以下に添付図面を参照して、本発明の給水系統のクリーンアップ装置及び方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
図8は、本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置及び方法が適用される原子力発電プラントを表す概略構成図である。
図8に示す原子力発電プラントは、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図8に示すように、原子炉格納容器11は、内部に加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは配管14,15を介して連結されており、配管14に加圧器16が設けられ、配管15に1次冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材及び1次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における1次冷却水の沸騰を抑制するために、1次冷却系統は加圧器16により150~160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランにより1次冷却水としての軽水が加熱され、高温の1次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持した状態で配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高温高圧の1次冷却水と2次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた1次冷却水は配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
蒸気発生器13は、蒸気供給ライン18を介して蒸気タービン19と連結されており、この蒸気供給ライン18に主蒸気隔離弁20が設けられている。蒸気タービン19は、高圧タービン21と低圧タービン22を有すると共に、発電機23が接続されている。また、高圧タービン21と低圧タービン22との間には、湿分分離加熱器24が設けられており、蒸気供給ライン18から分岐した冷却水分岐配管25が湿分分離加熱器24に連結される一方、高圧タービン21と湿分分離加熱器24は低温再熱管26により連結され、湿分分離加熱器24と低圧タービン22は高温再熱管27により連結されている。
蒸気タービン19の各低圧タービン22は、復水器28を有しており、各低圧タービン22から蒸気が排出される。また、この復水器28は、蒸気供給ライン18からバイパス弁29を有するタービンバイパス配管30が接続されている。
そして、この復水器28は、復水戻しライン31が接続されており、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、復水浄化装置34、復水ブースタポンプ35、低圧給水加熱器36が接続されている。また、復水戻しライン31は、脱気器37が連結されると共に、主給水ポンプ38、高圧給水加熱器39、主給水制御弁40が設けられている。
従って、蒸気発生器13にて、高温高圧の1次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、蒸気供給ライン18を通して蒸気タービン19(高圧タービン21から低圧タービン22)に送られ、この蒸気により蒸気タービン19を駆動して発電機23により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン21を駆動した後、湿分分離加熱器24で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン22を駆動する。そして、蒸気タービン19を駆動した蒸気は、復水器28で海水を用いて冷却されて復水となり、グランドコンデンサ33、復水浄化装置34、低圧給水加熱器36、脱気器37、高圧給水加熱器39などを通して蒸気発生器13に戻される。そして、蒸気発生器13は、蒸気供給ライン18及び復水戻しライン31を介して蒸気タービン19と連結されており、復水ブースタポンプ35、主給水ポンプ38などにより冷却水(蒸気、復水)が循環している。
このような原子力発電プラントにおける2次冷却水の給水系統にて、特に、復水器28で冷却された復水を蒸気発生器13に戻す給水系統は、2次冷却水に含まれる不純物が配管や各種機器に付着したり堆積したりする。そのため、原子力発電プラントの定期点検時、この給水系統のクリーンアップを行う。
ここで、本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置について説明する。図1は、本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置を表す概略構成図である。
本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置は、図1に示すように、復水器28の復水を低圧給水加熱器36、脱気器37、高圧給水加熱器39を通して蒸気発生器13に戻す給水系統をクリーンアップするためのものである。
給水系統のクリーンアップ装置は、洗浄水を復水器28から低圧給水加熱器36及び脱気器37を通して復水器28に戻す低圧クリーンアップライン101と、洗浄水を復水器28から脱気器37及び高圧給水加熱器39を通して復水器28に戻す高圧クリーンアップライン102と、脱気器37に加熱蒸気を供給する加熱蒸気供給ライン62と、高圧クリーンアップライン102における復水器28と脱気器37との間に設けられる水位制御弁41より下流側から分岐して脱気器37の入口側に連結されると共に熱交換器72が設けられる加熱洗浄水供給ライン71と、脱気器37の出口側から熱交換器72を通って復水器28に連結される洗浄水加熱ラインとして機能する低圧クリーンアップ循環ライン50とを備えている。
具体的に説明すると、復水器28から蒸気発生器13に連結される復水戻しライン31は、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、復水フィルタや復水脱塩装置などで構成される復水浄化装置34、復水ブースタポンプ35、水位制御弁41、低圧給水加熱器36、脱気器37が給水の流れ方向の下流側に向けて順に設けられている。また、復水戻しライン31は、脱気器37より下流側に、主給水ポンプ38、高圧給水加熱器39、主給水制御弁40が給水の流れ方向の下流側に向けて順に設けられている。なお、復水器28は、図示しないが、給水タンクが連結されており、給水タンクから給水が供給されることで、所定量の給水が確保されている。
復水戻しライン31は、復水ブースタポンプ35と水位制御弁41との間にブローライン42が設けられ、ブローライン42に開閉弁43が設けられている。また、復水戻しライン31は、低圧給水加熱器36より下流側にブローライン44が設けられ、ブローライン44に開閉弁45が設けられると共に、ブローライン44より下流側に第1切替弁46が設けられている。
脱気器37は、復水戻しライン31の一部を用いて復水を循環する脱気器循環ライン47が設けられ、脱気器循環ライン47に脱気器循環ポンプ48と脱気器循環開閉弁49が設けられている。また、脱気器37は、出口側に低圧クリーンアップ循環ライン(洗浄水加熱ライン)50の基端部が連結され、低圧クリーンアップ循環ライン50の先端部が復水器28に連結されている。そして、低圧クリーンアップ循環ライン50は、ブローライン51が設けられ、ブローライン51に開閉弁52が設けられると共に、ブローライン51より下流側に遮断弁53が設けられている。
そのため、低圧クリーンアップライン101は、復水戻しライン31の一部と、後述する第2高圧クリーンアップ循環ラインの68一部と、低圧クリーンアップ循環ライン50により構成されている。
起動用ボイラ61は、加熱蒸気を生成可能であり、加熱蒸気供給ライン62により脱気器37に連結され、加熱蒸気供給ライン62に加熱蒸気制御弁63が設けられている。第1高圧クリーンアップ循環ライン(高温洗浄水循環ライン)64は、基端部が復水戻しライン31における下流側端部に連結され、先端部が復水器28に連結されている。第1高圧クリーンアップ循環ライン64は、ブローライン65が設けられ、ブローライン65に開閉弁66が設けられると共に、ブローライン65より下流側に遮断弁67が設けられている。第2高圧クリーンアップ循環ライン(高温洗浄水循環ライン)68は、基端部が第1高圧クリーンアップ循環ライン64における遮断弁67の上流に連結され、先端部が脱気器37に連結されている。第2高圧クリーンアップ循環ライン68は、高温洗浄水循環開閉弁69が設けられている。そして、第2高圧クリーンアップ循環ライン68は、高温洗浄水循環開閉弁69より下流側に復水戻しライン31が連結されている。この場合、復水戻しライン31を脱気器37に連結し、第2高圧クリーンアップ循環ライン68を復水戻しライン31に連結してもよい。なお、復水戻しライン31は、第1高圧クリーンアップ循環ライン64の連結部より下流側に開閉弁70が設けられている。
高圧クリーンアップライン102は、復水戻しライン31と、第1高圧クリーンアップ循環ライン64と、第2高圧クリーンアップ循環ライン68により構成されている。低圧クリーンアップライン101と高圧クリーンアップライン102は、復水器28から低圧給水加熱器36を介して脱気器37に至る共通のクリーンアップラインを有している。
加熱洗浄水供給ライン71は、基端部が復水戻しライン31における水位制御弁41と低圧給水加熱器36との間に連結され、先端部が復水戻しライン31における第1切替弁46と脱気器37との間に連結されている。加熱洗浄水供給ライン71は、熱交換器72が設けられると共に、熱交換器72より下流側に第2切替弁73が設けられている。この加熱洗浄水供給ライン71は、復水戻しライン31から低圧給水加熱器36及び第1切替弁46を迂回して脱気器37の入口側に連結されている。
上述した低圧クリーンアップ循環ライン50は、洗浄水加熱ラインとして機能し、基端部が脱気器37の出口側に脱気器循環ライン47と並列に連結され、先端部が復水器28に連結されている。また、低圧クリーンアップ循環ライン(洗浄水加熱ライン)50は、加熱洗浄水供給ライン71における熱交換器72に連結されている。熱交換器72は、低圧クリーンアップ循環ライン50を流れる高温の洗浄水により、加熱洗浄水供給ライン71を流れる低温の洗浄水を加熱する。
制御装置81は、復水ポンプ32、復水ブースタポンプ35、水位制御弁41、開閉弁43、開閉弁45、第1切替弁46、脱気器循環ポンプ48、脱気器循環開閉弁49、開閉弁52、遮断弁53、加熱蒸気制御弁63、開閉弁66、遮断弁67、高温洗浄水循環開閉弁69、開閉弁70、第2切替弁73を制御可能となっている。また、復水戻しライン31における高圧給水加熱器39と主給水制御弁40の間に不純物の濃度を計測する濃度センサ82が設けられている。濃度センサ82は、計測結果を制御装置81に出力し、制御装置81は、濃度センサ82の計測結果に基づいて各種ポンプや弁を制御する。
以下、本実施形態の給水系統のクリーンアップ方法について説明する。図2は、給水系統のクリーンアップ装置を用いた第1低圧クリーンアップの処理を説明するための概略図、図3は、給水系統のクリーンアップ装置を用いた第2低圧クリーンアップの処理を説明するための概略図、図4は、給水系統のクリーンアップ装置を用いた洗浄水の加熱処理を説明するための概略図、図5は、給水系統のクリーンアップ装置を用いた高圧クリーンアップの処理を説明するための概略図、図6は、給水系統のクリーンアップ装置を用いた第1高圧クリーンアップの処理を説明するための概略図である。
本実施形態の給水系統のクリーンアップ方法は、洗浄水を復水器28から脱気器37に供給して所定の水位を確保する工程と、洗浄水を脱気器37から高圧給水加熱器39を通して脱気器37に戻すと共に脱気器37に加熱蒸気を供給して洗浄水を加熱する工程と、復水器28から脱気器37に供給される洗浄水と脱気器37を通って復水器28に戻る洗浄水との間で熱交換を行う工程とを有している。
まず、給水系統における低温クリーンアップ方法について説明する。図2に示すように、第1低圧クリーンアップにおいて、まず、図示しない給水タンクの給水(洗浄水)を復水器28に供給することで、復水器28の給水の水位を所定の水位とする。そして、水位制御弁41を閉止する一方、開閉弁43を開放し、復水ポンプ32(復水ブースタポンプ35)を駆動する。すると、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31に供給され、使用済の洗浄水がブローライン42から外部に排出される。そのため、復水戻しライン31の一部、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、復水浄化装置34、復水ブースタポンプ35が1次洗浄される。
第2低圧クリーンアップにおいて、復水戻しライン31の一部、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、復水浄化装置34、復水ブースタポンプ35の1次洗浄が終了すると、図3に示すように、開閉弁43と各切替弁46,73を閉止する一方、水位制御弁41と開閉弁45を開放し、復水ポンプ32(復水ブースタポンプ35)を駆動する。すると、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31に供給され、使用済の洗浄水がブローライン44から外部に排出される。そのため、復水戻しライン31の一部、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、復水浄化装置34、復水ブースタポンプ35が2次洗浄されると共に、低圧給水加熱器36が1次洗浄される。
復水戻しライン31の一部、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、復水浄化装置34、復水ブースタポンプ35の2次洗浄と、低圧給水加熱器36の1次洗浄が終了すると、開閉弁45と遮断弁53を閉止する一方、第1切替弁46と開閉弁52を開放し、復水ポンプ32(復水ブースタポンプ35)を駆動する。すると、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31を通して低圧給水加熱器36と脱気器37に供給され、使用済の洗浄水が低圧クリーンアップ循環ライン50を通ってブローライン51から外部に排出される。そのため、復水戻しライン31の一部、低圧給水加熱器36が2次洗浄されると共に、脱気器37が1次洗浄される。
復水戻しライン31の一部、低圧給水加熱器36の2次洗浄が終了すると共に、脱気器37の1次洗浄が終了すると、開閉弁52を閉止する一方、遮断弁53を開放し、復水ポンプ32(復水ブースタポンプ35)を駆動する。すると、洗浄水が復水戻しライン31及び低圧クリーンアップ循環ライン50を循環する。そのため、復水器28、復水戻しライン31の一部が2次洗浄され、洗浄水の汚れが復水浄化装置34の復水フィルタにより分離される。ここで、給水系統の低温クリーンアップが終了する。
次に、給水系統における高温クリーンアップ方法について説明する。高圧クリーンアップにおいて、まず、図4に示すように、脱気器循環開閉弁49を開放し、脱気器循環ポンプ48を駆動することで、洗浄水を脱気器循環ライン47により脱気器37を循環させる。同時に、加熱蒸気制御弁63を開放することで、起動用ボイラ61で生成した加熱蒸気を加熱蒸気供給ライン62により脱気器37に供給する。すると、脱気器循環ライン47を循環する洗浄水に加熱蒸気が混合されることで、この洗浄水が加熱されて高温となる。
洗浄水が所定の温度となったら、図5に示すように、主給水制御弁40と開閉弁66を開放し、遮断弁67と及び高温洗浄水循環開閉弁69と開閉弁70と脱気器循環開閉弁49を閉止し、脱気器循環ポンプ48の駆動を停止する一方、復水ポンプ32(復水ブースタポンプ35、主給水ポンプ38)を駆動する。すると、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31(低圧給水加熱器36、脱気器37)を通して第1高圧クリーンアップ循環ライン64に供給され、使用済の洗浄水がブローライン65から外部に排出される。そのため、復水戻しライン31の残りの領域が1次洗浄される。このとき、制御装置81(図1参照)は、脱気器37における洗浄水の水位を、例えば、図示しない水位計により監視し、水位制御弁41の開度を調整することで脱気器37における洗浄水の水位を所定水位に維持する。
復水戻しライン31の残りの領域の1次洗浄が終了すると、開閉弁66を閉止する一方、高温洗浄水循環開閉弁69と遮断弁53を開放する。また、第1切替弁46を閉止する一方、第2切替弁73を開放する。すると、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31と加熱洗浄水供給ライン71を通して脱気器37に供給される。また、脱気器37の洗浄水の一部が復水戻しライン31から第1高圧クリーンアップ循環ライン64及び第2高圧クリーンアップ循環ライン68を通して脱気器37に戻るように循環する。更に、脱気器37の洗浄水の一部が低圧クリーンアップ循環ライン50を通して復水器28に戻される。
ここで、加熱洗浄水供給ライン71を流れる洗浄水は、低温状態にあるが、低圧クリーンアップ循環ライン(洗浄水加熱ライン)50を流れる洗浄水は、加熱蒸気が混合されて高温状態にある。そのため、加熱洗浄水供給ライン71を流れる洗浄水が熱交換器72を通るとき、低圧クリーンアップ循環ライン50を流れる高温の洗浄水と熱交換する。
即ち、加熱洗浄水供給ライン71を流れる洗浄水は、熱交換器72にて、低圧クリーンアップ循環ライン50を流れる高温の洗浄水から熱を回収することで加熱されて高温となる。そのため、加熱洗浄水供給ライン71を流れる洗浄水は、熱交換器72により高温となって脱気器37に供給されるため、脱気器37に供給する加熱蒸気の供給量を減少することができる。一方、加熱洗浄水供給ライン71の洗浄水を加熱した低圧クリーンアップ循環ライン50を流れる洗浄水は、低温となって復水器28に戻される。
そして、復水戻しライン31の全部の2次洗浄が終了すると、第1切替弁46を開放する一方、第2切替弁73を閉止し、加熱洗浄水供給ライン71への洗浄水の供給を停止する。また、遮断弁53を閉止して高温の脱気器37の貯水が復水戻しライン31から第1高圧クリーンアップ循環ライン64及び第2高圧クリーンアップ循環ライン68を通して脱気器37に戻るように循環した状態で蒸気発生器13への復水の供給開始まで待機する。
なお、本実施形態の給水系統のクリーンアップ方法は、上述した方法に限定されるものではない。例えば、高圧クリーンアップの処理を第1高圧クリーンアップと第2高圧クリーンアップに分離してもよい。
本実施形態の第1変形例の給水系統のクリーンアップ方法は、洗浄水を復水器28から脱気器37に供給する工程と、洗浄水を脱気器37から高圧給水加熱器39を通して復水器28に戻すと共に脱気器37に加熱蒸気を供給して洗浄水を加熱する工程と、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度が予め設定された規定値以下になると洗浄水を脱気器37から高圧給水加熱器39及び脱気器37を通して復水器28に戻す工程と、復水器28から脱気器37に供給される洗浄水と脱気器37を通って復水器28に戻る洗浄水との間で熱交換を行う工程とを有している。
即ち、第1高圧クリーンアップにおいて、図6に示すように、主給水制御弁40と開閉弁66を開放し、遮断弁67と高温洗浄水循環開閉弁69と開閉弁70と脱気器循環開閉弁49を閉止し、脱気器循環ポンプ48の駆動を停止する一方、復水ポンプ32(復水ブースタポンプ35、主給水ポンプ38)を駆動する。すると、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31(低圧給水加熱器36、脱気器37)を通して第1高圧クリーンアップ循環ライン64に供給され、使用済の洗浄水がブローライン65から外部に排出される。そのため、復水戻しライン31の残りの領域が1次洗浄される。このとき、制御装置81(図1参照)は、脱気器37における洗浄水の水位を、例えば、図示しない水位計により監視し、水位制御弁41の開度を調整することで脱気器37における洗浄水の水位を所定水位に維持する。
復水戻しライン31の残りの領域の1次洗浄が終了すると、開閉弁66を閉止する一方、遮断弁67を開放する。すると、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31を通して脱気器37に供給される。そして、脱気器37の洗浄水が復水戻しライン31から第1高圧クリーンアップ循環ライン64を通して復水器28に戻される。この第1高圧クリーンアップの処理中、濃度センサ82は、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度を計測し、制御装置81に出力している。
そして、制御装置81は、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度が規定値以下になると、第2高圧クリーンアップに移行する。即ち、図5に示すように、遮断弁67を閉止する一方、高温洗浄水循環開閉弁69と遮断弁53を開放する。また、第1切替弁46を閉止する一方、第2切替弁73を開放する。すると、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31と加熱洗浄水供給ライン71を通して脱気器37に供給される。また、脱気器37の洗浄水の一部が復水戻しライン31から第1高圧クリーンアップ循環ライン64及び第2高圧クリーンアップ循環ライン68を通して脱気器37に戻るように循環する。更に、脱気器37の洗浄水の一部が低圧クリーンアップ循環ライン50を通して復水器28に戻される。
ここで、加熱洗浄水供給ライン71を流れる洗浄水は、低温状態にあるが、低圧クリーンアップ循環ライン(洗浄水加熱ライン)50を流れる洗浄水は、加熱蒸気が混合されて高温状態にある。そのため、加熱洗浄水供給ライン71を流れる洗浄水が熱交換器72を通るとき、低圧クリーンアップ循環ライン50を流れる高温の洗浄水と熱交換して加熱され、脱気器37に供給される。そのため、脱気器37に供給する加熱蒸気の供給量を減少することができる。一方、加熱洗浄水供給ライン71の洗浄水を加熱した低圧クリーンアップ循環ライン50を流れる洗浄水は、低温となって復水器28に戻される。
また、本実施形態の第2変形例の給水系統のクリーンアップ方法は、復水器28からの洗浄水を熱交換して高温として脱気器37及び高圧給水加熱器39に供給して循環すると共に脱気器37に加熱蒸気を供給して洗浄水を加熱する第1高圧クリーンアップと、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度が予め設定された規定値以下になると脱気器37及び高圧給水加熱器39を循環する洗浄水の入れ替えを行ってから新しい洗浄水を脱気器37及び高圧給水加熱器39に供給して循環する第2高圧クリーンアップとを有している。
即ち、第1高圧クリーンアップにおいて、図5に示すように、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31と加熱洗浄水供給ライン71を通して脱気器37に供給される。また、脱気器37の洗浄水の一部が復水戻しライン31から第1高圧クリーンアップ循環ライン64及び第2高圧クリーンアップ循環ライン68を通して脱気器37に戻るように循環する。更に、脱気器37の洗浄水の一部が低圧クリーンアップ循環ライン50を通して復水器28に戻される。
ここで、加熱洗浄水供給ライン71を流れる洗浄水は、低温状態にあるが、低圧クリーンアップ循環ライン(洗浄水加熱ライン)50を流れる洗浄水は、加熱蒸気が混合されて高温状態にある。そのため、加熱洗浄水供給ライン71を流れる洗浄水が熱交換器72を通るとき、低圧クリーンアップ循環ライン50を流れる高温の洗浄水と熱交換して加熱され、脱気器37に供給される。そのため、脱気器37に供給する加熱蒸気の供給量を減少することができる。一方、加熱洗浄水供給ライン71の洗浄水を加熱した低圧クリーンアップ循環ライン50を流れる洗浄水は、低温となって復水器28に戻される。
この第1高圧クリーンアップの処理中、濃度センサ82は、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度を計測し、制御装置81に出力している。そして、制御装置81は、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度が規定値以下になると、脱気器37及び高圧給水加熱器39を循環する洗浄水の入れ替えを行ってから第2高圧クリーンアップを実行する。即ち、遮断弁53を閉止する一方、開閉弁52を開放する。すると、脱気器37から排出される使用済の洗浄水が低圧クリーンアップ循環ライン50を通ってブローライン51から外部に排出される。すると、復水戻しライン31と加熱洗浄水供給ライン71と各高圧クリーンアップ循環ライン64,68を流れる不純物濃度の高い洗浄水が、新しい不純物濃度の低い洗浄水に置換される。
そして、制御装置81は、予め設定された所定時間が経過すると、遮断弁53を開放する一方、開閉弁52を閉止する。すると、第1高圧クリーンアップと同様に、洗浄水が復水器28から復水戻しライン31と加熱洗浄水供給ライン71を通して脱気器37に供給される。また、脱気器37の洗浄水の一部が復水戻しライン31から第1高圧クリーンアップ循環ライン64及び第2高圧クリーンアップ循環ライン68を通して脱気器37に戻るように循環する。更に、脱気器37の洗浄水の一部が低圧クリーンアップ循環ライン50を通して復水器28に戻される。
なお、各変形例で適用した規定値は、予め実験やシミュレーションなどにより求めておく。給水系統におけるクリーンアップを実施すると、クリーンアップの開始時に洗浄水中の不純物が復水浄化装置34の復水フィルタにより除去されることで、不純物濃度が急激に低下する。しかし、時間の経過と共に洗浄水の不純物濃度の低下度合(低下率)が低下し、洗浄水の不純物濃度が基準値以下になるまでに長時間を要してしまう。そのため、洗浄水の不純物濃度の低下度合(低下率)に応じて規定値を設定することが望ましい。
図7は、本実施形態の給水系統のクリーンアップの処理における不純物濃度を表すグラフである。ここで、図7のAは、本実施形態の給水系統のクリーンアップ方法であり、図7のBは、本実施形態の第1変形例の給水系統のクリーンアップ方法であり、図7のCは、本実施形態の第2変形例の給水系統のクリーンアップ方法である。
図7に示すように、本実施形態の給水系統のクリーンアップ方法Aでは、クリーンアップの開始から所定時間に渡って給水系統(洗浄水中)の不純物濃度が急激に低下し、その後、時間の経過と共に洗浄水の不純物濃度の低下度合(低下率)が低下し、基準値以下となる。また、本実施形態の第1変形例の給水系統のクリーンアップ方法Bでは、クリーンアップの開始から時間t1まで給水系統(洗浄水中)の不純物濃度が急激に低下し、この時間t1で、第2高圧クリーンアップへ切替えた後、再び、給水系統(洗浄水中)の不純物濃度が急激に低下し、時間の経過と共に洗浄水の不純物濃度の低下度合(低下率)が低下し、基準値以下となる。更に、本実施形態の第2変形例の給水系統のクリーンアップ方法Cでは、クリーンアップの開始から時間t2まで給水系統(洗浄水中)の不純物濃度が急激に低下し、時間t2~t3の間で洗浄水の入れ替えが実施された後、時間t3以降で、再び、給水系統(洗浄水中)の不純物濃度が急激に低下し、時間の経過と共に洗浄水の不純物濃度の低下度合(低下率)が低下し、基準値以下となる。
このように本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置にあっては、洗浄水を復水器28から低圧給水加熱器36及び脱気器37を通して復水器28に戻す低圧クリーンアップライン101と、洗浄水を復水器28から脱気器37及び高圧給水加熱器39を通して復水器28に戻す高圧クリーンアップライン102と、脱気器37に加熱蒸気を供給する加熱蒸気供給ライン62と、高圧クリーンアップライン102における復水器28と脱気器37との間に設けられる水位制御弁41より下流側から分岐して脱気器37の入口側に連結されると共に熱交換器72が設けられる加熱洗浄水供給ライン71と、脱気器37の出口側から熱交換器72を通って復水器28に連結される低圧クリーンアップ循環ライン(洗浄水加熱ライン)50とを設けている。
従って、高圧クリーンアップを実行するとき、洗浄水を高圧クリーンアップライン102及び加熱洗浄水供給ライン71により復水器28から脱気器37に供給し、高圧給水加熱器39を通して脱気器37に戻すと共に、加熱蒸気を加熱蒸気供給ライン62により脱気器37に供給する。すると、洗浄水が加熱蒸気により加熱され、高温の洗浄水となって高圧クリーンアップライン102、脱気器37、高圧給水加熱器39が洗浄される。このとき、復水器28から加熱洗浄水供給ライン71を通って脱気器37に供給される低温の洗浄水は、熱交換器72にて、脱気器37から低圧クリーンアップ循環ライン(洗浄水加熱ライン)50を通って復水器28に戻される高温の洗浄水と熱交換がなされる。そのため、脱気器37でこれから使用する洗浄水が復水器28に戻される使用済の洗浄水の熱を効率良く回収して加熱することができ、加熱蒸気の使用量を低減することができる。その結果、クリーンアップ時に発生する熱を効率良く回収して洗浄水を加熱することで、蒸気の使用量を減少してクリーンアップの処理効率の向上を図ることができる。
本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置では、洗浄水加熱ラインが低圧クリーンアップライン101の一部を構成する。従って、別途、洗浄水加熱ラインを増設する必要がなく、製造コストの増加を抑制することができる。
本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置では、高圧クリーンアップライン102のうち復水器28から脱気器37に至る部分を低圧クリーンアップライン101の一部により構成する。従って、別途、洗浄水の供給ラインを増設する必要がなく、製造コストの増加を抑制することができる。
本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置では、高圧クリーンアップライン102における高圧給水加熱器39より下流側から分岐して脱気器37に連結される第2高圧クリーンアップ循環ライン(高温洗浄水循環ライン)68を設け、加熱洗浄水供給ライン71を第2高圧クリーンアップ循環ライン68に連結している。従って、加熱洗浄水供給ライン71を脱気器37に直接連結せずに、脱気器37に連結される第2高圧クリーンアップ循環ライン68に連結することから、脱気器37に加熱洗浄水供給ライン71を構成する配管を連結するための管台が不要となり、配管同士を連結すればよく、構造の簡素化を図ることができる。
本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置では、第2高圧クリーンアップ循環ライン68に高温洗浄水循環開閉弁69を設け、加熱洗浄水供給ライン71を第2高圧クリーンアップ循環ライン68における高温洗浄水循環開閉弁69より下流側に連結している。従って、高温洗浄水循環開閉弁69の開閉状態に拘わらず、加熱洗浄水供給ライン71により高温の洗浄水を脱気器37に供給することができる。
本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置では、脱気器37を通して洗浄水を循環する脱気器循環ライン47を設けると共に、脱気器循環ライン47に脱気器循環ポンプ48及び脱気器循環開閉弁49を設け、低圧クリーンアップ循環ライン(洗浄水加熱ライン)50の基端部を脱気器循環ライン47に並列して脱気器37に連結している。従って、復水器28は内部が負圧状態に維持されることから、脱気器37の洗浄水を復水器28へ戻すときに脱気器循環ポンプ48の動力が不要となり、低圧クリーンアップ循環ライン50を脱気器循環ライン47と並列に脱気器37に連結して配管構成を簡素化することができる。
本実施形態の給水系統のクリーンアップ装置では、復水器28からの洗浄水の流れを高圧クリーンアップライン102と加熱洗浄水供給ライン71との間で切替える切替弁46,73と、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度を計測する濃度センサ82と、濃度センサ82の計測結果に基づいて切替弁46,73を制御する制御装置81とを設けている。従って、濃度センサ82の計測結果に基づいて切替弁46,73を制御して復水器28からの洗浄水の流れを高圧クリーンアップライン102と加熱洗浄水供給ライン71との間で切替えることから、最適なタイミングで高温の洗浄水を脱気器37に供給することができ、加熱蒸気の使用量を最小化することができる。
また、本実施形態の給水系統のクリーンアップ方法にあっては、洗浄水を復水器28から脱気器37に供給して所定の水位を確保する工程と、洗浄水を脱気器37から高圧給水加熱器39を通して脱気器37に戻すと共に脱気器37に加熱蒸気を供給して洗浄水を加熱する工程と、復水器28から脱気器37に供給される洗浄水と脱気器37を通って復水器28に戻る洗浄水との間で熱交換を行う工程とを有する。
従って、復水器28から脱気器37に供給される低温の洗浄水は、脱気器37から復水器28に戻される高温の洗浄水と熱交換がなされるため、脱気器37でこれから使用する洗浄水が復水器28に戻される使用済の洗浄水の熱を効率良く回収して加熱することができ、加熱蒸気の使用量を低減することができる。その結果、クリーンアップ時に発生する熱を効率良く回収して洗浄水を加熱することで、蒸気の使用量を減少してクリーンアップの処理効率の向上を図ることができる。
本実施形態の給水系統のクリーンアップ方法では、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度が予め設定された規定値以下になると、脱気器37及び高圧給水加熱器39を循環する洗浄水の入れ替えを行う。従って、クリーンアップの途中で、脱気器37及び高圧給水加熱器39を循環する洗浄水が新しいものとなり、脱気器37及び高圧給水加熱器39の洗浄効果の向上を図ることができる。
また、本実施形態の給水系統のクリーンアップ方法にあっては、洗浄水を復水器28から脱気器37に供給する工程と、洗浄水を脱気器37から高圧給水加熱器39を通して復水器28に戻すと共に脱気器37に加熱蒸気を供給して洗浄水を加熱する工程と、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度が予め設定された規定値以下になると洗浄水を脱気器37から高圧給水加熱器39及び脱気器37を通して復水器28に戻す工程と、復水器28から脱気器37に供給される洗浄水と脱気器37を通って復水器28に戻る洗浄水との間で熱交換を行う工程とを有する。
従って、洗浄水を復水器28から脱気器37に供給し、高圧給水加熱器39を通して復水器28に戻すと共に、加熱蒸気を脱気器37に供給することで、脱気器37及び高圧給水加熱器39を洗浄し、脱気器37から排出される洗浄水の不純物濃度が規定値以下になると、洗浄水を脱気器37から復水器28に戻す洗浄水により加熱して脱気器37に供給する。そのため、脱気器37でこれから使用する洗浄水が復水器28に戻される使用済の洗浄水の熱を効率良く回収して加熱することができ、加熱蒸気の使用量を低減することができる。その結果、クリーンアップ時に発生する熱を効率良く回収して洗浄水を加熱することで、蒸気の使用量を減少してクリーンアップの処理効率の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、復水戻しライン31における高圧給水加熱器39と主給水制御弁40の間に濃度センサ82を設けたが、濃度センサ82を設ける位置はこの位置に限定されるものではない。例えば、復水戻しライン31における高圧給水加熱器39の上流側や主給水制御弁40の下流側、または、脱気器37、各高圧クリーンアップ循環ライン64,68などに濃度センサ82を設けてもよい。
また、上述した実施形態では、第1高圧クリーンアップと第2高圧クリーンアップとの切替を、濃度センサが計測した洗浄水の不純物濃度に基づいて実施したが、この方法に限定されるものではない。例えば、第1高圧クリーンアップを開始してから洗浄水の不純物濃度が規定値以下になる時間を予め実験などにより求めておき、第1高圧クリーンアップを開始してから予め設定された所定の規定時間が経過したら、第1高圧クリーンアップから第2高圧クリーンアップに切り替えてもよい。
また、上述した実施形態では、1つの熱交換器72を設けたが、熱交換器の数は実施形態に限定されるものではなく、2つ以上設けてもよい。
また、上述した実施形態では、本発明の給水系統のクリーンアップ装置を原子力発電プラントの給水系統に適用して説明したが、火力発電プラントの給水系統など他のプラントの給水系統に適用してもよい。