JP7040243B2 - 炉口圧力設定システム、炉口圧力設定方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1には、転炉の炉口の画像を撮像して画像処理することにより、燃焼フレームの量を導出し、導出した燃焼フレームの量に応じてダンパーの開度を決定することが記載されている。
(転炉設備)
図1は、転炉設備の構成の一例を示す図である。ここでは、転炉設備として、転炉1からの排ガスを回収する設備を中心に説明する。
図1において、まず、溶銑やスクラップ等の主原料が転炉1内に装入され、その後、生石灰等の副原料が副原料投入口2a~2cから転炉1内に装入される。そして、転炉1の内部において転炉1の軸に沿って延設された不図示のランスから酸素を吹き込むと共に炉の底部から炉内に不活性ガスや、炭酸ガス、純酸素ガスおよび冷却ガスの混合ガス等を吹き込んで、副原料が添加された主原料を攪拌する。これにより、主原料に含まれる炭素、珪素および燐等が酸化されて除去される。この酸化反応により、主原料の上部には、珪素や燐等が取り込まれたスラグが発生する。このスラグを排滓した後、不純物が取り除かれた溶鋼を出鋼する。尚、排滓時に転炉1を傾ける方向と、出鋼時に転炉1を傾ける方向は、逆方向になる。
排ガスは、スカート4、フード3を通った後、排ガスダクトを介して集塵機8に送られる。また、集塵機8の手前の炉頂に配置された排ガス分析計9により、排ガスの成分が分析される。
炉口圧力計10は、転炉1の炉口1aにおける圧力(炉口圧力)を測定する装置である。炉口圧力計10を炉口1aの位置に配置することができないため、炉口圧力計10は、炉口1aよりも上方の位置における圧力を炉口圧力として測定する。従って、炉口圧力計10は、(実際の炉口圧力に対し)時間遅れが生じた状態で炉口圧力を測定することになる。即ち、炉口圧力計10で或る時刻に測定される炉口圧力は、実際には、当該時刻よりも前の時刻における炉口圧力になる。
ただし、本実施形態では、制御装置400は、ダンパー11、14を操作して炉口圧力を制御する際、炉口圧力計10で測定された炉口圧力ではなく、炉口圧力設定装置100により設定された炉口圧力を用いる。
ただし、本実施形態では、転炉1をその外側から見た場合に見える転炉1とスカート4との境界を含む領域を撮像する2つの撮像装置200a、200bを配置する。以下の説明では、この領域を必要に応じて、境界領域と称する。また、撮像装置200a、200bの撮像面となるシート光を形成するために、境界領域に向けて、その上方からレーザー光を発光するレーザー装置300が配置される。
図3では、表記の都合上、スカート4の図示を省略する。図2および図3に示すように、レーザー装置300は、転炉1が直立しているときに転炉1の排滓時傾動方向側に生じる境界領域に向けて、その上方からシート状のレーザー光(シート光310)を発光する。シート光310が撮像装置200a、200bの撮像領域(の一部)になる。撮像装置200a、200bは、シート光310が照射されている境界領域のうち相互に重複する領域を含む領域を異なる方向から撮像することができる位置に配置される。本実施形態では、撮像装置200a、200bは、それらの光軸が、境界領域のうちシート光310が照射される領域において交わるように配置され、異なる方向から、境界領域およびその周囲の領域を撮像する。撮像装置200a、200bは、静止画像を撮像しても動画像を撮像してもよい。尚、以下の説明では、転炉1の軸Aよりも排滓時傾動方向側(X軸の負の方向側)を必要に応じてカメラ設置側と称し、転炉1の軸よりも出鋼時傾動方向側(X軸の正の方向側)を必要に応じてカメラ非設置側と称する。
以上のように実施形態では、公知の転炉設備に対し、撮像装置200a、200bおよびレーザー装置300を配置する。
図4は、炉口圧力設定装置100の機能的な構成の一例を示す図である。炉口圧力設定装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを有する情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。炉口圧力設定装置100は、制御装置400により炉口圧力が制御される期間に撮像装置200a、200bで撮像された画像を入力として、炉口圧力の現在値を推定して制御装置400に出力する。前述したように本実施形態では、制御装置400は、炉口圧力計10により測定された炉口圧力ではなく、炉口圧力設定装置100から出力された炉口圧力が目標値と等しくなるように、ダンパー11、14の開度を操作する。以下に、炉口圧力設定装置100が有する機能の一例を説明する。
画像取得部401は、制御装置400により炉口圧力が制御される期間に撮像装置200a、200bで撮像された画像を取得する。制御装置400により炉口圧力が制御される期間は、転炉1から発生する排ガスを回収する期間である。尚、以下の説明では、撮像装置200a、200bで撮像された画像を必要に応じてカメラ画像と称する。画像取得部401は、カメラ画像として、3つの時刻t1、t2、t3で撮像された画像を撮像装置200a、200bのそれぞれから取得する。後述するように境界領域における気流の変化を捉えるために、3つの時刻t1、t2、t3で撮像されたカメラ画像が必要になるからである。撮像装置200a、200bが静止画像を連写する場合、例えば、連続して撮像された3つの画像が、3つの時刻t1、t2、t3で撮像された画像になる。撮像装置200a、200bが動画像を連写する場合、例えば、連続する3つのフレームの画像が、3つの時刻t1、t2、t3で撮像された画像になる。
速度ベクトル導出部402は、画像取得部401で取得されたカメラ画像に対して画像処理を行い、境界領域における気流の3次元速度ベクトル(気流の速度の大きさの絶対値および方向)を導出する。気流の3次元速度ベクトルの導出は、非特許文献1に記載されているように、公知の技術で実現することができるので、ここでは、その概要のみを説明し、その詳細な説明を省略する。
まず、速度ベクトル導出部402は、撮像装置200aにより3つの時刻t1、t2、t3で撮像された画像(カメラ画像)を、それぞれ複数の分割領域に分ける。同じく、速度ベクトル導出部402は、撮像装置200bにより3つの時刻t1、t2、t3で撮像された画像(カメラ画像)も、それぞれ複数の分割領域に分ける。速度ベクトル導出部402は、撮像装置200a、200bにより3つの時刻t1、t2、t3で撮像された画像(カメラ画像)の相互に対応する分割領域に映し出されている気流の領域を特定し、その領域の変化を追跡することにより、当該分割領域における気流の3次元速度ベクトルを導出する。速度ベクトル導出部402は、このような気流の3次元速度ベクトルの導出を全ての分割領域について行う。尚、撮像装置200aで撮像された画像(カメラ画像)を撮像する時刻t1、t2、t3と、撮像装置200bで撮像された画像(カメラ画像)を撮像する時刻t1、t2、t3は、同じ時刻であるものとする。
スカート高さ取得部403は、スカート高さ計5の測定結果に基づいて、スカート4の高さの現在値を取得する。スカート高さ取得部403は、スカート4の高さの測定値をスカート高さ計5から周期的に繰り返し取得してもよいし、スカート4の高さが変更されたときに変更後のスカート4の高さの測定値をスカート高さ計5から取得してもよい。
一般に、境界領域における気流の3次元速度ベクトルの方向が正の方向(境界領域から転炉1の外側に向かう方向)である場合には、当該3次元速度ベクトルの大きさの絶対値が大きいほど、炉口圧力は高いといえる。同様に、境界領域における気流の3次元速度ベクトルの方向が負の方向(転炉1の外側から境界領域に向かう方向)である場合には、当該3次元速度ベクトルの大きさの絶対値が大きいほど、炉口圧力は低いといえる。
図5は、境界領域から転炉1の外側に向かう気流の状態が、カメラ設置側とカメラ非設置側とで異なる様子の一例を説明する図である。図6は、転炉1の外側から境界領域に向かう気流の状態が、カメラ設置側とカメラ非設置側とで異なる様子の一例を説明する図である。
本実施形態では、気流の方向は、境界領域から転炉1の外側に向かう方向と、転炉1の外側から境界領域に向かう方向との何れかであるものとする。
また、本実施形態では、気流の偏りの状態は、第1の状態、第2の状態、および第3の状態の何れか1つであるものとする。
図7において、標準噴出特徴量710は、境界領域における気流の3次元速度ベクトルの方向が正の方向であり(F0>0)、その絶対値の大きさ|F0|が、第1の閾値α1以上、第2の閾値α2以下の範囲内(α1≦|F0|≦α2)である場合の境界領域特徴量を示す。前述したように、境界領域における気流の3次元速度ベクトルの方向が正の方向であることは、気流の方向が、境界領域から転炉1の外側に向かう方向であることに対応する。ここで、第1の閾値α1が前述した下限閾値に対応し、第2の閾値α2が前述した上限閾値に対応する。標準噴出特徴量710は、前述した第3の状態における境界領域特徴量である。
気流方向判定部406は、速度ベクトル導出部402により導出された気流の3次元速度ベクトルの方向に基づいて、境界領域における気流の方向を判定する。具体的に気流方向判定部406は、境界領域における気流が0(ゼロ)であるか否かを判定する。また、気流方向判定部406は、境界領域における気流が0(ゼロ)でない場合、境界領域における気流の方向が、境界領域から転炉1の外側に向かう方向と、転炉1の外側から境界領域に向かう方向との何れかであるかを判定する。
本実施形態では、気流方向判定部406は、境界領域における気流の方向が噴出方向である場合、速度ベクトル導出部402により導出された気流の3次元速度ベクトルの絶対値の大きさ|F0|と、第1の閾値α1および第2の閾値α2とを比較する。
炉口圧力導出部407は、気流方向判定部406の判定の結果と、速度ベクトル導出部402により導出された気流の3次元速度ベクトルとに対応する境界領域特徴量を、データ抽出部404により抽出された境界領域特徴量群の中から選択し、選択した境界領域特徴量に含まれる炉口圧力P0(t1+Δt)に基づいて、炉口圧力の現在値を導出する。
また、炉口圧力導出部407は、気流方向判定部406により、境界領域における気流の方向が噴出方向であり、且つ、境界領域における気流に偏りがないと判定されると、標準噴出特徴量710a~710nの中から、気流の3次元速度ベクトルF0→(t1)が、速度ベクトル導出部402により導出された気流の3次元速度ベクトルに最も近いものを選択する。そして、炉口圧力導出部407は、選択した標準噴出特徴量に含まれる炉口圧力P0(t1+Δt)を、炉口圧力の現在値として導出する。
炉口圧力出力部408は、炉口圧力導出部407により導出された炉口圧力の現在値を制御装置400に出力する。
次に、図8のフローチャートを参照しながら、炉口圧力設定装置100を用いた炉口圧力設定方法の一例を説明する。尚、図8のフローチャートが実行される前に、境界領域特徴量群がデータ記憶部405に記憶されているものとする。
まず、ステップS801において、画像取得部401は、画像取得部401は、撮像装置200a、200bで撮像された時刻t1、t2、t3における画像(カメラ画像)を取得する。
次に、ステップS802において、速度ベクトル導出部402は、画像取得部401で取得されたカメラ画像に対して画像処理を行い、境界領域における気流の3次元速度ベクトルを導出する。
次に、ステップS804において、データ抽出部404は、ステップS803で取得されたスカート4の高さの現在値に対応する境界領域特徴量群を、データ記憶部405から抽出する。
この判定の結果、境界領域における気流が0(ゼロ)である場合、処理は、ステップS806に進む。ステップS806において、炉口圧力導出部407は、ステップS804で抽出された境界領域特徴量群のうち、基準特徴量740に含まれる炉口圧力P0(t1+Δt)を、炉口圧力の現在値として導出する。そして、図8のフローチャートによる処理が終了する。
ステップS805において、境界領域における気流の方向が噴出方向であると判定されると、処理は、ステップS808に進む。ステップS808において、気流方向判定部406は、境界領域における気流の偏りを判定する。この判定の結果、境界領域における気流に偏りがない場合、処理は、ステップS809に進む。
ステップS813において、炉口圧力導出部407は、ステップS804で抽出された境界領域特徴量群のうち、標準吸込特徴量750a~750nの中から、気流の3次元速度ベクトルF0→(t1)が、ステップS802で導出された気流の3次元速度ベクトルに最も近いものを選択する。そして、炉口圧力導出部407は、選択した標準吸込特徴量に含まれる炉口圧力P0(t1+Δt)を、炉口圧力の現在値として導出する。そして、ステップS807において、炉口圧力出力部408は、ステップS813で導出された炉口圧力の現在値を、制御装置400に出力する。そして、図8のフローチャートによる処理が終了する。
以上のように本実施形態では、境界領域における気流の向きと偏りの条件を異ならせて、境界領域における時刻t1での気流の3次元速度ベクトルF0(t1)と、時刻t1から炉口圧力計10による測定の遅れ時間Δtが経過した時刻t1+Δtに炉口圧力計10で測定された炉口圧力P0(t1+Δt)とを取得し、これらを境界領域特徴量とする。境界領域における気流の向きと偏りの条件に応じて、境界領域特徴量を、標準噴出特徴量710、カメラ設置側・噴出特徴量720、カメラ非設置側・噴出特徴量730、基準特徴量740、標準吸込特徴量750、カメラ設置側・吸込特徴量760、およびカメラ非設置側・吸込特徴量770の何れか1つに分類してデータ記憶部405に予め記憶する。
<変形例1>
本実施形態では、データ記憶部405に記憶されている境界領域特徴量群を固定(変更)しない場合を例に挙げて説明した。しかしながら、データ記憶部405に記憶されている境界領域特徴量群を更新してもよい。例えば、炉口圧力設定装置100は、ステップS801で取得した3つのカメラ画像の撮像時刻のうち最初の時刻から遅れ時間Δtが経過したときの炉口圧力計10での炉口圧力の測定値を取得し、当該カメラ画像と、当該炉口圧力の測定値と、当該カメラ画像に基づいてステップS802で導出された境界領域における気流の3次元速度ベクトルとを、新たな境界領域特徴量としてデータ記憶部405に記憶してもよい。このとき、炉口圧力設定装置100は、当該境界領域における気流の3次元速度ベクトルの方向と大きさの絶対値とに基づいて、当該新たな境界領域特徴量を、標準噴出特徴量710、カメラ設置側・噴出特徴量720、カメラ非設置側・噴出特徴量730、基準特徴量740、標準吸込特徴量750、カメラ設置側・吸込特徴量760、およびカメラ非設置側・吸込特徴量770の何れか1つに分類する。
本実施形態では、境界領域における気流の方向が噴出方向および吸込方向の何れであるかと、境界領域における気流の偏りがカメラ設置側およびカメラ非設置側の何れであるかによって、境界領域特徴量を分類してデータ記憶部405に記憶する場合を例に挙げて説明したが、境界領域特徴量を更に細分化して分類してもよい。例えば、境界領域における気流の方向と所定の方向(例えば、地面に対する鉛直方向)とのなす角度の範囲として複数の範囲を定義し、境界領域における気流の方向が、これら複数の範囲の何れであるかによって、境界領域特徴量の分類先を異ならせてもよい。このようにする場合、気流方向判定部406は、速度ベクトル導出部402により導出された気流の3次元速度ベクトルの方向が、これら複数の範囲のどの範囲に含まれるかを判定し、炉口圧力導出部407は、当該判定された範囲に分類されている境界領域特徴量に含まれる炉口圧力P0(t1+Δt)に基づいて、炉口圧力の現在値を導出する。
本実施形態では、データ抽出部404は、スカート高さ取得部403により取得されたスカート4の高さと同じ高さの境界領域特徴量群がない場合、スカート高さ取得部403により取得されたスカート4の高さに最も近い高さの境界領域特徴量群を抽出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、まず、データ抽出部404は、スカート高さ取得部403により取得されたスカート4の高さを上回る高さのうち、スカート高さ取得部403により取得されたスカート4の高さに最も近い高さの境界領域特徴量群と、スカート高さ取得部403により取得されたスカート4の高さを下回る高さのうち、スカート高さ取得部403により取得されたスカート4の高さに最も近い高さの境界領域特徴量群と、を含む2つ以上(好ましくは3つ以上)の境界領域特徴量群を抽出する。そして、データ抽出部404は、抽出した境界領域特徴量群の値を補間する(例えば、線形補間やスプライン補間を行う)ことにより、スカート高さ取得部403により取得されたスカート4の高さの境界領域特徴量群を導出する。以上のようにすれば、スカート高さ取得部403により取得されたスカート4の高さの境界領域特徴量群として、より高精度な境界領域特徴量群が得られる。
本実施形態では、炉口圧力導出部407は、気流方向判定部406の判定の結果に対応する境界領域特徴量に、速度ベクトル導出部402により導出された気流の3次元速度ベクトルと同じものが含まれていない場合、気流方向判定部406の判定の結果に対応する境界領域特徴量のうち、境界領域における気流の3次元速度ベクトルF0→(t1)が、速度ベクトル導出部402により導出された気流の3次元速度ベクトルに最も近い境界領域特徴量を選択し、選択した境界領域特徴量に含まれる炉口圧力P0(t1+Δt)を、炉口圧力の現在値として導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。
本実施形態では、カメラ画像に基づいて速度ベクトル導出部402と同じアルゴリズムで導出した境界領域における気流の3次元速度ベクトルF0→(t1)と、炉口圧力計10により測定された炉口圧力P0(t1+Δt)とを、データ記憶部405に記憶される境界領域特徴量に含める場合を例に挙げて説明した。前述したようにこのようにすれば、炉口圧力の現在値を容易に求めることができるので好ましい。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、転炉1から発生する排ガスの流れを数値解析した結果から、境界領域特徴量を導出してもよい。
炉口圧力設定システムは、本実施形態で説明したように1つの装置(炉口圧力設定装置100)で実現しても、炉口圧力設定装置100が有する機能を複数の装置で実現したものとしてもよい。例えば、画像取得部401および速度ベクトル導出部402を非特許文献1に記載の装置で実現し、その他の部分(スカート高さ取得部403~炉口圧力出力部408)を1つの装置で実現してもよい。また、データ記憶部405を、その他の部分と別の装置で実現してもよい。
以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
Claims (13)
- 転炉をその外側から見た場合に見える境界であって、前記転炉と、当該転炉の上方に配置されるスカートとの境界を含む領域である境界領域の撮像画像に基づいて、当該境界領域における気流の速度ベクトルを導出する速度ベクトル導出手段と、
前記速度ベクトル導出手段により導出された速度ベクトルに基づいて、前記転炉の炉口における圧力である炉口圧力を導出する炉口圧力導出手段と、
前記境界領域における前記気流の速度ベクトルと、当該速度ベクトルに対応する前記炉口圧力とを含む境界領域特徴量を予め記憶する記憶手段と、を有し、
前記炉口圧力導出手段は、前記記憶手段により記憶されている前記炉口圧力の中から、前記速度ベクトル導出手段により導出された速度ベクトルに基づいて選択した前記炉口圧力を読み出すことを含む処理を行うことによって、前記炉口圧力の現在値を導出することを特徴とする炉口圧力設定システム。 - 前記境界領域における前記気流の方向は、前記転炉と前記スカートとの隙間から、前記転炉の外側に向かう方向と、前記転炉の外側から、前記転炉と前記スカートとの隙間に向かう方向と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の炉口圧力設定システム。
- 前記撮像画像を撮像する撮像手段は、前記転炉の軸よりも、排滓時に前記転炉を傾ける方向側である排滓時傾動方向側に配置されており、前記転炉の軸よりも、出鋼時に前記転炉を傾ける方向側である出鋼時傾動方向側に配置されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の炉口圧力設定システム。
- 前記速度ベクトル導出手段により導出された前記境界領域における速度ベクトルに基づいて、前記境界領域における前記気流の方向と、前記境界領域における前記気流の偏りの状態とを判定する気流方向判定手段を更に有し、
前記境界領域における前記気流の方向は、前記境界領域における速度ベクトルの方向に基づいて定められ、
前記境界領域における前記気流の偏りの状態は、前記境界領域における速度ベクトルの大きさの絶対値、および、前記排滓時傾動方向側における前記気流の速度と、前記出鋼時傾動方向側における前記気流の速度と、の大小関係に基づいて定められ、
前記記憶手段は、前記境界領域における前記気流の速度ベクトルと、当該速度ベクトルに対応する前記炉口圧力とを含む境界領域特徴量を、前記境界領域における前記気流の方向および前記境界領域における前記気流の偏りの状態毎に予め記憶し、
前記炉口圧力導出手段は、前記気流方向判定手段により判定された前記境界領域における前記気流の方向および前記境界領域における前記気流の偏りの状態に対応する前記炉口圧力を、前記記憶手段により記憶されている前記炉口圧力の中から読み出すことを特徴とする請求項3に記載の炉口圧力設定システム。 - 前記境界領域における前記気流の偏りの状態は、前記出鋼時傾動方向側の方が前記排滓時傾動方向側よりも前記気流の速度が速い状態であって、前記境界領域における速度ベクトルの大きさの絶対値が下限閾値を下回る状態として表される状態である第1の状態と、前記排滓時傾動方向側の方が前記出鋼時傾動方向側よりも前記気流の速度が速い状態であって、前記境界領域における速度ベクトルの大きさの絶対値が上限閾値を上回る状態として表される状態である第2の状態と、前記排滓時傾動方向側と前記出鋼時傾動方向側とで前記気流の速度が同程度であると見なせる状態であって、前記境界領域における速度ベクトルの大きさの絶対値が前記下限閾値以上、前記上限閾値以下の状態として表される状態である第3の状態と、を含み、
前記上限閾値および下限閾値は、前記転炉の炉口の縁の前記出鋼時傾動方向側の領域における付着物の付着量と、前記転炉の炉口の縁の前記排滓時傾動方向側の領域における付着物が同程度である場合の、前記排滓時傾動方向側の前記境界領域における速度ベクトルの絶対値の大きさに基づいて予め設定されることを特徴とする請求項4に記載の炉口圧力設定システム。 - 前記スカートの高さの現在値を取得するスカート高さ取得手段を更に有し、
前記記憶手段は、前記境界領域における前記気流の方向、前記境界領域における前記気流の偏りの状態、および前記スカートの高さ毎に前記特徴量を予め記憶し、
前記炉口圧力導出手段は、前記気流方向判定手段により判定された前記境界領域における前記気流の方向および前記境界領域における前記気流の偏りの状態と、前記スカート高さ取得手段により取得された前記スカートの高さと、前記速度ベクトルと、に対応する前記炉口圧力を、前記記憶手段により記憶されている前記炉口圧力の中から読み出すことを特徴とする請求項4または5に記載の炉口圧力設定システム。 - 前記転炉の炉口の上方の領域における圧力を測定する測定手段を更に有し、
前記境界領域特徴量は、前記境界領域における前記気流の速度ベクトルを導出する際に用いた撮像画像が撮像された時刻から、前記測定手段による測定の遅れ時間だけ経過した時刻に前記測定手段により測定された圧力を、当該境界領域における前記気流の速度ベクトルに対応する炉口圧力として含み、
前記測定手段による測定の遅れ時間は、前記炉口圧力が、当該測定手段による測定値に反映されるまでの時間として想定される時間であることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の炉口圧力設定システム。 - 前記記憶手段は、前記境界領域特徴量に含まれる、前記境界領域における前記気流の速度ベクトルと、当該速度ベクトルに対応する前記炉口圧力と、に関連付けて、当該速度ベクトルを導出する際に用いた撮像画像を記憶することを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の炉口圧力設定システム。
- 前記境界領域の撮像画像を撮像する撮像手段は、2つあり、
前記速度ベクトル導出手段は、前記2つの撮像手段により異なる方向から撮像された前記境界領域の撮像画像に基づいて、当該境界領域における前記気流の3次元速度ベクトルを導出することを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の炉口圧力設定システム。 - 前記炉口圧力が目標値に等しくなるように前記転炉から発生する排ガスの経路に配置されたダンパーを操作する制御装置に、前記炉口圧力導出手段により導出された前記炉口圧力の現在値を出力する炉口圧力出力手段を更に有することを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の炉口圧力設定システム。
- 前記炉口圧力導出手段は、前記前記速度ベクトル導出手段により導出された速度ベクトルに一致する速度ベクトルを含む前記境界領域特徴量が前記記憶手段により記憶されていない場合には、前記記憶手段により記憶されている前記炉口圧力の中から、前記速度ベクトル導出手段により導出された速度ベクトルに基づいて選択した複数の前記炉口圧力を読み出し、読み出した複数の前記炉口圧力を用いて前記炉口圧力の現在値を算出することを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の炉口圧力設定システム。
- 転炉をその外側から見た場合に見える境界であって、前記転炉と、当該転炉の上方に配置されるスカートとの境界を含む領域である境界領域の撮像画像に基づいて、当該境界領域における気流の速度ベクトルを導出する速度ベクトル導出工程と、
前記速度ベクトル導出工程により導出された速度ベクトルに基づいて、前記転炉の炉口における圧力である炉口圧力を導出する炉口圧力導出工程と、
前記境界領域における前記気流の速度ベクトルと、当該速度ベクトルに対応する前記炉口圧力とを含む境界領域特徴量を予め記憶手段に記憶する記憶工程と、を有し、
前記炉口圧力導出工程は、前記記憶工程により記憶されている前記炉口圧力のうち、前記速度ベクトル導出工程により導出された速度ベクトルに基づいて選択した前記炉口圧力を読み出すことを含む処理を行うことによって、前記炉口圧力の現在値を導出することを特徴とする炉口圧力設定方法。 - 請求項1~11の何れか1項に記載の炉口圧力設定システムの各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
Priority Applications (1)
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