JP7040109B2 - 無方向性電磁鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は,無方向性電磁鋼板に関するものである。
近年、電気機器、特に、無方向性電磁鋼板がその鉄心材料として使用される回転機、中小型変圧器、電装品等の分野においては、世界的な電力・エネルギー節減、CO削減等に代表される地球環境保全の動きの中で、高効率化、及び小型化の要請はますます強まりつつある。このような社会環境下において、当然、無方向性電磁鋼板に対しても、その性能向上は、喫緊の課題である。
周知のように、無方向性電磁鋼板においては、その性能向上、特に鉄損低減に対して数多の手段がとられてきた。鉄損は渦電流損とヒステリシス損の2つに大別される。渦電流損の低減は、固有抵抗増大の観点から、Si、Al等の含有量を高める方法がとられてきた。しかし、この方法では、多く入れると冷延時に割れやすくなるため、実質上限がある。
ヒステリシス損を下げる方法の一つとして、Alを0.01質量%以下(以下、成分に関して、単に「%」と記述する場合は、「質量%」をさす)に少なくする手段(以下、当手段を「Alトレース」と呼称)が提案されている。AlはSiよりもヒステリシス損を増加させるため、SiとAlで同一固有抵抗であるなら、Alの少ない成分の方が鉄損を下げることができる。
一方で、近年、無方向性電磁鋼板には疲労強度も求められている。小型化する際に回転数を増やす設計が多く、特に自動車の主機モータでは市街地走行時に発進・停止を繰り返すため、回転子に用いられる無方向性電磁鋼板には疲労強度の高い材料が必要とされている。この時、エンジンルームやモータは熱を持ち、約100℃以上での疲労強度が必要とされる。疲労強度は引張強度と相関していることが知られている。そのため、疲労強度を上げる方法の多くは、引張強度を上げる方法と同じである。
優れた機械特性を有する電磁鋼板としては、例えば特許文献1には、3.5~7%Siに加えて、Ti、W、Mo、Ni、CoおよびAlのうちの1種または2種以上を20%を超えない範囲で含有する鋼板が提案されている。この方法では鋼の強化機構として、固溶強化を利用している。しかしながら、固溶強化の場合には冷間圧延母材も同時に高強度化されるため、冷間圧延が困難であり、またこの方法において温間圧延という特殊工程が必須であることから、生産性向上や歩留向上などの改善の余地がある。また、これらの合金金属には高価なものもあり、コストの増加も気にする必要がある。
特許文献2には、2.0~3.5%のSi、0.1~0.6%のMnに加えてBおよび多量のNiを含有し、結晶粒径が30μm以下である鋼板が提案されている。しかしながら、結晶粒微細化は強度を上げるが、鉄損を大きく劣化させるというデメリットがある。
特許文献3および4には、2.0~4.0%のSiに加えて、Nb、Zr、B、TiまたはVなどを含有する鋼板が提案されている。これらの方法ではSiによる固溶強化に加えてNb、Zr、TiまたはCの析出物による析出強化を利用している。しかしながら、このような析出物による強化も鉄損を劣化させるデメリットがある。
特許文献5にはCu析出を活用する鋼板が提案されている。他の析出物と異なり、Cu析出物は磁気特性をほとんど悪くせずに強度を上げることが出来る。しかし、工業的にはCuの析出を目的としたいわゆる時効熱処理が必要となる。そのため、例えばユーザでの熱処理工程の変更等を伴うものとなり、実用化については課題が多い。
特開昭60-238421号公報 特開平1-162748号公報 特開平2-8346号公報 特開平6-330255号公報 特開2004-84053号公報
特許文献1、5には生産性やコストが悪く、特許文献2~4には鉄損が悪いという課題がある。そこで、本発明の課題は、上記問題を鑑み、鉄損への影響が少なく、生産性を損ねず、コストのかかりにくく、疲労強度が高い無方向性電磁鋼板を提供することである。
本発明者らは、自動車駆動用モータが実際に使われる温度域での疲労強度を上げることに着目した。自動車駆動用モータは使用時に100℃以上の温度になることがある。鉄においてこの温度は侵入型固溶元素が鋼中を拡散し、時効硬化する範囲である。
そこで、本発明者らは、鉄との相互作用が少ない固溶Nを用いることで上記課題を解決できないか鋭意研究を重ねた。その結果、Alトレース、かつ、鋼板中のNの含有量が多いと、モータ使用時の温度で疲労強度が高く、鉄損が低く、生産性もよく、コストの増加もほとんどしない電磁鋼板を製造できることを究明した。
本発明は上記の知見に基づきなされたものであり、その要旨は次の通りである。
(1)質量%で、C:0.003%以下、Si:1.5~7.0%、Mn:0.01~3.0%、Al:0.020%以下、S:0.010%以下、及びN:0.005~0.020%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
(2)23℃の疲労強度と150℃の疲労強度の差が60MPa以上であることを特徴とする前記(1)の無方向性電磁鋼板。
(3)23℃の疲労強度と150℃の疲労強度の差が80MPa以上であることを特徴とする前記(1)の無方向性電磁鋼板。
(4)板厚が0.10~0.70mmであることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかの無方向性電磁鋼板。
(5)更に、質量%で、Sn:0~0.40%、Cu:0~1.0%、Sb:0~0.40%、及びP:0~0.40%の1種又は2種以上を含有する前記(1)~(4)のいずれかの無方向性電磁鋼板。
(6)更に、質量%で、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上を、総計で0~0.0100%を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
本発明によれば、低鉄損で、生産性が高く、コストを低く抑えて、疲労強度が高い無方向性電磁鋼板が提供できる。
実施例における、N量と、23℃と150℃の疲労強度の差との関係を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<無方向性電磁鋼板>
本発明の無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.003%以下、Si:1.5~7.0%、Mn:0.01~3.0%、Al:0.020%以下、S:0.010%以下、及びN:0.005~0.020%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする。本発明の無方向性電磁鋼板は、C、Sの元素を含まない態様の鋼板も含む。
以下、本発明の無方向性電磁鋼板の鋼成分の限定理由について述べる。
(C:0.003%以下)
Cは、鉄損を高める有害な成分で、磁気特性の劣化の原因ともなる。このため、C含有量は0.003%以下とする。C含有量は、好ましくは0.003%以下である。一方、C含有量の下限値は、特に制限はなく、含有量は0でもよいが、製鋼でのコストの観点から、0.001%以上が好ましい。
(Si:1.5%以上7.0%以下)
Siは、電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させることにより、鉄損を低減する作用のある成分であり、また、降伏比を増大させることにより、鉄心への打ち抜き加工性を向上させる作用も有する。これらの作用を奏するためには、Si含有量は1.5%以上とする。
Si含有量が増えると疲労強度は高くなるが、磁束密度が低下し、かつ、硬度の上昇を招いて、打ち抜き加工性を劣化させ、また、無方向性電磁鋼板の製造工程そのものにおいても、冷延等の作業性の低下、コスト高ともなる。このため、Si含有量は7.0%以下とする。Si含有量は、好ましくは2.5%以上4.5%以下である。
(Al:0.020%以下)
Alは、従来の無方向性電磁鋼板では、Siと同様に電気抵抗を増大させて渦電流損(鉄損の1種)を減少させるために含有される。しかし、本発明では固溶Nにより疲労強度を上げるため、固溶Nと反応性の高いAlは少なくする必要がある。
Alは通常脱酸に用いられるため、鋼板中に多少残留する。Alが酸化物として鋼板中に残存しても問題はないが、固溶Alの量が多いと、固溶Nと反応し、AlNを生成する。AlNは、固溶Nを減らすだけでなく、AlN自身が結晶粒を微細化させるため、鉄損も悪化する。
そこで、全Al量を0.020%以下に制限する。Al量は0でもかまわないが、Alを少なくしようとしすぎると、製鋼でのコストが高くなるので、0.0001%以上としてもよい。
(Mn:0.01~3.0%)
Mnは、電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させるとともに、一次再結晶集合組織を改善して、圧延方向の磁気特性の向上に望ましい{110}<001>結晶方位を発達させる効果を有する。さらに、Mnは、結晶粒成長に有害なMnS等の微細硫化物の析出を抑制する。これらの作用を奏するためには、Mn含有量は0.01%以上とする。一方、Mn含有量が増えると、焼鈍時の結晶粒成長性そのものが低下し、鉄損が増大する。このため、Mn含有量は3.0%以下とする。Mn含有量は、好ましくは0.1%以上0.5%以下である。
(S:0.010%以下)
Sは、MnS等の硫化物の微細析出により、仕上げ焼鈍時等における再結晶および結晶粒成長を阻害する。このため、S含有量は0.010%以下とする。ただし、REM等のSを固定する元素がない場合のS含有量は、好ましくは0.001%以下である。一方、S含有量の下限値は、特に制限はなく、含有量は0でもよいが、脱Sのコスト及び生産性の観点から、0.0003%以上とすることが好ましい。
(N:0.005~0.020%)
従来の無方向性電磁鋼板では、Nは、AlN等の窒化物の微細析出により、仕上げ焼鈍時等における再結晶および結晶粒成長を阻害するため少ない方が望ましいとされていた。しかし、全Al量を0.020%以下にすればAlNのピン止め効果を少なくすることが可能であり、その結果、Nは侵入型固溶元素として鋼中に存在でき、高温における疲労強度が上昇する。
そして、N含有量を0.005%以上とすることにより100℃以上での疲労強度の上昇代を大きくすることができる。よってN含有量は0.005%以上とする。疲労強度上昇代確保の観点から、望ましくは0.008%以上、より望ましくは0.010%以上、更に望ましくは0.018%以上である。一方、N含有量が0.020%を超えると、材料が割れやすくなり、生産性が圧下する。そのため、上限は0.020%とする。
(その他の元素)
鋼板には、質量%で、Sn:0~0.40%、Cu:0~1.0%、Sb:0~0.40%、P:0~0.40%の1種又は2種以上を含有してもよい。これらの元素は必須ではなく、含有量は0でもよい。
Sn、Cu、Sb、およびPは、焼鈍時に粒界からの再結晶を抑制し、磁気特性に望ましくない{111}<112>結晶方位の集合組織等を抑制する効果を有する。これらの作用を奏するためには、Sn含有量、Sb含有量およびP含有量は0.02%以上、Cu含有量は0.1%以上とすることが好ましい。
一方、Sn、Cu、Sb、及びPは、含有量が増えても上記作用は飽和し、むしろ、鋼板が脆化することがある。このため、Sn含有量、Sb含有量及びP含有量は0.40%以下、Cu含有量は1.0%以下とすることが好ましい。
また、鋼板には、質量%で,Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上を、総計で0~0.0100%を含有してもよい。これらの元素は必須ではなく、含有量は0でもよい。
Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdは、硫化物または酸硫化物としてSを固定し、MnS等の微細析出を回避し、磁壁の移動をスムーズにし、鉄損を低下させる効果を有する。これらの作用を奏するためには、上記元素の総計を0.0010%以上とすることが好ましい。
一方、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdは、含有量が増えると、硫化物又は酸硫化物自体が過剰となり、鉄損が悪化する。このため、上記元素の総計は、0.0100%以下とすることが好ましい。
(残部)
鋼板の残部は、Fe及び不純物である。ここで、不純物とは、原材料に含まれる成分、または、製造の過程で混入する成分であって、意図的に鋼板に含有させたものではない成分を指す。
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の特性について説明する。
一般に、無方向性電磁鋼板の疲労強度は、室温よりも高温で上昇する。これは、侵入型固溶元素の影響と考えられる。
本発明の無方向性電磁鋼板は、固溶Nにより、高温での疲労強度が従来の無方向性電磁鋼板に比べ高くなる。なお、室温での疲労強度は、従来の無方向性電磁鋼板と同程度である。
本発明の無方向性電磁鋼板では、23℃における疲労強度と150℃における疲労強度の差が、好ましくは60MPa以上、より好ましくは80MPa以上となる。疲労強度差は、固溶Nが多くなるほど高くなる傾向がある(図1)。従って、23℃における疲労強度と150℃における疲労強度の差を所望の値にするのは、例えば、図1に基づいて固溶N量を調整すればよい。
本発明において疲労強度は、MTS社製 100kN疲労試験機を用い、試験片の平行部とその周辺を加熱して、応力比0.05で測定する。疲労強度は200万回で破壊されない応力振幅を疲労強度とする。
温度の変更は試験片の平行部およびその周辺のみ管状炉になるような機構にする。本発明では、23℃と、150℃の疲労強度を測定し、温度変化による特性の向上代を測定する。
以下、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法の一例について説明する。
-製鋼工程-
本発明の特徴として、Alトレースがある。Alは良い脱酸材であるため、Alを入れない場合は溶鋼中の溶存酸素が高くなる。その結果、脱硫剤(例えばCaフラックス)を添加した際、脱硫剤が硫黄より先に酸素と反応して、鋳造後のスラブに硫黄が多く残ることが懸念される。スラブに残った硫黄は、その後の熱延で微細なMnSと変わり、磁気特性を劣化させることがある。したがって、そのようなことが起こらないように、公知の方法による脱硫強化(脱硫時間の増加等)を検討する必要がある。
本発明におけるもう一つの特殊な工程は高N化である。これは、任意の窒化物を鋼中に添加することで、行うことができる。溶鋼を大気に触れさせることでもNを高くすることができるが、均一に狙い通りの量の添加することが困難である。過剰な添加は、後工程で割れが生じやすくなるため、N量は0.020%以下にする必要がある。
-熱間圧延工程-
熱間圧延工程では、スラブを熱間で圧延することで、冷延しやすい板厚に加工する必要がある。熱間圧延における条件は、特に制限はない。例えば、仕上げ圧延完了温度が800~1100℃、巻き取り温度が400~700℃の条件で鋼帯を熱間圧延することができる。
-冷間圧延工程-
冷間圧延工程では、熱延板や、熱延焼鈍板を冷間で圧延し、最終板厚(製品板厚)にする。冷間圧延工程において、高合金になれば圧延しづらくなる。そのため、板温を80℃以上にして圧延してもよい。
冷間圧延工程において、冷延圧下率以外の条件は、特に制限はない。例えば、温度が100~300℃、冷間圧延と仕上げ焼鈍を繰り返す回数が2~10回とすることができる。
冷間圧延工程では、鋼帯に一回の冷間圧延を実施してもよいし、鋼帯に複数回の冷間圧延を施してもよい。複数回の冷間圧延を実施する場合、複数回の中間冷間圧延間に、鋼板に中間焼鈍を施すことがよい。目的とする板厚の無方向性電磁鋼板が得られやすくする点からは、冷間圧延工程では、中間焼鈍を介した複数回の冷間圧延を実施することがよい。
製品板厚は、たとえば、0.10~0.70mmとすることができる。
-焼鈍工程-
焼鈍工程では、冷間圧延後に、全面再結晶完了し、粒成長する条件で、鋼帯を焼鈍する。その結果、鉄損が低くかつ磁束密度が高い無方向性電磁鋼板が製造できる。
ここで、焼鈍工程において、「焼鈍」とは、冷間圧延後に実施する周知の焼鈍(例えば、仕上げ焼鈍、固溶Cを低減する脱炭焼鈍、仕上げ焼鈍、ひずみ取り焼鈍等)のことを指す。
脱炭焼鈍は、鋼板中に一定量以上の炭素があると、現実の電気機器運転中においては、鉄心の温度が150~200℃まで上昇する場合があることから、時効効果により鉄心の磁気特性が劣化する問題を確実に防ぐ目的で行う。
仕上げ焼鈍は、鋼板中の転位密度を再結晶しない範囲で低減する目的で行う。
ひずみ取り焼鈍は、無方向性電磁鋼板の歪を取り除く目的で行う。
焼鈍工程では、周知の焼鈍の全てを実施してもよいし、周知の焼鈍のいずれか一つ以上を実施(例えば、仕上げ焼鈍のみを実施、脱炭焼鈍、仕上げ焼鈍を実施等)してもよい。
ただし、焼鈍工程では、鋼板中の転位密度を下げ、鉄損を改善させる観点から、少なくとも仕上げ焼鈍を実施することが好ましい。特に、再結晶をさせると、鉄損が大きく改善するため、再結晶をする800℃以上で仕上げ焼鈍をすることが望ましい。
本発明の無方向性電磁鋼板、及びその製造方法は、電気機器の鉄心材料(特に、回転機、中小型変圧器、電装品等の鉄心材料)に適用することができる。そして、本発明の無方向性電磁鋼板、及びその製造方法は、電気機器の分野における喫緊の高効率化および小型化要請に十分に応えることができ、その工業的価値は極めて高いものである。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
表1に記載の成分で、鋳造した材料を用いて試験した。
Figure 0007040109000001
鋳造は150mm角の鋳型に溶鋼を流し込み、凝固速度約0.1℃/秒で室温まで下げて行った。その後、1150℃に再加熱したのち、2.0mmまで圧延し、その後1000℃×1分の焼鈍を実施した。ただし、No.17、18のサンプル(Si:6.5%)のみ鋳片が200℃以下に温度が下がる前に再加熱をした。
次に、冷延温度50℃、冷延圧下率90%で冷延して厚さ0.35mmの鋼帯を得た。この時、No.17、18のサンプルのみ冷延温度150℃で行った。次に、得られた鋼帯を仕上げ焼鈍した。仕上げ焼鈍は、昇温速度20℃/秒で鋼帯を加熱し、1000℃に到達後、15秒均熱後に空冷した。これら工程を経て、無方向性電磁鋼板を得た。
得られた無方向性電磁鋼板の疲労強度を前述の方法で測定し、23℃の疲労強度と150℃の疲労強度の差を求めた。
また、得られた無方向性電磁鋼板の鉄損W10/400を測定した。鉄損W10/400は、400Hzで1.0Tの交番磁場をかけた時に鉄で生じるエネルギー損失(W/kg)である。母材から55mm角に鋼板を切出し(1辺は圧延方向)、圧延方向と、その90°方向の平均値を測定値とした。
No.1~6は主にNを変更した条件である。Nが発明範囲内であれば150℃にした時の疲労強度上昇代が、Nが本発明範囲下限未満の場合(No2、3)に比較して大きかった。入れすぎた場合、鋳造時に割れたため、調査が出来なかった。
No.8と9はAlが発明範囲を外れた場合である。150℃時の疲労強度上昇代が、Nが本発明範囲下限未満の場合(No2、3)に比較して大きくはなかった。これはAlがNと結びつき、析出することで、固溶Nのエージングを防ぐためと推定する。
No.1~9の結果をまとめたのが図1である。このことから、AlとNの量を制御することが、実用的な温度(150℃)での疲労強度を上げることにつながることがわかった。
No.15、16はCが発明範囲を外れた場合である。疲労強度の上昇代は良いが、鉄損が悪くなっているため、実用に適さない。No.17、18はSiの量を変えた時である。発明範囲を超えると冷延で割れが発生した。
(実施例2)
表2に記載の成分で、鋳造した材料を用いて試験した。
Figure 0007040109000002
鋳造は150mm角の鋳型に溶鋼を流し込み、凝固速度約0.1℃/秒で室温まで下げて行った。その後、1150℃に再加熱したのち、2.0mmまで圧延し、その後1000℃×1分の焼鈍を実施した。
次に、冷延温度50℃、冷延圧下率90%で冷延して厚さ0.35mmの鋼帯を得た。さらに、得られた鋼帯を仕上げ焼鈍した。仕上げ焼鈍は、昇温速度20℃/秒で鋼帯を加熱し、1000℃に到達後、15秒均熱後に空冷した。これら工程を経て、無方向性電磁鋼板を得た。
得られた無方向性電磁鋼板の疲労強度を前述の方法で測定し、23℃の疲労強度と150℃の疲労強度の差を求めた。
また、得られた無方向性電磁鋼板の磁束密度B50を測定した。磁束密度B50は、50Hzで5000A/mの交番磁場をかけた時の鉄で生じる磁束密度(T)である。母材から55mm角に鋼板を切出し(1辺は圧延方向)、圧延方向と、その90°方向の平均値を測定値とした。
No.2~5は任意の添加元素(Sn、Cu、Sb、P)を添加した条件である。No.1は必須の元素のみを含有する電磁鋼板であり、そのままでも特性が良いが、上記の元素を添加するとB50が更に向上することがわかる。
(実施例3)
表3に記載の成分で、鋳造した材料を用いて試験した。
Figure 0007040109000003
鋳造は150mm角の鋳型に溶鋼を流し込み、凝固速度約0.1℃/秒で室温まで下げて行った。その後、1150℃に再加熱したのち、2.0mmまで圧延し、その後1000℃×1分の焼鈍を実施した。
次に、冷延温度50℃、冷延圧下率90%で冷延して厚さ0.35mmの鋼帯を得た。さらに、得られた鋼帯を仕上げ焼鈍した。仕上げ焼鈍は、昇温速度20℃/秒で鋼帯を加熱し、1000℃に到達後、15秒均熱後に空冷した。これら工程を経て、無方向性電磁鋼板を得た。
得られた無方向性電磁鋼板の疲労強度を前述の方法で測定し、23℃の疲労強度と150℃の疲労強度の差と、鉄損W10/400を求めた。
No.2~11は任意の添加元素(Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、Cd)を添加した条件である。No.1は必須の元素のみを含有する電磁鋼板であり、そのままでも特性が良いが、上記の元素を添加するとW10/400が更に低減できることがわかる。

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C:0.003%以下、
    Si:1.5~7.0%、
    Mn:0.01~3.0%、
    Al:0.004~0.020%、
    S:0.010%以下、及び
    N:0.005~0.020%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
    ただし、{100}方位の集積強度が5以上であるもの、及び板面平行方向の張力が0.1kgf/mm 2 以上であるものを除く。
  2. 質量%で、
    C:0.0030%以下、
    Si:1.5~7.0%、
    Mn:0.01~3.0%、
    Al:0.020%以下、
    S:0.010%以下、及び
    N:0.006~0.020%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
    ただし、{100}方位の集積強度が5以上であるもの、及び板面平行方向の張力が0.1kgf/mm 2 以上であるものを除く。
  3. (150℃における疲労強度)-(23℃における疲労強度)≧60MPaを満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の無方向性電磁鋼板。
  4. (150℃における疲労強度)-(23℃における疲労強度)≧80MPaを満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の無方向性電磁鋼板。
  5. 板厚が0.10~0.70mmであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
  6. 更に、質量%で、Sn:0~0.40%、Cu:0~1.0%、Sb:0~0.40%、及びP:0~0.40%の1種又は2種以上を含有する請求項1~のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
  7. 更に、質量%で、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上を、総計で0~0.0100%を含有する請求項1~のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
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