JP2015229614A - 車両用窓ガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明では膜表面の損傷に伴う外観の変化が抑制された低放射膜が形成された、車両用窓ガラスを得る事を目的とした。
【解決手段】ガラス基材上に低放射膜、該低放射膜上に保護膜を有する車両用窓ガラスにおいて、該低放射膜は膜厚が30〜160nm、シート抵抗が10〜150Ω/□のスズ含有酸化インジウム膜であり、該保護膜は膜厚が10〜100nm、屈折率が1.40〜1.80の酸化物誘電体膜であることを特徴とする車両用窓ガラス。
【選択図】なし
【解決手段】ガラス基材上に低放射膜、該低放射膜上に保護膜を有する車両用窓ガラスにおいて、該低放射膜は膜厚が30〜160nm、シート抵抗が10〜150Ω/□のスズ含有酸化インジウム膜であり、該保護膜は膜厚が10〜100nm、屈折率が1.40〜1.80の酸化物誘電体膜であることを特徴とする車両用窓ガラス。
【選択図】なし
Description
本発明は、車両用窓ガラスに関するものであり、特に断熱性能を有する車両用窓ガラスに関する。
ガラス上に低放射膜が形成された低放射ガラスは、夏季は室外から室内へ窓ガラスを通して流入する日射熱、冬季は室内から室外へ流出する暖房熱を反射する性質を有しているため、冷暖房費を抑えることが可能であり、省エネルギーに役立つ窓ガラスとして広く普及している。
上記の低放射ガラスは建築用ガラスのみならず、車両用ガラスでの使用についても様々な検討がなされている。車両用ガラスに使用される低放射膜には透明導電膜が用いられ、亜鉛、スズ、チタン、及びインジウム等の酸化物膜や、上記酸化物膜に他の金属成分を含有した合金酸化物膜、または、チタン、クロム、ニッケル、ニオブ、亜鉛、及びスズ等の金属膜が広く用いられている。
例えば特許文献1には、スズをドープした酸化インジウム、インジウムをドープした酸化亜鉛、フッ素をドープした酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、スズをドープした酸化亜鉛、フッ素をドープした酸化スズを含む群に属する少なくとも1つのドープした金属酸化物を低放射膜とする窓ガラスが開示されている。
前述したような低放射膜の上には、化学的耐久性や物理的耐久性の向上を目的として、保護膜が設けられることが多く、例えば特許文献2では、ニッケル又はニッケル合金からなる金属層を含む低放射膜の最上層に、スズ、亜鉛、チタン等の酸化物膜が形成されている。上記のような保護膜としては、他にもケイ素やアルミニウムの酸化物や窒化物、酸窒化物等がよく知られている。
日本学術振興会 透明酸化物光・電子材料第166委員会編、" 透明導電膜の技術" 、オーム社(1999) p32
車両用窓ガラスとして用いられる低放射ガラスは単板で使用できるものが好ましく、低放射率、可視光線透過率を両立する透明導電膜の中でも酸化インジウムにスズを含有させたITO膜が好ましいことが知られている(例えば非特許文献1)。しかし、ITO膜は耐酸性試験で膜が溶解するという問題があった。
上記の問題に対しては、ITO膜の表面に耐酸性を有する保護用の膜を形成することが広く知られている。特に物理的な耐久力を向上させる為に保護膜の膜厚は100nm程度に設計されるが、ITO膜の上に形成される膜が厚くなるに伴って、保護膜の僅かな損傷等により部分的に色味を帯び易くなる。また、ITO膜の膜厚が厚くなると低放射機能が向上するが、該ITO膜の膜厚が厚くなるに伴って、前述した保護膜の膜厚が厚くなる場合と同様に、保護膜の僅かな損傷等により部分的な色味を帯び易くなるという問題があった。色味を帯びる等によって低放射膜の外観が変化した場合、洗浄等によって除去する事は困難な為、長期使用には適さない。
上記のようにITO膜の上に保護膜を形成すると、膜の損傷によって色味を帯び易くなるという問題があるが、その一方で、上記の膜を車外側に設けると空気の対流による熱伝達の寄与が大きくなり、低放射機能の寄与が小さくなる傾向があるため、膜は車内側に設けられる事が多い。例えば窓ガラスに生じた曇りの除去等、窓ガラスは視認性や美観を維持する為に布等で表面を拭う頻度が高く、布による直接の摩擦や、布と膜との間にゴミ等の異物が入り込むことによって、ITO膜が損傷する可能性がある。また、特にサイドドアのような昇降を伴う窓ガラスの場合は、作動時に車体と接触したり、車体と膜との間に上記のような異物が入り込むことによって、膜表面が傷つく可能性がある。
従って、本発明では膜表面の損傷に伴う外観の変化が抑制された低放射膜が形成された、車両用窓ガラスを得る事を目的とした。
保護膜の膜厚を厚くすると、化学的耐久性及び物理的耐久性の向上が期待されるが、前述したように、外観の変化が生じ易くなる。本発明者らが鋭意検討した結果、保護膜に物理的な傷が生じても色味等の外観の変化が生じない膜構成を見出した。
すなわち本発明の車両用窓ガラスは、ガラス基材上に低放射膜、該低放射膜上に保護膜を有する車両用窓ガラスにおいて、該低放射膜は膜厚が30〜160nm、シート抵抗が10〜150Ω/□のスズ含有酸化インジウム膜であり、該保護膜は膜厚が10〜100nm、屈折率が1.40〜1.80の酸化物誘電体膜であることを特徴とする車両用窓ガラスである。
本発明の「低放射膜」とは、該低放射膜がガラス上に形成された低放射ガラスの、JIS R3106に準拠して測定される垂直放射率が0.3以下となるものを指す。
また、スズ含有酸化インジウム膜(以下、「ITO膜」と記載することもある)は、In2O3に対してSnO2を2〜20質量%添加することが好ましく、より好ましくは5〜10質量%である。SnO2の添加量が2質量%未満であると、Sn起因の電子が減少しシート抵抗が高いものとなる。また、特に、車両用窓ガラスのように加熱工程を経て曲げ加工や合わせ加工等が行われる場合、加熱工程を経た後に酸素空孔起因の電子が減少してしまい、シート抵抗が高いものとなり易い。一方、SnO2の添加量が20質量%を超えると、過剰なSnの存在により結晶性が低下してしまうため、電子移動度が減少しシート抵抗が高いものとなる。
本発明の「保護膜」とは、少なくとも酸への耐久性を有する膜である。従来よりITO膜は酸への耐久性が低い膜である為、該ITO膜に耐酸性を付与する為に用いる。前述したように、ITO膜の上に保護膜を形成すると、ITO膜だけを使用した場合と比較して、膜表面の損傷に対する外観の変化が生じ易くなる。本発明は、ITO膜の膜厚及び該保護膜の屈折率と膜厚を好適なものとすることによって、上記の外観変化を抑制したものである。
尚、本明細書における外観の評価は、可視紫外分光光度計(日立ハイテク製、U−4000)を用いて行い、各試験の前後における色差が10.0以下のものを外観の変化が抑制出来たものとした。
本発明により、膜表面の損傷に伴う外観の変化が抑制された低放射膜が形成された、車両用窓ガラスを得る事が可能となった。
本発明の車両用窓ガラスは、ガラス基材上に低放射膜、該低放射膜上に保護膜を有する車両用窓ガラスにおいて、該低放射膜は膜厚が30〜160nm、シート抵抗が10〜150Ω/□のスズ含有酸化インジウム膜であり、該保護膜は膜厚が10〜100nm、屈折率が1.40〜1.80の酸化物誘電体膜であることを特徴とする車両用窓ガラスである。
前記低放射膜は、膜厚が30〜160nm、シート抵抗が10〜150Ω/□のITO膜である。該ITO膜の膜厚が30nm未満では、垂直放射率が0.3以下とするのが困難であり、また、160nmを超えると、保護層の損傷に伴って色味を帯びて視認され易くなる。好ましくは膜厚が30〜100nm、シート抵抗が10〜100Ω/□としてもよい。また、ITO膜のシート抵抗が150Ω/□を超えると、垂直放射率を0.3以下とすることが困難となる。また、膜厚30〜160nmの範囲内において、ITOのシート抵抗を10Ω/□以下とするのは困難である。
前記保護膜の膜厚が10nm未満では、本来の目的である酸への耐久性が不足し剥離や膜の溶解を生じる。また、100nmを超えると保護膜による遠赤外線の吸収を生じ易くなり、結果として垂直放射率が増大することがある。上記の膜厚は、好ましくは10〜90nmとしてもよい。また、上記保護膜は、屈折率が1.40〜1.80の範囲内となる。屈折率が1.40未満、又は1.80を超えると、色味を帯びて視認され易くなってしまうため、本発明の目的には適さない。また、好ましくは屈折率が1.44〜1.70としてもよい。
また、上記保護層は酸に対してだけでなくアルカリに対しても耐久性を有するのが好ましい。従来、ITO膜はアルカリへの耐久性が高い膜だが、保護膜がアルカリによって大きく損傷を受けると、損傷を受けた部分に局所的な膜厚差またはポーラスになることによる屈折率差が生じてしまい、ITO膜が損傷を受けていなくとも低放射膜が色味を帯びて視認されてしまうことがわかった。従って、前記酸化物誘電体膜は酸化ケイ素中に酸化ジルコニウムを20〜50wt%含有する膜、または酸化アルミニウムを主成分とする膜であり、屈折率が1.44〜1.80であることが好ましい。
上記保護膜として酸化ケイ素中に酸化ジルコニウムを含有する膜を用いる場合は、該保護膜全体に対する酸化ジルコニウムの含有量が20〜50wt%以下とするのが好ましい。20wt%未満ではアルカリへの耐久性が不十分となり易い。また、50wt%を超えると保護膜の屈折率が変化し、色味を帯びて視認され易くなってしまうため、本発明の目的には適さない。
また、上記の酸化アルミニウムを主成分とする膜は、酸化アルミニウムを70〜100質量%含有する膜であり、屈折率が1.44〜1.80の範囲内から外れず、酸やアルカリへの耐久性を損なわない範囲であれば、任意の第三成分を含有してもよい。該酸化アルミニウムに含有させる成分としては、例えば、酸化ケイ素、酸化ジルコニア、酸化チタン等が挙げられる。
また上記の酸化物誘電体膜は、屈折率の調整や酸、アルカリ等への耐久性を向上させる事を目的として、任意の第三成分を含有してもよい。
上記のガラス基材には、平板、曲げ板等各種の成形体を使用できる。板厚は特に制限されないが、1.0mm以上10mm以下が好ましく、例えば車両用窓ガラスとしては1.0mm以上5.0mm以下が好ましい。
前記ITO膜の成膜方法は、特に限定されるものではないが、シート抵抗の低減、製造コストの点からスパッタリング法が好ましい。スパッタリング法を用いる場合は、例えば、所望の組成のITOターゲットをスパッタ装置内に設置し、アルゴン等の不活性ガスを導入して成膜することによってITO膜を得ることができる。また、ITO膜のシート抵抗を小さくするためには、ITOの結晶を十分に成長させる必要があり、そのため通常は基板温度を50℃〜600℃、好ましくは100℃〜500℃で加熱することが好ましい。
また、通常ITO膜は電波を反射してしまうことから、車両用窓ガラスとして用いる場合、電波の透過を可能とするために、ITO膜に部分的な加熱等を行ってもよい。大気中などの酸素雰囲気で加熱を行うことによって被加熱部分が酸化するとシート抵抗値が上昇し、電波が透過することが期待される。また、被加熱部分を膨張・収縮させることにより、ITO膜に微細なクラックが生じると、同様に電波が透過することが期待できる。
また、前記保護膜の成膜方法は、化学的作製法としてはディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷、手塗り法、インクジェットなどがあり、物理的作製法としてはスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の公知の方法を使用できる。
上記の物理的作製法のうち、スパッタリング法を用いる場合は、ITO膜と連続して保護膜を成膜することが可能である。この時、例えば合金ターゲットや、合金酸化物ターゲットを用い、酸素ガスや不活性ガスを導入する事によって保護膜を得る事が出来る。
また、化学的作製法とした場合、酸化物誘電体として用いる金属成分を含有させた形成塗布剤を塗布し硬化させることによって、所望の保護膜を得る事が出来る。該酸化物誘電体膜が酸化ケイ素に酸化ジルコニウムを含有する膜の場合、形成塗布剤にはシリカ成分とジルコニウム成分を有する。シリカ成分としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、その他のテトラアルコキシシラン化合物、その他のアルキルアルコキシシラン化合物等の金属アルコキシドを用いることができる。
上記のジルコニウム成分の原料としては、耐久性の点からジルコニウムの塩化物または硝酸塩を用いることが好ましい。例えば、ジルコニウムの塩化物としては、塩化ジルコニウムやオキシ塩化ジルコニウム(8水和物)や、塩素含有ジルコニウムアルコキシドZr(OCmH2+1)xCly(m、x、y:整数、x+y=4)等、ジルコニウムの硝酸塩としては、オキシ硝酸ジルコニウム(2水和物)等を用いることが出来る。また、有機金属化合物を用いることも可能であり、例えば、アルコキシド類ではジルコニウムブトキシド、ジルコニアアセテート類ではジルコニウムアセチルアセトナート等が挙げられる。
また、前記酸化物誘電体膜が酸化アルミニウムを主成分とする膜である場合、無機のアルミニウム成分としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが挙げられる。また、有機金属化合物を用いることも可能であり、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
上記の形成塗布剤の硬化方法としては、熱硬化、光硬化等で硬化することができる。熱硬化の場合、加熱温度は50〜200℃、より好ましくは80〜150℃が好ましい。50℃未満では硬化速度が遅く、また200℃を超えると下層のITO膜のシート抵抗が増大し易くなる。
また、上記の形成塗布剤には、酸化物誘電体に含まれる成分の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で、光重合開始剤、熱重合開始剤、界面活性剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤等の他の成分を混合しても良い。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例及び比較例で得られた低放射ガラス(以下、「サンプル」と記載する場合がある)は、以下に示す方法により品質評価を行った。
[膜厚測定]
触針式表面粗さ計(小坂研究所製、サーフコーダーET−4000A)を用いて、基材上に形成したITO膜と保護膜の膜厚をそれぞれ測定した。
触針式表面粗さ計(小坂研究所製、サーフコーダーET−4000A)を用いて、基材上に形成したITO膜と保護膜の膜厚をそれぞれ測定した。
[シート抵抗測定]
ITO膜を成膜した後、4探針抵抗率測定装置(ナプソン社製、RT−8S)を用いて、ITO膜のシート抵抗を測定した。
ITO膜を成膜した後、4探針抵抗率測定装置(ナプソン社製、RT−8S)を用いて、ITO膜のシート抵抗を測定した。
[屈折率の測定]
自動エリプソメーター(溝尻光学工業所製、DVA−FL3G)を用いて、波長633nmの屈折率を測定した。
自動エリプソメーター(溝尻光学工業所製、DVA−FL3G)を用いて、波長633nmの屈折率を測定した。
[垂直放射率の測定]
フーリエ変換赤外分光分析装置(パーキンエルマー製、)を用いて、低放射ガラスの垂直放射率を測定した。垂直放射率が0.3以下のものを○、0.3以上のものを×とした。
フーリエ変換赤外分光分析装置(パーキンエルマー製、)を用いて、低放射ガラスの垂直放射率を測定した。垂直放射率が0.3以下のものを○、0.3以上のものを×とした。
[外観の評価]
以下の試験により、膜表面をそれぞれ摩耗、酸、及びアルカリの環境下に置いて、試験前後での色差を測定した。色差の測定は可視紫外分光光度計(日立ハイテク製、U−4000)を用いて行い、試験後に膜の剥離や溶解がなく、試験前後での色差が8.0以下のものを○、8.0を超え、10.0以下のものを△、10.0を超えるものを×とした。
以下の試験により、膜表面をそれぞれ摩耗、酸、及びアルカリの環境下に置いて、試験前後での色差を測定した。色差の測定は可視紫外分光光度計(日立ハイテク製、U−4000)を用いて行い、試験後に膜の剥離や溶解がなく、試験前後での色差が8.0以下のものを○、8.0を超え、10.0以下のものを△、10.0を超えるものを×とした。
1.摩耗試験
JIS R 3212に準じて、膜面を上面として低放射ガラスを回転台にのせ、低放射膜と接触させた摩耗輪に4.9Nの荷重をかけ、一定速度で1,000回転させた。
2.酸試験
膜面に0.1N H2SO4水溶液を23℃で24時間付着させた。
3.アルカリ試験
膜面に0.1N NaOH水溶液を23℃で24時間付着させた。
JIS R 3212に準じて、膜面を上面として低放射ガラスを回転台にのせ、低放射膜と接触させた摩耗輪に4.9Nの荷重をかけ、一定速度で1,000回転させた。
2.酸試験
膜面に0.1N H2SO4水溶液を23℃で24時間付着させた。
3.アルカリ試験
膜面に0.1N NaOH水溶液を23℃で24時間付着させた。
[実施例1]
まず、ソーダライムガラス(100mm×100mm×3.5mm)を基板ホルダーに保持し、真空チャンバー内に、In2O3に対してSnO2を5wt%含有するITOターゲットを設置した後、該真空チャンバー内を排気し、排気後にアルゴンガスを導入した。アルゴンガスを導入した後、ITOターゲットへ100Wの電力を投入し成膜を行った。この時、直流電源に2kHzの周波数で印加される交流電源を重畳した電源を使用した。成膜中、真空ポンプを連続して稼動させ、真空チャンバー内の圧力を0.5Paに調節した。
まず、ソーダライムガラス(100mm×100mm×3.5mm)を基板ホルダーに保持し、真空チャンバー内に、In2O3に対してSnO2を5wt%含有するITOターゲットを設置した後、該真空チャンバー内を排気し、排気後にアルゴンガスを導入した。アルゴンガスを導入した後、ITOターゲットへ100Wの電力を投入し成膜を行った。この時、直流電源に2kHzの周波数で印加される交流電源を重畳した電源を使用した。成膜中、真空ポンプを連続して稼動させ、真空チャンバー内の圧力を0.5Paに調節した。
次に、ITO膜の上に形成する保護膜用の形成塗布剤を以下のように調整した。ケイ酸エチル(試薬:キシダ化学製)と加水分解酸触媒であるオキシ塩化ジルコニウム(試薬:キシダ化学製)が固形分換算で70:30(重量%)となるように調整し、溶媒としてエキネンF−1(キシダ化学製、主成分;エタノール:イソプロピルアルコール=9:1)とイオン交換水の混合溶媒(重量%が、エキネンF−1:イオン交換水=92:8)で希釈して、固形分濃度が3重量%となるように調製した。
次に、ITO膜を成膜したガラス基板を設置し、上記の形成塗布剤を用いて、400rpmで60秒にてスピン成膜を実施し、180℃の温度になるように設定した乾燥炉内で約20分間加熱乾燥させることにより保護膜を形成しサンプルを得た。得られたサンプルと評価の結果を表1に示す。
[実施例2]
ITO膜の膜厚を30nm、保護膜の膜厚を80nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
ITO膜の膜厚を30nm、保護膜の膜厚を80nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
[実施例3]
保護膜の膜厚を100nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
保護膜の膜厚を100nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
[実施例4]
ITO膜の膜厚を100nm、保護膜の膜厚を30nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
ITO膜の膜厚を100nm、保護膜の膜厚を30nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
[実施例5]
ITO膜の膜厚を150nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
ITO膜の膜厚を150nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
[実施例6]
まず、ソーダライムガラス(100mm×100mm×3.5mm)を基板ホルダーに保持し、真空チャンバー内に、In2O3に対してSnO2を5wt%含有するITOターゲットを設置した後、該真空チャンバー内を排気し、排気後にアルゴンガスを導入した。アルゴンガスを導入した後、ITOターゲットへ100Wの電力を投入し成膜を行った。この時、直流電源に2kHzの周波数で印加される交流電源を重畳した電源を使用した。成膜中、真空ポンプを連続して稼動させ、真空チャンバー内の圧力を0.5Paに調節した。
まず、ソーダライムガラス(100mm×100mm×3.5mm)を基板ホルダーに保持し、真空チャンバー内に、In2O3に対してSnO2を5wt%含有するITOターゲットを設置した後、該真空チャンバー内を排気し、排気後にアルゴンガスを導入した。アルゴンガスを導入した後、ITOターゲットへ100Wの電力を投入し成膜を行った。この時、直流電源に2kHzの周波数で印加される交流電源を重畳した電源を使用した。成膜中、真空ポンプを連続して稼動させ、真空チャンバー内の圧力を0.5Paに調節した。
次に、真空チャンバー内に、SiO2に対してZrを30wt%含有する合金ターゲットを設置した後、該真空チャンバー内を排気し、排気後にアルゴンガスを導入した。アルゴンガスを導入した後、合金ターゲットへ100Wの電力を投入し成膜を行った。この時、直流電源に2kHzの周波数で印加される交流電源を重畳した電源を使用した。成膜中、真空ポンプを連続して稼動させ、真空チャンバー内の圧力を0.5Paに調節した。上記の方法でサンプルを得た。
[実施例7]
形成塗布剤にケイ酸エチルと加水分解酸触媒であるオキシ塩化ジルコニウムが固形分換算で90:10(重量%)を用いた以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
形成塗布剤にケイ酸エチルと加水分解酸触媒であるオキシ塩化ジルコニウムが固形分換算で90:10(重量%)を用いた以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
[実施例8]
保護膜作製時のターゲットをAl2O3とした以外は、実施例6と同様の操作でサンプルを得た。
保護膜作製時のターゲットをAl2O3とした以外は、実施例6と同様の操作でサンプルを得た。
[実施例9]
形成塗布剤にケイ酸エチルと加水分解酸触媒であるオキシ塩化ジルコニウムが固形分換算で100:0(重量%)を用いた以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
形成塗布剤にケイ酸エチルと加水分解酸触媒であるオキシ塩化ジルコニウムが固形分換算で100:0(重量%)を用いた以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。
[比較例1]
保護膜を形成しなかった以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは酸試験で膜が溶解した。
保護膜を形成しなかった以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは酸試験で膜が溶解した。
[比較例2]
ITO膜の膜厚を10nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは垂直放射率が0.45で、本発明には適さないものだった。
ITO膜の膜厚を10nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは垂直放射率が0.45で、本発明には適さないものだった。
[比較例3]
ITO膜の膜厚を200nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは摩耗による色差が11.0、アルカリ試験後の色差が9.5となり、外観の変化が大きいものとなった。
ITO膜の膜厚を200nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは摩耗による色差が11.0、アルカリ試験後の色差が9.5となり、外観の変化が大きいものとなった。
[比較例4]
形成塗布剤にケイ酸エチルと加水分解酸触媒であるオキシ塩化ジルコニウムが固形分換算で10:90(重量%)を用いた以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは摩耗による色差が10.2となり、外観の変化が大きいものとなった。
形成塗布剤にケイ酸エチルと加水分解酸触媒であるオキシ塩化ジルコニウムが固形分換算で10:90(重量%)を用いた以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは摩耗による色差が10.2となり、外観の変化が大きいものとなった。
[比較例5]
保護膜の膜厚を5nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは酸性試験後に一部膜溶解が発生し、本発明には適さないものとなった。
保護膜の膜厚を5nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは酸性試験後に一部膜溶解が発生し、本発明には適さないものとなった。
[比較例6]
保護膜の膜厚を150nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは摩耗による色差が10.6となり、外観の変化が大きいものとなった。
保護膜の膜厚を150nmとした以外は実施例1と同様の操作でサンプルを得た。得られたサンプルは摩耗による色差が10.6となり、外観の変化が大きいものとなった。
以上より、本発明は膜表面の損傷に伴う外観の変化を抑制できることが示された。また、ITO膜の膜厚が100nm以下、保護膜の膜厚が80nm以下、及び保護膜の屈折率が1.52〜1.64の範囲内となる実施例1、2、4、6、8は外観の変化を抑制する効果が、他の実施例及び比較例よりも優れていることがわかった。
Claims (5)
- ガラス基材上に低放射膜、該低放射膜上に保護膜を有する車両用窓ガラスにおいて、該低放射膜は膜厚が30〜160nm、シート抵抗が10〜150Ω/□のスズ含有酸化インジウム膜であり、該保護膜は膜厚が10〜100nm、屈折率が1.40〜1.80の酸化物誘電体膜であることを特徴とする車両用窓ガラス。
- 前記低放射膜は膜厚が30〜100nmであり、前記保護膜の膜厚が10〜90nmであることを特徴とする請求項1に記載の車両用窓ガラス。
- 前記酸化物誘電体膜は酸化ケイ素中に酸化ジルコニウムを20〜50wt%含有する膜、または酸化アルミニウムを主成分とする膜であり、屈折率が1.44〜1.80であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用窓ガラス。
- ガラス基材を300℃以上で加熱しながら、スパッタリング法により前記低放射膜を成膜する工程、
前記工程に連続して、該低放射膜上にスパッタリング法により保護膜を成膜することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用窓ガラスの製造方法。 - ガラス基材を300℃以上で加熱しながら、スパッタリング法により前記低放射膜を成膜する工程、
該低放射膜上に酸化物誘電体として用いる金属成分を含有させた形成塗布剤を塗布し、該形成塗布剤を硬化して保護膜を形成する工程、
からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用窓ガラスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014116438A JP2015229614A (ja) | 2014-06-05 | 2014-06-05 | 車両用窓ガラス |
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