素地を錫等の溶融金属の上に浮かべ、厳密な温度操作で厚み、板幅の均一なガラス板を成型する。
ガラス板2A、2Bの板厚は特に限定されないが、0.5mm以上3.0mm以下であることが好ましい。ガラス板2A、2Bの板厚は同じであってもよいし、異なっていてもよい。ガラス板2A、2Bの板厚が異なる場合、車内ガラス板2Aの板厚は、0.3mm以上2.3mm以下であることが好ましい。車内ガラス板2Aの板厚が0.3mm以上であることによりハンドリング性がよく、2.3mm以下であることによりフロントガラス1の質量が大きくなり過ぎない。
また、車内ガラス板2Aの板厚を0.3mm以上2.3mm以下とすることで、ガラス品質(例えば、残留応力)を維持できる。車内ガラス板2Aの板厚を0.3mm以上2.3mm以下とすることは、曲がりの深いガラス板におけるガラス品質(例えば、残留応力)の維持に特に有効である。車内ガラス板2Aの板厚は、0.5mm以上2.1mm以下がより好ましく、0.7mm以上1.9mm以下がさらに好ましい。
車外ガラス板2Bの板厚は、1.8mm以上3mm以下であることが好ましい。車外ガラス板2Bの板厚が1.8mm以上であると、耐飛び石性能等の強度が十分であり、3mm以下であると、フロントガラス1の質量が大きくなり過ぎず、車両の燃費の点で好ましい。車外ガラス板2Bの板厚は、1.8mm以上2.8mm以下がより好ましく、1.8mm以上2.6mm以下がさらに好ましい。ただし、ガラス板2A、2Bの板厚は常に一定ではなく、必要に応じて場所毎に変わってもよい。例えば、ガラス板2A、2Bの一方または両方が、フロントガラス1を車両に取り付けたときの垂直方向の上端側の厚さが下端側よりも厚い断面視楔状の領域を備えていてもよい。
ガラス板2A、2Bを構成するガラスの組成の一例としては、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを50~80%、Bを0~10%、Alを0.1~25%、LiO+NaO+KOを3~30%、MgOを0~25%、CaOを0~25%、SrOを0~5%、BaOを0~5%、ZrOを0~5%およびSnOを0~5%含むガラスが挙げられるが、特に限定されない。
中間接着層2Cの組成は、従来の合わせガラスに一般に用いられるものでよく、例えばポリビニルブチラール(PVB)やエチレンビニルアセタール(EVA)等を用いることができる。また、加熱前は液状である熱硬化性樹脂を中間接着層2Cの構成材料として用いてもよい。
図2に示される情報送受信装置41は、例えば、カメラまたはセンサである。遮蔽層5において、突出部7における開口部4は、情報送受信装置41が電波(300MHz-10GHz)および/または光(380nm-1100nm)の信号の送受信を行う際に信号が透過する信号透過領域3を確保するために設けられる。電波には、ミリ波(30-300GHz)が含まれる。信号透過領域3は、情報送受信装置41がミリ波の信号を送受信する用途にも適用可能である。
信号透過領域3の形状、面積は、情報送受信装置41による。信号透過領域3は、具体的には、板状ガラス部材2上に遮蔽層5を有しない構成であり、電波、光等の透過特性は、板状ガラス部材2の電波、光等の透過特性と同様である。
フロントガラス1おいて、板状ガラス部材2の日射透過率(Te)は60%以下であり、かつ、可視光透過率(Tv)は70%以上であることが好ましい。日射透過率(Te)は55%以下がより好ましく、48%以下が特に好ましい。また、日射反射率(Re)は、5%以上がより好ましく、7%以上が特に好ましい。さらに、熱吸収の量を表すAe(Ae=100-Te-Re)は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、45%以上が特に好ましい。
可視光透過率(Tv)は72%以上がより好ましく、73%以上が特に好ましい。また、信号透過領域3のヘイズ値は1.0%以下であることが好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.6%以下が特に好ましい。
なお、日射透過率(Te)、日射反射率(Re)および可視光透過率(Tv)は、分光光度計等により、少なくとも300~2100nmが含まれる波長域の透過率、反射率を測定し、それぞれJIS R3106(1998年)およびJIS R3212(1998年)で規定される計算式から算出される値である。本明細書において、特に断りのない限り、日射透過率、日射反射率および可視光透過率は、上記の方法で測定、算出される日射透過率(Te)、日射反射率(Re)および可視光透過率(Tv)をいう。
信号透過領域3において、可視光透過率(Tv)、日射透過率(Te)、日射反射率(Re)やヘイズ値は、特に制限されず、上記のとおり板状ガラス部材2と同様とできる。ここで、信号透過領域3においては、赤外線透過率、具体的には、分光光度計等により測定される600~1100nmにおける平均透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上がより好ましい。
上記赤外線透過率は信号透過領域3に求められる特性である。したがって、このような信号透過領域3に求められる特性に応じて、板状ガラス部材2の信号透過領域3のみを信号透過領域3以外の領域と異なる特性に変更してもよい。例えば、板状ガラス部材が合わせガラス2である場合、適宜、中間接着層2Cの構成材料を上記の材料から変更することができる。また、信号透過領域3に対応する箇所の中間接着層2Cをくり抜き、信号透過領域3以外の領域と別の中間接着層にしても構わない。また、板状ガラス部材2の信号透過領域3には撥水機能、親水機能、防曇機能、遮熱機能、電熱機能等を付与するコーティングが施されていてもよい。
開口部4は信号透過領域3の全域を開口部4の領域内に含むように設けられる。図1、図2に示されるフロントガラス1おいて、開口部4は信号透過領域3より面積の大きい領域である。開口部4の大きさは、開口部4の外周と信号透過領域3の外周の間に以下の低放射層6が配設できる大きさとする。開口部4の形状は特に限定されない。開口部4の形状は、例えば、信号透過領域3の形状の相似形状であってもよく、相似形状とは異なる形状であってもよい。
なお、フロントガラス1おいて、開口部4の下部には遮蔽層5がなくてもよい。図3に、開口部4の下部に遮蔽層5がない、フロントガラス1の変形例における、上辺中央付近の拡大平面図を示す。図3に示すように、開口部4において、下部の遮蔽層5がない場合、開口部4の両側部の最下端を結ぶ仮想線と、遮蔽層5とで囲まれる領域が開口部4の領域である。すなわち、開口部4において、下部の遮蔽層5がない場合であっても、開口部4の両側部の最下端を結ぶ仮想線と、遮蔽層5とで囲まれる領域は、信号透過領域3の全域をその領域内に含む。開口部4が形成されている突出部7は、開口部4を有してればよく、その面積、形状は特に限定されない。
低放射層6は開口部4の外周の少なくとも一部に沿うように設けられ、かつ、信号透過領域3の少なくとも一部を取り囲むように設けられる。低放射層6は、車載システム40への熱の伝搬を抑制する効果を有する。
上記のとおり車載システム40は、例えば、筐体43が取り付け部Aに接着されることで遮蔽層5上に固定される。これは、車載システム40を固定する場所を隠ぺいすることによって意匠性を向上させること、固定する場所に用いられる接着層44の劣化を防ぐこと、さらに板状ガラス部材2の面上よりも遮蔽層5の面上の方が安定して固定できることによる。
一方で、上記のように車載システム40を遮蔽層5上に固定すると、車載システム40と遮蔽層5との距離が近くなり、遮蔽層5が吸収した熱エネルギーが開口部4を介して車載システム40に伝搬しやすくなる。また、情報送受信装置41がカメラの場合、カメラを板状ガラス部材2に近づければ近づけるほど同じ大きさの開口部4に対してカメラの視野角が大きくなる。カメラを板状ガラス部材2に近づける場合、カメラと板状ガラス部材2との間の空間を密閉構造にする手段が現実的であるが、そうするとその空間から熱が逃げずに、車載システム40に負荷を与える要因となる。したがって、開口部4には車載システム40へのこのような熱の伝搬を抑制する方策が必要になる。
低放射層6を信号透過領域3の少なくとも一部を取り囲むように設けることにより遮蔽層5が吸収した熱エネルギーが開口部4を介して情報送受信装置41や情報処理装置42に伝搬するのを抑制できる。熱伝搬抑制効果を高めるために、低放射層6は信号透過領域3の全周の10~100%に対応する領域に、信号透過領域3を取り囲むように設けられていることが好ましく、信号透過領域3の全周を取り囲むように設けられていることがより好ましい。
低放射層6は、信号透過領域3を取り囲むように、かつ、遮蔽層5の開口部4の外周の少なくとも一部に沿って設けられる。低放射層6による上記熱伝搬抑制効果は、低放射層6の厚みが同じ場合その面積が大きいほど大きい。したがって、最大限の効果を発揮するためには、信号透過領域3の外周と開口部4の外周の間の領域全体に低放射層6を設けることが好ましい。一方、信号透過領域3を確実に確保するためには、信号透過領域3の外周から所定の距離をおいて低放射層6が設けられることが好ましい。
上記観点から、低放射層6は、例えば、図4に平面図示す構成の低放射層が好ましい。図4に示す低放射層6は、信号透過領域3の全周を取り囲む構成であり、低放射層6の外周が開口部4の外周に接するとともに、低放射層6の内周は信号透過領域3の外周から所定の距離をおいて設けられている。なお、図3に示すフロントガラス1のように開口部4の下部に遮蔽層5がない場合、低放射層6は、開口部4の遮蔽層5との境界の3辺に沿って設けられてもよい。この場合、低放射層6は、信号透過領域3の下部以外の外周を取り囲む構成である。
低放射層6の幅wは、3~20mmであることが好ましい。幅wは、より好ましくは5~15mmである。ここで、低放射層6の幅wとは、低放射層6の外周と内周の距離を指し、遮蔽層5の開口部4の外周から信号透過領域3の方向に向かう幅と一致する。また、低放射層6の内周と信号透過領域3の外周の距離Lは、該距離が最も短い箇所の距離Lminとして、5mm以上であることが好ましく、該距離が最大の箇所の距離Lmaxとして、20mm以下が好ましい。
低放射層6の厚みTは、低放射層6の構成材料または製造方法による。低放射層6の厚みは、典型的にはスパッタリング法により製造される蒸着膜の場合、150~250nmが好ましく、銀ペースト焼成膜の場合、3~20μmが好ましい。なお、本明細書における低放射層6の厚みとは低放射層6が設けられている領域における最大厚みのことである。
低放射層6の放射率は0.8以下が好ましく、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.1以下である。なお、低放射層6の放射率は、JIS R3106に規定された方法で測定できる。
低放射層6は、金属または金属酸化物からなることが好ましい。金属としては銀が好ましい。金属酸化物としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)が好ましい。低放射層6は、例えば、銀ペースト焼成膜、ITO膜等の低放射性の膜からなることが好ましい。低放射層6は、銀を主成分とする金属層(以下、銀層ともいう)が誘電体層の間に挟み込まれるように積層された銀系多層膜からなってもよい。銀系多層膜における誘電体層は、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物等を主成分とする材料からなる層である。ITO膜や銀系多層膜は、例えば、スパッタリング法により製造される膜である。
低放射層6は、低放射性の膜であれば適宜使用することができる。所望の領域へ選択的に成膜し易い点や、コスト的な観点から低放射層6は銀ペースト焼成膜が好ましい。
低放射層6は、図4に示す低放射層6のように熱伝搬抑制効果を高めるために信号透過領域3の全周を取り囲むように枠状に設けられてもよい。また、図5に平面図を示すように、図4に示す低放射層6の枠形状の一か所が切断された形状として、外部電源等の通電機構と接続することで通電可能な構成としてもよい。図5に示す、低放射層6は、例えば、2つの端部を外部電源に接続することで、外気温が低く板状ガラス部材2が曇り易いおよび/または氷結し易い環境下にある場合に、通電することで加熱して信号透過領域3が曇るおよび/または氷結することを抑制することが可能である。なお、外気温が低い場合には、低放射層6を加熱しても、車載システム40にかかる熱の負荷は殆どない。
また、図5に示す、低放射層6は、例えば、2つの端部を外部電源に接続して通電状態に保持していれば、信号透過領域3の周辺の板状ガラス部材2が破損した場合に、低放射層6が断線することで、該破損を検知できるため好ましい。
なお、低放射層6は、信号透過領域3に近い領域の膜厚が他の領域の膜厚よりも薄くなっていたり、信号透過領域3に近い領域がドットパターンで構成されるように形成されたりしても構わない。図6は信号透過領域3に近い領域がドットパターンで構成されるように形成された低放射層6の例を示す平面図である。図6に示す低放射層6は、信号透過領域3に近い領域がドットパターンで構成される以外、図4に示す低放射層6と同様にできる。低放射層6を図6のように構成することで信号透過領域3との境界部をシームレスに形成し外部から信号透過領域3を目立ち難くすることができる。ドットパターンにおけるドットの形状は、円形に限定されず、楕円、長方形、多角形、星形等とすることもできる。また、ドットの部分を透明にして、他の部分に低放射層を設けるドットパターンとすることもできる。
図1、図2および図3に示すフロントガラス1は、低放射層6が板状ガラス部材2の車内面Saに接するように形成されている例である。低放射層6は、開口部4の外周の少なくとも一部に沿うように、かつ、信号透過領域3の少なくとも一部を取り囲むように設けられる限り、板状ガラス部材2の車内面Sa上に形成された遮蔽層5の車内面に接するように形成されてもよい。すなわち、本発明において、「低放射層が板状ガラス部材の車内面上に設けられる」とは、低放射層と板状ガラス部材の車内面との間に別の層が存在する場合を含む。
例えば、平面形状は図4や図5と同様に枠形状または枠形状の一か所が切断された形状であるが、その内周が開口部4の外周と一致する大きさの低放射層6を、該内周が開口部4の外周と一致するように遮蔽層5の車内面上に設けてもよい。図6に示す低放射層6を同様に、その内周が開口部4の外周と一致するように、遮蔽層5の車内面上に設けてもよいが、ドットパターンの効果が発揮されないため、生産性の点から好ましくない。低放射層6を、その内周が開口部4の外周と一致するように、遮蔽層5の車内面上に設ける場合、ドットパターンは、例えば、後述の図10に示すように外側に設けるのが好ましい。
低放射層6の断面の構成例を図7、図8、図9、図10および図11を参照して説明する。図7、図8、図9、図10および図11は、各構成例におけるフロントガラス1の上部の開口部4付近における上下方向の断面図を示す。
図7に示すフロントガラス1の構成例において、低放射層6の平面形状は、例えば、図4で示されるのと同様の枠状の形状である。図7に示す低放射層6は、外側の端面が、遮蔽層5の端面と接するように、内側の端面が信号透過領域3の外周を臨むように設けられる。図7に示す低放射層6は、層内全体において略均一の厚みTを有する構成である。図7に示す低放射層6の、厚みT、幅w、内側の端面と信号透過領域3の外周の距離Lは、上記で説明したのと同様にできる。
図8に示すフロントガラス1は、低放射層6が遮蔽層5の端部を覆うように設けられた構成例である。図8に示す低放射層6は、外側の端面が遮蔽層5の端面を超えて遮蔽層5の車内面上に位置するように、言い換えれば、外側の端部が遮蔽層5の内側の端部の上に重なるように設けられ、内側の端面は信号透過領域3の外周を臨むように設けられる。低放射層6の遮蔽層5の内側の端部に重ねて設けられる部分は、それ以外の部分の厚みTと略同じ厚みt1に形成される。図8に示す低放射層6の平面形状は、例えば、枠状の形状であって、図7に示す低放射層6よりも車内側から見て幅が大きい構成である。なお、低放射層6が図8に示す断面形状である場合、車外側から見た平面の形状は、図7に示す断面形状の低放射層6と同様に見え、意匠性の点では2者は同様である。
図8に示す低放射層6の、厚みT、内側の端面と信号透過領域3の外周の距離Lは、上記で説明したのと同様にできる。図8に示す低放射層6の幅wは、上記の幅より端部の重なり部分の幅wsの分だけ大きくできる。端部の重なり部分の幅wsは、例えば、2~5mm程度が好ましい。また、端部の重なり部分における低放射層6の厚みt1は、銀ペースト焼成膜の場合、上記厚みTと同様3~20μm程度が好ましい。
図8に示す、低放射層6は、遮蔽層5の端部を覆うように設けられていることによって、より効果的に遮蔽層5が吸収した熱エネルギーが開口部4を介してカメラ等を含む車載システム40に伝搬するのを抑制できる。
なお、図5および図6に示す平面形状の低放射層6においても、上記同様に低放射層6の外側の端面を遮蔽層5の端面に接するような構成としてもよく、低放射層6の外側の端部を遮蔽層5の内側の端部の上に重ね合わせて設けた構成としてもよい。
図9に示すフロントガラス1の構成例において、低放射層6の平面形状は、例えば、図4で示されるのと同様の枠状の形状であるが、その内周が開口部4の外周と略一致する大きさである。図9に示す低放射層6は、内側の端面の位置が遮蔽層5の内側の端面の位置と略一致し、全体が遮蔽層5と重なるように、遮蔽層5の車内面上に設けられている。すなわち、図9に示す構成においては、低放射層6は、開口部4内に設けられていない。つまり、低放射層6が図9に示す断面形状である場合、車外側から低放射層6を視認できず、意匠性の点で好ましい。
図9に示す構成においては、開口部4と信号透過領域3とは略同じ面積としてもよい。一方、図4に示されるのと同様に信号透過領域3を確実に確保するためには、信号透過領域3の外周から所定の距離Lをおいて低放射層6が設けられることが好ましい。そのため、図9に示す構成においても、低放射層6の内周と信号透過領域3の外周の距離Lは、該距離が最も短い箇所の距離Lminとして、5mm以上であることが好ましく、該距離が最大の箇所の距離Lmaxとして、20mm以下が好ましい。
図9に示す構成において、低放射層6の幅wは、低放射層6の外周と内周の距離であり、遮蔽層5の形成領域に応じて適宜調整できる。低放射層6の幅wは、好ましくは3~50mm、より好ましくは5~30mmとできる。低放射層6の幅wは、枠形状の全体で同じであってもよく、異なってもよい。例えば、下部における低放射層6の幅wを、遮蔽層5の形成領域に合わせて上部や左右の側部における低放射層6の幅wに比べて小さく設定してもよい。なお、車載システム40の取り付け部Aと低放射層6の形成領域は、接着性の観点から重ならないことが好ましい。図9に示す構成において、低放射層6の厚みTは、上記と同様に蒸着膜の場合、150~250nmが好ましく、銀ペースト焼成膜の場合、3~20μmが好ましい。
なお、低放射層6は遮蔽層5よりも車内側に設けられていることが必要である。例えば、遮蔽層5を2層にしてその間に低放射層6を挟む構成では低放射層6を介して車外側の遮蔽層5から車内側の遮蔽層5に熱エネルギーが伝搬してしまうためである。
図10に示すフロントガラス1の構成例において、低放射層6の平面形状は、例えば、枠状の形状であり、その内周が開口部4の外周と略一致する大きさである。図10に示す低放射層6は、内側の端面の位置が遮蔽層5の内側の端面の位置と略一致し、全体が遮蔽層5と重なるように、遮蔽層5の車内面上に設けられている。図10に示す低放射層6は、開口部4の外周からに離れた領域がドットパターンで構成される例である。ドットパターンにおけるドットの形状は、上記で説明したのと同様にできる。
図10に示す低放射層6では、ドットパターンは開口部4の外周からに離れるほどドットの幅が小さく(w4<w3<w2)、ドット間の距離が大きい構成である。低放射層6のうち幅w1で示される領域はドットが形成されていない領域である。すなわち、図10に示す低放射層6では、開口部4の外周から離れるほどドットの形成領域の面積が小さく、ドットが形成されていない領域の面積が大きくなる構成である。言い換えれば、図10に示す低放射層6は、低放射層6が遮蔽層5を覆う面積の割合が、開口部4の外周から離れるにつれて減少する構成である。該面積の割合の減少は段階的であってもよく連続的であってもよい。図10に示す低放射層6の、幅w、厚みT、内側の端面と信号透過領域3の外周の距離Lは、図9に示す低放射層6で説明したのと同様にできる。
図11に示すフロントガラス1の構成例において、低放射層6の平面形状は、例えば、図10に示す低放射層6と外周と内周が略一致する枠形状であり、図10に示す低放射層6と同様に遮蔽層5の車内面上に設けられている。図11に示す低放射層6の厚みは、開口部4に近い領域より開口部4からに離れた領域が小さくなるように構成される。具体的には、低放射層6の内側の端面の高さ(厚み)をTとし、外側の端面の高さ(厚み)をt2としたときに、T>t2の関係を満たす。このように、図11に示す低放射層6は、厚みが、開口部4の外周から離れるにつれて減少する構成である。低放射層6の厚みの減少は段階的であってもよく連続的であってもよい。
図11に示す低放射層6の幅w、内側の端面と信号透過領域3の外周の距離Lは、図9に示す低放射層6で説明したのと同様にできる。なお、図10に示すように、低放射層6が開口部4の外周からに離れた領域がドットパターンで構成され、低放射層6が遮蔽層5を覆う面積の割合が、開口部4の外周から離れるにつれて減少する構成に、低放射層6の厚みが、開口部4の外周から離れるにつれて減少する構成を組み合わせてもよい。
図10や図11に示すように遮蔽層5の車内面上に形成されている低放射層6の遮蔽層5を覆う面積の割合が、開口部4の外周から離れるにつれて減少するように形成する構成や、遮蔽層5の車内面上に形成されている低放射層6の厚みが、開口部の外周から離れるにつれて減少するように形成する構成とすることで、またはこれらの構成を組み合わせることで効果的に熱エネルギーの輻射を防ぐことができる。また、これらの構成を単独でまたは組み合わせてフロントガラス1に適用することで、遮蔽層5と低放射層6の熱膨張率差があったとしても、板状ガラス部材2に生じる残留応力を減らし、耐衝撃性を向上させることができる。
本発明の自動車窓ガラスへの車載システムの取り付けは、上記のとおり、例えば、図2に示すように行うことができる。すなわち、車載システム40は遮蔽層5上に、例えば、接着剤等を介して係合等の手段により固定される。なお、車載システム40の取り付けに際して、カメラ等の情報送受信装置41と板状ガラス部材2の車内側主面との間の空間を密封する封止部が設けられていてもよい。封止部は、情報送受信装置41の外径幅に合わせた形状であってもよく、車載システム40と板状ガラス部材2との間に形成される空間全体を密封する形状であってもよい。
上記のように封止部で密封した場合、情報送受信装置41と板状ガラス部材2との間が密閉空間であり、該空間内は、外部との空気の流通がなく、車室内の温度や湿度の変化に影響されない環境である。したがって、カメラ等の情報送受信装置41のレンズ表面や信号透過領域3で、結露等の曇りが生じにくくなる。その一方で、外部からの熱エネルギーが逃げることもないため、該空間への熱エネルギーの伝搬自体を抑えることが非常に重要である。本実施形態の自動車窓ガラスは、遮蔽層の開口部の周囲に低放射層が設けられていることで熱エネルギーの伝搬が効果的に抑制できる。
また、封止部内の一例として、封止部で密封されて得られる密閉空間が減圧されていることが望ましい。減圧することにより密閉空間内に存在し得る湿気を減らすことができる。
さらに、別の一例として、封止部で密封されて得られる密閉空間内に、板状ガラス部材2に対して屈折率が±10%以内の液体またはゲル体が充填されていてもよい。液体またはゲル体は、例えばマッチングオイルやジェルなどであり、屈性率整合剤などである。液体やゲル体を充填させることにより、密閉空間内の湿気を除去することが可能である。
(自動車用窓ガラスの製造方法)
本発明の自動車用窓ガラスは一般的に用いられる公知の技術により製造できる。本発明の自動車用窓ガラスの製造方法を図1に示すフロントガラス1を例に以下に説明する。フロントガラス1において板状ガラス部材2は合わせガラスである。
合わせガラス2の製造に際して、まず、車内ガラス板2Aおよび車外ガラス板2Bの間に中間接着層2Cを挿入して、圧着前の合わせガラスである合わせガラス前駆体を準備する。この合わせガラス前駆体をゴムバッグのような真空バッグの中に入れ、この真空バッグを排気系に接続する。真空バッグ内の圧力が約-65~-100kPaの減圧度(絶対圧力約36~1kPa)となるように減圧吸引(脱気)しながら温度約70~110℃で予備接着(予備圧着)を行った後、この予備接着された合わせガラス前駆体をオートクレーブの中に入れ、温度約120~150℃、圧力約0.98~1.47MPaの条件で加熱加圧して本接着(本圧着)を行うことにより、合わせガラス2を得ることができる。
この合わせガラス2の車内面Sa上に、例えば、黒色セラミックスからなる遮蔽層5を従来公知の方法で形成する。黒色セラミックス層5としては、具体的には、耐熱性黒色顔料の粉末を低融点ガラス粉末とともに樹脂および溶剤に加えて混練した黒色セラミックスペーストを印刷等によって合わせガラス2の車内面Saの所定の領域に塗布し、加熱して焼き付けることで形成された黒色セラミックス層が挙げられる。また、黒色セラミックス層の形成に用いる黒色顔料には、複数の有色顔料の組み合わせにより黒色となる顔料の組み合わせも含まれる。遮蔽層5の厚みは、上記のとおりである。
低放射層6として銀ペースト焼成膜を用いる場合、銀ペーストを印刷等によって合わせガラス2の車内面Saの所定の領域に塗布し、加熱して焼き付けることで形成することができる。銀ペーストは、例えば、銀粉末と低融点ガラス粉末を樹脂および溶剤に加えて混練して調製できる。銀ペーストにおいては、得られる低放射層6において求められる放射率が得られるように、銀粉末と低融点ガラス粉末の割合が適宜調整される。
遮蔽層5および低放射層6は、遮蔽層5となる黒色セラミックスペーストと低放射層6となる銀ペーストをそれぞれ印刷後、加熱焼き付けを同時に行うことも可能であり、生産性の観点からこの方法が好ましい。この場合、黒色セラミックスペーストの印刷と銀ペーストの印刷は、上記実施形態に応じて低放射層6と遮蔽層5が重なり部分を有しない場合は、いずれが先に行われてもよいが、通常は、黒色セラミックスペーストの印刷を先に行う。黒色セラミックスペーストの印刷と銀ペーストの印刷を同時に行える場合は、同時に行ってもよい。なお、必要に応じて、黒色セラミックスペーストを印刷、焼成して遮蔽層5を形成後、銀ペーストを印刷、焼成して低放射層6を形成してもよい。
低放射層6として、銀系多層膜およびITO膜を用いる場合、銀系多層膜およびITO膜は、典型的にはスパッタリング法により成膜できる。成膜方法としては、例えば、スパッタリング法以外の物理的蒸着法(真空蒸着法、イオンプレーティング法)、化学的蒸着法(熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法)、イオンビームスパッタリング法等を適用してもよい。
この場合、遮蔽層5を形成後、低放射層6を所定の領域に選択的に形成するためにマスキングを行った後に低放射層6の成膜を行う。これに比べて、銀ペースト焼成膜の場合は、粘性のある銀ペーストをマスキングなしに所定の領域に簡便に塗布することができるため好ましい。
以上、図面等を用いてフロントガラスを例に本発明の実施形態に係る自動車用窓ガラスについて説明したが、本発明の自動車用窓ガラスはこれに限定されない。本発明の趣旨および範囲を逸脱することのない範囲で、設計を変更または変形することができる。
本発明の自動車用窓ガラスは、情報信号の送受信を行う自動車用窓ガラスにおいて、車内側に情報処理装置を搭載する自動車用窓ガラス、特にはフロントガラスに好適に用いられる。
1 フロントガラス
2 板状ガラス部材
3 信号透過領域
4 開口部
5 遮蔽層
6 低放射層。

Claims (13)

  1. 車外と電波および/または光の信号の送受信を行う車載システムを車内に取り付け可能な自動車用窓ガラスであって、
    板状ガラス部材と、
    前記板状ガラス部材の車内面上に、前記板状ガラス部材の外周に沿って設けられた遮蔽層と、を有し、
    前記遮蔽層は、前記板状ガラス部材の上辺中央から面内方向に突出する突出部を有し、
    前記突出部は、前記信号の送受信にともない該信号が透過する信号透過領域を備える開口部を有し、
    低放射層が、前記板状ガラス部材の車内面上に、前記開口部の外周の少なくとも一部に沿うように、かつ前記信号透過領域の少なくとも一部を取り囲むように設けられていることを特徴とする自動車用窓ガラス。
  2. 前記低放射層は、金属または金属酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の自動車用窓ガラス。
  3. 前記低放射層は、銀ペースト焼成膜により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用窓ガラス。
  4. 前記低放射層は、ITO膜により形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
  5. 前記低放射層は、前記遮蔽層の端部を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
  6. 前記低放射層は、前記信号透過領域に近い領域がドット状に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
  7. 前記板状ガラス部材は合わせガラスであり、フロントガラスであることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
  8. 前記低放射層は、前記信号透過領域の全周を取り囲むように設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
  9. 前記低放射層は、前記板状ガラス部材の曇りおよび/または氷結を防止するための加熱可能な通電機構に接続されていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
  10. 前記低放射層は、前記板状ガラス部材が破損した際に検知可能とする通電機構に接続されていることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
  11. 前記低放射層の放射率は0.8以下であることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
  12. 前記低放射層は、前記遮蔽層の車内面上に、前記低放射層の前記遮蔽層を覆う面積の割合が、前記開口部の外周から離れるにつれて減少するように形成されていることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
  13. 前記低放射層は、前記遮蔽層の車内面上に、前記低放射層の厚みが、前記開口部の外周から離れるにつれて減少するように形成されていることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の自動車用窓ガラス。
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