次に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、以下の実施例では、左側通行の道路の場合を例に説明するが、本発明は、右側通行の道路にも同様に適用できるものである。
本実施例の車両用衝突予測装置は、例えば自動車などの自車両に搭載されて、自車両周辺の歩行者や他車両などの移動物体に衝突するか否かを予測するものであり、その予測結果を利用して乗員への警報、車両の制動、操舵等の種々の予防安全の制御が行われる。
図1は、本実施例における車両用衝突予測装置の全体構成を示すブロック図である。車両用衝突予測装置1は、車載コンピュータなどのハードウエアと専用のソフトウエアとの協働により実現される。車両用衝突予測装置1は、移動物体情報取得部10と進行路推定部20と衝突予測部30を備えている。
移動物体情報取得部10は、自車両周辺の歩行者や他車両などの移動物体の情報を取得する。移動物体の情報は、公知の方法により取得することができる。例えば、ステレオカメラ、レーザーレーダー、赤外線センサ、単眼カメラ等を自車両に搭載して自車両周辺の立体物を検知し、立体物の位置と大きさと種類、そして、時系列情報から立体物の移動速度を推定し、移動物体の情報として取得することができる。また、自車両と他車両との間の車々間通信や、自車両と道路周辺設備との路車間通信により、移動物体の情報を取得してもよい。
進行路推定部20は、自車両が進行する進行路を推定する。進行路は、自車両周辺に存在するレーンの情報と、自車両の動作状態に基づいて推定される。なお、推定路の推定方法の詳しい内容については後述する。
衝突予測部30は、移動物体情報取得部10で取得した移動物体情報と、進行路推定部20で推定した進行路の情報に基づいて自車両が移動物体に衝突するか否かを予測する。衝突予測部30では、自車両が移動物体に衝突する位置および時間が算出される。自車両が移動物体に衝突する位置および時間は、移動物体情報と進行路の情報に基づいて公知の方法により算出される。
次に、進行路推定部20による進行路の推定方法について詳しく説明する。
進行路推定部20は、自車両周辺に存在するレーンのレーン情報を収集するレーン情報収集部と、自車両の動作状態に基づいて自車両の自車走行経路を推定する自車走行経路推定部と、レーン情報収集部により収集したレーン情報と、自車走行経路推定部により推定した自車走行経路とに基づいてレーン進入判定とレーン退出判定の少なくとも一方を行うレーン進入退出判定部と、レーン進入退出判定部の判定結果と、自車走行経路と、レーン情報とに基づいて自車両の進行路を構築する進行路構築部とを有する。
図2は、進行路推定部による進行路の推定方法を説明するフローチャートである。進行路推定部20では、まず、レーン情報収集処理(S201)と、自車走行経路推定処理(S202)が行われる。
レーン情報収集処理(S201)では、自車両の周辺に存在する全てのレーンのレーン情報を収集する(レーン情報収集部)。レーンとは、車両が走行可能で且つ面積が0でない領域であり、車両が走行する方向が定まっており、レーン幅方向の領域端にはいくつかの種類があるレーン境界を有する車両走行領域と定義する。レーンが設けられている場所は、道路に限定されるものではなく、例えば駐車場内の走行レーンなどの車両が通行可能な場所も含まれる。レーンは、レーン幅方向に存在するレーン境界によって区画される。道路におけるレーン境界は、追い越し可能でかつはみ出し禁止を意味する白線に限られず、追い越しおよびはみ出しが可能を意味する点線や、追い越しおよびはみ出しが禁止を意味する黄色線、歩道との境目、路肩との境目などいくつもの種類がある。
レーン情報には、レーンの位置や形状、レーン走行方向、レーン境界の種類、右左折専用などのレーン属性についての情報が含まれている。レーン情報の収集では、自車両が現在走行している走行中レーンだけでなく、走行中レーンの隣で走行方向が同一の隣接レーンや、走行中レーンの隣で走行方向が反対向きである対向レーン、および、右左折可能に分岐しているレーンについての情報も収集される。
レーン情報の収集は、例えば車載カメラで車両の周囲を撮像した撮像画像から白線や路面ペイント、標識などを認識することにより行うことができる。また、レーン情報は、GPS等からの自車位置情報を利用してカーナビが有する地図情報から収集することができ、また、車々間通信、路車間通信により収集することもできる。
自車走行経路推定処理(S202)では、自車両の動作状態の情報に基づいて自車走行経路を推定する(自車走行経路推定部)。自車走行経路とは、自車両が現在の動作状態を維持したと仮定した場合に自車両が走行すると推定される移動経路と定義される。自車両の動作状態は、自車両に取り付けられたセンサにより検出され、センサの信号から、自車両の速度、加速度、走行方向、アクセル開度、制動状態、操舵角、ロール角、ピッチ角、ヨー角等の自車両の動作状態の情報を取得することができる。そして、かかる自車両の動作状態の情報に基づいて自車走行経路を推定する。
次に、レーン進入退出判定処理(S203~S207)が行われる(レーン進入退出判定部)。レーン進入退出判定処理では、自車走行経路において自車両がレーン(被判定レーン)に進入するか否かのレーン進入判定と自車両がレーンから退出するか否かのレーン退出判定を行う。レーン進入退出判定処理は、レーン情報収集処理S201により収集したレーン情報と、自車走行経路推定処理S202により推定した自車走行経路の情報とに基づいて行われる。
レーン進入退出判定処理では、レーン走行中判定(S203)と、レーン退出判定(S204)と、隣接レーン判定(S205)と、レーン進入判定(S207)がなされ、これらの判定結果に応じて、次の進行路構築処理(S208)にて進行路が構築される。レーン進入退出判定処理では、自車走行経路の周辺に存在する全てのレーンについて判定が行われる。また、判定する際、右左折専用レーンや、車線の種類、レーン走行方向などが考慮される。
まず、自車両がレーン走行中か否かが判定される(S203:レーン走行中判定部)。例えば下記条件(A1)、(A2)を全て満たす場合にレーン走行中であると判定される。
(A1)自車両のほとんどの部分がレーン内に入っていること。
(A2)そのレーンの走行方向と自車両の走行方向とが十分平行になっていること。
上記条件(A1)の「自車両のほとんどの部分」とは、例えば自車両の70%以上の部分とすることができる。そして、上記条件(A2)の「十分平行になっている」と云う基準は、後述するレーン進入の判定基準よりも緩い設定となっており、例えば、車両の向きがレーン走行方向に対して左右に±70度の範囲に入っていれば十分平行になっていると判断される。
そして、レーン走行中であると判定された場合(S203でYES)には、レーン退出判定がなされる(S204:レーン退出判定部)。レーン退出判定では、自車走行経路に基づいて、自車両に走行中レーンから退出する意思があるか否かが判定され、下記条件(B1)、(B2)の両方を満たす場合はレーン退出の意思あり、と判定され(S204でYES)、下記条件(B1)、(B2)の少なくとも一方を満たさない場合はレーン退出の意思なし、と判定される(S204でNO)。
(B1)所定時間後に自車両の所定部分が走行中レーンから外に出る状態にあること。
(B2)上記条件(B1)の状態が所定時間内の基準時間以上であること。
例えば、自車両がそのままの車速・舵角・ヨーレートで所定時間走行した場合に自車両の前部バンパ部分が走行中レーンから外に出る状態であると予測され、かつ、かかる状態が長く続いている場合に、自車両にレーン退出の意思あり、と判定される。より具体的には、自車両の動作状態から自車両が走行中レーンから3秒後に退出すると予測される状態が、直近1.1秒の間、維持された場合にレーン退出の意思あり、と判定される。
一方、例えばレーン中央を維持するために左右にふらつきながらレーンの走行方向に沿って走行している場合のように、所定時間後に自車両の所定部分が走行中レーンから外に出る状態であってもそれが基準時間未満となる短時間の場合には、上記条件(B2)を満たさず、自車両にレーン退出の意思なし、と判定される。
レーン退出の判定閾値を自車両の方向指示器等の動作状態やレーン属性に応じて変更してもよい。例えば、走行方向が同一の隣接レーンに移動するため等により自車両の方向指示器が操作されている場合には、走行中レーンからの退出判定をし易くし、退出方向にあるレーン境界が、追い越しのためのはみ出し禁止を意味する黄色線であった場合には、走行中レーンからの退出判定をしにくくするように、条件(B1)、(B2)の判定閾値である所定部分及び所定時間の少なくとも一方を変更してもよい。
S204のレーン退出判定でレーン退出の意思なし、と判定された場合(S204でNO)は、走行中レーンの走行を継続するための進行路を構築すべく、S208の進行路構築処理に移行する。S208の進行路構築処理では、自車走行経路から走行中レーンのレーン走行方向に滑らかにつながる進行路を構築する処理がなされる。
一方、S204のレーン退出判定でレーン退出の意思ありと判定された場合(S204でYES)は、走行中レーンに対して退出側に走行方向が同一の隣接レーンが存在するか否かの隣接レーン判定がなされる(S205:隣接レーン判定部)。かかる隣接レーンが存在するか否かは、レーン情報収集処理S201で収集したレーン情報に基づいて判断される。そして、隣接レーンが存在すると判定された場合(S205でYES)は、自車両が走行中レーンから隣接レーンにレーン変更するための進行路を構築すべく、S208の進行路構築処理に移行する。
S205において隣接レーンが存在しないと判定された場合(S205でNO)、あるいは、S203においてレーン走行中ではないと判定された場合(S203でNO)は、S206の走行レーンループに入り、自車両が走行中レーン以外のレーン(走行中レーンがなければ全てのレーン)(以下、被判定レーンという)に進入するか否かのレーン進入判定がなされる(S207:レーン進入判定部)。走行レーンループ(S206)では、自車走行経路が走行不可能領域に達するか、あるいは、自車走行経路に交わる被判定レーンが存在しなくなるまで、S207のレーン進入判定が繰り返される。または、遠方でのレーン進入を信頼性の低いものと考えて、現在の車両位置からレーンまでの最大距離や最大到達時間を定めてその範囲内のレーンに対してレーン進入判定を行ってもよい。
S207のレーン進入判定は、自車走行経路に交わる被判定レーンが複数ある場合には、各レーンに対してそれぞれ行われる。複数の被判定レーンに対するレーン判定の順番は、交わる順に予め判定しておいてもよく、時間ステップを踏んでいずれの被判定レーンに自車両が存在しているかをみてもよく、全ての被判定レーンに対してループしてそれぞれと交わる時間とどのような角度で交わるかを見てもよい。
自車両が被判定レーンに進入するか否かを判定する進入判定位置(進入判定タイミング)は、自車走行経路上に自車両を仮想的に移動させて下記の条件(C)が成り立つ位置とされる。
(C)自車両の所定割合以上の部分(例えば車両前方のバンパ全体)が被判定レーンに入っている内で、自車両の移動方向単位ベクトルと被判定レーンの走行方向単位ベクトルとの内積が最大となる位置(両ベクトルが最も平行となる位置)。
レーン進入判定では、進入判定位置において、被判定レーンを通過する間の自車走行経路の移動方向単位ベクトルと被判定レーンの走行方向単位ベクトルとの内積が、閾値以上(自車両の移動方向単位ベクトルと被判定レーンの走行方向単位ベクトルとの間の角度が所定角度以下)であればその被判定レーンへの進入と判定され、閾値未満の場合には未進入と判定される。内積の閾値は、例えば0度より大きく、90度よりも小さい値とされ、90度以上の方向には進入しない。
内積の閾値は、自車走行経路における距離と、時間と、速度履歴と、走行中レーンや被判定レーンのレーン属性と、レーン境界の種類と、最終の被判定レーンまでの間にいくつの被判定レーンが存在したか被判定レーンの数と、被判定レーンの進入判定位置に到達するまでの時間の少なくとも一つによって変更することができる。例えば、(1)走行中のレーンの属性が右折専用レーンであり、その右折専用レーンから右折先の被判定レーンに進入するケース、(2)方向指示器により走行方向が示されている進入先の被判定レーンに進入するケース、(3)時間的に遠い被判定レーンに進入するケース、(4)速度を急激に下げた直後や速度が遅い状態で右左折先の被判定レーンおよびUターン先の被判定レーンに進入するケースのときは閾値を下げる。(5)所定速度以上では、Uターンであると判定するための閾値を上げる。
上記(1)、(2)では、被判定レーンに進入するのは明らかであるため、閾値を下げて進入であると判定されやすくしている。上記(3)では、長時間、舵角一定では運転しないだろうと想定しているので閾値を下げて、進入先の被判定レーンに対して進入であると判定されやすくしている。上記(4)では、車両の挙動から右左折やUターンする可能性が高いので、閾値を下げて、進入先の被判定レーンに対して進入であると判定されやすくしている。上記(5)では、車速が高いのでUターンする可能性が低く、閾値を上げてUターンであると判定されにくくしている。
ここで、条件(C)の所定割合とは、例えば自車両全体の大きさに対して70%の部分とすることができ、この割合は、自車両がレーンに進入するまでの時間、距離、舵角の少なくとも一つによって変更することが可能である。例えば、長時間・長距離に亘って一定舵角で旋回することは少なく、また、少しずつ舵角を変化させたとしても、長時間で到達する位置、または、長距離離れた位置では影響が大きいため、現在の自車走行経路からずれる可能性が高く、割合閾値を下げてもよい。また、舵角を大きく切った旋回は、旋回中に舵角調整することが期待されるため、割合閾値を下げてもよい。
そして、ステップS203~ステップS207の判定結果に基づいて、自車両の推定される進行路を構築する処理が行われる(S208)。S208の進行路の構築処理では、(1)走行中レーン内を走行中レーンの走行方向に沿って進行する進行路、(2)走行方向が同一の隣接レーンに進入して隣接レーン内を隣接レーンの走行方向に沿って進行する進行路、(3)被判定レーンに進入して被判定レーン内を被判定レーンの走行方向に沿って進行する進行路、(4)隣接レーンと被判定レーンのいずれにも進入しないで自車走行経路をそのまま進行する進行路のいずれかが構築される。
上記(2)、(3)では、走行中レーンから進入先のレーンまで滑らかにつながる進行路を構築する。滑らかにつながるとは、走行中レーンから退出して進入先のレーンとの角度偏差を一定の舵角変化率で0に近づけながら進入先のレーンまでつながることを意味する。
[実施例1]
図3は、レーン変更時における進行路の推定方法を説明する図である。
図3に示す道路は、左側通行の四車線道路、いわゆる片側二車線道路であり、センターライン(車道中央線)408とレーン境界407との間にはレーン403が存在し、レーン境界407と406との間にはレーン402が存在する。そして、センターライン408とライン境界409との間にはレーン405が存在し、ライン境界409と410との間にはレーン404が存在する。レーン402は自車両400が走行している走行レーン、レーン403は自車両400の走行方向とレーン走行方向が同一の隣接レーンとなる。そして、レーン404、405は対向レーン(被判定レーン)となる。
本実施例では、自車両400が走行中のレーン402から隣接レーンであるレーン403にレーン変更しようとしている場合について説明する。まず、レーン402~405のレーン情報が収集される(S201)。そして、自車両400の動作状態の情報に基づいて自車走行経路Laが推定される(S202)。次いで、自車両400がレーン走行中であるか否かの判定(S203)が行われる。自車両400は、自車両400のほとんどの部分がレーン402内に入っており、レーン402の走行方向と自車両400の走行方向とが十分平行になっている。したがって、条件(A1)、(A2)を全て満たしており、走行レーン402を走行中であると判断される(S203でYES)。
そして、自車両400にレーン402から退出する意思があるか否かの判定(S204)が行われる。自車走行経路Laは、図3に示すように、レーン402から外れてレーン403に移行し、さらに対向レーン404、405に移行するように推定されており、所定時間後に自車両400の所定部分が走行中のレーン402から外に出ること、及び、かかる状態が所定時間内の大半である状態(基準時間以上)となっている。したがって、条件(B1)、(B2)を全て満たしており、レーン退出の意思ありと判定される(S204でYES)。
そして、レーン402に走行方向が同一の隣接レーンが存在するか否かの判定(S205)が行われる。レーン402の退出方向には隣接レーンとしてレーン403が存在しているので、隣接レーン有りと判定される(S205でYES)。
隣接レーン有りと判定されると、自車両400の動きはレーン変更であると判断して、隣接レーンに進入する進行路Lbが構築される(S208)。S208の進行路構築処理では、レーン変更の場合、レーン402の現在位置からレーン境界407に到達するまでは自車走行経路La(舵角変化なし)で進行し、レーン境界407に到達した位置からレーン403のレーン幅中央Cに到達するまでの間に、自車両400の走行方向がレーン403の走行方向に平行になるように舵角変化が一定になる経路で進行する進行路Lbが構築される。なお、レーン403のレーン幅中央Cに到達したときに舵角が0度となるように滑らかに戻してもよい(舵角変化率の絶対値が一定)。既に車両先端がレーン境界407を越えていれば、現在から舵角変化を開始する。
自車両400では、レーン402からレーン403にレーン変更する場合、最初に右にハンドルを切り、その後に左にハンドルを切る操作が行われる。しかし、従来手法では、最初に右にハンドルを切る操作が行われたときに、仮想線(自車走行経路La)で示すようにそのまま自車両400が動くとして衝突の有無が判定され、単なるレーン変更であっても、対向レーン405、404に飛び出すような動きを仮定してしまう。
これに対し、本実施例では、レーン402の現在位置において隣接レーンであるレーン403の存在を認識しており、レーン402を退出した先にレーン403があることがわかっている。したがって、レーン402の現在位置において、レーン403にレーン変更する進行路Lbを構築し、進行路Lbに基づいて衝突予測を行うことができる。したがって、実際にレーン変更する前に、レーン変更先のレーン403での衝突を予測することができ、レーン変更時に正確な衝突判断を行うことができる。
[実施例2]
図4は、交差点の右折時における進行路の推定方法の一例を説明する図、図5及び図6は、図4のレーン進入の判定方法を説明する図である。
図4に示す道路は、複数のレーンが交差点で十字に交差する十字路であり、センターライン508とレーン境界506との間に、自車両500の走行レーンであるレーン502が存在し、センターライン508とレーン境界510との間に対向レーンであるレーン505が存在する。そして、センターライン518とレーン境界516との間に、進入先のレーンであるレーン512が存在し、センターライン518とレーン境界520との間に、レーン512の対向レーンであるレーン515が存在する。レーン502が走行中のレーンとなり、レーン505、512、515が被判定レーンとなる。
本実施例では、自車両500が交差点を右折しようとしている場合について説明する。まず、レーン502、505、512、515のレーン情報が収集される(S201)。そして、図5及び図6に示すように、自車両500の動作状態の情報に基づいて自車走行経路Laが推定される(S202)。次いで、自車両500がレーン走行中であるか否かの判定(S203)が行われる。自車両500は、図4に示すように、自車両500のほとんどの部分がレーン502内に入っており、レーン502の走行方向と自車両500の走行方向とが十分平行になっている。したがって、条件(A1)、(A2)を全て満たしており、走行レーン502を走行中であると判断される(S203でYES)。
そして、自車両500にレーン502から退出する意思があるか否かの判定(S204)が行われる。自車走行経路Laは、図5及び図6に示すように、レーン502から外れてレーン505を通過し、レーン512に移行するように推定されており、所定時間後に自車両500の所定部分が走行中のレーン502から外に出ること、及び、かかる状態が所定時間内の大半である状態となっている。したがって、条件(B1)、(B2)を全て満たしており、レーン退出の意思ありと判定される(S204でYES)。
そして、レーン502と走行方向が同一の隣接レーンが存在するか否かの判定(S205)が行われる。レーン502の退出方向には隣接レーンは存在しておらず、被判定レーンであるレーン505、512、515が存在しているだけなので、隣接レーンなしと判定される(S205でNO)。
レーン退出方向に隣接レーンがない場合、走行レーンループS206の処理に入り、自車両500が被判定レーンに進入するか否かを判定するレーン進入判定(S207)が行われる。自車両500がレーン505に進入するか否かは、進入判定位置(進入判定タイミング)Paにおいて、自車両500の移動方向単位ベクトルVbとレーン505の走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が所定角度以下であるか否かによって判定される。
図5に示す進入判定位置Paは、自車両500を自車走行経路La上で仮想的に移動させた際に、(C)自車両500の所定割合以上の部分がレーン505に入っている内で、自車両500の移動方向単位ベクトルVbとレーン505の走行方向単位ベクトルVaとの内積が最大となる位置である。図5に示す状態では、進入判定位置Paで移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が90度以上、移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの内積が閾値未満となっているので、レーン505に対しては未進入と判断される。
そして、自車両500がレーン512に進入するか否かは、図6に示す進入判定位置Paにおいて、自車両500の移動方向単位ベクトルVbとレーン512の走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が所定角度以下であるか否かによって判定される。
図6に示す進入判定位置Paは、自車両500を自車走行経路La上で仮想的に移動させた際に、(C)自車両500の所定割合以上の部分がレーン512に入っている内で、自車両500の移動方向単位ベクトルVbとレーン512の走行方向単位ベクトルVaとの内積が最大となる位置である。図6に示す状態では、進入判定位置Paで移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が0度であり、移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの内積が閾値以上となっているので、レーン512に対して進入すると判断される。
そして特に図示していないが、S206の走行レーンループによって、自車走行経路Laが交わる他のレーンであるレーン515についても進入判定がなされる。レーン515に対しては、不図示の進入判定位置で移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が90度以上、移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの内積が閾値未満となるので、レーン515に対しては未進入と判断される。
そして、S207のレーン進入判定により、自車両500がレーン512に進入すると判定されると、自車両500がレーン512に進入する進行路Lbが構築される(S208)。
S208の進行路構築処理では、進入判定位置Paをレーン512への進入位置として設定し、その進入位置を通過してレーン512に進入するように進行路Lbを構築する。進行路Lbは、現在位置から進入位置に到達するまでは自車走行経路を進行し、進入位置から自車両500の走行方向がレーン512のレーン走行方向に平行になるように舵角変化が一定になる経路を進行する進行路を構築する。図6に示す例では、自車走行経路Laで平行なのでそのままつなぐ。自車両500が進入位置まで到達したら速やかに舵角を戻してレーン512に沿って走行する進行路を構築する。なお、レーン512のレーン単位ベクトルに沿って平行に進入するときに舵角が0になるように自車両500を移動させる進行路を構築してもよい(舵角変化率の絶対値を一定とする)。
上記構成によれば、レーン502の現在位置において、レーン512に進入する進行路Lbを構築し、進行路Lbに基づいて衝突予測を行うことができる。したがって、実際に交差点を右折する前に、右折先のレーン512での衝突を予測することができ、右折時に正確な衝突判断を行うことができ、衝突を予防的に回避することができる。
図7は、交差点の右折時における進行路の推定方法の他の一例を説明する図、図8は、図7のレーン進入の判定方法を説明する図である。
図4~図6に示す例では、自車両500の自車走行経路Laに基づいて進行路Lbが構築されるが、図8に示す例では、進入判定位置Pa1で移動方向単位ベクトルVb1と走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が0度であり、移動方向単位ベクトルVb1とレーン512の走行方向単位ベクトルVaとの内積が閾値以上となっているので、レーン512に対してレーン進入と判断される。進行路構築処理S208では、進入判定位置Pa1を進入位置として設定するので、自車走行経路La1では自車両500の一部がレーン512からはみ出して走行不可能領域に配置されてしまい、図7に示すような走行不可能な進行路Lbが構築されてしまう。
進行路構築処理S208では、進入判定位置Pa1を進入位置として設定した後、進入位置において自車両500の一部が走行不可能領域に配置される場合に、進入位置を被判定レーンのレーン幅中央側に平行移動させる補正が行われる。具体的には、進入位置で自車両500全体がレーン512内に入っているか否かを判定し、入っていないと判定した場合には、自車両500全体が入るように進入位置を補正する。進入位置の補正では、進入位置を、レーン512のレーン幅中央C側に平行移動させて、走行可能領域であるレーン512に自車両500全体が入る位置を補正後の進入位置とする。
そして、レーン502の現在位置から図8に示す進入位置に到達するまでは経路La2で進行し、図8に示す進入位置Pa2から、自車両500の走行方向がレーン512に平行になる経路で進行する進行路Lc(図7)が構築される。経路La2は、レーン502の現在位置から進入位置まで滑らかに舵角変化するように設定される。
なお、進入位置が自車両500の最小回転半径よりも小さい位置にある場合には、レーン512に対して非進入と判断される。
S207のレーン進入の判定では、自車両500の方向指示器の操作状態に応じて閾値を変更してもよい。例えば、レーン502の現在位置で自車両500の方向指示器が右を指すように操作されている場合には、右折先のレーン512に進入する可能性が高いとして、右折先のレーン512へ進入したか否かを判断するための内積の閾値を低くする。したがって、右折先のレーン512に進入する進行路が構築されやすくなる。
また、図示していないが、レーン502に右折専用レーンがあり、自車両500が右折専用レーンに位置している場合には、右折先のレーン512に進入する可能性がさらに高いとして、内積の閾値を図4の例よりもさらに低くする。このように、右折専用のレーンなど、走行中レーンに交差する例えば90度±35度の右折方向のレーンへの進入では、右折先のレーン512へ進入したか否かを判断するための内積の閾値を低くする。したがって、右折先のレーン512に進入する進行路Lb、Lcがより構築されやすくなる。
[実施例3]
図9は、交差点の左折時における進行路の推定方法の一例を説明する図、図10は、図9のレーン進入の判定方法を説明する図である。
図9に示す道路は、複数のレーンが交差点でT字に交差するT字路であり、センターライン608とレーン境界606との間に、自車両600の走行レーンであるレーン602が存在し、センターライン608とレーン境界610との間に対向レーンであるレーン605が存在する。そして、センターライン618とレーン境界620との間に、進入先のレーンであるレーン615が存在し、センターライン618とレーン境界616との間に、レーン615の対向レーンであるレーン612が存在する。レーン602が走行中のレーンとなり、レーン615が被判定レーンとなる。
本実施例では、自車両600が左折しようとしている場合について説明する。まず、レーン602、605、612、615のレーン情報が収集される(S201)。そして、図10に示すように、自車両600の動作状態の情報に基づいて自車走行経路Laが推定される(S202)。次いで、自車両600がレーン走行中であるか否かの判定(S203)が行われる。自車両600は、図10に示すように、自車両600のほとんどの部分がレーン602内に入っており、レーン602の走行方向と自車両600の走行方向とが十分平行になっている。したがって、条件(A1)、(A2)を全て満たしており、走行レーン602を走行中であると判断される(S203でYES)。
そして、自車両600にレーン602から退出する意思があるか否かの判定(S204)が行われる。自車走行経路Laは、図10に示すように、レーン602から外れてレーン615に移行するように推定されており、所定時間後に自車両600の所定部分が走行中のレーン502から外に出ること、及び、かかる状態が所定時間内の大半である状態となっている。したがって、条件(B1)、(B2)を全て満たしており、レーン退出の意思ありと判定される(S204でYES)。
そして、レーン602と走行方向が同一の隣接レーンが存在するか否かの判定(S205)が行われる。レーン602の退出方向には隣接レーンは存在しておらず、被判定レーンであるレーン615が存在しているだけなので、隣接レーンなしと判定される(S205でNO)。図10に示すように、レーン退出方向に隣接レーンがない場合、自車両600が被判定レーンに進入するか否かを判定するレーン進入判定(S207)が行われる。
自車両600がレーン615に進入するか否かは、図10に示す進入判定位置(進入判定タイミング)Paにおいて、自車両600の移動方向単位ベクトルVbとレーン615の走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が所定角度以下であるか否かによって判定される。
図10に示す進入判定位置Paは、自車両600を自車走行経路La上で仮想的に移動させた際に、(C)自車両600の所定割合以上の部分がレーン615に入っている内で、自車両600の移動方向単位ベクトルVbとレーン615の走行方向単位ベクトルVaとの内積が最大となる位置である。図10に示す状態では、進入判定位置Paで移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が0度であり、移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの内積が閾値以上となっているので、レーン615に対してレーン進入と判断される。
そして、S207のレーン進入判定により、自車両600がレーン615に進入すると判定されると、自車両600がレーン615に進入する進行路Lbが構築される(S208)。S208の進行路構築処理では、図9に示すように、レーン602の現在位置から図10に示す進入判定位置Paに到達するまでは自車走行経路La(すなわち舵角変化なし)で進行し、図10に示す進入判定位置Paに到達した位置から自車両600の走行方向がレーン615に平行になる経路で進行する進行路Lbが構築される。レーン615のレーン単位ベクトルに沿って平行に進入するときに舵角が0になるように自車両500を移動させる進行路を構築してもよい(舵角変化率の絶対値を一定とする)。
上記構成によれば、レーン602の現在位置において、レーン615に進入する進行路Lbを構築し、進行路Lbに基づいて衝突予測を行うことができる。したがって、実際に交差点を左折する前に、左折先のレーン615での衝突を予測することができ、左折時に正確な衝突判断を行うことができる。
図11は、交差点の左折時における進行路の推定方法の他の一例を説明する図、図12は、図11のレーン進入の判定方法を説明する図である。
図11に示す道路は、自車走行レーンが片側二車線のレーンに交差する十字路であり、センターライン708とレーン境界706との間に、自車両700の走行レーンであるレーン702が存在し、センターライン708とレーン境界710との間に対向レーンであるレーン705が存在する。そして、センターライン718とレーン境界719との間に、進入先のレーンであるレーン714が存在し、レーン境界719と720との間にレーン715が存在する。また、センターライン718とライン境界717との間にレーン713が存在し、ライン境界717と716との間にレーン712が存在する。本実施例では、レーン702が走行中のレーンとなり、レーン715、714が被判定レーンとなる。
まず、レーン702、705、712~715のレーン情報が収集される(S201)。そして、図12に示すように、自車両700の動作状態の情報に基づいて自車走行経路Laが推定される(S202)。次いで、自車両700がレーン走行中であるか否かの判定(S203)が行われる。自車両700は、図12に示すように、自車両700のほとんどの部分がレーン702内に入っており、レーン702の走行方向と自車両700の走行方向とが十分平行になっている。したがって、条件(A1)、(A2)を全て満たしており、走行レーン702を走行中であると判断される(S203でYES)。
そして、自車両700にレーン702から退出する意思があるか否かの判定(S204)が行われる。自車走行経路Laは、図12に示すように、レーン702から外れてレーン714に移行するように推定されており、所定時間後に自車両700の所定部分が走行中のレーン702から外に出ること、及び、かかる状態が所定時間内の大半である状態となっている。したがって、条件(B1)、(B2)を全て満たしており、レーン退出の意思ありと判定される(S204でYES)。
そして、レーン702と走行方向が同一の隣接レーンが存在するか否かの判定(S205)が行われる。レーン702の退出方向には隣接レーンは存在しておらず、被判定レーンであるレーン712~715が存在しているだけなので、隣接レーンなしと判定される(S205でNO)。図12に示すように、レーン退出方向に隣接レーンがない場合、自車両700が被判定レーンに進入するか否かを判定するレーン進入判定(S207)が行われる。
自車両700が被判定レーンに進入するか否かは、自車走行経路Laの進行方向手前側から順番に行われ、図12に示す例では、まず、レーン715に進入するか否かが判定される。そして、レーン715に進入しないと判定された場合に、レーン714に進入するか否かが判定される。
自車両700がレーン715に進入するか否かは、進入判定位置(進入判定タイミング)Pa1において、自車両700の移動方向単位ベクトルVbとレーン715の走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が所定角度以下であるか否かによって判定される。
図12に示す進入判定位置Pa1は、自車両700を自車走行経路La上で仮想的に移動させた際に、(C)自車両700の所定割合以上の部分がレーン715に入っている内で、自車両700の移動方向単位ベクトルVbとレーン715の走行方向単位ベクトルVaとの内積が最大となる位置である。図12に示す状態では、進入判定位置Pa1で移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの内積が閾値未満となっているので、レーン715に対しては未進入と判断される。
次に、自車両700がレーン714に進入するか否かが判断される。ここでは、図12に示すレーン714上の進入判定位置(進入判定タイミング)Pa2において、自車両700の移動方向単位ベクトルVbとレーン714の走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が所定角度以下であるか否かによって判定される。
図12に示すレーン714上の進入判定位置Pa2は、自車両700を自車走行経路La上で仮想的に移動させた際に、(C)自車両700の所定割合以上の部分がレーン714に入っている内で、自車両700の移動方向単位ベクトルVbとレーン714の走行方向単位ベクトルVaとの内積が最大となる位置である。図12に示す状態では、進入判定位置Pa2で移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が0度であり、移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの内積が閾値以上となっているので、レーン714に対してレーン進入と判断される。
そして、S207のレーン進入判定により、自車両700がレーン714に進入すると判定されると、自車両700がレーン714に進入する進行路Lbが構築される(S208)。S208の進行路構築処理では、図12に示す進入判定位置Pa2を進入位置として設定し、図11に示すように、レーン702の現在位置から進入位置に到達するまでは自車走行経路La(舵角変化率一定)で進行し、進入位置から自車両700の走行方向がレーン714に平行になる経路で進行する進行路Lbが構築される。
上記構成によれば、レーン702の現在位置において、レーン714に進入する進行路Lbを構築し、進行路Lbに基づいて衝突予測を行うことができる。したがって、実際に交差点を左折する前に、左折先のレーン714での衝突を予測することができ、左折時に正確な衝突判断を行うことができる。
なお、進入判定において、レーン702で自車両700の方向指示器が左を指すように操作されている場合には、左折先のレーン714、715に進入する可能性が高いとして、左折先のレーン714、715へ進入したか否かを判断するための内積の閾値を低くし、左折先のレーン714、715に進入する進行路Lbが構築されやすくしてもよい。
また、長い距離、あるいは長い時間を走行した後に、自車走行経路Laを走り続けることはほとんどないので、走行中レーン702から進入先のレーン714、715に到達するまでの時間に応じて閾値を変更してもよく、所定距離以上あるいは所定時間以上の場合は、時間が長くなるに応じて閾値を低くしてもよい。
例えば、レーン714は、レーン715よりも自車両700からの距離が遠いので、レーン714へ進入したか否かを判断するための内積の閾値をレーン715の場合よりも低くする。本実施例ではレーン714、715の2レーンであるが、3レーン以上も先に位置するレーンや、10秒以上も先に位置するレーンに進入する場合の不定性拡大を入れるためには特に有効である。
[実施例4]
図13は、Uターン時における進行路の推定方法の一例を説明する図、図14は、図13のレーン進入の判定方法を説明する図である。
図13に示す道路は、左側通行の四車線道路、いわゆる片側二車線道路であり、センターライン(車道中央線)808とレーン境界807との間にはレーン803が存在し、レーン境界807と806との間にはレーン802が存在する。そして、センターライン808とライン境界809との間にはレーン804が存在し、ライン境界809と810との間にはレーン805が存在する。レーン803は自車両800が走行している走行レーン、レーン802は隣接レーンとなる。そして、レーン804、805は対向レーン(被判定レーン)となる。
本実施例では、自車両800がUターンをしようとしている場合について説明する。まず、レーン802~805のレーン情報が収集される(S201)。そして、図14に示すように、自車両800の動作状態の情報に基づいて自車走行経路Laが推定される(S202)。次いで、自車両800がレーン走行中であるか否かの判定(S203)が行われる。自車両800は、図13に示すように、自車両800のほとんどの部分がレーン803内に入っており、レーン803のレーン走行方向と自車両800の走行方向とが十分平行になっている。したがって、条件(A1)、(A2)を全て満たしており、レーン803を走行中であると判断される(S203でYES)。
そして、自車両800にレーン803から退出する意思があるか否かの判定(S204)が行われる。自車走行経路Laは、レーン803から外れてレーン804、805に移行するように推定されており、所定時間後に自車両800の所定部分が走行中のレーン803から外に出ること、及び、かかる状態が所定時間内の大半である状態となっている。したがって、条件(B1)、(B2)を全て満たしており、レーン退出の意思ありと判定される(S204でYES)。
そして、レーン803と走行方向が同一の隣接レーンが存在するか否かの判定(S205)が行われる。レーン803の退出方向には隣接レーンは存在しておらず、被判定レーンであるレーン804、805が存在しているだけなので、隣接レーンなしと判定される(S205でNO)。レーン退出方向に隣接レーンがない場合、自車両800が被判定レーンであるレーン804、805に進入するか否かを判定するレーン進入判定(S207)が行われる。
自車両800がレーン804に進入するか否かは、レーン804の進入判定位置(進入判定タイミング)Paにおいて、自車両800の移動方向単位ベクトルVbとレーン804の走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が所定角度以下であるか否かによって判定される。
レーン804における進入判定位置Paは、図示していないが、自車両800を自車走行経路La上で仮想的に移動させた際に、(C)自車両800の所定割合以上の部分がレーン804に入っている内で、自車両800の移動方向単位ベクトルVbとレーン804の走行方向単位ベクトルVaとの内積が最大となる位置である(図5を参照)。
レーン804では、進入判定位置Paで移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が90度以上、移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの内積が閾値未満となっているので、レーン804に対しては未進入と判断される。
そして、自車両800がレーン805に進入するか否かは、図14に示す進入判定位置Paにおいて、自車両500の移動方向単位ベクトルVbとレーン805の走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が所定角度以下であるか否かによって判定される。
図14に示す進入判定位置Paは、自車両800を自車走行経路La上で仮想的に移動させた際に、(C)自車両800の所定割合以上の部分がレーン805に入っている内で、自車両800の移動方向単位ベクトルVbとレーン805の走行方向単位ベクトルVaとの内積が最大となる位置である。図14に示す状態では、進入判定位置Paで移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの間の角度が0度であり、移動方向単位ベクトルVbと走行方向単位ベクトルVaとの内積が閾値以上となっているので、レーン805に対してレーン進入と判断される。
そして、S207のレーン進入判定により、自車両800がレーン805に進入すると判定されると、自車両800がレーン805に進入する進行路Lbが構築される(S208)。
S208の進行路構築処理では、進入判定位置Paを進入位置として設定し、進入位置において自車両800全体がレーン805に入っているかを判定する。そして、図13に示すように、自車両800全体がレーン805に入っている場合には、レーン803の現在位置から進入位置(図14に示す進入判定位置Pa)に到達するまでは自車走行経路La(舵角変化なし)で進行し、進入位置に到達した位置から自車両800の走行方向がレーン805のレーン走行方向に平行になるように舵角変化が一定になる経路で進行する進行路Lbが構築される。なお、レーン805の走行方向単位ベクトルVaに沿って平行に進入するときに舵角が0になるように自車両800を移動させる進行路を構築してもよい(舵角変化率の絶対値を一定とする)。
上記構成によれば、レーン803の現在位置において、Uターンによりレーン805に進入する進行路Lbを構築し、進行路Lbに基づいて衝突予測を行うことができる。したがって、実際に交差点を右折する前に、Uターン先のレーン805での衝突を予測することができ、Uターン時に正確な衝突判断を行うことができる。
図13に示すUターンの場合、自車両800は、ほとんどの時間でレーン805のレーン単位ベクトルと異なる向きを向いている。したがって、自車両800がUターンしてレーン805と平行になるときに、自車両800がレーン805に収まっていないと、確実にUターンしたとは言えず、進入とは判定されない。
自車走行経路Laに基づいて設定した進入位置では、自車両800がレーン805からはみ出てしまう場合(自車両800の一部が走行不可能領域に配置される場合)には、進入位置の補正が行われ、レーン805のレーン幅中央側に平行移動した位置とされる。進入位置の補正は、図7と図8において説明した内容と同様の処理が行われる。ただし、自車両800の舵角を調整しても、補正後の進入位置Paに到達できない場合には進入せず、とする。
本実施例の車両用衝突予測装置によれば、自車両の周囲に存在するレーンの情報と、自車の状態に基づいて推定した自車走行経路とを用いてレーンへの進入退出を判定し、その判定結果に基づいて進行路を構築し、移動物体との衝突予測をするので、自車両のレーン進入退出時に正確な衝突予測をすることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。