JP2004292194A - 低反射膜付きガラス板の製造方法および低反射膜付きガラス板 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成条件によって酸化珪素膜の屈折率を制御することによって、可視光線反射率を小さくし、しかも、耐磨耗性や耐薬品性などの耐久性に優れ、任意の膜厚で高硬度の酸化珪素膜で被覆された単層の低反射膜付きガラス板の製造方法を提供すること。
【解決手段】透明ガラス基板の表面に、有機珪素化合物(A)、40〜270℃で熱分解するバインダー樹脂(B)および有機溶剤(C)を配合した処理液を塗布して乾燥し、得られた塗布膜付きのガラス基板を400〜800℃で焼成し、焼成後の被膜の気孔率が15〜25%になるように構成することを特徴とする低反射膜付きガラス板の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低反射膜付きガラス板の製造方法に係り、詳しくは可視光線反射率が小さく、しかも、耐磨耗性や耐薬品性などの耐久性に優れ、任意の膜厚で高硬度の酸化珪素膜で被覆された単層の低反射膜付きガラス板の製造方法および低反射膜付きガラス板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス板、その他のガラス物品の表面で可視光線が反射して透視性や光透過率が低下したり、眩しくなることを防止するために、ガラス物品の表面に反射防止処理を施すことが行われている。このため、ガラス基板上に高屈折率膜の層と低屈折膜の層とからなる多層膜を作製することが知られている。
【0003】
例えば、ガラス板表面から第1層目の高屈折率膜(屈折率1.7〜1.8)と2層目の低屈折率膜(屈折率1.4〜1.5)を積層し、入射角50〜70度で入射する可視光線の反射率がガラス板面の反射率に比べて数%低減するようにした反射低減ガラス板が、特許文献1〜3などに開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−357134号公報
【特許文献2】
特開平8−152501号公報
【特許文献3】
特開2000−335940公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の低反射膜付きガラス板の製造方法は、ガラス基板上に高屈折率膜の層と低屈折膜の層とからなる多層膜を作製する方法が主流であるが、多層膜を作製するところから製造に多大な時間を要し、また、各薄膜の厚みも反射率に大きな影響を及ぼすことがあった。このため、最近では、低コストで作製できる単層の低反射膜付きガラス板の開発が望まれている。
また、ガラス基板上に、低反射膜形成用塗布液を塗布した後、焼成して低反射膜を形成する技術にあっては、焼成工程において、薄膜を完全に焼成して低反射膜を形成させるが、薄膜は焼成が進むにつれて結晶化し、緻密になることから完全に焼成させた薄膜は気孔率が低くなり、屈折率が高くなるものであって、満足できる低反射膜付きガラス板が得られなかった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を改善し、焼成温度や焼成時間によって酸化珪素膜の屈折率を制御することによって、可視光線反射率を小さくし、しかも、耐磨耗性や耐薬品性などの耐久性に優れ、任意の膜厚で高硬度の酸化珪素膜で被覆された単層の低反射膜付きガラス板の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明によって解決される。すなわち、本発明は、透明ガラス基板の表面に、有機珪素化合物(A)、40〜270℃で熱分解するバインダー樹脂(B)および有機溶剤(C)を配合した処理液を塗布して乾燥し、得られた塗布膜付きのガラス基板を400〜800℃で焼成し、焼成後の被膜の気孔率が15〜25%になるように構成することを特徴とする低反射膜付きガラス板の製造方法、および透明ガラス基板の表面に、気孔率が15〜25%である酸化珪素膜を有することを特徴とする低反射膜付きガラス板を提供する。
本発明の好ましい実施の形態では、上記40〜270℃で熱分解するバインダー樹脂(B)として、ニトロセルロースを使用する。
また、他の好ましい実施の形態は、本発明のガラス板を太陽電池のカバーガラスとして使用することである。
【0008】
上記本発明によれば、上記の処理液を用い、焼成温度や焼成時間を変えることによって焼成膜の気孔率を適当な範囲にして屈折率を制御し、可視光線反射率を小さくすることができ、しかも、耐磨耗性や耐薬品性などの耐久性に優れ、任意の膜厚で高硬度の酸化珪素膜で被覆された単層の低反射膜付きガラス板を製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明の低反射膜付きガラス板の製造方法における特徴の1つは、用いる処理液の組成にあり、他の特徴は、塗布膜の焼成条件を選択して特定の範囲の気孔率を有する焼成膜とすることにある。
本発明で使用する処理液を構成する有機珪素化合物(A)としては、シリコンエトキシド、シリコンプロポキシド、シリコンブトキシドなどの珪素のアルコキシド類、ポリシロキサン骨格を持つシリコンオイル類、シリコンワニス類、酸化珪素超微粒子を水や有機溶剤などに分散させたシリカゾルなどを挙げることができる。
【0010】
処理液中の有機珪素化合物量は、好ましくは0.1〜60質量%、より好ましくは1〜30質量%である。有機珪素化合物量が0.1質量%未満では処理液中の有機珪素化合物量が不足し、低反射膜の製膜性が不十分である。一方、有機珪素化合物量が60質量%を超えると、有機珪素化合物量が多すぎて処理液がゲル状になり、低反射膜の製膜性が不十分である。
【0011】
40〜270℃で熱分解するバインダー樹脂(B)は、後述の有機溶剤(C)に可溶で、処理液の粘度を適度に維持して処理液のガラス基板への塗布、および処理液の乾燥後の取扱を良好にする。バインダー樹脂の熱分解温度が40℃未満では塗布中または塗布後の乾燥時に分解してしまうために好ましくない。一方、分解温度がで270℃を超えると焼成後の酸化珪素膜強度が十分でなくなるため好ましくない。
【0012】
具体的なバインダー樹脂としては、例えば、ニトロセルロースなどの40〜270℃で熱分解するタイプのポリセルロース類、上記温度範囲で熱分解するタイプのポリ塩化ビニル類、ポリメチルメタクリレートなどの上記温度範囲で熱分解するタイプのポリアクリル類などの樹脂である。より好ましいバインダー樹脂としては、ニトロセルロースがある。なお、ここで樹脂の分解温度とは、樹脂の90質量%以上が焼失する温度(℃)をいう。
【0013】
使用するバインダー樹脂の添加量は、溶剤種、樹脂種および分子量などにより異なるが、1〜70質量%が好ましい。1質量%未満になると、樹脂量が少なすぎて、塗布および乾燥時に塗布膜の収縮が起きることにより、製膜性の悪い酸化珪素膜しか得られなくなる。一方で、70質量%を超えると焼成後の酸化珪素膜の物性が悪くなる。
【0014】
有機溶剤(C)は、前記有機珪素化合物(A)およびバインダー樹脂(B)を溶解できるものであれば特に制限はなく、各処理液の塗布方法などにより適宜選択される。具体的には、メタクレゾール、ジメチルホルムアミド、カルビトール、α−テレピネオール、ジアセトンアルコール、トリエチレングリコール、パラキシレン、トルエンなどの高沸点溶剤が、スクリーン印刷やフレキソ印刷などを利用して各処理液をガラス基板表面に塗布するうえで好ましい。
【0015】
以上の如く作製された処理液は、透明ガラス基板上にスプレー、ディップ、ロールコート、スピンコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの方法で塗布する。処理液の塗布量は、処理液の粘度などによっても異なるが、ウエット膜厚で0.2〜40μmにし、乾燥した後、大気雰囲気中で400〜800℃の炉中で焼成し、冷却を経て高硬度、かつ低反射率の酸化珪素膜で被覆された単層の低反射膜付きガラス板を得る。焼成時間は1〜10分間であることが好ましい。
【0016】
本発明では、上記の製造条件(処理液の組成、焼成条件など)を適当に選択および組み合わせて、上記焼成膜の気孔率を15〜25%(測定条件は後述の通りである)とする。気孔率が15%未満では、焼成膜の結晶化が進み過ぎて膜が緻密になり、膜の屈折率が高くなって、反射率低減効果が不十分であり、一方、気孔率が25%を超えると、低反射という目的は達成できるものの、膜の耐摩耗性および耐薬品性が低下して実用的ではない。
【0017】
前記処理液によって処理される透明ガラス基板は無色透明に限られず、透過率が本発明の目的を損なわない範囲で着色されていてもよい。例えば、ガラス基板として用いられるガラス板としては、無色透明なフロートガラス板(フロート法で製造されたガラス板)の他に、着色されたフロートガラス板、着色された熱線吸収ガラス板などが挙げられる。特に、本発明により形成される低反射膜付きガラス板を自動車用ガラス板として用いる場合、車内へ入射する日射エネルギー低減の観点から、ガラス基板として熱線吸収ガラス板を用いることが好ましい。また、ガラス基板として強化ガラス板を用いることもできる。
【0018】
本発明により形成される低反射膜付きガラス板を、積層体を構成する基板として使用することもできる。積層体は第一および第二の基板の間に中間膜または断熱層を挟み込んだ構造であり、本発明の低反射膜付きガラス板を第一および/または第二の基板として用いることができる。また、ガラス板の積層に際しては、ガラス板の低反射膜が形成された面を内側に配することが、低反射膜の耐久性の面から好ましい。前記中間膜としては、例えば、透明または着色されたポリビニルブチラール、エチレンビニルアセテートなどが挙げられる。前記断熱層としては、例えば、不活性ガス、空気あるいは窒素などを充填してなる層または真空層などが挙げられる。
【0019】
前記積層体としては、例えば、第一および第二の基板として低反射膜付きの熱線吸収ガラス板、高熱線吸収ガラス板および紫外線吸収ガラス板のいずれかを用い、中間膜としてポリビニルブチラールを用いた合わせガラス板が挙げられる。第一および第二の基板として低反射膜付きの高熱線吸収ガラス板を用い、中間膜としてポリビニルブチラールを用いた合わせガラス板においては、前記高熱線吸収ガラス板の透過率が低いため、膜面から入射する光の非膜面側における反射率を低下させることができ、特に好ましい。前記合わせガラス板は、輸送機器用窓(例えば、車輌用窓)やメータ機器のカバーガラス板に好適に用いられる。
【0020】
また、前記低反射膜付きガラス板の酸化珪素膜の厚みを0.01〜0.5μmとすることにより、使用するガラス基板によっても異なるが、ガラス基板と低反射膜付きガラス板との可視光線透過率差を0.1〜5.0%とすることができる。
【0021】
本発明で得られた低反射膜付きガラス板が、低反射膜の特性を有するのは、酸化珪素膜をガラス基板に付与することにより、酸化珪素膜表面で反射する光と酸化珪素膜とガラス基板との界面で反射する光の干渉が発生し、ブラッグの条件;2nd×cosθ=(λ/2)×(2a+1)(a;0、1、2、3の整数)を満たす時、特定の波長で反射率を0にすることが可能となる。尚、nは膜の屈折率、dは膜厚(nm)、θは入射角、λは光の波長(nm)になる。
【0022】
本発明の製造方法においては、処理液の組成、塗布量、焼成温度、焼成時間などの条件を適当に組み合わせることにより膜の緻密化程度を調整し、膜中の気孔率を制御することによって酸化珪素膜の屈折率を制御することができる。更に酸化珪素膜の屈折率をガラス基板の屈折率より下げることにより、表面反射を低減でき、低反射化を図ることができる。具体的には空気の屈折率をn=1.0、媒質の屈折率nとすると振幅反射率;R=[(n−n)/(n+n)]の関係が成り立ち、媒質の屈折率をガラス基板の屈折率よりも低く設定することにより、振幅反射率の低減が図れる。すなわち、媒質表面(膜表面)での表面反射を低減することができ、透過光を増大することができる。
【0023】
以上の本発明の方法によって得られる低反射膜付きガラス板は次の如き用途において有用である。すなわち、近年、車両の窓や建築物、ドア、ショーウインドウなどの透明部材の大型化が一段と進み、太陽光、照明などの反射や写り込みなどが問題になるケースが増えている。また、太陽光を利用する太陽電池などの需要も増加しているが、受光部の反射損失を低減することが必要である。さらに車両のインパネ部の各種表示装置、例えば、メーターカバーガラス板などをより見やすくするために反射を低減することも求められている。本発明の方法によって得られる低反射膜付きガラス板は、上記の輸送機器用、特に車両用の窓や建築用窓、ショーウインドウ、太陽電池用基板やカバーガラス、車両用のインパネ部のメーターカバーガラス、PDP、LCD、タッチパネル、有機または無機のEL用基板などの各種表示装置のディスプレイ基板などの用途に有用であり、特に太陽電池のカバーガラスとして有用である。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を具体的な実施例および比較例により更に詳細に説明する。尚、作製した低反射膜付きガラス板の評価方法は以下の通りである。
【0025】
<評価方法>
1.気孔率
気孔率は下記式により算出した。
P(気孔率)=[1−{n −1}/{n −1}×100
;疎な物質の屈折率(本発明においては薄膜の屈折率)
;緻密な物質の屈折率(本発明においては水晶の屈折率1.54を採用)
なお、屈折率(n)の算出方法は下記の通りである。
低反射膜付きガラス板の裏面をサンドペーパーで荒らした後、艶消し黒色塗料を裏面に塗布して、膜面側より入射した光が透過しないようにする。そして、分光光度計(SHIMADZU社製;UV−3100PS)を用いて、低反射膜付きガラス板の、波長λ=380〜780nmの反射率を測定し、その反射率スペクトルのピーク乃至ボトムの波長を測定する。そして下記式を用いて屈折率を算出する。本例における入射角θは8°である。
2nd×cosθ=m(λ/2)
d;膜厚 λ;波長 m:実数 θ;入射角
2.光学特性(可視光線透過率および可視光線反射率)
分光光度計(SHIMADZU社製;UV−3100PS)を用いて、低反射膜付きガラス板の波長λ=380〜780nmにおける可視光線透過率と可視光線反射率をJIS−R3106(1999年)により測定した。なお、可視光線反射率はガラス面(低反射膜が形成されている面とは反対側の面)より測定した。
3.膜厚測定
触針式膜厚計(テンコール社製;AS500)によって低反射膜の膜厚測定を実施した。
【0026】
4.低反射膜の硬さ
JIS K 5400による鉛筆硬度試験で低反射膜付きガラス板の薄膜が剥離する鉛筆硬度を硬さの目安とした。
5.耐酸性
低反射膜付きガラス板を0.1N(0.05×10−3mol/m)のHSO水溶液に2時間浸漬し、浸漬前後で酸化珪素膜付きガラス板の可視光線反射率および透過率を測定し、試験前後での差を算出した。
【0027】
6.耐アルカリ性
低反射膜付きガラス板を0.1N(0.1×10−3mol/m)のNaOH水溶液に2時間浸漬し、浸漬前後で酸化珪素膜付きガラス板の可視光線反射率および透過率を測定し、試験前後での差を算出した。なお、耐酸性および耐アルカリ性の各試験において、ΔTおよびΔRは実用上0.5%以下であることが好ましい。
7.製膜性
目視評価した。○:製膜性が良好 ×:製膜性が悪い
【0028】
実施例1〜8、比較例1〜9
表1および表2に示す配合で酸化珪素膜形成用処理液を作製した。また、ガラス基板としては、厚さ2mmまたは3mmの2種のソーダガラスのいずれかを用いた。実施例1〜3は処理液中の有機珪素化合物添加量を変量し、大気中540℃10分間で焼成を行っている。実施例4は実施例3と同じ処理液を用いて、大気中575℃10分間で焼成している。実施例5はニトロセルロースの添加量を実施例1〜4より増量し、実施例1〜3と同じ焼成条件で焼成している。実施例6〜8は実施例1〜5とは異なる溶剤を用いてなり、処理液中の有機珪素化合物添加量を、実施例1および2とは変量した処理液を用いて、大気中で600℃で5分間焼成している。
【0029】
比較例2、3、5、6については、ニトロセルロースより高温で熱分解が終了するバインダー樹脂を配合した例を示しており、比較例7はバインダー樹脂を配合していない試料を示しており、比較例8および9はニトロセルロースを配合しているが、焼成条件を変化させることにより気孔率を適当範囲外とした例を示している。比較例1および4は処理液を塗付しないガラス基板そのものである。
【0030】
実施例1〜8、比較例2、3、5、6、8、9は、処理液を厚さ2mmまたは3mmの透明なガラス基板上にスクリーン印刷法により塗布し、比較例7は、厚さ2mmの透明なガラス基板上にスピンコート法により塗布し、150℃の熱風循環式オーブンで5分間乾燥し、表1および2に記載の焼成温度条件に設定したマッフル炉中で10分間焼成し試料を得た。各試料の膜厚、屈折率、気孔率、可視光線透過率、可視光線反射率、耐アルカリ性・耐酸性試験、低反射膜の硬さ、製膜性評価の各結果を示す。また、実施例および比較例で使用した樹脂の熱分解特性を図1に示す。
【0031】
表1および2に示すように低反射膜の硬さの試験結果において、実施例1〜8では焼成膜の気孔率を適当な範囲に制御することにより、傷・剥離などない酸化珪素膜が作製できているが、比較例2、3、5〜8では膜強度の低い膜しかできていないことが確認できた。また、可視光線反射率においては、実施例1〜8は充分な低反射特性を有しているのに対して、比較例9では可視光線反射率の低減効果が低いことがわかる。
【0032】
表1および2に示す耐アルカリ性・耐酸性試験結果から、実施例1〜8では酸化珪素膜の剥離もないのに対して、比較例2、3、5〜8では耐アルカリ性・耐酸性試験後に酸化珪素膜が剥離してしまい、評価ができなかった。以上の結果より、実施例1〜8は耐薬品性も優れていることが確認できた。
【0033】
表1および2に示すように実施例1〜8では、均一な製膜性のよい酸化珪素膜が得られているが、比較例5、6、8では製膜性の悪い酸化珪素膜しか得られないことが確認できた。
【0034】
図1に示す熱分解特性の結果より、実施例で使用したバインダー樹脂と比較例2、3、5、6で使用したバインダー樹脂では、バインダーの熱分解温度が違い、実施例で使用したバインダー樹脂は、比較例2、3、5、6で使用したバインダー樹脂と違い、低温で熱分解が完了していることが確認できる。
【0035】
表1の実施例3と4とで同じ配合を用いて焼成温度を変化させたところ、焼成温度を上昇させると屈折率が上昇することが知見できるが、ガラス基板の屈折率(1.52)よりも低い膜であり、可視光線反射率を下げることが可能であることが確認できた。
【0036】
Figure 2004292194
【0037】
Figure 2004292194
【0038】
Figure 2004292194
【0039】
Figure 2004292194
1.上記表1および表2における処理液の値は全て質量%である。
2.上記表1および表2における「KR−212」はシリコンワニスであり、その使用量はシリコンワニスとしての使用量である。
3.上記表1および表2における耐薬品性における記号は下記を意味する。
△T1(%):耐アルカリ性試験前後での可視光線透過率差
△R1(%):耐アルカリ性試験前後での可視光線反射率差
△T2(%):耐酸性試験前後での可視光線透過率差
△R2(%):耐酸性試験前後での可視光線反射率差
【0040】
また、実施例3および比較例9で得られた酸化珪素膜付きガラス板の酸化珪素膜の表面状態を、AFM(原子間力顕微鏡)により観察したところ、図2に示すように、実施例3では気孔が多く存在するが、比較例9では結晶化が進み、気孔が減少していることが確認できた。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明では、低温で熱分解しやすいバインダー樹脂を用いた処理液を用いて、焼成後の気孔率を特定範囲に制御することで、可視光線反射率を小さくすることができ、耐磨耗性や耐薬品性などに優れ、膜強度も高い酸化珪素膜で被覆された低反射膜付きガラス板を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例で使用した樹脂の熱分解特性を示す図。
【図2】実施例3および比較例9で得られた酸化珪素膜付きガラス板の酸化珪素膜の表面状態を、AFM(原子間力顕微鏡)により観察した図。

Claims (4)

  1. 透明ガラス基板の表面に、有機珪素化合物(A)、40〜270℃で熱分解するバインダー樹脂(B)および有機溶剤(C)を配合した処理液を塗布して乾燥し、得られた塗布膜付きのガラス基板を400〜800℃で焼成し、焼成後の被膜の気孔率が15〜25%になるように構成することを特徴とする低反射膜付きガラス板の製造方法。
  2. 40〜270℃で熱分解するバインダー樹脂(B)が、ニトロセルロースである請求項1に記載の低反射膜付きガラス板の製造方法。
  3. 透明ガラス基板の表面に、気孔率が15〜25%である酸化珪素膜を有することを特徴とする低反射膜付きガラス板。
  4. 太陽電池のカバーガラスである請求項3に記載の低反射膜付きガラス板。
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