JP7038541B2 - 窒化アルミニウム顆粒状粉末の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム顆粒状粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な窒化アルミニウム粉末に関する。詳しくは、球状でかつ圧壊強度が著しく高い窒化アルミニウム焼結粒子よりなる新規な窒化アルミニウム顆粒状粉末を提供するものである。
窒化アルミニウムは、高熱伝導性、高耐プラズマ性、電気絶縁性などの優れた特性を有しており、近年、放熱フィラーとしての需要が高まっている。窒化アルミニウムの高熱伝導という特性を活かす為には、樹脂に高充填することが必要であり、例えば、放熱用のシリコーンシートにおいては、窒化アルミニウム粉末等の放熱フィラーを80容量%(vol%)以上の充填率でされている。このような高充填率を達成するためには、最密充填が必要であり、放熱フィラーとして粒径の大小異なるものを組み合わせて使用されている。
一方、フィラーの高充填に伴って、樹脂とフィラーの混錬時の粘度が増大するため、上記混錬にはより高いシェアが必要となる。これにより、混錬工程においてフィラーに大きな力がかかるため、充填し易く割れ難いフィラー、即ち、球状で且つ高い圧壊強度を有するフィラーが求められるようになった。
ところが、以下に示すように、平均粒径が20μm以上の大粒径の窒化アルミニウム粒子よりなる窒化アルミニウム顆粒状粉末に関し、球状で、上記高いシェアに対して耐性がある圧壊強度を満足するものは確認されていないのが現状である。
即ち、球状で大粒径窒化アルミニウム粉末の製法としては、例えば、アルミナ粉末または水酸化アルミニウム粉末を造粒し、これを還元窒化する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、上記方法では還元窒化法で製造された粒子は窒化率を高める程、変形が進んで粒子の真球度が低下すると共に、得られる粒子の圧壊強度も160MPa程度に留まっている。
一方、焼結助剤、樹脂バインダーを含む窒化アルミニウム粉末のスラリーをスプレードライ法により成形した後、これを焼結することによって得られる焼結粒子よりなる窒化アルミニウム顆粒状粉末が提案されている(特許文献2参照)。上記窒化アルミニウム顆粒状粉末は、粒子を成形して焼結するため球状に成形することが可能であり球形度の高いものを得ることはできる。しかし、乾燥時や脱脂時に発生する内部に空洞や原料混合時に発生する焼結助剤の偏在などが原因して、得られる焼結粒子の平均圧壊強度は高々300MPa程度であり、また、圧壊強度は200~400MPaの範囲でばらつきが大きく、強度が低い粒子が混錬中に割れるという問題が発生する。このように粒子が割れた場合、粒子の配合バランスが崩れるため、樹脂組成物がますます高粘度化することで混練不良が発生し、得られる樹脂組成物の熱伝導性が低下し、また、割れた新鮮面が樹脂に吸湿された水分と反応して加水分解し、硬化不良やPCT試験等の信頼性低下といった問題をも引き起こすことがある。
WO2011/093488号公報 特開2003-267708号公報
従って、本発明の目的は、高シェアで混錬しても割れ難い、極めて高い圧壊強度を有し、且つ樹脂への混練が容易な球形度の高い窒化アルミニウム焼結粒子を含む窒化アルミニウム顆粒状粉末を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤とをバインダーレスで溶媒に高度に分散した低粘度スラリーをスプレードライ後、焼結せしめることにより、内部まで緻密な結晶粒子で構成された極めて高い圧壊強度を有する球状窒化アルミニウム焼結粒子により構成される窒化アルミニウム顆粒状粉末を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、平均粒径が20~80μmの窒化アルミニウム焼結粒子よりなり、上記窒化アルミニウム焼結粒子は球状であり、且つ、平均圧壊強度が430MPa以上であることを特徴とする窒化アルミニウム顆粒状粉末が提供される。
また、本発明によれば、前記窒化アルミニウム焼結粒子の相対密度は99%以上であり、前記窒化アルミニウム焼結粒子を構成する結晶粒子の平均粒子径が2~3μmである窒化アルミニウム顆粒状粉末が提供される。
更に、本発明によれば、前記窒化アルミニウム焼結粒子の円形度が0.96以上であり、比表面積が0.12m/g以下である窒化アルミニウム顆粒状粉末が提供される。
更にまた、本発明によれば、圧壊強度の標準偏差が平均値の3%以下という極めて均一な強度を有する窒化アルミニウム顆粒状粉末が提供される。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は上記特性により、単独で、或いは、異なる粒径の窒化アルミニウム粉末やアルミナ粉末等の他のフィラーと共に、樹脂用フィラーとして好適に使用することができる。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、窒化アルミニウム粉末、焼結助剤粉末、粉末に対して0.3質量%未満の分散剤及び溶媒の混合物を100MPa以上の突出圧で高圧分散処理してスラリーを調整し、次いで、上記スラリーをスプレードライ法で顆粒化した後、窒素雰囲気下で焼成することにより製造することができる。
ここで、上記窒素雰囲気下での焼成は、温度1700℃~1780℃の条件下に行うことが好ましい。
本発明によれば、圧壊強度が430MPa以上という著しく高い強度を有しながら、球状を成す、従来に無い特性を有する窒化アルミニウム顆粒状粉末が提供され、これにより、樹脂に高充填する際の高いシェアに対しても粒子が破壊されることなく、熱伝導性、耐電圧特性などにおいて信頼性の高い高熱伝導性樹脂組成物を実現することが可能となる。
また、本発明により提供される上記窒化アルミニウム顆粒状粉末の製造方法は、バインダーを使用せず、且つ高圧分散処理を用いることで、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤、僅かな分散剤とを溶媒に高度に分散して低粘度スラリーを調整し、これを顆粒化することにより、粒子の表面と内部の乾燥速度差を小さくし、内部空洞を減少させた顆粒作成を可能とするとともに、助剤の偏在が無く且つ密度の高い顆粒を作製が可能となり、これを適切な温度で焼結せしめることにより、高強度かつ球状の窒化アルミニウム顆粒状粉末を得ることを可能とするものである。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、平均粒径が20~80μmの窒化アルミニウム焼結粒子よりなり、上記窒化アルミニウム焼結粒子は球状であり、且つ、平均圧壊強度が430MPa以上であることを特徴とする。
従来、窒化アルミニウム顆粒状粉末は、焼結助剤と樹脂バインダーを含む窒化アルミニウム粉末のスラリーをスプレードライにより球状に成形後、脱脂、焼成することにより製造することにより、球状の焼結粒子よりなるものは得ることができていた。しかし、前記したように、乾燥時や脱脂時に粒子内部に空洞が発生し易く、焼結後にそれが残存し、得られる焼結粒子の圧壊強度を低下させてしまう。また、単純に原料を混合しただけでは原料混合時に窒化アルミニウム粉末や焼結助剤粉末の凝集の残存や焼結助剤の偏在が生じ易く、焼結粒子内での焼結に程度差が発生し、得られる焼結粒子の圧壊強度を低下させるだけでなく、焼結粒子間に強度のバラツキが生じることとなる。
これに対して、本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤とをバインダーレスで溶媒に凝集粒子を残存させることなく高度に均一分散した低粘度スラリーをスプレードライ後、焼結せしめて得られるものであり、球状で、しかも、内部まで緻密な結晶粒子で構成された、空隙が極めて少ない球状窒化アルミニウム焼結粒子により構成されるものである。
従って、本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、球状であり、且つ、平均圧壊強度が430MPa以上、特に、450MPa以上という、従来の焼結粒子よりなる窒化アルミニウム顆粒状粉末においては達成できなかった高い圧壊強度を示す。
尚、本発明において、平均圧壊強度は、実施例において詳細に説明するが、窒化アルミニウム顆粒状粉末より任意に選択した100粒の焼結粒子について1粒ずつ圧壊強度を測定し、その平均値を示すものである。上記圧壊強度の測定は、島津製作所製微小圧縮試験機MTC-W510-Jを用いて測定した。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末が、前記した極めて高い圧壊強度を示す理由として、以下のことが考えられる。即ち、成形時にバインダーを使用しないことにより、脱脂による空洞の発生が無くなり、また、高圧分散処理を用いることで、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤、僅かな分散剤とを溶媒に高度に分散して低粘度スラリーが調整され、これをスプレードライすることにより、液滴の表面と内部の乾燥速度差が小さく、成形される粒子の内部空洞を著しく減少させることができることにより、密度の高い成形体を得ることができ、しかも、前記分散により粉末原料の凝集を残存させることなく且つ焼結助剤が極めて均一に存在せしめることができたことによるものと推定している。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末を構成する窒化アルミニウム焼結粒子の球形の度合を示す円形度は、0.96以上、好ましくは、0.98以上のものが好ましい。
尚、円形度は、画像解析により求めた画像から測定された粒子の面積Sと周囲長Lを用いて円形度=4πS/Lで算出され、真円の場合が1となる。本発明において、円形度はマルバーン製Morphologi G3を使用して測定したものである。
また、本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、平均粒径が20μm~80μm、特に、20~50μmの範囲において、従来の窒化アルミニウム顆粒状粉末に対する前記強度面での特徴が顕著である。また、平均粒径が上記範囲を超えると、製法上、窒化アルミニウム焼結粒子に内部空洞が存在し易くなり、本発明の特徴である高強度を達成が困難となる。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末において、より高い圧壊強度を発揮するために、窒化アルミニウム焼結粒子を構成する結晶粒子の平均粒子径は、2~3μmで有ることが好ましい。また、窒化アルミニウム焼結粒子の緻密さを示す相対密度(相対密度=He置換法により求めた実測密度×100/理論密度)が99%以上であることが好ましい。
また、窒化アルミニウム顆粒状粉末のBET法により測定される比表面積は0.12m/g以下、特に、0.10m/g以下であることが好ましい。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末において、圧壊強度は平均強度が高いだけではなく、強度のばらつきが小さいことも特徴の一つである。即ち、任意に選出した100粒について、圧壊強度の平均が450MPa以上であると共に、その標準偏差が平均値の3%以下、特に、2%以下という安定した強度を示す。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、上記強度のバラツキも小さいことにより、樹脂に充填した際の信頼性が高く、絶縁耐性のバラツキも極めて少ない。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、単独で樹脂に充填して使用することも可能であるが、異なる粒径の窒化アルミニウム粉末やアルミナ粉末等の他のフィラーと共に、樹脂用フィラーとして使用することができ、高い性能と安定した性能を樹脂組成物に与えることができる。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、以下に示す製造方法によって好適に製造することが可能である。
即ち、本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、窒化アルミニウム粉末、焼結助剤粉末、粉末に対して0.3質量%未満の分散剤及び溶媒の混合物を100MPa以上の突出圧で高圧分散処理してスラリーを調整し、次いで、上記スラリーをスプレードライ法で顆粒化した後、窒素雰囲気下で焼成することにより製造することができる。
上記製造方法において、原料の窒化アルミニウム粉末は、特には制限されないが平均一次粒子径が0.4~1.2μmのものを使用することが好ましい。即ち、平均一次粒子径が0.4μmよりも小さい場合、高圧分散後であっても溶媒中で窒化アルミニウム粉末の再凝集が起りやすく、顆粒構造の偏りが発生し易くなり、圧壊強度や円形度の低下をもたらす虞がある。また、平均一次粒子径が1.2μmよりも大きいと、焼結に高温が必要となり、また、得られる焼結粒子を構成する結晶子が3μmより大きくなり、焼結粒子の圧壊強度が低下する傾向がある。また、熱伝導率と焼結性の観点から、窒化アルミニウム粉末の酸素濃度は0.7~1.0%であることが望ましい。
本発明においては焼結助剤として、希土類金属酸化物を使用することが好ましい。かかる希土類酸化物については特に限定されないが、熱伝導率の観点からイットリウム化合物特には酸化イットリウムを使用することが好ましい。また、焼結助剤の添加量は熱伝導率の点から原料の窒化アルミニウム粉末に対して、2~6重量部であることが好ましい。即ち、焼結助剤の配合量が2重量部より少ないと、焼結が進みにくく、緻密化に高温を必要とするため粒成長し易く、これにより得られる焼結粒子の圧壊強度が低下する虞がある。また、焼結助剤の配合量が6重量部より多いと、顆粒状成形体に液相が多く存在することによる焼結粒子同士の融着や過剰な粒成長が発生し易くなるため、得られる焼結粒子の円形度及び圧壊強度が低下する傾向がある。
また、前記製造方法において、溶媒は公知のものを特に制限無く使用することができるが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エタノール、プロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が好適に使用される。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末の製造方法においては、脱脂処理などにおいて焼結粒子内に空洞を作る原因となる樹脂バインダーは実質的に使用しないことが特徴の一つである。従来、バインダーはスプレードライにより得られる顆粒状成形体の強度を保つために使用されてきたが、本発明の製造方法においては、高圧分散処理により高度に分散されたスラリーを噴霧することで、バインダーを添加せずとも顆粒自体の密度が高く、焼結工程の充填時に割れることのない顆粒の作製が可能となった。また、バインダーを添加しないことにより、より粘度の低いスラリーが調整可能となるため、顆粒表面と内部の乾燥速度差が少なく、顆粒内部の空洞の発生が抑制される効果が得られやすいというメリットがある。また、樹脂成分を殆ど添加しないため、顆粒同士の接着を防止するとともに、通常行われる脱脂工程を省略することも可能である。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末の製造方法において、前記スラリーの調整において、分散剤は高圧分散後のスラリーの分散維持並びに焼結時の融着防止材の役割を果たし、その添加量は窒化アルミニウム粉末及び焼結助剤に対して0.3質量%未満、好ましくは0.05~0.2質量%であることが望ましい。分散剤を0.3質量%以上添加すると、分散剤が焼結を阻害する傾向がある。
上記分散剤としては、窒化アルミニウムの分散性の観点からHLBが6~10のものを使用することが望ましく、具体的には、カルボキシル化トリオキシエチレントリデシエーテル、ジグリセンモノオレエート、ジグリセリンモノステアレート、カルボキシル化ヘプラオキシエチレントリデシルエーテル、テトラグリセリンモノオレエート、ポリオキシレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等が挙げられる。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末の製造方法において、前記原料の混合は、ボールミル、ビーズミル等、公知の方法により行うことができる。
また、上記混合後、混合物の高圧分散処理は、公知の高圧分散処理装置を使用して行うことができる。例えば、湿式ジェットミル、貫通型高圧分散、衝突型分散装置、多孔型分散装置等が使用できるが、不純物の混入防止の観点から衝突型を使用することが望ましい。上記高圧分散処理において、分散圧は突出圧で100MPa以上の圧力、好ましくは150MPa~300MPaであることが、高圧分散による前記効果を得るために必要である。
更に、上記高圧分散処理後、スプレードライヤ―で噴霧乾燥し、得られた顆粒状成形体は、窒素雰囲気下、1700~1780℃の温度範囲で、1~5時間焼成することによって、本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末を得ることができる。上記焼成温度について、温度が1700℃より低いと緻密化が不十分となる傾向があり、また、1780℃より高過ぎると焼結助剤による液相が顆粒表面に大量に発生し、焼結粒子同士の融着が激しくなる傾向がある。また、焼成時間が前記範囲より短い場合、緻密化並びに窒化アルミニウム結晶粒子の高純度化が不十分となり、強度、熱伝導率、BDV(Breakdown voltage)を低下させ、逆に焼成時間が長い場合、粒成長が進みすぎ、強度が低下する傾向がある。
上記焼成後、窒化アルミニウム顆粒状粉末を構成する焼結粒子同士の融着はわずかであり、ブレンダーや振動篩等により簡単にほぐすことができる。
本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末において、焼結粒子に公知の表面処理を行い、樹脂との親和性を高めることも好ましい態様である。例えば、シランカップリング剤による処理や酸性リン酸エステルのインテグラルブレンド等の処理が挙げられる。
また、本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、フィラー用途に対して、単独で使用することもできるし、粒径の異なる窒化アルミニウム顆粒状粉末同士、粒径の異なる他の窒化アルミニウム粉末、アルミナ顆粒、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末などと混合して使用してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、各測定方法は、以下に示す方法により実施した。
1)平均粒径
日機装製MICROTRACK-HRAを用いて、レーザー回折法により求めた。水90mlに対し、5%ピロリン酸ソーダ水溶液を加えた溶液の中に窒化アルミニウム粉末を加え、これをホモジナイザーにて出力200mA,3分間分散させたものを測定した。前記方法のD50から平均粒径を求めた。なお、ここでいうD50は体積分布値である。
2)圧壊強度
島津製作所製微小圧縮試験機MTC-W510-Jを用いて、任意の100粒子を測定し、その平均値と標準偏差を求めた。
3)相対密度
相対密度は以下の式により算出した。
相対密度(%)=実測密度×100/理論密度
実測密度は島津製作所製、乾式自動密度計 AccuPyc 1330を用い、He置換法により求めた。理論密度はAlN粉末3.26g/cm、焼結助剤(Y)粉末:5.0g/cmとして配合に合わせて計算を行った。
4)窒化アルミニウム焼結体を構成する結晶粒子の平均粒子径
走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S-2600N)にて倍率3.0K倍で20視野観察し、その視野面積内における、全ての窒化アルミニウム焼結粒子について、粒子を構成する結晶粒子の径を、画像解析システム(IP-1000PC;旭化成工業製)を用いて解析し、求めた。
5)円形度
マルバーン製Morphologi G3を用いて20,000粒子を測定して求めた。
6)比表面積
島津製作所製流動式表面積自動測定装置フローソーブ2300形を用いてN2吸着によるBET法により求めた。
7)酸素濃度
(株)堀場製作所製 酸素・窒素同時分析装置(EMGA-620W/C)を用いて、不活性ガス中でインパルス加熱融解法によりAlNを融解して抽出された酸素を一酸化炭素の形態として、この一酸化炭素を非分散赤外線検出器にて測定した。キャリアガスとしてHeガス(純度:99.995%以上)を用いた。
実施例1
内容積が20Lのナイロン製ボールミルに、直径15mmのアルミナボールを入れ、次いで、AlN粉末(トクヤマ製Hグレード)100重量部に対して、焼結助剤として酸化イットリウム3重量部(日本イットリウム製)と分散剤としてヘキサグリセリンモノオレート0.1重量部と溶媒を添加し14時間混合した。混合したスラリーを衝突型高圧分散装置(スギノマシン製)を用い、突出圧150MPaで高圧分散してスラリーを得た。このスラリーをスプレードライにて100℃で顆粒化し、窒素雰囲気圧1.2kPa中、1750℃で1hr焼成することによって窒化アルミニウム顆粒状粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム顆粒状粉末の平均粒径は25μmであった。圧壊強度、円形度、相対密度、比表面積、平均構成粒子径を求めた。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1のスラリーを用いてスプレートドライにて顆粒化する際、アトマイザーディスク回転数を調整し、焼成温度を1780℃とした以外は実施例1と同様にして窒化アルミニウム顆粒状粉末を得た。得られた窒化アルミニウム顆粒状粉末の平均粒径は76μmであった。評価結果を表1に示す。
実施例3
高圧分散の突出圧を300MPa、焼成条件を1700℃、4hrとした以外は実施例1と同様に作製し評価を行った。得られた窒化アルミニウム顆粒状粉末の平均粒径は22μmであった。評価結果を表1に示す。
比較例1
高圧分散を実施しない以外は実施例1と同様に作製し、評価を行った。得られた窒化アルミニウム顆粒状粉末の平均粒径は30μmであった。評価結果を表1に示す。
比較例2
スラリーにバインダーを2重量部添加した以外は実施例1と同様に作製し、評価を行った。得られた窒化アルミニウム顆粒状粉末の平均粒径は28μmであった。評価結果を表1に示す。
Figure 0007038541000001
このようにして得られた、球状且つ高い圧壊強度を有する本発明の窒化アルミニウム顆粒状粉末は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂に微粉と共に80vol%となるように高充填した場合でも、混練時の高いシェアにより破壊され難く、微粉の増加による混練時のトルクの増加が殆ど無く安定して樹脂組成物を製造することができた。また、得られた樹脂組成物により製造された硬化体は、性能のバラツキが殆ど無く、高い熱伝導率と絶縁性とを再現性良く発現することができた。

Claims (2)

  1. 窒化アルミニウム粉末、焼結助剤粉末、粉末に対して0.3質量%未満の分散剤及び溶媒の混合物を100MPa以上の突出圧で高圧分散処理してスラリーを調整し、次いで、上記スラリーをスプレードライ法で顆粒化した後、窒素雰囲気下で焼成することを特徴とする窒化アルミニウム顆粒状粉末の製造方法。
  2. 窒素雰囲気下での焼成を、温度1700℃~1780℃、条件下に行う、請求項1に記載の窒化アルミニウム顆粒状粉末の製造方法。
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